JPH05222220A - フッ素系陽イオン交換樹脂膜 - Google Patents

フッ素系陽イオン交換樹脂膜

Info

Publication number
JPH05222220A
JPH05222220A JP4027693A JP2769392A JPH05222220A JP H05222220 A JPH05222220 A JP H05222220A JP 4027693 A JP4027693 A JP 4027693A JP 2769392 A JP2769392 A JP 2769392A JP H05222220 A JPH05222220 A JP H05222220A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
diffusion coefficient
ion exchange
concentration
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4027693A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuo Hiyoshi
辰夫 日吉
Akio Kashiwada
昭夫 柏田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP4027693A priority Critical patent/JPH05222220A/ja
Publication of JPH05222220A publication Critical patent/JPH05222220A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 イオン交換膜法食塩電解において、最大濃度
55重量%に至る高濃度の苛性ソーダを長時間に亘っ
て、高い性能で、安定して、直接生産することの出来る
イオン交換膜を提供する。 【構成】 陰極側の表面に式D1 >Di+1 、式D1
×Ti+1 >Di+1 ×T1を同時に満足し、且つ陰極側最
外層の拡散係数が10-8cm2 /sec以下である少な
くとも2層(i=1)の表面層を設けたことを特徴とす
るフッ素系イオン交換樹脂膜。 Di ,Ti は各々第i
番目の表面層の拡散係数(cm2 /sec)、厚み(c
m)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイオン交換膜法ハロゲン
化アルカリ水溶液の電解に用いられるフッ素系陽イオン
交換樹脂膜に関するものである。更に詳しくは、イオン
交換膜法塩化アルカリ水溶液の電解、特にはイオン交換
膜法食塩電解において、20〜55重量%の水酸化アル
カリを優れた性能で工業的に有利に製造し得る新規なフ
ッ素系陽イオン交換樹脂膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化アルカリ水溶液を電解して水酸化ア
ルカリと塩素を製造するイオン交換膜法アルカリ電解は
従来法に較べて高純度の水酸化アルカリを低いエネルギ
−消費量で得られるため、今日広く普及されている。特
にイオン交換膜法食塩電解の分野においては陰極側にカ
ルボン酸基を有するフッ素系陽イオン交換樹脂膜を用い
ることにより、極めて高い電流効率が実現された結果、
工業的に有用に用いられるようになっている。しかしな
がら、現在流通される水酸化ナトリュウムは50重量%
の濃度であるが、イオン交換膜法食塩電解により得られ
る水酸化ナトリュウムの濃度は従来通常は35〜40重
量%以下であるため、蒸気エネルギ−、或は他のエネル
ギ−源により更に濃縮する必要があった。従って更なる
エネルギ−の消費無しに流通濃度の水酸化ナトリュウム
を直接製造できるイオン交換膜法食塩電解の方法が近年
望まれている。
【0003】従来のイオン交換膜法食塩電解においては
陰極室に生成される水酸化ナトリュウムの濃度がおよそ
35〜40重量%以下までは高い効率が得られるが、そ
れよりも高濃度になると電流効率が低下し、電解電圧も
上昇するため消費エネルギ−の増大を招くという重大な
欠点を有するものであった。これはかかる高濃度の水酸
化ナトリュウムの製造に適したイオン交換膜が完成され
ていなかったことによるものである。かかる従来のイオ
ン交換膜の欠点を克服し、40重量%以上の高濃度の水
酸化ナトリュウムを製造する際に、高い電流効率と低い
