JPH059771A - フツ素系複層陽イオン交換樹脂膜による塩化アルカリの電解方法 - Google Patents
フツ素系複層陽イオン交換樹脂膜による塩化アルカリの電解方法Info
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- JPH059771A JPH059771A JP3281981A JP28198191A JPH059771A JP H059771 A JPH059771 A JP H059771A JP 3281981 A JP3281981 A JP 3281981A JP 28198191 A JP28198191 A JP 28198191A JP H059771 A JPH059771 A JP H059771A
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- C25—ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
- C25B—ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
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- C25B13/04—Diaphragms; Spacing elements characterised by the material
- C25B13/08—Diaphragms; Spacing elements characterised by the material based on organic materials
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- C25B—ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
- C25B1/00—Electrolytic production of inorganic compounds or non-metals
- C25B1/01—Products
- C25B1/34—Simultaneous production of alkali metal hydroxides and chlorine, oxyacids or salts of chlorine, e.g. by chlor-alkali electrolysis
- C25B1/46—Simultaneous production of alkali metal hydroxides and chlorine, oxyacids or salts of chlorine, e.g. by chlor-alkali electrolysis in diaphragm cells
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 55重量%にいたる高濃度苛性ソーダを長期
間、優れた運転経済性で直接製造しうる新規な複層構成
を持ったフッ素系陽イオン交換樹脂膜を用いた食塩電解
方法。 【構成】 陰極室側表面層が、一次粒子径0.2μm以
下の第IV族元素の酸化物、窒素化物、炭化物、1種類以
上の耐アルカリ性無機物粒子を30〜95重量%、及び
親水性フッ素系重合体結合剤を含む無機物粒子層が0.
1〜10mg/cm2 で表面に設けられた、厚み5〜5
0μmのカルボン酸基含有フッ素系共重合体層で構成さ
れており、陽極室側層が40重量%NaOH水溶液中の
含水率が3〜10重量%のスルホン酸基及び/又はカル
ボン酸基含有フッ素系共重合体からなる厚み10〜20
0μmの層からなる複層陽イオン交換樹脂膜により陰極
室と陽極室を区画し、70〜100℃で10〜60A/
dm2 にて陽極室のNaCl水溶液濃度を3.0〜3.
5規定として、45〜55重量%の苛性ソーダを陰極室
に取得する食塩電解方法。
間、優れた運転経済性で直接製造しうる新規な複層構成
を持ったフッ素系陽イオン交換樹脂膜を用いた食塩電解
方法。 【構成】 陰極室側表面層が、一次粒子径0.2μm以
下の第IV族元素の酸化物、窒素化物、炭化物、1種類以
上の耐アルカリ性無機物粒子を30〜95重量%、及び
親水性フッ素系重合体結合剤を含む無機物粒子層が0.
1〜10mg/cm2 で表面に設けられた、厚み5〜5
0μmのカルボン酸基含有フッ素系共重合体層で構成さ
れており、陽極室側層が40重量%NaOH水溶液中の
含水率が3〜10重量%のスルホン酸基及び/又はカル
ボン酸基含有フッ素系共重合体からなる厚み10〜20
0μmの層からなる複層陽イオン交換樹脂膜により陰極
室と陽極室を区画し、70〜100℃で10〜60A/
dm2 にて陽極室のNaCl水溶液濃度を3.0〜3.
5規定として、45〜55重量%の苛性ソーダを陰極室
に取得する食塩電解方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は食塩電解の方法に関する
ものである。さらに詳しくはイオン交換膜法食塩電解に
おいて、55重量%にいたる高濃度の苛性ソーダを長期
間にわたり優れた運転経済性を持って直接製造すること
のできる新規な複層構成を持ったフッ素系陽イオン交換
樹脂膜を用いた電解方法に関するものである。
ものである。さらに詳しくはイオン交換膜法食塩電解に
おいて、55重量%にいたる高濃度の苛性ソーダを長期
間にわたり優れた運転経済性を持って直接製造すること
のできる新規な複層構成を持ったフッ素系陽イオン交換
樹脂膜を用いた電解方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フッ素系陽イオン交換膜を用い塩化ナト
リュウム水溶液を電解して水酸化ナトリュウムと塩素を
製造するイオン交換膜法食塩電解は、従来法に比べてエ
ネルギー消費量が低く高純度の水酸化ナトリュウムが得
られるため今日広く普及している。特にイオン交換膜法
食塩電解の分野に於ては、膜の陰極側にカルボン酸基を
有するフッ素系陽イオン交換膜を用いることにより、極
めて高い電流効率を長期間安定に得ることができるよう
になった結果、工業的に有用に用いられている。
リュウム水溶液を電解して水酸化ナトリュウムと塩素を
製造するイオン交換膜法食塩電解は、従来法に比べてエ
ネルギー消費量が低く高純度の水酸化ナトリュウムが得
られるため今日広く普及している。特にイオン交換膜法
食塩電解の分野に於ては、膜の陰極側にカルボン酸基を
有するフッ素系陽イオン交換膜を用いることにより、極
めて高い電流効率を長期間安定に得ることができるよう
になった結果、工業的に有用に用いられている。
【0003】しかしながら、現在流通される水酸化ナト
リュウム(苛性ソーダと言及される)は普通50重量%
の濃度を有するものであるが、電解で生成される苛性ソ
ーダはその濃度が従来通常は40重量%以下であるため
水蒸気または他のエネルギー源を用いることにより更に
濃縮しなければならなかった。従って更なるエネルギー
の消費無しに市販品濃度の苛性ソーダを高い効率で直接
得られる方法が望まれていた。
リュウム(苛性ソーダと言及される)は普通50重量%
の濃度を有するものであるが、電解で生成される苛性ソ
ーダはその濃度が従来通常は40重量%以下であるため
水蒸気または他のエネルギー源を用いることにより更に
濃縮しなければならなかった。従って更なるエネルギー
の消費無しに市販品濃度の苛性ソーダを高い効率で直接
得られる方法が望まれていた。
【0004】しかしながら、従来のイオン交換膜法食塩
電解においては苛性ソーダ濃度がおよそ40重量%まで
は高い電流効率が得られるが、それよりも高濃度になる
と電流効率が低下し電解電圧も上昇するため消費エネル
ギーの増大を招くという欠点を有していた。更に米国特
許4,212,713号には膜のカルボン酸基が80℃
以上の高温下では高濃度のアルカリ水酸化物水溶液中に
おいて著しく不安定であり徐々に分解することが特記さ
れている。
電解においては苛性ソーダ濃度がおよそ40重量%まで
は高い電流効率が得られるが、それよりも高濃度になる
と電流効率が低下し電解電圧も上昇するため消費エネル
