JP2006150751A - 3次元形状構成物の製造方法、及びマイクロレンズ - Google Patents

3次元形状構成物の製造方法、及びマイクロレンズ Download PDF

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Abstract

【課題】 金型や大規模な設備を必要とせず、プロセスとしても簡便であるため、コスト的に有利であり、かつ吐出材料と基板材料の設計自由度が高く、さらに所望の形状を作製することのできる3次元形状構成物の製造方法、及びこの製造方法により実現できるマイクロレンズを提供する。
【解決手段】 液滴吐出ヘッド11から基板10上にインク液滴20を吐出し(図1(a))、基板10上に着弾したインク液滴21aに硬化処理を施して1層目インク液滴21Aとする(図1(b))。次に、1層目インク液滴21Aの上にさらにインク液滴20を吐出し、インク液滴21bを積層させ(図1(c))、このインク液滴21bに硬化処理を施す(図1(d))。これにより、吐出インク液滴の体積及び積層回数を制御するという簡便な工程で、レンズ径及び傾斜角を任意に制御したマイクロレンズを作製することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インク液滴を吐出して硬化させることにより作製する3次元形状構成物の製造方法、及びこの製造方法により作製することができるマイクロレンズに関する。
液晶ディスプレイ、光ファイバ、カラーイメージセンサーなどの分野において、マイクロレンズには高い需要が寄せられている。マイクロレンズを複数配設したマイクロレンズアレイを作製する従来の方法としては、フォトリソプロセスや金型形成、イオン拡散法などを利用する方法が知られている。
また、従来のマイクロレンズアレイの製造法としては、インクジェットヘッドを用いて光学樹脂材料の液滴を吐出し、硬化させることによって製造する方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、作製される1つの半球状のレンズの径は、インクジェットヘッドから吐出された光学樹脂材料の1滴の吐出体積に依存している。各レンズ間のピッチは、ガラス板等の光学材料を載せて移動可能なステージの可動分解能や、インクジェットヘッドのノズル間ピッチの相互関係に依存する。作製される半球状のレンズの曲率は、光学樹脂材料とガラス板間の界面張力により決まる接触角、並びに光学樹脂材料及びガラス板それぞれの表面張力で決定される。したがって、上記従来の方法を用いれば、上記のような因子を予め設定することによって、作製されるマイクロレンズアレイを設計することができる。
さらに、上記した従来の方法のように、インクジェットヘッドを用いた場合、ヘッドに複数の異なる屈折率をもった光学樹脂材料を供給できるため、マイクロレンズアレイの中央のレンズと周辺部のレンズとで、屈折率を段階的に変化させることができる。また、合成染色材料、顔料などの種々の色素を、光学樹脂材料に添加することによって、フィルター機能をもったマイクロレンズアレイを作製することも可能である。
このようにして作製されたマイクロレンズアレイの上にさらに樹脂をスピンコートし、もう一度平面を形成すれば、上述した機能を備えたマイクロレンズアレイを光軸方向に多層化することも可能である。また、吐出される光学樹脂材料の分極率を制御することにより、作製されるマイクロレンズアレイの各レンズの屈折率を変化させることができるが、インクジェットヘッドを用いることにより、複数の異なる屈折率をもった光学樹脂材料をレンズの材料として供給することが容易となる。
また、上述した方法以外に、濡れ性を変化させることができる濡れ性可変層を基板表面に設け、その上にマイクロレンズを形成する方法が報告されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、マイクロレンズを設ける部分は、濡れ性可変層の濡れ性を親液性とした親液性領域とし、マイクロレンズを設ける部分以外は、濡れ性可変層の濡れ性を撥液性とした撥液性領域とすることにより、親液/撥液性のパターン処理を基板に施す。このことにより、基板には親液/撥液性のコントラストが形成されるから、基板に表面処理を施さない場合(濡れ性可変層を設けない場合)よりも、接触角の高いマイクロレンズを作製することができる。さらに、マイクロレンズ形成用塗料の量とマイクロレンズ形成用塗料が塗布される親液性領域の面積とを制御することにより、その接触角を制御することが可能となる。
特開2000−108216(2000年4月18日公開) )特開2001−141906(2001年5月25日公開)
マイクロレンズアレイの製造においては、上述したようなインクジェットヘッドを用いる方法によって、フォトリソプロセスや金型形成、イオン拡散法を用いたマイクロレンズの製造方法の抱えているプロセス及びコスト面での課題を解決することができる。
しかしながら、上述した従来のインクジェットヘッドを用いた方法によって得られるマイクロレンズを形成するための微小液滴の接触角は、吐出される光学樹脂材料(以下、適宜「吐出材料」という)と基板との間の界面張力、並びに吐出材料及び基板それぞれの表面張力の釣り合いによって決定される。したがって、マイクロレンズのレンズ径を決めると、作製されるマイクロレンズの形状は、吐出材料と基板材料との組み合わせによって、一意的に決定されてしまうことになる。つまり、従来のインクジェットを用いたマイクロレンズアレイの製造方法は、吐出材料及び基板材料の選定に自由度がなく、さらに得られるマイクロレンズの形状には吐出材料と基板材料に因る制約があるという問題を抱えている。
一般に、マイクロレンズの用途では、90度程度の高い接触角が要求される場合が多いが、このような高い接触角を有する吐出材料及び基板材料を選定することは難しい。基板に表面処理を施して、吐出材料と基板との接触角を増加させ、その結果レンズ特性因子となる曲率を制御することも可能であるが、依然として十分な接触角を得られない場合も多い。また、基板に撥液処理を施すことによれば接触角を高めることができるが、この撥液処理は作製したマイクロレンズと基板との密着性を低下させる原因となるという問題も生じる。また、マイクロレンズ上にさらに別の薄膜を形成する場合には、マイクロレンズが作製されない基板領域の撥液性により、基板と該薄膜との密着性が劣化するという問題も起こりうる。
また、特許文献2に記載されている、基板表面に親液/撥液性コントラストを設けるという従来の製造方法によれば、高い接触角を実現することができ、さらにその角度を制御することが可能であるものの、予め基板に親液/撥液性の微細なパターン処理を施すプロセスを追加する必要があり、製造コストが増加してしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、金型や大規模な設備を必要とせず、プロセスとしても簡便であり、吐出材料と基板材料との設計自由度が高く、さらに、所望の形状を作製することのできる3次元形状構成物の作製方法、及びこの作製方法を用いたマイクロレンズを提供することを目的としている。
本発明の製造方法は、上記の課題を解決するために、基板上にインク液滴を吐出し、硬化させる工程を有する3次元形状構成物の製造方法において、前記吐出、硬化させたインク液滴上に、さらにインク液滴を吐出し、硬化させる工程を有することを特徴としている。
