JP2006147785A - 電子デバイスおよびそれを用いた電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特別な製造方法を用いることなく簡易なプロセスで形成可能であり、キャリア移動度または導電性が高い有機分子層を備える電子デバイスおよびそれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】 導電性の有機分子層を備え、有機分子層は、第1の共役π電子系を構成する主鎖と、主鎖の少なくとも一方の端に結合している末端基とを備える有機分子を主成分として含む。その末端基は第2の共役π電子系を構成し、主鎖に直交する方向における第2の共役π電子系の広がりが、主鎖に直交する方向における第1の共役π電子系の広がりよりも大きい。そして、その末端基は、表面に露出するように配位結合した金属元素を含まない。
【選択図】 図15

Description

本発明は、有機分子層を含む電子デバイスおよびそれを用いた電子機器に関する。
無機材料を用いた従来の電子デバイスは、結晶シリコンに代表されるようにバルクの物性を利用する。このため、微細化が極限まで進行するとバルクの特性が得られなくなり、所望の機能を得ることが困難となる。一方、有機材料は一つの分子に機能を持たせ、それらを素子サイズまで拡張して所望の機能を発揮させることが可能である。
有機材料には、炭素の骨格をベースとする様々な化合物が存在する。中でも導電性を有する有機分子は、その分子構造に由来する多様な電気特性を発現することが確認されており、薄膜トランジスタ、センサ、有機LED、コンデンサ、電池、生体機能デバイス、レーザなど、様々な有機電子デバイスへの応用が提案されている。導電性有機分子を用いることによって、真空プロセスなしで導電層(たとえば半導体層)を形成でき、低コスト化や大面積化が可能となる。
しかしながら、現在報告されている有機半導体は、無機半導体に比べてキャリア移動度が低く、それを用いた素子は駆動電圧が高いなどの問題がある。そのため、有機半導体のキャリア移動度の向上や、有機半導体を用いた素子の駆動電圧の低減についての研究がされている。また、有機分子層を導電層として用いる電子デバイスにおいても、導電性の向上が課題となっている。
導電性の有機分子層の典型的な一例は、主鎖方向に伸びる共役π電子系を含む有機分子を用いた有機分子層である。この有機分子層では、主鎖方向に伸びる共役π電子系に沿った伝導と分子間の伝導とによって、キャリアが移動する。このような伝導においてキャリアの移動度を高める方法として、有機分子を配向させて主鎖の方向を揃える方法が提案されている(たとえば特許文献1および2)。しかし、有機分子を配向させるためには特別な工程が必要であり、製造工程が複雑になる。また、有機分子を配向させても、分子間の伝導の障壁が高ければそれによってキャリアの移動度が律速されてしまうという問題がある。
有機分子間の伝導の障壁の問題を解決するため、導体又は半導体からなる微粒子を介して、有機半導体のネットワークを形成する方法が提案されている(たとえば特許文献3)。しかし、特許文献3の方法では、微粒子のみや有機半導体のみによって導電路が形成されると、短絡したり所望の特性が安定して得られなかったりするといった問題が生じる。このため、高い特性を安定して得るには、微粒子と有機半導体との結合体を単分子層ずつ形成する必要があり、製造が容易でないという問題があった。また、微粒子が導体である場合には、極めて短チャネルの半導体を連結した構造となるため、電界効果トランジスタの半導体層として用いる場合には、オフ電流が大きくなってしまいオン・オフ比が低い(1桁弱程度)という課題があった。
特開平5−275695号公報 特開平7−206599号公報 特開2004−88090号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、特別な製造方法を用いることなく簡易なプロセスで形成可能であり、キャリア移動度または導電性が高い有機分子層を備える電子デバイスを提供することを目的の1つとしている。また、本発明は、本発明の電子デバイスを用いた電子機器を提供することを目的の1つとする。
上記目的を達成するために検討した結果、発明者らは、主鎖の末端に2次元的または3次元的に広がる共役π電子系を構成する末端基を備え、末端基の表面に金属元素が配位していない有機分子を用いることによって、電子デバイスに適した有機分子層を形成できることを見出した。本発明は、この新しい知見に基づくものである。
すなわち、本発明の電子デバイスは、導電性の有機分子層を備える電子デバイスであって、前記有機分子層が、第1の共役π電子系を構成する主鎖と、前記主鎖の少なくとも一方の端に結合している末端基とを備える有機分子を主成分として含み、前記末端基は第2の共役π電子系を構成し、前記主鎖に直交する方向における前記第2の共役π電子系の広がりが、前記主鎖に直交する方向における前記第1の共役π電子系の広がりよりも大きく、前記末端基は、表面に露出するように配位結合した金属元素を含まない。
また、本発明の電子機器は上記本発明の電子デバイスを含む。
本発明の電子デバイスでは、第1の共役π電子系と第2の共役π電子系とを構成する有機分子を用いて有機分子層を形成している。この有機分子層では、第1の共役π電子系を介し、主鎖に沿ってキャリアが移動する。また、第2の共役π電子系が存在するため、主鎖の分子軸を特に配向させなくても、第2の共役π電子系を介して分子間の電荷移動が促進される。したがって、キャリアは、主鎖の共役π電子系を移動したのち、スムーズに隣接する分子に移動する。その結果、移動度または導電性が高い有機分子層が形成される。この有機分子層は、有機分子が配向していなくても分子間のキャリアの移動が容易であるため、有機分子を特定の方向に配向させる必要がなく、形成が容易である。