ギーの増大を招くという欠点を有していた。更に米国特
許4,212,713号には膜のカルボン酸基が80℃
以上の高温下では高濃度のアルカリ水酸化物水溶液中に
おいて著しく不安定であり徐々に分解することが特記さ
れている。
【0005】このような不安定性を克服し長期間にわた
り高い効率で安定に濃苛性ソーダが直接生産することの
できる膜の開発にかなりの努力が払われてきているが何
れにおいても長期間にわたる安定性を確信し、且つ総合
的なエネルギー効率を工業的に満足し得る段階には到っ
ていない。
り高い効率で安定に濃苛性ソーダが直接生産することの
できる膜の開発にかなりの努力が払われてきているが何
れにおいても長期間にわたる安定性を確信し、且つ総合
的なエネルギー効率を工業的に満足し得る段階には到っ
ていない。
【0006】代表的な提案例として国際特許(PCT)
W088/09799号にはカルボン酸基を保護する目
的で膜の陰極側表面に多孔度に着目した層を設ける方法
が提案されている。しかしながら本発明者らの知見によ
れば、開示された内容による多孔層に用いられる無機物
粒子の粒子径等が適切ではないために膜表面への充分な
付着強度が得られず安定性に問題を残すものであった。
又、米国特許4,900,408号には特定の当量重量
を有するカルボン酸基含有層の陰極側表面に有孔性の陰
極液拡散層を設けた膜を用い運転温度における飽和濃度
におよそ等しい塩化ナトリュウム水溶液を供給しつつ4
2〜54重量%の苛性ソーダを製造する方法が開示され
ている。明細書及び実施例に開示された内容によれば、
42重量%の苛性ソーダを製造するためには塩水濃度
3.52規定が必要であり、54重量%の苛性ソーダを
得るためには4.2規定の塩水が必要となる。
W088/09799号にはカルボン酸基を保護する目
的で膜の陰極側表面に多孔度に着目した層を設ける方法
が提案されている。しかしながら本発明者らの知見によ
れば、開示された内容による多孔層に用いられる無機物
粒子の粒子径等が適切ではないために膜表面への充分な
付着強度が得られず安定性に問題を残すものであった。
又、米国特許4,900,408号には特定の当量重量
を有するカルボン酸基含有層の陰極側表面に有孔性の陰
極液拡散層を設けた膜を用い運転温度における飽和濃度
におよそ等しい塩化ナトリュウム水溶液を供給しつつ4
2〜54重量%の苛性ソーダを製造する方法が開示され
ている。明細書及び実施例に開示された内容によれば、
42重量%の苛性ソーダを製造するためには塩水濃度
3.52規定が必要であり、54重量%の苛性ソーダを
得るためには4.2規定の塩水が必要となる。
【0007】本願が目的とする47重量%〜55重量%
の苛性ソーダを得るためには塩化ナトリュウム水溶液濃
度を4規定以上にする必要があり、工業的には原料塩水
の利用効率を著しく損なうため総合的なエネルギー消費
量の低減、運転経済性の改善を提供するものではなかっ
た。しかも生成苛性ソーダの最大濃度を決定するナトリ
ュウムイオンに同伴される透過水量を、陰極側に面する
カルボキシレート共重合体の共重合組成比を選択するこ
とにより達成しているが、本発明者らの知見によれば、
この方法では電解電圧の上昇が避けられない。
の苛性ソーダを得るためには塩化ナトリュウム水溶液濃
度を4規定以上にする必要があり、工業的には原料塩水
の利用効率を著しく損なうため総合的なエネルギー消費
量の低減、運転経済性の改善を提供するものではなかっ
た。しかも生成苛性ソーダの最大濃度を決定するナトリ
ュウムイオンに同伴される透過水量を、陰極側に面する
カルボキシレート共重合体の共重合組成比を選択するこ
とにより達成しているが、本発明者らの知見によれば、
この方法では電解電圧の上昇が避けられない。
【0008】本発明者らの試算によれば原料塩水の利用
効率を悪化させることなくエネルギー効率を満足されな
ければ総合的な運転経済性を改善することはできない。
即ち流通濃度に等しい高濃度苛性を長期間安定に製造す
るという基本的な必要条件に加えて総合的なエネルギー
消費量の低減、運転経済性の改善という点について工業
的に満足される技術の開示はまだみられていない。
効率を悪化させることなくエネルギー効率を満足されな
ければ総合的な運転経済性を改善することはできない。
即ち流通濃度に等しい高濃度苛性を長期間安定に製造す
るという基本的な必要条件に加えて総合的なエネルギー
消費量の低減、運転経済性の改善という点について工業
的に満足される技術の開示はまだみられていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は塩水利用効率
を低下させることなく、55重量%にまでいたる高濃度
の苛性ソーダを長期間安定に、極めて高い電流効率と低
い電解電圧で、高い運転経済性をもって生産できる新規
な複層構成を持ったイオン交換樹脂膜を用いた食塩電解
方法を提供するものである。
を低下させることなく、55重量%にまでいたる高濃度
の苛性ソーダを長期間安定に、極めて高い電流効率と低
い電解電圧で、高い運転経済性をもって生産できる新規
な複層構成を持ったイオン交換樹脂膜を用いた食塩電解
方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は従来技術が有す
る欠点及び限界を克服することを目指し、膜の複層構
成、膜表面層機能及び膜の透過水量の関係について鋭意
研究を重ねた結果、驚くべきことに55重量%にいたる
高濃度の苛性ソーダを従来技術では達成されなかった高
い電流効率と低い電解電圧で長期間安定に直接生産する
ことのできる新規な複層構造を持ったフッ素系陽イオン
交換樹脂膜を用いた電解方法を見出し発明を完成したも
のである。
る欠点及び限界を克服することを目指し、膜の複層構
成、膜表面層機能及び膜の透過水量の関係について鋭意
研究を重ねた結果、驚くべきことに55重量%にいたる
高濃度の苛性ソーダを従来技術では達成されなかった高
い電流効率と低い電解電圧で長期間安定に直接生産する
ことのできる新規な複層構造を持ったフッ素系陽イオン
交換樹脂膜を用いた電解方法を見出し発明を完成したも
のである。
【0011】即ち、本発明は複層陽イオン交換膜の陰極
室側の表面層が、一次粒子径が0.2μm以下である周
期律表第IV族から選ばれる元素の酸化物、窒素化物、炭
化物の少なくとも1種類の耐アルカリ性無機物粒子を3
0〜95重量%、及び親水性を持ったフッ素系重合体よ
りなる結合剤を含む層が単位表面積当たり0.1〜10
mg/cm2 の密度で表面に設けられた、厚みが5μm
以上、50μm以下であるカルボン酸基を有するフッ素
系共重合体からなる陰極層側と、陽極室側の表面層が4
0重量%水酸化ナトリュウム水溶液中における含水率が
3〜10重量%の範囲にあるスルホン酸基及び/又はカ
ルボン酸基を有するフッ素系共重合体からなる厚みが少
なくとも10μm以上、200μm以下である層からな
る複層陽イオン交換樹脂膜により陰極室と陽極室を区画
し、70〜100℃の温度範囲で10〜60A/dm2
の電流密度において陽極室の塩化ナトリュウム水溶液濃
度を3.0規定以上、3.5規定以下、好ましくは3.
0規定以上、3.4規定以下に保ちつつ電解を行い、陰
極室に45〜55重量%の苛性ソーダを取得する方法を
提供するものである。
室側の表面層が、一次粒子径が0.2μm以下である周
期律表第IV族から選ばれる元素の酸化物、窒素化物、炭
化物の少なくとも1種類の耐アルカリ性無機物粒子を3
0〜95重量%、及び親水性を持ったフッ素系重合体よ
りなる結合剤を含む層が単位表面積当たり0.1〜10
mg/cm2 の密度で表面に設けられた、厚みが5μm
以上、50μm以下であるカルボン酸基を有するフッ素
系共重合体からなる陰極層側と、陽極室側の表面層が4
0重量%水酸化ナトリュウム水溶液中における含水率が
3〜10重量%の範囲にあるスルホン酸基及び/又はカ
ルボン酸基を有するフッ素系共重合体からなる厚みが少
なくとも10μm以上、200μm以下である層からな
る複層陽イオン交換樹脂膜により陰極室と陽極室を区画
し、70〜100℃の温度範囲で10〜60A/dm2
の電流密度において陽極室の塩化ナトリュウム水溶液濃
度を3.0規定以上、3.5規定以下、好ましくは3.
