JP2004076708A - 真空ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム合金製等の動翼保護を目的とする冷却の影響を受けることなく、特にポンプ機構の損傷や破損を招く部分における固化物の堆積を防止するという課題の解決を目的とする。
【解決手段】ガスの吸気口22と排気口23とを有するケーシング21内に動翼32を備えた回転体31と静翼25を備えた静止体24とを具備してなるポンプ機構30が配設され、吸気口22から吸引したガスを排気口23から排出するように構成された真空ポンプに関するもので、吸気口22から排気口23に至るケーシング21内のガス流路に連通し、ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部27を設け、該トラップ部27内で積極的に固化させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば半導体製造装置等の真空排気ポンプとして用いられるターボ分子ポンプ等の真空ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造は、光学的処理や化学的処理などの様々な工程を経てなされるものである。光学的処理の代表的処理例としては、たとえばウェハ面への回路パターン焼き付けを行う露光処理が挙げられ、また化学的処理の代表的処理例としては、たとえばウェハ面に薄膜を形成する表面処理、エッチング処理、洗浄処理等が挙げられる。
前記表面処理においては、今や半導体製造において必須となった製造技術としてCVD(Chemical Vapor Deposition )技術がある。このCVDは、ウェハ等の基板上に対して原料ガスを供給し、この基板上でのガスの吸着及び化学反応を経て、該基板上に薄膜を形成する技術である。この技術は、半導体高集積化を実現させるためには欠くことのできないものとなっている。
【0003】
上述したCVDの中でも、減圧CVD及びプラズマCVD等は真空雰囲気で行われることから、真空排気装置が必要である。この真空排気装置では、大気圧からの多段階排気を可能とするロータリポンプ、ディフュージョンポンプ、ターボ分子ポンプなど、複数のポンプを適宜組み合わせた構成が一般的に採用されている。
【0004】
ここで、真空ポンプの一種であるターボ分子ポンプの一例を、図5の斜視図に示して簡単に説明する。
同図に示すように、ターボ分子ポンプPは、分割ケーシング1a,1bからなるケーシング1内に、各種部品を収めた構成となっている。一方の分割ケーシング1aには吸気口1cが形成され、また他方の分割ケーシング1bには排気口1dが形成されている。
【0005】
ケーシング1内部のロータ室2には、ポンプ機構を構成するロータとして、回転体4が配設されている。この回転体4は、ロータシャフト4aと、該ロータシャフト4aの一端部の周囲に放射状に配置固定された動翼5とを備えた構成となっている。
また、分割ケーシング1b側には、上述した回転体4と共にポンプ機構を構成する静止体の静翼3が固定されている。上述した回転体4は、たとえば90,000rpm(1,500回転/秒)といった高速で回転する部材であることから、一般的には軽量かつ応力強度の高いアルミニウム合金などがその素材として好適に用いられる。
【0006】
前記ロータシャフト4aの、前記一端側とは反対側の他端部には、スラスト磁気ディスク6が固定されている。このスラスト磁気ディスク6に対応して、その表面及び裏面を間に挟み込むようにスラスト磁気軸受8が配置されている。このスラスト磁気軸受8は、電力供給を受けた場合に、スラスト磁気ディスク6を保持することにより、回転体4の軸線方向位置を保持する磁気軸受である。
【0007】
また、ロータシャフト4aは、分割ケーシング1bの内部に固定された一対のラジアル磁気軸受7a,7bの内部に、保持されるようになっている。これらラジアル磁気軸受7a,7bは、電力供給を受けた場合に、ロータシャフト4aをその軸中心位置に保持する磁気軸受である。
さらに、ロータシャフト4aの両端に保護軸受としてボールベアリング9,10が設けられている。さらに、ロータシャフト4aは、ボールベアリング9,10間に位置して分割ケーシング1b内に固定されたロータ駆動用モータ11(モータ)の内部に挿通されており、このロータ駆動用モータ11によってその軸線回りに回転駆動されるようになっている。
【0008】
