JP2009241046A - 3次元構造体作製方法及びスペーサ付き基板製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 硬化性を有するインクを基板上に滴下する滴下工程と、基板に滴下したインクを硬化する硬化工程と、硬化されたインク上にインクを滴下し、滴下したインクを硬化することを繰り返す積層工程とを有し、積層工程は、滴下するインクの着弾径をdnとし、滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクの径をdn−1としたときにdn≦dn−1を満たすように、滴下するインクと滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクとの接触角、及び、滴下する液滴量の少なくとも一方を制御することにより上記課題を解決する。
【選択図】図2
Description
この特許文献1に記載の3次元立体構造物形成装置は、インクへットとレーザヘッドとの間隔を調整し、UV硬化インクを吐出してからレーザ照射を開始するまでの時間を調整することで、インクの拡散を調整し、膜厚を調整することが記載されている。
また、特許文献3には、2回目以降のスペーサ形成材料の付与量を1回目の付与量より少なくすることで、スペーサの必要高さがより得られやすくなると記載されている。
そのため、インクヘッドと光照射手段を近接させて配置する必要があり、装置、方法としての自由度が低くなるという問題がある。
また、硬化させるための光を照射する位置がインクヘッド近傍となるため、特許文献2に記載されているように照射タイミングを調整しても、繰り返し露光を行うことで、ノズル詰まりが発生する可能性があるという問題がある。
また、前記積層工程は、滴下するインクの着弾径をdnとし、滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクの径をdn−1としたときにdn≦dn−1を満たすように、滴下するインクと前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクとの接触角に基づいて、滴下する液滴量を算出し、制御することも好ましい。
また、前記積層工程は、滴下するインクの着弾径をdnとし、前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクの径をdn−1としたときにdn≦dn−1を満たすように、滴下する液滴量に基づいて、前記硬化させるインクと滴下するインクとの接触角を算出し、制御することも好ましい。
前記インクは、可視光線または不可視光線を含む電磁波の照射によって硬化するインクであって、前記硬化工程は、前記インクに電磁波を照射して、前記インクを硬化し、前記積層工程は、前記インクに電磁波を照射して、前記インクを硬化し、前記接触角を、インクの物性と、直前に前記硬化されたインクへの照射時間及び照射強度とに基づいて制御することが好ましい。
さらに、前記硬化工程で硬化させたインクの表面に撥液処理を施す撥液処理工程を有し、前記積層工程は、滴下したインクを硬化した後、インクの表面に撥液処理を施し、前記接触角を、撥液処理された前記インクの物性に基づいて制御することが好ましい。
また、前前記積層工程は、インクを滴下する回数で、前記滴下量を調整することも好ましい。
また、前記積層工程は、前記滴下するインクと前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクの接触角をθnとし、滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクと該滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクが着弾している物体との接触角をθn−1とし、滴下するインクの表面と滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインククとの接点における、滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクの表面の接線と、基板の表面に平行な面とのなす角をΦn−1とし、滴下量をVnとしたとき、下記式を用いて、接触角をθnまたは滴下量Vnを算出することが好ましい。
