JP2006142530A - 被覆装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 環境温度に影響を受けることなく、被覆シートの転写層を記録紙の記録面に確実に転写し固着させる被覆装置を構成する。
【解決手段】 記録紙Aに重ねた被覆シートBを加熱型の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとに挟み込んで転写を行い、このように重ね合わせた状態で加熱した記録紙Aと被覆シートBを放熱領域Lcに放熱させることで転写層を記録紙Aの記録面に固着させる処理系を備えると共に、環境温度センサSeで計測される環境温度が低温側の基準温度を下回った場合には、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの目標温度を高め、環境温度センサSeで計測される環境温度が高温側の基準温度を超えた場合には、放熱領域Lcに冷却ファン25から冷却ファンを供給する。
【選択図】 図2
【解決手段】 記録紙Aに重ねた被覆シートBを加熱型の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとに挟み込んで転写を行い、このように重ね合わせた状態で加熱した記録紙Aと被覆シートBを放熱領域Lcに放熱させることで転写層を記録紙Aの記録面に固着させる処理系を備えると共に、環境温度センサSeで計測される環境温度が低温側の基準温度を下回った場合には、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの目標温度を高め、環境温度センサSeで計測される環境温度が高温側の基準温度を超えた場合には、放熱領域Lcに冷却ファン25から冷却ファンを供給する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段からの熱と圧力との作用により、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に転写し、この転写の後に記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう処理形態が設定されている被覆装置に関する。
上記のように構成された被覆装置に関連する技術として、記録物(本発明の記録媒体)の画像面(本発明の記録面)に転写シート(本発明の被覆シート)を重ね合わせた状態で加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段を構成するヒートローラ対から熱と圧力とを作用させることにより転写シートに形成された被転写層(本発明の転写層)を被記録物に転写し、この転写後には、ローラ対で成る剥離手段の位置において転写シートを被記録物から剥離させる装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、転写シートが、支持体に被転写層を形成した構造を有しており、加熱圧着手段によって、転写層を記録物に転写した後には、温度が低下して転写シートが画像面上にしっかりと固着したところで、剥離手段により転写シートから支持体を引き剥がす処理が行われている。
また、上記のように構成された被覆装置に関連する技術として、記録紙(本発明の記録媒体)の画像形成面にラミネート材(本発明の被覆シート)を重ね、これらを加熱装置で加熱された圧力ローラ対(本発明の加熱圧着手段)で挟み込み、熱と圧力とを作用させることによりラミネート材の熱溶融性接着剤(本発明の転写層)を融解させ、この熱溶融性接着剤を記録紙に融着させて一体化し(ラミネートコーティングする)、この一体化の後に、ラミネート材の台紙(基材)を記録紙から剥がしローラに巻き取るものが存在する(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2では、加熱装置の加熱体の放熱面被覆上に感熱素子を設置し、温度変化による感熱素子の抵抗値の変化を増幅して抵抗発熱体を制御して加熱体を所定の温度に維持する制御系が示されている。
本発明のように被覆シートを記録媒体に重ね、加熱圧着手段からの熱と圧力との作用によって被覆シートに転写層を記録媒体に転写するものを考えると、特許文献1にも記載されるように転写を行う際には、熱と圧力とを充分に作用させることよって転写層を記録媒体に確実に密着させ、この転写の後には、記録媒体に密着した転写層(オーバコート層)を充分に放熱させることにより、転写層を記録媒体に確実に固着させることが重要であることが理解できる。
しかしながら、室内であっても環境温度が想定した温度より低い場合には、例えば、特許文献2のように、加熱圧着手段の温度をフィードバックすることによって加熱圧着手段の温度を目標温度に設定していても、記録媒体の温度や被覆シートの温度が低いため、記録媒体と被覆シートとを加熱圧着部に供給した際に、この加熱圧着部の温度が低下してしまい、この加熱圧着時に加熱圧着に必要とする充分な温度が得られず、転写が不充分になることも考えられた。
また、室内であっても環境温度が想定した温度より高い場合には、加熱圧着手段での加熱を充分に行えるものの、加熱圧着した後において記録媒体の放熱を充分に行えないため、記録媒体に転写層が確実に固着しない状態で被覆シートの基材の剥離が行われ、記録媒体に密着した転写層が基材とともに記録媒体から剥がされ、必要とする被覆(コーティング)が得られないことも考えられた。
このように転写が不充分である場合や、転写された転写層が記録媒体に対して確実に固着しないものでは、不完全なコーティングの発生に繋がり、実用に耐えられないものであり改善の余地があった。
本発明の目的は、環境温度に影響を受けることなく、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して確実に転写し固着させる被覆装置を合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段からの熱と圧力との作用により、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に転写し、この転写の後に記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう処理形態が設定されている被覆装置において、
