JP5593736B2 - 造形方法及び造形装置 - Google Patents
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Description
積層法では、一般的に、立体の外形を規定する複数の断面要素のそれぞれを、順次に断面パターンとして形成しながら積層することによって立体が造形され得る。
この方法では、まず、断面要素を、フッ素コーティングが施された仮テーブル上に紫外線硬化樹脂で断面パターンとして描画する。次に、この断面パターンを仮テーブルと造形テーブルとで挟持した状態で、断面パターンに紫外線(紫外光)を照射する。次に、断面パターンと仮テーブルとを互いに離間させる。この方法では、断面パターンに紫外線を照射すると、断面パターンが造形テーブルに接着した状態で硬化する。他方で、仮テーブルにはフッ素コーティングが施されているので、断面パターンは、仮テーブルから剥離しやすい。この方法によれば、断面パターンを造形テーブルに転写させやすくすることができる。
つまり、従来の造形方法では、造形物の精度を高めることが困難であるという課題がある。
描画工程では、造形対象である立体を複数の断面要素に分割し、描画台の描画面に、液状体で断面要素を断面パターンとして描画する。液状体は、活性エネルギーを受けることによって硬化が促進する。
エネルギー付与工程では、描画台に描画された断面パターンを描画台と造形台との間に挟持した状態で、断面パターンを構成する液状体に活性エネルギーを付与する。これにより、描画台と造形台との間に挟持された断面パターンの硬化が促進する。
剥離工程では、断面パターンを描画台から剥離して、断面パターンを造形台側に転写する。
上記により、複数の断面パターンを造形台側に積層させることができる。この結果、造形対象である立体を造形台に形成することができる。
この造形方法では、描画工程において、撥液領域と、親液領域と、を有する描画面に断面パターンを描画する。撥液領域は、液状体に対する撥液性を示す領域である。親液領域は、液状体に対して撥液領域よりも親液性を示す領域である。親液領域は、撥液領域内で島状に独立している。
描画面が撥液領域を有しているので、剥離工程において、断面パターンを描画台から剥離させやすくすることができる。また、親液領域が撥液領域内で島状に独立して設けられているので、描画面に液状体を塗布したときに、親液領域に液状体を保持させやすくすることができる。このため、撥液領域に液状体で断面パターンを描画したときの断面パターンの精度を高めやすくすることができる。この結果、造形対象の立体の精度を高めやすくすることができる。
吐出ヘッドは、活性エネルギーを受けることによって硬化が促進する液状体を吐出する。
描画台は、描画面を有している。描画面は、吐出ヘッドから吐出される液状体で、造形対象である立体の断面パターンが描画される面である。
エネルギー付与装置は、描画面に付着した液状体に活性エネルギーを付与する。
造形台には、断面パターンが描画台から転写される。
この造形装置では、描画面に、撥液領域と、親液領域と、が設けられている。撥液領域は、液状体に対する撥液性を示す領域である。親液領域は、液状体に対して撥液領域よりも親液性を示す領域である。親液領域は、撥液領域内で島状に独立している。
この造形装置では、描画面に撥液領域が設けられているので、断面パターンを描画台から剥離させやすくすることができる。また、親液領域が撥液領域内で島状に独立して設けられているので、描画面に液状体を塗布したときに、親液領域に液状体を保持させやすくすることができる。このため、撥液領域に液状体で断面パターンを描画したときの断面パターンの精度を高めやすくすることができる。この結果、造形対象の立体の精度を高めやすくすることができる。
上記の構成により、複数の親液領域が規則的に散在するので、描画台からの断面パターンの剥離性を維持しつつ、断面パターンの精度を高めやすくすることができる。
上記の構成により、複数の親液領域が規則的に散在するので、描画台からの断面パターンの剥離性を維持しつつ、断面パターンの精度を高めやすくすることができる。
上記の構成により、複数の親液領域が散在するので、描画台からの断面パターンの剥離性を維持しつつ、断面パターンの精度を高めやすくすることができる。
また、この造形装置では、平面視での2次元座標系において、複数の親液領域の直線的な規則性を解消しやすくすることができる。この結果、断面パターンの精度を高めやすくすることができる。
本実施形態の造形システム1は、図1に示すように、コンピューター3と、造形装置5と、を有している。
コンピューター3は、造形対象である立体7の形状データから、複数の断面要素を抽出するための演算処理を行う。また、コンピューター3は、抽出した断面要素のデータ(以下、断面データと呼ぶ)を造形装置5に出力する。
造形装置5は、コンピューター3から出力される断面データに基づいて、断面要素に対応する断面パターンを描画し、描画した断面パターンを順次に積層することによって、立体7を造形する。
キャリッジ12には、ヘッドユニット14が設けられている。
造形装置5では、ヘッドユニット14と基板Wとの平面視での相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット14から液状体を液滴として吐出させることによって、基板Wの描画面18に液状体で所望のパターンを描画することができる。本実施形態では、造形装置5は、コンピューター3(図1)から出力される断面データに基づいて、基板Wに断面パターンを描画する。