また、この有機分子層を構成する有機分子の末端基は、表面に露出するように配位結合した金属元素を含まない。末端基の表面に露出するように配位した金属元素は遊離する場合があり、遊離した金属元素(金属イオン)は電界の印加によって有機分子層内を移動する。したがって、末端基の表面に金属元素が配位している有機分子を用いて有機分子層を形成した場合、電子デバイスの高速動作が妨げられるなど、電子デバイスの動作が不安定になる。このような悪影響は、多価金属イオンの場合に特に大きくなる。本発明では、末端基の表面に金属元素が配位していない有機分子を用いて有機分子層を形成するため、特性が高い電子デバイスを実現できる。また、本発明の電子デバイスは、プラスティック基板などのフレキシブルな基板を用いることが可能であるため、フレキシブルなデバイスを実現できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、特定の機能を発現する物質として具体的な物質を例示する場合があるが、本発明はこれに限定されない。また、例示される物質は、特に記載がない限り、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。また、以下の図では、ハッチングを省略する場合がある。また、この明細書において、「ポリマー」とは、特定の化合物を重合して得られる化合物を意味し、低分子量のもの(低重合度のオリゴマー)を含む。
本発明の電子デバイスは、導電性の有機分子層を備える。その有機分子層は、第1の共役π電子系を構成する主鎖と、主鎖の少なくとも一方の端に結合している末端基とを備える有機分子(以下、有機分子Aという場合がある)を主成分として含む。末端基は第2の共役π電子系を構成する。主鎖の鎖軸に直交する方向における第2の共役π電子系の広がりは、主鎖の鎖軸に直交する方向における第1の共役π電子系の広がりよりも大きい。末端基は、表面に露出するように配位結合した金属元素を含まない。有機分子Aを主成分とする有機分子層は、キャリアが移動する層であり、導電層または半導体層として機能する。
第1の共役π電子系は、通常、有機分子Aの主鎖全体に広がっている。有機分子Aは、第2の共役π電子系を構成する末端基を主鎖の両端に備えることが好ましい。第2の共役π電子系が主鎖の両端に存在することによって、分子間の電荷の移動が特に容易になる。
第1の共役π電子系と第2の共役π電子系とは、共役していることが好ましい。主鎖は、線状または帯状の共役π電子系を形成する分子構造からなる。たとえば、ポリチオフェンやポリアルキルチオフェンといったチオフェン系の誘導体、ポリアセチレンやポリフェニルアセチレンといったアセチレン系分子の誘導体、ポリピロールやポリアルキルピロールといったピロール系分子の誘導体、オリゴフェニレンやポリフェニレンといったフェニレン系分子の誘導体、また、フルオレンビチオフェンコポリマーなどのような、これらの分子同士や、ビニル基やエチニル基などを組み合わせたコポリマーの誘導体などを用いる。
有機分子層は、導電層または半導体層として機能する。この有機分子層は、有機分子Aを主成分(含有率:50質量%以上)の1つとして含む。有機分子層は、たとえば、有機分子Aを50質量%以上(たとえば90質量%以上)の割合で含む。一例の有機分子層では、有機分子Aのみ、または有機分子Aと有機分子Aの主鎖を包接する化合物のみからなる。なお、有機分子層が有機分子Aの主鎖を包接する環状化合物を含む場合には、有機分子Aおよび環状化合物が有機分子層の主成分となる。また、この有機分子層は、有機分子A以外の有機分子や、添加剤などを含んでもよい。また、本発明の電子デバイスは、他の有機分子層を含んでもよい。
本発明の電子デバイスでは、有機分子Aの第2の共役π電子系が、2次元的に広がっていてもよい。このような第2の共役π電子系を構成する末端基としては、たとえば、ポルフィリンの構造を有する末端基(ポルフィリン誘導体を含む)またはフタロシアニンの構造を有する末端基(フタロシアニン誘導体を含む)が挙げられる。なお、ポルフィリンやフタロシアニンでは、環状構造の中心に金属元素が配位結合することが可能であるが、本発明の有機分子は、そのような金属元素を含まない。また、2次元的に広がる第2の共役π電子系を構成する他の末端基として、芳香族多環式構造を有する末端基、たとえばコロネンの構造を有する末端基や、トリフェニレンの構造を有する末端基などを用いてもよい。
本発明の電子デバイスでは、有機分子Aの第2の共役π電子系が、3次元的に広がっていてもよい。そのような第2の共役π電子系を構成する末端基としては、たとえば、C60やC70といったフラーレンの構造を有する末端基(フラーレン誘導体を含む)が挙げられる。なお、フラーレン構造の内部に封入された金属元素は外部に遊離することがないため、フラーレン構造の内部に金属元素が封入されていてもよい。また、3次元的に広がる第2の共役π電子系を構成する他の末端基として、コランニュレンなどのように皿状の形状をした芳香族多環式構造を有する末端基や、その誘導体などを用いてもよい。
本発明の電子デバイスでは、有機分子層が、有機分子Aの主鎖を包接する環状分子をさらに含み、有機分子層が有機分子Aと環状分子とを主成分としてもよい。この場合、有機分子層は、有機分子Aと環状分子とを合計で50質量%以上(たとえば90質量%以上)の割合で含む。このような構成によれば、包接された環状分子によって主鎖が保護されるため、耐環境性が高い有機電子デバイスが得られる。この場合は、分子間の電荷移動は、主に末端基−末端基の経路で行われる。また、環状分子によって包接された主鎖は直線性が増すため、主鎖の一端から他端までのキャリアの実効的な移動度が増大する。
