JP2006142539A - 記録媒体の被覆装置 - Google Patents

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宏典 枡谷
Nobuaki Nakaoka
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Abstract

【課題】 被覆層形成手段として、その加熱制御にあたり良好な表面温度制御を行うことが可能であり、さらに、表面温度がオーバーシュートしてしまう等の問題を発生することがない、制御性の良い被覆装置を得る。
【解決手段】 加圧・加熱を行うローラとして、ゴム表面層gを備えた中空筒状の金属ローラ部mと前記金属ローラ部mの内部に配設される加熱手段8gとからなるローラを採用し、前記ローラの表面であって、搬送対象体が当接して移動する搬送対象体当接部位70から外れた非搬送表面部位71の温度を、ローラの表面に接触する接触状態で検出する温度検出手段72を備え、検出される温度でローラ表面の温度を制御する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、写真プリント等の画像が記録された記録媒体の表面に被覆層を形成して保護するための記録媒体の被覆装置に関し、さらに詳細には、被覆シートに対して記録媒体を供給するための記録媒体供給手段と、この手段により供給される記録媒体と被覆シートとを挟んで加熱・加圧する被覆層形成手段とを備え、記録媒体の表面に前記被覆層形成手段により被覆層を形成する記録媒体の被覆装置に関する。
インクジェット記録方式や熱転写記録方式といった記録方式は、その記録装置(プリンタ)や記録媒体(記録紙等)に対して様々な改良が加えられてきた結果、銀塩カラ−写真に匹敵する画質が得られるようになり、近年、デジタルカメラで撮影した画像情報やスキャナ等で取り込んだ画像情報等をハードコピーする技術として多用されている。これらの記録方式の利用の拡大に伴い、これらの記録方式で記録された画像の耐水性や耐光性等の向上、或いは画像の記録面の美しさの向上が重要な課題となってきている。
そこで、記録媒体に記録された画像を保護し、品質を向上させる技術として、画像記録後の記録媒体の記録面にラミネート加工を施して保護する技術が知られている。このような技術の一例を以下に示す。すなわち、まず長尺の記録媒体(記録紙)を一定の速度で搬送するとともに、この記録媒体の記録面に対向させて、台紙上にラミネート材が剥離可能に形成された長尺のラミネートシートを供給搬送する。
圧着ローラ対により記録媒体とラミネートシートとを積層させた状態で加熱及び加圧することにより、記録媒体の記録面上に連続的にラミネート材を転写する。その後、ラミネートシートの台紙のみを剥離して記録媒体の記録面上にラミネート加工を施す。
ラミネート加工が施された記録媒体は、記録面に形成された画像の切れ目において順次カッターにより切断され、画像毎に分離された状態で排出される(例えば、特許文献1参照)。
この種のラミネート加工装置には、記録媒体と、被覆シートであるラミネート材を表面に備えたラミネートシートとを挟んで加熱・加圧して、記録媒体の表面に被覆層を形成する被覆層形成手段が備えられる。この被覆層形成手段は、例えば、対を成すローラから構成され、この種ローラの内部に、ヒータ等の加熱手段が配設され、ローラ表面を所定の温度域に設定するように構成される。
これら加熱処理における加熱温度の制御は、加熱体(ヒータ)の耐熱性絶縁体からなる放熱面被覆上に設置された感温素子により検出される温度によるものとされていた(特許文献1)。
特開昭58−224779号公報(第3頁)
上記のような温度検出形態を取ると、加熱手段側の表面温度を検出して制御するため、実際にラミネート操作に大きく影響する、ゴム表面の温度との間で差が生じ、適切な制御をすることができない。
さらに、当該先行技術のように、ゴム表面層の裏面に円筒状の加熱手段を設けるものの場合は、上記問題の影響は少ないが、例えば、金属ローラ部の表面にゴム表面層を設け、金属ローラ部の軸部位に、棒状ランプ等の棒状ヒータを加熱手段として設ける場合は、上記差が大きくなる。
そこで、例えば、ゴム表面の温度を検出することが考えられるが、非接触式の検出形態では、雰囲気の影響を受け正確な温度検出ができない。一方、ゴム表面であって、記録媒体が当接して移動する記録媒体当接部位では、ゴムの摩耗が起こる場合もあり、同じく、正確な温度検出の障害となる。
一方、ゴム厚が厚肉の場合、熱伝導が悪い分、ゴム表面が設定温度に達しても金属ローラ部分が設定温度以上に加熱されているので、温度がオーバーシュートする。さらに、厚肉の場合、設定温度で安定するまでに時間がかかる。
本発明の目的は、被覆層形成手段として、その加熱制御にあたり良好な表面温度制御を行うことが可能であり、さらに、表面温度が大きくオーバーシュートしてしまう等の問題を発生することがない、制御性の良い被覆装置を得ることにある。
上記目的を達成するための、
被覆シートに対して記録媒体を供給するための記録媒体供給手段と、
前記記録媒体と前記被覆シートとを挟んで加熱・加圧する被覆層形成手段とを備え、
前記記録媒体の表面に、前記被覆層形成手段により被覆層を形成する記録媒体の被覆装置の特徴構成は、
少なくとも前記被覆層形成手段が、弾性体表面層を備えた中空筒状の金属ローラ部と前記金属ローラ部の内部に配設される加熱手段とからなるローラを備え、
前記ローラの表面であって、搬送対象体が当接して移動する搬送対象体当接部位から外れた非搬送表面部位の温度を、前記ローラの表面に接触する接触状態で検出する温度検出手段を備えたことにある。
この構成にあっては、ローラ表面(弾性体表面層の表面)の温度を直接検出するため、加熱手段の温度を検出する構造に比べて、制御対象の温度を直接検出することとなり、オーバーシュート等の発生し難い的確な制御を行える。
さらに、ローラ表面の温度を接触状態で検出するため、雰囲気の影響を受けることなく正確な温度を検出することができる。