上記本発明によれば、基板に対して或る傾斜角を有して硬化を完了したインク液滴上に、さらにインク液滴を吐出するので、硬化の完了したインク液滴(以下、適宜「インク液滴硬化物」という。)の有する傾斜角と、吐出されたインク液滴自身が形成する傾斜角とが重ね合わされて3次元形状構成物が形成される。したがって、上記のようにして、1層目のインク液滴硬化物(以下、適宜「インク液滴1層」という。)の上に2層目のインク液滴硬化物(以下、適宜「インク液滴2層」という。)が形成された3次元形状構成物の傾斜角は、最大で、1層目のインク液滴が基板となす傾斜角の最大値と2層目のインク液滴が1層目のインク液滴となす傾斜角の最大値の和となり得る。このように、本発明の製造方法は、吐出及び硬化の一連の工程により形成されたインク液滴硬化物の層が複数重ねることにより3次元形状構成物を作製するものであるから、本発明の製造方法により作製された3次元形状構成物は、インク液滴1層のみでは実現し得ない高い傾斜角の最大値を得ることが可能となる。
このようにインク液滴を積層することによって、例えば、3次元形状構成物としてマイクロレンズを形成すれば、作製するレンズ径及び傾斜角というレンズ特性を任意に制御することが可能である。すなわち、基板上に吐出する1層目の吐出インク液滴の体積を制御することにより、所望のレンズ径を実現することができる。そして、基板上に吐出し、硬化させた1層目のインク液滴上に、さらにインク液滴を吐出し、硬化させる工程を適当回数繰り返すことにより、所望の傾斜角を実現することができる。このため、本発明の製造方法によれば、作製するレンズのレンズ特性を任意に制御することが可能となる
ところで、本発明においては、インク液滴を吐出する際における、インク液滴吐出体積、吐出位置の精度が、インク積層を実現するための非常に重要な因子となる。このため、本発明の製造方法は、前記インク液滴をインクジェットヘッドにより吐出させる構成とすることが好ましい。
インクジェットヘッドを用いれば、1滴のインク液滴の吐出体積を精度よく制御することが可能である。さらに、その1滴のインク液滴の吐出体積は、数pl程度の微量液滴であり、かつ予めその体積を計測しておくことができる既知のものである。したがって、1滴のインク液滴の吐出回数から、吐出されたインク液滴の吐出量の総体積を見積もることができる。このように、1層目のインク液滴の吐出において、このインク液滴の吐出量の総体積を高精度に制御することができるから、所望のレンズ径となるように、レンズを精度よく形成することが可能となる。なお、1層目のインク液滴とは、基板上に最初にインク液滴が吐出されてから硬化させるまでに吐出されたインク液滴のことをいう。
また、2層目以降のインク液滴の吐出においては、既に硬化しているインク液滴の直上に、正確にインク液滴を吐出する必要がある。インクジェットヘッドを用いた吐出では、任意の吐出位置に、正確にインク液滴を吐出することが可能であるので、再現性よくインク液滴を積層することが可能である。また、インク液滴を吐出し、硬化させる工程を繰り返すことも容易である。
さらに、インクジェットヘッドには、複数のノズルを搭載できるので、一度に複数のレンズを作製することができるという利点がある。すなわち、複数のノズルから同時にインク液滴を吐出することにより、マイクロレンズアレイ等の3次元形状構成物を迅速に作製することができる。また、複数のインクジェットヘッドを用いれば、3次元形状構成物をさらに効率よく作製できることに加え、各インクジェットヘッドに供給するインク材料の種類を選択することもできる。このため、数種類のインク材料を積層させた、マイクロレンズアレイ等の3次元形状構成物を作製することも可能となる。
また、インクジェットヘッドによる吐出では、インクジェットヘッドと基板との距離は一定に保ったまま、インク液滴を基板上に吐出、着弾させることから、インクジェットヘッドは水平方向にのみ移動する。このように、インクジェットヘッドを用いることにより、上下方向(垂直方向)に移動する工程が省かれるため、時間的及び操作的に簡便にマイクロレンズアレイ等の3次元形状構成物を作製することができる。
本発明の製造方法は、前記インク液滴をディスペンサヘッドにより吐出させることとしてもよい。ディスペンサヘッドを用いてインク液滴を吐出させる場合、インク液滴の吐出位置の精度が、ディスペンサヘッドの位置決め精度という機構系の精度によって、ほぼ決定されることとなる。このため、機構系以外の因子の影響によって、インク液滴の吐出位置の精度にばらつきが生じなくなるから、3次元形状構成物を精度良く作製することができる。また、ディスペンサヘッドによれば、例えば10000cpを超える高粘度インク材料を吐出することも可能であるから、吐出することのできるインク液滴の濃度範囲が広く、材料選択性に優れているという利点がある。
ところで、前記基板上もしくは前記吐出、硬化させたインク液滴上に吐出させるインク液滴はは前進接触角をなすことが好ましい。
インク液滴が基板上で移動する場合、インク液滴が前進する部分の接触角は前進接触角、インク液滴が後退する部分の接触角は後退接触角と呼ばれるが、前進接触角と後退接触角とが異なる角度を示す場合があり、濡れのヒステリシスとして知られている。濡れのヒステリシスが発生するメカニズムについては、摩擦、吸着、面粗さなどの影響を受けるとされているが、未だ明確に解明されているとは言えない。しかしながら、インク液滴が基板上において取り得る接触角の中で、前進接触角が最も高い数値であるということには変わりはない。
したがって、前進接触角をなすインク液滴を硬化させることによって、最も高い傾斜角を有するインク液滴硬化物を作製することができる。
本発明の製造方法は、前記基板上もしくは前記吐出、硬化させたインク液滴上に吐出させるインク液滴が2滴以上であることが好ましい。
2滴目以降のインク液滴が着弾した際、着弾後のインク液滴は着弾前よりも、基板上もしくはインク液滴硬化物上で全体的に拡がる形態を取る。すなわち、インク液滴の移動という観点から見れば、上記のように硬化させる前にインク液滴を2滴以上吐出することは、インク液滴が前進することと同義である。このように、インク液滴が全体的に拡がる場合、基板、及びインク材料の種類、組み合わせに関わらず、インク液滴は、前進接触角を形成することができる。その結果、取り得る接触角の中で最も高い接触角を有する形状のインク液滴を形成することができ、このインク液滴を硬化させることにより、高い傾斜角を有するインク液滴硬化物を作製することができる。また、その上に、さらにインク液滴を積層することで、より高い傾斜角を有する3次元形状構成物を作製することができる。
また、上記の製造方法によれば、ヒステリシスの有無に格段の注意を払わなくとも、基板面とインク材料との組み合わせによって決まる、取り得る最大の接触角を実現した形状のインク液滴を形成することができる。
また、上記のように、前記基板上もしくは前記吐出、硬化させたインク液滴上に吐出させるインク液滴が2滴以上である場合、前記基板上もしくは前記吐出、硬化させたインク液滴上に吐出させるインク液滴の材料は、前進接触角と後退接触角とで差異を有するものであることが好ましい。
インク液滴は、吐出に続いてなされる硬化に伴い、収縮し、全体の体積を減少させる。ここで、上記のように、2滴以上を吐出させて形成されたインク液滴は、接触角にヒステリシスがない場合、インク液滴の硬化に伴って収縮が起こると、その接触角を変えることはない。このため、硬化により、インク液滴の接触角を保ったまま体積を減少させ、インク液滴硬化物となる。このことは、硬化処理時の収縮による体積減少を達成するために、インク液滴の径が減少することを意味する。
すなわち、1層目のインク液滴を密集させて吐出した場合でも、硬化に伴う体積減少によって、インク液滴径が縮小し、インク液滴間の間隔が拡がってしまい、マイクロレンズアレイの開口率を低減させてしまう原因となり得る。また特に、基板上に吐出、硬化させた1層目のインク液滴(インク液滴1層)上に、当該インク液滴1層表面をほぼ覆うように吐出された2層目インク液滴に硬化処理が施された場合には、硬化に伴う体積減少によって、インク液滴径が縮小しインク液滴1層の径に対し、インク液滴2層の径が小さくなるから、その間には段差が形成される。
