JP2006150086A - 水溶性金属フタロシアニンからなる消臭剤の製造方法、及び消臭剤の使用 - Google Patents

水溶性金属フタロシアニンからなる消臭剤の製造方法、及び消臭剤の使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2006150086A
JP2006150086A JP2005357380A JP2005357380A JP2006150086A JP 2006150086 A JP2006150086 A JP 2006150086A JP 2005357380 A JP2005357380 A JP 2005357380A JP 2005357380 A JP2005357380 A JP 2005357380A JP 2006150086 A JP2006150086 A JP 2006150086A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
deodorant
phthalocyanine
water
group
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005357380A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4262716B2 (ja
Inventor
Yasuhiro Yamazaki
康寛 山▲崎▼
Tatsuto Yamashita
達人 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Orient Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Orient Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Orient Chemical Industries Ltd filed Critical Orient Chemical Industries Ltd
Priority to JP2005357380A priority Critical patent/JP4262716B2/ja
Publication of JP2006150086A publication Critical patent/JP2006150086A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4262716B2 publication Critical patent/JP4262716B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)

Abstract

【課題】
アルデヒド系臭気に対して優れた消臭能を示す金属フタロシアニンでなる消臭剤、及びその高収率、低コスト、安全、かつ簡便な製造方法を提供すること。
【解決手段】 式
Figure 2006150086

[式中、Metは中心金属であり、Xは酸性基又はそのアルカリ金属塩であり、m及びpはそれぞれ1〜15の整数であり、m+pは16以下である。]
で示す水溶性金属フタロシアニンでなる消臭剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は消臭能を有する金属フタロシアニンの製造方法に関する。更に、本発明は上記金属フタロシアニンを有効成分として含有する消臭用材料を用いてタバコ等の臭気の主成分であるアルデヒド系臭気を消臭する方法に関する。
従来、フタロシアニン誘導体は、生活領域内の悪臭を消すための消臭剤として用いうることが知られている。中でもポリカルボン酸フタロシアニン及びポリスルホン酸フタロシアニンを用いる消臭方法は人工酵素的酸化消臭法として注目され、一部実用化されている。
しかし、これらのフタロシアニン誘導体は、アンモニア臭(アミン系臭気)やメルカプタン臭(イオウ系臭気)に対しては優れた消臭能を示すが、タバコ臭の主成分の一つであるアルデヒド系臭気に対する消臭能が不十分である。最も良い消臭効果を示すと報告されている鉄系フタロシアニンでもアルデヒド系臭気に対する消臭能は低く実用的ではない。
さらに、鉄系フタロシアニンはイオウ系臭気に対する消臭能がコバルト系フタロシアニンよりも低く、また、担体に担持させる際等に使用するアルカリ溶液中では安定性に劣り、消臭能が持続しないという問題がある。
特開昭56−63355号には、尿素法によって得られた鉄系フタロシアニン誘導体等が開示されており、これらはアルデヒド系臭気に対する消臭効果をも有することが記載されている。しかし、ここに示された消臭剤としてのフタロシアニン類は、アルデヒド系臭気に対する消臭能がまだ不十分である。
ところで、この種の金属フタロシアニンは、一般に、尿素法(ワイラー法、無水フタル酸液相法)及びフタロニトリル法等によって製造される。フタロニトリル法は原料としてフタロニトリル類を用いる方法であり、反応時間が比較的短く、収率が良いという利点を有する。しかし、原料として用いるフタロニトリル類は高価であり、製造コストが高くなる。また、フタロニトリル類は毒性が指摘されており、安全衛生上その取扱に注意を必要とする。
一方、尿素法、特に無水フタル酸液相法は、フタル酸誘導体(例えば、無水トリメリット酸)、尿素、金属化剤及び触媒を溶媒中で加熱する方法である。これらの原料は比較的安価であり、毒性も低いので、尿素法は低コストかつ安全である。しかし、通常溶媒としてニトロベンゼンやトリクロロベンゼンのような疎水性有機溶媒が使用されるため、反応終了後に反応混合物から溶媒を蒸留して分離回収する必要がある。
溶媒を反応混合物から留去する際には、減圧下、反応混合物を突沸させないように高温を維持する。この操作は、特に大規模で反応を行う場合、非常に煩雑で、また長時間を要する。従って、尿素法では、特に大量生産の際に製造工程が煩雑となる欠点がある。また、疎水性有機溶媒は通常人体及び環境に有害であり、取扱いが困難である。
尚、無水フタル酸固相法は反応溶媒として有機溶媒を使用しないので、有機溶媒の分離回収による煩雑さはない。しかしながら、この方法は収率が低いため大量生産には適さない。