0規定以上、3.4規定以下に保ちつつ電解を行い、陰
極室に45〜55重量%の苛性ソーダを取得する方法を
提供するものである。
【0012】本発明で用いられる陰極側に位置する層に
は、カルボン酸基を含むフッ素系共重合体層が用いら
れ、次の(イ),及び(ロ)のそれぞれから選ばれた少
なくとも2種類の単量体の共重合体からなる。
は、カルボン酸基を含むフッ素系共重合体層が用いら
れ、次の(イ),及び(ロ)のそれぞれから選ばれた少
なくとも2種類の単量体の共重合体からなる。
【0013】
【化1】
【0014】(ここでX1 ,X2 =−F,−Cl,−H
または−CF3 、X3 =−Fまたは−CF3 、mは1〜
3の整数。nは0,1,又は2)Yはアルカリ性媒体中
にて加水分解されカルボン酸基となる前駆体基であり、
カルボン酸エステル基−COOR(R:炭素数1〜4の
低級アルキル基)、シアノ基、酸ハロゲン基−COZ
(Z:ハロゲン原子)の中から選ばれる。通常好適には
カルボン酸エステル基が採用され、代表例として下記単
量体が例示される。
または−CF3 、X3 =−Fまたは−CF3 、mは1〜
3の整数。nは0,1,又は2)Yはアルカリ性媒体中
にて加水分解されカルボン酸基となる前駆体基であり、
カルボン酸エステル基−COOR(R:炭素数1〜4の
低級アルキル基)、シアノ基、酸ハロゲン基−COZ
(Z:ハロゲン原子)の中から選ばれる。通常好適には
カルボン酸エステル基が採用され、代表例として下記単
量体が例示される。
【0015】
【化2】
【0016】この層の厚みは5〜50μm、好ましくは
10〜30μmである。必要以上の厚みは電気抵抗の増
大を招くのみであり好ましくない。又下限の厚みは該範
囲よりも小さくすることも可能であるが電気抵抗を小さ
くする有為な効果が認められないばかりか層構造の不均
一を生じる可能性があり好ましくない。
10〜30μmである。必要以上の厚みは電気抵抗の増
大を招くのみであり好ましくない。又下限の厚みは該範
囲よりも小さくすることも可能であるが電気抵抗を小さ
くする有為な効果が認められないばかりか層構造の不均
一を生じる可能性があり好ましくない。
【0017】本発明の効果を得るためには、単量体
(イ),(ロ)の共重合組成比により決定される当量重
量は次の範囲に設定されることが好ましい。上記一般式
(ロ)においてn=0の場合600〜1200、好まし
くは750〜1100、n=1の場合900〜130
0、好ましくは1000〜1250、n=2の場合11
00〜1500、好ましくは1150〜1400の範囲
から選ばれる。当量重量がこの範囲にある膜を用いるこ
とによって高い電流効率が実現される。
(イ),(ロ)の共重合組成比により決定される当量重
量は次の範囲に設定されることが好ましい。上記一般式
(ロ)においてn=0の場合600〜1200、好まし
くは750〜1100、n=1の場合900〜130
0、好ましくは1000〜1250、n=2の場合11
00〜1500、好ましくは1150〜1400の範囲
から選ばれる。当量重量がこの範囲にある膜を用いるこ
とによって高い電流効率が実現される。
【0018】カルボン酸基を含む層の陰極側表面に、特
に設計された陰極液拡散コントロール層を設けることが
本発明の効果を得るためには極めて重要である。この拡
散コントロール層の機能メカニズムは必ずしも明確では
ないが、次のようにも推論される。ナトリュウムイオン
は水和イオンとして陽極側から膜内に浸入し陰極側に輸
送される。即ち同伴水を伴って膜を通過する。この同伴
水量は運転温度、電流密度、陽極液濃度、そしてイオン
交換樹脂膜の含水率により熱力学的に決定される。この
同伴水量によりカルボン酸基を含む陰極側膜表面の液濃
度が支配されるものと思われる。
に設計された陰極液拡散コントロール層を設けることが
本発明の効果を得るためには極めて重要である。この拡
散コントロール層の機能メカニズムは必ずしも明確では
ないが、次のようにも推論される。ナトリュウムイオン
は水和イオンとして陽極側から膜内に浸入し陰極側に輸
送される。即ち同伴水を伴って膜を通過する。この同伴
水量は運転温度、電流密度、陽極液濃度、そしてイオン
交換樹脂膜の含水率により熱力学的に決定される。この
同伴水量によりカルボン酸基を含む陰極側膜表面の液濃
度が支配されるものと思われる。
【0019】一方陰極室に生成される苛性ソーダ濃度は
陰極反応で消費される水の量だけ高い濃度となる。膜表
面濃度と陰極室液濃度の間にはイオン輸率の変化、液粘
度、移動流速の変化等に伴う濃度勾配が存在する。膜表
面のカルボン酸基を高濃度の陰極室液から保護するため
には、カルボン酸基を含む層がこの濃度勾配、陰極室濃
度の影響を受けにくくすることが望ましい。従ってカル
ボン酸層の陰極側に拡散コントロール層を設けることに
よりナトリュウムイオンの同伴水量により支配される固
有の濃度層を設定し、陰極室液濃度の影響を受けにくく
することによりカルボン酸基を保護することができる。
陰極反応で消費される水の量だけ高い濃度となる。膜表
面濃度と陰極室液濃度の間にはイオン輸率の変化、液粘
度、移動流速の変化等に伴う濃度勾配が存在する。膜表
面のカルボン酸基を高濃度の陰極室液から保護するため
には、カルボン酸基を含む層がこの濃度勾配、陰極室濃
度の影響を受けにくくすることが望ましい。従ってカル
ボン酸層の陰極側に拡散コントロール層を設けることに
よりナトリュウムイオンの同伴水量により支配される固
有の濃度層を設定し、陰極室液濃度の影響を受けにくく
することによりカルボン酸基を保護することができる。
【0020】以上が陰極側膜表面に設ける陰極液拡散コ
ントロール層の機能メカニズムに対する推論であるが本
発明はこの推論に限定されるものではないことは言うま
でもない。親水性をもった無機物粒子含有層を膜の陰極
側表面に設けることにより陰極液拡散コントロール層と
することができる。該層は化学的に安定な無機物粒子及
び結合剤を含んでなるものが好適に用いられる。
ントロール層の機能メカニズムに対する推論であるが本
発明はこの推論に限定されるものではないことは言うま
でもない。親水性をもった無機物粒子含有層を膜の陰極
側表面に設けることにより陰極液拡散コントロール層と
することができる。該層は化学的に安定な無機物粒子及
び結合剤を含んでなるものが好適に用いられる。
【0021】化学的に安定な無機物粒子としては周期律
表第IV族の原子の酸化物、窒化物、炭化物の中から選ば
れる少なくとも1種類の無機物粒子であって、好ましく
は酸化ジルコニュウム、炭化珪素であってよい。無機物
粒子の一次粒子径は0.2μm以下であって通常0.0
1〜0.1μmの物が好適に採用される。この無機物粒
子を30〜95重量%含んでおり、膜の単位表面積当り
0.1〜10mg/cm2 、好ましくは0.6〜5mg
/cm2密度で均一に設けられていなければならない。
表第IV族の原子の酸化物、窒化物、炭化物の中から選ば
れる少なくとも1種類の無機物粒子であって、好ましく
は酸化ジルコニュウム、炭化珪素であってよい。無機物
粒子の一次粒子径は0.2μm以下であって通常0.0
1〜0.1μmの物が好適に採用される。この無機物粒
子を30〜95重量%含んでおり、膜の単位表面積当り
0.1〜10mg/cm2 、好ましくは0.6〜5mg
/cm2密度で均一に設けられていなければならない。
【0022】膜の単位表面積当り0.1mg/cm2 以
下の場合は極液拡散コントロールの機能が発現されずカ
ルボン酸基を高い濃度の陰極液から保護できないため好
ましくない。少なくとも0.1mg/cm2 以上、好ま
しくは0.6mg/cm2 以上の密度を有するべきであ