また、非搬送表面部位は、ラミネート操作の繰り返しをおこなっても、その表面が荒れる、減肉する等が発生することがないため、良好な接触状態での温度検出を実現できる。
さて、この種の温度検出手段が、熱電対と前記熱電対の出力を検出可能な検出機構を備えて構成され、前記熱電対の測温接点が前記ローラの表面に接触されることが好ましい。
比較的限られた位置に側温接点を配置して、良好にローラ表面温度を測定できる。さらに、この種のローラの温度域は、常温〜200℃程度であるが、汎用の熱電対で良好に適切な温度検出を行える。
さて、前記弾性体表面層としてのゴム表面層の厚みが1〜2mmの範囲内であり、ゴムの硬度がデユロメータ硬さ(Aタイプ)60〜80の範囲内にあることが好ましい。以降のゴム硬度の記載に際しては単にゴムの硬度と記載するものにあっても、デユロメータ硬さ(Aタイプ)をいう。
このようなゴム表面層の厚みとゴム硬度が適当な理由を以下の2の実験結果から説明する。
以下に示す表1は、両者の影響を、ローラの変形及び転写への影響(しわ等が発生する等)から検討したもの(試験1)であり、表2は、ローラ表面温度の制御性から検討したもの(試験2)である。
両試験で、使用したゴムはシリコンゴムであり、その加圧力を12kg/cmとした。
試験1 ローラの変形及び転写への影響
この試験にあっては、ゴム表面層の厚みを変化するとともに、ゴムの硬度を、変化させた。評価基準は以下の基準とした。
○:転写に影響しない。
△:ローラーが変形しているが、転写に影響しないため使用可能である。
×:ローラーの変形で転写に影響がでる。
Figure 2006142539
試験2 温度制御性
この試験にあっては、ゴム表面層の厚みを変化するとともに、ゴムの硬度を、変化させた。評価基準は以下の基準とした。
×:温度が安定しにくい。
△:安定するが時間がかかる。
○:問題なし。
Figure 2006142539
上記の結果から、ゴム厚が厚くなるほど、ゴム表面層の表面への熱伝導性が悪くなり、転写温度で重要なローラー表面温度が、安定しなくなる。さらに、この状態では、設定温度に達するまで金属ローラ部を高温にするため、ゴム表面温が設定温度に達してもオーバーシュートしてしまい安定するのに時間がかかる。よってゴム厚を1〜2mmと薄くすることで、ローラー表面温度と金属ローラ部との温度差を少なくでき、温度制御が安定する。
ここで、ゴム厚を1mm未満とすると、実質的にゴム表面層を設けていない状態と同じとなる。一方、ゴムの硬度を60より低くすると、ゴム表面層の変形の原因となり好ましくなく、80より高くすると、同じく、ゴム表面層を設けていない状態となり、好ましくない。
さて、前記のゴム表面層の材料としては、シリコンゴムとフッ素ゴムとのいずれかであることが好ましい。これらのゴム材は昇温環境下においても品質が安定しており、劣化がみられずゴム品質の確保が容易であり、また、安価且つ容易に入手可能であるためである。
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係るカバーを付けた状態の被覆装置の外観を示し、図2は同装置の内部構造を示す斜視図、図3は、本実施形態に係る被覆装置を幅方向中央付近で切断した断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る被覆装置においては、記録紙Aは、供給トレイ1とそれに連続する供給ガイド2に沿って装置本体内に供給され、この装置本体内では、図3における水平方向に設けられた搬送経路Lに沿って搬送されつつその表面に被覆層が形成され、後述する排出機構3により排出トレイ4に排出される。
この際、記録紙Aは画像が記録された記録面を上として搬送され、被覆装置はこの記録面に対して被覆層を形成する。よって、本実施形態においては、記録紙Aが、本発明における「記録媒体」を構成し、この供給トレイ1及び供給ガイド2が、本発明における「記録媒体供給手段」を構成する。
図3に示すように、被覆装置の装置本体内には、被覆シートBを搬送する被覆シート搬送機構6と、補助シートEを搬送する補助シート搬送機構7と、記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加圧する第1加圧機構8と、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの基材Cの搬送経路とを分岐させる第1分岐ガイド9と、被覆シートBの基材Cが分離されて被覆層Fが形成された後の記録紙Aと補助シートEとを両面から更に加圧する第2加圧機構10と、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させる第2分岐ガイド11と、補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出する排出機構3と、が設けられている。
これらの各構成は、本体フレーム12により一体的に支持されている。
以下、これらの構成について詳細に説明する。
本実施形態に係る被覆装置において用いられる被覆シートBは、図4に示すように、基材Cと、片側の面に剥離可能な転写層Dとを備えている。
この転写層Dは、記録紙Aの記録面に転写されて被覆層Fを形成する部分であり、基材C上に設けられ、記録紙Aの記録面を保護するための主要な役割を果たす保護層D1と、この保護層D1の外側に設けられ、保護層D1を記録紙Aの記録面に対して接着するための接着層D2とを有して構成されている。また、ここでは、これらの保護層D1と接着層D2との結合状態を保つために、これらの間にアンカー層D3を設けている。