特開昭56−63355号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、アルデヒド系臭気に対して優れた消臭能を示す金属フタロシアニンでなる消臭剤の高収率、低コスト、安全、かつ簡便な製造方法を提供することにある。
本発明は、ニトロ基を有するフタル酸誘導体、カルボキシル基又はスルホン酸基である酸性基を有するフタル酸誘導体、尿素及びMn、Co、Ni、Fe又はそれらの混合から選択される金属の塩化物を、縮合触媒の存在下、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル中で加熱して、ニトロ基と酸性基とを有する金属フタロシアニンを得る工程、及び生成したニトロ基と酸性基とを有する金属フタロシアニンを還元する工程;を包含する、式:
Figure 2006150086
[式中、MetはMn、Co、Ni、Feであり、Xはカルボキシル基もしくはスルホン酸基、又はそのアルカリ金属塩であり、m及びpはそれぞれ1〜15の整数であり、m+pは16以下である。]
で示す水溶性金属フタロシアニンから成る消臭剤の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記製法で得られた消臭剤の利用方法をニトロ基を有するフタル酸誘導体、カルボキシル基又はスルホン酸基である酸性基を有するフタル酸誘導体、尿素及びMn、Co、Ni、Fe又はそれらの混合から選択される金属の塩化物を、縮合触媒の存在下、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル中で加熱して、ニトロ基と酸性基とを有する金属フタロシアニンを得る工程、及び生成したニトロ基と酸性基とを有する金属フタロシアニンを還元する工程;を包含する、上記消臭剤の製造方法を提供する。
上記水溶性金属フタロシアニンは、機能性色素等としても有用であり、水性インキやカラーフィルター用の着色剤とすることもできる。しかしながら、本発明者らはこの化合物の優れた消臭能を新たに見出し、消臭剤として本発明を完成させたものである。
本発明者らは、既に金属フタロシアニン化合物の簡便な工業的製法を確立し、特許出願した(特願平08−261650号)。本発明の製造方法は、この方法を、消臭能を示す特定の水溶性金属フタロシアニンに適用したものである。そして、これらの手段により上記目的が達成される。
本発明の金属フタロシアニンでなる消臭剤は、アンモニア臭のようなアミン系臭気、メルカプタン臭のようなイオウ系臭気の悪臭を消臭できると共に、タバコ臭の主成分の一つであるアルデヒド系臭気に対して高い消臭効果を発揮でき、種々の形態で生活領域内の悪臭や臭気を消すことができる。また、アルカリ溶液中でのμ−オキソ二量化、及び中心金属の脱離が生じないので、消臭能の持続性に優れる。
本発明の水溶性金属フタロシアニンでなる消臭剤の製造方法は、従来の尿素法に比べ次のような利点を有し、工程の短縮、製造コストの低減が可能であり、この消臭剤を工業的に大量生産する場合に極めて有利である。
i)濾過及び水洗という簡便な工程により溶媒を反応生成物から除去可能であり、反応終了後に溶媒を減圧蒸留する工程が不要である。
ii)その結果、反応から精製まで一段階連続工程で行うことが可能となる。
iii)反応生成物の器壁への付着、及び撹拌不能等の問題が起らない。
iv)溶媒に毒性がなく、取扱い上安全である。
v)従って、高純度で品質が安定した金属フタロシアニンを、高収率、簡便かつ安全な操作により得られる。
本発明の水溶性金属フタロシアニンでなる消臭剤において、中心金属は、リチウム、カリウム、カルシウム、バリウム、錫、クロム、鉄(II又はIII)、コバルト、ニッケル、マンガン、オスミウム、チタン、ベリリウム、モリブデン、タングステン、銅、及び亜鉛等から選択される。好ましいものはマンガン、コバルト、ニッケル、及び鉄(II又はIII)である。
酸性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等から選択される。好ましいものはカルボキシル基、及びスルホン酸基である。酸性基はナトリウム、カリウム、及びリチウムのようなアルカリ金属と塩を形成したものでもよい。
本発明の水溶性金属フタロシアニンでなる消臭剤は、置換基としてアミノ基と酸性基とを有する。かかる構造により、本発明の消臭剤は水溶性となる。水溶性の消臭剤は、非水溶性のものと比較して取扱い易く、一般に水系染浴での染着が可能という利点を有する。
それぞれの置換基の数は、消臭能や水溶性等、水溶性金属フタロシアニンに望まれる性能を考慮して適宜調節できる。
アミノ基の数は1〜15個、一般には1〜7個、好ましくは1〜3個とする。酸性基の数は1〜15個、一般には1〜7個、好ましくは1〜3個とする。更に、アミノ基の数と酸性基の数との合計は2〜16個、一般には4〜8個、好ましくは4個とする。
アミノ基の数が多くなるとフタロシアニンの塩基性が増し、アルデヒド系臭気に対する消臭効果が期待できる。酸性基の数が多くなるとフタロシアニンの水溶性が増し、アンモニアのようなアミン系臭気及び硫化水素及びメルカプタンのようなイオウ系臭気に対する消臭効果が向上する。また、アミノ基の数と酸性基の数との合計が多くなると2種の置換基による複合的効果が期待できる。
置換基の組合わせとしては、本発明を限定するものではないが、アミノ基3個と酸性基1〜2個;アミノ基2個と酸性基2〜4個;アミノ基1個と酸性基3〜6個;アミノ基4個と酸性基2〜4個;及びアミノ基1〜4個の金属フタロシアニンと酸性基1〜8個の金属フタロシアニンとの混合物等が挙げられる。
例えば、酸性基としてカルボキシル基又はそのアルカリ金属塩を用いる場合、アミノ基3個とカルボキシル基1個;アミノ基2個とカルボキシル基2個;アミノ基1個とカルボキシル基3個;アミノ基2個とカルボキシル基4個;アミノ基2個とカルボキシル基6個;アミノ基3個とカルボキシル基2個;アミノ基4個とカルボキシル基4個;及びそれらの混合物の組合わせが例示でき、水溶性消臭剤の提供と広範な生活圏における悪臭に対する消臭効果を実現できる。
また、例えば、酸性基としてスルホン酸基又はそのアルカリ金属塩を用いる場合、アミノ基1個とスルホン酸基1〜2個;アミノ基2個とスルホン酸基1〜4個;アミノ基3個とスルホン酸基1〜8個;及びそれらの混合物の組合わせが例示でき、水溶性消臭剤の提供と広範な生活圏における悪臭に対する消臭効果を実現できる。