本発明の電子デバイスでは、有機分子Aの主鎖の鎖長が3nm〜30nmの範囲にあってもよい。主鎖の鎖長をこの範囲とすることによって、主鎖の鎖長が3nm未満であると、最も電気伝導の容易な主鎖方向に沿った伝導の割合が減少する。また、主鎖の鎖長が30nmを超えると、主鎖のπ電子雲が主鎖の全体に渡って均一に分布できなくなり、電子密度の低い部分ができてしまうため、主鎖の鎖長を30nmより大きくして特性的には飽和してしまう。その一方、主鎖の鎖長が30nmを越えると、材料的に扱いにくくなるなどのデメリット(たとえば分子の溶解性の低下)が大きくなる。
本発明の電子デバイスでは、有機分子Aは主鎖に結合した側鎖を有してもよい。この場合、側鎖が第3の共役π電子系を構成してもよい。有機分子Aで構成される有機分子層では、末端基−末端基、末端基−主鎖の2通りの電荷移動経路が考えられる。主鎖に共役π電子系部分を含まない側鎖が存在すると、末端基−主鎖の電荷移動が阻害されるため、有機分子Aが側鎖を有する場合には、側鎖が共役π電子系を構成することが好ましい。
本発明の電子デバイスは、有機分子Aを主成分とする有機分子層が半導体層であり、有機分子層に接触するように配置されたソース電極およびドレイン電極と、有機分子層に電界を印加するゲート電極とを備え、電界効果トランジスタとして機能するものであってもよい。この構成では、有機分子Aを主成分とする有機分子層の少なくとも一部がチャネル領域となるため、チャネル領域のキャリア移動度が高い電界効果トランジスタが得られる。
また、本発明のアクティブマトリクス型ディスプレイは、スイッチング素子を備えるアクティブマトリクス型ディスプレイであって、スイッチング素子が上記本発明の電子デバイス(電界効果トランジスタ)である。このような構成によれば、低コストで特性の良い、シートライクまたはペーパーライクなディスプレイを実現できる。
また、本発明の無線IDタグは、複数の半導体素子を含む無線IDタグであって、複数の半導体素子の少なくとも一部が上記本発明の電子デバイス(電界効果トランジスタ)である。このような構成によれば、様々な形状の物体や、様々な素材からなる物体に貼り付けることができる無線IDタグが得られる。また、任意の形状に形成可能な無線IDタグを実現できる。
また、本発明の携行用機器は、複数の半導体素子を含む携行用機器であって、複数の半導体素子の少なくとも一部が上記本発明の電子デバイス(電界効果トランジスタ)である。このような構成によれば、携帯テレビ、通信端末、PDA、携帯用医療機器などの携行用機器に、低コスト、フレキシブル、耐衝撃性、任意形状に形成可能などの利点を付加できる。
以下、本発明の実施形態の例について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、以下の実施形態で説明する化合物の一部の製造方法については後述する。また、以下の図では、ハッチングを省略する場合がある。
(実施形態1)
実施形態1では、本発明の電子デバイスの一例として、電界効果トランジスタ(以下、「FET」という場合がある)について説明する。
図1(a)〜(d)は、本発明の電界効果トランジスタ(薄膜トランジスタ:TFT)の代表的な例を模式的に示す断面図である。図1(a)〜(d)に示すように、本発明のFETには様々な構成が存在する。いずれのFETも、基板11、ゲート電極12、ゲート絶縁層13、半導体層(有機分子層)14、ソース電極15、ドレイン電極16、および電極修飾層(図示せず)を備えている。ソース電極15およびドレイン電極16は、半導体層14と接触している。ゲート電極12はゲート絶縁層13を挟んで半導体層14と対向している。
一般に、図1(a)のFET100aおよび図1(c)のFET100cは、トップコンタクト方式のFETと呼ばれている。また、図1(b)のFET100bと図1(d)のFET100dはボトムコンタクト方式のFETと呼ばれている。
本発明のFETは、図2(a)および(b)のような構造であってもよい。図2(a)および(b)のFET100eおよび100fでは、ソース電極15とドレイン電極16とが半導体層14を挟んで対向している。なお、本発明の効果は有機分子層の主成分である有機分子によって得られるものであるため、その有機分子以外の部分については、本発明の効果が得られる限り特に限定はない。
以下、図1(b)のFET100bを例に挙げて説明する。図1(b)に示すように、基板11の一主面上にはゲート電極12が形成され、ゲート電極12を覆うようにゲート絶縁層13が形成されている。ソース電極15およびドレイン電極16は、ゲート絶縁層13の上に、互いに距離をおいて形成されている。そして、2つの電極およびゲート絶縁層13を覆うように、半導体層14が形成されている。半導体層14は、上述した電導性有機分子によって構成されている。このように、FET100bでは、基板11上に、ゲート電極12、ゲート絶縁層13、2つの電極、および半導体層14が積層されている。
次に、図1(d)に示すFET100dを例に挙げて説明する。FET100dでは、ソース電極15およびドレイン電極16が、基板11の一主面上に、互いに距離をおいて形成されている。上述した導電性有機分子によって構成されている半導体層14は、2つの電極と基板11とを覆うように形成される。ゲート絶縁層13は、半導体層14上に形成される。ゲート電極12は、ゲート絶縁層13上であって、少なくともソース電極15とドレイン電極16との間の領域に対応する位置に形成される。このように、FET100dでは、基板11上に、2つの電極、半導体層14、ゲート絶縁層13、およびゲート電極12が積層されている。
