JP2006151324A - ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ブレーキ操作部材の操作に対し、過敏な応答の低減と応答遅れの低減とを両立できるブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】 ブレーキ操作部材2の操作に応じて目標制御量を設定する目標制御量設定手段35と、該目標制御量に基づき、作動流体の液圧を蓄圧した蓄圧器3から制御された制動圧を供給するブレーキ装置において、ブレーキ操作部材2の操作を検出する操作検出手段(5、8、21、20)の検出値に基づき目標制御量を制限する目標制御量制限手段37を有する、ことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ブレーキ装置に関し、特に、マスタシリンダ圧とは別の液圧源から液圧をホイルシリンダに供給して車両を制動するブレーキ装置に関する。
マスタシリンダ圧とは別の液圧源である蓄圧器から液圧をホイルシリンダに供給して車両を制動するブレーキ制御装置が知られている。かかるブレーキ装置では、運転者によるブレーキ操作部材の操作を検出して操作量や操作速度に応じて、制御された制動圧を蓄圧器からホイルシリンダに供給する(例えば、特許文献1参照。)。
図13(a)は、従来のブレーキ装置における油圧回路の概略図を示す。当該ブレーキ装置は、ブレーキペダル200の踏み込み操作に応じて液圧を発生させるマスタシリンダ100を備え、ブレーキペダル200の踏み込み操作状況をストロークシミュレータ300でシミュレートする一方、マスタシリンダ100で発生する圧力を圧力センサ500で検知し、ホイルシリンダに加える作動流体の圧力を圧力センサ500の検知情報に応じて制御して、アキュムレータ等の蓄圧器600から制御弁700を介して、制御された液圧を車輪800のホイルシリンダに供給する。
従来のストロークシミュレータは、踏力とストロークの関係で通常のブレーキペダルの踏み込み操作をシミュレートするものであるため、圧力センサ500で検知される圧力は、踏み込み操作の速度に関係なくブレーキペダル200のストロークによって決められてしまう。このため、早い踏み込み操作の場合、圧力センサ値に大きな圧力が反映されるのはある程度ストロークが生じた後になり、踏み込み操作が速い場合、ホイルシリンダに制御して加えるブレーキ液の圧力上昇が遅れてしまう。
この点に鑑み、ストロークシミュレータ300とマスタシリンダ100との間の流路に絞り400を設け、速いブレーキペダル200の操作の場合には絞り400により抵抗が与えられるようにし、大きな踏力が生じる状態にして圧力センサ500の検知結果に反映させ、ブレーキ液の圧力を高めて応答性を高めるブレーキ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平5−85351号公報 特開2000−335402号公報
しかしながら、特許文献2記載のブレーキ装置のように絞り400を設けると、早い速度や強くブレーキペダル200を操作したような場合、圧力センサ500で検知される圧力が過敏に応答する傾向が生じるという問題がある。
図13(b)は、ブレーキペダルの操作と圧力センサ500で検知される圧力との関係を示すグラフ図である。図13(b)のグラフ図では、ブレーキペダル200がラインSTのようなストロークで操作された場合の、圧力センサ500で検知されたマスタシリンダ100の液圧(ラインPMC)とストロークシュミレータ300の油圧(ラインS/S)を示す。ブレーキペダル200は、時間に対し、当初比較的速く操作されてから徐々にゆっくりと操作されているのに対し、圧力センサ500で検知された圧力はストロークシュミレータ300の油圧から大きく乖離して、オーバーシュートしている。当該ブレーキ装置は、マスタシリンダの液圧PMC等に基づき目標減速度を決定するので、実際に得られる制動力もラインPMCに似た状態となり、ブレーキペダル操作との乖離が大きいという問題が生じる。
ところで、圧力等の検出信号に対してフィルタ処理を行うと信号の変動を緩やかにできることが知られている。そこで、圧力センサ500が検出した圧力値にフィルタ処理を行うことが考えられる。マスタシリンダ圧の圧力信号にフィルタ処理を行うと圧力信号の変動を緩やかにできるので、早いブレーキペダル200の操作が行われても、ラインPMCのオーバーシュートを低減できる。
しかしながら、圧力センサ500の圧力信号に一律にフィルタ処理を行うと、速度の遅いブレーキペダル200の操作があった場合に、ホイルシリンダに制御して加えるブレーキ液の圧力上昇が遅れてしまうという問題が生じる。
すなわち、従来、ブレーキペダル200を早く操作した場合の過敏な応答を制限することと、遅いペダル操作の場合の応答遅れを低減することとを両立することが困難な場合があるという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑み、ブレーキ操作部材の操作に対し、過敏な応答の低減と応答遅れの低減とを両立できるブレーキ装置を提供することを目的とする。