このような真空ポンプにおいては、真空ポンプ内部に形成されているガス通路の表面温度が吸引したガスの昇華温度よりも低い場合、ガスが固化してガス通路壁面等に付着することがある。そして、この固化物が回転体側の動翼と静止体側の静翼との間に形成される狭い隙間に付着して堆積すると、ポンプ性能が低下する原因になるのは勿論のこと、回転体が固化物と接触して構成部材を損傷させる原因にもなり、最悪の場合には動翼及び静翼等の破損に至ることがある。
このため、従来の真空ポンプにおいては、たとえば特開平10−205486号公報に開示されているように、ケーシングの外周を直接ヒータにより加熱して固化を防止したり、あるいは、特開平9−72293号公報に開示されているように、昇華温度が高い(圧力が高い)ガス流路の下流側を部分的に加熱することにより固化を防止することが行われている。
【0009】
図6は、加熱手段として放熱板を設けた従来の真空ポンプP’について、要部を拡大して示した図である。
この真空ポンプP’では、通過するガスを昇華温度以上に維持して固化を防止するため、ケーシング1と動翼5を取り付けた回転体4との間に放熱板12を設置して加熱するように構成されている。この場合の真空ポンプP’は、軸流段及びねじ溝段よりなる二段圧縮型であり、下流側で圧縮を行うねじ溝部13の周囲に放熱板12が配設されている。なお、図中の符号14は熱伝導により動翼5を冷却するための冷却水流路であり、冷却水を循環させることにより動翼5の温度上昇を防止している。
【0010】
このような構成では、圧縮するガスの一部が分割ケーシング1bと放熱板12との間にたまたま形成された隙間の空間部容積Sに流入して固化することがあるので、この容積S内における固化物の堆積量が増加すると、上部で高速回転する動翼5等が接触してトラブル発生の原因となる。従って、空間部容積Sがかなり小さいこともあり、トラブル防止のためには頻繁な分解洗浄等のメンテナンスを行う必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した加熱による固化防止対策は、真空ポンプを構成する部品の許容温度以下に制限されるため、昇華温度の高いガスを扱うプロセスに使用される真空ポンプへの適用には限界があった。このため、特に昇華温度の高いガスを扱う場合には、固化物の蓄積によるトラブルを防止するため運転を停止して分解洗浄のメンテナンスを頻繁(たとえば1ヶ月毎)に行う必要があり、結果として生産性を低下させる要因となるため改善が望まれている。
【0012】
また、高速で回転する動翼には軽量化及び高強度化が求められるため、通常アルミニウム合金製のものが採用されている。しかし、アルミニウム合金は温度上昇に弱く、高温では強度やクリープ寿命の低下が問題となる。このため、電子部品の保護も含めて冷却が必要となり、ケーシング内に冷却水流路を設けて冷却水を循環させるなどして、所望の温度(たとえば40℃〜50℃程度)を維持することが行われている。
従って、このような冷却を行うと、特に昇華温度の高いガスの場合には上述したガスの固化物が堆積しやすくなるので、冷却によるアルミニウム合金製の動翼保護と、加熱による固化物の堆積防止という相反する課題を解決することが必要となってくる。
【0013】
また、真空ポンプの上流側にトラップを設けて固化物を除去することも考えられるが、このような対策は下記の理由により一般的にはユーザーに好まれていない。
(1)真空ポンプの上流側に固化物を堆積させると、この堆積物がダスト(パーティクル)発生源となり、プロセス側に悪影響を及ぼすおそれがある。
(2)堆積した固化物が流れの抵抗となり、排気効率を低下させる。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、アルミニウム合金製等の動翼保護を目的とする冷却の影響を受けることなく、特にポンプ機構の損傷や破損を招く部分における固化物の堆積を防止するという課題の解決を目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の真空ポンプは、ガスの吸気口と排気口とを有するケーシング内に動翼を備えた回転体と静翼を備えた静止体とを具備してなるポンプ機構が配設され、前記吸気口から吸引したガスを前記排気口から排出するように構成された真空ポンプであって、
前記吸気口から前記排気口に至るケーシング内のガス流路に連通し、前記ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
