JP2006151730A - 軽量無機質板および該軽量無機質板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水硬性無機質材料15〜35質量%と、ガラス質含有材料1〜15質量%と、骨材20〜45質量%と、補強繊維20〜30質量%とを主成分とした原料混合物の硬化層を表裏層とし、水硬性無機質材料15〜35質量%と、ガラス質含有材料1〜15質量%と、骨材10〜30質量%と、補強繊維20〜30質量%と、可燃性有機成分および/または無機質軽量体15〜30質量%とを主成分とした原料混合物の硬化層を芯層とした軽量無機質板を提供する。該無機質板の芯層は多孔構造になり軽量化が実現されるが、表裏層は緻密になり高強度、耐凍結融解性に優れ、表面意匠性にも優れたものとなる。
Description
従来からケイ酸質原料、石灰質原料、あるいはセメント等の無機質原料を板状に成形し、硬化し、焼成した無機質板は、耐久性に優れ、美感や質感を有し高級感のある建築板として有用である。
上記無機質板は上記無機質原料を水と混練し、該混練物を押出成形等によって成形し、養生硬化せしめた上で焼成することによって製造されている(例えば特許文献1〜3参照)。
該水硬性無機質材料はスラグおよび石灰類であり、該ガラス質含有材料は軟化温度が900℃以下の低融点ガラスであり、該骨材はケイ砂および/またはシャモットであり、該補強繊維はワラストナイトであり、該可燃性有機成分は有機繊維および/またはプラスチック発泡体および/または木質セメント板粉砕物であることが望ましく、更に該石灰類は消石灰であることが望ましい。
上記軽量無機質板は望ましくは水硬性無機質材料15〜35質量%と、ガラス質含有材料1〜15質量%と、骨材20〜45質量%と、補強繊維20〜30質量%とを主成分とした表裏層用原料混合物と、水硬性無機質材料15〜35質量%と、ガラス質含有材料1〜15質量%と、骨材10〜30質量%と、補強繊維20〜30質量%と、可燃性有機成分および/または無機質軽量体15〜30質量%とを主成分とした芯層用原料混合物とを調製し、該表裏層用原料混合物を型板上に散布して表層または裏層マットをフォーミングし、該芯層用原料混合物をその上から散布して芯層マットをフォーミングし、更にその上に表裏層用原料混合物を散布して裏層または表層マットをフォーミングし、このようにしてフォーミングした三層マットを圧締養生硬化を行い、その後焼成することによって製造される。
本発明にあっては、芯層を多孔質構造とし、表裏層は緻密構造とするから、表面が緻密平滑になり、軽量化されると同時に汚れが付着しにくゝなり、明確なエンボスを付することも容易である。また表裏層および芯層には補強繊維が添加されているから、焼成による成形体の膨張収縮が該補強繊維の補強効果によって抑制され、表裏層と芯層との熱膨張率の差が小さくなり、亀裂、反り、ねじれ等の欠陥の発生が防止される。
該水硬性無機質材料はスラグおよび石灰類であり、該ガラス質含有材料は軟化温度が900℃以下の低融点ガラスであり、該骨材はケイ砂またはシャモットである場合には、水の添加量を少なくしてもスラグは活性度が高く化学的反応性に富み、円滑に硬化反応を起こすことが出来る。本発明の軽量無機質板は型板上に原料混合物を散布してマットをフォーミングし、圧締養生硬化し、焼成することによって製造されるが、上記のように該マットの硬化が円滑に行われるので、硬化マットを型板から脱型することが容易になる。焼成温度を低下するためにガラス質含有材料として低融点のものを使用するが、該スラグは該ガラス質含有材料とも反応し、該ガラス質含有材料の本来の融点よりも低い温度で溶融が開始され、水の添加量を少なくすると共に焼成温度を大巾に低下せしめて成形体の膨張収縮を抑制する。
骨材としてシャモットを選択すると、ガラス質含有材料軟化物の流動が抑制され、焼成時の膨張収縮が抑制される。上記水硬性無機質材料硬化後の含有する水の逃散による縮みは寸法比として約1%、そしてシャモットが原料混合物中に20質量%以上存在する場合には、ガラス質含有材料軟化物の流動が抑制され、しかも該ガラス質含有材料は焼成時には若干膨張する傾向にあり、これらの点がバランスして本発明の軽量無機質板は焼成後の収縮率が殆ど0になるし、耐火度も向上する。