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備えると共に、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された低温側の基準温度より低下した場合には、前記目標温度を高める側に変更する目標温度補正手段を備えている点にある。
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備えると共に、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された低温側の基準温度より低下した場合には、前記目標温度を高める側に変更する目標温度補正手段を備えている点にある。
この構成により、温度制御手段によって加熱圧着手段を目標温度に維持する制御が行われるものとなり、また、環境温度センサによって計測される環境温度が予め設定された低温側の基準温度より低下した場合には、目標温度補正手段が加熱圧着手段の目標温度を高める側に変更するので、低い温度の記録媒体や被覆シートが加熱圧着手段に供給された場合にも、この加熱圧着手段の温度が転写に必要な温度より低下する不都合を回避できる。その結果、環境温度が低くとも記録媒体の記録面に対して被覆シートの転写層を確実に転写し固着させ得る被覆装置が構成された。
本発明は、基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段からの熱と圧力との作用により、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に転写し、この転写の後に記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう処理形態が設定されている被覆装置において、
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備え、前記加熱圧着手段から搬送方向での下流側の被覆シートの部位に冷却風を供給するファンを備えると共に、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された高温側の基準温度を超えた場合には、前記ファンを駆動する温度管理手段を備えても良い。
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備え、前記加熱圧着手段から搬送方向での下流側の被覆シートの部位に冷却風を供給するファンを備えると共に、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された高温側の基準温度を超えた場合には、前記ファンを駆動する温度管理手段を備えても良い。
この構成より、温度制御手段によって加熱圧着手段を目標温度に維持する制御が行われるものとなり、また、環境温度センサによって計測される環境温度が予め設定された高温側の基準温度を超えた場合には、温度管理手段がファンを駆動するものとなり、このファンからの冷却風を加熱圧着直後の被覆シートに供給して、この被覆シートと記録媒体との放熱を積極的に行わせ、転写層を記録媒体の記録面に固着させることが可能となる。その結果、環境温度が高くとも記録媒体の記録面に対して被覆シートの転写層を確実に転写し固着させ得る被覆装置が構成された。
本発明は、基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段からの熱と圧力との作用により、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に転写し、この転写の後に記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう処理形態が設定されている被覆装置において、
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備え、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された低温側の基準温度より低下した場合には、前記目標温度を高める側に変更する目標温度補正手段を備え、
前記加熱圧着手段から搬送方向での下流側の被覆シートの部位に冷却風を供給するファンを備え、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された高温側の基準温度を超えた場合には、前記ファンを駆動する温度管理手段を備えても良い。
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備え、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された低温側の基準温度より低下した場合には、前記目標温度を高める側に変更する目標温度補正手段を備え、
前記加熱圧着手段から搬送方向での下流側の被覆シートの部位に冷却風を供給するファンを備え、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された高温側の基準温度を超えた場合には、前記ファンを駆動する温度管理手段を備えても良い。
この構成より、温度制御手段によって加熱圧着手段を目標温度に維持する制御が行われる。また、環境温度センサによって計測される環境温度が予め設定された低温側の基準温度より低下した場合には、目標温度補正手段が加熱圧着手段の目標温度を高める側に変更するので、低い温度の記録媒体や被覆シートが加熱圧着手段に供給された場合にも、この加熱圧着手段が転写に必要な温度より低下する不都合を回避できる。更に、環境温度センサによって計測される環境温度が予め設定された高温側の基準温度を超えた場合には、温度管理手段がファンを駆動するものとなり、このファンからの冷却風を加熱圧着直後の被覆シートに供給して、この被覆シートと記録媒体との放熱を積極的に行わせ、転写層を記録媒体の記録面に固着させることが可能となる。その結果、環境温度が高い場合でも低い場合でも、記録媒体の記録面に対して被覆シートの転写層を確実に転写して固着させ得る被覆装置が構成された。
本発明は、前記加熱圧着手段が、圧着位置に配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備え、この圧着ローラ対の少なくとも一方の表面温度を計測するローラ温度センサを備えて構成され、
