JP2006152065A - フッ素系陽イオン交換膜の製造方法 - Google Patents

フッ素系陽イオン交換膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】物理的な外力が加えられた場合であってもガス解放層が剥離せず、塩化アルカリの運転に長期間用いても磨耗や剥離が生じないフッ素系陽イオン交換膜の提供。
【解決手段】イオン交換基またはイオン交換基の前駆体基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる膜を作製する第1の工程、無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液、および非プロトン系極性溶媒を前記膜表面に塗布した後、非プロトン系極性溶媒を加熱して除去する第2の工程、および前記パーフルオロカーボン重合体がイオン交換基の前駆体基を有する場合は、該前駆体基をイオン交換基に転換する第3の工程を有する、表面にガス解放層を有するフッ素系陽イオン交換膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩化アルカリ電解に用いられる、表面にガス解放層を有するフッ素系陽イオン交換膜の製造方法に関する。
イオン交換膜を隔膜として塩化アルカリ水溶液を電解することにより、水酸化アルカリと塩素を製造する方法が知られている。
上記製造方法においては、電解する際に発生するガスがイオン交換膜表面に付着することにより電解電圧が上昇し、エネルギー損失が生じる問題がある。
従来、この問題を解決するため、イオン交換膜の表面にガス解放層を設けることにより、親水性機能を持たせる方法が知られている。この方法によれば、ガスが膜に付着することを抑制でき、電解電圧の低下が図られる。このガス解放層は、主に周期表第4族元素の酸化物、窒化物、炭化物類を主成分とする粉末状微粒子をアルコール系溶媒中に分散させた液を、膜表面にスプレー塗工する方法、あらかじめ膜状に形成した上記微粒子からなる層を、ロールプレス機等によって膜に圧着転写する方法等により、イオン交換膜の表面に形成される。
しかし、上記ガス解放層と膜との接着力は必ずしも十分ではなく、特にスプレー方式にて形成されたものは、引っかきや摩擦といった物理的な外力に対し、剥離が生じやすい問題があった。
また、電解槽に組み込まれたイオン交換膜においては、長期間の運転、あるいは電解槽の運転時における槽内圧力の変動が要因となってガス解放層が消耗し、電解電圧が上昇することがあった。
これらの問題を解決すべく、いくつかの方法が提案されている。例えば、特許文献1ではガス解放層の主成分である無機物粒子の粒子径を0.01〜0.2μmと小さくすることにより、ガス解放層を均一にかつ十分な付着力で付着できることが報告されている。また、特許文献2においては、ガス解放層を形成した後、130℃以上に加熱することにより、ガス解放層の付着力を強化できることが報告されている。
しかしながら、膜と電極の間隔が小さいゼロギャップ電解槽における長期間の運転や、電解槽の運転における圧力振動の影響によって生じる、電極と膜表面の間の摩擦に対しては、必ずしも十分な耐久性を有していなかった。
特開平3−137136号公報(特許請求の範囲) 特開2000−336187号公報(特許請求の範囲)
本発明は、ガス解放層と膜との付着性に優れたイオン交換膜であって、物理的な外力が加えられた場合であっても剥離せず、長期間の運転に用いても磨耗や剥離が生じないフッ素系陽イオン交換膜の提供を目的とする。
本発明は、イオン交換基またはイオン交換基の前駆体基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる膜を作製する第1の工程、無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液、および非プロトン系極性溶媒を前記膜表面に塗布した後、非プロトン系極性溶媒を加熱して除去する第2の工程、および前記パーフルオロカーボン重合体がイオン交換基の前駆体基を有する場合は、該前駆体基をイオン交換基に転換する第3の工程を有することを特徴とする、表面にガス解放層を有するフッ素系陽イオン交換膜の製造方法を提供する。
非プロトン系極性溶媒を前記膜表面に塗布し、加熱して除去することにより、ガス解放層に強固な付着力を付与できる。この理由は必ずしも明らかではないが、高沸点の非プロトン系極性溶媒がバインダーポリマーを膨潤化させることにより、無機物粒子が密着して取り囲まれ、膜表面にバインダーポリマーと無機物粒子よりなるゲル状の層が形成され、次いで、非プロトン系極性溶媒が、加熱により気化することで、バインダーポリマーの変性が起きているものと推察される。
