JP2006150515A - ワイヤーソーおよびその製造方法 - Google Patents

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【課題】 円筒状の台金の外周に超砥粒層が設けられた複数のビーズがワイヤーロープに挿通され被覆部材にてワイヤーロープに接合固定されたワイヤーソーで、ワイヤーロープが破断しにくく、切断中の振れを大幅に抑制でき安定した切断のできるワイヤーソーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 ビーズ間のワイヤーロープ外周にはコイルバネを設け、コイルバネとワイヤーロープとの隙間およびコイルバネの外周には被覆部材を設けるとともに、ワイヤーロープ、ビーズおよびコイルバネの3者の軸心を半径0.1mmの円周内に収める。また製造方法として、被覆部材を形成する工程で、ゴムを注入して加硫させる際にはワイヤーロープおよびビーズを金型により固定した状態で行う。好ましくは、金型に突起を設け、その突起でコイルバネを押さえて弾性変形させた状態で行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、石材、コンクリートなどの切断に使用されるワイヤーソーおよびその製造方法に関する。
従来、石材やコンクリートを切断する工具の一つとして、ワイヤーソーが使用される。ワイヤーソーは、ワイヤーロープを芯材として多数のビーズを挿通し固定したものである。ビーズは円筒状の台金の外周部にリング状の超砥粒層が固着されており、この超砥粒層に含まれるダイヤモンドなどの超砥粒が切刃となって石材やコンクリートを切断する。ビーズをワイヤーロープに固定する方法としては、ビーズの台金の一部をかしめて機械的に固定する方法やワイヤーロープとビーズの台金の周囲にゴムや樹脂などの被覆部材を設け、被覆部材との接着により固定する方法などがある。
これらの固定方法にはそれぞれ利点や欠点を有している。まず、台金をかしめて固定する方法では、台金を変形させることにより高い固定力を得ることができるが、その反面ワイヤーロープを変形させることになり、使用時には変形した状態で繰り返しの屈曲が行われるため、ワイヤーロープが破断しやすくなる。しかも、台金とワイヤーロープが直接接してワイヤーロープの素線に傷を付けるために破断しやすくなる上、屈曲する際に擦れあってワイヤーロープが摩耗するため、より破断しやすくなる。
一方、被覆部材との接着による固定方法では、ワイヤーロープを変形させることは少なく、繰り返しの屈曲に対しても耐久性が向上する。しかも、ワイヤーロープと台金との隙間にも被覆部材を充填することで両者が直接接触することを防止でき、屈曲させてもワイヤーロープは摩耗しない。その反面、ビーズの固定はゴムや樹脂などの柔軟な材料によるため、使用中にビーズに抵抗がかかった時にワイヤーロープの長さ方向にずれやすくなる。そしてビーズがずれてダンゴ状になると、被覆部材が盛り上がって径が大きくなり切断溝に引っかかってしまうため、使用を中断する必要が生じる。この場合、ワイヤーソーの回転を止め、ビーズがずれた部分を切断除去した上で再度ワイヤーソーを接続して使用することになるので、切断除去する部分が無駄になる上、作業効率も悪くなる。
この問題を防止するものとして、ビーズ間のワイヤーロープ外周にゴム製の被覆部材を設け、その被覆部材の中にコイルバネを設けたワイヤーソーがある。このワイヤーソーでは、コイルバネの存在により、被覆部材による各ビーズ間の間隔を保持する力が増して、ビーズの移動を抑制するとともに、仮にビーズが大きく移動して、被覆部材に亀裂が入って破損しても、コイルバネとの接合により被覆部材の盛り上がりが抑制されてダンゴ状になりにくいとされている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−225735号公報