被覆シートBの転写層Dは、記録紙Aの記録面を保護する被覆層Fとなるので、記録紙Aとの密着性に優れ、透明性が高く、熱や光で変色し難く、化学的・物理的バリヤ性に優れていることが好ましい。また、後述するように、記録紙Aの記録面及びその記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写されて被覆層Fを形成した後、記録紙Aと補助シートEとが分離する際に、記録紙Aの記録面に形成された部分と、記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された部分とが、記録紙Aの端縁付近に沿って切り離し可能な材質及び厚みで構成すると好適である。そのため、保護層D1には、例えば、アクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂等を用いると好適である。
また、ここでは、後述するように第1加圧機構8において記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加圧するとともに加熱する構成としているので、接着層D2には、透明性を有し、加熱することで接着力を発揮する、例えばポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いると好適である。被覆シートBの基材Cは、後述する第1加圧機構8における加圧及び加熱条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性及び機械的強度と、転写層Dからの良好な剥離性を備えていることが好ましい。そのため、基材Cには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いると好適である。
また、被覆シートBとしては、記録紙Aの幅(複数種類の幅の記録紙Aを対象とする場合にはその中の最大幅の記録紙Aの幅)よりも大きい幅を有する、一定幅の長尺のシートが用いられる。そして、本実施形態においては、被覆シートBとしては、基材Cを外側、転写層Dを内側としてロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBは、被覆シート搬送機構6により、その転写層Dが補助シートEと対向する向きに搬送されることになる。
図1〜3に示すように、被覆シート搬送機構6は、ロール状に巻き取られた被覆シートBを供給可能に保持する供給保持部6aと、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路Lと分岐され、転写層Dが剥離された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収する基材回収部6bとを有している。
本実施形態においては、供給保持部6aは、図2に示すように、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた被覆シートBを回転可能に保持する保持軸6cと、この保持軸6cの回転を制限するための回転制限機構6dとを有している。この回転制限機構6dとしては、例えば本体フレーム12と保持軸6cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。
被覆シートBは、後述する第1加圧機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構6dにより保持軸6cの回転が制限されるので、供給保持部6aから第1加圧機構8の加圧ローラ8bまでの間の被覆シートBの張りを保つことができる。
また、供給保持部6aと記録紙Aの搬送経路Lとの間には、フリーローラ6eが回転自在に設けられている。このフリーローラ6eは、その外周に所定の角度範囲で被覆シートBが巻き付けられることにより、記録紙Aの搬送経路Lと合流する部分の被覆シートBの搬送経路の侵入角度を調整している。
そして、記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の被覆シートBの搬送経路は、第1分岐ガイド9による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。
図2に示すように、基材回収部6bは、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸6fと、この巻取軸6fを駆動する巻取軸駆動機構6gと、この巻取軸駆動機構6gから巻取軸6fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構6hとを有している。
本実施形態においては、図2に示すように、この被覆装置の各部の駆動は単一のモータ13からの駆動力が複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により伝達されることにより行われている。したがって、巻取軸駆動機構6gは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を巻取軸6fまで伝達する伝達機構により構成されている。また、駆動制限機構6hとしては、例えば巻取軸駆動機構6gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸6fとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、駆動制限機構6hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構6gにより駆動される巻取軸6fの回転速度は、巻取軸6fの周囲に基材Cが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの外周の周速が第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。