また、本発明は、前記インクは、スペーサ用材料であり、上記のいずれかに記載の3次元構造体作成方法を用い、前記基板上の同一箇所に複数のスペーサ用材料の層を形成し、前記基板上に前記3次元構造体としてスペーサを作製することを特徴とするスペーサ付き基板の製造方法を提供するものである。
また、本発明によれば、硬化させたインクを積層させて作製した高アスペクト比のスペーサを有するスペーサ付き基板を安価に製造することができる。
図1に示すように3次元構造体作製装置10は、平板上の基板Sを載置する支持体14と、支持体14を一方向に移動させる支持体移動機構16と、基板Sに硬化性インク(以下単に「インク」ともいう。)を吐出するインクジェットヘッド18と、前記支持体14の移動方向とは直交する方向にインクジェットヘッド18を移動させるヘッド移動機構20と、基板Sに着弾したインクに光を露光する露光機構22と、各部の動作を制御する制御部24とを有する。
ここで、基板Sは、インクを浸透しない非浸透性を有する板状部材またはフィルムである。基板Sに用いることができる板状部材としては、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板など種々の材質で形成された板状部材を用いることができる。また、基板Sに用いることができるフィルムとして、種々のフィルムを用いることができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリシクロオレフィンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニールフィルム、メタクリル-スチレン樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムなどの各種プラスチックフィルムを用いることができる。また、インクは、光が照射されることで硬化する光硬化型のインクであり、例えば、ラジカル重合型またはカチオン重合型の光硬化型モノマーインクを用いることができる。
ここで、支持体移動機構16としては、ベルト搬送機構、リニア搬送機構、支持体の端部を把持したローラにより搬送するローラ搬送機構等、種々の搬送機構を用いることができる。
ここで、インクジェットヘッド18としては、圧電方式、サーマル方式、静電アクチュエータ方式、静電吸引方式等、種々の方式のインクジェットヘッドを用いることができるが、滴下するインクの液量(または体積)を調整しやすい圧電方式のインクジェットヘッドを用いることが好ましい。
また、インクジェットヘッド18は、インクを滴下するノズルを複数有するマルチチャンネルであることが好ましい。インクジェットヘッド18をマルチチャンネルとすることで、同時に複数箇所にインクを滴下することができる。
ドライブスクリュー34は、インクジェットヘッド18に形成された雌ねじ部(図示せず)と螺合する雄ねじ部を持つボールねじ(図示せず)等からなり、回転することによりインクジェットヘッド18を移動させる。ガイドレール35は、インクジェットヘッドキャリッジ14に形成された貫通孔に挿通され、ドライブスクリュー34の回転により移動するインクジェットヘッド18の姿勢が変わらないように案内するガイドである。
なお、ヘッド移動機構20は、インクジェットヘッドキャリッジ14の姿勢を保つために、複数のガイドレールを備えていても良いし、その他の姿勢保持手段を有していても良い。なお、インクジェットヘッド18は、ガイドレール35により、インク液滴を吐出させる部分、つまり、インクジェットヘッド18のインクを滴下する面が支持体14に対向した所定の姿勢を維持して移動される。
露光機構22としては、インクを硬化させる光を射出する光照射機構であればよく、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、LED、固体レーザ、気体レーザ、半導体レーザ等、種々の光照射機構を用いることができる。また、光照射機構から射出させる光もインクの種類により種々の波長の光とすることができ、紫外光、可視光、赤外光、X線等種々の光を用いることができる。またインクの種類によっては、各種光、マイクロ波を含む電磁波を照射する照射機構も露光機構として用いることができる。
また、露光機構22から照射される光(または電磁波)の強度は、供給する電圧の強度や、フィルタの種類の偏光等で種々の強度に調整することができる。
なお、制御部24と、各部との接続方法は特に限定されず、信号の送受信ができればよく、有線により接続しても無線により接続してもよい。