これに対して、上記のように、インク液滴材料として、前進接触角を有しており、かつ前進接触角と後退接触角とで差異を有するものを用いれば、インク液滴の硬化に伴う体積減少が起こる際には、まずその接触角を減少させることにより、体積減少を達成しようとする。その結果、インク液滴の硬化に伴う体積減少分が、その前進接触角を後退接触角にまで変える間に減少される体積よりも小さければ、そのインク液滴の径は変化しないまま硬化が完了する。
一方、前進接触角を有しており、かつ前進接触角と後退接触角とで差異を有するものをインク液滴材料として用いれば、以下のような利点がある。
当該1層目のインク液滴が硬化して、インク液滴1層とすることによって、1層目のインク液滴間の間隔が拡がることがない。このため、3次元形状構成物としてのマイクロレンズアレイを製造する場合、1層目インク液滴を密集させておけば、より大きな開口率を有するものを作製することができる。
また、基板上に吐出し、硬化させたインク液滴1層上に、当該インク液滴1層と同サイズすなわち同じ径になるように2層目のインク液滴を吐出すれば、硬化処理によって、当該2層目のインク液滴径は変化しない。このため、インク液滴1層とインク液滴2層との間に段差が形成されることはない。このようにして作製した3次元形状構成物は、そのインク液滴が単体で基板に吐出されたときに形成されるインク液滴よりも高い傾斜角の最大値を有することとなる。また、インク液滴1層とインク液滴2層との間に段差を有していないことから、高い接触角を有する1つのマイクロレンズとみなすことができる。
すなわち、吐出させるインク液滴が少なくとも2滴以上で、前進接触角を形成しており、さらにそのインク液滴材料が形成する接触角が、前進接触角と後退接触角とで差異を有している場合、吐出したインク液滴の径を減ずることなく、該インク液滴を硬化させることができる。そして、その結果、3次元形状構成物として、例えば、開口率の大きなマイクロレンズアレイを作製することができ、さらに別途基板の表面処理などを施す必要なく、1つの球面とみなすことができる、高い傾斜角を有する3次元形状構成物を作製することができる。
本発明の製造方法は、前記吐出、硬化させたインク液滴上にさらに吐出するインク液滴の材料は、前記吐出、硬化させたインク液滴とは異なる材料であってもよい。吐出、硬化させたインク液滴と、そのインク液滴上にさらに吐出するインク液滴において、互いに異なるインク材料を使用することにより、例えば、屈折率の異なるインク材料を複数の積層した3次元形状構成物を作製することが可能となる。すなわち、所望の屈折率を有するレンズを作製する場合に、当該所望の屈折率を有する材料を別途調製する必要はなく、既存のインク材料の組み合わせにより、レンズの屈折率を任意に設定することができ、さらにその屈折率を微調整することも可能である。
本発明の製造方法は、前記吐出、硬化させたインク液滴上に、さらにインク液滴を吐出し、硬化させる工程が、少なくとも2回なされるものである場合、吐出し、硬化させる最後の工程よりも前の工程において、インク液滴表面に段差を形成することが好ましい。
このように、インク液滴表面に予め段差を形成しておくことにより、その後に、さらにインク液滴を吐出する際に、当該吐出されたインク液滴の吐出量及び吐出位置のばらつきを、段差により吸収することができる。したがって、これらのばらつきにより、インク液滴が基板に落ちてしまうことを防止することができる。
例えば、吐出、硬化させたインク液滴上に、さらにインク液滴を吐出し、硬化させる工程が2回である場合、基板上に直接形成されたインク液滴1層と当該インク液滴1層上のインク液滴2層との間に段差を形成しておく。これにより、2回目の工程により、インク液滴2層上に形成されるインク液滴の吐出体積をインク液滴2層のみでなくインク液滴1層をも濡らす量としても、当該インク液滴の余分な量を段差により吸収することができる。さらに、2回目の工程により形成されるインク液滴が、硬化時に体積減少した場合にさらなる段差が形成されることを防ぐことができる。すなわち、あえて1回目の工程で1つの段差を形成することにより、その段差が以降のインク液滴の吐出体積及び吐出位置のばらつきを緩和する余地となり、2回目以降の工程を確実に実現できるという効果をもたらすことになる。
本発明のマイクロレンズは、インク液滴を硬化させた3次元形状物が複数重なって構成されたものであることを特徴としている。
従来のマイクロレンズのように、基板上にインク液滴を硬化させた3次元形状物の1層のみをマイクロレンズとした場合、マイクロレンズの形状は、インク材料と基板材料の組み合わせ、及び吐出されたインク液滴の体積によって、一意的に決定されてしまう。すなわち、マイクロレンズの曲率は、インク材料と基板材料との界面張力、並びにインク材料と基板材料それぞれの表面張力の釣り合いによって一意的に決定されてしまう。また、作製されるマイクロレンズのレンズ径は、吐出されたインク液滴の体積によって決定されてしまう。
これに対し、本発明のマイクロレンズは、インク液滴を硬化させた3次元形状物が複数重なってなるものであるから、各3次元形状物それぞれの光学特性を重ね合わせた特性を有するマイクロレンズを簡便に実現できる。このため、インク液滴を硬化させた3次元形状構成物でありながら、インク材料や基板材料に因る制約なく、マイクロレンズの形状、すなわち曲率及び径を制御することが可能となり、焦点距離などの光学特性を任意に設定することができる。
また、本発明のマイクロレンズは、マイクロレンズ表面の接平面が基板となす角度である傾斜角の最大値が、前記マイクロレンズの構成材料であるインク液滴が単体で基板上に吐出されたときに形成する前記傾斜角の最大値よりも大きいことを特徴としている。
上述した本発明の製造方法により作製した3次元形状構成物をマイクロレンズとして応用するには、3次元形状構成物が所望の傾斜角を有するものである必要がある。また、インク液滴が単体で基板上に吐出されたときになす傾斜角は、マイクロレンズの応用として考えられている液晶ディスプレイ、光ファイバ、カラーイメージセンサーといった用途に対しては小さすぎることが多い。このため、マイクロレンズとして応用するために、マイクロレンズの曲率を大きくして、焦点距離を短くすることがしばしば要求される。
上述した本発明の製造方法によれば、インク液滴を硬化させた3次元形状物を複数重ねることによって、基板上に特別の処理を施すことなく、傾斜角の最大値を基板上にインク液滴が単体で吐出されたときになす傾斜角よりも大きくすることができる。このように、上記本発明の製造方法により、所望とする傾斜角を実現した上記本発明のマイクロレンズを実現することができる。
本発明のマイクロレンズは、前記マイクロレンズ表面に段差を有するものであってもよい。
インク液滴を硬化させた3次元形状物が複数重なって構成されるマイクロレンズのうち、その形状が1つの球面として近似されるものは、その表面の接平面が基板となす角度である傾斜角は様々な値を取り得るので、傾斜角には或る分布が存在することとなる。そして、その傾斜角の分布は、そのレンズ径に因らず一意的に決定されるものである。これに対し、マイクロレンズを構成する3次元形状物の間に段差が形成されている場合、上記傾斜角の分布を変化させて、マイクロレンズの光学特性を変化させることができる。このため、例えば、複数の焦点距離を有するマイクロレンズを作製することも可能となる。