本発明の水溶性金属フタロシアニンでなる消臭剤は、種々の担体に担持させて消臭用材料とすることができる。この消臭用材料中、消臭能を発揮する有効成分は上記水溶性金属フタロシアニンである。担持させる方法は当業者に周知の方法を用いる。
特に、本発明の消臭剤は水溶性なので、水系での一般的な染色方法が適用でき、フタロシアニンを溶解させ染着させることにより、フタロシアニン分子の均一な担持を可能とし、消臭効果を最大に発揮させることができる。
担体としては、通常用いられる無機及び有機材料を用いる。例えば、シリカゲル及びガラス繊維のような無機材料、セルロース、デンプン、ゼラチン、カゼイン、グアガムのような天然高分子、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、その金属塩及びアルキルエステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリモノ−又はジ−アルキルアミノ(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルスルホン酸、その金属塩、ポリビニルエステル、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、アミノ樹脂、アルキド樹脂等、及びこれらの共重合体のような合成高分子等が挙げられる。
これらの材料は、一般に繊維状材料や顆粒状に加工して担体に用いる。好ましい担体は、例えば、改質セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメトキシセルロースのようなセルロース系高分子粉末及び顆粒、過酢酸処理羊毛粉末又は顆粒等である。これら担体への担持法としては、染色法、粉体表面改質装置を用いる固着法、及び水性エマルジョンとした後コーティングする方法等が例示できる。
得られた消臭用材料は、生活領域内の悪臭や臭気を消臭するのに有効である。具体的には、アンモニア臭(アミン系臭気)やメルカプタン臭(イオウ系臭気)に対してのみならず、アルデヒド系臭気に対しても優れた消臭能を示す。この消臭用材料は臭気が存在する箇所に配置して使用することができる。
本発明の水溶性金属フタロシアニンでなる消臭剤は、尿素法及びフタロニトリル法等のような当業者が通常用いる方法によってニトロフタロシアニンを合成し、これをアミノフタロシアニンに還元することで調製できる。ニトロフタロシアニンを合成する好ましい製造方法は尿素法である。上述のように、この方法は反応時間が比較的短く、収率が良いからである。
尿素法(無水フタル酸液相法)は、一般に、無水フタル酸及びフタル酸イミドのようなフタル酸誘導体、尿素及び金属塩化物を、縮合触媒の存在下、不活性有機溶媒中で加熱することにより、金属フタロシアニン化合物を製造する方法である。この方法は周知であり、例えば、「染料と薬品」、第23巻、第10号、第213〜215頁、1978年、−最近のフタロシアニン顔料製造技術[I]−等に具体的に記載されている。
原料に用いるフタル酸誘導体としては、例えば、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物、4−スルホフタル酸、4−スルホ無水フタル酸、4−ニトロフタル酸イミド、5−ニトロフタルイミド、4−ニトロ無水フタル酸、等が挙げられる。
金属塩化物としては、例えば、塩化銅(I)、塩化コバルト(6・水和物)、塩化鉄(II、III)、塩化ニッケル、塩化アルミニウム等が挙げられる。金属塩化物の代わりに多価金属の硫酸塩(例えば硫酸コバルト、硫酸銅、硫酸アルミニウム、硫酸クロム)、硝酸塩(例えば、硝酸銅(II))、多価金属のリン酸塩、又は多価金属の硼酸塩等を用いてもよい。
縮合触媒としては、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、モリブデン酸ナトリウム、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、アンモニウムホスホモリブデート、ホスホタングストモリブデン酸、及びモリブデンカルボニル等が挙げられる。特にモリブデン酸アンモニウムが一般的であり、且つ好ましい。
不活性有機溶媒としては、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルを使用する。ポリエチレングリコールジアルキルエーテルとは、次式(II)で表される化合物をいう。
Figure 2006150086
[式中、R及びRは、独立して、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2以上、好ましくは2〜10、さらに好ましくは3〜5の整数を示す。]
具体例としては、
ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、
トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、
テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、
ポリエチレングリコールジメチルエーテル(nが2又は3以上のポリグライムの混合物)、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、
トリエチレングリコールジエチルエーテル、
テトラエチレングリコールジエチルエーテル、
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、
ジエチレングリコールジプロピルエーテル、及び
ジエチレングリコールジブチルエーテル等
が挙げられる。これらは単独又は混合して使用できる。
式(II)においてR及びRが共にメチル基であるポリエチレングリコールジメチルエーテル(一般に、ポリグライムと呼ばれる。)が好ましい。特に好ましいものとしては、沸点が180℃以上のポリグライム、例えばトリグライム、テトラグライム等が挙げられる。
ポリグライムは、フタル酸誘導体及び生成物との混和性に優れ、フタロシアニン誘導体等の上記反応成分に対して不活性であり、水混和性であり、また、毒性がない。その結果、ポリグライムを不活性有機溶媒として用いることにより、反応物が塊状にならず微細な状態で反応が進行する、すなわち、均一なスラリー反応が可能であり、高温(約180〜約200℃)での縮合反応が可能であり、水により除去が可能であり、そして取扱いが安全である、等の利点が得られる。