上記問題に鑑み、本発明は、ブレーキ操作部材の操作に応じて目標制御量を設定する目標制御量設定手段と、該目標制御量に基づき、加圧手段を含む液圧源から各輪のホイルシリンダに供給される液圧を制御する液圧制御手段とを含むブレーキ装置において、ブレーキ操作部材の操作を検出する操作検出手段の検出値に基づき目標制御量を制限する目標制御量制限手段を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、ブレーキ操作部材の操作に対し、過敏な応答の低減と応答遅れの低減とを両立できる。ブレーキ操作部材の操作を検出する操作検出手段とは、マスタシリンダ圧の圧力センサ、踏力を検出すると踏力センサ、ストローク量を検出するストロークセンサ等の一又は複数をいう。これらにより検出された一又は複数の信号を処理してブレーキ操作部材の操作を検出してもよい。また、目標制御量設定手段と目標制御量制限手段は、一部又は全部において共通した操作検出手段によりブレーキ操作部材の操作をしてよい。なお、目標制御量とは、目標の減速度やホイルシリンダ圧等である。
本発明のブレーキ装置の一形態において、目標制御量は、目標制御量の変化勾配が所定の下限よりも大きい場合に制限される、ことを特徴とする。当該制限の方法は、目標制御量の変化勾配が急峻なものとならないように制御するものであればいかなるものであってもよいが、その好適な一例は、所定の下限を超過した分の目標制御量にフィルタ処理を行うことである。
また、目標制御量の制限の別の好適例は、目標制御量の全体にフィルタ処理を行うことである。ブレーキ操作部材の操作を検出する操作検出手段の検出値に基づきフィルタ処理を行うことで、速いブレーキペダルの操作があっても過敏な応答を抑制できる。
また、本発明のブレーキ装置の一形態において、フィルタ処理による目標制御量の制限を調整するフィルタ設定値を、操作検出手段の検出値に基づき設定する、ことを特徴とする。操作検出手段の検出値に基づきフィルタ設定値を設定する一形態として、操作検出手段の検出値又は検出値の変化率が大きいほど、フィルタ設定値を小さくすることを特徴とする。フィルタ設定値を操作検出手段の検出値に基づき切り替えることで、ブレーキペダル2の操作の速さに応じて、柔軟に目標減速度を制限できる。
また、本発明のブレーキ装置の一形態において、目標制御量制限手段は、該目標制御量の変化勾配を所定の上限以下に制限することを特徴とする。本発明によれば、目標減速度の変化勾配に上限を設定できるので、速いブレーキペダルの操作があっても過敏な応答を低減できる。
また、本発明のブレーキ装置の一形態において、変化勾配の所定の上限は、操作検出手段の検出値に基づき設定される、ことを特徴とする。変化勾配の上限を操作検出手段の検出値に基づき切り替えることで、ブレーキペダル2の操作の速さに応じて、柔軟に目標減速度を制限できる。
また、本発明の一形態において、ブレーキ操作部材の操作状況をシミュレートするストロークシュミレータと、ストロークシミュレータに入出する作動流体の流通抵抗となる流通抵抗手段と、を有することを特徴とする。
ブレーキ操作部材の操作に対し、過敏な応答の低減と応答遅れの低減とを両立できるブレーキ装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。図1は、ブレーキ操作部材(以下、ブレーキペダルという)の操作量に基づきホイルシリンダの制動圧が制御されるブレーキ装置の油圧回路図及びその制御装置を示す。本実施の形態のブレーキ装置は、電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)30により制御され、過敏な応答の低減と応答遅れの低減とを両立して制動圧を制御する。
ブレーキペダル2には、2つの液圧室1a、1bを備えたマスタシリンダ1が連結されている。液圧室1a、1bにはブレーキペダル2の踏力に応じたマスタシリンダ圧が発生する。マスタシリンダ1の上部には、作動流体が貯留されたリザーバタンク18が設けられている。ブレーキペダル2が非操作状態の場合、すなわち加圧ピストンが後端位置にある場合にリザーバタンク18と液圧室1a、1bが連通され、ブレーキペダル2が操作され加圧ピストンが前方に移動されると、リザーバタンク18と液圧室1a、1bが遮断される。なお、ブレーキペダル2には、踏力センサ21及びストロークセンサ20が接続されている。踏力センサ21は運転者の踏力Fに応じた信号をブレーキECU30に、ストロークセンサ20はストローク量STに応じた信号をブレーキECU30に、それぞれ出力する。
マスタシリンダ1の液圧室1a、1bにはそれぞれ第1マスタ通路26a及び第2マスタ通路26bが連通している。第1マスタ通路26aには、その内部の液圧、すなわち液圧室1aに発生するマスタシリンダ圧に応じた信号を出力するMC油圧センサ5aが配設されている。同様に、第2マスタ通路26bには、その内部の液圧、すなわち液圧室1bに発生するマスタシリンダ圧に応じた信号を出力するMC油圧センサ5bが配設されている。
第1マスタ通路26aは、作動流体の流通を許容/遮断するマスタカット弁24FRを介して、車輪FRのホイルシリンダに連結される。同様に、第2マスタ通路26bは、マスタカット弁24FLを介して、車輪FLのホイルシリンダに連結される。マスタカット弁26aは常態で第1マスタ通路26aと、マスカット弁26bは常態で第2マスタ通路26bとを、それぞれ導通状態とし、ブレーキペダル2が踏み込まれるとこれらの通路を遮断状態とする常開の電磁開閉弁である。
第1マスタ通路26aには、シミュレータカット弁23を介してストロークシミュレータ22が接続されている。シミュレータカット弁23は、常態で第1マスタ通路26aとストロークシミュレータ22とを遮断状態とし、ブレーキペダル2が踏み込まれると、これらを導通状態とする常閉の電磁開閉弁である。
リザーバタンク18は、戻り配管11を介して、油圧ポンプ4の入力側と連通している。油圧ポンプ4の吐出側には蓄圧器3が接続され、油圧ポンプ4のモータが駆動されると、蓄圧器3に高圧の作動流体が保持される。
蓄圧器3の吐出側は、高圧通路8に連通している。高圧通路8には、その内部の液圧を検出する蓄圧センサ13が配設されている。