まず、1層目は、滴下するインクと基板Sとの接触角θ1に基づいて、設計したインクの径となるように、インクの液量V1を算出する。
n層目(2<n)は、基板S上の硬化されているインク、正確には、滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインク(以下「着弾位置インク」という。)の硬化条件(つまり、露光時の搬送速度、光の強度等)と、インクの物性に基づいて、滴下するインクと着弾位置インクとの接触角θnを算出する。
算出した接触角θnに基づいて、滴下するインクの着弾径dnと着弾位置インクの径dn−1との関係がdn≦dn−1となるように、滴下するインクの液量Vnを算出する。
また、滴下したインクのさらに上に滴下するインクとの接触角が最適な接触角(例えば、基板Sと滴下したインクの表面とのなす角と接触角を足した角度が90度)となるように、滴下したインクの硬化条件も算出する。
ここで、接触角θnの算出、インク液量Vnの算出、インク硬化条件の算出の計算方法については、後ほど詳細に説明する。
以下、3次元構造体作製装置10による動作を説明することで、本発明の3次元構造体作製方法について詳細に説明する。ここで、図2は、3次元構造体作製方法の工程を示すフロー図である。
その後、支持体搬送機構16により、基板Sが固定された支持部14をY方向に搬送し、基板Sをインクジェットヘッド18に対向した位置に移動させる。
次に、作製する3次元構造体のデータに基づいて制御部により予め算出されている第1層の吐出タイミング、インクの滴下量及び滴下したインクの硬化条件を読み出し、設定する(ステップS10)。 次に、設定された滴下条件に基づいて、基板S上にインクを滴下する(ステップS12)。
具体的には、まず、ヘッド移動機構20によりインクジェットヘッド18をX方向に移動させつつ、インクジェットヘッド18から対向する位置の基板Sにインクを滴下させる。なお、インクジェットヘッド18は、制御部24が入力されている3次元構造体のデータに基づいて算出した吐出タイミングに基づいて、基板Sの必要な位置のみに設定された条件に基づいた液量のインクを滴下する。
ヘッド移動機構20によりインクジェットヘッド18を基板Sの端から端まで移動させ、インクジェットヘッド18が移動する領域に対向する位置の基板Sの全域にインクを滴下したら、支持体搬送機構16により、基板SをY方向に一定距離移動させる。
その後、再び、ヘッド移動機構20によりインクジェットヘッド18を基板Sの端から端まで移動させ、インクジェットヘッド18が移動する領域に対向する位置の基板Sの全域にインクを滴下し、滴下が終了したら、支持体搬送機構16により、基板SをY方向に一定距離移動させる。
このように、インクジェットヘッド18によるインク滴下と、支持体搬送機構16による基板Sの一定距離の搬送とを繰り返し、基板Sの全面に所定パターンでインクを滴下する。
具体的には、支持体搬送機構16により基板Sを露光機構22に対向する位置に搬送する。その後、支持体搬送機構16により基板Sを所定速度で搬送しつつ、露光機構22から対向する位置の基板Sに光を照射し、基板S上のインクを硬化させる。
なお、支持体搬送機構16による基板Sの搬送速度、及び露光機構22から照射される光の強度は、制御部24により設定された搬送速度及び光の強度となる。
3次元構造体が完成していない、つまり、さらに、インクを滴下し、層を形成する必要があると判定した場合は、ステップS10に戻る。他方、3次元構造体が完成していると判定した場合は、処理が終了する。
まず、作製する3次元構造体のデータに基づいて制御部により予め算出されている第2層(n回目の繰り返しの場合は、第n層、2<n)の吐出タイミング、インクの滴下量及び滴下したインクの硬化条件を読み出し、設定する(ステップS10)。
次に、基板Sは、初期位置に戻され、インクジェットヘッド18によりインクが硬化された基板S上にインクを滴下する(ステップS12)。
具体的には、ヘッド移動機構20によりインクジェットヘッド16を移動させつつ、インクジェットヘッド18から液量Vnのインクを基板Sの硬化されたインク上に滴下する。
その後、支持体移動機構16により基板SをY方向に一定距離搬送し、インクジェットヘッド16により液量Vnのインクを基板S上の硬化されたインク上に滴下する。なお、液量Vnは、ステップS10で設定された第n層におけるその位置における液量Vnである。