具体的には、巻取軸6fの周囲に基材Cがほとんど巻き取られておらず、基材Cの外周周速が最も遅い状態での周速が、第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、被覆シートBの基材Cの搬送速度V1は第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの外周の周速との速度差により基材Cの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構6hにより巻取軸6fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
補助シートEは、記録紙Aの記録面に被覆シートBの転写層Dを転写して被覆層Fを形成する際に、記録紙Aの幅方向外側や複数枚の記録紙Aの間の記録紙Aの存在しない部分において、対向して搬送されている被覆シートBの転写層Dが転写されるシートである。したがって、補助シートEの材質としては、被覆シートBの転写層Dの表面に設けられている接着層D2が接着しやすい材質を使用することが好ましい。そのため、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを用いると好適である。
また、補助シートEは、被覆シートBの転写層Dを転写する際に、補助シートEの側端縁から外側に転写層Dがはみ出すことを防止するため、被覆シートBの幅と同じかそれ以上の幅を有するものとする。本実施形態においては、補助シートEとしては、被覆シートBの幅よりもやや広い一定幅を有する長尺のシートであって、ロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBの下面(転写面)の全体が補助シートEの上面に対向することになるので、被覆シートBの転写層Dが第1加圧機構8の駆動ローラ8aに転写されることを防止することができる。
補助シート搬送機構7は、ロール状に巻き取られた補助シートEを供給可能に保持する供給保持部7aと、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するシート回収部7bとを有している。
本実施形態においては、供給保持部7aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた補助シートEを回転可能に保持する保持軸7cと、この保持軸7cの回転を制限するための回転制限機構7dとを有している。この回転制限機構7dとしては、例えば本体フレーム12と保持軸7cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、補助シートEは、後述する第1加圧機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構7dにより保持軸7cの回転が制限されるので、供給保持部7aから第1加圧機構8の駆動ローラ8aまでの間の補助シートEの張りを保つことができる。
また、供給保持部7aと記録紙Aの搬送経路Lとの間には、フリーローラ7eが回転自在に設けられている。このフリーローラ7eは、その外周に所定の角度範囲で補助シートEが巻き付けられることにより、記録紙Aの搬送経路Lと合流する部分の補助シートEの搬送経路の侵入角度を調整している。そして、記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の補助シートEの搬送経路は、第2加圧機構10の下流側にある第2分岐ガイド11による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。この際、補助シートEは、第1分岐ガイド9による被覆シートBの搬送経路の分岐位置までは、被覆シートBとの間に記録紙Aを挟んだ状態で被覆シートBに対向して搬送される。
シート回収部7bは、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸7fと、この巻取軸7fを駆動する巻取軸駆動機構7gと、この巻取軸駆動機構7gから巻取軸7fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構7hとを有している。
本実施形態においては、図2に示すように、巻取軸駆動機構7gは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を巻取軸7fまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。また、駆動制限機構7hとしては、例えば巻取軸駆動機構7gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸7fとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、駆動制限機構7hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構7gにより駆動される巻取軸7fの回転速度は、巻取軸7fの周囲に補助シートEが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの外周の周速が第2加圧機構10の駆動ローラ10aの外周の周速よりも速くなるように、設定されている。
具体的には、巻取軸7fの周囲に補助シートEがほとんど巻き取られておらず、補助シートEの外周の周速が最も遅い状態での周速が、第2加圧機構10の駆動ローラ10aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、補助シートEの搬送速度V1は、第2加圧機構10の駆動ローラ10a及びそれと同じ速度で回転する第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの外周の周速との速度差により補助シートEの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構7hにより巻取軸7fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