前記温度制御手段は前記ローラ温度センサで計測された表面温度を目標温度に維持するよう前記発熱機構に供給する電力を調節するフィードバック制御を行い、前記目標温度補正手段は、前記環境温度センサで計測される環境温度が前記基準温度より低下した際には、この基準温度と前記環境温度センサで計測される環境温度との温度差が大きいほど前記目標温度を高温側に変更するよう処理形態を設定しても良い。
前記温度制御手段は前記ローラ温度センサで計測された表面温度を目標温度に維持するよう前記発熱機構に供給する電力を調節するフィードバック制御を行い、前記目標温度補正手段は、前記環境温度センサで計測される環境温度が前記基準温度より低下した際には、この基準温度と前記環境温度センサで計測される環境温度との温度差が大きいほど前記目標温度を高温側に変更するよう処理形態を設定しても良い。
この構成より、圧着ローラ対に記録媒体と被覆シートとを重ね合わせた状態で供給することにより、記録媒体と被覆シートとを搬送しながら圧着ローラ対から熱と圧力とを作用させて転写を行え、圧着ローラの表面温度をローラ温度センサで計測された表面温度をフィードバックするので、転写に直接作用する温度に基づいた制御を行える。また、目標温度補正手段は、環境温度センサで計測される環境温度と、基準温度との温度差が大きいほど目標温度を高温側に変更するので、基準温度と環境温度との温度差に拘わらず記録媒体と被覆シートと適正な温度の熱を作用させて転写を行える。
本発明は、前記加熱圧着手段が、圧着位置に配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備え、この熱が与えられた圧着ローラの表面温度を計測するローラ温度センサを備えて構成され、
前記温度制御手段は前記ローラ温度センサで計測された表面温度を目標温度に維持するよう前記発熱機構に供給する電力を調節するフィードバック制御を行うよう制御形態を設定しても良い。
前記温度制御手段は前記ローラ温度センサで計測された表面温度を目標温度に維持するよう前記発熱機構に供給する電力を調節するフィードバック制御を行うよう制御形態を設定しても良い。
この構成より、圧着ローラ対に記録媒体と被覆シートとを重ね合わせた状態で供給することにより、記録媒体と被覆シートとを搬送しながら圧着ローラ対から熱と圧力とを作用させることが可能となり、圧着ローラの表面温度としてローラ温度センサで計測された表面温度をフィードバックするので、転写に直接作用する温度に基づいた制御を行える。
本発明は、前記温度管理手段として、前記基準温度と環境温度センサで計測される環境温度との温度差が大きいほど、前記ファンから送り出される冷却風の単位時間あたりの風量を増大させるよう処理形態を設定しても良い。
この構成より、温度管理手段は、環境温度センサで計測される環境温度と、基準温度との温度差が大きいほどファンから送り出される冷却風の単位時間あたりの風量を増大させるので、基準温度と環境温度との温度差に拘わらず被覆シートと記録媒体との放熱を積極的に行わせて確実な転写を行える。
本発明は、前記被覆シートと対向した位置に補助シートを供給し、これら被覆シートと補助シートとの間に挟み込む形態で前記記録媒体を前記加熱圧着手段に供給するよう構成しても良い。
この構成より、被覆シートと補助シートとに挟み込む形態で記録媒体を搬送できるので、例えば、プリントサイズに切断された記録媒体を被覆シートと補助シートとに挟み込む形態で加熱圧着手段に供給することも可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1〜図4に示すように、下部ケース20に対して着脱自在に上部ケース21を重ね合わせて箱状のケース部を構成し、このケース部の内部に被覆処理ユニットを収容して被覆装置が構成されている。この被覆装置はケース部の一方の端部に供給トレイ1を備え、他方の端部に排出トレイ4を備えており、本発明における「記録媒体」としての記録紙Aを、その記録面を上向きにして供給トレイ1にセットし、供給ガイド2に沿って水平方向にケース部の内部に供給することによって、被覆処理ユニットにおいては記録紙Aを水平方向に搬送しながら、その記録面に透明な被覆層を形成した後に、排出トレイ4に排出するよう構成されている。
図1〜図4に示すように、下部ケース20に対して着脱自在に上部ケース21を重ね合わせて箱状のケース部を構成し、このケース部の内部に被覆処理ユニットを収容して被覆装置が構成されている。この被覆装置はケース部の一方の端部に供給トレイ1を備え、他方の端部に排出トレイ4を備えており、本発明における「記録媒体」としての記録紙Aを、その記録面を上向きにして供給トレイ1にセットし、供給ガイド2に沿って水平方向にケース部の内部に供給することによって、被覆処理ユニットにおいては記録紙Aを水平方向に搬送しながら、その記録面に透明な被覆層を形成した後に、排出トレイ4に排出するよう構成されている。
前記上部ケース21の上面には透明な樹脂製のパネル22を備え、このパネル22に多数の吸気孔22aを穿設してあり、また、このパネル22に隣接する位置の上部ケース21の上面には排気孔21aを穿設している。
前記被覆処理ユニットは、被覆シートBを搬送する被覆シート搬送機構6と、補助シートEを搬送する補助シート搬送機構7と、記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加圧する第1加圧機構8(加熱圧着手段の一例)と、記録紙Aの搬送経路と被覆シートBの搬送経路とを分岐させる第1分岐ガイド9と、被覆シートBの基材Cが分離されて被覆層F(図8、図10、図11を参照)が形成された後の記録紙Aと補助シートEとを両面から更に加圧する第2加圧機構10と、記録紙Aの搬送経路と補助シートEの搬送経路とを分岐させる第2分岐ガイド11と、補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出する排出機構3と、が設けられている。そして、これらの各構成は、本体フレーム12により一体的に支持されている。以下、これらの構成について詳細に説明する。
本実施形態に係る被覆装置において用いられる被覆シートBは、図5に示すように、基材Cと、片側の面に剥離可能な転写層Dとを備えている。この転写層Dは、記録紙Aの記録面に転写されて被覆層Fを形成する部分であり、基材C上に設けられ、記録紙Aの記録面を保護するための主要な役割を果たす保護層D1と、この保護層D1の外側に設けられ、保護層D1を記録紙Aの記録面に対して接着するための接着層D2とを有して構成されている。また、ここでは、これらの保護層D1と接着層D2との結合状態を保つために、これらの間にアンカー層D3を設けている。