なお、図中のY方向は基板Wの移動方向を示し、X方向は平面視でY方向とは直交する方向を示している。また、X方向及びY方向によって規定されるXY平面と直交する方向は、Z方向として規定される。
定盤21は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、Y方向に沿って延びるように据えられている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、定盤21の上面21a上に配設されている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール23aとガイドレール23bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
テーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bを挟んで定盤21の上面21aに対向した状態で設けられている。テーブル25は、定盤21から浮いた状態でガイドレール23a及びガイドレール23b上に載置されている。テーブル25は、基板Wが載置される面である載置面25aを有している。載置面25aは、定盤21側とは反対側(上側)に向けられている。テーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bによってY方向に沿って案内され、定盤21上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
基板搬送モーターからの動力は、移動機構を介してテーブル25に伝達される。これにより、テーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。つまり、基板搬送装置11は、テーブル25の載置面25aに載置された基板Wを、Y方向に沿って往復移動させることができる。
また、基板搬送装置11は、後述するテーブル位置検出装置を有している。テーブル位置検出装置は、テーブル25のY方向における位置を検出する。テーブル位置検出装置での検出結果に基づいて、基板WのY方向における位置が把握され得る。
吐出ヘッド33は、底面図である図4に示すように、ノズル面35を有している。ノズル面35には、複数のノズル37が形成されている。なお、図4では、ノズル37をわかりやすく示すため、ノズル37が誇張され、且つノズル37の個数が減じられている。
吐出ヘッド33において、複数のノズル37は、Y方向に沿って配列する12本のノズル列39を構成している。12本のノズル列39は、X方向に互いに隙間をあけた状態で並んでいる。各ノズル列39において、複数のノズル37は、Y方向に沿って所定のノズル間隔Pで形成されている。
吐出ヘッド33において、ノズル列39aとノズル列39bとは、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。ノズル列39c及びノズル列39dも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。同様に、ノズル列39e及びノズル列39fも、互いにY方向にP/2の距離だけずれており、ノズル列39g及びノズル列39hも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。同様に、ノズル列39i及びノズル列39jも、互いにY方向にP/2の距離だけずれており、ノズル列39k及びノズル列39mも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。
ノズルプレート46は、ノズル面35を有している。複数のノズル37は、ノズルプレート46に設けられている。
キャビティープレート47は、ノズルプレート46のノズル面35とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート47には、複数のキャビティー51が形成されている。各キャビティー51は、各ノズル37に対応して設けられており、対応する各ノズル37に連通している。各キャビティー51には、図示しないタンクから機能液53が供給される。
複数の圧電素子49は、それぞれ、振動板48のキャビティープレート47側とは反対側の面に設けられている。各圧電素子49は、各キャビティー51に対応して設けられており、振動板48を挟んで各キャビティー51に対向している。各圧電素子49は、駆動信号に基づいて、伸張する。これにより、振動板48がキャビティー51内の容積を縮小する。このとき、キャビティー51内の機能液53に圧力が付与される。その結果、ノズル37から、機能液53が液滴55として吐出される。吐出ヘッド33による液滴55の吐出法は、インクジェット法の1つである。インクジェット法は、塗布法の1つである。
キャリッジ12は、図3に示すように、ヘッドユニット14を支持している。ここで、ヘッドユニット14は、ノズル面35がZ方向の下方に向けられた状態でキャリッジ12に支持されている。