以上のような被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7により、互いに対向して搬送される被覆シートBと補助シートEとの間に、供給トレイ1及び供給ガイド2を介して記録紙Aが供給され、この記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとは、積層された状態で第1加圧機構8において両面から加圧される。
第1加圧機構8は、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ8aと、この駆動ローラ8aを回転駆動するローラ駆動機構8cと、駆動ローラ8aに対向して設けられ、駆動ローラ8aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ8aの回転に従動して回転する加圧ローラ8bと、この加圧ローラ8bを駆動ローラ8a側に加圧する加圧機構8dとを有している。
本実施形態においては、駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bは、ともに中空の金属ローラ部m(本願にいう金属ローラ部に当たる)の表面をシリコンゴム等のゴム部材により覆った(ゴム表面層gを形成している)構成としている。この金属ローラ部mの表面を覆うゴム部材の厚さは、後述するように金属ローラ部mの内部に設けられるヒータ8gからの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間を搬送される記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、1〜2mm程度の厚さとすると好適である。さらに、そのゴム硬度は、60〜80とするのが好適である。
ローラ駆動機構8cは、本実施形態においては、図2に示すように、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ8aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。
また、加圧機構8dは、図3に示すように、加圧ローラ8bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材8eと、この保持部材8eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材8fとを有して構成されている。この加圧機構8dによる加圧力は、本実施形態においては、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとのニップ部における圧力が8〜12kg/cm程度となるように設定している。
第1加圧機構8の駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bの内部には、それぞれヒータ8gが設けられており、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。本実施形態においては、このヒータ8gとして、ハロゲンランプを駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bのそれぞれの軸心部に配設している。このヒータ8gによる加熱温度は、本実施形態においては、各ローラの表面温度で、加圧ローラ8bでは90〜110℃程度、駆動ローラ8aでは50〜70℃程度となるように設定している。
これら加圧ローラ8bと駆動ローラ8aとにおけるローラ表面温度の設定方式に関して以下、さらに詳細に説明する。
先に説明したように、各ローラ8a,8bは、中空円筒状で対を成して構成され、ローラ内部に、軸方向に延び当該軸方向における加熱能が分布調整されてなる前記ハロゲンランプ8gが備えられている。このハロゲンランプ8gが、本願において「加熱手段」を構成する。
図6に示すように、ハロゲンランプ8gは長尺のガラス管8g1内にハロゲンを封入して構成されるとともに、内部にフィラメント8g2を備えて構成されている。このフィラメント8g2は、ランプ軸方向における加熱能の分布を得るために、密に巻かれた密巻き部8g21と疎に巻かれた疎巻き部8g22とを有して構成されている。結果、密巻き部8g21での加熱能は比較的高く、疎巻き部8g22での加熱能は比較的低く設定可能である。そして、基本的には、密巻き部8g21の長さを両端側にあるものほど長くしてある。
結果、軸方向に延び当該軸方向における加熱能が分布調整されることとなる。このハロゲンランプ8gに電力線8g3は、各ローラの端部から導出されて、電源(不図示)側に接続される構成が採用されている。
以上は、加熱手段であるハロゲンランプ8gの構成の説明であるが、以下、ローラ表面温度の検出構成に関して説明する。
図7に示すように、ローラ表面の温度検出は、そのローラの表面であって、搬送対象体(被覆シートB、補助シートE)記録媒体が当接して移動する記録媒体当接部位70から外れた非搬送表面部位71の温度を、ローラの表面に接触する接触状態で検出する温度検出手段72を備えて行う。ここで、温度検出手段72は、熱電対72aとこの熱電対72aの出力を検出可能な検出機構72bを備えて構成され、熱電対72aの測温接点がローラの表面の非搬送表面部位71に接触されて行われる。
図7は、ローラ軸方向における搬送対象体(駆動ローラ8aの場合は補助シートE,加圧ローラ8bの場合は被覆シートB)の搬送経路を二点鎖線で示しており、その搬送部位に対するローラの搬送表面部位70から、本体フレーム12側に外れた部位71に熱電対72aの測温接点73が接触されている。この接触方向は、側温接点73がローラの回転方向(図3に矢印で示す)でその先側となるように選択されており、適切な接触状態が維持できるように構成されている。