これは、分散溶媒としてエタノール等のアルコール系溶媒のみを使用した場合に、膜表面へ塗工している最中からアルコール系溶媒の揮発が進行するのとは、明らかに異なる現象である。
本発明により得られるフッ素系陽イオン交換膜は、長期間の運転において、膜の振動等が起こった場合であってもガス解放層の磨耗や剥離が生じにくい。よって、上記イオン交換膜を用いて塩化アルカリ水溶液の電解を行う場合は、電解電圧が上昇することがなく、長期間安定に運転することが可能となる。
本発明における第1工程において作成される膜としては、カルボン酸基またはカルボン酸の前駆体基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる層(以下、第1層という。)と、スルホン酸基またはスルホン酸基の前駆体基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる層(以下、第2層という。)の少なくとも2層が積層されてなる積層膜が挙げられる。
上記第1層を形成するパーフルオロカーボン重合体としては、式1で表される単量体に基づく重合単位と、式2で表される単量体に基づく重合単位との共重合体、または該共重合体を加水分解してYを−COOHに転換したものが好ましい。
CF=CX ・・・式1、
CF=CF(OCFCFXO(CFY ・・・式2。
式1において、XおよびXは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、水素原子、またはトリフルオロメチル基である。式2において、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、m=1〜3の整数、n=0または1、Yはアルカリ性媒体中にて加水分解によりカルボン酸基に転換できる前駆体基である。Yとしては、−COOR(Rは炭素数1〜4のアルキル基)、−CN、−COZ(Zはハロゲン原子)が好ましい。
式1で表される単量体としてはCF=CFが好ましく、式2で表される単量体としては、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOCH、CF=CFOCFCFCOOCH、CF=CFOCFCFCFCOOCH、CF=CFOCFCFCFOCFCFCOOCH、CF=CFOCFCFCFCFCFCOOCH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCFCOOCHが好ましい。
積層膜を構成する第1層のイオン交換容量は0.7〜1.05ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましい。また、この第1層の厚さは5〜50μm、特には10〜35μmであるのが好ましい。
一方、第2層を形成するパーフルオロカーボン重合体としては、上記式1で表される単量体に基づく重合単位と、式3で表される単量体に基づく重合単位との共重合体、または該共重合体を加水分解してWを−SOHに転換したものが好ましい。
CF=CF(OCFCFXO(CFW ・・・式3
式3において、X=フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、s=1〜3の整数、t=0、1または2、Wはアルカリ性媒体中にて加水分解によりスルホン酸基に転換できる前駆体基である。Wとしては、−SO(Xはフッ素原子、塩素原子または臭素原子)、−SOR(Rは炭素数1〜4のアルキル基)が好ましい。
式3で表される単量体としては、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFCF=CFOCFCFCFSOF、CF=CFOCFCFSOFが好ましい。
積層膜を構成する第2層のイオン交換容量は0.9〜1.15ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましい。なお、上記第1層と第2層間の剥離を防止する観点から、第1層と第2層とのイオン交換容量の差はできるだけ小さい方が好ましい。また、上記第2層の厚さは、十分な強度をもたせる観点から45〜140μm、特には60〜100μmとするのが好ましい。
積層膜は、さらに第3層として、スルホン酸基またはスルホン酸基の前駆体基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる層を有していてもよく、その場合第3層は第2層を構成する重合体と同様の構造を有する重合体から選択されるのが好ましい。第3層のイオン交換容量は、第2層のそれと同じであるか、または電解電圧の低減の観点からそれよりも高いことが好ましい。この第3層の厚さは10〜60μmが好ましい。第3層の厚さが10μm以下である場合は、強化織布が積層膜内に収まりにくく、剥離しやすくなり、60μm以上である場合は膜抵抗が増加する。