本発明の水溶性金属フタロシアニンの製造方法では、まず、上記反応成分を不活性有機溶媒中で加熱して縮合反応させる。それぞれの反応成分の使用量は、フタル酸誘導体(類)1モルに対して、尿素3モル以上、好ましくは3〜6モル、縮合触媒0.1〜5%モル、好ましくは0.1〜1%モル、金属塩化物1/4モル以上、好ましくは1/4〜1/2モルである。不活性有機溶媒の使用量は、特に限定的でないが、ポリグライムの場合は、フタル酸誘導体の重量に対して2倍量以上、好ましくは4〜6倍量である。
本発明ではフタル酸類として、ニトロフタル酸と無水トリメリット酸のようなフタル酸誘導体又は無水スルホフタル酸のようなスルホフタル酸誘導体とを実施例に示すように適当な比率で混合して反応する。
縮合反応は、180〜200℃で2〜10時間行う。好ましい態様は、約130〜160℃で2〜4時間、さらに180〜200℃で4時間以上、好ましくは4〜10時間反応する。
縮合反応完了後、約100℃まで放冷して、生成物がニトロ・カルボン酸(アミド)フタロシアニンである場合は、反応混合物に熱湯(約80℃)を加え、還流下2〜3時間撹拌する。その後、反応混合物の熱時濾過及び湯洗を数回繰り返して、不活性有機溶媒及び副生した無機性不純物等を除去する。本発明の方法で用いる有機溶媒は水溶性なので、水で洗浄することにより容易に反応生成物と分離できる。必要によりアセトンやDMFで更に洗浄し、乾燥することによりニトロ・カルボン酸アミド金属フタロシアニンを得る。
ここで得られるニトロ・カルボン酸アミド金属フタロシアニンは、一般に非水溶性である。しかしながら、カルボン酸アミド基は、加水分解することにより水溶性とすることができる。加水分解は、生成した非水溶性金属フタロシアニンを、特にスルホン酸基を有する水溶性金属フタロシアニン(例えば、ニトロ・カルボン酸金属フタロシアニン)へ変換するための操作である。
金属フタロシアニンカルボン酸アミドを加水分解する方法は当業者に周知である。例えば、上述の方法において有機溶媒を除去した後、得られた非水溶性金属フタロシアニンのウエットケーキを5〜30%のアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)水溶液に分散し、2〜12時間還流下撹拌を加える。冷却して、鉱酸(例えば、濃塩酸、硫酸)を加えてスラリーを得る。このスラリーを濾過し、湯洗もしくは水中に再分散して塩分、無機及び有機不純物を除去し、必要によりアセトンやDMFで洗浄し乾燥することにより、水溶性金属フタロシアニンが得られる。
縮合生成物がニトロ・スルホン酸金属フタロシアニンである場合は、反応系内にアルコール類(例えばメタノール)を加え、還流下2〜3時間撹拌する。その後、反応混合物の熱時濾過及びメタノールによる振りかけ洗浄を行い、不活性有機溶媒及び副生した無機性不純物等を除去する。ニトロ・スルホン酸金属フタロシアニンのアルコール類に対する溶解性は貧弱なので、生成物をスラリー化でき、容易に反応に用いた有機溶剤から分離することができる。
ニトロ・カルボン酸又はニトロ・スルホン酸金属フタロシアニン(ニトロ体)の還元は、還元剤を用いて水系で行う。還元は、還元剤として硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、Naのようなイオウ化合物、ヒドラジン−ラネニッケル、Sn−HCl、Fe−HCl、SnCl−HCl、Fe(OH)、及び接触H等を用い、室温以上約60〜70℃で、2〜3時間及び3〜10時間行うことが好ましい。硫化ナトリウム9水和物を用いる場合、その使用量は、モノ又はジニトロ体については約5〜10倍モル、トリ又はテトラニトロ体については約10〜20倍モル程度とすることが好ましい。
作用
フタル酸誘導体は、親水性有機溶媒中では縮合し難く、殆ど金属フタロシアニンを形成しないことから、フタロニトリルや1,3−ジイミノイソインドリン類に比べ微細なフタロシアニン顔料を直接合成する原料としては不適当であると報告されている(「染料と薬品」、第23巻、第11号、第225〜227頁、1978年、−最近のフタロシアニン顔料製造技術[II]−)。従って、これまで、親水性有機溶媒は、尿素法で用いる有機溶媒としては不適切であるとされてきた。
例えば、溶媒としてポリエチレングリコール又はエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)のようなアルコール性の水溶性溶媒を使用した場合、目的とする金属フタロシアニンは殆ど得られないか、低収率であった。
しかしながら、本発明者らは、高沸点ポリエチレングリコールジアルキルエーテル(例えばポリグライム)という特定の親水性有機溶媒を用いると、尿素法により高収率で水溶性金属フタロシアニンを合成できることを見出した。
本発明の方法において、例えば、ニトロ基を有するフタル酸誘導体として4−ニトロフタル酸イミド(1)を用い、酸性基を有するフタル酸誘導体として無水トリメリット酸(2)又はピロメリット酸二無水物(3)を用い、これらを適当な比率で混合してポリグライム中で尿素法による縮合反応を行うと、ニトロ・カルボン酸アミド金属フタロシアニンが得られる。次いで、これを加水分解して後、硫化ナトリウム9水和物のような還元剤を用いて水系で還元して、酸性基としてカルボキシル基を有する水溶性金属フタロシアニン(4)が得られる。
Figure 2006150086
[式中、Metは中心金属であり、好ましくは、コバルト及び鉄である。また、m及びpは上記と同意義である。]
また、例えば、ニトロ基を有するフタル酸誘導体として4−ニトロ無水フタル酸(5)又は4−ニトロフタル酸イミド(1)を用い、酸性基を有するフタル酸誘導体として4−スルホン酸ナトリウム−無水フタル酸(6)を用い、これらを適当な比率で混合してポリグライム中で尿素法による縮合反応を行うと、ニトロ・ソジオスルホ金属フタロシアニンが得られる。次いで、これを硫化ナトリウム9水和物のような還元剤を用いて水系で還元して、酸性基としてスルホン酸ナトリウム基を有する水溶性金属フタロシアニン(7)が得られる。
Figure 2006150086