(実施形態2)
実施形態2では、実施形態1で説明した本発明のFETを備える機器の例として、アクティブマトリクス型ディスプレイ、無線IDタグ、および携帯用機器について説明する。
アクティブマトリクス型ディスプレイの一例として、表示部に有機ELを用いたディスプレイについて説明する。ディスプレイの構成を模式的に示す一部分解斜視図を、図3に示す。
図3に示すディスプレイは、プラスティック基板111上にアレイ状に配置された駆動回路110を備える。駆動回路110は本発明のFETを含み、画素電極に接続されている。駆動回路110の上には、有機EL層112、透明電極113および保護フィルム114が配置されている。有機EL層112は、電子輸送層、発光層および正孔輸送層といった複数の層が積層された構造を有する。各FETの電極に接続されたソース電極線125とゲート電極線126とは、それぞれ、制御回路(図示せず)へ接続される。
駆動回路110およびその周辺の一例の拡大図を、図4に示す。図4に示すFETの構造は、基本的に図1(c)に示す構造と同様である。つまり、図4に示すFETでは、半導体層124と、ソース電極125およびドレイン電極126と、ゲート絶縁層123と、ゲート電極122とが基板上に積層されている。そして、図4に示すように、ドレイン電極126は有機ELの画素電極127に電気的に接続されている。また、ゲート電極122が接続されたゲート電極線126と、ソース電極125が接続されたソース電極線125とが交差する部分には、絶縁層128が形成されている。
このように、実施形態1で説明したようなFETを用いてアクティブマトリクス型のディスプレイを構成することによって、キャリア移動度が改善されたFETを特別な製造方法を用いることなく簡易なプロセスで実現できる。このため、本発明によれば、ディスプレイ全体としても安価で、かつ有機FETを使用することで付加される機能である機械的柔軟性及び耐衝撃性を備えたシートライクなディスプレイを実現できる。また、FETのキャリア移動度を向上させることによって、表示速度(反応速度)を向上させることができる。
なお、この実施形態では、表示部に有機ELを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、FETを含む回路を備える他のアクティブマトリクス型のディスプレイに適用でき、それによって同様の効果が得られる。
また、画素を駆動する駆動回路部の構成は、この実施形態で示した構成には限定されない。たとえば、1つの画素を駆動するために電流駆動用のFETとそれを制御するためのスイッチング用FETとを組み合わせた構成としてもよい。また、さらに複数個のFETを組み合わせた構成としてもよい。また、FETは、この実施形態で示したFETに限定されず、本発明の他のFETを用いることによって同様の効果が得られる。
次に、本発明のFETを無線IDタグに応用した場合について説明する。本発明のFETを用いた無線IDタグの一例の斜視図を、図5に模式的に示す。なお、図5では、アンテナ部とメモリーIC部とを接続する配線や、整合回路などの図示を省略する。
図5に示すように、無線IDタグ130は、フィルム状のプラスティック基板131を基板として使用している。この基板131上には、アンテナ部132とメモリーIC部133とが設けられている。ここで、メモリーIC部133は、実施形態1において説明したような本発明のFETを利用して構成される。無線IDタグ130は、基板の裏面に粘着効果を持たせることによって、菓子袋やドリンク缶のような平坦でないものに貼り付けることが可能である。なお、無線IDタグ130の表面には、必要に応じて保護膜が設けられる。
このように、本発明のFETを用いることによって、様々な素材の物品へ貼り付けることができるとともに様々な形状を有する無線IDタグが得られる。また、キャリア移動度が高い本発明のFETを用いることによって、反応速度(処理速度)が速く、通信周波数の高い無線IDタグが得られる。
なお、本発明の無線IDタグは、図5に示した無線IDタグに限定されない。従って、アンテナ部およびメモリーIC部の配置や構成に限定はない。たとえば、倫理回路を無線IDタグに組み込んでもよい。
また、この実施形態では、アンテナ部132とメモリーIC部133とをプラスティック基板131上に形成する場合について説明したが、本発明はこの形態に限定されない。たとえば、インクジェット印刷のような方法を用いて、対象物に直接、アンテナ部172とメモリーIC部173とを形成してもよい。その場合も、本発明のFETを形成することによって、キャリア移動度が改善されたFETを備える無線IDタグを低コストで製造できる。
次に、本発明のFETを含む集積回路を備える携行用機器について説明する。携行用機器の集積回路には、演算素子や記憶素子やスイッチング素子など、半導体の特性を利用した様々な素子が用いられる。これらの素子の少なくも一部に本発明のFETを用いることによって、機械的柔軟性、耐衝撃性、捨てる際の対環境性、軽量、安価といった特性に優れるという有機材料の利点を備える携帯用機器を製造できる。
本発明の電子機器の例として、3つの携行用機器を図6〜図8に示す。
図6に示す携帯テレビ140は、表示装置141、受信装置142、側面スイッチ143、前面スイッチ144、音声出力部145、入出力装置146、記録メディア挿入部147を備える。本発明のFETを含む集積回路は、携帯テレビ140を構成する演算素子や記憶素子やスイッチング素子などの素子を含む回路として使用される。
図7に示す通信端末150は、表示装置151、送受信装置152、音声出力部153、カメラ部154、折りたたみ用可動部155、操作スイッチ156、音声入力部157を備える。本発明のFETを含む集積回路は、通信端末150を構成する演算素子や記憶素子やスイッチング素子などの素子を含む回路として使用される。
