JP2006147276A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 空孔率が20%〜30%で膜厚が1μm〜7μmの薄型セパレータと絶縁性を備えた被覆材で電極の所定部位を覆うこととを組み合わせることで、高容量でありながら、かつ内部ショート発生率が低く、高温での信頼性が高い、非水電解質二次電池を提供する
【解決手段】 このリチウムイオン二次電池は、積層構造10を有している。積層構造10は、集電体の両面に正極合剤層が積層される帯状の正極1と集電体の両面に負極合剤層が積層される帯状の負極5とが、空孔率が20%〜30%で厚さ1μm〜7μmの極めて薄いセパレータ3を介して多数回巻回されて形成される。正極および負極の所定部位には、絶縁性を備えた被覆材が貼着される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話機器や携帯型ゲーム機器などの電子機器は、小型化、高性能化が進んでおり、これに伴い電源として用いられる電池の高エネルギー密度化、高容量化が求められている。リチウムイオン二次電池は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、特に有望である。
リチウムイオン二次電池は、高性能な携帯電話機器や携帯ゲーム機器に対応するべく高容量化が進んでおり、電池容量を増やす効果的な方法としては、セパレータを従来よりも薄いものに代えることにより、活物質の量を増加させる方法がある。しかしながら、薄いセパレータは強度が弱く、電池が外部から受ける圧力によって、破損しやすくなるので正電極と負電極とが接触して内部ショートする確率が高い。
特に、電解質がゲル状または可塑性のリチウムイオン二次電池は、電極と電解質とが必ずしも密着しないことがあるため、液状電解質を用いた電池よりも電気的接触が不十分である。したがって、電極と電解質の抵触抵抗が大きくなって、電池の内部抵抗が大きくなるために、損失電力が大きくなる。また、電解質と電極とが充分な接触面積を持たないと、イオン移動度が十分でないため、本来得られるとされる電池容量よりも低くなってしまう。
電解質がゲル状または可塑性のリチウムイオン二次電池は、製造工程中に、電極素子に圧力を加えることによって、電極と電解質とを十分に密着させ、上述した問題を回避している。
しかしながら、電極素子に加えられた圧力のために、ゲル状または可塑性の電解質が変形して一の電極が他の電極に接触することに起因する内部ショートや、タブのバリや反りが原因の突起に起因した内部ショートが発生しやすくなるという問題がある。
このような内部ショートの発生を防止する方法としては、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、少なくとも一方のリード電極と一方の電極側の活物質の塗り始めと塗り終わり、そして、片方の電極の端部が接触するもう一方の電極側に絶縁性の保護テープを貼り付けることで、内部ショートの発生を防止する方法がある。
特開2001−266946号公報
上述したように、電解質がゲル状または可塑性のリチウムイオン二次電池は、電極と電解質を電気的に十分に接触させるために、製造工程中で電極素子に圧力を加えている。したがって、製造工程時の圧力のために、ゲル状電解質が変形し一方の電極が他方の電極に接触することに起因した内部ショートや、タブのバリや反りの突起に起因した内部ショートが発生しやすくなってしまう。
また、厚さが7μm以下のセパレータでは、従来のセパレータよりも膜の強度が弱いため、内部ショートは、さらに発生しやすくなってしまう。
さらに、また、従来のセパレータは、厚さが7μmを超えるものであったので、十分なリチウムイオンの移動度を保つためには、空孔率が30%を超えるようにする必要がある。
さらに、また、7μmよりも厚いセパレータでは、従来の電池に比べて、電池容量の増加率が1%以下である。
さらに、また、1μm未満であると、膜の強度が弱すぎて取り扱いが困難となり、組立工程における不良発生率は、高くなる。
さらに、また、従来のセパレータは、空孔率が大きく、製造後に、加熱時の熱収縮率が大きくなってしまうので、高温での信頼性が悪化してしまう。
したがって、この発明の目的は、空孔率が20%〜30%で膜厚が1μm〜7μmの薄型セパレータと絶縁性を備えた被覆材で電極の所定部位を覆うこととを組み合わせることで、高容量でありながら、かつ内部ショート発生率が低く、高温での信頼性が高い、非水電解質二次電池を提供することにある。
上述した課題を解決するために、この発明の態様は、
少なくともセパレータと、ゲル状または可塑性である電解質層と、正極と、負極とが積層された構造を有する非水電解質二次電池であって、
セパレータの厚さが1μm〜7μmかつ空孔率が20%〜30%であり、
