JP2006150194A - 金属製触媒担体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 排気ガス浄化性能を最大限に高めることができる金属製触媒担体の提供。
【解決手段】 薄板の波板11と平板12を交互に多重に重ねて各波板11と平板12との間に排気ガスが通過する多数のセル通路が形成され、波板11と平板12多数のスリット孔11a、12aが形成され、波板11と平板12の表面に触媒成分を混入したスラリーがコーティングされた金属製触媒担体であって、多数のスリット孔11a、12aにおける排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる排気ガス流入側と対面する開口縁部の長さの合計が、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる波板11と平板12の排気ガス流入側端縁部の長さの合計の1〜3倍になるように設定される。
【選択図】 図3
【解決手段】 薄板の波板11と平板12を交互に多重に重ねて各波板11と平板12との間に排気ガスが通過する多数のセル通路が形成され、波板11と平板12多数のスリット孔11a、12aが形成され、波板11と平板12の表面に触媒成分を混入したスラリーがコーティングされた金属製触媒担体であって、多数のスリット孔11a、12aにおける排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる排気ガス流入側と対面する開口縁部の長さの合計が、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる波板11と平板12の排気ガス流入側端縁部の長さの合計の1〜3倍になるように設定される。
【選択図】 図3
Description
本発明は、内燃機関等の排気系に装着するスリット構造の金属製触媒担体に関する。
従来の金属製触媒担体として、金属製薄板の波板(大波板)と平板(または小波板)を交互に重ねて多重に巻回して波板と平板との間に排気ガスが通過する多数のセル通路が形成されると共に、前記波板と平板のうち少なくともいずれか一方に所定間隔のもとに多数のスリット孔を形成することにより、セル通路内を通過する排気ガスに対し乱流を積極的に起こさせて排気ガスが波板と平板の表面にコーティングされた触媒に接触する機会をできるだけ増やし、これにより、排気ガス浄化性能を向上させるようにした構造のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
そして、一本のセル通路内を流れる排気ガスは、図5の触媒反応プロセス説明図に示すように、入口からその担体壁101に沿って流れの境界層103が形成され、担体壁101の表面にコーティングされている触媒層102への反応物質の拡散が阻害される。そこで、排気ガス浄化性能を改善する手段として、物質移動を改善したのが図6(排気ガス流れイメージ図)に示すスリット構造である。スリット孔104により形成されるリーディングエッジは、図7(イ)に示すように、セル通路内にできた境界層103を途中で寸断し、エッジ先端では境界層103が薄くなって触媒層102への物質移動を活発化させ、その結果、図7(ロ)に示すように、反応物質移動率が各スリット孔104のリーディングエッジ部において最も高くなり、従って、上述のように、多数のスリット孔104を形成してリーディングエッジを増やすことにより、平均移動率が高くなり、これにより、全体として排気ガス浄化性能を向上させることができる。
しかしながら、従来例では、上述のように、多数のスリット孔を形成してリーディングエッジを増やすことにより、平均移動率が高くなり、これにより、全体として排気ガス浄化性能を向上させ得ることは理論上明らかであるが、スリット孔によるリーディングエッジの長さ合計と排気ガス浄化性能(浄化率)との関係、即ち、排気ガス浄化性能を最大限に高めるためにはスリット孔の形成個数(リーディングエッジの長さ合計)を如何ほどに設定すればよいかという点については、いまだ解明されてはいなかった。
本発明の解決しようとする課題は、排気ガス浄化性能を最大限に高めることができる金属製触媒担体を提供することにある。
上記課題を解決するため請求項1記載の金属製触媒担体は、薄板の大波板と小波板または平板を交互に多重に重ねて該各大波板と小波板または平板との間に排気ガスが通過する多数のセル通路が形成され、前記大波板と小波板に多数のスリット孔が形成され、前記大波板と小波板または平板の表面に触媒成分を混入したスラリーがコーティングされた金属製触媒担体であって、前記各スリット孔における排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる排気ガス流入側と対面する開口縁部の長さの合計が、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる前記大波板と小波板または平板の排気ガス流入側端縁部の長さの合計の1〜3倍になるように設定されていることを特徴とする手段とした。