る。密度の上限は10mg/cm2 、好ましくは5mg
/cm2 に設定されるべきである。この範囲を越える場
合においては拡散コントロール機能は得られるものの電
気抵抗の上昇を伴うため本発明の効果を損なう結果とな
る。無機物粒子の粒子径、並びに重量含有率は、極液の
拡散度合を左右するばかりか該層の膜面への機械的な付
着強度をも決定するため該範囲以内にあるべきである。
下の場合は極液拡散コントロールの機能が発現されずカ
ルボン酸基を高い濃度の陰極液から保護できないため好
ましくない。少なくとも0.1mg/cm2 以上、好ま
しくは0.6mg/cm2 以上の密度を有するべきであ
る。密度の上限は10mg/cm2 、好ましくは5mg
/cm2 に設定されるべきである。この範囲を越える場
合においては拡散コントロール機能は得られるものの電
気抵抗の上昇を伴うため本発明の効果を損なう結果とな
る。無機物粒子の粒子径、並びに重量含有率は、極液の
拡散度合を左右するばかりか該層の膜面への機械的な付
着強度をも決定するため該範囲以内にあるべきである。
【0023】結合剤成分としてはフルオロカーボン重合
体が好適に用いられる。親水性を持ったフルオロカーボ
ン重合体又は共重合体は特に好ましい。好適にはスルフ
ォン酸基を含むフルオロカーボン共重合体が用いられ
る。好適な具体例としては下記単量体と前記単量体
(イ)の当量重量800〜1200、好ましくは900
〜1150を有する共重合体が挙げられる。
体が好適に用いられる。親水性を持ったフルオロカーボ
ン重合体又は共重合体は特に好ましい。好適にはスルフ
ォン酸基を含むフルオロカーボン共重合体が用いられ
る。好適な具体例としては下記単量体と前記単量体
(イ)の当量重量800〜1200、好ましくは900
〜1150を有する共重合体が挙げられる。
【0024】
【化3】
【0025】結合剤成分は該無機物粒子の5〜70重量
%の範囲で用いられる。かかる無機物粒子含有層の製法
は特に限定される必要はないが一例を挙げると、結合剤
成分を溶解させた溶液に無機物粒子を均一に分散させた
スラリー状液体組成物をスプレー噴霧塗布、ロール塗
布、その他既に開示されている塗布方式により膜面に所
定量塗布し乾燥させる方法、或いはスクリーン、グラビ
ヤ印刷法により製造された該層を膜面へ加熱圧着する方
法も採用することができる。
%の範囲で用いられる。かかる無機物粒子含有層の製法
は特に限定される必要はないが一例を挙げると、結合剤
成分を溶解させた溶液に無機物粒子を均一に分散させた
スラリー状液体組成物をスプレー噴霧塗布、ロール塗
布、その他既に開示されている塗布方式により膜面に所
定量塗布し乾燥させる方法、或いはスクリーン、グラビ
ヤ印刷法により製造された該層を膜面へ加熱圧着する方
法も採用することができる。
【0026】又造孔剤、或いは増粘剤としてアルカリに
可溶な無機物粒子、炭化水素系化合物、界面活性剤成分
を併用することも可能である。又、結合剤が熱溶融性の
場合においては従来公知である熱プレス成型、或いは押
し出し成型法により該多孔体層の製膜積層も可能であ
る。
可溶な無機物粒子、炭化水素系化合物、界面活性剤成分
を併用することも可能である。又、結合剤が熱溶融性の
場合においては従来公知である熱プレス成型、或いは押
し出し成型法により該多孔体層の製膜積層も可能であ
る。
【0027】前記した当量重量900〜1300、好ま
しくは1000〜1250であるカルボン酸基を含む樹
脂層の陰極側表面に上記の無機物粒子層を設けた膜は極
めて高い電流効率を示すばかりか、苛性ソーダ濃度変化
に対する電解電圧の変化割合が苛性ソーダ濃度1%に対
して単位デシ平方メートル当たり40Aの電流密度で3
0mv以下という極めて低い変化量を示すという従来技
術では予想されない驚くべき特徴が見出される。
しくは1000〜1250であるカルボン酸基を含む樹
脂層の陰極側表面に上記の無機物粒子層を設けた膜は極
めて高い電流効率を示すばかりか、苛性ソーダ濃度変化
に対する電解電圧の変化割合が苛性ソーダ濃度1%に対
して単位デシ平方メートル当たり40Aの電流密度で3
0mv以下という極めて低い変化量を示すという従来技
術では予想されない驚くべき特徴が見出される。
【0028】陽極側に面する層構成は本発明において極
めて重要な役割を果たすものである。何故ならば直接製
造し得る苛性ソーダの濃度は膜の陽極側に面する層構成
により支配されるからである。直接製造される苛性ソー
ダの最高到達濃度は次のようにNaイオンに同伴される
透過水量により決定される。
めて重要な役割を果たすものである。何故ならば直接製
造し得る苛性ソーダの濃度は膜の陽極側に面する層構成
により支配されるからである。直接製造される苛性ソー
ダの最高到達濃度は次のようにNaイオンに同伴される
透過水量により決定される。
【0029】
【化4】
【0030】直接生成される苛性ソーダ濃度を45〜5
5重量%に設定するためには上式の関係により透過水量
をNaイオン1当量当たり3.7モル以下、2.8モル
以上に設定されなければならない。透過水量は運転温
度、電流密度、陽極液濃度等運転条件にも影響されるが
膜の陽極側構成に極めて大きく影響を受ける。特に膜の
陽極側を構成する樹脂層の含水率が重要である。含水率
が3〜10重量%、好ましくは5〜9重量%でなければ
ならない。この含水率は次のように定義される。90℃
で40重量%の苛性ソーダ中に16時間浸漬し、表面に
付着したアルカリを拭き取った後に測定される重量(W
1)と、この膜を乾燥した後に測定される重量W2、及
びさらに水洗してドナンアルカリを除き、乾燥した後に
測定される重量W3から次式により求められる。
5重量%に設定するためには上式の関係により透過水量
をNaイオン1当量当たり3.7モル以下、2.8モル
以上に設定されなければならない。透過水量は運転温
度、電流密度、陽極液濃度等運転条件にも影響されるが
膜の陽極側構成に極めて大きく影響を受ける。特に膜の
陽極側を構成する樹脂層の含水率が重要である。含水率
が3〜10重量%、好ましくは5〜9重量%でなければ
ならない。この含水率は次のように定義される。90℃
で40重量%の苛性ソーダ中に16時間浸漬し、表面に
付着したアルカリを拭き取った後に測定される重量(W
1)と、この膜を乾燥した後に測定される重量W2、及
びさらに水洗してドナンアルカリを除き、乾燥した後に
測定される重量W3から次式により求められる。
【0031】
【数1】 含水率(%)={(W1−W2)/W3}×100 陽極液側に面する樹脂層の含水率を該範囲に設定するこ
とにより食塩電解において通常採用される陽極液濃度で
ある3.5規定以下の運転条件にてナトリュウムイオン
1当量当り3.7モル以下の透過水量を実現することが
できる。この含水率は樹脂層の当量重量、及び加水分解
時の樹脂膨潤度により決定される。この陽極室側の樹脂
層は前記単量体(ロ)及び/又は下記一般式(ハ)の中
から選ばれる少なくとも1種類の単量体と前記単量体
(イ)の共重合体により構成される。
とにより食塩電解において通常採用される陽極液濃度で
ある3.5規定以下の運転条件にてナトリュウムイオン
1当量当り3.7モル以下の透過水量を実現することが
できる。この含水率は樹脂層の当量重量、及び加水分解
時の樹脂膨潤度により決定される。この陽極室側の樹脂
層は前記単量体(ロ)及び/又は下記一般式(ハ)の中
から選ばれる少なくとも1種類の単量体と前記単量体
(イ)の共重合体により構成される。
【0032】
【化5】
【0033】(X3 =−F又は−CF3 、m=1〜3の
整数、n=0,1,又は2)Wはアルカリ性媒体中にて