少なくとも一方の電極活物質の塗り始めと塗り終わりの部分と片方の電極の端部が接触する他方の電極側とを絶縁性を備えた被覆材で覆うことを特徴とする非水電解質二次電池である。
この発明によれば、厚さが1μm〜7μmのセパレータの空孔率を30%以下にすることで膜の強度が保たれ、電池の組立て工程における不良発生率を減少できる。
また、厚さが1μm〜7μmのセパレータに、特定の位置に保護テープを貼着することで、内部ショートの発生率を抑えながら、電気容量を増大できる。
さらに、また、厚さが1μm〜7μmのセパレータを用いた電池は、セパレータの空孔率を20%〜30%にすることで、良好なサイクル特性を持つことができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態である電解質がゲル状または可塑性のリチウムイオン二次電池の構成を表した模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池は、偏平形電池である。図1に示すように、このリチウムイオン二次電池は、積層構造10を有している。積層構造10は、集電体の両面に正極合剤層が積層される帯状の正極1と集電体の両面に負極合剤層が積層される帯状の負極5とが、セパレータ3を介して多数回巻回されて形成される。正極1の端部には、正極リード6が接合され、負極の端部には、負極リード7が接合される。
参照符号8a〜8eは、絶縁性を備えた被覆材(以下、適宜保護テープと称する)である。正極1の端部に接合された正極リード6を被覆する保護テープ8aが貼着され、対向する部分の負極5を覆うように保護テープ8b、保護テープ8fが貼着される。また、負極5の端部の高分子電解質層4から露出する部分を被覆する保護テープ8cが貼着され、対向する部分の正極1を覆うように保護テープ8d、保護テープ8eが貼着される。
保護テープを上述した位置に貼着することによって、電池の内部ショートの発生は、大幅に低減される。
<セパレータ3>
セパレータ3は、例えば、ポリエチレンを好適に使用できるが、これに限定されるものではない。この発明の一実施形態においては、例えば、厚さ1μm〜7μmの極めて薄いものが使用される。
セパレータ3の厚さを1μm〜7μmとすることにより、活物質の量は増加し、容量を増大できる。容量の増加は、セパレータ3の厚さが7μmを超えると微少となる。セパレータ3の厚さが7μmを超えると、従来の電池と比較して、容量の増加率は1%以下である。
また、セパレータ3の厚さが1μm以下であると、膜の強度は、過度に弱くなるので、取り扱いが難しくなり、組み立て工程における不良率は、増加するおそれがある。
さらに、また、セパレータ3は、空孔率が20%〜30%であることが好ましい。7μm以下の厚さのセパレータ3の空孔率を30%より大きくすると、膜の強度は、さらに弱くなり、内部ショート発生率と不良発生率は、ともに高くなってしまう。また、空孔率が大きいと、製造後における、加熱時の熱収縮率が大きくなってしまうので、高温での信頼性が悪化してしまう。
<保護テープ>
保護テープは、絶縁性があり、かつ薄く、そのうえ十分な強度を有するものが使用される。例えば、保護テープは、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のものが好適に使用される。
<正極1>
正極1は、帯状の正極集電体と、この正極集電体の両面に形成された正極合剤層とから構成される。正極集電体は、例えばアルミニウム(Al)などからなる金属箔である。正極合剤層は、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤(バインダー)から構成される。
正極活物質としては、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な遷移金属酸化物等、公知の正極材料を用いることができる。また、電池の種類に応じて、金属酸化物、金属硫化物または特定のポリマーを用いることができる。
具体的には、正極活物質は、例えば、TiS2、MoS2、NbSe2、V25等のリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物を使用できる。また、LixMO2(式中、Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10である)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。リチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co、Ni、Mnなどが好ましい。リチウム複合酸化物の具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LixNiyCo1-y2(式中、x、y、は電池の充放電状態によって異なり、通常0<x≦1.2、0.7<y<1.02である)、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物等を挙げることができる。リチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度的に優れた正極活物質である。なお、正極1には、これらの正極活物質の複数種を混合して使用することもできる。