このような真空ポンプによれば、吸気口から排気口に至るケーシング内のガス流路に連通し、ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部を設けたので、このトラップ部でガスを積極的に固化させてトラップすることができる。
この場合、前記トラップ部の空間容積をできるだけ大きく設定することが好ましく、これにより、固化物の堆積量が増すのでメンテナンス間隔を長く延ばすことができる。
【0017】
請求項1記載の真空ポンプにおいては、前記回転体が軸流段とねじ溝段とを備え、前記トラップ部を前記軸流段と前記ねじ溝段との間のガス流路に連通させて設けることが好ましく、これにより、最も固化しやすい領域の前にトラップ部を設けて固化物をトラップすることができる。
【0018】
請求項1または2記載の真空ポンプにおいては、前記トラップ部が前記ガス流路の主流路を外れた位置に設けられていることが好ましく、これにより、実質的に圧縮機構から離れた位置にトラップ部が設けられることになるので、固化物が堆積しても動翼等ポンプ機構の破損がしにくくなる。
【0019】
請求項4記載の真空ポンプは、前記トラップ部が、固化物除去用の開閉手段を備えていることが好ましく、これにより、堆積した固化物を除去するメンテナンスが容易になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る真空ポンプの一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、真空ポンプは、大気圧以下の低圧の気体を圧縮して大気中に放出する装置のことである。
図1(a),(b)は、本発明による真空ポンプの構成例を示す略図であり、以下この図に基づいて本発明の技術思想を説明する。この真空ポンプ20はターボ分子ポンプとも呼ばれる形式のもので、たとえば半導体製造に用いられるCVD装置(図示せず)などに、ロータリポンプやディフュージョンポンプ等とともに排気系の一部として装備され、チャンバ内の排気に利用される装置である。このような排気には、たとえばエッチング後のガスには、AlCl のような固化物のガス成分が含まれている。
以下では、固化物のガス成分を含めた真空ポンプの取り扱い流体をガスと呼ぶことにする。
【0021】
さて、上述した真空ポンプ20は、ガスの吸気口22及び排気口23を備えたケーシング21内に、回転体31及び静止体24よりなるポンプ機構30を配設した構成となっている。
一般的にロータと呼ばれている回転体31は、図1(a)に示す構成例においては、図示省略の回転軸と、この回転軸に固定された一または複数段の動翼32と、該動翼32の下流側に設けられたねじ溝部33とを備えている。この回転体31は、図示省略のスラスト磁気軸受及びラジアル磁気軸受を用いて回転軸の適所が回転可能に支持され、同じく図示省略のロータ駆動用モータによって高速で回転するようになっている。すなわち、図示の真空ポンプ20は、回転体31が動翼32及び後述する静翼による圧縮を行う軸流段と、ねじ溝部33により圧縮を行うねじ溝段とを備えた二段圧縮の構成となっている。
なお、図示の例では動翼32を3段設けてあるが、これに限定されるものではない。
【0022】
一方の静止体24は、ケーシング21の内周側に一または複数段固定された静翼25と、上述した回転体31の回転軸を支持するようケーシング21に固定されたステータ26、及びこのステータ26内に設置された図示省略の各種軸受とを備えている。各静翼25は、回転軸の軸方向において、回転体31側に設けられている動翼32と交互に配置されている。
【0023】
この真空ポンプ20では、回転体31が高速で回転することにより、吸気口22から吸引したガスが軸流段において動翼32及び静翼25間を通過して圧縮され、さらに、ねじ溝段を通過して圧縮された後に排気口23から流出する。この結果、吸気口22が高真空になると共に、排気口23が低真空になる。
【0024】
さて、上述した構成の真空ポンプ20に対し、本発明では吸気口22から排気口23へ至るケーシング21内のガス流路(図中に矢印Gで示す)に連通するトラップ部27を設けてある。このトラップ部27は、吸引するガスの昇華温度よりも低い温度となるように設定した空間部であり、たとえばケーシング21の外周側へ突出させた空間部を形成し、外気温度による冷却で壁面等の内部温度を昇華温度以下に維持するものがある。あるいは、トラップ部27の周囲に冷却水の流路を設けて通水し、熱伝導により積極的に冷却するものであってもよい。