高圧通路8は、リニア増圧弁6FR,6FL、6RL及び6RRを介して車輪FR、FL、RL及びRRの各ホイルシリンダに接続されている。また、高圧通路8は、リニア増圧弁6FR〜RR及びリニア減圧弁7FR,7FL、7RL及び7RRを介して、低圧の戻り配管11と接続されている。各リニア増圧弁6FR〜6RRと車輪FR〜RRの各ホイルシリンダとの間には、ホイルシリンダの圧力を検出し当該圧力を示す制動圧信号を出力する制動圧センサ9FR,9FL、9RL及び9RRが配設されている。
リニア増圧弁6FR〜RRは、電力が供給されていない状態で閉じた常閉弁として構成される。また、リニア減圧弁7FR、7FLは、電力が供給されていない状態で閉じた常閉弁として構成され、リニア減圧弁7RL、7RRは、電力が供給されていない状態で開いた常開弁として構成される。
後述の制御系が正常な場合は、ブレーキペダル2が踏み込まれると、ECU30は、マスタカット弁24FR及びマスタカット弁24FLを閉状態とする。係る状況では、シミュレータカット弁23が開状態とされることで、マスタシリンダ圧に応じた量の作動流体が液圧室1aからストロークシミュレータ22に流入される。ストロークシミュレータ22は、ブレーキペダル2の踏込みによる消費油量をシミュレートし、マスタシリンダ1から吐出される油量を吸収して消費して、運転者のブレーキペダル踏込感覚を確保するように構成されている。なお、図1は、制御系が正常な状態で、ブレーキペダル2が踏み込まれていない場合(イグニッションオン時の状態)を示す。
そして、制御系に何らかの異常が検出された場合、ブレーキペダル2が踏み込まれると、マスタカット弁24FR及び24FLは開状態に、シミュレータカット弁23は閉状態になり、マスタシリンダ1の液圧室1a、1bからマスタシリンダ圧に応じた量の作動流体が車輪FRとFLのホイルシリンダへ流入される。すなわち、制御系に何らかの異常が検出されても、ブレーキペダル2の操作量に応じた制動圧がホイルシリンダに供給されるので、車両は機械的に制動される(バックアップ制動)。
上記の油圧回路における制動圧を制御するブレーキECU30は、各種の信号が入力され当該信号を処理する信号処理回路を含んで構成される信号入力部31、演算を行う演算処理装置32、予め定められた制御用のパラメータやプログラムを記憶するROMやRAMにより構成される記憶装置33、演算処理装置32による演算結果を駆動回路等により制御信号として出力する制御信号出力部34、を有するように構成される。
信号入力部31には、MC油圧センサ5及び制動圧センサ9FR〜9RR、踏力Fを検出し踏力信号を出力する踏力センサ21、ストローク量STを検出してストローク信号を出力するストロークセンサ20、がそれぞれ電気的に接続されている。MC油圧センサ5により検出されたマスタシリンダ圧はMC油圧信号として、制動圧センサ9FR〜9RRにより検出された制動圧PWCは制動圧信号として、踏力センサ21により検出された踏力Fが踏力信号として、ストロークセンサにより検出されたストローク量STが、それぞれ信号入力部31に入力される。
また、制御信号出力部34は、油圧ポンプ4、リニア増圧弁6FR〜RR、リニア減圧弁7FR〜RRと電気的に接続される。油圧ポンプ4には油圧ポンプ4をオン又はオフに制御する蓄圧制御信号が出力される。また、リニア増圧弁6FR〜6RRには電流値よりなる制御信号Va−FR〜Va−RRが出力され、リニア減圧弁7FR〜7RRには電流値よりなる制御信号Vr−FR〜Vr−RRが出力される。リニア増圧弁6FR〜6RR及びリニア減圧弁7FR〜7RRの開度は、入力される制御信号に比例して制御され、各ホイルシリンダを所望の制動圧に制御することで各車輪が制動され又は制動が緩和される。
記憶装置33には、後述のフィルタ設定MAP38、勾配制限値MAP35、演算処理装置32の演算処理に必要なプログラム、等が格納されている。
続いて、ブレーキECU30により制御される油圧回路の作用について説明する。ブレーキペダル2が操作されると、MC油圧センサ5a、5bがマスタシリンダ圧を検出し、ブレーキECU30にMC油圧信号を出力する。ブレーキECU30は、マスタシリンダ圧に基づいて目標減速度を演算し、目標減速度や車両の走行状況等に基づき各車輪のブレーキ配分を算出する。目標減速度及び各車輪のブレーキ配分が算出されたら、各車輪の制動圧を制御する目標ホイルシリンダ圧を設定する。
ブレーキペダル2が踏み込まれた場合、ブレーキECU30は、設定された目標ホイルシリンダ圧に基づき電流値よりなる制御信号Va−FR〜Va−RRを生成すると共に、各輪の目標ホイルシリンダ圧が各輪の実ホイルシリンダ圧よりも大きくなった場合、リニア減圧弁7FR〜7RRを閉じ、制御信号Va−FR〜Va−RRをリニア増圧弁6FR〜6RRに出力する。リニア増圧弁6FR〜6RRは、該電流値に応じて開度を調整し蓄圧器3から供給される圧力を制御し、車輪FR〜RRのホイルシリンダに制動圧を供給する。
また、ブレーキペダル2の踏込み量が減少した場合、ブレーキECU30は、設定された目標ホイルシリンダ圧に基づき電流値よりなる制御信号Vr−FR〜Vr−RRを生成すると共に、各輪の目標ホイルシリンダ圧が実ホイルシリンダ圧よりも低くなった場合、リニア増圧弁6FR〜6RRを閉じ、制御信号Vr−FR〜Vr−RRをリニア減圧弁7FR〜7RRに出力する。リニア減圧弁7FR〜7RRは、該電流値に応じて開度を調整し、ホイルシリンダが低圧の戻り配管11と連通することで、ホイルシリンダ内の制動圧が緩和される。
ブレーキECU30の機能ブロックについて説明する。ブレーキECU30は、ブレーキペダル2の操作に応じて目標制御量を設定する目標制御量設定手段36、ブレーキペダル2の操作を検出する操作検出手段の検出値に基づき目標制御量を制限する目標制御量制限手段37、を有するように構成される。