このように、インクジェットヘッド18によるインク滴下と、支持体搬送機構16による基板Sの一定距離の搬送とを繰り返し、基板S上に所定パターン(ステップS10で設定された吐出タイミング)でインクを滴下する。
具体的には、ステップS12と同様に、支持体搬送機構16により基板Sを所定速度で搬送しつつ、露光機構22から対向する位置の基板Sに光を照射し、滴下されたインクを硬化させる。なお、このとき、支持体搬送機構16による基板Sの搬送速度と、露光機構22から照射される光の強度は、ステップS10で設定された条件である。
3次元構造体が完成していない、つまり、さらに、インクを滴下し、層を形成する必要があると判定された場合は、ステップS10に戻り、次の層の吐出タイミングデータ、滴下するインクの液量及び硬化条件を読み出し、設定し、インク滴下、硬化の工程を繰り返す。
また、3次元構造体が完成したと判定されたら、処理を終了する。
3次元構造体作製装置10は、以上のようにして所定パターンでインクの滴下と硬化とを繰り返し、硬化したインクを積層させることで3次元構造体を作製する。
また、硬化したインクよりも着弾径が大きくならないインクの滴下量を適切に算出できるため、滴下するインクの液量を多くすることができ、少ない積層数で、高い3次元構造体を作製することができる。
また、着弾径dnと硬化されたインクの径dn−1との差を小さくまたは同じ径とすることで、3次元構造体の径が減少していく割合を小さくして、または、減少させることなく、重ねることができ、アスペクト比の高い3次元構造体を作製することができる。
制御部24には、予め実験等により算出した、接触角θnと、滴下するインク物性(組成、粘度等)、基板上で硬化されているインクの物性およびインクの硬化の程度との関係が記憶されている。
制御部24は、硬化されたインクの種類と、滴下するインクの種類に基づいて、インクの物性を算出し、露光機構22による露光条件(つまり、露光時の搬送速度、光の強度等)から硬化されたインクの硬化の程度を算出し、算出した結果と記憶されている対応関係に基づいて、滴下するインクと滴下されたインクの着弾位置にある硬化したインクとの接触角θnを算出する。
本実施例では、インクとして、紫外線硬化型モノマーインクを用い、基板として石英基板を用い、露光機構としてUVランプ(ウシオ電機株式会社製、スポットキュアSP−7)を用いた。なお、紫外線硬化型モノマーインクは、モノマー、光重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、顔料を調合したインクである。
次に、硬化インク膜サンプルの上に、さらにインクを滴下する。
次に、接触角計DM700(協和界面化学株式会社製)を用いて、接触式液滴法により、滴下したインクと硬化インク膜サンプルとの接触角を測定した。
さらに、上記測定を、露光機構で露光する時間のみを変化させて、種々の露光時間の場合について行った。
図3に示すように、露光時間を変化させることで、滴下したインクと硬化インク膜サンプルとの接触角が変化することがわかる。つまり、滴下したインクと硬化したインクとの接触角は、露光時間により変化することがわかる。具体的には、露光時間により接触角が5°から55°まで変化することがわかる。
図4は、基板上にインクを滴下した状態を示す模式図であり、図5は、硬化したインク上にインクを滴下した状態を示す模式図である。
まず、ステップS12で滴下し、基板上に着弾するインク(つまり基板に直接着弾するインク、以下「第1インク」ともいう。)を、図4に示すように、着弾したインクの形状を曲率半径R1の切り取り球形状でモデル化する。なお、図4に示すインクと基板との接触面の中心を原点としたx軸(基板に平行な軸)、y軸(基板に垂直で、インクの中心を通る軸)は、本モデル状の軸であり、上述した図1に示すX方向、Y方向とは異なる方向である。
モデル化した第1インクは、着弾径がd1となり、基板と第1インクとの接触角がθ1となり、体積がV1となる。また、インク表面を構成する球の中心から基板までの距離がy1となる。
第1インクの各長さをこのように定義すると、第1インクのインク断面のプロファイルは、下記(式1)で表すことができる。
次に、図5に示すように、硬化したインクの上にインクを滴下した状態をモデル化する。なお、図5では、基板上に3つのインクを積層させた状態を示しているが、以下では、n−1個のインクが滴下され、硬化され、積層された上に、n個目のインクを滴下する場合として説明する。つまり、n−1個目のインク(以下「第n−1インク」という。)が硬化された後、n個目のインク(以下「第nインク」という。)を滴下した場合について説明する。