[式中、Metは中心金属であり、好ましくは、コバルト及び鉄である。また、m及びpは上記と同意義である。]
アルデヒド系臭気を有効に消臭するための消臭剤として、アミノ基を置換基として有する金属フタロシアニンと、酸性基又はそのアルカリ金属塩を置換基として有する金属フタロシアニンとを、混合して用いることもできる。但し、アミノ基を置換基として有する金属フタロシアニンは非水溶性であり、かかる消臭剤は水系溶媒に溶解して用いることができない。
アミノ基を置換基として有する金属フタロシアニンのアミノ基の数は1〜16個、一般に4〜8個、好ましくは4個又は8個である。また、酸性基又はそのアルカリ金属塩を置換基として有する金属フタロシアニンの酸性基又はそのアルカリ金属塩の数は1〜16個、一般に4〜8個、好ましくは4個又は8個である。
アミノ基を置換基として有する金属フタロシアニンと酸性基又はそのアルカリ金属塩を置換基として有する金属フタロシアニンとの混合割合は、所望の消臭能や置換基の数等を考慮して適宜調節できる。例えば、アミノ基を置換基として有する金属フタロシアニン10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%と、酸性基又はそのアルカリ金属塩を置換基として有する金属フタロシアニン10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%とすることができる。
ここで用いるアミノ基を置換基として有する金属フタロシアニン、及び酸性基又はそのアルカリ金属塩を置換基として有する金属フタロシアニンは、当業者に周知の方法で製造することができる。好ましい製造方法は、特願平08−261650号に記載の方法である。この方法は、原料としてフタル酸誘導体を適宜選択して用いること以外は本発明の水溶性金属フタロシアニンでなる消臭剤の製造方法と同様である。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
アミノ・トリカルボン酸−コバルトフタロシアニンの合成例
撹拌器、還流管など必要器具を備えた3000mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸144.2g、4−ニトロフタル酸イミド48.1g、尿素270g、モリブデン酸アンモニウム5.0g、塩化コバルト6水和物71.4g及びトリグライム1000mlを仕込み、室温で約15分撹拌して均一にした後、この混合物を125〜130℃で6〜7時間撹拌し、続いて180〜190℃で7〜8時間さらに撹拌した。
放冷後、約80℃の熱水1500gを反応系内に徐々に加え、さらに還流下3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯10L(リットル)で振りかけ洗浄を行った。ウエットケーキを2.0Lの20%水酸化カリウム水溶液に分散して、還流下12時間加水分解を行った。氷浴下で20℃以下に保持しながら、濃塩酸約780mlを加えて、pHを1〜2に調整したした後、室温で約1時間撹拌を加えた。濾過した後、得られたウエットケーキを10Lの水で振りかけ洗浄することにより塩分を除去した後、乾燥して、ニトロ−トリカルボン酸−コバルトフタロシアニン97.4gを得た。
得られた粉体85.0gを500mlの水に分散させ、硫化ナトリウム9水和物66.0gを徐々に加えた。30℃で2時間、60〜70℃でさらに5時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、2500mlの水を加え、pHを約4.0まで塩酸で調整し、さらに1時間撹拌して、濾過、引続いて約15Lの水で振りかけ洗浄を行い、乾燥して、90.3gの青色固体を得た。得られた化合物の構造を以下に示す。
Figure 2006150086
実施例2
ジアミノ・ジカルボン酸−コバルトフタロシアニンの合成例
撹拌器、還流管など必要器具を備えた3000mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸96.1g、4−ニトロフタル酸イミド96.1g、尿素270g、モリブデン酸アンモニウム5.0g、塩化コバルト6水和物71.4g及びトリグライム1000mlを仕込み、室温で約15分撹拌して均一にした後、この混合物を125〜130℃で6〜7時間撹拌し、続いて180〜190℃で7〜8時間さらに撹拌した。
放冷後、約80℃の熱水1500gを反応系内に徐々に加え、さらに還流下3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯10L(リットル)で振りかけ洗浄を行った。ウエットケーキを2.0Lの20%水酸化カリウム水溶液に分散して、還流下12時間加水分解を行った。氷浴下で20℃以下に保持しながら、濃塩酸約780mlを加えて、pHを1〜2に調整したした後、室温で約1時間撹拌を加えた。濾過した後、得られたウエットケーキを10Lの水で振りかけ洗浄することにより塩分を除去した後、乾燥して、ジニトロ・ジカルボン酸−コバルトフタロシアニン130.9gを得た。
得られた粉体75.0gを500mlの水に分散させ、硫化ナトリウム9水和物125.0gを徐々に加えた。30℃で2時間、60〜70℃でさらに5時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、2500mlの水を加え、pHを約4.0まで塩酸で調整し、さらに1時間撹拌して、濾過、引続いて約15Lの水で振りかけ洗浄を行い、乾燥して、74.6gの青色固体を得た。得られた化合物の構造を以下に示す。
Figure 2006150086
実施例3
トリアミノ・カルボン酸−コバルトフタロシアニンの合成例
撹拌器、還流管など必要器具を備えた3000mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸48.1g、4−ニトロフタル酸イミド144.2g、尿素270g、モリブデン酸アンモニウム5g、塩化コバルト6水和物71.4g及びトリグライム1000mlを仕込み、室温で約15分撹拌して均一にした後、この混合物を125〜130℃で6〜7時間撹拌し、続いて180〜190℃で7〜8時間さらに撹拌した。