目標制御量設定手段36は、マスタシリンダ圧に基づいて目標減速度を演算し、目標減速度や車両の走行状況等に基づき各車輪のブレーキ配分を算出する。目標減速度及び各車輪のブレーキ配分が算出されたら、各車輪の制動圧を制御する目標ホイルシリンダ圧を設定する。
目標制御量制限手段37は、ブレーキペダル2の操作を検出する操作検出手段の検出値に基づき目標制御量を制限する。ブレーキペダル2の操作検出手段が検出する検出値とは、ブレーキペダル2のストローク量、踏力、ストロークの速さ、マスタシリンダ圧等や、これらの微少な時間経過分の変化量(微分値)等の値を言う。したがって、目標制御量制限手段37は、これらストローク量やストロークの速さ等に基づき、目標制御量を制限する。なお、目標制御量とは、例えば目標減速度や目標ホイルシリンダ圧等、目標の減速度が得られるように設定される当該ブレーキ装置の制御量をいう。
目標制御量設定手段36は、設定された目標ホイルシリンダ圧、又は、目標制御量制限手段37により目標制御量が制限された場合には制限された後の目標制御量に基づき、電流値よりなる制御信号Va−FR〜Va−RRを生成しリニア増圧弁6FR〜6RRに出力する。また、目標制御量設定手段36は、設定された目標ホイルシリンダ圧、又は、標制御量制限手段37により目標制御量が制限された場合には制限された後の目標制御量に基づき、電流値よりなる制御信号Vr−FR〜Vr−RRを生成しリニア減圧弁7FR〜7RRに出力する。当該制御により、過敏な応答の低減と応答遅れの低減とを両立してブレーキ制御を行うことができる。また、ブレーキペダル2は踏み込まれていないが、車両の挙動制御、障害物回避等の要求から制動力を発揮させることが要求される場合に、各輪のホイルシリンダ圧の増減が図られる。
なお、ブレーキ制御中に車輪のロック傾向が生じた場合、車輪のスリップ率が所定値を超えないように各輪のホイルシリンダ圧を増減させることでアンチロックブレーキシステム(ABS)の機能を実現することができる。更に、各輪のホイルシリンダ圧を適宜制御することで、トラクションコントロール(TRC)の機能、車両姿勢制御(VSC)、その他公知の自動ブレーキ制御を実現できる。
本実施例では、目標減速度の変化勾配に下限の勾配制限を設け、当該下限の勾配制限よりも高い変化勾配の目標減速度についてはフィルタ処理を行い過敏な応答を低減するブレーキ装置の制御手順について説明する。
図2は、目標減速度の変化勾配に下限の勾配制限を設定し、下限の勾配制限よりも高い変化勾配の目標減速度についてはフィルタ処理を行う制御手順のフローチャート図を示す。まず、ブレーキペダル2が踏み込まれると、ブレーキECU30に、ペダル2のストローク量ST、マスタシリンダ圧PMC及び踏力F等が入力される(S11)。
目標制御量設定手段36は、ストローク量ST、マスタシリンダ圧PMC等に基づき、目標減速度G_filterlessを演算する(S12)。目標減速度G_filterlessは、例えば、次のように演算される。
目標減速度G_filterless=A_AP・G_ST+(1−A_AP)・G_PMC …(1)
なお、(1)式の右辺第1項は、ストローク量STにより演算される分の目標減速度を、第2項はマスタシリンダ圧PMCにより演算される分の目標減速度を、それぞれ表し、A_APはマスタシリンダ圧PMCが大なほど0に近く小なほど1に近い値を取る関数である。(1)式は目標減速度G_filterless算出の一例に過ぎず、マスタシリンダ圧PMCにのみ基づき目標減速度G_filterlessを算出してもよい。
(1)式で演算される、刻々と変化する目標減速度G_filterlessを、時間(X軸)に対してプロットすると、目標減速度の変化勾配を示す曲線が得られる。図3は、刻々と演算される目標減速度の一例を示す図である。目標減速度曲線G_filterlessの変化勾配が大きい場合、ブレーキペダル2が速く踏み込まれたことを表す。
次いで、目標制御量制限手段37は、目標減速度に対しフィルタ処理を行うか否かを判定するための下限の勾配制限G_guardを演算する(S13)。目標減速度曲線G_filterlessが下限の勾配制限G_guardよりも大きな変化勾配を示す場合は、目標制御量制限手段37はフィルタ処理を行う。下限の勾配制限G_guardは例えば、次のように演算される。
下限の勾配制限G_guard=MIN(G_guard前回値−M〔m/s〕・演算周期,G_filterless) …(2)
(2)式で初期のG_guardをゼロとすると、演算周期毎にM〔m/s〕小さいG_guardが演算される。したがって、G_guardは図3に示すように傾きM〔m/s〕の略直線となる。なお、G_guardやG_filterless等、減速度はマイナスの値を取るが、図3では減速度をプラスで表した(以下、実施例1ないし5で同じ)。また、〔m/s〕は減速度の時間変化、すなわち図3において減速度の勾配を表す単位である。
次いで、目標制御量制限手段37は、G_filterlessとG_guardとの差異ΔGを演算する(S14)。ΔGは例えば、次のように演算される。
ΔG=MIN(G_filterless−G_guard,0) …(3)
したがって、ΔGは図3に示す矢印で示される値として演算され、時間に対しては、斜線で示す領域を占める。すなわち、図3の斜線領域が、下限の勾配制限G_guardよりも大きな変化勾配の目標減速度となる。
目標制御量制限手段37は、斜線部分として示されるΔGにフィルタ処理を行い、G_guardに加算することで、制動圧を制御するための勾配ガード減速度G_targetを演算する(S14)。勾配ガード減速度G_targetは、例えば次のように演算される。