本発明におけるフッ素系陽イオン交換膜としては、膜の強度を向上させる観点から織布が積層されてなるものが好ましい。第1の工程において作製される膜が3層構造の積層膜である場合、織布は、第1層、第2層、第3層の順に積層されてなる積層膜の第2層と第3層との間に埋め込まれることが好ましい。
このような積層膜は、例えば、以下の方法で作製できる。
まず、共押出法によりカルボン酸基の前駆体基を有する重合体からなる第1層と、スルホン酸基の前駆体基を有する重合体からなる第2層との積層膜を得、別途、単層押出法にてスルホン酸基の前駆体基を有する重合体からなる第3層を得る。次いで、第3層、織布、第1層と第2層との積層膜の順に配置し、積層ロールまたは真空積層装置を用いてこれらを積層する。このとき、第1層と第2層との積層膜は、第2層側が織布側に面するように配置する。
このようにして得られた積層膜の、カルボン酸基の前駆体基およびスルホン酸基の前駆体基を、加水分解して各々をカルボン酸基およびスルホン酸基に転換することにより陽イオン交換膜が得られる。加水分解の方法としては、例えば、特開平1−140987号公報に記載されているような、水溶性有機化合物とアルカリ金属の水酸化物との混合物を用いる方法が好ましい。このように、加水分解はガス解放層を形成する前に行うのが好ましい。
本発明における第2の工程では、第1の工程で得られた膜の表面に、無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液、および非プロトン系極性溶媒を塗布した後、非プロトン系極性溶媒を加熱して除去する。これにより形成される無機物粒子およびバインダーポリマーからなる層は、ガス解放層の役割を有する。
無機物粒子としては、電解液等に対する耐食性に優れ、親水性を有するものが好ましい。具体的には第4族元素または第14族元素の酸化物、窒素物または炭化物等が挙げられ、特にはSiO、SiC、ZrO、ZrCが好ましい。
無機物粒子の平均粒子径は、バインダーポリマーとの密着性の観点から2次平均粒子径で0.5〜2.0μmであるのが好ましい。
バインダーポリマーとしては、電解液等に対する耐食性に優れ、親水性を有するものが好ましく、例えば、カルボン酸基またはスルホン酸基を導入したフッ素系重合体や共重合体が好ましい。特には、スルホン酸基を有するフッ素系重合体が好ましく用いられる。
無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液における無機物粒子の含有割合は、バインダーポリマー100質量部に対して20〜500質量部とするのが好ましく、さらに十分なガス解放機能を発現させる観点からは、80〜160質量部とするのが好ましい。
上記分散液を膜状に均一に塗布するという観点から、通常、上記分散液は分散媒を含有することが好ましい。分散媒としては、例えば、バインダーポリマーがスルホン酸基を有するフッ素系重合体である場合は、アルコール系の溶媒を用いることが好ましく、エタノール、イソプロピルアルコール等を用いることができる。
上記分散液における分散媒の含有割合は、特に限定されないが30〜95質量%程度とするのが好ましい。分散媒の含有割合が上記範囲である場合は、バインダーポリマーの分散性が良好であり、粘度も適当であることから、分散液をスプレー方式により膜表面に塗工する場合に適している。
また、非プロトン系極性溶媒としては、沸点が140℃以上であり、かつ融点が25℃以下であるものが好ましく、さらにはその沸点が、膜を構成する重合体の融点以下であるものが好ましい。
非プロトン系極性溶媒としては、具体的には、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。なかでもジメチルスルホキシドは、従来、フッ素系イオン交換膜の加水分解工程でも用いられており、取扱いが容易であることから好ましく用いられる。
第1の工程で得られた膜の表面に、無機物粒子とバインダーポリマーとからなるガス解放層を形成する方法としては以下の方法が好ましい。
(1)膜表面に無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液を塗布した後、非プロトン系極性溶媒を塗布し、次いで、加熱して非プロトン系極性溶媒を除去する方法。
(2)無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液、および非プロトン系極性溶媒の混合液を膜表面に塗布した後、加熱して非プロトン系極性溶媒を除去する方法。
(1)における分散液、および(2)における分散液と非プロトン系極性溶媒の混合液は、撹拌翼を備えた容器内で混合する、ボールミルを用いて混合する等、公知の方法により調整できる。
また、(1)における分散液、(1)における非プロトン系極性溶媒、または(2)における分散液と非プロトン系極性溶媒の混合液を膜表面に塗工する方法としては、スプレー法やロールコーター法等による方法が挙げられる。