電解電圧、並びに長期に亘る性能安定性を備えた工業的
実施にかなう高性能を持ったイオン交換膜の開発に努力
が払われてきている。かかる目的で特開平2−5479
1にはイオン交換樹脂層の陰極側の表面に陽イオン交換
体からなる多孔体の層を設ける方法が提案されている。
しかしながら本発明者らの知見によれば陰極側の表面に
多孔体層を単に設けたイオン交換膜では初期性能は得ら
れるものの、膜性能の再現性及び長期の安定性に問題を
残すものであり、電解の停止、再スタ−トによるイオン
交換膜の性能低下が著しく、工業的な要求を満足できる
ものではなかった。更に、特開平3−20490には陰
極側に近いほど透水性の小さい構造である非対称性の多
孔層を陰極側表面に設けた複層構造膜が提案されてい
る。しかしながら明細書、実施例にも繰り返し述べられ
るように、表面層の層間剥離を抑制するために第一の多
孔層の陰極側に接する第二の表面層は発明の効果を犠牲
にして一定の範囲の透水性を示す多孔層としている。そ
の結果初期の性能は満足されるが、膜性能の安定性、特
に電解の停止前後における性能の安定性及び長期の性能
安定性を実現するには充分ではなかった。
【0004】本発明者らは特に膜の表面機能について鋭
意研究した結果、表面層の層間剥離は表面の濃度差に伴
う拡散流速の連続性(定常性)を保持することによって
解決し、膜表面層における濃度を理想的に設定する法則
を見出した。その結果、電解の停止・再スタート等の運
転条件の変動による膜性能の低下がなく、本質的に安定
な膜を得るに至り本発明を完成させたものである。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】本発明は20〜55重
量%、特には35〜40重量%以上、55重量%以下の
高濃度の水酸化ナトリュウムを、高い電流効率と低い電
解電圧で、停止・スタート等の運転条件の変動に際して
も性能の変化がなく、長期間にわたり安定に高い運転経
済性をもって生産することのできる、新規な原理に基づ
いたフッ素系イオン交換樹脂膜を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は従来技術が有す
る欠点及び限界を克服することを目的とし、特に膜の表
面層機能について鋭意研究を重ねた結果、驚くべきこと
に最大濃度55重量%にいたる高濃度の苛性ソーダを従
来技術では達成されなかった高度の安定性をもって長期
間高性能を維持できる膜の構成原理を見出し、発明を完
成させたものである。即ち、本発明は当量重量750〜
1500を有するカルボン酸基を持ったフッ素系イオン
交換樹脂層の陰極側の表面に接触される層を第1層とし
て、陰極側に到る第i番目、及び第i+1番目(i:正
の整数)の層の水酸化ナトリュウムの拡散係数(D)と
該層の厚み(T)が、下記式を同時に満足する表面
層を設けることにより達成される。
【0007】式 Di >Di+1 式 (Di /Ti )>(Di+1 /Ti+1 ) ここでDi ,Ti ,Di+1 ,Ti+1 は夫々陰極側の表面
に設けられた第i番目,第i+1番目の層の水酸化ナト
リュウムの拡散係数及び厚みであり、拡散係数は10〜
20重量%の濃度差にある水酸化ナトリュウム水溶液を
隔てた濃度差による水酸化ナトリュウムの拡散量から、
測定される拡散係数(cm2 /sec)である。陰極室
の水酸化ナトリュウム濃度は膜の表面濃度に較べ、希釈
水を添加しない場合、陰極反応で消費される水の量だけ
高い濃度となるため、膜表面濃度と陰極室液濃度の間に
は濃度勾配が形成されている。この濃度勾配はイオン輸
率の変化、液粘度、液流速等によって変化する。従っ
て、イオン交換樹脂層表面に拡散量をコントロール出来
る層を設けることによって、イオン交換樹脂層がこの濃
度勾配,陰極室濃度の影響を受けにくくすることが出来
る。即ち、イオン交換樹脂層表面に拡散量をコントロ−
ルする表面層を設けることにより、主にナトリュウムイ
オンの同伴水量により決定される固有の濃度層が設定さ
れることが望まれる。以上の推論に沿って鋭意研究を重
ねた結果、前出の式が同時に満たされる場合におい
ては目的が達成されることを見出したものである。
【0008】本発明で用いられる陰極側のイオン交換樹
脂層としては、カルボン酸基を有するフッ素系共重合体
が用いられ、次の(イ)、及び(ロ)のそれぞれから選
ばれた少なくとも2種類の単量体の共重合体からなる。 (イ)CF2 =CX1 2 (ロ)CF2 =CF(OCF2 CFX3 ) n O(CF2 m Y (ここで、X1 ,X2 =−F,−Cl,−H又は−CF