スルホン酸基に加水分解される熱溶融性を持った前駆体
基であり、ハロゲン化スルフォニル基−SO2X4 (X
4 は−F,Cl,−Brから選ばれる。)、或いはアル
キルスルフォン基−SO2 R(Rは炭素数1〜4の低級
アルキル基)から選ばれる。通常好適には下記式により
例示されるスルフォニルフルオライド基を持った単量体
が用いられる。
整数、n=0,1,又は2)Wはアルカリ性媒体中にて
スルホン酸基に加水分解される熱溶融性を持った前駆体
基であり、ハロゲン化スルフォニル基−SO2X4 (X
4 は−F,Cl,−Brから選ばれる。)、或いはアル
キルスルフォン基−SO2 R(Rは炭素数1〜4の低級
アルキル基)から選ばれる。通常好適には下記式により
例示されるスルフォニルフルオライド基を持った単量体
が用いられる。
【0034】
【化6】 前記一般式(ロ)で表される単量体として次の単量体が
例示される。
例示される。
【0035】
【化7】
【0036】共重合組成比により決定される当量重量は
一般式(ロ),(ハ)においてn=0の場合600〜9
00、好ましくは650〜850、n=1の場合100
0〜1400、好ましくは1050〜1300、n=2
の場合1150〜1600、好ましくは1200〜15
00の範囲にある共重合体が用いられる。
一般式(ロ),(ハ)においてn=0の場合600〜9
00、好ましくは650〜850、n=1の場合100
0〜1400、好ましくは1050〜1300、n=2
の場合1150〜1600、好ましくは1200〜15
00の範囲にある共重合体が用いられる。
【0037】該範囲にある共重合体を例えば米国特許0
7/533,400号に提示されるごとき水溶性有機化
合物を含んだアルカリ性水溶液による方法、或いは米国
特許4904701号に開示される塩基性有機化合物に
よる公知の加水分解方法を用いて官能基を加水分解しイ
オン交換基型に転化することにより40重量%の苛性ソ
ーダ中において3〜10重量%、好ましくは5〜9重量
%の含水率を示す樹脂層とすることができる。当量重量
が該範囲以上、及び以下である場合においては目的とす
る含水率範囲が得られず好ましくない。陽極側に面する
樹脂層の厚みは少なくとも10μm以上の厚みを有する
べきである。該範囲以下においては透過水量の制御機能
が達成されない。必要以上の厚みは電解電圧を損なうの
みであり通常は200μm以下に設定される。
7/533,400号に提示されるごとき水溶性有機化
合物を含んだアルカリ性水溶液による方法、或いは米国
特許4904701号に開示される塩基性有機化合物に
よる公知の加水分解方法を用いて官能基を加水分解しイ
オン交換基型に転化することにより40重量%の苛性ソ
ーダ中において3〜10重量%、好ましくは5〜9重量
%の含水率を示す樹脂層とすることができる。当量重量
が該範囲以上、及び以下である場合においては目的とす
る含水率範囲が得られず好ましくない。陽極側に面する
樹脂層の厚みは少なくとも10μm以上の厚みを有する
べきである。該範囲以下においては透過水量の制御機能
が達成されない。必要以上の厚みは電解電圧を損なうの
みであり通常は200μm以下に設定される。
【0038】膜は実際的な取扱い強度、寸法安定性、長
期安定性を確保する上で強化材料により補強されている
ことが望ましい。用いられる補強材としてはフルオロカ
ーボン樹脂、例えばポリテトラフルオルエチレン、或い
はテトラフルオルエチレンとヘキサフルオルプロピレ
ン、又はパーフルオルビニルエーテルとの共重合体組成
物よりなる繊維の織布が好適に用いられる。
期安定性を確保する上で強化材料により補強されている
ことが望ましい。用いられる補強材としてはフルオロカ
ーボン樹脂、例えばポリテトラフルオルエチレン、或い
はテトラフルオルエチレンとヘキサフルオルプロピレ
ン、又はパーフルオルビニルエーテルとの共重合体組成
物よりなる繊維の織布が好適に用いられる。
【0039】織布に使用される繊維はモノフィラメント
又はマルチフィラメントヤーンであって、50デニール
〜400デニール、好ましくは50デニール〜200デ
ニールの織度の物が採用される。又、延伸多孔質糸又は
偏平糸であってもよい。織布の織り組織としては、種々
の織り方が可能であるが、補強材織布による電気的遮蔽
を低減するために織布の目開きを大きくできる織り方が
好ましく通常は平織り、又は絡み織りの織布が好適に用
いられる。
又はマルチフィラメントヤーンであって、50デニール
〜400デニール、好ましくは50デニール〜200デ
ニールの織度の物が採用される。又、延伸多孔質糸又は
偏平糸であってもよい。織布の織り組織としては、種々
の織り方が可能であるが、補強材織布による電気的遮蔽
を低減するために織布の目開きを大きくできる織り方が
好ましく通常は平織り、又は絡み織りの織布が好適に用
いられる。
【0040】織布の目開きは織布を構成する径糸、及び
緯糸により区画される開口部の面積割合である開口率で
定義され、開口率が55%〜95%、好ましくは60%
〜90%である織布が本発明に用いられる。開口率がこ
の範囲以下の場合においては電気的遮蔽率が大きく電解
電圧の上昇を伴うため好ましくない。この範囲以上の場
合においては実質的な補強効果を得ることができない。
緯糸により区画される開口部の面積割合である開口率で
定義され、開口率が55%〜95%、好ましくは60%
〜90%である織布が本発明に用いられる。開口率がこ
の範囲以下の場合においては電気的遮蔽率が大きく電解
電圧の上昇を伴うため好ましくない。この範囲以上の場
合においては実質的な補強効果を得ることができない。
【0041】補強織布の厚みは樹脂層との一体化を容易
にする上で重要であり、通常は150μm以下、好まし
くは100μm以下の物が用いられる。公知の方法、例
えばカレンダー処理によりこの厚みをコントロールする
ことが可能である。又、米国特許第07/236202
号に開示される方法により得られる膜断面に犠牲糸除去
空洞がなく、且つ高い開口率を持った補強織布及び樹脂
層との一体化方法は本発明に有用に適用することができ
る。何故ならば、膜断面に犠牲糸除去による空洞が存在
する場合においては、前記した透過水量が大きくなり本
発明の効果が損なわれるためである。
にする上で重要であり、通常は150μm以下、好まし
くは100μm以下の物が用いられる。公知の方法、例
えばカレンダー処理によりこの厚みをコントロールする
ことが可能である。又、米国特許第07/236202
号に開示される方法により得られる膜断面に犠牲糸除去
空洞がなく、且つ高い開口率を持った補強織布及び樹脂
層との一体化方法は本発明に有用に適用することができ
る。何故ならば、膜断面に犠牲糸除去による空洞が存在
する場合においては、前記した透過水量が大きくなり本
発明の効果が損なわれるためである。
【0042】これらスルホン酸基、及び/又はカルボン
酸基を含むフッ素系共重合体樹脂層は熱溶融性を持った
官能基型において熱プレス成型、ロール成型、押し出し
成型法等の公知の成型手段で製膜及び加熱溶融積層する
ことができる。中でも一般的には押し出し成型法が工業
的に有用に採用される。共押し出し成型法は本発明の複
層膜を得るためには特に有用である。補強織布と樹脂層
の積層一体化手段は以下の如き公知の方法を用いること
ができ、特に制限されるものではない。例えば米国特許
第07/236202号に記載される表面に多数の細孔
を有し内部に吸引源をもった加熱機能を備えたドラム、
又は平板を用いる方法により目的を達成することができ
る。熱溶融性の状態で製膜、積層加工された樹脂膜は加
水分解されイオン交換基型に転換された後に電解隔膜と
して供される。