請求項1記載の金属製触媒担体では、上述のように、前記各スリット孔における排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる排気ガス流入側と対面する開口縁部の長さの合計が、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる大波板と小波板または平板の排気ガス流入側端縁部の長さの合計の1〜3倍になるように設定することにより、反応物質(HC、CO、NOx等)の浄化率が高くなることが実験結果により明らかになり、これにより、排気ガス浄化性能を最大限に高めることができるようになるという効果が得られる。
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例の金属製触媒担体および金属製触媒担体は、請求項1に記載の発明に対応する。
まず、この実施例の金属製触媒担体を図面に基づいて説明する。
図1はこの実施例の金属製触媒担体が適用される金属製触媒担体を示す斜視図、図2は波板と平板を重ねて巻回する途中の状態を示す斜視図である。
まず、この実施例の金属製触媒担体を図面に基づいて説明する。
図1はこの実施例の金属製触媒担体が適用される金属製触媒担体を示す斜視図、図2は波板と平板を重ねて巻回する途中の状態を示す斜視図である。
この実施例の金属製触媒担体1は、30μmの金属製薄板の波板(大波板)11と平板(小波板または平板)12を交互に重ね、平板12を外側にして多重に巻回したハニカム状に形成されたもので、このハニカム通路(セル通路)表面には、アルミナ等からなる触媒担持体層が形成され、この触媒担体層に触媒成分が担持されることにより、排ガス浄化触媒とされ、内燃機関の排気経路に配置されることにより、排気ガス中のHC、CO、NOx等(反応物質)を触媒反応で浄化させ、生成物質(H2O、CO2、N2)として排出させる働きをする。
前記波板11には波状に成形する前に予め所定間隔のもとに所定長さにて多数のスリット孔11aが形成される一方、前記平板12にも所定間隔のもとに多数のスリット孔12aが形成されている。
即ち、金属製触媒担体1において、排気ガス浄化性能を向上させるためには、ハニカム通路(セル通路)内を通過する排気ガスに対し乱流を積極的に起こさせて、排気ガスが触媒に接触する機会をできるだけ増やすことが有効であり、このため、波板11および平板12にセル通路に対し直行する方向に長い多数のスリット孔11a、12aを開けて波板11と平板12で仕切られたセル通路相互間の流通を可能とし、ハニカム通路内における排気ガスの流れを幅方向により多く乱流化させることにより、排気ガス浄化性能を向上させるようになっている。
また、スリット孔11a、12aの開口縁部で形成されるリーディングエッジは、従来例の図7(イ)に示すように、セル通路内にできた境界層を途中で寸断し、エッジ先端では境界層103が薄くなって触媒層102への物質移動を活発化させ、その結果、図7(ロ)に示すように、反応物質移動率が各スリット孔11a、12a(104)のリーディングエッジ部において最も高くなり、従って、上述のように、多数のスリット孔11a、12aを形成してリーディングエッジを増やすことにより、全体として排気ガス浄化性能を向上させることができる。
ところが、前記スリット孔11a、12aによるリーディングエッジの長さ合計と排気ガス浄化性能(浄化率)との関係、即ち、排気ガス浄化性能を最大限に高めるためにはスリット孔11a、12aの形成個数(リーディングエッジの長さ合計)を如何ほどに設定すればよいかという点については、いまだ解明されてはいなかった。
そこで、この実施例では、スリット孔11a、12aの形成個数(リーディングエッジの長さ合計)の最適範囲を検証するために以下のような実験を行った結果に基づき、前記各スリット孔11a、12aにおける排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる排気ガス流入側と対面する開口縁部の長さの合計が、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる波板11と平板12の排気ガス流入側端縁部の長さの合計の1〜3倍になるように設定した。
即ち、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる波板11と平板12の排気ガス流入側端縁部の長さに対し、前記各スリット孔11a、12aにおける排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる排気ガス流入側と対面する開口縁部の合計長さの倍率を1倍未満(従来担体)、1倍、2倍(図3(イ)参照)、3倍、4倍(図3(ロ)参照)とした場合における各反応物質(HC、CO、NOx)の浄化率を測定した結果を、図4(イ)〜(ハ)に示す。