前記被覆シートBの転写層Dは、記録紙Aの記録面を保護する被覆層となるので、記録紙Aとの密着性に優れ、透明性が高く、熱や光で変色し難く、化学的・物理的バリヤ性に優れていることが好ましい。また、後述するように、記録紙Aの記録面及びその記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写されて被覆層Fを形成した後、記録紙Aと補助シートEとが分離する際に記録紙Aの記録面に形成された部分と、記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された部分とが記録紙Aの端縁付近に沿って切り離し可能な材質及び厚みで構成すると好適である。そのため、保護層D1には、例えば、アクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂等を用いると好適である。
また、ここでは、後述するように第1加圧機構8において記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加圧するとともに加熱する構成としているので、接着層D2には、透明性を有し、加熱することで接着力を発揮する、例えばポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いると好適である。被覆シートBの基材Cは、後述する第1加圧機構8における加圧及び加熱条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性及び機械的強度と、転写層Dからの良好な剥離性を備えていることが好ましい。そのため、基材Cには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いると好適である。
また、被覆シートBとしては、記録紙Aの幅(複数種類の幅の記録紙Aを対象とする場合にはその中の最大幅の記録紙Aの幅)よりも大きい幅を有する、一定幅の長尺のシートが用いられる。そして、本実施形態においては、被覆シートBとしては、基材Cを外側、転写層Dを内側としてロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBは、被覆シート搬送機構6により、その転写層Dが補助シートEと対向する向きに搬送されることになる。
図1〜図4及び図6〜図9に示すように、被覆シート搬送機構6は、ロール状に巻き取られた被覆シートBを供給可能に保持する供給保持部6aと、第1分岐ガイド9により記録紙Aから剥離された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収する基材回収部6bとを有している。本実施形態においては、供給保持部6aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた被覆シートBを回転可能に保持する保持軸6cと、この保持軸6cの回転を制限するための回転制限機構6dとを有している。この回転制限機構6dとしては、例えば本体フレーム12と保持軸6cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、被覆シートBは、後述する第1加圧機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構6dにより保持軸6cの回転が制限されるので、供給保持部6aから第1加圧機構8の加圧ローラ8bまでの間の被覆シートBの張りを保つことができる。尚、前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとで前記第1加圧機構8が構成され、この前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとが本発明の圧着ローラ対に対応する。
また、供給保持部6aと記録紙Aの搬送経路Lとの間には、フリーローラ6eが回転自在に設けられている。このフリーローラ6eは、その外周に所定の角度範囲で被覆シートBが巻き付けられることにより、記録紙Aの搬送経路Lと合流する部分の被覆シートBの搬送経路の侵入角度を調整している。そして、記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の被覆シートBの搬送経路は、第1分岐ガイド9による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。
また、基材回収部6bは、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路と分岐された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸6fと、この巻取軸6fを駆動する巻取軸駆動機構6gと、この巻取軸駆動機構6gから巻取軸6fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構6hとを有している。本実施形態においては、図3に示すように、この被覆装置の各部の駆動は単一のモータ13からの駆動力が複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により伝達されることにより行われている。したがって、巻取軸駆動機構6gは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を巻取軸6fまで伝達する伝達機構により構成されている。