このような段差の形成は、例えば、吐出、硬化されたインク液滴に対し、その上にさらに吐出するインク液滴の量を、硬化されたインク液滴表面を覆う量よりも減らすことや、インク液滴の硬化時の体積減少による収縮を利用することにより実現できる。すなわち、インク液滴が前進接触角と後退接触角とで差異をなさない場合には、硬化に伴う体積減少はインク液滴径が小さくなることにより補填される。このため、その表面を覆う量のインク液滴を硬化されたインク液滴表面に吐出した場合であっても、それらインク液滴の間には段差が形成される。さらに、インク液滴が前進接触角と後退接触角とで差異をなす場合でも、インク液滴の硬化による体積減少分が、その前進接触角を後退接触角にまで変える間に減少される体積よりも大きい場合には、前進接触角が後退接触角にまで減少した後、さらにそのインク液滴径を小さくすることになり、それらインク液滴の間には段差が形成される。
また、インク液滴材料の種類によって、インク液滴の硬化時の体積減少率は異なる。したがって、吐出、硬化させたインク液滴(インク液滴硬化物)と、そのインク液滴硬化物上にさらに吐出されるインク液滴の種類を変えた場合、これらインク液滴の体積減少率の相異を利用して、段差形成を行うことができる。さらに、それらの体積減少率に基づいて、インク液滴径の収縮の程度を見積もることも可能であるので、段差形成を制御して行うことが可能である。なお、本発明において「段差」とは、マイクロレンズ表面上において、曲面の曲率が非連続的に変化している部分のことをいう。
また、上記のように、前記マイクロレンズ表面に段差を有する場合、前記マイクロレンズ表面の段差が1つであることが好ましい。
焦点を一箇所で結像したい場合には、マイクロレンズ表面において傾斜角が分布していることは必要ではなく、マイクロレンズを構成する3次元形状物の間には、段差が形成されていないことが望ましい。また、さらにその焦点距離を短くしたい場合には、マイクロレンズ表面の傾斜角の最大値がより高くなるように、インク液滴の積層数を増やすことが必要になる。そして、インク液滴の積層は、上述したように、インク液滴の吐出におけるインク液滴の吐出体積、及び吐出位置の精度が非常に重要な因子となる。
インク液滴硬化物上に吐出されたインク液滴の体積が、インク液滴硬化物上に積層可能なインク液滴体積よりも大きい場合には、吐出したインク液滴がインク液滴硬化物上に留まることができず、基板上に濡れ落ちてしまうという問題が起こる。また吐出位置がわずかにずれた場合にも、インク液滴が基板上に濡れ落ちてしまうこととなる。
そこで、例えば、3層以上の積層3次元形状物を作製する場合に、2層目のインク液滴径がインク液滴1層の液滴径よりもわずかに小さくなるようにし、あえてインク液滴1層とインク液滴2層との間に段差を形成する。マイクロレンズ表面におけるインク液滴2層の下方に、このような段差が形成されていることにより、3層目インク液滴の積層可能な吐出体積に、ある程度のばらつきが許容されることとなる。これにより、3層目インク液滴が、マイクロレンズ表面に積層可能なインク液滴体積よりも多く吐出された場合にも、ある程度の体積を上記段差の部分で吸収することができるから、3層目インク液滴が基板上に濡れ落ちることなく、積層を達成することができる。
また、吐出されたインク液滴がインク液滴2層上の所定の吐出位置からわずかにずれた場合、インク液滴が基板上へと落下することなく、段差が形成されていることにより、インク液滴1層上に留まることができ、基板上濡れ落ちることなく積層を達成することができる。この段差の形成には、上述したように、吐出、硬化されたインク液滴1層に対し、さらにその上に吐出する2層目のインク液滴の量を減らすことによっても達成されるが、インク液滴の硬化時の体積減少による収縮を利用することもできる。
さらに、インク液滴2層上に積層する3層目のインク液滴は、インク液滴1層を濡らすほどの吐出体積としておくことで、硬化時にインク液滴が体積減少をした場合でも、3層目インク液滴の部分でさらに段差を形成することなく、積層することができる。すなわち、あえて2層目のインク液滴を積層する時点で1つの段差を形成することにより、その段差が、以降のインク液滴の吐出体積及び吐出位置のばらつきを緩和する余地となり、3層目以降の積層を確実に実現することができるという効果をもたらす。
本発明のマイクロレンズは、複数の3次元形状物の少なくとも1つの3次元形状物が、可視光領域において有色であるものであってもよい。
例えば、合成染色材料や顔料などを含むインク液滴を使用すれば、可視光領域において有色のマイクロレンズを作製することができ、これにより、フィルター機能をマイクロレンズに付与することが可能である。さらに積層する際に、各層に異なる色のインク液滴を使用することにより、積層3次元形状構成物の色を変えることができるため、任意の色のマイクロレンズを作製することができる。また、有色のインク材料とクリアインク材料とを積層すれば、インク自体を希釈せずとも、3次元形状構成物の色の濃度を薄くすることができ、同色のインクを積層すれば、3次元形状構成物の色の濃度を濃くすることができる。
なお、本発明において、「可視光領域」とは、波長380nm〜800nmの範囲内の電磁波のことをいい、「有色」とは、可視光領域における吸光度が波長領域毎に異なることをいう。
本発明のマイクロレンズは、マイクロレンズを構成する複数の3次元形状物のうち少なくとも1つの3次元形状物が、他の3次元形状物と屈折率が異なるものであってもよい。
屈折率の互いに異なる複数のインク材料を積層することにより、作製するマイクロレンズの屈折率を調整することが可能である。すなわち、上記の構成によれば、所望の屈折率を有するレンズを作製する場合に、当該所望の屈折率を有する材料を別途調製する必要はなく、既存のインク材料を組み合わせることにより、屈折率を任意に設定することができる。さらにインク材料組成のみの制御によっては困難である、屈折率の微調整をも実現することが可能である。
本発明のマイクロレンズの前記インク液滴は、前進接触角と後退接触角とが異なる材料によりなるものであることが好ましい。
上述したとおり、インク液滴が硬化するときには、収縮が起こり、全体の体積を減少させる。インク液滴の前進接触角と後退接触角とが互いに異なる場合、インク液滴は硬化の際に、まずその接触角を減少させることにより、体積減少を達成しようとする。したがって、インク液滴の硬化に伴う体積減少分が、その前進接触角を後退接触角にまで変える間に減少される体積よりも小さい場合には、そのインク液滴径は変化しないまま硬化が完了することとなる。
複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイの製造においては、各レンズの形状として、例えば、所望のレンズ径や高い傾斜角が要求されることに加え、より大きな開口率が求められる。上述したように、前進接触角と後退接触角とが差異を有するインク液滴を使用してマイクロレンズを形成すれば、インク液滴の硬化前後においてそのインク液滴径の減少量を抑制できるので、インク液滴を密集させて吐出することにより、より大きな開口率を有するマイクロレンズアレイを作製することができる。
このように、収縮によるインク液滴径の減少を抑制して形成したマイクロレンズは、例えば周囲に突起物などの障害物が位置しており、設置する場所が限定されていても、周囲と干渉することなくマイクロレンズを配置することが可能となる。
さらに、インク液滴径が変化しない条件を選び、吐出、硬化させたインク液滴上にさらにインク液滴を吐出し、硬化処理を施せば、その間には段差が形成されることがなく、高い傾斜角を有する1つの球面とみなすことのできるマイクロレンズとすることができる。
本発明のマイクロレンズは、インクジェットを用いてインク液滴を吐出させて形成することができる。