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子49が採用されているが、機能液53に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液に圧力を付与する構成も採用され得る。
光の照射を受けることによって硬化が促進する機能液53としては、樹脂材料に光硬化剤を添加したものなどが採用され得る。樹脂材料としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂材料などが採用され得る。光硬化剤としては、例えば、ラジカル重合型の光重合開始剤や、カチオン重合型の光重合開始剤などが採用され得る。
ラジカル重合型の光重合開始剤としては、例えば、イソブチルベンゾインエーテルや、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
また、カチオン重合型の光重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩誘導体や、アリルヨードニウム塩誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤などが挙げられる。
顔料や染料等の色素を含有する機能液53では、例えば、基板Wに描画する断面パターンをカラー表現することができる。以下において、顔料や染料等の色素を含有する機能液53は、カラー塗料と呼ばれる。
また、機能液53の成分としての樹脂材料に、例えば、光透過性を有する樹脂材料を採用することによって、光透過性を有する機能液53を構成することができる。以下において、光透過性を有する機能液53は、透光塗料と呼ばれる。このような光透過性を有する機能液53は、例えば、クリアインクとしての用途が考えられる。
クリアインクの用途としては、例えば、画像を被覆するオーバーコート層としての用途や、画像を形成する前の下地層としての用途などが考えられる。以下において、下地層として適用される機能液53は、下地塗料と呼ばれる。
下地塗料としては、透光塗料だけでなく、透光塗料に種々の顔料を添加した機能液53を採用することもできる。
なお、以下において、5種類の機能液53を色ごとに識別する場合に、機能液53Y、機能液53M、機能液53C、機能液53K、及び機能液53Wという表記が用いられる。また、透光塗料に対応する機能液53は、機能液53Tという表記が用いられる。
本実施形態では、異なる5色のカラー塗料(機能液53)が採用されているので、立体7におけるカラー表現が実現され得る。また、本実施形態では、透光塗料も採用されているので、光透過性を有する立体7を造形することができる。
吐出ヘッド33において、前述した12本のノズル列39(図4)は、機能液53の色ごとに区分されている。本実施形態では、ノズル列39a及びノズル列39bに属するノズル37は、機能液53Kを液滴55として吐出する。ノズル列39c及びノズル列39dに属するノズル37は、機能液53Cを液滴55として吐出する。ノズル列39e及びノズル列39fに属するノズル37は、機能液53Mを液滴55として吐出する。ノズル列39g及びノズル列39hに属するノズル37は、機能液53Yを液滴55として吐出する。ノズル列39i及びノズル列39jに属するノズル37は、機能液53Wを液滴55として吐出する。ノズル列39k及びノズル列39mに属するノズル37は、機能液53Tを液滴55として吐出する。
架台61は、X方向に延在しており、基板搬送装置11をX方向にまたいでいる。架台61は、テーブル25の定盤21側とは反対側で、基板搬送装置11に対向している。架台61は、支柱67aと支柱67bとによって支持されている。支柱67a及び支柱67bは、定盤21を挟んでX方向に互いに対峙する位置に設けられている。支柱67a及び支柱67bは、それぞれ、テーブル25よりもZ方向の上方に突出している。これにより、架台61とテーブル25との間に隙間が保たれている。
前述したキャリッジ12は、ガイドレール63に支持されている。キャリッジ12がガイドレール63に支持された状態において、吐出ヘッド33のノズル面35は、Z方向においてテーブル25側に向いている。キャリッジ12は、ガイドレール63によってX方向に沿って案内され、X方向に往復動可能な状態でガイドレール63に支持されている。なお、平面視で、キャリッジ12がテーブル25に重なっている状態において、ノズル面35とテーブル25の載置面25aとは、互いに隙間を保った状態で対向する。
キャリッジ位置検出装置65は、架台61とキャリッジ12との間に設けられており、X方向に延在している。キャリッジ位置検出装置65は、キャリッジ12のX方向における位置を検出する。
キャリッジ搬送モーターからの動力は、移動機構を介してキャリッジ12に伝達される。これにより、キャリッジ12は、ガイドレール63に沿って、すなわちX方向に沿って往復移動することができる。つまり、キャリッジ搬送装置13は、キャリッジ12に支持されたヘッドユニット14を、X方向に沿って往復移動させることができる。
ガイドレール23a及びガイドレール23bは、それぞれ、露光装置15のY方向における長さにわたって延びている。ガイドレール23aとガイドレール23bとは、X方向に露光装置15を挟んで互いに対峙している。
上記により、テーブル25は、図6に示すように、平面視で、露光装置15に重畳し得る。