この実験結果によると、反応物質(HC、CO、NOx)の全てにつき、2倍にした場合の浄化率が最も高く、1倍以下および3倍以上になるといずれも浄化率が急激に低下する傾向にあることが明らかとなった。
また、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる各スリット孔11a、12aの長さと排気ガス浄化性能(浄化率)との関係、即ち、排気ガス浄化性能を最大限に高めるためには各スリット孔11a、12aの円周方向長さを如何ほどに設定すればよいかという点については、いまだ解明されてはいなかった。
そこで、この実施例では、各スリット孔11a、12aの円周方向長さの最適値を検証するために行った実験結果に基づき、5mmに設定した。
即ち、図8は、反応物質のうちHCを縦軸に、COおよびNOxをそれぞれ横軸にとり、直径φ5mmと、φ10mmの丸孔と、5mm×2mm、10mm×2mm、15mm×2mmの長孔にそれぞれ設定した場合における各反応物質(HC、CO、NOx)の浄化率を測定した結果を示すもので、この実験結果によると、反応物質(HC、CO、NOx)の全てにつき、リーディングエッジとなる各スリット孔11a、12aの長さを5mm(直径φ5mmの丸孔、および5mm×2mmの長孔)とした場合に浄化率が最も良くなることが明らかとなった。
即ち、図8は、反応物質のうちHCを縦軸に、COおよびNOxをそれぞれ横軸にとり、直径φ5mmと、φ10mmの丸孔と、5mm×2mm、10mm×2mm、15mm×2mmの長孔にそれぞれ設定した場合における各反応物質(HC、CO、NOx)の浄化率を測定した結果を示すもので、この実験結果によると、反応物質(HC、CO、NOx)の全てにつき、リーディングエッジとなる各スリット孔11a、12aの長さを5mm(直径φ5mmの丸孔、および5mm×2mmの長孔)とした場合に浄化率が最も良くなることが明らかとなった。
従って、この実施例において、上述のように、前記各スリット孔11a、12aにおける排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる排気ガス流入側と対面する開口縁部の長さの合計が、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる波板11と平板12の排気ガス流入側端縁部の長さの合計の1〜3倍になるように設定すると共に、各スリット孔11a、12aの円周方向長さを5mmに設定することにより、全ての反応物質(HC、CO、NOx等)の浄化率が高くなり、これにより、排気ガス浄化性能を最大限に高めることができるようになるという効果が得られる。
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、金属製触媒担体1として、波板11と平板12を交互に多重に巻回した構造のものを例にとったが、金属製触媒担体1の具体的構成は任意であり、例えば、平板状の波板11と平板12を交互に多重に重ねることにより、金属製触媒担体1を形成したものであってもよい。
例えば、実施例では、金属製触媒担体1として、波板11と平板12を交互に多重に巻回した構造のものを例にとったが、金属製触媒担体1の具体的構成は任意であり、例えば、平板状の波板11と平板12を交互に多重に重ねることにより、金属製触媒担体1を形成したものであってもよい。
1 金属製触媒担体
11 波板(大波板)
11a スリット孔
12 平板(小波板または平板)
12a スリット孔
11 波板(大波板)
11a スリット孔
12 平板(小波板または平板)
12a スリット孔
Claims (1)
- 薄板の大波板と小波板または平板を交互に多重に重ねて該各大波板と小波板または平板との間に排気ガスが通過する多数のセル通路が形成され、前記大波板と小波板に多数のスリット孔が形成され、前記大波板と小波板または平板の表面に触媒成分を混入したスラリーがコーティングされた金属製触媒担体であって、
前記各スリット孔における排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる排気ガス流入側と対面する開口縁部の長さの合計が、排気ガスの流れに対しリーディングエッジとなる前記大波板と小波板または平板の排気ガス流入側端縁部の長さの合計の1〜3倍になるように設定されていることを特徴とする金属製触媒担体。
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- 2004-11-26 JP JP2004342763A patent/JP2006150194A/ja active Pending
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