3 、X3 =−F又は−CF3 、mは1〜3の整数、nは
0,1又は2)Yはアルカリ性媒体中にて加水分解され
カルボン酸基となる前駆体基であり、カルボン酸エステ
ル基−COOR(R:炭素数1〜4の低級アルキル
基)、シアノ基、酸ハロゲン基−COZ(Z:ハロゲン
原子)の中から選ばれる。通常好適にはカルボン酸エス
テル基が採用され、代表例として下記単量体が例示され
る。
【0009】 CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 COOCH3 CF2 =CFOCF2 CF2 COOCH3 CF2 =CFOCF2 CF2 CF2 COOCH3 本発明の効果を得るためには、単量体(イ)、(ロ)の
共重合組成比により決定される当量重量は750〜15
00、好ましくは800〜1200の範囲に設定され
る。
【0010】この層の厚みは5〜50μm、好ましくは
10〜30μmである。必要以上の厚みは電気抵抗の増
大を招くのみであり好ましくない。又下限の厚みは該範
囲よりも小さくすることも可能であるが電気抵抗を小さ
くする有為な効果が認められないばかりか層構造の不均
一を生じる可能性があり好ましくない。陰極側の表面に
設けられる表面層は、異なった拡散係数を示す少なくと
も2層からなる複層構成である必要がある。陰極室に面
する最外層以外の表面層としては耐アルカリ性を有する
フッ素系重合体よりなる多孔体層、或いは耐アルカリ性
のフッ素系重合体を結合材とした無機酸化物粒子を含有
する層により形成される。耐アルカリ性のフッ素系重合
体としては、必ずしもイオン交換基を有する必要はな
く、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レンとヘキサフルオロプロピレン、又はパーフルオロビ
ニルエーテル、又はエチレンとの共重合体が例示され
る。又、イオン交換基を有する場合においてはスルホン
酸基を有するフッ素系重合体が好ましく、具体例として
は下記単量体と前記単量体(イ)の当量重量750〜1
500、好ましくは850〜1200を有する共重合体
が挙げられる。
【0011】 CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 CF2 SO2 F CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 SO2 F 耐アルカリ性の無機酸化物粒子としては周期律表第IV
族の原子の酸化物、窒化物又は炭化物の中から選ばれる
少なくとも1種類の無機物粒子であって、好ましくは酸
化ジルコニュウム、炭化珪素であってよい。
【0012】イオン交換樹脂層の陰極側表面に接触する
第一の層の拡散係数としては、10 -8〜10-5(cm2
/sec)、好ましくは3×10-8〜3×10-6(cm
2 /sec)の範囲から選ばれる。拡散係数が該範囲外
である場合は本発明の効果が得られず、電解電圧の上
昇、電流効率の低下がみられるため好ましくない。この
拡散係数は多孔体の多孔度或いは無機酸化物粒子の含有
量によって制御される。又、第一の層の厚みは10〜2
00μmの範囲から選ばれる。該範囲以下の場合は実質
的に均一な厚みの層が得られず、本発明の効果を発揮で
きない場合があるため好ましくない。又、該範囲以上の
場合は電気抵抗が増大し有利ではない。
【0013】陰極室に面する最外層は、前記した耐アル
カリ性を有するフッ素系重合体よりなる。必ずしもイオ
ン交換樹脂である必要はないが、加工性及び親水性の面
から前記したスルホン酸基を有する重合体が好適に用い
られる。該層は10-8(cm 2 /sec)以下、好まし
くは8×10-9(cm2 /sec)以下の範囲の拡散係
数を持つ層でなければならない。該範囲以上においては
本発明の効果、特に性能の安定性が損なわれるため好ま
しくない。該範囲の拡散係数を持つ層とするためには、
必ずしも多孔体或いは耐アルカリ性の無機酸化物粒子を
含む層とする必要はない。実質的に非多孔性の均一層で
あってよい。最外層の厚みとしては通常0.1〜25μ
mの範囲から選ばれる。該範囲以下の場合においては層
としての均一性が得られず実際的ではない。該範囲以上
の場合においては電解電圧が高くなり本発明の効果が充
分に発揮されない。
【0014】本発明の拡散係数は10〜20重量%の濃