図8に示す携帯用医療機器160は、表示装置161、操作スイッチ162、医療的処置部163、経皮コンタクト部164を備える。携帯用医療機器160は、例えば腕165などに巻き付けられて携行される。医療的処置部163は、経皮コンタクト部164から得られる生態情報を処理し、それに応じて経皮コンタクト部164を通じて薬物投与などの医療的処置を行う部分である。本発明のFETを含む集積回路は、携帯用医療機器160を構成する演算素子や記憶素子やスイッチング素子などの素子を含む回路として使用される。
なお、本発明のFETを応用した携帯用機器の構成について、いくつか例を挙げて説明したが、本発明はこれらの構成に限定されない。また、本発明のFETを適用できる携帯用機器は、例示した機器に限定されない。本発明のFETは、PDA端末や、ウエアラブルなAV機器、ポータブルなコンピュータ、腕時計タイプの通信機器など、機械的柔軟性、耐衝撃性、捨てる際の対環境性、軽量性、安価といった特性が要求される機器に好適に応用できる。
(実施形態3)
実施形態1および2では、本発明のFETおよびそれを用いた機器について説明した。実施形態3では、本発明の他の電子デバイスについて説明する。
本発明の電子デバイスの一例として、ガス・イオンセンサの断面図を図9に模式的に示す。図9のセンサ素子170では、有機導電体層の導電率の変化がゲート電圧の変化としてSi−FETで高感度に検出される。
図9に示すように、Si基板171の表面にはソース電極175およびドレイン電極176が形成されており、これらを覆うように絶縁層173が形成されている。絶縁層173上には有機導電体層174が形成されており、有機導電体層174上にはゲート電極172が形成されている。検知部177にガスやイオンが化学吸着すると、有機導電体層174の導電率が変化し、有機導電体層174と絶縁層173を介してSi基板171に印加されるゲート電圧が変化するので、ソース電極175とドレイン電極176との間を流れる電流量が変化する。この電流量の変化をモニタすることによって、ガスやイオンを検出できる。
有機導電体層174は、実施形態1で説明した有機分子、すなわち、末端基における共役π電子系の広がりが、主鎖における共役π電子系の広がりよりも大きい有機分子で形成される。そのような有機分子を用いることによって導電率の高い導電体層を形成できるので、センサの駆動電圧を下げる事ができ、センサを長寿命化できる。また、アレイセンサなどのように複数個のセンサを同一面に形成する場合でも、特別な製造方法を用いることなく簡易なプロセスで高感度のアレイセンサを形成できる。
なお、本発明のセンサ素子の一例としてガス・イオンセンサについて説明したが、有機導電体層を備えるセンサとしては、この他にも、湿度センサ、温度センサ、光センサ、圧力センサなど種々のセンサがある。いずれのセンサも、センシングの対象となるものの変化に応じて有機導電体層の物性値が変化することを利用し、物性値の変化を電流値などの電気的値に変換することによってセンシングが可能である。したがって、これらのセンサに対して本発明を適用することによって、導電体層の導電率を向上させることができ、優れた特性のセンサを安定して実現できる。
本発明の電子デバイスの他の例として、コンデンサの一例の断面図を図10に模式的に示す。図10に示すコンデンサ180は、Al23を誘電体として用いたアルミ電界コンデンサである。陽極182はAlであり、陽極182の表面を電気化学的に酸化することによってAl23からなる誘電体層183が形成されている。高容量化のため、陽極182の表面にはエッチング処理によって図10に示すように細孔が多数形成されており、誘電体層183の表面に陰極181を直接形成することが困難である。そのため、中間層として有機導電体層184を形成した後、陰極181が形成される。
このようなコンデンサ素子において、陰極181と誘電体層183との間の抵抗が大きいと、素子のインピーダンスの周波数特性が低下するという問題がある。そのような問題を解消するために、実施形態1で説明した有機分子、すなわち、末端基における共役π電子系の広がりが、主鎖における共役π電子系の広がりよりも大きい有機分子で有機導電体層を形成する。これによって、陰極181と誘電体層183との間の抵抗を低減でき、周波数特性が優れたコンデンサ素子を容易に実現できる。
なお、本発明のコンデンサの一例としてアルミ電界コンデンサについて説明したが、タンタル電界コンデンサなどのその他のコンデンサや2次電池等に対しても本発明を適用できる。これらの電子デバイスに本発明を適用することによって、導電体層の導電率を向上でき、優れた特性のコンデンサや2次電池を安定して実現できる。
本発明の電子デバイスの他の一例として、有機半導体レーザの一例の断面図を図11に模式的に示す。図11の半導体レーザ190は、厚膜クラッド型と呼ばれるレーザで、その構造は基本的に有機LEDと同じである。すなわち、ガラス基板191上に、透明電極192、正孔輸送層193、発光層194、電子輸送層195、および金属電極196が順次積層されている。発生する光子を閉じ込めるため、発光層194の上下の電荷輸送層をクラッド層として用いる。そのため、有機LEDと比べて電荷輸送層が厚い。
このようなレーザ素子では、電荷輸送層が厚いことによる駆動電圧の上昇とそれに伴う電流密度の低下が生じるという問題がある。このような問題を解決するため、本発明が適用される。具体的には、実施形態1で説明した有機分子を用いて電荷輸送層を形成する。このような構成によれば、電荷輸送層の導電率を向上させることができるため、駆動電圧を低減でき、優れた特性を持つレーザ素子を容易に実現できる。