酸基を含むフッ素系共重合体樹脂層は熱溶融性を持った
官能基型において熱プレス成型、ロール成型、押し出し
成型法等の公知の成型手段で製膜及び加熱溶融積層する
ことができる。中でも一般的には押し出し成型法が工業
的に有用に採用される。共押し出し成型法は本発明の複
層膜を得るためには特に有用である。補強織布と樹脂層
の積層一体化手段は以下の如き公知の方法を用いること
ができ、特に制限されるものではない。例えば米国特許
第07/236202号に記載される表面に多数の細孔
を有し内部に吸引源をもった加熱機能を備えたドラム、
又は平板を用いる方法により目的を達成することができ
る。熱溶融性の状態で製膜、積層加工された樹脂膜は加
水分解されイオン交換基型に転換された後に電解隔膜と
して供される。
【0043】膜の陽極側表面に塩素ガスの膜面への付着
を防止する処理を施すことにより電解電圧を低減させる
ばかりか膜の長期安定性が飛躍的に改良される。この膜
表面へのガス付着防止は、親水性をもった無機物粒子層
を膜の陽極側表面に設けることにより達成できる。
を防止する処理を施すことにより電解電圧を低減させる
ばかりか膜の長期安定性が飛躍的に改良される。この膜
表面へのガス付着防止は、親水性をもった無機物粒子層
を膜の陽極側表面に設けることにより達成できる。
【0044】陰極側表面の無機物粒子層と同様の組成物
を膜の単位表面積当り0.01〜5.0mg/cm2 、
好ましくは0.05〜1.0mg/cm2 の密度で均一
に設けられていればよい。膜の単位表面積当り0.01
mg/cm2 以下の場合は膜表面へのガス付着防止効果
が発現されない。少なくとも0.01mg/cm2 以
上、好ましくは0.05mg/cm2 以上の密度を有す
るべきである。密度の上限は5.0mg/cm2 、好ま
しくは1.0mg/cm2 に設定される。
を膜の単位表面積当り0.01〜5.0mg/cm2 、
好ましくは0.05〜1.0mg/cm2 の密度で均一
に設けられていればよい。膜の単位表面積当り0.01
mg/cm2 以下の場合は膜表面へのガス付着防止効果
が発現されない。少なくとも0.01mg/cm2 以
上、好ましくは0.05mg/cm2 以上の密度を有す
るべきである。密度の上限は5.0mg/cm2 、好ま
しくは1.0mg/cm2 に設定される。
【0045】結合剤成分を溶解させた溶液に無機物粒子
を均一に分散させたスラリー状液体組成物をスプレー噴
霧塗布、ロール塗布、その他既に開示されている塗布方
式により膜面に所定量塗布し乾燥させる方法が採用され
る。
を均一に分散させたスラリー状液体組成物をスプレー噴
霧塗布、ロール塗布、その他既に開示されている塗布方
式により膜面に所定量塗布し乾燥させる方法が採用され
る。
【0046】本発明による膜は、従来通常用いられてい
る3.5規定以下の塩水濃度で、45〜55重量%の苛
性ソーダを、一年以上の長期間にわたり初期の性能と変
わらない優れた性能で安定に直接製造することができ
る。これは米国特許4,202,743号等においてカ
ルボン酸膜が昇温下、高濃度苛性に対して不安定である
ということについて繰り返し記述していることを考える
と驚くべきことである。
る3.5規定以下の塩水濃度で、45〜55重量%の苛
性ソーダを、一年以上の長期間にわたり初期の性能と変
わらない優れた性能で安定に直接製造することができ
る。これは米国特許4,202,743号等においてカ
ルボン酸膜が昇温下、高濃度苛性に対して不安定である
ということについて繰り返し記述していることを考える
と驚くべきことである。
【0047】本発明による膜を用いる食塩電解プロセス
条件としては陽極室の塩水濃度を3.0〜3.5規定、
好ましくは3.0〜3.4規定とし、10A/dm2 〜
60A/dm2 の電流密度、及び70〜100℃の電解
温度条件が採用される。電解槽の型式、給電方式、或い
は電極の型式は今日開示され用いられている全ての物に
適用することができるが、特に本発明の膜はナローギャ
ップ又はゼロギャップの電極配置において有利に用いら
れる。
条件としては陽極室の塩水濃度を3.0〜3.5規定、
好ましくは3.0〜3.4規定とし、10A/dm2 〜
60A/dm2 の電流密度、及び70〜100℃の電解
温度条件が採用される。電解槽の型式、給電方式、或い
は電極の型式は今日開示され用いられている全ての物に
適用することができるが、特に本発明の膜はナローギャ
ップ又はゼロギャップの電極配置において有利に用いら
れる。
【0048】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。 実施例1 テトラフルオロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7
−ジオキサ−5−メチル‐8‐ノネノエート)との当量
重量1100を有する共重合体ポリマー(A)とテトラ
フルオロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7ジオキ
サ−5−メチル−8−ノナンスルホニルフルオライド)
の当量重量1150を有する共重合体ポリマー(B)を
260℃にて2層共押し出し製膜することによりポリマ
ー(A)層の厚みが25μm、ポリマー(B)層の厚み
が130μmである積層フィルムを得た。
る。 実施例1 テトラフルオロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7
−ジオキサ−5−メチル‐8‐ノネノエート)との当量
重量1100を有する共重合体ポリマー(A)とテトラ
フルオロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7ジオキ
サ−5−メチル−8−ノナンスルホニルフルオライド)
の当量重量1150を有する共重合体ポリマー(B)を
260℃にて2層共押し出し製膜することによりポリマ
ー(A)層の厚みが25μm、ポリマー(B)層の厚み
が130μmである積層フィルムを得た。
【0049】ポリテトラフルオロエチレンよりなる20
0デニールの繊維を用い径糸、緯糸共に打ち込み本数が
1インチ当り18本である平織り織布を得た。この織布
の開口部面積割合、即ち開口率を光学式投影法により求
めたところ68%であった。この織布を積層フィルムの
ポリマー(B)層側に埋め込むことにより一体化した。
0デニールの繊維を用い径糸、緯糸共に打ち込み本数が
1インチ当り18本である平織り織布を得た。この織布
の開口部面積割合、即ち開口率を光学式投影法により求
めたところ68%であった。この織布を積層フィルムの
ポリマー(B)層側に埋め込むことにより一体化した。
【0050】水とエタノールの50/50混合溶液に当
量重量が1000であり酸型に転換されたテトラフルオ
ロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7ジオキサ−5
−メチル−8−ノネンスルホニルフルオライド)の共重
合ポリマーを10重量%溶解させた溶液に一次粒子径
0.03μmの酸化ジルコニュウム粒子を40重量部加
え、シェーカーにて均一に分散させた懸濁液を得た。こ
の懸濁液をポリマー(A)側の膜表面にスプレー法によ
り塗布し乾燥させることを繰り返し単位面積当り3mg
/cm2 の無機物粒子層を均一に形成させた。
量重量が1000であり酸型に転換されたテトラフルオ
ロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7ジオキサ−5
−メチル−8−ノネンスルホニルフルオライド)の共重
合ポリマーを10重量%溶解させた溶液に一次粒子径