度差にある水酸化ナトリュウム水溶液を隔てて測定され
る濃度差による拡散量及び厚みの測定から決定される。
表面層の形成方法としては従来公知の種々の被膜形成方
法を採用することが出来るが、多孔体層の場合、層の拡
散係数を容易に制御出来る方法として、溶解、抽出が可
能な造孔剤とフッ素系重合体を混合し、製膜の後に抽出
して多孔化する方法が本発明には好適に用いられる。用
いられる造孔剤としては、アルカリにより分解、抽出さ
れるものとして粒子状の酸化珪素、或いは微細繊維状の
ポリエステル、ナイロン、レーヨン、セルロース等が挙
げられる。特に粒子径が0.01〜1.0μmである酸
化珪素の粒子が特に好ましい具体例として挙げられる。
これらの造孔剤を通常は90重量%以下の範囲でフッ素
系共重合体に混合し、製膜の後に抽出することにより、
目的とする範囲の拡散係数を持った層にすることが出来
る。製法は特に限定されることはないが、一例を挙げる
と、フッ素系重合体が溶解された溶液に所定量の造孔剤
を均一に分散混合させたスラリー状液体組成物を、バー
コーター塗布、ロール塗布、その他既に開示された塗布
方式によりイオン交換樹脂表面に積層塗布し、乾燥の
後、樹脂の加水分解と同時に造孔剤を抽出して表面層と
する方法。或いは、重合体が熱溶融性の場合においては
重合体と造孔剤を混合し、従来公知である熱プレス成
型、押し出し成型、共押し出し成型により積層製膜し、
同様に加水分解時に造孔剤を抽出する方法が挙げられ
る。
【0015】当量重量が750〜1500であるカルボ
ン酸基を有するイオン交換樹脂層の陽極側にはナトリュ
ウムイオンに同伴される透過水量のコントロール、及び
膜強度を強化する目的で、イオン交換樹脂層を積層す
る。この陽極室側の樹脂層は前記単量体(ロ)及び/又
は下記一般式(ハ)の中から選ばれる少なくとも1種類
の単量体と前記単量体(イ)の共重合体により構成され
る。
【0016】 (ハ)CF2 =CF(OCF2 CFX3 n O(CF2 m W (X3 =−F又は−CF3 m=1〜3の整数 n=
0,1,又は2)Wはアルカリ性媒体中にてスルホン酸
基に加水分解される熱溶融性を持った前駆体基であり、
ハロゲン化スルフォニル基−SO2 4 (X4 は−F,
−Cl,−Brから選ばれる。)、或はアルキルスルフ
ォン基−SO2 R(Rは炭素数1〜4の低級アルキル
基)から選ばれる。通常好適に用いられる単量体の具体
例として、下記式により例示される単量体が挙げられ
る。
【0017】 CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 CF2 SO2 F(ハ) CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 SO2 F (ハ) CF2 =CFOCF2 CF2 CF2 SO2 F (ハ) CF2 =CFOCF2 CF2 SO2 F (ハ) CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 COOCH3 (ロ) CF2 =CFOCF2 CF2 COOCH3 (ロ) CF2 =CFOCF2 CF2 CF2 COOCH3 (ロ) 陽極側樹脂層の当量重量は一般式(ロ)、(ハ)におい
てn=0の場合550〜850、好ましくは600〜8
00、n=1の場合1000〜1400、好ましくは1
050〜1300の範囲にある共重合体が用いられる。
当量重量が該範囲以上の場合は電解電圧が高くなり好ま
しくない。該範囲以下である場合においては透過水量が
高く最大濃度55重量%の高濃度の水酸化ナトリュウム
の製造には適さない。陽極側に面する樹脂層の厚みは5
0〜200μmの範囲から選ばれる。200μm以上の
厚みは電解電圧を損なう為好ましくない。50μm以下
の厚みでは機械強度の強化、及び透過水量を制御する機
能が発揮されない。
【0018】この陽極側の樹脂層には、実際的な取扱い
強度、寸法安定性、長期安定性を確保する上で補強材を
一体化させることが出来る。用いられる補強材としては
フルオルカ−ボン樹脂、例えばポリテトラフルオルエチ
レン、或いはテトラフルオルエチレンとヘキサフルオル
プロピレン、又はパ−フルオルビニルエ−テルとの共重
合体組成物よりなる繊維の織布が好適に用いられる。
【0019】織布に使用される繊維はモノフィラメント
又はマルチフィラメントヤ−ンであって、50デニ−ル
〜400デニ−ル、好ましくは50デニ−ル〜200デ