非プロトン系極性溶媒は、その添加量が、無機粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液と非プロトン系極性溶媒との合計量に対して、1〜70質量%、特には10〜50質量%となるように添加するのが好ましい。
非プロトン系極性溶媒を除去する際の加熱温度は、特に限定されないが、30℃以上、好ましくは用いる非プロトン系極性溶媒の沸点以上とするのが好ましい。一般に、加熱温度が用いる非プロトン系極性溶媒の沸点より低い場合は、膜表面に非プロトン系極性溶媒が残留しやすいが、種類によっては蒸気圧の関係から沸点以下で加熱しても溶媒を十分に揮発させることができる。
一方、上記加熱を、膜を構成する重合体の融点以上で行う場合は、膜の厚さが不均一とならないように注意が必要となるので、上記重合体の融点未満で加熱処理を行うことが好ましい。
上記加熱の方法としては、加熱ロールによる方法、オーブン内で加熱する方法等が適用できるが、工業的には加熱ドラムを備えたロールプレス機により連続処理する方法が好ましい。ロールプレス機により加える圧力は特に限定されないが、動力の削減の観点からは0.2MPa以下の線圧とするのが好ましい。
本発明において、第1の工程でイオン交換基の前駆体基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる膜を作製し、次いで第2の工程でガス解放層を形成させる場合は、第2の工程の後に、上記前駆体基をイオン交換基に転換する第3の工程を行う。第2の工程と第3の工程は並行して行ってもよい。イオン交換基への転換は、上記前駆体基をアルカリ水溶液中で加水分解させること等により実施できる。
[例1〜5]
<陽イオン交換膜の作製>
CF=CFとCF=CFOCFCFCFCOOCHとを共重合させ、加水分解したときのイオン交換容量が0.95ミリ当量/g乾燥樹脂となるポリマー(以下、ポリマーAという。)を得た。また、CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFとを共重合体させ、加水分解したときのイオン交換容量が1.0ミリ当量/g乾燥樹脂となるポリマー(以下、ポリマーBという。)を得た。また、ポリマーBと同じ共重合体であって、加水分解したときのイオン交換容量が1.0ミリ当量/g乾燥樹脂であるポリマー(以下、ポリマーCという。)を準備した。
2台の押出機、共押出用のフィルムダイ、および引き取り機を備えた装置を用いて、ポリマーAからなる厚さ17μmのA層(第1層)と、ポリマーBからなる厚さ67μmのB層(第2層)とが積層されてなる2層フィルムABを得た。また、単層押出用のフィルムダイを用いてポリマーCからなる厚さ30μmのフィルムC(第3層)を得た。
一方、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)からなるフィルム上に、1質量%のメチルセルロース水溶液に酸化ジルコニウムを分散させたペーストを、グラビアロール法にて8g/mの乾燥重量となるように塗工したフィルムDを得た。
また、強化糸としてポリテトラフルオロエチレンからなる100デニールの糸を用い、犠牲糸としてポリエチレンテレフタレートからなる30デニール6フィラメントの糸を用い、強化糸の密度が10本/cm、犠牲糸の密度が20本/cmである平織りの織布を得た。
次いで、一対の金属ロールとゴムライニングロールの積層ロールを用い、温度200℃にて、線圧40kg/cm、速度0.4m/分で、フィルムD、フィルムC、織布、2層フィルムABをこの順番に積層、一体化して片面に酸化ジルコニウム粒子層を有する複合膜を得た。このとき、フィルムDは酸化ジルコニウムの塗工面をフィルムC側に向けて配置し、2層フィルムABはB層を織布側に向けて配置した。
得られた複合膜を、ジメチルスルホキシド(DMSO、沸点189℃)30質量%、および水酸化カリウム15質量%を含む水溶液中に90℃にて12分間浸漬し、COOCH基およびSOF基を加水分解してイオン交換基に転換した。次いで、これを水洗した後、90℃の熱風乾燥機内で乾燥させた。
一方、ポリマーBと同じ共重合体を酸型に転換したポリマーであって、イオン交換容量が1.1ミリ当量/gであるものをバインダーポリマーとして作製した。このポリマーをエタノールに溶解させ、7.4質量%のエタノール溶液を作製した。このエタノール溶液に2次平均粒径が1μmである酸化ジルコニウムを加え、ボールミルを用いて均一に分散させ、酸化ジルコニウムを10.8質量%含む懸濁液を得た。
次いで、この懸濁液にDMSOを、混合後の溶液に占める割合が0質量%(例1、比較例)、10質量%(例2)、20質量%(例3)、30質量%(例4)、40質量%(例5)になるよう添加し、さらにボールミルにより酸化ジルコニウムを均一に分散させて5種類の分散液を得た。
