JP2006144590A - 真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 真空ポンプのケーシングを、上流部を構成する上側ケーシング21aと下流部を構成する下側ケーシング21bとを一体化した構成とし、上側ケーシング21aをガスの昇華温度以上に加熱するヒータを設ける。上側ケーシング21aと下側ケーシング21bとの間に断熱部材HIを介装する。下側ケーシング21b内に、ガス流路に連通してトラップ部27となる空間部を形成し、このトラップ部27内に、ガスの昇華温度以下に冷却されるトラップ部材Tを、その上端がトラップ部27の上端(すなわち放熱板41の上端面)近傍に位置するようにして設ける。
【選択図】 図3
Description
特許文献1に記載のポンプ装置は、吸気口と排気口とが形成されたケーシングと、ケーシング内に設けられた複数の気体移送手段とを有している。
特許文献2に記載の真空ポンプは、吸気口と排気口とを有するケーシングと、ケーシング内に設けられた吸気口と排気口とを有するケーシングと、ケーシング内に設けられたポンプ機構とを有している。
上記気体移送手段及びポンプ機構は、ロータとステータとを有しており、ロータを例えば90,000rpm(1,500回転/秒)といった高速で回転させることで、ロータとステータとの間でガスを圧縮する構成とされている。
このような冷却を行うと、特に昇華温度の高いガスの場合には上述したガスの固化物が堆積しやすくなるので、冷却によるアルミニウム合金製の動翼保護と、加熱による固化物の堆積防止という、相反する課題を解決することが必要となってくる。
すなわち、本発明にかかる真空ポンプは、ガスの吸気口と排気口とを有するケーシング内に、動翼を備えた回転体と静翼を備えた静止体とを具備してなるポンプ機構が配設され、前記吸気口から吸引したガスを前記排気口から排出するように構成された真空ポンプであって、前記ケーシングが、前記ポンプ機構を構成する上流部と、前記ポンプ機構よりも下流側を構成する下流部とに分割されており、前記上流部と前記下流部との間には、断熱部が介装されており、前記上流部には、該上流部及び前記静止体を加熱するヒータが設けられ、前記下流部には、前記ポンプ機構の出口近傍に、前記ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部材が設けられていることを特徴とする。
上流部と下流部との間には、断熱材が介装されていて、上流部と下流部との間での熱伝導が遮断されているので、ヒータによって上流部を加熱しつつ、下流部側の部材を熱から保護することができる。そして、このように上流部の熱が下流部に逃げないので、ヒータによる上流部の加熱効率が高く、上流部でのガスの固化を効果的に防止することができる。
上記構成の真空ポンプでは、断熱部の内周部、または断熱部の内周部と下流部上端の内周部とがカバーによって覆われているので、これらの部位にはガスの固化が生じない。さらに、このカバー自体もヒータによって加熱されていて、ガスの固化が防止されている。
このため、この真空ポンプでは、下流部側から上流部に向けて固化物が成長しにくく、メンテナンスを行う間隔をより長くすることができる。
一方で、トラップ部材はガス流路の主流路に近接させて設けられているので、トラップ部材によってガスが効果的に固化させられてトラップされることとなり、下流部側でのガスの固化が生じにくい。
一方で、トラップ部材はガス流路の主流路に近接させて設けられているので、トラップ部材によってガスが効果的に固化させられてトラップされることとなり、下流部側でのガスの固化が生じにくい。
一方で、トラップ部材はガス流路の内壁面に近接させて設けられているので、トラップ部材によってガスが効果的に固化させられることとなり、下流部側でのガスの固化が生じにくい。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
図1は、本発明による真空ポンプの構成例を示す略図であり、以下この図に基づいて本発明の技術思想を説明する。この真空ポンプ20はターボ分子ポンプとも呼ばれる形式のもので、例えば半導体製造に用いられるエッチング装置(図示せず)などに、ロータリポンプ等の補助ポンプとともに排気系の一部として装備され、チャンバ内の排気に利用される装置である。このような排気には、例えばエッチング後のガスには、InI3のようなエッチングされた物質のガス成分が含まれている。
以下では、このようなガス成分を含めた真空ポンプの取り扱い流体をガスと呼ぶことにする。
一般的にロータと呼ばれている回転体31は、図示省略の回転軸と、この回転軸に固定された一または複数段の動翼32と、該動翼32の下流側に設けられたねじ溝部33とを備えている。この回転体31は、図示省略のスラスト磁気軸受及びラジアル磁気軸受を用いて回転軸の適所が回転可能に支持され、同じく図示省略のロータ駆動用モータによって高速で回転するようになっている。すなわち、図示の真空ポンプ20は、回転体31が動翼32及び後述する静翼による圧縮を行う軸流段と、ねじ溝部33により圧縮を行うねじ溝段とを備えた二段圧縮の構成となっている。