上述したように、インク液滴を吐出し、積層を実現するためには、インク液滴吐出におけるインク液滴吐出体積、吐出位置を制御することが非常に重要である。インクジェットヘッドでは、1滴のインク液滴吐出体積、及び吐出位置制御の精度が優れているため、本発明のようにインク液滴を吐出、積層する手法として適している。さらにインクジェットヘッドは複数のノズルを装備可能であるので、一度にマイクロレンズアレイの作製を行うことが可能である。さらには、複数のヘッドを備えることも可能であり、各ヘッドに数種類のインク材料を供給することによって、数種類のインク材料を積層させた3次元形状構成物を作製することもできる。さらにインクジェットヘッドでは、ヘッドと基板の距離を一定に保ったまま吐出することができるので、上下移動の必要性がなく、時間的、操作的に容易にマイクロレンズを作製することが可能である。さらにまたインクジェット法では、数pl程度の微量液滴を吐出することが可能であるので、インク液滴の吐出総体積を吐出回数によって、簡便に制御でき、これによりレンズ径を制御することが可能となる。
また、本発明のマイクロレンズは、ディスペンサを用いてインク液滴を吐出させて形成することができる。
ディスペンサヘッドを用いることにより、インク液滴の吐出位置の精度は、ディスペンサヘッドの位置決め精度によってほぼ決定されることになるため、吐出位置の精度良く、マイクロレンズを作製することができる。また、ディスペンサヘッドにより吐出することのできるインク液滴の濃度は、例えば10000cpを超える高粘度インク材料でも吐出可能であることから、種々の材料を使用したマイクロレンズが得られる。
本発明は、硬化したインク上にさらにインクを吐出、硬化させる工程を備えているから、インク液滴の積層を行うことができる。これにより、基板やインク材料の種類及びそれらの組み合わせによって一意的に決定されることなく、マイクロレンズ応用などで求められる高い傾斜角を持つようなインク液滴形状を有する3次元形状構成物を制御性よく簡便に作製することができるという効果を有する。
また、本発明では、撥液処理や親液/撥液性パターン形成などの表面処理を、必ずしも基板に施す必要はなく、インク液滴を吐出後、硬化させるという簡便な操作の繰り返しによって傾斜角の高い形状のインク液滴を得ることができる。また、この操作を繰り返すことによれば、3次元形状構成物の傾斜角を制御することが可能である。
また、本発明ではレンズ形状を支配する基板の濡れ性及び塗布材料の表面張力のみに因らず、積極的にインク液滴を積層することにより、物理的には到達することが困難な高い傾斜角を得ることも可能である。さらに屈折率の異なるレンズを作製するために、材料調製を別途行う必要なく、既存のインク材料を組み合わせ、各層に積層することにより、屈折率を任意に設定することが可能である。さらに各層に吐出するインク液滴材料の色を選択することにより、色合い及び色の濃度を微調整することができる。
本発明のインク液滴積層による3次元形状構成物の製造方法、及びこの製造方法を用いることにより作製されるマイクロレンズに関して、好ましい実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
[積層手順、方法]
図1(a)〜(d)は、本発明の一実施形態である、本実施形態の3次元形状構成物の製造方法の基本的工程の概略を説明する断面図である。
本実施形態では、図1(a)に示すように、基板10上に液滴吐出ヘッド11からUV硬化性のインク液滴20を吐出し、基板10上に着弾させる。基板10上に付着したインク液滴21aは、インク材料と基板のそれぞれの表面張力、及びインク材料と基板との間の界面張力の関係から一意的に決定された、傾斜角、及びインク液滴径を持って付着する。
次に、図1(b)に矢印を用いて示すように、図示しないUV照射ランプによって、UV光をインク液滴21aの上方より照射する。これにより、基板10上に吐出したインク液滴21aは硬化し、3次元形状物の1層目インク液滴21Aが形成される。次に、図1(c)に示すように、硬化済みの1層目インク液滴21Aの上(表面)に液滴吐出ヘッド11からインク液滴20をさらに吐出し、1層目インク液滴21Aの上にインク液滴21bを積層する。次に、図1(d)に示すように、硬化済みである1層目インク液滴21Aの上に吐出したインク液滴21bを、図示しないUV照射ランプによって硬化させて2層目インク液滴21Bを形成する。
以上の手順を行うことにより、2層の積層インク(1層目インク液滴21A・2層目インク液滴21B)からなるマイクロレンズ(3次元形状構成物)を作製することができる。ただし、このときの積層回数は限定されるものではなく、上述した操作を適宜繰り返すことが可能である。すなわち、2層目インク液滴21B上に、さらにインク液滴20を吐出、硬化させて、3層以上の積層を行う場合には、図1(c)、図1(d)と同様の操作を繰り返せばよい。
図1(b)に示した工程によって作製された1層目のインク液滴21aのインク径は、作製されるマイクロレンズのレンズ径となるから、インク液滴21aを形成するインク液滴20の体積を制御することによって、レンズ径を所望の値に決定することができる。そして、インク液滴21aを硬化した1層目インク液滴21Aの上に、さらに積層するインク液滴の体積、及び積層回数は、積層インクの傾斜角の最大値を決定する因子である。このため、積層するインク液滴の体積、及び積層回数を変化させることにより、所望の傾斜角を備えたマイクロレンズを実現することができる。
以上のように、図1(a)〜(d)に示した基本的な工程手順を行うことにより、レンズ径及びその傾斜角の最大値を任意に制御した積層レンズを作製することが可能である。なお、ここではインク液滴20は、UV硬化性のインクの場合を例示したが、後述するように、熱硬化性インク等であってもよい。熱硬化性インクを採用する場合は、図1(b)、図1(d)における硬化手段としては、赤外線ランプなどの一般的な加熱手段を用いればよい。
また、液滴吐出ヘッド11から吐出するインク液滴20は、1層目のインク液滴21aと、2層目のインク液滴21bとで、材料を変化させてもよい。
さて、硬化済みインク液滴上にさらに積層することのできるインク液滴体積の最大値は、幾何学的に見積もることができる。下地となる1層目の硬化済みインク液滴に積層可能なインク液滴のインク液滴体積(以下、適宜、単に「体積」という。)は、1層目硬化済みインク液滴よりも大きくなる。
例えば、1層目インク液滴を半径100ミクロン、基板に対する接触角を20度とすると、そのインク液滴体積は約280plと算出される。次に、2層目インク液滴が1層目インク液滴に対し、接触角20度を持って積層した場合に、積層される2層目インク液滴体積を見積もると、約317plとなり、これは1層目インク液滴の体積の1.1倍である。同様に3層目インク液滴も接触角20度で積層するとした場合、積層される3層目インク液滴の体積は、約410plと見積もられ、1層目インク液滴体積の1.5倍である。さらに4層目インク液滴も接触角20度で積層するとした場合、積層される4層目インク液滴の体積は、約610plと見積もられ、1層目インク液滴体積の2.2倍である。
このことから、硬化したインク液滴上にさらにインク液滴を吐出する場合に、積層されるインク液滴の体積の最大値を見積もると、全て1層目インク液滴の体積よりも多く、さらに積層数が大きくなるほどその積層可能なインク液滴の体積も増加していくことが幾何学的に予想される。したがって、各層間に積極的に段差を形成する意図がなければ、下層の硬化済みインク液滴の体積よりも大きい体積のインク液滴を、その上層に吐出すればよい。
上記のように作製した3次元形状構成物をマイクロレンズとした場合には、積層回数を変えることによって傾斜角の最大値を制御することができ、焦点距離などの光学特性を任意に設定することができる。