結着剤は、通常この種の電池に使用されている公知の結着剤を使用できる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂を挙げることができる。
また、正極合剤層には、必要に応じて導電剤を含有するようにしてもよい。導電剤は、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、グラファイト、カーボンブラック等の炭素粉末を使用できる。
正極合剤層の形成方法としては、例えば、粉体状の正極活物質を結着剤(バインダー)とともに溶剤と混合し、必要に応じてボールミル、サンドミル、二軸混練機等により分散塗料化した後、正極集電体上に塗布して乾燥する方法が好適に用いられる。用いられる溶剤の種類は、正極集電体に対して不活性であり、かつバインダーを溶解できる限り、特に限定されず、例えばN−メチル−2−ピロリドン等の一般に使用される無機、有機溶剤の何れも使用できる。
塗布装置は、特に限定されるものではないが、例えばスライドコーティングやエクストルージョン型のダイコーティング、リバースロール、グラビア、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビア、ロッドコーター、ブレードコーター等を挙げることができる。乾燥方法は特に制限されず、例えば放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機等を挙げることができる。
<負極5>
負極5は、帯状の負極集電体と、この負極集電体の両面に形成された負極合剤層とから構成される。負極集電体は、例えば銅(Cu)などからなる金属箔である。負極合剤層は、例えば負極活物質、導電剤および結着剤(バインダー)から構成される。
負極活物質には、対リチウム金属2.0V以下の電位で電気化学的にリチウムをドープ脱ドープする材料であればいずれも使用することができる。
例えば、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等の炭素質材料を使用できる。
また、リチウムと合金を形成可能な金属およびその合金や金属間化合物も使用できる。酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化スズ等の比較的電位が卑な電位でリチウムをドープ脱ドープする酸化物やその他窒化物なども同様に使用できる。
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンなどを用いることができる。
導電剤としては、例えばグラファイト、カーボンブラック等の炭素粉末を用いることができる。
上述の負極5、正極1の作製方法は、問わない。材料に公知の結着剤、導電性材料等を添加し溶剤を加えて塗布する方法、材料に公知の結着剤等を添加し加熱して塗布する方法、材料単独あるいは導電性材料さらには結着材と混合して成型等の処理を施して成型体電極を作成する方法がとられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、結着材、有機溶剤等と混合されスラリー状にされた後、集電体上に塗布、乾燥して電極を製造できる。または、結着材の有無にかかわらず、活物質に熱を加えたまま加圧成型することにより強度を有した電極を作成することも可能である。
<電解質>
電解質としては、電解質塩を含有させた固体電解質、有機高分子に非水溶媒と電解質塩を含浸させたゲル状電解質を好適に使用できる。
<固体電解質>
固体電解質としては、リチウムイオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、高分子固体電解質いずれも使用できる。無機固体電解質として、窒化リチウム、ヨウ化リチウムが挙げられる。高分子固体電解質は、電解質塩とそれを溶解する高分子化合物からなる。高分子化合物は、ポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)エステル系、アクリレート系などを単独あるいは分子中に共重合し又は混合して使用できる
<ゲル状電解質>