しかしながら、特許文献1に記載のワイヤーソーでは、被覆材料の注入圧力のために、ビーズに対してワイヤーロープが偏心した状態で被覆部材が形成されることになる。特に、被覆材料にゴムを使用する場合、注入圧力がゴム材料にかかり、そのゴム材料がワイヤーロープに圧力をかけるため非常に偏心が起こりやすくなる。このワイヤーロープが偏心したワイヤーソーの部分断面図を図3に示す。このワイヤーソー1では、図の下方向にワイヤーロープ3が片寄り、ワイヤーロープ3を基準として見ると、コイルバネ4は上方向に片寄っていて、ワイヤーロープ3、ビーズ2、コイルバネ4それぞれの軸心が一致せずにずれている。このようにワイヤーロープ3がビーズ2に対して大きく偏心していると、ワイヤーソーを回転させた時に、非常に大きく振れることになる。特に、被覆材料にゴムを使用する場合、樹脂などに比べても弾性力に富んでいるため非常に振れやすく、ガイドプーリーからはずれて度々切断作業を中断しなければならないという問題が発生する。
ワイヤーロープ3が偏心する理由は以下の様に考えられる。被覆部材の成形時にワイヤーロープ3を保持するのはビーズ2に形成された穴の内面2cのみであり、この内面2cにワイヤーロープ3が接する状態で被覆部材5が形成される。一般に、ビーズ2の穴径hはワイヤーロープ3に挿通する際に摩擦が生じてワイヤーロープ3に傷を付けるのを防止するためワイヤーロープ3の直径より大きくしてあり、特にビーズ2の穴とワイヤーロープ3との隙間に意識的に被覆部材5を充填させるものでは0.3〜0.5mm程度の直径差を設けてある。そのため、被覆材料5を注入する際にその注入圧力により穴の片側にワイヤーロープ3が寄ってしまい、ビーズ2に対してワイヤーロープ3が偏心した状態になる。コイルバネ4が設けられたものでは、ビーズ2間のワイヤーロープ3はコイルバネ4で保持されるためコイルバネ4が無いものよりは偏心の度合いは少ないが、それでもコイルバネ4の内径はワイヤーロープ3の直径より大きいため偏心は起こりうる。また、コイルバネ4がワイヤーロープ3に対して偏心していると、ビーズ2間の被覆部材5が摩耗したときにコイルバネ4の片側の一部分だけが露出し、被切断物と接触する部分が被覆部材であったりコイルバネであったりするため、非常に不安定な状態になり、ますますワイヤーソーの振れを大きくしてしまう。このような偏心を防ぐには、ビーズ2やコイルバネ4の内径とワイヤーロープ3の直径とをできるだけ近づけることが考えられるが、直径差がほとんど無い場合はお互いに摩擦摩耗し、ワイヤーロープ3が破断するという問題が生じる。以上のようなことから、本発明のワイヤーソーは、ワイヤーロープが破断しにくく、切断中の振れを抑制して安定した切断ができるワイヤーソーおよびその製造方法を提案するものである。
本発明のワイヤーソーの第1の特徴は、円筒状の台金の外周に超砥粒層が設けられた複数のビーズが、ワイヤーロープに挿通され、被覆部材にて前記ワイヤーロープに接合固定されたワイヤーソーであって、前記ビーズ間の前記ワイヤーロープ外周には、コイルバネが設けられ、前記コイルバネと前記ワイヤーロープの隙間および前記コイルバネの外周には被覆部材が設けられるとともに、前記ワイヤーロープ、前記ビーズ、および前記コイルバネの3者の軸心は、半径0.1mmの円周内に収まっていることである。
ワイヤーソーを使用する時には、円盤状のプーリーにワイヤーソーをセットし、張力をかけて回転させる。張力をかけると芯材であるワイヤーロープが直線上に張られる。この時にビーズがワイヤーロープに対して偏心していると、超砥粒層が被切断部に接触する時に不均一な接触状態になるため、振れが発生しやすくなる。従って、上記のような構成にすることで、切断中のワイヤーソーの振れを防止することができ、安定した切断ができるとともに振れによる衝撃でビーズが破損することが防止できる。
第2の特徴は、前記ビーズの前側および後側の被覆部材には凹部が設けられ、前記凹部は被覆部材成形用の金型に形成された突起により形成されたものであり、前記凹部の底面形状は前記コイルバネのスプリングバックにより変形していることである。
凹部は被覆部材を成形するための金型の突起により形成される。この金型の突起によりコイルバネを保持しながら被覆部材が成形されているので、被覆部材がコイルバネやワイヤーロープに対して偏心する度合いが小さくなる。さらに、金型の突起によりコイルバネを径方向に僅かに弾性変形させた状態で保持しながら被覆部材を注入することになるので、コイルバネとワイヤーロープとの偏心の度合いが極めて小さくなり、ワイヤーロープとビーズの軸心も一致あるいは極めて近づく。そして、被覆部材の成形後、圧縮力から解放されるとコイルバネの直径が大きくなるため、被覆部材に張力が働き凹部の底面形状が変形して凹凸ができる。この張力がかかっている凹凸があることで、切断中に凹部に入り込んだ切粉が外部に排出されやすくなり凹部に溜まるのを防止できる。その結果、切粉で被覆部材が損傷するのを防止できる。特に凹部は被覆部材の厚みが薄いので損傷を受けやすく、損傷防止には効果的である。