なお、本実施形態では、テーブル25は、紫外光に対する光透過性を有している。従って、テーブル25と露光装置15とが、平面視で互いに重畳した状態において、露光装置15からの紫外光は、テーブル25に載置された基板Wに届き得る。このようなテーブル25の材料としては、例えば、ガラスや石英などが採用され得る。
支柱83は、平面視で、露光装置15に重なる位置に設けられている。支柱83は、X方向に定盤21及び露光装置15をまたいでいる。なお、テーブル25と露光装置15とが平面視で互いに重畳した状態において、テーブル25と支柱83との間に隙間が保たれている。
また、転写装置17は、後述する転写板位置検出装置を有している。転写板位置検出装置は、転写板85のZ方向における位置を検出する。転写板位置検出装置での検出結果に基づいて、転写板85のZ方向における位置が把握され得る。
また、造形装置5は、キャリッジ搬送モーター121と、基板搬送モーター123と、テーブル位置検出装置125と、転写板位置検出装置127と、を有している。
キャリッジ搬送モーター121、基板搬送モーター123、及び昇降モーター87は、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。また、キャリッジ位置検出装置65、テーブル位置検出装置125及び転写板位置検出装置127も、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
テーブル位置検出装置125は、テーブル25のY方向における位置を検出する。転写板位置検出装置127は、転写板85のZ方向における位置を検出する。
なお、吐出ヘッド33及び露光装置15も、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。また、コンピューター3も、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
駆動制御部115は、モーター制御部141と、位置検出制御部143と、吐出制御部145と、露光制御部147と、を有している。
位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ位置検出装置65と、テーブル位置検出装置125と、転写板位置検出装置127とを、個別に制御する。
位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ位置検出装置65にキャリッジ12のX方向における位置を検出させ、且つ検出結果をCPU113に出力する。
また、位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、転写板位置検出装置127に転写板85のZ方向における位置を検出させ、且つ検出結果をCPU113に出力する。
吐出制御部145は、CPU113からの指令に基づいて、吐出ヘッド33の駆動を制御する。
露光制御部147は、CPU113からの指令に基づいて、露光装置15の光源81の発光状態を個別に制御する。
コンピューター3は、抽出した複数の断面要素161に基づいて、複数の断面データを生成する。このとき、1つの断面要素161から1つの断面データが生成される。複数の断面データは、それぞれ、造形装置5に出力される。
本実施形態における造形方法は、図10に示すように、断面データ生成工程S1と、描画工程S2と、転写工程S3と、を含む。
断面データ生成工程S1では、上述したように、造形対象である立体7の形状データから複数の断面データを生成する。断面データ生成工程S1では、コンピューター3によって、断面データの生成が行われる。
描画工程S2では、断面データに基づいて、基板Wの描画面18に機能液53で断面パターンを描画する。描画工程S2では、造形装置5によって、断面パターンの描画が行われる。なお、描画面18は、図2に示すように、テーブル25側とは反対側の面であり、ヘッドユニット14側に向けられた面である。描画面18は、機能液53で断面パターンが描画される面である。
なお、描画工程S2及び転写工程S3は、描画すべき新たな断面パターンの断面データが尽きるまで反復して行われる。これにより、転写板85に立体7が形成され得る。
ここで、断面データでは、描画すべき断面パターンがビットマップ状に表現されている。基板Wへの断面パターンの描画は、吐出ヘッド33を基板Wに対向させた状態で、吐出ヘッド33と基板Wとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を所定周期で吐出させることによって行われる。
次いで、ステップS22において、CPU113は、基板搬送指令をモーター制御部141(図8)に出力する。このとき、モーター制御部141は、基板搬送モーター123の駆動を制御して、基板Wを描画エリアに移動させる。
ここで、キャリッジ12の往復移動では、キャリッジ12は、上述した往路開始位置と復路開始位置との間を往復移動する。つまり、往路開始位置から復路開始位置で折り返して往路開始位置に戻る経路がキャリッジ12の1往復である。このため、本実施形態では、往路開始位置から復路開始位置に向かう経路がキャリッジ12の往路である。他方で、復路開始位置から往路開始位置に向かう経路がキャリッジ12の復路である。