従って、温度検出手段により検出された温度が制御器(不図示)に送られ、その制御器の制御により、ローラの表面温度が適切な温度域に制御される。
この制御構成は、図3に示すように、駆動ローラ8a、加圧ローラ8bについて採用されているほか、後述する第2加圧機構10の加圧ローラ10bにつても、この構成が採用されている。
以上の構成により、第1加圧機構8においては、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間で、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを積層状態で搬送しながら両面から加圧するとともに加熱する。この加熱及び加圧により、被覆シートBと補助シートEとの間に挟まれた記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆シートBの転写層Dが接着される。すなわち、加熱されることにより被覆シートBの転写層Dを構成する接着層D2が活性化された状態となり、更に第1加圧機構8の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bの加圧によって圧着されることにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが接着される。
そして、後述する第1分岐ガイド9において記録紙Aの搬送経路と被覆シートBの基材Cの搬送経路とが分岐されることにより、記録紙A及び補助シートEから被覆シートBの基材Cが剥離され、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが転写される。この転写層Dが被覆層Fを形成する。よって、本実施形態においては、この第1加圧機構8及び第1分岐ガイド9が、本発明における「被覆層形成手段」を構成する。
図3、5に示すように、第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第1加圧機構8と第2加圧機構10との間に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの基材Cの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。本実施形態においては、第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面9aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面9aに対して鋭角をなして上方に延びるように設けられた第2ガイド面9bが形成されている。
図5に示すように、この第1ガイド面9aと第2ガイド面9bとが接する端縁9cにおいて被覆シートBの基材Cが記録紙A及び補助シートEから剥離され、剥離された基材Cは、第2ガイド面9bに沿って搬送されて基材回収部6bに巻き取り回収される。これにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆層Fが形成される。この第1分岐ガイド9は、第1加圧機構8による加熱により活性化した被覆シートBの接着層D2が冷却されて十分な接着力を発揮するようになる程度の距離を第1加圧機構8に対して有するように配置すると好適である。
第2加圧機構10は、記録紙Aと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ10aと、この駆動ローラ10aを回転駆動するローラ駆動機構10cと、駆動ローラ10aに対向して設けられ、駆動ローラ10aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ10aの回転に従動して回転する加圧ローラ10bと、この加圧ローラ10bを駆動ローラ10a側に加圧する加圧機構10dとを有している。本実施形態においては、駆動ローラ10a及び加圧ローラ10bは、ともに中空の金属ローラ部の表面をシリコンゴム等のゴム部材により覆った構成としている。この金属ローラ部の表面を覆うゴム部材の厚さは、金属ローラ部の内部に設けられるヒータからの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとの間を搬送される被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、1〜2mm程度の厚さとすると好適である。さらに、そのゴム硬度は、60〜80とするのが好適である。
ローラ駆動機構10cは、本実施形態においては、図2に示すように、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ10aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。ここで、伝達機構は、第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と、第2加圧機構10の駆動ローラ10aの外周の周速とがほぼ同じになるように設定されている。
また、加圧機構10dは、図3に示すように、加圧ローラ10bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材10eと、この保持部材10eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材10fとを有して構成されている。この加圧機構10dによる加圧力は、本実施形態においては、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとのニップ部における圧力が3〜7kg/cm程度となるように設定している。
また、この第2加圧機構10の加圧ローラ10bの内部にはヒータ10gが設けられており、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。一方、駆動ローラ10a側にはヒータを設けていない。