また、上記のようにコイルバネとワイヤーロープとの偏心の度合いが小さいので、凹部以外のコイルバネの外周側の被覆部材の厚みが均一になる。その結果、コイルバネの一部分だけが露出することもなくなり、切断中のワイヤーソーの振れが防止される。
第3の特徴は、前記凹部は、前記被覆部材の円周方向に断続する複数の凹部であることである。
凹部を断続的に形成することで、被覆部材の強度が大幅に低下するのを防止でき、凹部から損傷することを防止できる。
第4の特徴は、前記被覆部材は、加硫ゴムであることである。
被覆部材として使用される材料には加硫ゴムや樹脂があるが、加硫ゴムは樹脂に比べて流動性が悪く、成形時にワイヤーロープをビーズに対して偏心させる度合いが大きくなる。しかし、上記のようにコイルバネを弾性変形させてワイヤーロープを保持したものでは偏心するのを防止できる。また、加硫ゴムは伸縮に対する耐久性が高いので、上記のようにコイルバネのスプリングバックにより加硫ゴムに引張応力がかかってもワイヤーロープやビーズから剥がれにくい。
第5の特徴は、前記ビーズに形成された穴とワイヤーロープとの直径差を、0.2〜0.6mmとしたことである。なお、ワイヤーロープの表面は多数の素線で形成されているため凹凸を有するが、本願ではワイヤーロープの直径は最も突出した部分の外径(図1、図3でdに相当)と定義する。
このような構成にすることで、ビーズの穴とワイヤーロープとの隙間に被覆部材が確実に充填され、ビーズとワイヤーロープとが接触するのを防止できるのでワイヤーロープの破断が防止される。
また、本発明のワイヤーソーの製造方法の第1の特徴として、円筒状の台金の外周に超砥粒層が設けられた複数のビーズが、ワイヤーロープに挿通され、被覆部材にて前記ワイヤーロープに接合固定されるとともに、前記ビーズ間の前記ワイヤーロープ外周にはコイルバネが設けられたワイヤーソーの製造方法であって、
前記ビーズを前記ワイヤーロープに挿通した状態で金型にセットする工程と、
前記金型内にゴムを注入して加硫させることにより被覆部材を成形する工程とを含み、
少なくとも前記ゴムを注入して加硫させる際には、前記ワイヤーロープおよび前記ビーズを前記金型により固定した状態で行うことである。
このようにワイヤーロープおよびビーズを金型により固定した状態で行うことにより、ワイヤーロープに対してビーズが偏心するのを防止できる。
第2の特徴として、前記ワイヤーロープの固定は、前記金型に設けた突起により前記コイルバネを押さえながら弾性変形させ、前記コイルバネの内径を前記ワイヤーロープの外径と略同径にすることで固定させることである。
コイルバネを外周側から押さえて弾性変形させることでコイルバネの内径をロープ外径と略同径にすることができ、その状態で被覆部材を成形するので、ワイヤーロープに対してコイルバネが偏心するのを防止できる。そして、被覆部材成形後に金型から取り出せば、弾性変形していたコイルバネは元の直径に戻り、ワイヤーロープとコイルバネは接触しない状態になるので接触を原因とするワイヤーロープの破断を防止できる。
第3の特徴として、前記被覆部材は加硫ゴムとしたことである。
被覆部材として使用される材料には、加硫ゴムや樹脂があるが、加硫ゴムは樹脂に比べて流動性が悪く、注入圧力も高くなるため、成形時にワイヤーロープをビーズに対して偏心させる度合いが大きくなる。しかし、上記のようにコイルバネを弾性変形させてワイヤーロープを保持したものでは偏心の度合いが大きくなるのを防止できる。また、加硫ゴムは伸縮に対する耐久性も高いので、上記のようにコイルバネのスプリングバックにより加硫ゴムに引張応力がかかってもワイヤーロープやビーズから剥がれにくい。
本発明のワイヤーソーでは、ワイヤーロープ、ビーズ、コイルバネのそれぞれの偏心の度合いが極めて小さいので、ワイヤーソーを安定して回転させることができ、振れの発生を大幅に抑制することができる。しかも被覆部材によりお互いに接触しない構造になっているのでワイヤーロープが破断しにくく、ワイヤーソーの寿命が大幅に向上する。特に、被覆部材にゴムを使用した柔軟性のあるワイヤーソーにおいて、振れを大幅に抑えることができる。また、本発明のワイヤーソーの製造方法では、ワイヤーロープ、ビーズ、コイルバネのそれぞれの偏心の度合いが極めて小さいワイヤーソーを容易に製造することができ、しかも低コストで製造できる。