なお、本発明のレーザ素子の一例として厚膜クラッド型の有機半導体レーザについて説明したが、本発明はこれに限定されない。その他の有機半導体レーザにおいても、基本的には電極から発光層までの抵抗が駆動電圧に影響を与える。このため、本発明を適用して有機半導体層の導電率を向上させることによって、優れた特性の有機半導体レーザを安定して実現できる。
以上のように、実施形態3では、本発明の有機電子デバイスについて具体例を挙げて説明したが、本発明はこれらに限定されない。本発明は、有機導電体層を備えるデバイスに適用できる。それらのデバイスに本発明を適用することによって、特別な製造方法を用いることなく簡単なプロセスで、有機導電体層の導電率を向上させることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1では、図1(b)に示したFET100bを製造した一例について説明する。実施例1におけるFET100bでは、基板11として、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という場合がある)のフィルムを用いた。また、ゲート電極12を構成する材料としてはNiを用いた。ソース電極15およびドレイン電極16を構成する材料としては、Auを主成分とする電極材料を用いた。ゲート絶縁層13を構成する材料としては、ポリビニルアルコールを用いた。半導体層14を構成する材料としては、主鎖がオリゴチオフェン誘導体であり、その末端がポルフィリンで修飾された分子を用いた。
使用した有機材料の化学式を図12および図13に示し、その分子構造の詳細を説明する。図12(a)の分子では、主鎖のオリゴチオフェン6量体によって共役π電子系が分子鎖に沿って形成されている(水素原子は明示せず。以下同じ。)。さらに、主鎖の両方の末端は、末端基A1で化学修飾されている。図12(a)、図12(b)および図12(c)の分子の末端基A1は、図13に示すポルフィリン誘導体である。なお、実施例で用いた有機分子には主鎖のオリゴチオフェンが6量体以外のものが少し混じっている場合があるが、実質的には6量体とみなせる。
図12(b)の分子は、図12(a)の分子と比較して、主鎖のオリゴチオフェン6量体部分に側鎖としてアルキル基(−C613)が結合している点のみが異なる。図12(c)の分子は、図12(a)の分子と比較して、主鎖のオリゴチオフェン6量体部分に側鎖としてビフェニル基が結合している点のみが異なる。また、比較例として、図14に示すように、図12(a)の分子と比較して、末端基がアルキル基(−C613)である点のみが異なる分子を用意した。
以下に、第1の例におけるFET100bの製造方法について説明する。先ず、PETからなる基板11(厚み100μm)上に、マスク蒸着によってNiからなるゲート電極12(厚み100nm)を形成した。次に、ポリビニルアルコールの水溶液をスピンコート法によって塗布したのち乾燥させ、ゲート絶縁層13(厚み500nm)を形成した。続いて、ゲート絶縁層13上に、マスク蒸着によってAuからなるソース電極15およびドレイン電極16(それぞれ厚み100nm)を形成した。ソース電極15およびドレイン電極16は、チャネル長が50μmで、チャネル幅が500μmとなるように形成した。
次に、図12〜図14に示した各分子をクロロホルムに溶かした。得られた溶液を、スピンコート法によって塗布したのち乾燥させ、半導体層14(厚み500nm)を形成した。このようにして、FET100bを作製した。
以上のようにして得られた4つのFETについて、ソース−ドレイン間電圧(Vds)が−5V(線形領域に相当)および−30V(飽和領域に相当)の場合のキャリア移動度を算出した。キャリア移動度の算出は、それぞれのVdsの場合について、ゲート−ソース間電圧(Vgs)を+50V〜−80Vまで掃印した場合のソース−ドレイン間電流(Ids)を測定し、その値から算出した。キャリア移動度の評価結果を表1に示す。
Figure 2006147785
図12の(a)〜(c)の分子では、主鎖に直交する方向における第2の共役π電子系(末端基によって構成される共役π電子系)の広がりが、主鎖に直交する方向における第1の共役π電子系(主鎖によって構成される共役π電子系)の広がりよりも大きい。このような分子を用いて半導体層14を形成した場合、表1に示すように、キャリア移動度が大幅に向上した。また、主鎖に側鎖を導入する場合には、共役π電子系を持たないアルキル基よりは、ビフェニル基の方が高い移動度が得られた。
本発明のFETでは、高いオン・オフ比(4桁以上)と高いキャリア移動度とを両立させることができた。これに対して、比較例のサンプルでは、両者を両立させることができなかった。なお、後述する表2のFETにおいても同様の結果が得られた。
この例では、主鎖の鎖長が異なる材料を用いて半導体層を形成した一例について示す。半導体層の材料が異なることを除き、第2の例のFETの構成および製造方法は第1の例と同じである。
第2の例で使用した有機材料の一般式を図15に示し、その分子構造の詳細について説明する。図15(a)の分子は、フルオレン誘導体とビチオフェンのコポリマーを主鎖として備える。そして、主鎖の両方の末端は、図15(b)に示すポルフィリンで化学修飾されている。実施例2では、主鎖部分の繰り返し数(図15(a)の一般式中のn)を1、2、4、8、16、20、32、無制限としたものを用いた。
以上のような材料を半導体層として用いたFETについて実施例1と同様にキャリア移動度の評価を行った。半導体層に使用された有機分子の主鎖部分の分子鎖長と測定されたキャリア移動度との関係を図16に示す。図16に示すように、主鎖の分子鎖長は3nm〜30nmの範囲にあることが好ましく、12.5nm〜25nmの範囲内にあることがより好ましい。