ゲル状電解質のマトリックスとしては、非水電解液を吸収してゲル化するものであれば種々の高分子を利用できる。例えば、ポリ(ビニリデンフルオライド)やポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)などのフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、また、ポリ(アクリロニトリル)等を使用できる。ゲル状電解質は、特に酸化還元安定性から、フッ素系高分子を用いることが望ましい。電解質塩を含有させることによりイオン導電性を付与する。
また、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液を使用することも可能である。非水電解液は、適宜、有機溶媒と電解質とを組み合わせて調製される。有機溶媒は、この種の電池に使用されるものであれば、いずれも適用できる。例示するならば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられる。
電解質中で使用される、電解質塩は、この種の電池に用いられるものであれば、いずれも使用可能である。例示するならば、LiClO4、LiAsF6,LiPF6、LiBF4、LiB(C654、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiCl、LiBr等を挙げることができる。
<作製方法>
図1に示すように、この発明の一実施形態である電解質がゲル状または可塑性のリチウムイオン二次電池は、いわゆる偏平形といわれるものであり、電池の作製方法としては、例えば、正負極間にセパレータ3を介して巻芯の周囲に巻回する作製方法がある。
具体的には、例えば、まず、正極1と、高分子固体電解質層2、4と、セパレータ3と、負極5とを積層し、正極1には正極リード6を接合し、負極側には負極リード7を接合して、積層構造10を形成し、積層構造10を巻回する前に、絶縁性を備えた被覆材を所定の位置に貼着した後、積層構造10を渦巻き状に巻回しこれを押圧して、偏平な形状となし、これを図示しない外装材に収容することにより、この発明の一実施形態である、電解質がゲル状または可塑性のリチウムイオン二次電池は、作製される。
また、作製方法は、巻回方式に限定されるものではない。例えば、電極とセパレータ3を順次積層する積層方式等が挙げられる。さらに、また、正極1を交互に折り畳んだ折畳型などを挙げることができる。
この発明の効果を確認するために実施例と試験例を作製して、以下に述べる調査を行った。なお、この発明は、以下に述べる実施例のみに限定されるものではない。
<内部ショート発生率調査1>
内部ショート発生率を比較するため、上述した製造方法により、セパレータの厚さおよび保護テープの貼着位置を変えて、厚さ90μmのリード電極を有するリチウムイオンポリマー二次電池を各々1000個作製した。
具体的には、以下に述べるようにリチウムイオンポリマー二次電池を作製した。
まず、正極1と、電解質層2、4と、セパレータ3と、負極5とを積層し、正極1には正極リード6を接合し、負極側には負極リード7を接合して、積層構造10を形成した。
次に、積層構造10を渦巻き状に巻回する前に、正極1または負極5の所定の位置に保護テープを貼着した。ここで、保護テープがない場合を保護テープなしと称する。各電極の端部のみに保護テープ8a、8cを貼着したものをパターン1と称する。一方の電極の端部に対向する他方の電極上の位置にのみに保護テープ8b、8d、8e、8fを貼着したものをパターン2と称する。各電極の端部および一方の電極の端部に対向する他方の電極上の位置に保護テープ8a、8b、8c、8d、8e、8fを貼着したものをパターン3と称する。(以下、同様)保護テープ貼着後、外装材に収納し、真空包装した。このようにして、リチウムイオンポリマー二次電池を各々1000個作製した。
内部ショート発生率調査1においては、セパレータの厚さを3μmまたは9μmとし、保護テープなし、パターン1、パターン2、パターン3のリチウムポリマー二次電池を各々1000個作製した。なお、保護テープは、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のものを使用した。
そして、作製した電池の内部ショート発生率(%)を調査し、調査した内部ショート発生率を表1にまとめた。
下記の表1は、厚さ90μmのリード電極使用時の内部ショート発生率を表したものである。ここで、セパレータの厚さ3μmかつパターン1、パターン2またはパターン3が実施例であり、他は、試験例である。
Figure 2006147276
表1に示すように、セパレータ3の厚さが3μmの場合は、セパレータ3の厚さが9μmの場合に比べ、内部ショート発生率が高いことが確認できた。
これは、内部ショートの発生は、偏平巻回体の端部において、切断端部にばりの発生している負極5及び正極1を用いて形成した楕円形状の巻回電極体を押しつぶすと、ばりによって隣接するセパレータ3を破損させて、負極5及び正極1同士が短絡することに起因するものであり、セパレータ3は、厚い方が内部ショートの発生を抑えることができるからである。