ニ−ルの繊度の物が採用される。又、延伸多孔質糸又は
偏平糸であってもよい。織布の織り組織としては、種々
の織り方が可能であるが、補強材織布による電気的遮蔽
を低減するために織布の目開きを大きくできる織り方が
好ましく通常は平織り、又は絡み織りの織布が好適に用
いられる。又、米国特願第07/236202号に開示
される方法により得られる膜断面に犠牲糸除去空洞がな
く、且つ高い開口率を持った補強織布及び樹脂層との一
体化方法は本発明に有用に適用することができる。
【0020】これらスルホン酸基、及び/又はカルボン
酸基を含むフッ素系共重合体樹脂層は熱溶融性を持った
官能基型において熱プレス成型、ロ−ル成型、押し出し
成型法等の公知の成型手段で製膜及び加熱溶融積層する
事ができる。中でも一般的には押し出し成型法が工業的
に有用に採用される。共押し出し成型法は本発明の複層
膜を得るためには特に有用である。補強織布と樹脂層の
積層一体化手段は以下の如き公知の方法を用いることが
でき、特に制限されるものではない。例えば特開昭64
ー55393号に記載される表面に多数の細孔を有し内
部に吸引源をもった加熱機能を備えたドラム,又は平板
を用いる方法により目的を達成することが出きる。熱溶
融性の状態で製膜、積層加工された樹脂膜は、例えば米
国特許5,066,682号に提示されるごとき水溶性
有機化合物を含んだアルカリ性水溶液による方法、或い
は米国特許第4904701号に開示される塩基性有機
化合物による公知の加水分解方法を用いて官能基を加水
分解しイオン交換基型に転化された後に電解隔膜として
用いることが出来る。
【0021】膜の陽極側表面及び/又は陰極側の最外表
面に電解発生ガスの膜面への付着を防止する処理を特開
平03ー137136に開示される方法により施すこと
によって電解電圧を低減させるばかりか膜の長期安定性
が飛躍的に改良される。本発明による膜を用いる食塩電
解プロセス条件としは陽極室の塩水濃度を3.0〜3.
5規定とし、10A/dm2 〜60A/dm2 の電流密
度、及び70〜100℃の電解温度条件が採用される。
電解槽の型式、給電方式、或いは電極の型式は今日開示
され用いられている全ての物に適用することができる
が、特に本発明の膜はナロ−ギャップ又はゼロギャップ
の電極配置において有利に用いられる。
【0022】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、以下の例に限定されるものではない。
【0023】
【実施例1】積層フィルムの製造; CF2 =CF2 と、CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 COO CH3 との当量重量1020を有する共重合体ポリマ−
(A)とCF2 =CF2とCF2 =CFOCF2 CF2
COOCH3 の当量重量680を有する共重合体ポリマ
−(B)を260℃にて2層共押し出し製膜することに
よりポリマ−(A)層の厚みが25μm、ポリマ−
(B)層の厚みが130μmである積層フィルムを得
た。
【0024】多層膜の製造;一方、CF2 =CF2 と、
CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF 2
2 SO2 Fの当量重量が1080の共重合体を酸型と
して、水とエタノールの体積割合が50/50の混合溶
液に5重量%溶解させたポリマー溶液(C)に、粒子系
が0.1μmである酸化珪素の粒子をポリマーと酸化珪
素粒子の重量割合が80/20となるように混合したス
ラリー溶液(D)を得た。この溶液をバーコーターを用
いて、積層フィルムのポリマー(A)層側に塗布し、乾
燥の後、15μmの厚みの塗膜を形成させた。更に、5
重量%濃度のポリマー溶液(C)を同様にバーコーター
を用いて塗布し、乾燥の後に、厚みが10μmである塗
膜を積層した。
【0025】積層フィルムのポリマ−(B)層側にポリ
テトラフルオロエチレンよりなる200デニ−ルの繊維
を用いた、径糸,緯糸共に打ち込み本数が1インチ当り
18本である平織り織布を230℃にて加熱一体化し
た。この膜の両面に電解発生ガスの付着を防止する処理
として、80重量部のポリマー溶液(C)に一次粒子径
0.03μmの酸化ジルコニュウム粒子を20重量部加
え、混合分散した懸濁液を0.5mg/cm2 の密度で
スプレー法により塗布した。この膜をジメチルスルフォ
キシドを添加した苛性カリ水溶液中にて加水分解し0.