したがって本発明では軽量な無機質板を提供することを可能とし、更に焼成による膨張収縮による亀裂、反り、ねじれ等の欠陥の発生が確実に防止され、表面に深い凹凸模様を有する耐久性、意匠性、加工性、施工性に優れた軽量なそして大きなサイズの軽量無機質板が提供される。該軽量無機質板はかくして建物の内壁板や外壁板等に極めて有用である。
〔水硬性無機質材料〕
本発明の水硬性無機質材料としては、例えば普通ポルトランドセメント、早強セメント、アルミナセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント等のセメント類、高炉スラグ、電気炉酸化スラグ、電気炉還元スラグ等のスラグ、生石灰、消石灰等の石灰類あるいは石膏、炭酸マグネシウム等がある。望ましい水硬性無機質材料としては上記スラグと石灰類特に消石灰との組合わせがある。
上記水硬性無機質材料は、焼成前に生板を硬化せしめることが出来、ある程度強度があり破損しにくい硬化生板とすることが出来、作業性、歩留り等が向上する。
更に本発明では、焼成により溶融してバインダーとなるガラス質含有材料を添加する。このようなガラス質含有材料としては、例えばシラス、フライアッシュ、坑火石、ガラス粉、板ガラスの粉砕品等がある。該ガラス質含有材料として望ましいものは、軟化点が900℃以下の低融点ガラスであり該低融点ガラスとしては、PbO,B2O3,ZnO等の低融点成分の含有量を多くしたガラスがあり、例えば軟化点840℃、融点1200℃のEガラス粉末は望ましい低融点ガラスである。Eガラス即ちElectrical glassはガラス繊維の粉末のことであり、平均粒径は30μm、主成分はSiO2 54質量%、Al2O315質量%、CaO23質量%、B2O37質量%でありB2O3を含有しているので低融点であり、1000℃前後の低温焼成を可能にする。
更に本発明では、焼成により溶融して板構造の主体的要素となる骨材が添加される。上記骨材としては、例えば陶石、長石、ろう石、カオリン、ハロサイト、木節粘土、蛙目粘土、セリサイト、シャモット、ドロマイト等の粘土質鉱物やケイ砂、ケイ石粉、珪藻土、キラ、シリカフューム等のケイ酸質原料がある。上記骨材の中で望ましいものは、ブレーン値3800、SiO2の純度95質量%以上のケイ砂またはケイ石粉、あるいはシャモットである。
更に本発明では、焼成による膨張収縮を抑制するために表裏層に無機繊維が添加される。上記無機繊維としては、例えばワラストナイト、セピオライト等の鉱物繊維、スチールファイバー、ステンレスファイバー等の金属繊維、ガラス繊維、セラミック繊維等がある。望ましい補強繊維としては、ワラストナイトがある。ワラストナイトはアスペクト比(15)が一般の補強繊維と比べて大きい。ワラストナイトは原料混合物の分散性を向上せしめ、該原料混合物を型板上に散布する乾式法では原料混合物中に凝集物や塊りが生成することが防止され、散布作業性が良好になる。ワラストナイトは一般に平均繊維長600μm、平均繊維径40μmのものを使用する。更にワラストナイトは保形性、切断性を改良し、大きなサイズの板の製造を容易にする。
本発明にあっては芯層に多孔質構造を形成するために無機質軽量体が添加されてもよい。該無機質軽量体としては、例えばパーライト、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、ガラス発泡体等が例示され、特にかさ比重が0.4以下で圧縮強度が10N/mm2以上のものが好ましい。
本発明にあっては、焼成時に焼滅して芯層に多孔質構造を形成するために無機質軽量体と共に、あるいは無機質軽量体に代えて可燃性有機成分が添加されてもよい。このような可燃性有機成分としては、例えば木片、木質繊維束、木質パルプ、木毛、木粉等の木質材、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の有機繊維、発泡ポリスチレンビーズ、発泡性ポリエチレンビーズ、発泡性ポリプロピレンビーズ等の合成樹脂成分、あるいは木質セメント板廃材等がある。