また、3μmの厚さを有するセパレータ3において、保護テープなしの場合は、1000個中ほとんど全てが内部ショートし、内部ショート発生率は91%であった。
さらに、また、3μmの厚さを有するセパレータ3において、パターン1、パターン2、パターン3と貼着される保護テープが増加するにつれて、内部ショート発生率が低減されることがわかった。なお、この効果は、9μmの厚さを有するセパレータ3においても確認できた。
<内部ショート発生率調査2>
内部ショート発生率調査2においては、厚さ50μmのリード電極を使用した以外は、同様に、リチウムイオンポリマー二次電池を各々1000個作製し、内部ショート発生率を調査し、同様に調査した内部ショート発生率を表2にまとめた。
下記の表2は、厚さ50μmのリード電極使用時の内部ショート発生率を表したものである。ここで、セパレータ厚さ3μm、かつパターン1、パターン2またはパターン3の非水電解質二次電池が実施例であり、その他は、試験例である。
Figure 2006147276
表2に示すように、厚さ50μmのリード電極としても、同様に、保護テープが増加するにつれて、内部ショート発生率が低減されることがわかった。また、セパレータ3は、厚い方が内部ショートの発生を抑えられることが確認できた。
<評価>
また、この発明の実施例において、リード電極の厚さによる内部ショート発生率を比較するため、セパレータ厚さ3μmの内部ショート発生率調査の結果を50μmのリード電極と90μmのリード電極ごとにまとめた表3を作成した。
下記の表3は、内部ショート発生率を表したものである。ここで、リード厚さ50μmまたはリード厚さ90μmかつパターン1、パターン2またはパターン3が実施例であり、他は試験例である。
Figure 2006147276
表3に示すように、明らかに、リードの厚さの薄い方が内部ショート発生率は、減少していることがわかった。また、保護テープなしの場合は、90μmで内部ショート発生率は91%、50μmで内部ショート発生率は、52%と約半分に低減されていることが確認できた。
以上より、リード電極の厚さは、薄い方がセパレータ3は破損されにくく、リード電極の厚さが薄い方が内部ショート発生率を低減できることがわかった。
また、さらに検討したところ、リード電極の厚さは、80μmを超えるとカットバリや反りによる突起が大きくなり、セパレータ3を破損しやすくなるため、内部ショート発生率は、急激に上昇する傾向がみられることがわかった。したがって、リード電極の厚さは、80μm以下であることが特に好ましいことが確認できた。
<空孔率>
次に、セパレータ3の空孔率を規定して、以下に述べる調査を行った。
フィルム(セパレータ3)の空孔率は、重量法により測定した。具体的には、空孔率は、フィルムの幅方向10箇所を直径2cmの円形に打ち抜き、打ち抜いたフィルムの中心部の厚さと重量を測定し、下記の式(1)により求めた。
空孔率(%)=(ρV−W)/(ρV)×100・・・(1)
(V:フィルムの体積(10枚分)、W重量(10枚分)、ρ:材料の密度)
また、空孔率(%)に対応した透気度(sec.)を下記の表4に示す。
Figure 2006147276
<不良発生率調査>
リード電極の厚さは一定として、セパレータ3の厚さを0.7μm、1μm、7μm、9μmと変えて、かつ空孔率を15%、20%、30%、35%と変えたリチウムイオンポリマー二次電池を各々1000個作製して、組立工程での不良発生率(%)を調査した。そして、調査結果をまとめた表5を作成した。
下記の表5は、セパレータ3での不良発生率を表したものである。ここで、セパレータ厚さ1μmまたは7μmかつ空孔率20%または30%が実施例であり、その他は試験例である。
Figure 2006147276
表5に示すように、セパレータ厚さが0.7μmの場合においては、不良発生率が約70%〜99%である。検討の結果、不良発生率は、セパレータ厚さが1μmよりも薄いと不良発生率は、急激に増大することがわかった。
<内部ショート発生率調査>
次に、リード電極の厚さは一定(50μm)として、セパレータ3の厚さを0.7μm、1μm、7μm、9μmと変え、空孔率を15%、20%、30%、35%と変え、かつ保護テープなし、パターン1、パターン2、パターン3としたリチウムイオンポリマー二次電池を各々1000個作製し、内部ショート発生率(%)を調査した。そして、調査結果をまとめた表6を作成した。
下記の表6は、内部ショート発生率を表したものである。ここで、セパレータの厚さが1μmまたは7μmかつ20%または30%かつパターン1、パターン2またはパターン3が実施例であり、他は試験例である。
Figure 2006147276