なお、図示の例では動翼32を3段設けてあるが、これに限定されるものではない。
このような構成の真空ポンプ20とすれば、断熱部材HIによって上流部と下流部との間での熱伝導が遮断されているので、ヒータHtによって上流部及び静止体24を加熱して、上流部側でのガスの固化を防止しつつ、下流部側の部材を熱から保護することができる。そして、このように上流部の熱が下流部に逃げないので、ヒータHtによる上流部の加熱効率が高く、上流部でのガスの固化を効果的に防止することができる。
すなわち、圧力が高いガス流路の下流側ではガスの昇華温度も高くなるため、真空ポンプ20のポンプ機構30において、実質的にガスが大きな圧力上昇をして昇華温度も高くなるため固化物が堆積しやすい領域であるねじ溝段の上流側から積極的に固化物をトラップし、トラップ部27の下流側における固化物の堆積によるトラブルを未然に防止または抑制している。
また、トラップ部材Tは、ガス流路に向く側の表面積をできるだけ大きくとることが好ましい。これは、大きな表面積を確保することにより、ガスとの接触面積が大きくなり、より効果的にガスを固化させて下流側でのガスの固化を一層生じにくくすることができるためである。
図中の符号21はケーシングであり、ケーシング21は、上流部を構成する上側ケーシング21aと下流部を構成する下側ケーシング21bとを一体化した構成となっている。このケーシング21には吸気口22及び排気口23が設けられ、吸気口22を設けた上側ケーシング21a側の内部には静翼25が固定して設けられている。これら静翼25は、それぞれスペーサ28によってその位置が固定されている。本実施形態では、上側ケーシング21aはステンレス鋼、下側ケーシング21bはアルミニウム合金によって構成されており、スペーサ28は、アルミニウム合金によって構成されている。
また、上側ケーシング21aには、上側ケーシング21a及び静止体24をガスの昇華温度以上に加熱するヒータHtが設けられている。本実施の形態では、上側ケーシング21aの外周面にバンドヒータが巻付けられている。
本実施形態では、断熱部材HIは、図4に示すように、上側ケーシング21aを受ける上側断熱部材HI1と、下側ケーシング21bを受ける下側断熱部材HI2とによって構成されている。これら上側断熱部材HI1、下側断熱部材HI2は、ステンレス鋼によって構成されている。
断熱部材本体Bの下端には、複数箇所に脚部Fが設けられており、断熱部材本体Bと下側断熱部材HI2とが脚部Fの底面でのみ接触するようになっている。本実施形態では、脚部Fは、断熱部材本体Bの軸心回りに略等角度おきに三つ設置されている。
これにより、断熱部材本体Bと下側断熱部材HI2との接触面積(伝熱面積)が低減されているので、上側ケーシング21aと下側ケーシング21bとの間での断熱部材HIの断熱性能は、その材質がもつ断熱性能以上に高められている。
回転体31の回転軸34は、下側ケーシング21bに固定されたステータ26の内周面に取り付けられている上部軸受としての磁気軸受29aと、下部軸受としての磁気軸受29bと、軸方向軸受としての磁気軸受29cとにより支持されて高速回転可能となっている。なお、図中の符号Mは、ステータ26の内周面と回転軸34との間に設けられているロータ駆動用モータである。
この放熱板41は、回転体31のねじ溝部33とケーシング21との間に配置され、底面部42を備えた略円筒状の部材である。放熱板41は、底面部42が加熱部40と連結され、熱伝導により加熱されている。なお、放熱板41とねじ溝部33との間の隙間は、圧縮効率を得るため必要最小限に維持されている。ここで、加熱部40と下側ケーシング21bとの間には断熱部材HIが介装されており、加熱部40から下側ケーシング21bに直接熱伝導が生じないようになっている。
なお、図中の符号45は下側ケーシング21b内の適所を通る冷却水流路であり、動翼32の冷却と、トラップ部27内及び後述のトラップ部材Tをガスの昇華温度以下に冷却するものである。
このトラップ部材Tは、上端がトラップ部27の上端(すなわち放熱板41の上端面)近傍に位置させられている。
また、トラップ部材Tの上端には、図3に示すように、一または複数の角部T1が設けられており、上端の表面積が確保されている。本実施形態では、トラップ部材Tと略同軸となる円環状の角部T1を、ガスの流れに沿った方向、すなわち径方向に沿って複数配置している。
このとき、上側ケーシング21aは、ヒータHtによってガスの昇華温度以上に加熱されているので、軸流段では、加熱によるガスの固化防止対策が行われる。