また、駆動制限機構6hとしては、例えば巻取軸駆動機構6gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸6fとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、駆動制限機構6hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構6gにより駆動される巻取軸6fの回転速度は、巻取軸6fの周囲に基材Cが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの外周の周速が第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。具体的には、巻取軸6fの周囲に基材Cがほとんど巻き取られておらず、基材Cの外周の周速が最も遅い状態での周速が、第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、被覆シートBの基材Cの搬送速度V1は第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの外周の周速との速度差により基材Cの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構6hにより巻取軸6fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
前記補助シートEは、記録紙Aの記録面に被覆シートBの転写層Dを転写して被覆層Fを形成する際に、記録紙Aの幅方向外側や複数枚の記録紙Aの間の記録紙Aの存在しない部分において、対向して搬送されている被覆シートBの転写層Dが転写されるシートである。したがって、補助シートEの材質としては、被覆シートBの転写層Dの表面に設けられている接着層D2が接着しやすい材質を使用することが好ましい。そのため、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを用いると好適である。
また、補助シートEは、被覆シートBの転写層Dを転写する際に、補助シートEの側端縁から外側に転写層Dがはみ出すことを防止するため、被覆シートBの幅と同じかそれ以上の幅を有するものとする。本実施形態においては、補助シートEとしては、被覆シートBの幅よりもやや広い一定幅を有する長尺のシートであって、ロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBの下面(転写面)の全体が補助シートEの上面に対向することになるので、被覆シートBの転写層Dが第1加圧機構8の駆動ローラ8aに転写されることを防止することができる。
前記補助シート搬送機構7は、ロール状に巻き取られた補助シートEを供給可能に保持する供給保持部7aと、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路と分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するシート回収部7bとを有している。本実施形態においては、供給保持部7aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた補助シートEを回転可能に保持する保持軸7cと、この保持軸7cの回転を制限するための回転制限機構7dとを有している。この回転制限機構7dとしては、例えば本体フレーム12と保持軸7cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、補助シートEは、後述する第1加圧機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構7dにより保持軸7cの回転が制限されるので、供給保持部7aから第1加圧機構8の駆動ローラ8aまでの間の補助シートEの張りを保つことができる。
また、供給保持部7aと記録紙Aの搬送経路Lとの間には、フリーローラ7eが回転自在に設けられている。このフリーローラ7eは、その外周に所定の角度範囲で補助シートEが巻き付けられることにより、記録紙Aの搬送経路Lと合流する部分の補助シートEの搬送経路の侵入角度を調整している。そして、記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の補助シートEの搬送経路は、第2加圧機構10の下流側にある第2分岐ガイド11による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。この際、補助シートEは、第1分岐ガイド9による被覆シートBの搬送経路の分岐位置までは、被覆シートBとの間に記録紙Aを挟んだ状態で被覆シートBに対向して搬送される。
前記シート回収部7bは、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸7fと、この巻取軸7fを駆動する巻取軸駆動機構7gと、この巻取軸駆動機構7gから巻取軸7fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構7hとを有している。本実施形態においては、図1に示すように、巻取軸駆動機構7gは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を巻取軸7fまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。
前記駆動制限機構7hとしては、例えば巻取軸駆動機構7gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸7fとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、駆動制限機構7hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構7gにより駆動される巻取軸7fの回転速度は、巻取軸7fの周囲に補助シートEが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの外周の周速が第2加圧機構10の駆動ローラ10aの外周の周速よりも速くなるように、設定されている。
具体的には、巻取軸7fの周囲に補助シートEがほとんど巻き取られておらず、補助シートEの外周の周速が最も遅い状態での周速が、第2加圧機構10の駆動ローラ10aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、補助シートEの搬送速度V1は、第2加圧機構10の駆動ローラ10a及びそれと同じ速度で回転する第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの外周の周速との速度差により補助シートEの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構7hにより巻取軸7fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