また、図1(a)に示したトラップ部27は、回転体31における軸流段とねじ溝段との間のガス流路に連通して設けられている。
【0025】
このような構成の真空ポンプ20とすれば、吸気口22から吸引したガスの一部がトラップ部27に流入して行き、同トラップ部27内において昇華温度以下に冷却される。従って、トラップ部27内ではガスが固化して堆積するようになるので、同トラップ部27は積極的にガスを固化させてトラップする機能を有している空間部分となる。
【0026】
また、このようなトラップ部27は、回転体31が軸流段及びねじ溝段を備えている場合、軸流段とねじ溝段との間のガス流路、すなわち、軸方向において動翼32とねじ溝部33との間に位置するガス流路に連通させて設けることが好ましい。これは、最も固化しやすい領域の前(上流側)にトラップ部27を設けることができるためである。
すなわち、圧力が高いガス流路の下流側ではガスの昇華温度も高くなるため、真空ポンプ20のポンプ機構30において、実質的にガスが大きな圧力上昇をして昇華温度も高くなるため固化物が堆積しやすい領域であるねじ溝段の上流側から積極的に固化物をトラップし、トラップ部27の下流側における固化物の堆積によるトラブルを未然に防止または抑制している。
さらに、ねじ溝段に近い動翼32の下流段付近は、冷却水等による動翼冷却の影響を受けて温度が低くなる傾向にあるため、この領域に近いトラップ部27で積極的にガスを固化させて固化物を堆積させれば、動翼32等の損傷や破損を防止または抑制することもできる。
【0027】
ところで、上述したトラップ部27は、その空間容積をできるだけ大きくとることが好ましい。これは、大きな空間容積を確保することにより、固化物の堆積許容量が増加してメンテナンス間隔を長くすることができるためである。すなわち、真空ポンプ20の連続運転時間が延びるので、これを用いたプロセスの運転停止間隔を延長して運転停止回数を低減することができるようになる。
【0028】
また、図1(b)は一段圧縮型の真空ポンプ20’であり、ポンプ機構30’の回転体31’にはねじ溝段が設けられておらず、軸流段のみで圧縮するように構成されている。
このように構成された真空ポンプ20’においては、軸方向に複数段配設された静翼32の間、好ましくは下流段となる静翼32の間から、矢印Gで示すガス流路と連通するようにして、トラップ部27となる空間部がケーシング21の外側に設けられている。
【0029】
このような構成としても、ガスが圧縮された高圧側で昇華温度も高い領域のガス流路に連通するよう設けられたトラップ部27において、積極的にガスを固化させて固化物を堆積させるようにしたので、固化物の堆積によるトラブルの発生を未然に防止または抑制することができる。また、動翼32の下流段付近は、冷却水等による動翼冷却の影響を受けて温度が低くなる傾向にあるため、この領域に近いトラップ部27で積極的にガスを固化させて固化物を堆積させれば、動翼32等の損傷や破損を防止することもできる。
なお、この場合においても、トラップ部27の空間容積はメンテナンス間隔を考慮してできるだけ大きく設定することが好ましい。
【0030】
図2は、本発明による真空ポンプの具体的な構成例を示す断面図であり、この真空ポンプには新たな符号20Aを付す。
図中の符号21はケーシングであり、上下の分割ケーシング21a,21bを一体化した構成となっている。このケーシング21には吸気口22及び排気口23が設けられ、吸気口22を設けた分割ケーシング21a側の内部には静翼25が固定して設けられている。この静翼25は、スペーサ28によってその位置が固定されている。
【0031】
上述したケーシング21及び静翼25を備えた静止側に対し、ケーシング21内には回転体31が高速回転可能に設置されている。この回転体31は、回転軸34と一体的に連結されたロータ部35に設けられた複数段の動翼32及びねじ溝部33を備えており、従って、軸流段及びねじ溝段よりなる二段圧縮構造となっている。回転体31側の動翼32は、上述した静翼25と回転軸34の軸方向において交互に配設されている。
回転体31の回転軸34は、分割ケーシング21bに固定されたステータ26の内周面に取り付けられている上部軸受としての磁気軸受29aと、下部軸受としての磁気軸受29bと、軸方向軸受としての磁気軸受29cとにより支持されて高速回転可能となっている。なお、図中の符号Mは、ステータ26の内周面と回転軸34との間に設けられているロータ駆動用モータである。
【0032】
この真空ポンプ20Aには、圧縮されたガスが昇華温度以下になるのを防止するため、加熱手段として加熱部40と連結された放熱板41が設けられている。