また、上側ケーシング21aと下側ケーシング21bとの間には、断熱部材HIが介装されていて、上側ケーシング21aと下側ケーシング21bとの間での熱伝導が遮断されているので、ヒータHtによって上側ケーシング21aを加熱しつつ、下側ケーシング21b内の部材を熱から保護することができる。そして、このように上側ケーシング21aの熱が下側ケーシング21bに逃げないので、ヒータHtによる上側ケーシング21aの加熱効率が高く、上側ケーシング21a内でのガスの固化を効果的に防止することができる。
さらに、トラップ部材Tは、放熱板41の先端面に近接させられているので(すなわち主流路に近接させられているので)、トラップ部材Tによってガスが効果的に固化させられることとなり、下流部側でのガスの固化が生じにくい。
次に、本発明の第二実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態にかかる真空ポンプ60は、第一実施形態に示す真空ポンプ20において、上側ケーシング21aに、断熱部材HIの内周面及び下側ケーシング21bの上端内周面を覆う円筒状のカバー61を設けたことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態に示す真空ポンプ20と同一または同様の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
このため、この真空ポンプ60では、下流部側から上流部に向けて固化物が成長しにくく、メンテナンスを行う間隔をより長くすることができる。
例えば、上記各実施の形態では、真空ポンプ20を、回転体31が動翼32及び後述する静翼による圧縮を行う軸流段と、ねじ溝部33により圧縮を行うねじ溝段とを備えた二段圧縮の構成とした例を示したが、これに限られることなく、軸流段のみ有する一段圧縮の構成としてもよい。
21 ケーシング
21a 上側ケーシング(上流部)
21b 下側ケーシング(下流部)
22 吸気口
23 排気口
24 静止体
25 静翼
30 ポンプ機構
31 回転体
32 動翼
61 カバー
HI 断熱部材
Ht ヒータ
T トラップ部材
Claims (5)
- ガスの吸気口と排気口とを有するケーシング内に、動翼を備えた回転体と静翼を備えた静止体とを具備してなるポンプ機構が配設され、前記吸気口から吸引したガスを前記排気口から排出するように構成された真空ポンプであって、
前記ケーシングが、前記ポンプ機構を構成する上流部と、前記ポンプ機構よりも下流側を構成する下流部とに分割されており、
前記上流部と前記下流部との間には、断熱部が介装されており、
前記上流部には、該上流部及び前記静止体を加熱するヒータが設けられ、
前記下流部には、前記ポンプ機構の出口近傍に、前記ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部材が設けられていることを特徴とする真空ポンプ。 - 前記上流部に、前記断熱部の内周部、または前記断熱部の内周部と下流部上端の内周部とを覆うカバーが設けられていることを特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
- 前記トラップ部材が、前記吸気口から前記排気口に至る前記ケーシング内のガス流路の、主流路から外れた位置に、該主流路に近接させて設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の真空ポンプ。
- ガスの吸気口と排気口とを有するケーシング内に、動翼を備えた回転体と静翼を備えた静止体とを具備してなるポンプ機構が配設され、前記吸気口から吸引したガスを前記排気口から排出するように構成された真空ポンプであって、
前記ポンプ機構の出口近傍に、前記ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部材が設けられており、
該トラップ部材が、前記吸気口から前記排気口に至る前記ケーシング内のガス流路の、主流路から外れた位置に、該主流路に近接させて設けられていることを特徴とする真空ポンプ。 - ガスの吸気口と排気口とを有するケーシング内に、動翼を備えた回転体と静翼を備えた静止体とを具備してなるポンプ機構が配設され、前記吸気口から吸引したガスを前記排気口から排出するように構成された真空ポンプであって、
前記吸気口から前記排気口に至る前記ケーシング内のガス流路のうち、前記ポンプ機構の出口近傍に、前記ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部材が設けられており、
該トラップ部材は、前記ガス流路を構成する部材の内壁面よりも前記ガス流路から離間した位置に、前記内壁面に近接させて設けられていることを特徴とする真空ポンプ。
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JP4916655B2 (ja) | 2012-04-18 |
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