勾配ガード減速度G_target=G_guard+filter(ΔG、f1Hz) …(4)
(4)式の右辺第2項filter(ΔG、f1Hz)が、フィルタ処理の演算を示す。設定されたf1〔Hz〕のフィルタ設定値によりΔGをフィルタ処理することで(f1Hz以上の周期で発生する信号を取り込まない等)、G_guard以上の目標減速度に対し、制動要求に対する応答を制限して(緩やかにして)制動圧を供給できる。
本実施例によれば、遅いブレーキペダル2の操作に対しては、目標減速度がフィルタ処理されないので応答遅れすることがなく、また、速いブレーキペダル2の操作に対しては目標減速度にフィルタ処理を加えるので過敏な応答を防止できる。
本実施例では、実施例1のG_guardを多段化等して、速いブレーキペダル2の操作に対しては目標減速度にフィルタ処理を行い過敏な応答を低減するブレーキ装置の制御手順について説明する。
図4は、目標減速度に多段化された下限の勾配制限を設定し、下限の勾配制限よりも大きい変化勾配の目標減速度についてはフィルタ処理を行う制御手順のフローチャート図を示す。なお、実施例1と同一手順には同一のステップ番号を付す。
まず、ブレーキペダル2が踏み込まれると、ブレーキECU30に、ペダル2のストローク量ST、マスタシリンダ圧PMC及び踏力Fが入力される(S11)。目標制御量設定手段36は、ストローク量ST、マスタシリンダ圧PMCに基づき、目標減速度G_filterlessを演算する(S12)。目標減速度G_filterlessの演算方法は実施例1と同様であるので説明を省略する。
次いで、目標制御量制限手段37は、フィルタ処理を行うか否かを判定するための下限の勾配制限G_guard_1を演算する(S101)。目標減速度曲線G_filterlessが下限の勾配制限G_guard_1よりも大きな変化勾配を示す場合、目標制御量制限手段37は、下限の勾配制限G_guard_1を超えた変化勾配の目標減速度に対しフィルタ処理を行う。下限の勾配制限G_guard_1は、例えば、次のように演算される。
下限の勾配制限G_guard_1=MAX(G_guard_1前回値−M〔m/s〕・演算周期,G_filterless) …(5)
図5は、刻々と演算される目標減速度の一例を示す図である。(5)式で初期のG_guard_1をゼロとすると、演算周期毎にM〔m/s〕小さいG_guard_1が演算される。したがって、G_guard_1は図5に示すように傾きM〔m/s〕の略直線となる。
次いで、目標制御量制限手段37は、G_filterlessとG_guard_1との差異ΔG_1を演算する(S102)。ΔG_1は例えば、次のように演算される。
ΔG_1=MIN(G_filterless−G_guard_1,0) …(6)
ΔG_1は、図5に示すように、G_filterlessとG_guard_1との差で表され、時間に対しては領域Aを占める。すなわち、図5の領域Aが、下限の勾配制限G_guard_1よりも大きな変化勾配を示す目標減速度となる。
目標制御量制限手段37は、領域Aとして示されるΔG_1にフィルタ処理を行い、G_guard_1に加算することで、制動圧を制御するための勾配ガード減速度G_target_1を演算する(S103)。勾配ガード減速度G_target_1は、例えば次のように演算される。
勾配ガード減速度G_target_1=G_guard_1+filter(ΔG_1、f2Hz) …(7)
(7)式のように設定されたf2〔Hz〕のフィルタをΔG_1にかけることで、G_guard_1以上の目標減速度に対し、制動要求に対する応答を制限して(緩やかにして)制動圧を供給できる。
次いで、目標制御量制限手段37は、例えば時刻t1において、下限の勾配制限G_guard_2を演算する(S104)。下限の勾配制限G_guard_2は、図5においてG_guard_1の勾配を変更することで行えるので、例えば次のように演算される。
下限の勾配制限G_guard_2=MAX(G_guard_2前回値−N(M<N)〔m/s〕・演算周期,G_filterless) …(8)
(8)式によれば、(8)式で初期のG_guard_2を(5)式により得られた最後のG_guard_1とすると、時刻t1から、G_guard_1の傾きの2倍の下限の勾配制限G_guard_2が得られる。したがって、G_guard_2は、図5に示すようにG_guard_1に延設された傾きN〔m/s〕の略直線となる。
次いで、目標制御量制限手段37は、G_filterlessとG_guard_2との差異ΔG_2を演算する(S105)。ΔG_2は例えば、次のように演算される。
ΔG_2=MIN(G_filterless−G_guard_2,0) …(9)
したがって、ΔG_2は、図5に示すように、G_filterlessとG_guard_2との差で表され、時間に対しては領域Bを占める。すなわち、図5の領域Bが、下限の勾配制限G_guard_2よりも大きな変化勾配を示す目標減速度となる。
目標制御量制限手段37は、領域Bの斜線部分として示されるΔG_2にフィルタ処理を行い、G_guard_2に加算することで、制動圧を制御するための勾配ガード減速度G_target_2を演算する(S106)。勾配ガード減速度G_target_2は、例えば次のように演算される。
勾配ガード減速度G_target_2=G_guard_2+filter(ΔG_2、f3(f3<f2)Hz) …(10)
(10)式のように設定されたf3〔Hz〕のフィルタ設定値によりΔG_2をフィルタ処理することで、G_guard_2以上の目標減速度に対し、制動要求に対する応答を制限して(緩やかにして)制動圧を供給できる。