まず、硬化された第n−1インクの上に滴下させ、着弾させた第nインクを切り取り球形状でモデル化すると、第nインクの断面のプロファイルは、下記(式4)で表すことができる。
ここで、dn−1、θn−1、Φn−1は、第n−1インクに関する値であるため、第nインクの滴下時には、確定している。また、第nインクとして滴下するインクの物性、また第n−1インクの物性及び硬化条件は、第nインク滴下時には確定している。そのため、、θnも第nインク滴下時には確定している。
したがって、第nインク滴下時には、(式9)の変数は、dnとVnのみとなる。
以上より、制御部24は、(式9)を用いることで、dn≦dn−1となる第nインクの滴下量Vnを算出することができる。
例えば、(式9)のVnに所望のもしくは設定されたインクの滴下量を代入することで、その滴下量のインクが滴下可能か否かを検出することもできる。これにより、例えば、設定された滴下量のインクが滴下不可能な場合(硬化されたインクから濡れ出してしまう場合)は、滴下量を減少させて滴下可能なインク液滴の液量を検出するようにすることもできる。
また、滴下する第2インクと、滴下する第2インクの着弾位置にある硬化された第1インクとの接触角θ2を、θ2=30[°]とし、第2インクの滴下量V2がV2=10[pl]であるとすると、(式9)から、第2インクの着弾径d2がd2=55[μm]であることが算出できる。ここで、d2<d1であるので、第2インクが第1インクからはみ出さないで着弾できることがわかる。
このように、(式9)を用いることで、接触角θとインクの滴下量Vnを把握することで、インク液滴を積層可能か否かを判定することができる。
dn≦dn−1+aを満たすようにする滴下量Vnを算出することで、滴下できる液適量は少なくなるが、滴下したインクが硬化したインクから漏れでることをより確実に防止することができる。
そこで、制御部は、滴下したインクの硬化時に、支持体の搬送速度、露光機構から射出する光の強度等の露光条件を調整することが好ましい。
また、このように、露光条件を調整し、次に滴下するインクとの接触角θを調整することで、より滴下するインクをより大きくすることが可能となる。
このように直前に対応関係を算出することで、露光強度をモニタリングしてより正確な接触角θnを算出し、それに応じて滴下量Vnを調節したり、インク温度をモニタリングしてより正確な滴下量Vnを算出し、接触角θnを調節したりすることができる。
また、制御部は、装置内部に設けても、装置外部に設けてもよい。
図6は、本発明の3次元構造体作成方法の他の実施形態を用いる3次元構造体作製装置の概略構成を示す斜視図である。
ここで、図6に示す3次元構造体作製装置60は、撥液処理機構62を設けた点を除いて、他の構成は、図1に示す3次元構造体作製装置10と同様の構成であるので、同一の構成には、同一の符号を付し、その説明は省略し、以下、3次元構造体作製装置60に特有の点を重点的に説明する。
撥液処理機構62としては、種々の撥液処理を行う機構を用いることができ、例えば、スピンコート、蒸着等により、通過する基板の全面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂材等を塗布乾燥し基板表面と共にインク表面に撥液面を形成する方法がある。また、特開2000−17091号公報に記載のフッ素樹脂の処理方法や「フッ素樹脂の超撥水性に及ぼすArイオン注入の影響(第15回イオン注入表面処理シンポジウム予稿集)」等に記載された超撥水処理を用いて撥液処理を施す方法もある。
撥液処理機構62は、以上のような構成であり、支持体搬送機構16により搬送されることで、対向する位置を通過する基板Sのインクの表面に撥液処理を施す。
このように、硬化されたインクの表面に撥液処理を施すことでも硬化されたインクと滴下するインクの接触角を調整することができる。このように、接触角を調整できることで、滴下可能なインクの滴下量を調整することができる。
なお、撥液処理機構62は、硬化されたインクにより撥液処理を行うか否か、または、その撥液処理の程度を調整するようにしてもよい。撥液処理を選択的に行うことで、滴下可能な液滴量を調整することができる。
このように、液滴数により調整することで、着弾位置ずれを平均化することができる。