1規定苛性ソ−ダ中で平衡処理を行った。平衡処理後膜
の一部をミクロト−ムで切断した薄片サンプルをマラカ
イトグリ−ンの酸性水溶液にて染色した後に顕微鏡観察
を行い、膜の厚み方向の全体が加水分解されていること
を確認した。
【0026】かくして得られた複層膜のポリマ−(A)
層側に低水素過電圧陰極を、ポリマ−(B)層側に低塩
素過電圧陽極を配置させ陽極側の塩水濃度を3.5規定
に調整しつつ電流密度30A/dm2 、90℃で電解を
行った。陰極液に希釈水を添加することにより33重量
%に調整し、10日間運転した後、希釈水の添加を停止
したところ陰極液濃度は50重量%に到達された。その
まま30日間運転を継続し、故意に運転を停止して20
時間放置後、再度運転を開始し、更に20日間の運転を
継続した。表1に示すように性能は終始一定していた。
又、電解停止後、膜を取り外し、詳細に観察したが剥離
等の異常は認められなかった。
【0027】ポリマ−溶液(C)、及びスラリー溶液
(D)を各々単独にポリエステルのフィルム表面にバー
コーターを用いて塗布し、乾燥の後、ジメチルスルフォ
キシドを添加した苛性カリ水溶液中にて加水分解し、
0.1規定苛性ソーダ中で平衡処理を行った。ポリエス
テルフィルムは完全に溶解し、C及びDの厚みが20μ
mである単独層が得られた。この単独層を拡散測定用の
サンプルとした。35重量%及び50重量%の水酸化ナ
トリュウム水溶液を隔ててサンプルを設置し、撹伴を行
いつつ3時間経過後の濃度変化及びサンプルの厚みから
拡散係数を求めた結果、ポリマー溶液(C)から得られ
たサンプルの拡散係数は1.0×10-9(cm 2/sec)、ス
ラリー溶液(D)から得られたサンプルの拡散係数は
8.4×10-8(cm2 /sec)であった。
【0028】
【比較例1】実施例1の積層フィルムのポリマー(A)
層側にポリマー溶液(C)を塗布し厚みが10μmであ
る塗膜を形成した後、スラリー溶液(D)を15μm塗
布積層させた以外、実施例1と同様に行った。表1に示
すように性能が低下した。又、電解停止後膜を取り外し
て観察したところ、ポリマー(A)層とポリマー溶液
(C)層との間に剥離が生じていた。
【0029】
【実施例2】実施例1において、ポリマー溶液(C)の
塗布厚みが1μmである以外、実施例1と同様に試験し
た。表1に示すように性能は変化なく、又膜の異常も認
められなかった。
【0030】
【実施例3】実施例1において、スラリー溶液(D)の
塗布厚みが50μmである以外、実施例1と同様に試験
した。表1に示すように性能は変化なく、又膜の異常も
認められなかった。
【0031】
【比較例2】CF2 =CF2 と、CF2 =CFOCF2
CF(CF3 )OCF2 CF2 CF 2 SO2 Fの当量重
量が1020の共重合体ポリマー90重量部と粒子系が
0.1μmである酸化珪素粒子10重量部とを250℃
で溶融混練した後、押出し機で厚み10μmのフイルム
(E)を得た。
【0032】実施例1において、ポリマー溶液(C)を
塗布する代わりにフィルム(E)を250℃で加熱・圧
着した以外は、全く実施例1と同様に試験した。表1に
示すように、停止後性能が低下した。フィルム(E)を
加水分解し、実施例1と同様の方法で拡散係数を測定し
た結果、2.9×10-8(cm2 /sec)であった。
【0033】
【実施例4】孔径が0.1μm、厚みが100μmのポ
リテトラフルオロエチレン製多孔体をポリマー溶液
(C)と塩化ジルコニルを含有する溶液に含浸した後、
乾燥することにより、多孔体内部を親水化したフィルム
(F)を得た。一方、実施例1と同様のA層とB層より
なる積層フィルムを得た。この積層フィルムのA層側に
フィルム(F)を加熱・圧着した後、フィルム(F)側
にポリマー溶液(C)をスプレーで塗布し、平均厚み1
0μmのポリマー(C)の層を形成した。その後、実施
例1と同様に織布の一体化、ガス付着防止処理、加水分
解、そして電解を行った。表1に示すように性能は変化
なく、又膜の異常も認められなかった。
【0034】ポリマー溶液(C)をスプレーで塗布形成
した層の拡散係数は、5×10-9(cm2 /sec)で
あった。一方フィルム(F)の拡散係数は、5.4×1
-7(cm2 /sec)であった。
【0035】
【比較例3】実施例4において、ポリマー溶液(C)を
スプレ−塗布する代わりにスラリ−溶液(D)をバ−コ
−タ−を用いて10μmの層を形成させた以外は実施例
4と同様に行った。表1に示すように電解の停止後、性
能が低下していた。スラリー溶液(D)で形成した層の