この放熱板41は、回転体31のねじ溝部33とケーシング21との間に配置され、底面部42を備えた略円筒状の部材である。放熱板41は、底面部42が加熱部40と連結され、熱伝達により加熱されている。なお、放熱板41とねじ溝部33との間の隙間は、圧縮効率を得るため必要最小限に維持されている。
【0033】
一方、放熱板41の外周面と分割ケーシング21bの内周面との間には、ガス流路に連通してトラップ部27Aとなる空間部を全周にわたって形成してある。このトラップ部27Aは、たとえば要部を拡大した図3に示すように、ケーシング21の外径を大きくすると共に、回転軸34の軸方向にも大きな寸法を設定することにより、その容積が大きく確保されている。すなわち、ポンプ機構30を変更することなしにケーシング21の径を大きくして、特にねじ溝部33及び放熱板41の外周部分となるケーシング21を拡径してトラップ部27Aの半径方向寸法Wを確保し、かつ、放熱板41と分割ケーシング21bとの係止位置を下方に下げて軸方向寸法Hを確保することで、結果として大きな空間容積のトラップ部27Aを形成している。
なお、図中の符号45は分割ケーシング21b内の適所を通る冷却水流路であり、動翼32の冷却及びトラップ部27A内をガスの昇華温度以下に冷却するものである。
【0034】
このような構成とすれば、吸気口22から吸引したガスは静翼25及び動翼32の間を通過して軸流段による圧縮を受けた後、ねじ溝部33と放熱板41との間を通過してねじ溝段による圧縮を受けるというガス流路の主流(図3に矢印Gで示す)を流れて排気口23から流出する。
この時、ねじ溝段を通過するガスは放熱板41の加熱により昇華温度以上に維持されるため、固化することなく排気口23から流出する。しかし、軸流段からねじ溝段へ導かれるガスの一部(図3に矢印gで示す)は、ガス流路に連通するトラップ部27Aへ流入して冷却されるので、このトラップ部27A内では、昇華温度以下に冷却されたガスが固化するようになる。従って、トラップ部27Aは、吸引したガスの固化物を積極的に生成して堆積させる機能を有している。なお、図3に示す符号の46はシール部であり、たとえばOリングやメタルタッチなどから適宜選択してトラップ部27Aの底面部側を閉鎖している。
【0035】
図2及び図3に示す構成のトラップ部27Aは、軸流段及びねじ溝段を通るガスの主流路から外れて離れた位置に、換言すれば放熱板41を介して圧縮を行うポンプ機構から離れた位置に設けられているので、固化物の堆積があっても高速回転する動翼等と離れているため、接触による破損がしにくくなる。特に、図6に示した従来構造の空間部容積Sが大幅に拡大されているので、固化物を堆積させる許容量も増加して長期間のメンテナンス間隔を確保することができる。
【0036】
次に、上述したトラップ部27Aの変形例を図4に示して説明する。この変形例では、トラップ部27Aに固化物除去用の開閉手段として、開口部に開閉蓋47を設けてある。
この開閉蓋47は、通常はシール手段としてOリング48等を介在させてトラップ部27Aを密閉しておき、必要時に開閉あるいは着脱して開口部を形成できるように取り付けられたものである。従って、開閉蓋47を開いて開口部を形成すれば、トラップ部27A内に堆積した固化物を容易に掻き出して除去できるようになるので、短時間の運転停止で固化物の除去が可能となり、真空ポンプを分解するメンテナンス回数を大幅に減らすことができる。
【0037】
さて、上述した構成のトラップ部27,27Aを備えた真空ポンプは、たとえば気相にアルミニウムが混合されていてAlCl 固化物が生成されるエッチング後のガスは勿論のこと、これよりも昇華温度の高い固化物であるInCl などのガス成分を含むガスの処理に特に効果を発揮する。すなわち、動翼32等アルミニウム合金製の回転体を冷却して保護するために加熱温度の上限が制限される場合であっても、換言すれば、昇華温度より高い温度まで加熱できない場合であっても、トラップ部27,27Aにおいて積極的に固化させてトラップするようにしたので、昇華温度の高い固化物のガス成分を含むガスでも処理することが可能になる。
【0038】
また、このようなトラップ部27,27Aは、いずれも真空ポンプのケーシング21内に設けられているので、真空ポンプの上流側(たとえばプロセスチャンバ側)へ固化物が逆流するようなことはなく、同固化物による上流側プロセスのコンタミネーションを防止することができる。
【0039】