この場合は、インクジェットヘッドを複数設け、インクジェットヘッド毎に別々のインクを滴下するようにしても、1つのインクジェットヘッドで、複数のインクから選択した1つのインクを滴下するようにしてもよい。
図7は、本発明の3次元構造体作製装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
図7に示す3次元構造体作製装置70は、支持体14と、支持体搬送機構16と、インク滴下機構72a、72b、72cと、露光機構22a、20b、20cとを有する。
ここで、インク滴下機構72a、72b、72cは、それぞれ、上述した3次元構造体作製装置10のインクジェットヘッド18及びヘッド移動機構20で構成されるものであり、各部の構成は、インクジェットヘッド18及びヘッド移動機構20と同様である。
3次元構造体作製装置70は、支持体搬送機構16の支持体14が載置されている面に、搬送方向の一方から他方に向って、インク滴下機構72a、露光機構22a、インク滴下機構72b、露光機構22b、インク滴下機構72c、露光機構22cの順に配置されている。つまり、インク滴下機構と露光機構とが交互に配置されている。
3次元構造体作製装置70は、以上のような構成である。
このように、インク滴下機構と露光機構を複数設け、インク滴下機構と露光機構とを交互に配置することで、基板を一方向に搬送するのみで複数のインクを積層させた3次元構造体を作製することができる。
なお、インク滴下機構と露光機構の個数は特に限定されず、2つでも、4つ以上の各部で3次元構造体作製装置を構成してもよい。また、インク滴下機構と露光機構とを複数設け、基板を往復移動させる場合は、往路のみならず、復路でも隣接するインク滴下機構と露光機構と1つの組として、インクの滴下と硬化を繰り返し、インクを積層させるようにしてもよい。また、インク滴下機構を1つ多く設け、搬送経路の始端と終端の両方をインク滴下機構とすることで、往復の両経路で露光機構を通過する際には、インクが滴下されている状態とすることができ、効率よく3次元立体構造を作製することができる。
スペーサ付き基板80は、液晶表示装置に用いる基板であり、透明基板82と、ブラックマトリックス84と、カラーフィルタ画素86と、透明電極88と、スペーサ90と、配向膜92とで構成される。
透明基板82は、透明な板状の部材である。
ブラックマトリックス84は、透明基板82上に形成された格子状の遮光膜である。
カラーフィルタ画素86は、ブラックマトリックス84により形成された格子の開口部を埋めるように配置された、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のフィルタである。カラーフィルタ画素86は、各開口部にそれぞれ1つの色のフィルタが配置されている。
透明電極88は、ブラックマトリックス84及びカラーフィルタ画素86上に形成されている。
スペーサ90は、ブラックマトリックス84の上方の透明電極88の上面に配置され、透明基板82の上方(カラーフィルタ86の面)に積層される基板との間隔を一定間隔としている。スペーサ90は、上述した3次元構造体作製装置により、インクを積層させて形成されている。
配向膜92は、スペーサ90と透明電極88の全面に形成されている。
また、上述したように少ない積層数でアスペクト比の高いスペーサを作製することができる。これにより、スペーサがカラーフィルタ上にはみ出すことを防止でき、カラーフィルタを高密度に配置することが可能となる。
このようにアスペクト比の高いスペーサを短時間で作製できることで、表示ムラ等の少ない高性能な液晶表示装置を好適に製造することができる。
また、スペーサ付き基板のブラックマトリックスも3次元構造体作製装置及び3次元構造体作製方法によりインクを滴下し、硬化させて積層することで作製してもよい。
また、開始剤としては、ラジカル重合型では、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アセトフェノン系、アシルフォスフィン系の開始剤が例示され、カチオン重合型では、ヨードニウム塩やスルホニウム塩が例示される。
また、上記実施形態では、光硬化型インクを用いたが本発明はこれに限定されず、熱硬化型のインクや、ワックスインクを用いることもできる。
また、インクとして、光硬化型のインクを用いない場合には、露光機構に変えて、インクを硬化させるエネルギを照射する硬化機構を用いればよい。
14 支持体
16 支持体移動機構
18 インクジェットヘッド
20 ヘッド移動機構