放冷後、約80℃の熱水1500gを反応系内に徐々に加え、さらに還流下3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯10L(リットル)で振りかけ洗浄を行った。ウエットケーキを2.0Lの20%水酸化カリウム水溶液に分散して、還流下12時間加水分解を行った。氷浴下で20℃以下に保持しながら、濃塩酸約780mlを加えて、pHを1〜2に調整したした後、室温で約1時間撹拌を加えた。濾過した後、得られたウエットケーキを10Lの水で振りかけ洗浄することにより塩分を除去した後、乾燥して、トリニトロ・カルボン酸−コバルトフタロシアニン156.0gを得た。
得られた粉体112.5gを500mlの水に分散させ、硫化ナトリウム9水和物.270.0gを徐々に加えた。30℃で2時間、60〜70℃でさらに5時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、2500mlの水を加え、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を用いて、生成物の溶解度が最も低くなるまでpH(5.5〜6.0)調整した後、濾過、引続いて約15Lの水で振りかけ洗浄を行い、乾燥して、122.9gの青色固体を得た。得られた化合物の構造を以下に示す。
Figure 2006150086
実施例4
ジアミノ・ジカルボン酸−鉄フタロシアニンの合成例
撹拌器、還流管など必要器具を備えた3000mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸96.1g、4−ニトロフタル酸イミド96.1g、尿素270g、モリブデン酸アンモニウム5.0g、無水塩化第1鉄48.7g及びテトラグライム1000mlを仕込み、室温で約15分撹拌して均一にした後、この混合物を125〜130℃で6〜7時間撹拌し、続いて180〜190℃で7〜8時間さらに撹拌した。
放冷後、約80℃の熱水1500gを反応系内に徐々に加え、さらに還流下3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯10L(リットル)で振りかけ洗浄を行った。ウエットケーキを2.0Lの20%水酸化カリウム水溶液に分散して、還流下12時間加水分解を行った。氷浴下で20℃以下に保持しながら、濃塩酸約740mlを加えて、pHを1〜2に調整したした後、室温で約1時間撹拌を加えた。濾過した後、得られたウエットケーキを10Lの水で振りかけ洗浄することにより塩分を除去した後、乾燥して、ジニトロ・ジカルボン酸−鉄(III)フタロシアニン93.8gを得た。
得られた粉体14.9gを500mlの水に分散させ、硫化ナトリウム9水和物125.0gを徐々に加えた。30℃で2時間、60〜70℃でさらに5時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、500mlの水を加え、pHを約4.0まで塩酸で調整し、さらに1時間撹拌して、濾過、引続いて約15Lの水で振りかけ洗浄を行い、乾燥して、14.8gの青色固体を得た。得られた化合物の構造を以下に示す。
Figure 2006150086
実施例5
ジアミノ・ジスルホン酸ナトリウム−コバルトフタロシアニンの合成例
撹拌器、還流管など必要器具を備えた3000mlのガラス製四ツ口フラスコに、4−スルホン酸ナトリウム無水フタル酸96.1g、4−ニトロフタル酸イミド96.1g、尿素270g、モリブデン酸アンモニウム5.0g、無水塩化第1鉄48.7g及びトリグライム1000mlを仕込み、室温で約15分撹拌して均一にした後、この混合物を125〜130℃で6〜7時間撹拌し、続いて180〜190℃で7〜8時間さらに撹拌した。
放冷後、メタノール1500gを反応系内に徐々に加え、さらに還流下3時間撹拌を行った。熱時濾過後、メタノール10L(リットル)で振りかけ洗浄を行った。
得られた粉体14.9gを500mlの水に分散させ、硫化ナトリウム9水和物125.0gを徐々に加えた。30℃で2時間、60〜70℃でさらに5時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、500mlの水を加え、pHを約4.0まで塩酸で調整し、さらに1時間撹拌して、濾過、引続いて約15Lのメタノールで振りかけ洗浄を行い、乾燥して、14.8gの青色固体を得た。得られた化合物の構造を以下に示す。
Figure 2006150086
実施例6
実施例1で合成したアミノ・トリカルボン酸−コバルトフタロシアニン(CPAC−1,3)0.1gを10×10cmの濾紙(東洋濾紙No.2)上に均一に展伸して消臭用材料を作製した。この消臭用材料は3個作製し、容量3リットルのテトラバッグ3個中にそれぞれ設置した。それぞれのテトラバッグ中に30ppmのアンモニア、5.0ppmの硫化水素、及び100ppmのアセトアルデヒドを入れた。
その後、時間の経過とともに残存するアンモニア、硫化水素、及びアセトアルデヒドの量を検知管法にて測定し、図1、図2及び図3に示す減少率グラフにそれぞれ記録した。
実施例7
実施例6で使用した消臭剤(CPAC−1,3)を、実施例2で合成したジアミノ・ジカルボン酸−コバルトフタロシアニン(CPAC−2,2)に代えた以外は、実施例6と同様に行った。
実施例8
実施例6で使用した消臭剤(CPAC−1,3)を、実施例3で合成したトリアミノ・カルボン酸−コバルトフタロシアニン(CPAC−3,1)に代えた以外は、実施例6と同様に行った。
実施例9
実施例6で使用した消臭剤(CPAC−1,3)を、実施例4で合成したジアミノ・ジカルボン酸−鉄フタロシアニン(FPAC−2,2)に代えた以外は、実施例6と同様に行った。
実施例10
テトラアミノ銅フタロシアニンの合成
撹拌機、還流管など必要器具を備えた5000mlのガラス製四つ口フラスコに、4−ニトロフタル酸イミド500g、尿素660g、モリブデン酸アンモニウム20g、塩化銅(I)70g、及びトリグライム2500mlを仕込んだ。この混合物を125〜135℃で1〜2時間撹拌し、続いて160〜180℃で6時間更に撹拌した。
放冷後、約80℃の熱水2500gをフラスコ内に徐々に加え、更に還流下3時間撹拌した。反応物を熱時濾過し、温水10Lで振りかけ洗浄した。ろ取物質を乾燥させて、テトラニトロ銅フタロシアニン460gを得た。