このようにして、インク液滴を積層することにより作製された、3次元形状構造物であるマイクロレンズの傾斜角の最大値は、そのインク液滴が単体で基板上に吐出されたときに形成される接触角よりも大きくなる。さらに、積層回数、積層インク液滴体積を変えることによって、その傾斜角の最大値を所望の角度に制御することができる。
ここで使用する液滴吐出ヘッドとしてインクジェットヘッドを用いれば、以下に示すような利点がある。インクジェットヘッドによれば、1滴のインク液滴吐出体積を精度よく制御することができるとともに、任意の吐出位置に正確にインク液滴を吐出することが可能である。さらに、数pl程度の微量液滴を吐出することが可能であるので、マイクロレンズのレンズ径を決定するインク液滴の吐出総体積を吐出回数によって、簡便に制御することができる。
さらに、インクジェットヘッドには、複数のノズルを備えることが可能であり、一度に複数のマイクロレンズを作製することができるから、複数のマイクロレンズよりなるマイクロレンズアレイの作製を迅速に行うことができる。さらに、多数のインクジェットヘッドを用いれば、マイクロレンズアレイの作製をさらに効率よく行うことが可能となる。これに加えて、各ヘッドに供給するインク材料の種類を選択することができるから、基板上において、数種類のインク材料を用いた積層インクを作製することが可能である。
また、インクジェットヘッドを用いたインク液滴の吐出においては、インクジェットヘッドと基板との距離を一定に保ったまま、インク液滴を基板上に吐出、着弾させることから、インクジェットヘッドは水平移動を行うのみであり、上下移動する工程が省かれるため、時間的及び操作的に容易にレンズを作製することができる。
また、ディスペンサヘッドを使用してインク液滴を吐出してもよく、この場合は以下の利点がある。ディスペンサヘッドによれば、例えば10000cpを超えても吐出可能であり、吐出することのできるインク液滴の濃度の範囲が広いから、高粘度インク材料を選択できる。さらに、ディスペンサヘッドを用いることにより、インク液滴の吐出位置の精度は、ディスペンサヘッドの位置決め精度という機構系の精度によって、ほぼ決定されることとなり、吐出位置精度良く、マイクロレンズを作製することができる。
このように、使用する液滴吐出ヘッドは、インク液滴の積層を可能とするインク液滴吐出体積及び吐出位置精度を満足するものであれば、特に限定されるものではなく、使用するインク液滴材料、所望するレンズ形状などの条件により、使用者が適宜望ましい形態を選択して構わない。例えば、寸法の小さなレンズ形状を得る場合や、異なるインク材料を積層したレンズを作製する場合、一度にマイクロレンズアレイを作製する場合などでは、インクジェットヘッドを使用する方が適している。対して、高粘度のインク材料を吐出する場合や、寸法は比較的大きいものであるが、位置精度が厳密に要求される場合などでは、ディスペンサヘッドを使用する方が適している。
また、吐出するインク液滴は、前進接触角を形成するように吐出することが好ましい。インク液滴が取り得る最も高い接触角である前進接触角は、インク液滴が基板上で前進する形態、すなわち、拡がる形態を取る場合に形成される。
例えば、ディスペンサヘッド吐出の場合、ヘッドを引き上げながらさらに液滴を押し出すことにより、インク液滴は拡がる形態を取って基板上に付着するので、インク液滴は前進接触角を形成できる。
また、インクジェット吐出されたインク液滴は吐出速度に依存する或る運動量を持ち、吐出速度によっては着弾した瞬間は基板上で濡れ拡がり、その後縮まって球形となる。インク液滴が着弾時に基板上に濡れ拡がらない程度の吐出速度でインク液滴を吐出すれば、インク液滴は着弾時に基板上で慣性的に前進する形態を取り、前進接触角が形成される。
また、インク液滴を吐出する場合には、必要となるインク液滴の総体積を2滴以上に分けて吐出することが好ましい。2滴以上のインク液滴を吐出すれば、2滴目以降のインク液滴が基板又は硬化済みのインク液滴上のインク液滴(以下、適宜「着弾済インク液滴」という。)に着弾した際、基板上の着弾済インク液滴は、基板上もしくは吐出、硬化されたインク液滴上で、全体的に拡がる形態を取る。すなわち、この様子は、着弾済インク液滴が、前進することと同義となる。
したがって、このときの着弾済インク液滴の形状は、基板及びインク材料の種類、組み合わせに関わらず、取り得る接触角の中で最も高い、前進接触角という接触角をなして形成されることとなる。このように、インク液滴を少なくとも2滴以上吐出させることによって、前進接触角を持つインク液滴を形成することができる。さらに、このインク液滴を積層することで、より大きな傾斜角の最大値を有する積層インクを作製することができる。
なお、吐出液滴数が多くなるに従い、すでに基板上に付着しているインク液滴体積はさらに吐出されるインク液滴体積に対して大きくなり、吐出されたインク液滴の持つ運動量を吸収することができる。したがって吐出液滴数は、例えば10滴程度以上であれば、前進接触角が比較的容易に形成できる。
[基板、インク材料]
使用する基板は、特に限定されるものではなく、ガラス基板、プラスチック基板、半導体基板などでよい。また必要に応じて表面処理を施すこととしてもよい。表面処理工程は、基板の表面の濡れ性を変化させることを目的とするものであるが、このような表面処理工程は必須事項ではなく、省略することも可能である。ただし、基板の表面が均質、もしくは清浄でない場合については、洗浄などを行うことが好ましい。
使用するインク液滴の材料の種類もまた、特に限定されるものではなく、熱硬化性、UV硬化性インクなど、一般的なインク材料から選定すればよい。なお、インクの硬化処理としては、インク液滴が熱硬化性インクであれば、加熱処理を施し、紫外線硬化性インクなどの光硬化性インクであれば、光照射を行うこととなる。ここで、基板上もしくは吐出、硬化させたインク液滴上に吐出された際に形成する接触角が、前進接触角と後退接触角とで差異を有するインク液滴の材料と基板の組み合わせを選定すれば、以下の効果が得られる。
すなわち、インク液滴は硬化処理に伴い、収縮し、全体の体積を減少させる。前進接触角と後退接触角とで差異をなすインク液滴が硬化し、それに伴い体積減少が起こる際には、図2(a)に示すように、まずその接触角を減少させることにより体積減少を達成しようとする。つまり、1層目インク液滴21A表面のインク液滴21bの硬化に伴う体積減少分が、インク液滴21bの接触角が後退接触角に変わるまでに減少する体積よりも小さい場合には、同図に破線で示すように、インク液滴21bの径は変化せず、その接触角が後退接触角に変わるまでの間にインク液滴21b’となり、硬化が完了して2層目インク液滴21Bとなる。
その結果、図2(b)に示すように、得られたマイクロレンズ21は、インク液滴21b単体を同じ基板に吐出したときに形成されるものよりも、高い傾斜角の最大値を有し、かつ段差を有していない。すなわち、上記のようにして作製されたマイクロレンズ21は、高い接触角を有する1つのマイクロレンズとみなすことができる。
一方、前進接触角と後退接触角とで差異をなさないような、基板及びインク液滴との組み合わせを使用した場合には、インク液滴の硬化が起こった際に、その前進接触角を変えることはないから、インク液滴は、その前進接触角を保ったまま体積を減少させようとする。すなわち、図3(a)に示すように、硬化処理時の収縮による体積減少を達成するために、インク液滴径を減少させることになる。このため、同図に破線で示すように、インク液滴41bはその径を変化させながら、その接触角が前進接触角を保ったまま体積を減少させインク液滴41b’となり、硬化が完了して2層目インク液滴41Bとなる。この結果、図3(b)に示すように、個別に吐出された1層目インク液滴21Aと2層目インク液滴41Bとの間に段差42が形成されたマイクロレンズ41が作製される。