各々の分散液を、上記の乾燥させた複合膜の2層フィルムAB面側にスプレー法により塗布し、当該2層フィルムAB面にも酸化ジルコニウム粒子層を形成した。次に、一対の金属ロールとゴムライニングロールの積層ロールを用い、温度160℃、線圧1.5kg/cm、速度0.04m/分で複合膜を加熱した。さらに、複合膜を温度40℃で4質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液中に浸漬し、平衡処理を行った。
<摩擦試験>
上記のようにして得た5種類の陽イオン交換膜について、以下の方法にしたがい摩擦試験を行った。摩擦試験機として、井元製作所社製の簡易型耐磨耗試験機IMC−1558−1型を用い、摩擦体としてはイノアックコーポレーション社製の発泡ウレタンシート(密度:22kg/m)を用いた。陽イオン交換膜の2層フィルムAB面側に摩擦体を接触させ、摩擦体に50gの荷重をかけ、100往復の摩擦加速試験を行った。
摩擦試験を行った後、蛍光X線測定器を用いて、陽イオン交換膜の2層フィルムAB面側の表面に残存する酸化ジルコニウムの量を測定し、残存率を算出した。結果を表1に示す。
<電解試験(耐久性試験)>
一方、例1で用いたのと同じ陽イオン交換膜を、電解槽内で2層フィルムAB側、すなわちカルボン酸基を有するA層(第1層)側が陰極に面するように配置し、スルホン酸基を有するフィルムC(第3層)側が陽極に面するように配置して塩化ナトリウム水溶液の電解を行った。電解槽としては有効通電面積が0.25dmの電解槽を用い、陽極としてはペルメレック電極社製のDSEを用い、陰極としてはクロリンエンジニアズ社製のラネーニッケルめっき陰極を用いた。
塩化ナトリウム水溶液を、200g/Lに調整しながら陽極室に供給し、陰極室から排出される水酸化ナトリウム濃度を32質量%に保ちながら、電流密度4kA/m、温度85℃にて電解を行った。その結果、起用初期の電圧は3.02V、電流効率は97.2%、運転開始から6ヶ月後の電圧は3.05V、電流効率は97.1%であった。また、6ヶ月間使用した膜を電解槽から取り外し、蛍光X線測定器を用いて酸化ジルコニウムの残存量を測定したところ、その残存率は95%であった。
同様の電解試験を、例2〜5で用いたのと同じ各陽イオン交換膜を用いて行った。結果を表1に示す。
Figure 2006152065
[例6〜例10 (比較例)]
陽イオン交換膜の2層フィルムAB面側に酸化ジルコニウムの分散液を塗布した後、160℃による加熱処理を行わなかった以外は例1〜5と同様の処理を行った陽イオン交換膜を準備し、各々の陽イオン交換膜について例1〜5と同様にして摩擦試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2006152065
[例11〜15]
DMSOを用いる代わりに表3に示す各溶媒を用い、各溶媒の含有割合を50質量%とした以外は例2〜5と同様にして、表面に酸化ジルコニウム粒子層を有する陽イオン交換膜を作製し、例2〜5と同様にして摩擦試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2006152065
本発明の製造方法により得られるフッ素系陽イオン交換膜は、塩化アルカリの電解に用いられる。

Claims (4)

  1. イオン交換基またはイオン交換基の前駆体基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる膜を作製する第1の工程、無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液、および非プロトン系極性溶媒を前記膜表面に塗布した後、非プロトン系極性溶媒を加熱して除去する第2の工程、および前記パーフルオロカーボン重合体がイオン交換基の前駆体基を有する場合は、該前駆体基をイオン交換基に転換する第3の工程を有することを特徴とする、表面にガス解放層を有するフッ素系陽イオン交換膜の製造方法。
  2. 第2の工程において、無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液を前記膜表面に塗布した後、非プロトン系極性溶媒を塗布する請求項1に記載のフッ素系陽イオン交換膜の製造方法。
  3. 第2の工程において、無機物粒子およびバインダーポリマーを含有する分散液、および非プロトン系極性溶媒の混合液を前記膜表面に塗布する請求項1に記載のフッ素系陽イオン交換膜の製造方法。
  4. 非プロトン系極性溶媒がジメチルスルホキシドである請求項1、2または3に記載のフッ素系陽イオン交換膜の製造方法。
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