なお、復路開始位置は、X方向に定盤21(図2)を挟んで往路開始位置に対峙する位置である。復路開始位置は、平面視で、定盤21の外側に位置している。このため、往路開始位置と復路開始位置とは、平面視で、定盤21をX方向に挟んで互いに対峙している。
次いで、ステップS25において、CPU113は、キャリッジ12の位置が復路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ12の位置が復路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS26に移行する。他方で、キャリッジ12の位置が復路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ12の位置が復路開始位置に到達するまで処理が待機される。
次いで、ステップS27において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141(図8)に出力する。このとき、モーター制御部141は、基板搬送モーター123の駆動を制御して、基板WをY方向に移動(改行)させ、基板Wにおいてパターンを描画すべき新たな領域を描画エリアに移動させる。
次いで、ステップS28において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145(図8)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。これにより、復路での描画が行われる。
ステップS30において、CPU113は、吐出停止指令を吐出制御部145(図8)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を停止して、各ノズル37からの液滴55の吐出を停止させる。これにより、復路での描画が終了する。
ステップS32において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141(図8)に出力してから、処理をステップS24に移行させる。このとき、ステップS32では、モーター制御部141は、基板搬送モーター123の駆動を制御して、基板WをY方向に移動(改行)させ、基板Wにおいてパターンを描画すべき新たな領域を描画エリアに移動させる。
転写処理では、CPU113は、まず、ステップS51において、基板搬送指令をモーター制御部141(図8)に出力する。このとき、モーター制御部141は、基板搬送モーター123の駆動を制御して、基板Wを露光エリアに移動させる。なお、露光エリアは、平面視で露光装置15に重なる領域である。
ここで、断面データ生成工程S1(図10)において、n(nは、2以上の整数)個の断面要素161を抽出した場合を想定する。以下において、n個の断面要素161のそれぞれを識別する場合、n個の断面要素161は、図9に示すように、断面要素161j(jは、1〜nまでの整数)と表記される。n個の断面要素161のそれぞれは、厚みtを有している。n個の断面要素161jを1番目からn番目まで順次に重ねると、造形対象である厚みTの立体7が構成される。つまり、厚みTと厚みtとの間には、T=n×tの関係がある。
ステップS52では、n個の断面要素161の1〜nまでの番号jに応じて、転写板85の降下位置が制御される。例えば、1番目の断面要素161であるときには、基板Wと転写板85との間の隙間は、図13に示すように、tの距離に制御される。つまり、ステップS52では、番号jに応じて、基板Wと転写板85との間の隙間がj×tの距離に制御される。
ここで、本実施形態では、基板Wは、紫外光に対する光透過性を有している。従って、露光装置15からの紫外光163は、図13に示すように、テーブル25及び基板Wを介して断面要素161に対応する断面パターン165に届き得る。このような基板Wの材料としては、例えば、ガラスや石英などが採用され得る。また、紫外光163としては、波長が200nmよりも長い紫外光が採用され得る。
なお、図13では、構成をわかりやすく示すため、断面要素161(断面パターン165)にハッチングが施されている。
次いで、ステップS55において、CPU113は、上昇指令をモーター制御部141(図8)に出力してから、処理を終了させる。このとき、ステップS55では、モーター制御部141は、昇降モーター87の駆動を制御して、転写板85を上昇させる。これにより、露光された断面パターン165は、図14に示すように、転写板85に転写される。なお、以下において、断面パターン165を断面要素161jに対応させて個別に識別する場合には、断面パターン165jという表記が用いられる。
ところで、本実施形態では、基板Wの描画面18に、機能液53に対する撥液性を示す領域である撥液領域が設けられている。これにより、転写工程S3において、基板Wから断面パターン165を剥離させやすくすることができる。
本実施形態では、フッ素化合物の1つであるフルオロアルキルシラン化合物を含む材料で、描画面18にコーティングが施されている。
また、機能液53に対する撥液性は、例えば、フッ素やフッ素化合物を含有するガスを用いたプラズマ処理を基板Wに施すことによっても付与され得る。
本実施形態では、複数の親液領域173が設けられている。複数の親液領域173は、それぞれ、撥液領域171内で島状に独立している。なお、図16では、構成をわかりやすく示すため、撥液領域171にハッチングが施されている。