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の真空ポンプによれば、以下の効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、吸気口から排気口に至るケーシング内のガス流路に連通し、ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部を設けたので、このトラップ部でガスを積極的に固化させてトラップすることができるようになる。この結果、特にトラップの下流側ではポンプ機構周辺及び構成部材に固化物が付着しにくくなるので、固化物によるトラブルの発生が生じないよう実施する分解洗浄等のメンテナンスの間隔を延ばすことができ、生産性の向上による経済効果は極めて高い。
従って、アルミニウム合金製等の動翼保護を目的とする冷却の影響を受けることなく固化物を積極的にトラップ部内に堆積させ、ポンプ機構の損傷や破損を招く部分における固化物の堆積を防止することができるようになり、結果的には昇華温度の高い固化物のガス成分を含むガスへの適用も可能になる。
この場合、トラップ部の空間容積を大きく設定することにより固化物の堆積量が増加するので、真空ポンプの小型化とメンテナンス間隔とを考慮して、最適値を定めればよい。
【0041】
また、回転体が軸流段とねじ溝段とを備えている二段圧縮型の真空ポンプにおいては、トラップ部を軸流段とねじ溝段との間のガス流路に連通させて設けることにより、最も固化しやすい領域の前にトラップ部を設けて固化物を効率よくトラップすることができる。
また、上述したトラップ部をガス流路の主流路からはずれた位置に設けることにより、実質的に圧縮機構から離れた位置にトラップ部が設けられることになるので、固化物が堆積しても動翼等ポンプ機構の破損がしにくくなる。
また、トラップ部に固化物除去用の開閉手段を設けておくことにより、分解洗浄を実施しなくても、あるいは、その実施回数を減らしても堆積した固化物を除去することが可能になるので、メンテナンス作業が容易になることによる経済効果も極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として真空ポンプの構成例を示した略図であり、(a)は二段圧縮型、(b)は一段圧縮型である。
【図2】本発明に係る二段圧縮型の真空ポンプについて、具体的な構成例を示した断面図である。
【図3】図2の要部拡大図断面図である。
【図4】図3の変形例を示す要部拡大断面図である。
【図5】従来の真空ポンプの構成例を示す部分断面斜視図である。
【図6】従来例を示す真空ポンプの要部断面図である。
【符号の説明】
20,20’,20A  真空ポンプ
21  ケーシング
22  吸気口
23  排気口
24  静止体
25  静翼
27,27A  トラップ部
30、30’  ポンプ機構
31、31’  回転体
32  動翼
33  ねじ溝部
41  放熱板
45  冷却水流路
47  開閉蓋(固化物除去用の開閉手段)

Claims (4)

  1. ガスの吸気口と排気口とを有するケーシング内に動翼を備えた回転体と静翼を備えた静止体とを具備してなるポンプ機構が配設され、前記吸気口から吸引したガスを前記排気口から排出するように構成された真空ポンプであって、
    前記吸気口から前記排気口に至るケーシング内のガス流路に連通し、前記ガスの昇華温度よりも低い温度となるトラップ部を設けたことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記回転体が軸流段とねじ溝段とを備え、前記トラップ部を前記軸流段と前記ねじ溝段との間のガス流路に連通させて設けたことを特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
  3. 前記トラップ部が前記ガス流路の主流路を外れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の真空ポンプ。
  4. 前記トラップ部が、固化物除去用の開閉手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の真空ポンプ。
JP2002242099A 2002-08-22 2002-08-22 真空ポンプ Expired - Fee Related JP4211320B2 (ja)

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