実施例3では、実施例1および2で用いた分子とは末端基が異なる分子を用いた一例について示す。半導体層の材料が異なることを除き、実施例3のFETの構成および製造方法は、実施例1と同じである。
実施例3で用いた分子は、図12(a)の分子と同様に、図12(a)に示したオリゴチオフェン6量体からなる主鎖を備えるが、その両端に結合した末端基が異なる。実施例3で用いた末端基を図17および図18に示す。図17(a)〜(c)には、円盤状の芳香族多環部(共役π電子系)を有する末端基の例が示されている。また、図18には、球状の芳香族多環部(共役π電子系)を有する末端基の例として、フラーレン(C60)を用いた末端基が示されている。
以上のような材料からなる半導体層を用いたFETについて、実施例1と同様にキャリア移動度の評価を行った。表2にキャリア移動度の評価結果を示す。なお、比較サンプル2は、図14の有機分子を用いたFETである。
Figure 2006147785
図17および図18に示した分子では、主鎖に直交する方向における第2の共役π電子系(末端基によって構成される共役π電子系)の広がりが、主鎖に直交する方向における第1の共役π電子系(主鎖によって構成される共役π電子系)の広がりよりも大きい。末端基の共役π電子系が2次元的または3次元的に広がっている図17および図18の分子を用いて半導体層14を形成した場合、表2に示すように、キャリア移動度が大幅に向上した。
実施例4では、図1(d)に示したFET100dを製造した一例について説明する。実施例4では、基板11としてPETフィルムを用いた。ゲート電極を構成する材料としてはNiを用いた。ソース電極15およびドレイン電極16を構成する材料としては、Auを主成分とする電極材料を用いた。ゲート絶縁層13を構成する材料としては、ポリビニルフェノールを用いた。また、半導体層14を構成する材料としては、環状分子のシクロデキストリンによって包接されたフルオレンビチオフェンコポリマーを主鎖とし、主鎖の末端がポルフィリンで修飾された分子を用いた。
まず、主鎖の分子鎖を包接する環状分子について、図19で説明する。図19(a)の一般式で示したシクロデキストリンは、グルコースの環状オリゴマーであり、グルコースの数によって環の大きさが変化する。一般的なシクロデキストリンとしては、n=4のα−シクロデキストリン、n=5のβ−シクロデキストリン、n=6のγ−シクロデキストリンが挙げられる。環の大きさが異なるシクロデキストリンの中から、包接する対象となる分子の大きさに合わせて好適なものを選択することができる。以降の図では、図19(b)のような模式図を用いてシクロデキストリンを表す場合がある。
半導体層の材料として用いた有機材料の化学式を図20に示す。図20の分子の主鎖は、フルオレンとビチオフェンのコポリマーである。主鎖部分の繰り返し数は8とした。主鎖の両方の末端は、図15(b)に示したポルフィリンで化学修飾されている。そして、主鎖のビチオフェン部分は、図のように環状分子であるシクロデキストリン(この例ではβ―シクロデキストリン)で包接されている。なお、シクロデキストリンで包接されていない分子、すなわち図15の分子も用意した。
以下に、この実施例におけるFET100dの製造方法について説明する。まず、PETからなる基板11(厚み100μm)上に、マスク蒸着によって、Auからなるソース電極15およびドレイン電極16(それぞれ厚み100nm)を形成した。これらの電極は、チャネル長が50μmで、チャネル幅が500μmとなるように形成した。次に、図15または図20の有機分子の水溶液をスピンコート法によって塗布したのち乾燥させることによって、半導体層14(厚み250nm)を形成した。続いて、ポリビニルフェノールをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;Propylene glycol monomethyl ether acetate)に溶かした溶液をスピンコート法によって塗布したのち乾燥させて、ゲート絶縁膜13(厚み500nm)を形成した。その後、マスク蒸着によって、Niからなるゲート電極12(厚み100nm)を形成した。このようにしてFET100dを作製した。
以上のようにして得られた2種類のFETについて、ソース−ドレイン間電圧(Vds)が−30Vの場合のキャリア移動度のDC負荷による劣化について評価を行った。DC負荷は、ソース−ドレインを短絡接地した状態でゲート電極に−40Vを印加することによって加えた。キャリア移動度は、Vds=−30Vに固定した状態でVgsを+50V〜−80Vまで掃印したときのIdsを測定し、その値から算出した。そのようにしてキャリア移動度評価のための測定を行った後、再びDC負荷を加え、再度キャリア移動度評価のための測定を行うというサイクルを繰り返した。図21にDC負荷時間とキャリア移動度の劣化との関係を示す。なお、図21中の横軸は、DC負荷時間の累積時間を示している。
図21に示されるように、環状分子によって主鎖が包接された分子を半導体層の材料として用いたFET(CD被覆有り)は、包接されていない分子を用いたFET(CD被覆無し)に比べて、初期のキャリア移動度こそ若干劣るものの、DC負荷に対する劣化が大幅に低減した。
なお、本発明で用いられる有機分子Aは、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成してもよい。合成する場合、たとえば、(HO)2B−主鎖−B(OH)2で表される分子と、上記末端基にヨウ素基が結合した分子(I−末端基)とを鈴木カップリング反応で反応させることによって合成が可能である。