Y'方向に配列する複数の親液領域173は、親液列175を構成している。X'方向に配列する複数の親液領域173は、親液行176を構成している。
X'方向に隣り合う親液領域173同士間の隙間寸法Fxは、液滴55の外径の1.25倍以下に設定されている。また、Y'方向に隣り合う親液領域173同士間の隙間寸法Fyも、液滴55の外径の1.25倍以下に設定されている。
第1実施形態における基板Wでの撥液領域171及び親液領域173の形成方法について説明する。
第1実施形態では、まず、描画面18にフルオロアルキルシラン化合物を含む材料でコーティングを施すことによって、図17に示すように、撥液領域174を形成する。このとき撥液領域174は、複数の島状領域177を包含している。島状領域177は、親液領域173が形成されるべき領域である。なお、図17では、構成をわかりやすく示すため、撥液領域174にハッチングが施されている。
上記により、複数の親液領域173を内包する撥液領域171が形成され得る。
第2実施形態における基板Wは、図16中のD−D線における断面図である図18に示すように、複数の親液領域173のそれぞれが、撥液領域171よりも突出している。つまり、第2実施形態における基板Wは、複数の凸部178を有している。そして、複数の凸部178のそれぞれにおける頂部が親液領域173とされている。
第2実施形態における基板Wの製造方法について説明する。
第2実施形態における基板Wの製造方法では、図19(a)に示すように、まず、基板W'にレジストパターン181をパターニングする。基板W'は、基板Wのもととなる基板である。レジストパターン181は、凸部178(図18)に対応する部位に設けられる。レジストパターン181は、スピンコート技術及びフォトリソグラフィー技術などを活用することによってパターニングされ得る。
次いで、フルオロアルキルシラン化合物を含む材料でコーティングを施すことによって、図19(c)に示すように、基板面184及び凸部183に撥液領域185を形成する。撥液領域185は、基板面184と、凸部183の頂部と、凸部183の側面部と、を包含している。
次いで、複数の凸部183の頂部をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などで研磨することによって、図18に示す複数の凸部178を形成する。
上記により、複数の親液領域173を内包する撥液領域171が形成され得る。
また、第1実施形態及び第2実施形態のそれぞれにおいて、Y'方向が第1方向に対応し、X'方向が第2方向に対応し、親液列175が第1配列に対応し、親液行176が第2配列に対応している。
図20に示す千鳥配列では、複数の親液列175がX'方向にジグザグに並んでいるともみなされ得る。また、図20に示す千鳥配列では、複数の親液列175は、U方向に並んでいるともみなされ得る。U方向は、X'方向及びY'方向の双方に対して交差する方向である。
フィボナッチ数列は、1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,…という数列である。これを漸化式で表すと、下記(1)式で表される。
f1=1,f2=1,fi+2=fi+1+fi・・・(1)
そして、X'方向及びY'方向で規定されるX'Y'面において、下記(2)式で算出される座標(x',y')に親液領域173を配置すると、複数の親液領域173を、フィボナッチ数列を利用した螺旋状に配置することができる。
x'=r×cos(θ×i),y'=r×sin(θ×i)・・・(2)
r=a×√(i)・・・(3)
上記(3)式において、aは、比例定数であり、0よりも大きい任意の数である。
この結果、描画工程S2において、複数の液滴55が規則的に基板Wに着弾しても、複数の親液領域173の不規則性によって、断面パターン165に規則的なギザギザ(ジャギー)が発生することを低く抑えやすくすることができる。
また、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びホワイトの5種類のカラー塗料が採用されている。しかしながら、カラー塗料の色は、これらの5種類に限定されない。カラー塗料の色としては、例えば、これらの5種類にライトシアンやライトマゼンタなどを加えた7種類等、1種類以上の任意の種類のカラー塗料が採用され得る。
また、本実施形態では、造形装置5が基板Wを有する構成が例示されているが、造形装置5の構成は、これに限定されない。造形装置5の構成としては、例えば、基板Wを省略した構成も採用され得る。そして、この構成では、テーブル25に断面パターン165が描画される。このため、この構成では、載置面25aが描画面18に対応する。また、基板Wが省略された造形装置5では、テーブル25が描画台に対応する。
Claims (13)
- 造形対象である立体を複数の断面要素に分割し、活性エネルギーを受けることによって
硬化が促進する液状体で、描画面を有する描画台の前記描画面に、前記断面要素を断面パ
ターンとして描画する描画工程と、
前記描画台に描画された前記断面パターンを前記描画台と造形台との間に挟持した状態
で、前記断面パターンを構成する前記液状体に前記活性エネルギーを付与するエネルギー
付与工程と、
前記活性エネルギーが付与された後の前記断面パターンを前記描画台から剥離して、前