0.03μmの酸化ジルコニュウム粒子を40重量部加
え、シェーカーにて均一に分散させた懸濁液を得た。こ
の懸濁液をポリマー(A)側の膜表面にスプレー法によ
り塗布し乾燥させることを繰り返し単位面積当り3mg
/cm2 の無機物粒子層を均一に形成させた。
【0051】この膜をジメチルスルフォキシドを添加し
た苛性カリ水溶液中にて加水分解し0.1規定苛性ソー
ダ中で平衡処理を行った。平衡処理後膜の一部をミクロ
トームで切断した薄片サンプルをマラカイトグリーンの
酸性水溶液にて染色した後に顕微鏡観察を行い膜の厚み
方向の全体が加水分解されていることを確認した。
た苛性カリ水溶液中にて加水分解し0.1規定苛性ソー
ダ中で平衡処理を行った。平衡処理後膜の一部をミクロ
トームで切断した薄片サンプルをマラカイトグリーンの
酸性水溶液にて染色した後に顕微鏡観察を行い膜の厚み
方向の全体が加水分解されていることを確認した。
【0052】かくして得られた複層膜のポリマー(A)
層側に低水素過電圧陰極を、ポリマー(B)層側に低塩
素過電圧陽極を配置させ陽極側の塩水濃度を3.35規
定に調整しつつ電流密度40A/dm2 、90℃で電解
を行った。陰極液に希釈水を添加することにより苛性ソ
ーダ濃度を順次変化させて得られた電解性能を表1に示
す。40日以降は陰極室への希釈水の添加を行わなかっ
た。塩水濃度3.35規定における最高到達濃度は47
重量%であった。50日から塩水濃度を3.40規定に
変更した結果50重量%の苛性ソーダを直接製造するこ
とができた。電流効率は苛性ソーダ濃度30%〜50%
の範囲において実質的にはほぼ一定であった。電解電圧
の苛性ソーダ濃度依存性は1%当り約20mVであった。
70日の運転後、更に47重量%にて50日間運転を継
続したところ電流効率は96%、電解電圧は3.53V
で安定に47重量%の苛性ソーダを得ることができた。
層側に低水素過電圧陰極を、ポリマー(B)層側に低塩
素過電圧陽極を配置させ陽極側の塩水濃度を3.35規
定に調整しつつ電流密度40A/dm2 、90℃で電解
を行った。陰極液に希釈水を添加することにより苛性ソ
ーダ濃度を順次変化させて得られた電解性能を表1に示
す。40日以降は陰極室への希釈水の添加を行わなかっ
た。塩水濃度3.35規定における最高到達濃度は47
重量%であった。50日から塩水濃度を3.40規定に
変更した結果50重量%の苛性ソーダを直接製造するこ
とができた。電流効率は苛性ソーダ濃度30%〜50%
の範囲において実質的にはほぼ一定であった。電解電圧
の苛性ソーダ濃度依存性は1%当り約20mVであった。
70日の運転後、更に47重量%にて50日間運転を継
続したところ電流効率は96%、電解電圧は3.53V
で安定に47重量%の苛性ソーダを得ることができた。
【0053】ポリマー(A)、及びポリマー(B)各々
単一のフィルム(厚み50μm)を作製し、上記複層膜
と同様に加水分解・平衡処理をし、90℃の40重量%
苛性ソーダ中に16時間浸漬した後に取り出し膜表面に
付着したアルカリ水溶液を拭き取り重量測定を行った。
その膜を真空乾燥させた後に重量測定を行い、水洗後再
び真空乾燥した後に重量測定を行った。これらの重量変
化から含水率を求めた結果ポリマー(A)フィルムは
2.5重量%、ポリマー(B)フィルムは7.2重量%
であった。
単一のフィルム(厚み50μm)を作製し、上記複層膜
と同様に加水分解・平衡処理をし、90℃の40重量%
苛性ソーダ中に16時間浸漬した後に取り出し膜表面に
付着したアルカリ水溶液を拭き取り重量測定を行った。
その膜を真空乾燥させた後に重量測定を行い、水洗後再
び真空乾燥した後に重量測定を行った。これらの重量変
化から含水率を求めた結果ポリマー(A)フィルムは
2.5重量%、ポリマー(B)フィルムは7.2重量%
であった。
【0054】
【表1】
【0055】比較例1 実施例1において陰極側膜表面に無機物多孔質層を設け
なかったこと以外は実施例1と同様に行った。この膜の
電解性能を表2に示す。45%に於て延べ60日間の電
解により電流効率の低下と電圧の上昇がみられた為電解
を停止し、膜の陰極側表面を赤外線法により解析したと
ころカルボン酸基の減少が認められた。表2に示した電
解性能は実施例1の結果と比較すると何れも欠点を有す
るものであった。
なかったこと以外は実施例1と同様に行った。この膜の
電解性能を表2に示す。45%に於て延べ60日間の電
解により電流効率の低下と電圧の上昇がみられた為電解
を停止し、膜の陰極側表面を赤外線法により解析したと
ころカルボン酸基の減少が認められた。表2に示した電
解性能は実施例1の結果と比較すると何れも欠点を有す
るものであった。
【0056】
【表2】
【0057】比較例2 実施例1においてポリマー(B)の当量重量を950と
した以外は実施例1と同様の複層膜を作製した。この膜
を実施例1に用いた電解セルで塩水濃度を3.35規定
に調整しつつ電流密度40A/dm2 、90℃で電解を
行った結果を表3に示す。尚、当量重量950を有する
ポリマー(B)層単独のフィルムの含水率を実施例1と
同様の方法で測定したところ10.5%であった。
した以外は実施例1と同様の複層膜を作製した。この膜
を実施例1に用いた電解セルで塩水濃度を3.35規定
に調整しつつ電流密度40A/dm2 、90℃で電解を
行った結果を表3に示す。尚、当量重量950を有する
ポリマー(B)層単独のフィルムの含水率を実施例1と
同様の方法で測定したところ10.5%であった。
【0058】10日間の電解の後に陰極室への希釈水の
添加を停止して電解を継続した。苛性ソーダの最高到達
濃度は塩水濃度3.35規定においては40重量%であ
った。塩水濃度を3.50規定に増加させた場合におい
ても42重量%であった。
添加を停止して電解を継続した。苛性ソーダの最高到達
濃度は塩水濃度3.35規定においては40重量%であ
った。塩水濃度を3.50規定に増加させた場合におい
ても42重量%であった。
【0059】
【表3】
【0060】実施例2 テトラフルオロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7
−ジオキサ−5−メチル−8−ノネノエート)との当量
重量1190を有する共重合体ポリマー(A)とテトラ
フルオロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7ジオキ
サ−5−メチル−8−ノネンスルホニルフルオライド)
の当量重量1080を有する共重合体ポリマー(B)を
260℃にて2層共押し出し製膜することによりポリマ
ー(A)層の厚みが25μm、ポリマー(B)層の厚み
が90μmである積層フィルムを得た。
−ジオキサ−5−メチル−8−ノネノエート)との当量
重量1190を有する共重合体ポリマー(A)とテトラ
フルオロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7ジオキ
サ−5−メチル−8−ノネンスルホニルフルオライド)
の当量重量1080を有する共重合体ポリマー(B)を
260℃にて2層共押し出し製膜することによりポリマ
ー(A)層の厚みが25μm、ポリマー(B)層の厚み
が90μmである積層フィルムを得た。
【0061】更に当量重量が1200であるテトラフル
オロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7ジオキサ−
5−メチル−8−ノナンスルホニルフルオライド)のポ
リマー(C)を単独で押し出し製膜し厚みが40μmの
フィルムを得た。共押し出し製膜した積層フィルムのポ