得られたテトラニトロ銅フタロシアニン10.4gを300mlの水に分散させ、硫化ナトリウム9水和物49gを徐々に加えた。30℃で3時間、60〜70℃で5時間更に加熱撹拌した。室温まで放冷した後、2500mlの水を反応容器に加え、塩酸を用いて反応物のpHを4.0に調整した。
この反応物を更に1時間撹拌し、濾過し、水約15Lで振りかけ洗浄した。ろ取物質を乾燥させて、テトラアミノ銅フタロシアニン7.6gを得た。
テトラカルボン酸コバルトフタロシアニンの合成
撹拌器、還流管など必要器具を備えた10000mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸1152g、尿素1800g、モリブデン酸アンモニウム10g、塩化コバルト6水和物360g及びトリグライム3000gを仕込み、この混合物を130℃で1時間撹拌し、続いて200℃で4時間撹拌した。
その後約100℃まで放冷後、約80℃の熱水5000gを反応混合物に徐々に加え、さらに還流下2〜3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯30Lで振りかけ洗浄を行った。次いで、得られたウエットケーキを6000部の20〜30%水酸化カリウム水溶液に投入し、12時間還流下撹拌した。反応混合物を水/氷浴を使って冷却し、濃塩酸4130gを30℃を越えないように滴下後、さらに1時間撹拌した。得られたスラリーを濾取し、水80〜100Lで振りかけ洗浄することにより塩分を除去した。ろ取物質を乾燥させて、テトラカルボン酸コバルトフタロシアニン693.4gを得た。
テトラアミノ銅フタロシアニン0.05gとテトラカルボン酸コバルトフタロシアニン0.05gとを混合することにより、消臭剤0.1gを得た。得られた消臭剤を用いること以外は実施例6と同様にして、アルデヒド系臭気に対する消臭試験を行った。結果を図3に示す。
比較例1
実施例6で使用した消臭剤(CPAC−1,3)を、特願平8−261650記載の方法で合成したテトラカルボン酸−鉄フタロシアニン(FPC−4)に代えた以外は、実施例6と同様に行った。
比較例2
実施例6で使用した消臭剤(CPAC−1,3)を、特願平8−261650記載の方法で合成したオクタカルボン酸−鉄フタロシアニン(FPC−8)に代えた以外は、実施例6と同様に行った。
比較例3
実施例6で使用した消臭剤(CPAC−1,3)を、特願平8−261650記載の方法で合成したテトラカルボン酸−コバルトフタロシアニン(CPC−4)に代えた以外は、実施例6と同様に行った。
実施例11
本発明実施例1乃至4で合成した消臭剤及び特願平8−261650記載の方法で合成したオクタカルボン酸−鉄フタロシアニン(FPC−8)に関して、1−メルカプト−2−エタノールの酸化反応による溶存酸素消費量から、それらの触媒活性能の測定を行った。
測定方法
溶存酸素量測定装置及び記録計等をセットし、ジャケット付き槽に蒸留水を入れ、飽和溶存酸素量を測定した後、別途調整した既知濃度のそれぞれのフタロシアニン水溶液を規定量導入した。その後、経時的に飽和溶存酸素量の減少曲線を記録した。これから得られた速度比から、触媒活性比を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2006150086
アンモニアに対する実施例及び比較例の消臭剤の消臭能を示すグラフである。 硫化水素に対する実施例及び比較例の消臭剤の消臭能を示すグラフである。 アルデヒドに対する実施例及び比較例の消臭剤の消臭能を示すグラフである。

Claims (6)

  1. ニトロ基を有するフタル酸誘導体、カルボキシル基又はスルホン酸基である酸性基を有するフタル酸誘導体、尿素及びMn、Co、Ni、Fe又はそれらの混合から選択される金属の塩化物を、縮合触媒の存在下、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル中で加熱して、ニトロ基と酸性基とを有する金属フタロシアニンを得る工程、及び生成したニトロ基と酸性基とを有する金属フタロシアニンを還元する工程;を包含する、式:
    Figure 2006150086
    [式中、MetはMn、Co、Ni、Feであり、Xはカルボキシル基もしくはスルホン酸基、又はそのアルカリ金属塩であり、m及びpはそれぞれ1〜15の整数であり、m+pは16以下である。]
    で示す水溶性金属フタロシアニンから成る消臭剤の製造方法。
  2. 前記ポリエチレングリコールジアルキルエーテルが、沸点が180℃以上であるポリグライムである請求項1記載の消臭剤の製造方法。
  3. Xはカルボキシル基又はそのアルカリ金属塩である請求項1記載の消臭剤の製造方法。
  4. 前記MetはCo又はFeである請求項1記載の消臭剤の製造方法。
  5. 前記m及びpがそれぞれ1〜3の整数であり、m+pが4以下である請求項1記載の消臭剤の製造方法。
  6. アルデヒド系臭気が存在する箇所に請求項1記載の製造方法で得られた消臭剤を有効成分として含有する消臭用材料を配置する工程を包含する、アルデヒド系臭気を消臭する方法。
JP2005357380A 2005-12-12 2005-12-12 水溶性金属フタロシアニンからなる消臭剤の製造方法、及び消臭剤の使用 Expired - Lifetime JP4262716B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005357380A JP4262716B2 (ja) 2005-12-12 2005-12-12 水溶性金属フタロシアニンからなる消臭剤の製造方法、及び消臭剤の使用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005357380A JP4262716B2 (ja) 2005-12-12 2005-12-12 水溶性金属フタロシアニンからなる消臭剤の製造方法、及び消臭剤の使用

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21626197A Division JP3816639B2 (ja) 1996-10-02 1997-08-11 金属フタロシアニンでなる消臭剤、およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006150086A true JP2006150086A (ja) 2006-06-15