本実施形態においては、このヒータ10gとして、ハロゲンランプを加圧ローラ10bの軸心部に配設している。このヒータ10gによる加熱温度は、本実施形態においては、加圧ローラ10bの表面温度で80〜100℃程度となるように設定している。この加圧ローラ10bにおける表面温度の検出構造も先に説明した第1加圧機構8のローラ8a,8bのそれと同様である。
したがって、第2加圧機構10においては、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを搬送しながら両面から加圧するとともに被覆層F側の面から加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fが隙間無く圧着されて強固に接着される。
図3に示すように、第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2加圧機構10の下流側に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。本実施形態においては、第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面11aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面11aに対して鋭角をなして下方に延びるように設けられた第2ガイド面11bが形成されている。
そして、この第1ガイド面11aと第2ガイド面11bとが接する端縁11cにおいて補助シートEが記録紙Aから剥離され、剥離された補助シートEは、第2ガイド面11bに沿って搬送されてシート回収部7bに巻き取り回収される。この際、記録紙Aはその搬送経路Lに沿って水平方向に直進するのに対して、補助シートEは第2分岐ガイド11の第2ガイド面11bに沿って下方に折り曲げられて搬送されることから、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとは互いに離間することとなり、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとが記録紙Aの端縁付近に沿って切断されて分離される。
排出機構3は、図2、3に示すように、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2分岐ガイド11の下流側に設けられ、第2分岐ガイド11において補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出するための記録紙Aの搬送機構である。
ここでは、記録紙Aの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ3aと、この駆動ローラ3aを回転駆動するローラ駆動機構3cと、駆動ローラ3aに対向して設けられ、駆動ローラ3aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ3aの回転に従動して回転する加圧ローラ3bと、この加圧ローラ3bを駆動ローラ3a側に加圧する加圧機構3dとを有している。本実施形態においては、駆動ローラ3a及び加圧ローラ3bは、ともに表面を合成ゴム等のゴム部材により覆ったローラにより構成している。これらのローラはゴム部材により覆わない金属製等のハードロールとすることも可能である。但し、このゴム部材の厚みは9mm程度にされている。本実施形態においては、ローラ駆動機構3cは、図2に示すように、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ3aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。
また、加圧機構3dは、本実施形態においては、加圧ローラ3bの回転軸の両端部を下方に付勢するばね等のゴム部材により構成される付勢部材3fを有して構成されている。この加圧機構3dによる加圧力は、記録紙Aの後端付近が補助シートEと分離するまでは、駆動ローラ3aが記録紙Aの裏面に対して滑っている状態となり、記録紙Aの後端付近が補助シートEから分離した後は駆動ローラ3aと記録紙Aとが滑ることなく搬送されるような圧力とすると好適である。
具体的には、駆動ローラ3aと加圧ローラ3bとのニップ部における圧力が0.5〜3kg/cmとなるように設定している。すなわち、本実施形態においては、この加圧機構3dによる加圧力の調整により、記録紙Aに対して与える搬送方向の力を制限可能な構成としている。そのため、加圧機構3dは、付勢部材3fの取り付け位置を調節可能とする等により加圧力を微調整可能な構成とすることが望ましい。
これにより、記録紙Aと補助シートEとが分離する位置が、第2分岐ガイド11による記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路との分岐位置に対して上流側になり過ぎることにより被覆層Fに無理な力が作用して被覆後の記録紙Aの品質が低下することを防止できる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る被覆装置を幅方向中央付近で切断した断面図である。この図に示すように、本実施形態に係る被覆装置は、上記第1の実施形態に係る被覆装置における第2加圧機構10に相当する部分を備えておらず、第1分岐ガイド9による記録紙Aの搬送経路と被覆シートBの基材Cの搬送経路との分岐位置と、第2分岐ガイド11による記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路との分岐位置とが近接した位置となっている点で、上記第1の実施形態と主に相違する。