以上、本発明の実施形態について例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用することができる。
本発明は、有機分子によって形成された導電層または半導体層を備える電子デバイスに適用できる。また、本発明は、そのような電子デバイスを備える各種機器に適用できる。
本発明のFETの例を模式的に示す断面図である。 本発明のFETの他の例を模式的に示す断面図である。 本発明のアクティブマトリクス型ディスプレイの一例を模式的に示す一部分解斜視図である。 本発明のディスプレイの駆動回路およびその周辺の構成を示す模式的に示す斜視図である。 本発明の無線IDタグの一例の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の携帯テレビの一例の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の通信端末の一例の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の携帯用医療機器の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明のセンサ素子の一例の構成を模式的に示す断面図である。 本発明のコンデンサの一例の構成を模式的に示す断面図である。 本発明のレーザの一例の構成を模式的に示す断面図である。 (a)、(b)および(c)は、それぞれ、実施例で用いた有機分子を示す化学式である。 図12に示した有機分子の末端基の構造を示す化学式である。 比較例で用いた有機分子を示す化学式である。 (a)は実施例で用いた有機分子を示す化学式であり、(b)は(a)の分子の末端基を示す化学式である。 本発明のFETの一例について、有機分子の主鎖の鎖長とキャリア移動度との関係を示す図である。 (a)、(b)および(c)は実施例で用いた有機分子の末端基を示す化学式である。 実施例で用いた有機分子の末端基を示す化学式である。 (a)はシクロデキストリンの化学式であり、(b)はシクロデキストリンの形状を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施例で用いた有機分子を示す化学式である。 本発明のFETの一例についてDC負荷試験におけるキャリア移動度の劣化の挙動を示す図である。
符号の説明
11 基板
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁層
14 半導体層(有機分子層)
15 ソース電極
16 ドレイン電極
100a〜d FET
110 FET駆動回路
130 無線IDタグ
140 携帯テレビ
150 通信端末
160 携帯用医療機器
170 センサ素子
174、184 有機導電体層(有機分子層)
180 コンデンサ
190 レーザ

Claims (12)

  1. 導電性の有機分子層を備える電子デバイスであって、
    前記有機分子層が、第1の共役π電子系を構成する主鎖と、前記主鎖の少なくとも一方の端に結合している末端基とを備える有機分子を主成分として含み、
    前記末端基は第2の共役π電子系を構成し、
    前記主鎖に直交する方向における前記第2の共役π電子系の広がりが、前記主鎖に直交する方向における前記第1の共役π電子系の広がりよりも大きく、
    前記末端基は、表面に露出するように配位結合した金属元素を含まない電子デバイス。
  2. 前記第2の共役π電子系が、2次元的に広がっている請求項1に記載の電子デバイス。
  3. 前記末端基がポルフィリンの構造またはフタロシアニンの構造を有する請求項2に記載の電子デバイス。
  4. 前記第2の共役π電子系が、3次元的に広がっている請求項1に記載の電子デバイス。
  5. 前記末端基がフラーレンの構造を有する請求項4に記載の電子デバイス。
  6. 前記有機分子層が、前記主鎖を包接する環状分子をさらに含み、
    前記有機分子層が前記有機分子と前記環状分子とを主成分とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  7. 前記主鎖の鎖長が3nm〜30nmの範囲にある請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  8. 前記有機分子は前記主鎖に結合した側鎖を有し、
    前記側鎖が第3の共役π電子系を構成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  9. 前記有機分子層が半導体層であり、前記有機分子層に接触するように配置されたソース電極およびドレイン電極と、前記有機分子層に電界を印加するゲート電極とを備え、
    電界効果トランジスタとして機能する請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  10. スイッチング素子を備えるアクティブマトリクス型ディスプレイであって、
    前記スイッチング素子が請求項9に記載の電子デバイスであるアクティブマトリクス型ディスプレイ。
  11. 複数の半導体素子を含む無線IDタグであって、
    前記複数の半導体素子の少なくとも一部が請求項9に記載の電子デバイスである無線IDタグ。
  12. 複数の半導体素子を含む携行用機器であって、
    前記複数の半導体素子の少なくとも一部が請求項9に記載の電子デバイスである
    携行用機器。
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