22、22a、22b、22c 露光機構
24 制御部
34 ドライブスクリュー
35 ガイドレール
36a 駆動支持部
36b 支持部
62 撥液処理機構
S 基板
70 3次元構造体作製装置
72a、72b、72c インク滴下機構
80 スペーサ付き基板
82 透明基板
84 ブラックマトリックス
86 カラーフィルタ画素
88 透明電極
90 スペーサ
92 配向膜
Claims (12)
- 硬化性を有するインクを基板上に滴下する滴下工程と、
前記基板に滴下したインクを硬化する硬化工程と、
硬化されたインク上にインクを滴下し、滴下したインクを硬化することを繰り返す積層工程とを有し、
前記積層工程は、滴下するインクの着弾径をdnとし、前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクの径をdn−1としたときにdn≦dn−1を満たすように、滴下するインクと前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクとの接触角、及び、滴下する液滴量の少なくとも一方を制御することを特徴とする3次元構造体作製方法。 - 前記積層工程は、予め算出されているdn≦dn−1を満たす滴下するインクと前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクとの接触角と滴下する液滴量との関係とその関係に基づいた吐出条件及び硬化条件を用いて、前記滴下するインクと前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクとの接触角、及び、滴下する液滴量の少なくとも一方を制御する請求項1に記載の3次元構造体作製方法。
- 前記積層工程は、滴下するインクの着弾径をdnとし、滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクの径をdn−1としたときにdn≦dn−1を満たすように、滴下するインクと前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクとの接触角に基づいて、滴下する液滴量を算出し、制御する請求項1または2に記載の3次元構造体作製方法。
- 前記積層工程は、滴下するインクの着弾径をdnとし、前記滴下するインクの着弾位置にある硬化されたインクの径をdn−1としたときにdn≦dn−1を満たすように、滴下する液滴量に基づいて、前記硬化させるインクと滴下するインクとの接触角を算出し、制御する請求項1または2に記載の3次元構造体作製方法。
- 前記積層工程は、滴下するインクの着弾精度をaとすると、
dn≦dn−1+aを満たすように制御する請求項1〜4のいずれかに記載の3次元構造体作製方法。 - 前記インクは、可視光線または不可視光線を含む電磁波の照射によって硬化するインクであって、
前記硬化工程は、前記インクに電磁波を照射して、前記インクを硬化し、
前記積層工程は、前記インクに電磁波を照射して、前記インクを硬化し、前記接触角を、インクの物性と、直前に前記硬化されたインクへの照射時間及び照射強度とに基づいて制御する請求項1〜5のいずれかに記載の3次元構造体作製方法。 - さらに、前記硬化工程で硬化させたインクの表面に撥液処理を施す撥液処理工程を有し、
前記積層工程は、滴下したインクを硬化した後、インクの表面に撥液処理を施し、前記接触角を、撥液処理された前記インクの物性に基づいて制御する請求項1〜6のいずれかに記載の3次元構造体作製方法。 - 前記積層工程は、圧電式インクジェットヘッドによりインクを滴下し、
前記圧電式インクジェットヘッドの圧電素子に印加する駆動電圧の波形により滴下する液滴量を調整する請求項1〜7のいずれかに記載の3次元構造体作製方法。 - 前記積層工程は、インクを滴下する回数で、前記滴下量を調整する請求項1〜8のいずれかに記載の3次元構造体作製方法。
- 前記インクは、スペーサ用材料であり、
前記3次元構造体としてスペーサを作製する請求項1〜10のいずれかに記載の3次元構造体作製方法。 - 前記インクは、スペーサ用材料であり、
請求項1〜10のいずれかに記載の3次元構造体作成方法を用い、
前記基板上の同一箇所に複数のスペーサ用材料の層を形成し、前記基板上に前記3次元構造体としてスペーサを作製することを特徴とするスペーサ付き基板の製造方法。
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