本実施例によれば、下限の勾配制限G_guardを多段化し、また、フィルタ設定値を切り替えることができるので、速いペダル操作に対しより柔軟に制動圧を制限することが可能となる。
なお、下限の勾配制限G_guardの切り替えは、例えば、本実施例のように制動操作があってからの時間で行ってもよいし、演算周期毎に行ってもよい。また、目標減速度G_filterlessの勾配、マスタシリンダ圧PMC、踏力F等に応じて行ってもよい。これにより、ブレーキペダル2の操作の速さや強さ等に応じて、下限の勾配制限G_guardやフィルタ設定値が切り替わるので、ブレーキペダル2の操作の速さに応じて適切な、目標減速度の制限が可能となる。
また、本実施例では、下限の勾配制限G_guardを切り替えることで多段化したが、最大勾配G_guardを非線形の曲線とするなど、任意の曲線として設定し、下限の勾配制限G_guard以上の目標減速度をフィルタ処理してもよい。
本実施例では、ブレーキペダル2の操作に応じて切り替えの可能なフィルタ設定値により、目標減速度にフィルタ処理を行い過敏な応答を低減するブレーキ装置の制御手順について説明する。
図6は、切り替えの可能なフィルタ設定値により目標減速度に対しフィルタ処理を行う制御手順のフローチャート図を示す。なお、実施例1と同一手順には同一のステップ番号を付す。
ブレーキペダル2が踏み込まれると、ブレーキECU30に、ペダル2のストローク量ST、マスタシリンダ圧PMC及び踏力Fが入力される(S11)。ブレーキECU30は、ストローク量ST、マスタシリンダ圧PMCに基づき、目標減速度G_filterlessを演算する(S12)。目標減速度G_filterlessの演算方法は実施例1と同様であるので説明を省略する。
次いで、目標制御量制限手段37は、フィルタ設定値を設定する(S301)。フィルタ設定値は、マスタシリンダ圧PMCやストローク量ST、目標減速度G_ filterless 等に基づき演算されることが好適である。図7(a)は、マスタシリンダ圧PMCとフィルタ設定値fの関係を示すフィルタ設定MAPの一例を示す。図7(a)によれば、マスタシリンダ圧PMCが大きいほどフィルタ設定値fが小さくなる。フィルタ設定値fが小さくなると、信号の取り込み周期が遅くなるので、マスタシリンダ圧が大きくなるにつれて、信号処理を緩やかにできる。また、フィルタ設定値は図7(b)に示すように、マスタシリンダ圧PMCの微分値又はマスタシリンダ圧の前回値との差(以下、単にマスタシリンダ圧PMCの微分値dPMCという)により、設定されてもよい。図7(b)によれば、マスタシリンダ圧の微分値dPMCが大きいほどフィルタ設定値fが小さくなるので、ブレーキペダル2の操作が速いほど、信号処理を緩やかにできる。
次いで、目標制御量制限手段37は、フィルタ設定値に基づき目標減速度をフィルタ処理して、制動圧を制御するためのフィルタ可変減速度G_filterを演算する(S302)。フィルタ可変減速度G_filterは、例えば次のように演算される。
フィルタ可変減速度G_filter=filter(G_filterless、fHz) …(11)
したがって、フィルタ設定値f〔Hz〕に応じて、制動要求に対する応答を制限して(緩やかにして)制動圧を供給できる。ブレーキECU30は、フィルタ可変減速度G_filterに基づき制御された制動圧をホイルシリンダに供給する。
本実施例によれば、図7(a)のフィルタ設定MAPに基づき設定された場合、マスタシリンダ圧PMCが大きいほど小さいフィルタ設定値fが設定されるので、マスタシリンダ圧PMCが大きい場合ほど、過敏な応答が抑制されて制動できる。また、フィルタ設定値fが、図7(b)のフィルタ設定MAPに基づき設定された場合、マスタシリンダ圧PMCの微分値dPMCが大きいほど小さいフィルタ設定値fが設定されるので、速いブレーキペダル2の操作がされた場合ほど、過敏な応答を抑制して制動できる。
また、図7(a)又は(b)いずれのフィルタ設定MAPを用いても、遅いペダル操作に対しては大きなフィルタ設定値fが設定されるので、遅いペダル操作に対し応答の遅れが生じることがない。
なお、上述のように、ストローク量ST、踏力F、目標減速度G_ filterless等によりフィルタ設定MAPを定めておいてもよい。
本実施例では、速いブレーキペダル2の操作に対しては、ブレーキペダル2の操作に応じて切り替えの可能なフィルタ設定値により目標減速度に対しフィルタ処理を行い、過敏な応答を低減するブレーキ装置の制御手順について説明する。実施例3では、時間と共に変化するマスタシリンダ圧PMC等に対してフィルタ設定値fを設定したが、本実施例では、ブレーキペダル2を操作した直後(瞬間)のマスタシリンダ圧等に基づきフィルタ設定値を設定する。
図8は、切り替えの可能なフィルタ設定値により目標減速度に対しフィルタ処理を行う制御手順のフローチャート図を示す。なお、実施例1と同一手順には同一のステップ番号を付す。
ブレーキペダル2が踏み込まれると、ブレーキECU30に、ペダル2のストローク量ST、マスタシリンダ圧PMC及び踏力Fが入力される(S11)。目標制御量設定手段36は、ストローク量ST、マスタシリンダ圧PMCに基づき、目標減速度G_filterlessを演算する(S12)。目標減速度G_filterlessの演算方法は実施例1と同様であるので説明を省略する。