すなわち、本実施形態においては、第1加圧機構8の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間で、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを積層状態で搬送しながら両面から加圧するとともに加熱することにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆シートBの転写層Dを接着させる。
この例にあっても、第1加圧機構8の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bの表面温度の検出に際しては、第1の実施の形態で採用されたと同様な、熱電対72bを使用した、非搬送表面部位71での温度検出とすることで、長期に亘って安定した、温度制御を達成できる。
そして、その後、被覆シートBの接着層D2が冷却される程度の距離に配置された第1分岐ガイド9で記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの基材Cの搬送経路とを分岐させることにより、被覆シートBの基材Cを記録紙A及び補助シートEから剥離させて記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆層Fを形成する。
そして、記録紙Aの搬送方向の下流側の非常に近接した位置に第2分岐ガイド11が配置されており、この第2分岐ガイド11で記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させることにより、記録面に被覆層Fが形成された記録紙Aと、その記録紙Aの周囲の表面に被覆層Fが形成された補助シートEとを互いに離間させ、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとを記録紙Aの端縁付近に沿って切断して分離する。そして、被覆層Fが形成された記録紙Aは排出機構3により排出トレイ4に排出される。
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施形態においては、図1〜3に示すように、本発明における「記録媒体供給手段」として、供給トレイ1及び供給ガイド2を備える構成について説明したが、記録媒体供給手段として、記録紙Aを自動で連続的に供給する自動供給機構を備える構成とすることも可能である。すなわち、本発明に係る被覆装置は、実際の使用時には、写真プリンタ等の記録紙Aに画像を記録する記録装置の下流側に設置されることになる。したがって、この記録装置から連続的に排出される記録紙Aを自動的に搬送して被覆装置の装置本体内に供給する構成までを備える構成とすると好適である。
(2)上記実施形態においては、ローラ加熱手段を構成するに、ハロゲンランプを使用する例を示したが、所定の長手方向に加熱能の分布調整を行えるものであれば、任意の加熱手段を使用できる。例えば、熱線型のヒータを採用してもよい。
(3)上記実施形態においては、被覆シートBとして基材Cとこの基材Cに対して剥離可能に設けられた転写層Dとを有するものを用いる場合について説明したが、被覆シートBの構成はこのようなものに限定されることなく、例えば、基材Cを備えず、転写層Dに相当する部分のみからなるシートを用いることも可能である。この場合、被覆シート搬送機構6は、基材回収部6bを備えない構成となる。
(4)上記の実施形態においては、記録紙Aに対して、被覆シートBと補助シートEとを供給して、記録紙Aにおいて被覆層Fの形成に使用されなかった残余分を補助シートEで処理することとしたが、連続的な記録紙Aの処理を行う場合、特に補助シートEを必要とするものではない。
本発明の第1の実施形態に係るカバー付きの被覆装置の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る被覆装置の内部構造を示す斜視図 本発明の第1の実施形態に係る被覆装置を幅方向中央付近で切断した断面図 本発明の第1の実施形態に係る被覆シートの構造を示す模式断面図 第1分岐ガイド近傍の詳細図 ハロゲンランプに外観構成を示す図 ローラ表面温度の検出構造を示す図 本発明の第2の実施形態に係る被覆装置を幅方向中央付近で切断した断面図
符号の説明
A 記録紙(記録媒体)
B 被覆シート
C 被覆シートの基材
D 被覆シートの転写層
E 補助シート
F 被覆層
L 記録紙の搬送経路
3 排出機構
6 被覆シート搬送機構
7 補助シート搬送機構
8 第1加圧機構
8gローラ加熱手段
9 第1分岐ガイド
10 第2加圧機構
11 第2分岐ガイド

Claims (4)

  1. 被覆シートに対して記録媒体を供給するための記録媒体供給手段と、
    前記記録媒体と前記被覆シートとを挟んで加熱・加圧する被覆層形成手段とを備え、
    前記記録媒体の表面に被覆層を形成する記録媒体の被覆装置であって、
    少なくとも前記被覆層形成手段が、弾性体表面層を備えた中空筒状の金属ローラ部と前記金属ローラ部の内部に配設される加熱手段とからなるローラを備え、
    前記ローラの表面であって、搬送対象体が当接して移動する搬送対象体当接部位から外れた非搬送表面部位の温度を、前記ローラの表面に接触する接触状態で検出する温度検出手段を備えた記録媒体の被覆装置。
  2. 前記温度検出手段が、熱電対と前記熱電対の出力を検出可能な検出機構を備えて構成され、前記熱電対の測温接点が前記ローラの表面に接触される請求項1記載の記録媒体の被覆装置。
  3. 前記弾性体表面層がゴム表面層であり、前記ゴム表面層の厚みが1〜2mmの範囲内であり、ゴムの硬度が、デユロメータ硬さ(Aタイプ)60〜80の範囲内にある請求項1又は2記載の記録媒体の被覆装置。
  4. 前記ゴム表面層の材料が、シリコンゴムとフッ素ゴムとのいずれかである請求項3項記載の記録媒体の被覆装置。
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