表6に示すように、厚さが0.7μmセパレータ3は、組み立て工程での不良発生率が高いため、電池を作製することが困難であり、内部ショート発生率は測定不能であった。
保護テープが全ての箇所に貼着されていない電池では、内部ショート発生率が高く、また、空孔率が大きくなるとともに、内部ショート発生率も僅かに上がった。
厚さが1μm以上のセパレータ3については、空孔率が30%以下のセパレータ3を使用することで、内部ショートは、ほとんど発生しなくなった。
<サイクル特性調査>
次に、空孔率を15%、20%、30%または35%、かつセパレータ3の厚さを1μm、7μmまたは9μmとした、パターン3のリチウムイオンポリマー二次電池を各々1000個作製し、サイクル特性を調査した。そして、調査結果をまとめた表7を作成した。
下記の表7は、100サイクル後の相対的な電池容量を表したものである。ここで、表7においては、厚さ9μm、空孔率35%のセパレータ3を有する電池の容量を100とした、相対的な電池容量を示す。また、ここで、厚さ1μmまたは厚さ7μmかつ20%〜30%が実施例であり、他は試験例である。
Figure 2006147276
表7に示すように、9μmのセパレータ3を有する電池は、空孔率が下がるにつれて、サイクル特性も劣化していた。
また、セパレータの厚さが1μm〜7μmのものを使った電池において、空孔率が20%未満では、相対的な電池容量は、ほぼ100であり、サイクル特性は、厚さ9μm空孔率35%のセパレータを使用した電池と比較して、変化は、見られなかった
しかしながら、セパレータの厚さが1μm〜7μmのものを使った電池において、空孔率が20%以上では、厚さ9μm空孔率35%のセパレータを使用した電池と比較して、容量は、10%以上向上されることが確認できた。
さらに、また、ここで、セパレータの厚さが1μm〜7μmのものを使った電池において、空孔率が20%以上で、容量は、10%以上向上されたことが確認できたが、上述したように、空孔率が大きいと内部ショート発生率があがってしまうため、膜の強度を好適に保持するためには、空孔率が30%を超えるのは不適であることがわかった。
以上より、厚さが1μm〜7μmのセパレータ3は、空孔率を20%〜30%とすることで良好なサイクル特性を有し、膜の強度が保たれ、かつ電池の組立て工程における不良発生率は、減少することがわかった。
また、厚さが0.7μmのセパレータ3は、空孔率に拘わらず、組立て工程における不良発生率は、高くなることがわかった。
さらに、また、厚さが1μm〜7μmのセパレータ3は、特定の位置に保護テープで内部ショートの発生率を低減できることがわかった。
さらに、また、厚さが1μm〜7μmのセパレータ3を用いた電池は、セパレータ3の空孔率を20%〜30%とすることで、良好なサイクル特性を有することがわかった。
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、用いるセパレータの空孔率に代わり透気度で規定することも可能である。
電解質がゲル状または可塑性のリチウムイオン二次電池の構成を表した模式図である。
符号の説明
1・・・正極
2・・・高分子固体電解質層(正極側)
3・・・セパレータ
4・・・高分子固体電解質層(負極側)
5・・・負極
6・・・正極リード(正極側のリード電極)
7・・・負極リード(負極側のリード電極)
8・・・保護テープ
10・・・積層構造

Claims (5)

  1. 少なくともセパレータと、ゲル状または可塑性である電解質層と、正極と、負極とが積層された構造を有する非水電解質二次電池であって、
    上記セパレータの厚さが1μm〜7μmかつ空孔率が20%〜30%であり、
    少なくとも一方の電極活物質の塗り始めと塗り終わりの部分と片方の電極の端部が接触する他方の電極側とを絶縁性を備えた被覆材で覆うことを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 請求項1において、
    さらに、少なくとも一方のリード電極が絶縁性を備えた被覆材で覆われたことを特徴とする非水電解質二次電池。
  3. 請求項1において、
    上記絶縁性を備えた被覆材は、ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする非水電解質二次電池。
  4. 請求項1において、
    上記電解質層は、ゲル状、可塑性または液性であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  5. 請求項2において、
    上記リード電極の厚さが80μm以上であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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