可燃性有機成分のソースとして使用される木質セメント板廃材とは、木片、木質繊維束、木質パルプ、木毛、木粉等の木質補強材と、普通ポルトランドセメント、早強セメント、アルミナセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント等のセメント類や生石灰、消石灰等の石灰類、あるいは石膏、炭酸マグネシウム等の水硬性無機質材料とを主体とする原料混合物を使用し、乾式法、半乾式法、湿式法、押出成形法等で板状に成形した木質セメント板の廃材であるが、製造工程中の端材や、増改築時に発生するこれらの廃材を粉砕して再利用するものである。
上記木質セメント板には上記木質分が通常10〜30質量%含有される。
本発明に使用される表裏層用原料混合物とは、上記水硬性無機質材料15〜35質量%、上記ガラス質含有材料1〜15質量%、上記骨材20〜45質量%、上記補強繊維20〜30質量%を主成分とする混合物である。上記水硬性無機質材料としてスラグと石灰質、特に消石灰とを組合わせた場合には、石灰質はスラグの添加量に対して5〜15質量%とされる。水硬性無機質材料(スラグ)の添加量が15質量%に満たないと、マットの硬化が不充分になって脱型時に硬化マットが破損するおそれがあるし、焼成による焼結硬化が充分でない。また耐火度も充分なものではなくなる。しかし35質量%を越えた量で添加されると、焼成時のスラグの急激な溶融によって収縮が大きくなる。ガラス質含有材料の添加量が1質量%に満たない場合には、他の原料に対する溶融刺激的効果が得られず、低温焼成が困難になり、また15質量%を越えた量で添加されると、ある温度で該ガラス質含有材料が急激に溶融するので、安定した焼成が行えなくなる。骨材、特にケイ砂やケイ石粉を添加すると、1000〜1200℃の高温焼成によって安定に板の強度を発現させる。しかし骨材が45質量%を上回る量で添加された場合には板の比重が高くなり、軽量化が実施されにくゝ、また逆に強度が低下する傾向になり、かつ加工性も劣化する。また骨材が20質量%を下回る量で添加された場合には、板の強度が低下しかつ耐凍性も劣化する。可燃性有機成分および/または無機質軽量体が使用されてもよい。
本発明に使用される芯層用原料混合物とは、上記水硬性無機質材料15〜35質量%、上記ガラス質含有材料1〜15質量%、上記骨材10〜30質量%、上記補強繊維20〜30質量%、更に可燃性有機成分および/または無機質軽量体15〜30質量%を主成分とする混合物である。該可燃性有機成分および/または無機質軽量体の量が15質量%を下回ると多孔性が充分付与されず、軽量化が実施されない。また該可燃性有機成分および/または無機質軽量体の量が30質量%を上回ると過度に多孔性になり、機械的強度や耐凍性に劣るようになる。
本発明の無機質板は三層構造にされる。
本発明の無機質板においては、多孔構造を芯層とし、表裏層は多孔でない構造とした三層構造の無機質板とすれば、芯層が多孔質であるから軽量になり、切削加工性および施工性に優れたものとなるが、表裏層は多孔質でなく緻密構造であるから表面平滑で好ましい外観となり、明確なエンボス加工が容易となる。また表裏層によって板内部に水分が侵入することが防止されるので、内部構造が劣化しにくゝ耐久性のある耐凍結融解性能に優れた板になる。
養生硬化は上記圧締状態で行われ、通常45〜80℃の温度で6〜12時間の条件が採用される。
養生硬化後は解圧脱型し、望ましくは絶乾状態に乾燥させ、実加工等の所定の加工を施す。更に所望なれば該無機質板生板の少なくとも表面に釉薬を塗布する。本発明に使用される釉薬としては、鉛ユウ、フリットユウ、ブリストルユウ、磁器ユウ等の一般的な釉薬が使用される。その後該無機質板生板を焼成炉中に導入して焼成を行う。焼成条件としては、通常1000〜1200℃、望ましくは1100〜1150℃、10〜30分の条件が採用される。
このようにして製造された無機質板は、通常厚み15〜30mm、比重は1.2〜1.8程度である。上記無機質板において表層:芯層:裏層の比率は3:4:3とすることが好ましい。。