拡散係数は、8.4×10-8( cm2 /sec)であっ
た。
【0036】
【比較例4】実施例1において、ポリマー溶液(C)の
塗膜を形成させる代わりに厚み200μmのフィルム
(F)を加熱・圧着した以外は、実施例1と同様に実施
した。表1に示すように停止後、性能が低下した。フィ
ルム(F)の拡散係数は5.4×10-7(cm2 /se
c)であった。
【0037】
【実施例5】CF2 =CF2 と、CF2 =CFOCF2
CF(CF3 )OCF2 CF2 CF 2 SO2 Fの当量重
量が1020の共重合体ポリマー70重量部と、粒子系
が0.03μmである酸化ジルコニウム30重量部とを
250℃で溶融混練した後、押出し機で厚み25μmの
フィルム(G)を得た。
【0038】実施例1において、スラリー溶液(D)を
塗布する代わりにフィルム(G)を250℃で加熱・圧
着した以外は、全く実施例1と同様に実施した。表1に
示すように性能は変化なく、又膜の異常も認められなか
った。フィルム(G)の拡散係数は4.1×10-8(c
2 /sec)であった。
【0039】
【実施例6】比較例2において、フィルム(E)の陰極
側にポリマー溶液(C)をバーコーターで塗布し、厚み
が10μmの層を積層し、3層から成る表面層を設けた
以外は比較例2同様に実施した。表2に示すように性能
は変化なく、又膜の異常も認められなかった。
【0040】ポリマー溶液(C)を塗布形成した層の拡
散係数は、1.0×10-9( cm2/sec)であっ
た。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】イオン交換膜法食塩電解において、最大
濃度55重量%に至る高濃度の苛性ソーダを、長時間に
亘って高い性能で安定して、直接生産することのできる
イオン交換膜を得る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極室に20〜55重量%の水酸化アル
    カリを製造するイオン交換膜法食塩電解に用いられるフ
    ッ素系陽イオン交換樹脂膜であって、当量重量が750
    〜1500であるカルボン酸基を有するフッ素系イオン
    交換樹脂層の陰極側の表面に下式を満足する少なくとも
    2層よりなる表面層が設けられており、カルボン酸基を
    有するイオン交換樹脂層の陰極側の表面に接触される層
    を第1番目の層として、陰極側に到る第i番目、及び第
    i+1番目(i:正の整数)の層の水酸化アルカリの拡
    散係数(D)と厚み(T)が下記式を同時に満足
    し、陰極側の最外層の拡散係数が10-8(cm2 /se
    c)以下であることを特徴とするフッ素系陽イオン交換
    樹脂膜。 式 Di >Di+1 式 (Di /Ti )>(Di+1 /Ti+1 ) ここでDi,Ti,Di+1,Ti+1は、夫々陰極側
    の表面に設けられた第i番目、第i+1番目の層の水酸
    化アルカリの拡散係数及び厚みであり、拡散係数は、1
    0〜20重量%の濃度差にある水酸化アルカリ水溶液を
    隔てた濃度差による水酸化アルカリの拡散量から、測定
    される拡散係数(cm2 /sec)である。
  2. 【請求項2】 i=1であって表面層が2層よりなるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のフッ素系陽
    イオン交換樹脂膜。
JP4027693A 1992-02-14 1992-02-14 フッ素系陽イオン交換樹脂膜 Pending JPH05222220A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4027693A JPH05222220A (ja) 1992-02-14 1992-02-14 フッ素系陽イオン交換樹脂膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4027693A JPH05222220A (ja) 1992-02-14 1992-02-14 フッ素系陽イオン交換樹脂膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05222220A true JPH05222220A (ja) 1993-08-31

Family

ID=12228053