本発明のワイヤーソーの部分断面図を図1に、部分外観図を図2に示す。図1を参照して、ビーズ2は円筒状の台金2bの外周に超砥粒層2aが設けられたものであり、ワイヤーロープ3に挿通されている。また、ビーズ2間にはコイルバネ4が挿通されている。そして、ビーズ2、コイルバネ4およびワイヤーロープ3は被覆部材5によりお互いに接合固定されている。ビーズ2の軸心Mとワイヤーロープ3の軸心Nとは一致しているか、あるいはずれていても最大で半径0.1mmの円周内に収まっている。すなわち、図1の偏心量xは0.2mm以内になっている。次に図2を参照して、各ビーズ2の前側および後側付近の被覆部材4には円周方向に断続する複数の凹部5aが設けられていて、凹部5aの底面形状は変形し、凹凸5bが形成されている。凹部5a底面の被覆部材5の厚みは被覆部材5の他の部分(凹部の無い部分)の厚みより薄くなっており、コイルバネ4と凹部5a底面との厚みは最も薄い部分で0.1mm以下とするのが好ましい。この厚みが厚くなると、被覆部材5とコイルバネ4との偏心の度合いが大きくなるためである。ビーズ2に形成された穴とワイヤーロープ3との直径差は0.2〜0.6mmになっており、両者の隙間に被覆部材5が充填されている。
本発明のワイヤーソーの製造方法について好ましい形態を以下に説明する。図4に被覆部材5の成形前後の概略図を示す。図4(a)を参照して、ビーズ2とコイルバネ4を交互にワイヤーロープ3に挿通した後、これらを被覆部材成形用の下金型6aに載置する。被覆部材成形用金型6は上下の分割型になっており、約160度に加熱された熱板(図示せず)に取り付けられている。この金型はビーズ2やコイルバネ4が嵌まり込む形状の雌型になっており、ビーズ2間の被覆部材5を形成する部分には円周方向に断続する複数の突起7が設けられて、この複数の突起7によりコイルバネ4を保持するようになっている。図4(b)を参照して、下金型6aにビーズ2とコイルバネ4を挿通したワイヤーロープ3を載置した後、下金型6aの上に上金型6bを密着させる。この時点で、ビーズ2は上下の金型6に接触しており、コイルバネ4は複数の突起7により弾性変形させられ、コイルバネ4の少なくとも一部分の直径が小さくなって、コイルバネ4の内周面はワイヤーロープ3に接触する。その後、被覆材料である未加硫ゴムを加圧しながら金型6内に注入し、約10分間保持して加硫させる。以上のようにして被覆部材5を成形した後、図4(c)に示すように、一体となったビーズ2、コイルバネ4、ワイヤーロープ3を金型6から取り出せばワイヤーソー1の形状となる。被覆材料の成形中には、コイルバネ4が弾性変形しているが、金型6から取り出した時点で圧力から解放され元の形状に戻る。そのため被覆部材5には引張応力がかかり、金型6の突起により被覆部材5に形成された凹部5aは若干変形した形状になり、凹部5aの底面には凹凸5bが形成される。
本発明のワイヤーソーとして図1に示すワイヤーソーを、また従来のワイヤーソーとして図3に示すワイヤーソーを製作した。いずれのワイヤーソーにも共通の仕様として、ビーズの直径は10.5mm、ビーズの穴径は5.2mm、ワイヤーロープ径4.9mm(公称径は4.76mmのもの)、コイルバネの外径7.5mm、コイルバネの内径5.1mmのものを用い、ビーズのピッチは25mmとした。これらの仕様のビーズおよびワイヤーロープを用いて前述の方法により被覆部材を成形し、長さが6mのワイヤーソーを製作した。なお、本発明のワイヤーソーは、被覆部材の成形時には金型の突起によりコイルバネが弾性変形させられ、外径が7.5mmのものが7.2mmになっていた。また、被覆部材に形成された凹部は、円周方向に等間隔に4ヶ設け、凹部の円周方向長さLおよび凹部と凹部の間の円周方向長さLを同じとした。
以上のようにして本発明のワイヤーソーと従来のワイヤーソーを各3本製作した。これらのワイヤーソーのビーズとワイヤーロープの偏心量xは、本発明のワイヤーソーが0〜0.1mmのものが1本、0.1〜0.2mmのものが2本であったのに対し、従来のワイヤーソーは、0.3〜0.4mmのもの、0.4〜0.6mmのもの、0.5〜0.6mmのものが各1本ずつであった。