以下に本発明の実施例を示す。
表1の配合にて混合した表裏層用原料混合物を型板上に散布し、その上に混合した芯層用原料混合物を散布し、更にその上に混合した表裏層用原料混合物を散布して三層マットをフォーミングし、該三層マットと共に該型板を多段に積上げた後、面圧5〜8MPaでプレスし、その後圧締装置により圧締し、圧締状態で50℃、8時間硬化養生した。その後圧締を解き脱型し、絶乾状態に乾燥させた後、表1に示す焼成温度で15分間焼成した。
(1)収縮率(成形時〜焼成後)
成形後の寸法と焼成後の寸法の比率(%)
(2)比重
絶乾比重
(3)曲げ強度
JIS A 1408に準じる(N/mm2)
(4)表面意匠性
板厚25mmに設定し、エンボス深さ11mm、エンボス角度60度の凹部の逆凸部を有する型板にて乾式法で成形したとき、成形体の凹部の角に欠けあるいはスケの有無(無い場合を○)
(5)切断性
ハンドソーで切断でき、また切断時に割れや欠けが無くスムーズに切断可能か(スムーズに切断できた場合○)
(6)耐凍結融解性能
ASTM B法 300サイクルにて異常が無いか(異常無し○)
(7)耐衝撃性
JIS A 1408に準じ、500gの鉄球の落下でひび割れが生じない高さ(m)
上記物性評価の結果は表1に示される。
比較例1,2にあっては芯層にワラストナイトが添加されておらず、また比較例3にあっては芯層にワラストナイトが30質量%を越える量(40質量%)で添加されており、いずれも芯層と表裏層との熱膨張率の差が大きく、層間に欠陥が発生し耐凍結融解性が劣化する。また比較例4にあっては表裏層、芯層共に水硬性無機質材料(スラグ)が35質量%を越える量(40質量%)で添加されており、該スラグの急激な溶融によって焼結反応が加速し、切削性に劣る板となる。また水硬性無機質材料が15質量%(表裏層)、15質量%(芯層)に満たない量(10質量%)で添加された比較例5にあっては脱型時の硬化マットの硬度が不足し、充分な焼結効果が得られず、製品の強度不足をきたし、またガラス質含有材料が15質量%を越える量(35質量%)で添加されている比較例6は焼成時におけるガラス質含有材料の急激な溶融によって焼結反応が加速して切断性に劣る製品となる。
Claims (4)
- 水硬性無機質材料15〜35質量%と、ガラス質含有材料1〜15質量%と、骨材20〜45質量%と、補強繊維20〜30質量%とを主成分とした原料混合物の硬化層を表裏層とし、水硬性無機質材料15〜35質量%と、ガラス質含有材料1〜15質量%と、骨材10〜30質量%と、補強繊維20〜30質量%と、可燃性有機成分および/または無機質軽量体15〜30質量%とを主成分とした原料混合物の硬化層を芯層とすることを特徴とする軽量無機質板。
- 該水硬性無機質材料はスラグおよび石灰類であり、該ガラス質含有材料は軟化温度が900℃以下の低融点ガラスであり、該骨材はケイ砂および/またはシャモットであり、該補強繊維はワラストナイトであり、該可燃性有機成分は有機繊維および/またはプラスチック発泡体および/または木質セメント板粉砕物である請求項1に記載の軽量無機質板。
- 該石灰類は消石灰である請求項2に記載の軽量無機質板。
- 水硬性無機質材料15〜35質量%と、ガラス質含有材料1〜15質量%と、骨材20〜45質量%と、補強繊維20〜30質量%とを主成分とした表裏層用原料混合物と、水硬性無機質材料15〜35質量%と、ガラス質含有材料1〜15質量%と、骨材10〜30質量%と、補強繊維20〜30質量%と、可燃性有機成分および/または無機質軽量体15〜30質量%とを主成分とした芯層用原料混合物とを調製し、該表裏層用原料混合物を型板上に散布して表層または裏層マットをフォーミングし、該芯層用原料混合物をその上から散布して芯層マットをフォーミングし、更にその上に表裏層用原料混合物を散布して裏層または表層マットをフォーミングし、このようにしてフォーミングした三層マットを圧締養生硬化を行い、その後焼成することを特徴とする軽量無機質板の製造方法。
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