記断面パターンを前記造形台側に転写する剥離工程と、を含み、
前記描画工程では、
前記液状体に対する撥液性を示す領域である撥液領域と、
前記撥液領域内で島状に独立し、前記液状体に対して前記撥液領域よりも親液性を示す
領域である親液領域と、を有する前記描画面に前記断面パターンを描画する、
ことを特徴とする造形方法。 - 前記液状体は、光の照射を受けることによって硬化が促進する性質である光硬化性を有
しており、
前記エネルギー付与工程では、前記液状体に前記光を照射する、
ことを特徴とする請求項1に記載の造形方法。 - 前記描画工程では、前記液状体をインクジェット法で前記描画台に吐出することによっ
て、前記描画面に前記断面パターンを描画する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の造形方法。 - 活性エネルギーを受けることによって硬化が促進する液状体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドから吐出される前記液状体で、造形対象である立体の断面パターンが描
画される面である描画面を有する描画台と、
前記描画面に付着した前記液状体に前記活性エネルギーを付与するエネルギー付与装置
と、
前記活性エネルギーが付与された後の前記断面パターンが、前記描画台から転写される
造形台と、を有し、
前記描画面には、
前記液状体に対する撥液性を示す領域である撥液領域と、
前記撥液領域内で島状に独立し、前記液状体に対して前記撥液領域よりも親液性を示す
領域である親液領域と、が設けられている、
ことを特徴とする造形装置。 - 前記液状体は、光の照射を受けることによって硬化が促進する性質である光硬化性を有
しており、
前記エネルギー付与装置は、前記液状体に前記光を照射する、
ことを特徴とする請求項4に記載の造形装置。 - 前記吐出ヘッドは、前記液状体を液滴の状態で吐出する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の造形装置。 - 前記撥液領域内には、複数の前記親液領域が設けられており、
前記複数の親液領域は、平面視で、第1方向に配列する複数の第1配列を構成しており
、
前記複数の第1配列は、平面視で、前記第1方向とは交差する方向である第2方向に並
んでいる、
ことを特徴とする請求項6に記載の造形装置。 - 前記撥液領域内には、複数の前記親液領域が設けられており、
前記複数の親液領域は、平面視で、第1方向に配列する複数の第1配列を構成しており
、
前記複数の第1配列は、平面視で、前記第1方向とは交差する方向である第2方向にジ
グザグに並んでいる、
ことを特徴とする請求項6に記載の造形装置。 - 前記撥液領域内には、複数の前記親液領域が設けられており、
前記複数の親液領域は、フィボナッチ数列を利用した螺旋を構成している、
ことを特徴とする請求項6に記載の造形装置。 - 前記親液領域は、前記撥液領域よりも突出している、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の造形装置。 - 隣り合う前記親液領域同士間の隙間寸法が、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴の
外径の1.25倍以下の距離である、
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の造形装置。 - 造形対象である立体を複数の断面要素に分割し、活性エネルギーを受けることによって
硬化が促進する液状体で、描画面を有する描画台の前記描画面に、前記断面要素を断面パ
ターンとして描画する描画工程と、
前記描画台に描画された前記断面パターンを前記描画台と造形台との間に挟持した状態
で、前記断面パターンを構成する前記液状体に前記活性エネルギーを付与するエネルギー
付与工程と、
前記活性エネルギーが付与された後の前記断面パターンを前記描画台から剥離して、前
記断面パターンを前記造形台側に転写する剥離工程と、を含み、
前記描画工程では、
前記液状体に対する撥液性を示す領域である撥液領域と、
前記撥液領域内で島状に独立し、前記液状体に対して前記撥液領域よりも親液性を示し、前記撥液領域よりも突出している領域である親液領域と、を有する前記描画面に前記断面パターンを描画する、
ことを特徴とする造形方法。 - 活性エネルギーを受けることによって硬化が促進する液状体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドから吐出される前記液状体で、造形対象である立体の断面パターンが描
画される面である描画面を有する描画台と、
前記描画面に付着した前記液状体に前記活性エネルギーを付与するエネルギー付与装置
と、
前記活性エネルギーが付与された後の前記断面パターンが、前記描画台から転写される
造形台と、を有し、
前記描画面には、
前記液状体に対する撥液性を示す領域である撥液領域と、
前記撥液領域内で島状に独立し、前記液状体に対して前記撥液領域よりも親液性を示し、前記撥液領域よりも突出している領域である親液領域と、が設けられている、
ことを特徴とする造形装置。
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