次いで、目標制御量設制限手段37は、フィルタ設定値を設定する(S401)。フィルタ設定値fは、制動要求がなされた直後の、例えばマスタシリンダ圧PMCに基づき演算される。制動要求がなされた直後のマスタシリンダ圧とは、例えばストローク量が数mmなど、それほど速くないブレーキペダル2の操作の場合にはマスタシリンダ圧が検出されないような小さいストローク量が検出された時のマスタシリンダ圧である。このような小さいブレーキペダル2の操作でマスタシリンダ圧が検出される場合、ブレーキペダル2が速く操作されたと判定し、検出されたマスタシリンダ圧に基づきフィルタ設定値fを設定する。
図9は、制動要求がなされた直後のマスタシリンダ圧PMCとフィルタ設定値fの関係を示すフィルタ設定MAPの一例である。図9によれば、制動要求がなされた直後のマスタシリンダ圧PMCが大きいほどフィルタ設定値fが小さくなる。フィルタ設定値fが小さくなると、信号の取り込み周期が遅くなるので、マスタシリンダ圧が大きくなるにつれて、目標減速度の処理を緩やかにできる。
次いで、目標制御量設制限手段37は、制動圧を制御するためのフィルタ可変減速度G_filter_2を演算する(S402)。フィルタ可変減速度G_filter_2は、例えば次のように演算される。
フィルタ可変減速度G_filter_2=filter(G_filterless、fHz) …(12)
したがって、フィルタ設定値fに応じて、制動要求に対する応答を制限して(緩やかにして)制動圧を供給できる。ブレーキECU30は、フィルタ可変減速度G_filter_2に基づき制御された制動圧をホイルシリンダに供給する。
本実施例によれば、フィルタ設定値fが、制動要求の直後のマスタシリンダ圧PMCが大きいほど小さいフィルタ設定値fが設定されるので、初動のブレーキペダル2の操作が速いほど、過敏な応答が抑制されて制動できる。
また、遅いペダル操作に対しては大きなフィルタ設定値fが設定されるので、遅いペダル操作に対し応答の遅れが生じることがない。
なお、マスタシリンダ圧PMCの代わりに、ストローク量ST、踏力F、目標減速度G_ filterlessを用いてフィルタ設定値fを抽出してもよい。
本実施例では、目標減速度に対し上限の勾配制限を設け、速いブレーキペダル2の操作があっても、目標減速度が、上限の勾配制限以上の変化勾配とならないように目標減速度を制御し、過敏な応答を低減するブレーキ装置の制御手順について説明する。
図10は、目標減速度に対し上限の勾配制限を設け、速いブレーキペダル2の操作があっても上限の勾配制限以上の変化勾配の目標減速度とならないように目標減速度を制御する制御手順のフローチャート図を示す。なお、実施例1と同一手順には同一のステップ番号を付す。
ブレーキペダル2が踏み込まれると、ブレーキECU30に、ブレーキペダル2のストローク量ST、マスタシリンダ圧PMC及び踏力Fが入力される(S11)。目標制御量設定手段36は、ストローク量ST、マスタシリンダ圧PMCに基づき、目標減速度G_filterlessを演算する(S12)。目標減速度G_filterlessの演算方法は実施例1と同様であるので説明を省略する。
次いで、目標制御量設制限手段37は、目標減速度の上限の勾配制限を定める勾配制限値αを抽出する(S501)。勾配制限値αは、例えばマスタシリンダ圧PMCやマスタシリンダ圧PMCの微分値dPMCに基づき演算される。図11(a)は、マスタシリンダ圧PMCと勾配制限値αとの関係を示す勾配制限値MAPを、図11(b)は、マスタシリンダ圧の微分値dPMCとαとの関係を示す勾配制限値MAPを、それぞれ示す。図11(a)によれば、PMCが大きいほど勾配制限値αが小さく設定され、図11(b)によればdPMCが大きいほど勾配制限値αが大きく設定される。
目標制御量設制限手段37は、勾配制限値MAPから抽出した勾配制限値αを用いて上限の勾配制限G_MAXを演算する(S502)。上限の勾配制限度G_MAXは、例えば次のように演算される。
上限の勾配制限G_MAX=MAX(G_MAX前回値−α〔m/s〕・演算周期,G_filterless) …(13)
図12は、時間に対する目標減速度G_filterlessと上限の勾配制限度G_MAXとの一例を示す。なお、目標減速度G_filterlessについては、図3と同様であるので説明を省略する。勾配制限値αとして図11(a)の値を用いれば、制動初期のマスタシリンダ圧に対し勾配制限値αは例えばQ〔m/s〕が抽出されるので、(13)式で初期のG_MAXはQ〔m/s〕程度となる。以降は演算周期毎に、マスタシリンダ圧PMCが大となるほど勾配制限値αが小さくなり例えばR〔m/s〕が抽出されるので、図12に示すように、G_MAXは徐々に勾配の小さくなる右上がりの曲線となる。
ブレーキペダル2の操作が開始された制動初期(範囲a)は、目標減速度G_filterlessが、上限の勾配制限度G_MAXを超えていないので、目標減速度G_filterlessに基づき制動圧が制御される。また、速いブレーキペダル2の操作がされた場合など、目標減速度G_filterlessが上限の勾配制限度G_MAXを超えると(範囲b)、目標制御量設制限手段37は、上限の勾配制限値G_MAXを超えないように、目標減速度制動圧G_filterlessを制限する。
すなわち、目標制御量設制限手段37は、目標減速度G_filterlessが、図12の斜線部分を超えないように、車両に供給する制動圧を制御する(S503)。
本実施例によれば、速いブレーキペダル2の操作が行われた場合は、目標減速度の変化勾配に上限の勾配制限を設定するので過敏な応答を防止できる。実施例1又は2のように、下限の勾配制限よりも目標減速度が大きな変化勾配となるブレーキペダル2の操作があった場合に超過分の目標減速度に対しフィルタ処理を行うより、より強制的に過敏な応答を防止できる。
また、遅いブレーキペダル2の操作に対しては、上限の勾配制限よりも目標減速度の速度勾配が小さいので、遅いブレーキペダル2の操作に対して応答遅れが生じることがない。