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4027693A Pending JPH05222220A (ja) 1992-02-14 1992-02-14 フッ素系陽イオン交換樹脂膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05222220A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5183545A (en) Electrolytic cell with composite, porous diaphragm
US5094895A (en) Composite, porous diaphragm
US10781522B2 (en) Production method for ion exchange membrane for alkali chloride electrolysis, and production method for alkali chloride electrolysis apparatus
US5039382A (en) Method for producing an alkali metal hydroxide
EP3527697B1 (en) Diaphragm for electrolyzing alkaline water, and device for electrolyzing alkaline water
US5168005A (en) Multiaxially reinforced membrane
EP3444384B1 (en) Ion exchange membrane for alkali chloride electrolysis, method for its producton and alkali chloride electrolysis apparatus
US5149403A (en) Fluorine-containing cation exchange membrane for electrolysis and process for producing alkali metal hydroxide by using the same
US10703872B2 (en) Production method for ion exchange membrane for alkali chloride electrolysis, and production method for alkali chloride electrolysis apparatus
US10370511B2 (en) Cation exchange membrane and method for producing potassium hydroxide aqueous solution
US4437952A (en) Coextruded multilayer cation exchange membranes
KR950000713B1 (ko) 알칼리금속 수산화물의 제조방법 및 이 방법에 적합한 전해셀
EP0192261B1 (en) Multilayer cation exchange membrane
JPH03137136A (ja) フッ素系陽イオン交換膜
JP6520721B2 (ja) フッ素系陽イオン交換膜の製造方法
JP3214571B2 (ja) フッ素系イオン交換膜
US4964960A (en) Cation exchange reinforced membrane and process for using
JPH05222220A (ja) フッ素系陽イオン交換樹脂膜
JP2018062647A (ja) 含フッ素イオン透過性隔膜の製造方法、電解装置の製造方法、ガスの製造方法、水素ガスおよび酸素ガスの製造方法、ならびに塩素ガスの製造方法
US5264090A (en) Method for the electrolysis of an alkali metal chloride using a cation exchange membrane
JP2623571B2 (ja) 水酸化アルカリの製造方法
JPH059771A (ja) フツ素系複層陽イオン交換樹脂膜による塩化アルカリの電解方法
JPH0254791A (ja) 水酸化アルカリの製造方法
JPH0756079B2 (ja) 水酸化アルカリの製造方法
JPH04124291A (ja) フッ素系複層陽イオン交換樹脂膜

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010522