ところで、インク液滴を吐出、硬化させた3次元形状物であるインク液滴硬化層を、3層以上積層してなるマイクロレンズを容易に作製したい場合には、インク液滴硬化層を形成する際に、あえて段差を1つ形成しておくという技巧を凝らすことが有効である。
インク液滴硬化層へのインク液滴の積層には、インク液滴の吐出におけるインク液滴吐出体積、及び吐出位置の精度が非常に重要な因子となる。このため、インク液滴の吐出体積が、インク液滴硬化層上に積層可能なインク液滴の体積よりも多い場合や、吐出位置が所定の位置からわずかにずれた場合には、吐出したインク液滴が硬化したインク液滴硬化層から基板上に降下してしまうことが生じる。この場合、インク液滴硬化層上にインク液滴を積層することができない。そこで、2層目のインク液滴硬化層のインク液滴径が、1層目のインク液滴硬化層のインク液滴径よりもわずかに小さくなるようにし、あえて1層目のインク液滴硬化層と2層目のインク液滴硬化層との間に段差を形成しておくこととする。これにより、3層目以降のインク液滴硬化層を積層しやすくさせることができる。
すなわち、あえて2層目のインク液滴硬化層を1層目のインク液滴硬化層上に積層する時点で、両者の間に1つの段差を形成する。このことにより、その段差の外周部である1層目のインク液滴硬化層の領域により、3層目以降のインク液滴の吐出体積及び吐出位置ばらつきによってはみ出したインク液滴が、基板上へと直接濡れ落ちることを抑制できるので、3層目以降のインク液滴硬化層の積層の安定な実施を可能にするという効果をもたらす。
あるいは、積極的に上記のような段差を複数箇所形成し、その段差を利用したマイクロレンズを作製してもよい。1つの球面で近似されるマイクロレンズでは、傾斜角の分布はそのレンズ径に因らず、一意的に決定されてしまう。これに対し、図4に示すような、1層目インク液滴21Aと2層目インク液滴41Bとの間に段差51A、及び2層目インク液滴41Bと3層目インク液滴51Cとの間に段差52Bを有するマイクロレンズ51によれば、マイクロレンズ51表面の基板10面に対する傾斜角の分布を変化させることができる。すなわち、複数の段差を有するマイクロレンズを作製すれば、マイクロレンズ表面の基板面に対する傾斜角の分布を変化させることができる。
以下に、段差を有するマイクロレンズにおいては、マイクロレンズ表面の基板面に対する傾斜角の分布状態が変化することにつき、例を挙げて示すこととする。図5(a)〜(c)は、基板に対する接触角が20度であるインク液滴について、インク液滴表面の接平面が基板となす角度である傾斜角の分布を示すグラフであり、(a)、(b)、(c)の順に、インク液滴径を、10ミクロン、5ミクロン、2.5ミクロンとした場合を示している。図5(a)〜(c)によれば、傾斜角の分布はマイクロレンズの径に因らず等しい分布をなすことが示されている。したがって、1層のインク液滴よりなるマイクロレンズでは、レンズ径に関わらず光学特性は変化しないことがわかる。
次に、レンズ径が10ミクロンである1層目のインク液滴硬化層の中央に、レンズ径が5ミクロンであるインク液滴を吐出、硬化して積層した2層積層インク液滴の3次元構成物における傾斜角の分布を図6(a)に示し、この2層積層インク液滴の中央にさらに2.5ミクロンのインク液滴を積層し、3層積層インク液滴の3次元構成物における傾斜角の分布を図6(b)に示す。なお、基板に対する接触角、及び硬化したインク液滴に対する接触角は、2層積層インク液滴、及び3層積層インク液滴とも20度としている。
図6(a)、(b)によれば、インク液滴が積層されるにつれて、マイクロレンズ表面の低傾斜角の領域が減少し、その分だけ高傾斜角の領域が増加していることが分かる。このように、積層によってマイクロレンズの光学特性が変化することは明らかである。そして、例えば、この傾斜角の分布の違いを利用すれば、複数の焦点距離を有するマイクロレンズを作製することも可能となる。
また、インク液滴の材料として、合成染色材料や顔料などを含むインク材料を使用することにより、可視光領域において有色であるものを使用することも可能である。このような有色のマイクロレンズを作製することにより、フィルター機能を有するマイクロレンズ作製することも可能である。
さらに、インク液滴を積層する際に、図7に示すように、1層目インク液滴61A、2層目インク液滴61B、及び3層目インク液滴61Cの各層に異なる色のインク液滴を使用することも可能である。これにより、任意の色のマイクロレンズ61を作製することができる。また、有色のインク材料と、無色透明のクリアインク材料とを積層すれば、インク自体を希釈せずとも、積層インクの色の濃度を薄くすることができ、逆に同色のインクを積層すれば、色の濃度を濃くすることができる。
また、積層するインク液滴に互いに異なるインク材料を使用するということでは、例えば、屈折率の異なるインク液滴を積層することも可能である。このように、屈折率の異なる複数のインク材料を積層すれば、所望の屈折率を有するマイクロレンズを作製する場合に、その屈折率を有する材料を別途調製する必要はなく、既存のインク材料を組み合わせることにより、屈折率を任意に設定することができる。さらに、マイクロレンズの屈折率を微妙に調整することも可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
なお、上記した実施形態の3次元形状構成物の製造方法の各処理ステップは、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の3次元形状構成物の製造装置の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
以下、本発明について、実施例を通じてさらに記述する。
[吐出装置]
まず、本実施例で使用したインク液滴吐出装置について説明する。図8に示すように、本実施例においては、基板を載せて水平面であるXY平面内を移動可能なX−Yステージ31、インクジェットヘッド33、及びインクジェットヘッド33から吐出したインク液滴を、X−Yステージ31上の基板面に対する垂直方向(基板面の法泉方向)から観察することのできるCCDカメラ35を備えた吐出装置を使用した。
また、X−Yステージ31、及びインクジェットヘッド33は、それぞれ、パソコン30に接続された、X−Yステージドライバユニット32、及びインクジェットヘッドユニット34により駆動されるようになっている。また、CCDカメラ35とインクジェットヘッド33との位置関係は、X−Yステージドライバユニット32において設定されている。そして、CCDカメラ35を使用した観察により確認した所定の位置に、インクジェットヘッド33からインク液滴を吐出させることができる。また、インク液滴を硬化させるためには、紫外線照射ユニット36を使用した。
[基板、インク材料]
本実施例においては、コーニング社製#7059のガラス基板を中性洗剤で洗浄した後、超純水によって十分にリンスしたものを使用した。ガラス基板をX−Yステージ31に載置して固定した。一方、インクジェットヘッド33には、UV硬化型インク(インクジェットテクノロジー社製、シアン色)を供給した。
[積層]
次に、パソコン30からX−Yステージドライバユニット32及びインクジェットヘッドユニット34へ指令を送り、X−Yステージ31上のガラス基板をインクジェットヘッド33直下へ移動させ、インクジェットヘッド33からUVインク液滴を吐出した。その後、この吐出されたUVインク液滴に紫外線照射ユニット36からUVスポット光を照射し、UVインク液滴を完全に硬化させ、これを1層目UVインク液滴とした。