なお、本実施例では、勾配制限値αをマスタシリンダ圧に対して演算したが、ストロークSTや踏力F、目標減速度G_filterlessに対して演算してもよい。
以上のように、実施例1ないし5によれば、過敏な応答の低減と応答遅れの低減を両立できるブレーキ装置を提供することができる。
また、実施例1ないし5については、ブレーキペダルの踏み込み操作について説明したが、ブレーキペダルの踏み戻し操作についても同様に制御できる。また、実施例1ないし5の制御に、ブレーキペダルをほぼ一定のストローク量で操作した場合に徐々に制動力を増加させるいわゆるビルドアップ制御を加えてもよい。
また、実施例1ないし5の複数又は全てを組み合わせて制御してもよい。例えば、下限の勾配制限を設け又は多段化し(実施例1又は2)、制動初期の目標減速度には、制動要求があった直後のPMCに基づくフィルタ設定値fによりフィルタ処理を行い(実施例4)、目標減速度の変化勾配が下限の勾配制限を超えた場合、マスタシリンダ圧PMCに基づき設定されるフィルタ設定値fによりフィルタ処理を行うと共に(実施例2又は3)、より速いブレーキペダル2の操作があった場合には、上限の勾配制限を設けて上限の勾配制限以下の変化勾配の目標減速度となるように目標減速度を制限する(実施例5)。かかる制御を行えば、過敏な応答と応答遅れの低減とをより柔軟に両立して制御できる。
また、実施例1ないし5では、作動流体を用いて制動圧の制御を行ったが、実施例1ないし5の制御方法はアクチュエータにより制動圧を制御するブレーキ装置の制御にも好適に利用できる。
ブレーキペダルの操作量に基づきホイルシリンダの制動圧が制御されるブレーキ装置の油圧回路図である。 目標減速度の変化勾配に下限の勾配制限を設定し、下限の勾配制限よりも高い変化勾配の目標減速度についてはフィルタ処理を行う制御手順のフローチャート図である。 刻々と演算される減速度の一例を示す図である。 目標減速度に多段化された下限の勾配制限を設定し、下限の勾配制限よりも高い変化勾配の目標減速度についてはフィルタ処理を行う制御手順のフローチャート図である。 刻々と演算される減速度の一例を示す図である。 切り替えの可能なフィルタ設定値により目標減速度に対しフィルタ処理を行う制御手順のフローチャート図である。 フィルタ設定MAPの一例である。 切り替えの可能なフィルタ設定値により目標減速度に対しフィルタ処理を行う制御手順のフローチャート図である。 フィルタ設定MAPの一例である。 目標減速度の変化勾配に対し上限の勾配制限を設け、速いブレーキペダルの操作があっても上限の勾配制限以下に目標減速度の変化勾配を制御する制御手順のフローチャート図である。 マスタシリンダ圧PMCと勾配制限値αとの関係を示す勾配制限値MAPの一例である。 刻々と演算される減速度の一例を示す図である。 従来のブレーキ装置における油圧回路の概略図等である。
符号の説明
2 ブレーキペダル
3 蓄圧器
4 油圧ポンプ
5a、5b MC油圧センサ
6FR〜6RR リニア増圧弁
7FR〜7RR リニア減圧弁
9FR〜9RR 制動圧センサ
10 絞り(流通抵抗)
13 蓄圧センサ
20 ストロークセンサ
21 踏力センサ
22 ストロークシミュレータ
30 ブレーキECU
36 目標制御量設定手段
37 目標制御量制限手段

Claims (9)

  1. ブレーキ操作部材の操作に応じて目標制御量を設定する目標制御量設定手段と、該目標制御量に基づき、加圧手段を含む液圧源から各輪のホイルシリンダに供給される液圧を制御する液圧制御手段とを含むブレーキ装置において、
    前記ブレーキ操作部材の操作を検出する操作検出手段の検出値に基づき前記目標制御量を制限する目標制御量制限手段を有する、
    ことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 前記目標制御量制限手段は、前記目標制御量の変化勾配が所定の下限よりも大きい場合に該目標制御量を制限する、
    ことを特徴とする請求項1記載のブレーキ装置。
  3. 前記目標制御量制限手段は、前記所定の下限を超過した前記目標制御量にフィルタ処理を行うことを特徴とする、請求項2記載のブレーキ装置。
  4. 前記目標制御量制限手段は、前記目標制御量にフィルタ処理を行う、
    ことを特徴とする請求項1記載のブレーキ装置。
  5. 前記目標制御量制限手段は、前記フィルタ処理による前記目標制御量の制限を調整するフィルタ設定値を前記操作検出手段の検出値に基づき設定する、
    ことを特徴とする請求項3又は4記載のブレーキ装置。
  6. 前記目標制御量制限手段は、前記操作検出手段の検出値又は検出値の変化率が大きいほど、前記フィルタ設定値を小さくする、
    ことを特徴とする請求項5記載のブレーキ装置。
  7. 前記目標制御量制限手段は、該目標制御量の変化勾配を所定の上限以下に制限することを特徴とする請求項1記載のブレーキ装置。
  8. 前記変化勾配の所定の上限は、前記操作検出手段の検出値に基づき設定される、
    ことを特徴とする請求項7記載のブレーキ装置。
  9. 前記ブレーキ操作部材の操作状況をシミュレートするストロークシュミレータと、
    前記ストロークシミュレータに入出する作動流体の流通抵抗となる流通抵抗手段と、
    を有することを特徴とする請求項1ないし8いずれか記載のブレーキ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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