JP4262716B2 JP4262716B2 (ja) 2009-05-13

Family

ID=36629007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005357380A Expired - Lifetime JP4262716B2 (ja) 2005-12-12 2005-12-12 水溶性金属フタロシアニンからなる消臭剤の製造方法、及び消臭剤の使用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4262716B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009082572A (ja) * 2007-10-01 2009-04-23 Kimura Kenkyusho:Kk 脱臭抗菌剤、及びその製造方法
JP2009540913A (ja) * 2006-07-06 2009-11-26 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 金属系脱臭剤を含む脱臭剤組成物

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101222547B1 (ko) 2010-12-13 2013-01-16 경북대학교 산학협력단 프탈로시아닌 염료의 제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009540913A (ja) * 2006-07-06 2009-11-26 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 金属系脱臭剤を含む脱臭剤組成物
JP2009082572A (ja) * 2007-10-01 2009-04-23 Kimura Kenkyusho:Kk 脱臭抗菌剤、及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4262716B2 (ja) 2009-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sevim et al. Preparation of heterogeneous phthalocyanine catalysts by cotton fabric dyeing
JP4262716B2 (ja) 水溶性金属フタロシアニンからなる消臭剤の製造方法、及び消臭剤の使用
EP0010519A1 (fr) Procédé pour réticuler la carboxyméthyl-cellulose et produits obtenus suivant ce procédé
JP3816639B2 (ja) 金属フタロシアニンでなる消臭剤、およびその製造方法
US5883245A (en) Deodorizer consisting of metallophthalocyanine and process for preparing metallophthalocyanine
Cai et al. 4-azido-2-iodo-3, 5, 6-trifluorophenylcarbonyl derivatives. A new class of functionalized and iodinated perfluorophenyl azide photolabels
US8318005B2 (en) Tetra-sulfo iron-phthalocyanine and related methods
JPS63207858A (ja) 銅フタロシアニン顔料の製造方法
CH637630A5 (en) Process for the preparation of N-arylphthalamic acids
JPS63135572A (ja) 消臭機能を有する繊維
CN106317042B (zh) 一种7-氟-6-氨基-4-(2-炔丙基)-1,4-苯并噁嗪-3(4h)-酮衍生物的合成方法
JP4057080B2 (ja) 金属フタロシアニン化合物の製造方法
JP2019534352A (ja) 染料、顔料製造に使用されるカルボキシ金属フタロシアニンの製造プロセス
KR0171702B1 (ko) 키토산-프탈로시아닌계 탈취제의 제조방법
JP2547002B2 (ja) 銅フタロシアニン顔料の製造法
JP2005145896A (ja) 金属フタロシアニンの製造方法
JPS6248769A (ja) 銅フタロシアニンの製造方法
JP2003335978A (ja) 顔料組成物およびそれを用いたインキ組成物
JP4121230B2 (ja) スルホサリチル酸金属誘導体でなる消臭剤
JP2577219B2 (ja) 銅フタロシアニン顔料の製造方法
JPH05285390A (ja) 酸化触媒の調製方法
CN108697090B (zh) 制备螯合剂的方法
JPS62111985A (ja) 金属フタロシアニンポリカルボン酸
BE1013030A3 (fr) Procede de preparation de disulfures de tetra-alkylthiurame.
JP2003335784A (ja) 新規ポリエチレンポリアミン誘導体金属化合物およびその製造方法、ならびにそれらでなる消臭剤

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20081111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090127

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090209

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150220

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term