再び、この硬化した1層目UVインク液滴の載ったガラス基板をX−Yステージ31に載せ置き、固定した。次に、CCDカメラ35を使用して1層目UVインク液滴の中心位置を確認し、その位置がインクジェットヘッド33直下にくるようにX−Yステージ31を移動させ、1層目UVインク液滴上に2層目UVインク液滴を吐出した。
その後、硬化済みの1層目UVインク液滴上に吐出された半球状の2層目UVインク液滴に、紫外線照射ユニット36からUVスポット光を照射し、2層目UVインク液滴を完全に硬化させた。これによりインク液滴が2層積層した積層UVインクを作製することができた。その後、さらにこの手順を2度繰り返すことにより、UVインク液滴が4層積層した積層UVインクを作製することができた。このとき、インクUV液滴の総吐出体積は、1層目は400pl、2層目は460pl、3層目は600pl、4層目は800plであった。
図9(a)、(b)、(c)、(d)は順に、上述のようにして作製した本実施例のUVインク液滴が積層した3次元形状構成物の1、2、3、4層の積層段階における、積層UVインクの断面形状プロファイルを示したものである。本実施例において得られたそれぞれの傾斜角の最大値は、1層目UVインク液滴で13度、2層積層UVインク液滴で38度、3層積層UVインク液滴で65度、4層積層UVインク液滴で67度であった。わずか、13度の接触角しか得られない基板とインク材料との組み合わせでありながら、最大で67度という高い傾斜角を有する3次元形状構成物を形成することができた。
本発明のマイクロレンズは、液晶ディスプレイ、光ファイバ、カラーイメージセンサーなどの用途に適用することができる。
(a)〜(d)は、本発明の一実施形態である3次元形状構成物の製造方法の基本的な工程の概略を説明する断面図である。 本発明の一実施形態である3次元形状構成物の製造方法において、インク液滴の材料として、前進接触角と後退接触角とで差異を有するインク材料を使用した場合について説明する断面図であり、(a)は、1層目インク液滴上の2層目インク液滴を硬化させる際に、2層目インク液滴の体積が小さくなる過程を示し、(b)は、2層目インク液滴の硬化が完了した後のマイクロレンズを示している。 本発明の一実施形態である3次元形状構成物の製造方法において、インク液滴の材料として、前進接触角と後退接触角とで差異を有しないインク材料を使用した場合について説明する断面図であり、(a)は、1層目インク液滴上の2層目インク液滴を硬化させる際に、2層目インク液滴の体積が小さくなる過程を示し、(b)は、2層目インク液滴の硬化が完了した後のマイクロレンズを示している。 本発明の一実施形態である3次元形状構成物の製造方法を用いて作製された、段差を複数有するマイクロレンズアレイを示した断面図である。 基板に対する接触角が20度であるインク液滴について、インク液滴表面の接平面が基板となす角度である傾斜角の分布を示すグラフであり、(a)は、インク液滴径を10ミクロンとした場合を示し、(b)は、インク液滴径を5ミクロンとした場合を示し、(c)はインク液滴径を2.5ミクロンとした場合を示している。 基板及び硬化した下層のインク液滴に対する接触角が20度であるインク液滴について、インク液滴表面の接平面が基板となす角度である傾斜角の分布を示すグラフであり、(a)は、2層積層インク液滴の傾斜角の分布を示しており、(b)は、3層積層インク液滴における傾斜角の分布を示した図である。 本発明の製造方法を用いて作製した、異なる色のインク液滴を積層したマイクロレンズの概略構成を示す断面図である。 本発明のマイクロレンズアレイの製造方法を実施するためのインク液滴吐出装置の構成図である。 本発明の実施例の積層UVインクの断面形状プロファイルを示したグラフであり、(a)は1層積層段階を示しており、(b)は2層積層段階を示しており、(c)は3層積層段階を示しており、(d)は4層積層段階を示している。
符号の説明
10 基板
11 液滴吐出ヘッド
20 インク液滴
21,41,51,61 マイクロレンズ
21a,21b,41b, インク液滴
21A,61A 1層目インク液滴
21B,41B,61B 2層目インク液滴
51C,61C 3層目インク液滴
42,52A,52B 段差
30 パソコン
31 X−Yステージ
32 X−Yステージドライバユニット
33 インクジェットヘッド
34 インクジェットヘッドドライバユニット
35 CCDカメラ

Claims (15)

  1. 基板上にインク液滴を吐出し、硬化させる工程を有する3次元形状構成物の製造方法において、
    前記吐出、硬化させたインク液滴上に、さらにインク液滴を吐出し、硬化させる工程を有することを特徴とする3次元形状構成物の製造方法。
  2. 前記インク液滴をインクジェットヘッドにより吐出させることを特徴とする請求項1記載の3次元形状構成物の製造方法。
  3. 前記インク液滴をディスペンサヘッドにより吐出させることを特徴とする請求項1記載の3次元形状構成物の製造方法。
  4. 前記基板上もしくは前記吐出、硬化させたインク液滴上に吐出させるインク液滴が前進接触角をなすことを特徴とする請求項1又は2記載の3次元形状構成物の製造方法。
  5. 前記基板上もしくは前記吐出、硬化させたインク液滴上に吐出させるインク液滴が2滴以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の3次元形状構成物の製造方法。
  6. 前記基板上もしくは前記吐出、硬化させたインク液滴上に吐出させるインク液滴の材料は、前進接触角と後退接触角とで差異を有するものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の3次元形状構成物の製造方法。
  7. 前記吐出、硬化させたインク液滴上にさらに吐出するインク液滴の材料は、前記吐出、硬化させたインク液滴とは異なる材料であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の3次元形状構成物の製造方法。
  8. 前記吐出、硬化させたインク液滴上に、さらにインク液滴を吐出し、硬化させる工程が、少なくとも2回なされるものであって、
    吐出し、硬化させる最後の工程よりも前の工程において、インク液滴表面に段差を形成することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の3次元形状構成物の製造方法。
  9. インク液滴を硬化させた3次元形状物が複数重なって構成されたものであることを特徴とするマイクロレンズ。
  10. マイクロレンズ表面の接平面が基板となす角度である傾斜角の最大値が、前記マイクロレンズの構成材料であるインク液滴が単体で基板上に吐出されたときに形成する前記傾斜角の最大値よりも大きいことを特徴とするマイクロレンズ。
  11. 前記マイクロレンズ表面に段差を有することを特徴とする請求項9又は10記載のマイクロレンズ。
  12. 前記マイクロレンズ表面の段差が1つであることを特徴とする請求項11記載のマイクロレンズ。
  13. 前記複数の3次元形状物のうち少なくとも1つの3次元形状物が、可視光領域において有色であることを特徴とする、請求項9乃至12の何れか1項記載のマイクロレンズ。
  14. マイクロレンズを構成する複数の3次元形状物のうち少なくとも1つの3次元形状物は、他の3次元形状物と屈折率が異なるものであることを特徴とする請求項9乃至13の何れか1項に記載のマイクロレンズ。
  15. 前記インク液滴は、前進接触角と後退接触角とが異なる材料によりなるものであることを特徴とする請求項9乃至14の何れか1項に記載のマイクロレンズ。
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