リマー(B)側とこの単独フィルムの間に実施例1で用
いた補強織布と同じ織布を挟み減圧のための吸引源と加
熱用電気ヒーターを備えた有孔平板上で積層一体化を行
った。得られた積層膜の表面に実施例1と同様に無機物
粒子層を塗布形成させ加水分解及び平衡処理をした後に
実施例1と同じ条件で塩水濃度を3.35Nにて電解性
能を測定した結果を表4に示す。尚当量重量が1200
である単独フィルムの40重量%苛性ソーダ中における
含水率は6.5%であった。
オロエチレンとメチルパーフルオロ(4,7ジオキサ−
5−メチル−8−ノナンスルホニルフルオライド)のポ
リマー(C)を単独で押し出し製膜し厚みが40μmの
フィルムを得た。共押し出し製膜した積層フィルムのポ
リマー(B)側とこの単独フィルムの間に実施例1で用
いた補強織布と同じ織布を挟み減圧のための吸引源と加
熱用電気ヒーターを備えた有孔平板上で積層一体化を行
った。得られた積層膜の表面に実施例1と同様に無機物
粒子層を塗布形成させ加水分解及び平衡処理をした後に
実施例1と同じ条件で塩水濃度を3.35Nにて電解性
能を測定した結果を表4に示す。尚当量重量が1200
である単独フィルムの40重量%苛性ソーダ中における
含水率は6.5%であった。
【0062】
【表4】
【0063】実施例3 実施例2においてポリマー(C)の代わりに当量重量が
760であるテトラフルオロエチレンとメチルパーフル
オロ(4−オキサ,5−ヘキセノエイト)の共重合ポリ
マー(ポリマー(D))を用いた以外は実施例2と全く
同様に行った。ポリマー(D)単独フィルムの40%苛
性ソーダ中における含水率は5.0%であった。この膜
の電解性能を測定した結果を表5に示す。
760であるテトラフルオロエチレンとメチルパーフル
オロ(4−オキサ,5−ヘキセノエイト)の共重合ポリ
マー(ポリマー(D))を用いた以外は実施例2と全く
同様に行った。ポリマー(D)単独フィルムの40%苛
性ソーダ中における含水率は5.0%であった。この膜
の電解性能を測定した結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】比較例3 実施例2においてポリマー(C)の代わりに実施例1に
おける含水率が2.5重量%であるポリマー(A)を用
いた以外は実施例2と全く同様に行った。この膜の電解
性能を測定した結果を表6に示す。電解電圧が極めて高
く、且つ経時的に上昇したため途中で停止した。
おける含水率が2.5重量%であるポリマー(A)を用
いた以外は実施例2と全く同様に行った。この膜の電解
性能を測定した結果を表6に示す。電解電圧が極めて高
く、且つ経時的に上昇したため途中で停止した。
【0066】
【表6】
【0067】
【発明の効果】本発明によって塩水利用効率を低下させ
ることなく、55重量%にまでいたる高濃度の苛性ソー
ダを長期間安定に、極めて高い電流効率と低い電解電圧
で、高い運転経済性をもって生産できる新規な複層構成
を持ったイオン交換樹脂膜を用いた食塩電解方法が提供
された工業的効果は大きい。
ることなく、55重量%にまでいたる高濃度の苛性ソー
ダを長期間安定に、極めて高い電流効率と低い電解電圧
で、高い運転経済性をもって生産できる新規な複層構成
を持ったイオン交換樹脂膜を用いた食塩電解方法が提供
された工業的効果は大きい。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 陰極室側の表面層が、一次粒子径が0.
2μm以下である周期律表第IV族から選ばれる元素の酸
化物、窒素化物、炭化物の少なくとも1種類の耐アルカ
リ性無機物粒子を30〜95重量%、及び親水性を持っ
たフッ素系重合体よりなる結合剤を含む無機物粒子層が
単位表面積当り0.1〜10mg/cm2 の密度で表面
に設けられた、厚みが5μm以上、50μm以下である
カルボン酸基を有するフッ素系共重合体からなる層によ
り構成されており、陽極室側の層が40重量%水酸化ナ
トリュウム水溶液中における含水率が3〜10重量%の
範囲にあるスルホン酸基及び/又はカルボン酸基を有す
るフッ素系共重合体からなる厚みが少なくとも10μm
以上、200μm以下である層からなる複層陽イオン交
換樹脂膜により陰極室と陽極室を区画し、70〜100
℃の温度範囲で10〜60A/dm2 の電流密度におい
て陽極室の塩化ナトリュウム水溶液濃度を3.0規定以
上、3.5規定以下、45〜55重量%の苛性ソーダを
陰極室に取得することを特徴とする食塩電解方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3281981A JPH059771A (ja) | 1990-10-05 | 1991-10-03 | フツ素系複層陽イオン交換樹脂膜による塩化アルカリの電解方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2-266512 | 1990-10-05 | ||
JP26651290 | 1990-10-05 | ||
JP3281981A JPH059771A (ja) | 1990-10-05 | 1991-10-03 | フツ素系複層陽イオン交換樹脂膜による塩化アルカリの電解方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH059771A true JPH059771A (ja) | 1993-01-19 |
Family
ID=26547477
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3281981A Pending JPH059771A (ja) | 1990-10-05 | 1991-10-03 | フツ素系複層陽イオン交換樹脂膜による塩化アルカリの電解方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH059771A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2015098769A1 (ja) * | 2013-12-25 | 2017-03-23 | 旭硝子株式会社 | フッ素系陽イオン交換膜の製造方法 |
US20210324528A1 (en) * | 2019-02-08 | 2021-10-21 | AGC Inc. | Membrane electrode assembly and water electrolysis apparatus |
-
1991
- 1991-10-03 JP JP3281981A patent/JPH059771A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2015098769A1 (ja) * | 2013-12-25 | 2017-03-23 | 旭硝子株式会社 | フッ素系陽イオン交換膜の製造方法 |
US11273435B2 (en) * | 2013-12-25 | 2022-03-15 | AGC Inc. | Production method for fluorinated cation exchange membrane |
US20210324528A1 (en) * | 2019-02-08 | 2021-10-21 | AGC Inc. | Membrane electrode assembly and water electrolysis apparatus |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20010116 |