これらのワイヤーソーを用いて、鉄筋コンクリートの切断試験を行った。被切断物として直径16mmの鉄筋が入った耐圧強度255kg/cmのコンクリート(配筋率1.1%)を用い、ワイヤーソー小型切断機(コンセック製DSM−10V)により切断を行った。1つの切断面の大きさは1.0mであり、切断中のワイヤーソーの振れの大きさとコイルバネが露出するまでの切断量、およびコイルバネが露出してからの振れの大きさを測定した。振れの大きさは、駆動プーリーと被切断物との間の約1mの長さの部分でのワイヤーソーの振幅を測定した。この結果を表1に示す。
Figure 2006150515
表1に示すように、切断速度については本発明のワイヤーソーと従来のワイヤーソーとでは大きな差がないものの、本発明のワイヤーソーは従来のワイヤーソーに比べて大幅に振れが小さいことがわかる。そして、コイルバネが露出するまでの切断面積は本発明品が従来品に比べて2倍以上であり、コイルバネが露出してからの振れの大きさも本発明のワイヤーソーの方が小さく、安定した切断ができることがわかった。
本発明のワイヤーソーは、鉄筋コンクリート構造物の切断や山から原石を切り出すための切断ならびに原石を切断する加工などに用いることができる。
本発明のワイヤーソーの部分断面図である。 本発明のワイヤーソーの部分外観図である。 従来のワイヤーソーの部分断面図である。 本発明のワイヤーソーの被覆部材の成形工程を示す概念図である。
符号の説明
1 ワイヤーソー
2 ビーズ
2a 超砥粒層
2b 台金
2c 穴の内面
3 ワイヤーロープ
4 コイルバネ
5 被覆部材
5a 凹部
5b 凹凸
6 被覆部材成形用金型
6a 下金型
6b 上金型
7 突起

Claims (8)

  1. 円筒状の台金の外周に超砥粒層が設けられた複数のビーズが、ワイヤーロープに挿通され、被覆部材にて前記ワイヤーロープに接合固定されたワイヤーソーであって、
    前記ビーズ間の前記ワイヤーロープ外周には、コイルバネが設けられ、
    前記コイルバネと前記ワイヤーロープの隙間および前記コイルバネの外周には被覆部材が設けられるとともに、
    前記ワイヤーロープ、前記ビーズ、および前記コイルバネの3者の軸心は、半径0.1mmの円周内に収まっていることを特徴とするワイヤーソー。
  2. 前記ビーズの前側および後側の被覆部材には凹部が設けられ、前記凹部は被覆部材成形用の金型に形成された突起により形成されたものであり、前記凹部の底面形状は前記コイルバネのスプリングバックにより変形していることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーソー。
  3. 前記凹部は、前記被覆部材の円周方向に断続する複数の凹部であることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーソー。
  4. 前記被覆部材は、加硫ゴムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤーソー。
  5. 前記ビーズに形成された穴とワイヤーロープとの直径差は、0.2〜0.6mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のワイヤーソー。
  6. 円筒状の台金の外周に超砥粒層が設けられた複数のビーズが、ワイヤーロープに挿通され、被覆部材にて前記ワイヤーロープに接合固定されるとともに、前記ビーズ間の前記ワイヤーロープ外周にはコイルバネが設けられたワイヤーソーの製造方法であって、
    前記ビーズを前記ワイヤーロープに挿通した状態で金型にセットする工程と、
    前記金型内にゴムを注入して加硫させることにより被覆部材を形成する工程とを含み、
    少なくとも前記ゴムを注入して加硫させる際には、前記ワイヤーロープおよび前記ビーズを前記金型により固定した状態で行うことを特徴とするワイヤーソーの製造方法。
  7. 前記ワイヤーロープの固定は、前記金型に設けた突起により前記コイルバネを押さえながら弾性変形させ、前記コイルバネの内径を前記ワイヤーロープの外径と略同径にすることで固定させることを特徴とする請求項6に記載のワイヤーソーの製造方法。
  8. 前記被覆部材は、加硫ゴムであることを特徴とする請求項7に記載のワイヤーソーの製造方法。
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