以上のような被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7により、互いに対向して搬送される被覆シートBと補助シートEとの間に、供給トレイ1及び供給ガイド2を介して記録紙Aが供給され、この記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとは、積層された状態で第1加圧機構8において両面から加圧される。
第1加圧機構8は、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ8aと、この駆動ローラ8aを回転駆動するローラ駆動機構8cと、駆動ローラ8aに対向して設けられ、駆動ローラ8aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ8aの回転に従動して回転する加圧ローラ8bと、この加圧ローラ8bを駆動ローラ8a側に加圧する加圧機構8dとを有している。本実施形態においては、駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材により覆った構成としている。この金属ローラの表面を覆う弾性部材の厚さは、後述するように金属ローラの内部に設けられるヒータ(本発明の発熱機構の一例)からの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間を搬送される記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、シリコンゴムの場合であれば約1mm程度の厚さとすると好適である。
ローラ駆動機構8cは、本実施形態においては、図3に示すように、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ8aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。また、加圧機構8dは、図6に示すように、加圧ローラ8bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材8eと、この保持部材8eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材8fとを有して構成されている。この加圧機構8dによる加圧力は、本実施形態においては、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとのニップ部における圧力が8〜12kg/cm2程度となるように設定している。
また、この第1加圧機構8の駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bの内部には、それぞれヒータ8g(本発明の発熱機構の一例)が設けられており、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。本実施形態においては、このヒータ8gとしてのハロゲンランプを駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bのそれぞれの軸心部に配設している。このヒータ8gによる加熱温度は、本実施形態においては、各ローラの表面温度で、加圧ローラ8bでは90〜110℃程度、駆動ローラ8aでは50〜70℃程度となるように設定している。
したがって、第1加圧機構8においては、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間で、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを積層状態で搬送しながら両面から加圧するとともに加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、被覆シートBと補助シートEとの間に挟まれた記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆シートBの転写層Dが接着される。すなわち、加熱されることにより被覆シートBの転写層Dを構成する接着層D2が活性化された状態となり、更に第1加圧機構8の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bの加圧によって圧着されることにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが接着される。そして、後述する第1分岐ガイド9において記録紙Aの搬送経路と被覆シートBの搬送経路とが分岐されることにより、記録紙A及び補助シートEから被覆シートBの基材Cが剥離され、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが転写される。この転写層Dが被覆層Fを形成する。
第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第1加圧機構8と第2加圧機構10との間に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの基材Cの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。本実施形態においては、図7、図8に示すように、第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面9aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面9aに対して鋭角をなして上方に延びるように設けられた第2ガイド面9bが形成されている。そして、この第1ガイド面9aと第2ガイド面9bとが接する端縁9cにおいて被覆シートBの基材Cが記録紙A及び補助シートEから剥離され、剥離された基材Cは、第2ガイド面9bに沿って搬送されて基材回収部6bに巻き取り回収される。これにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆層Fが形成される。この第1分岐ガイド9は、第1加圧機構8による加熱により活性化した被覆シートBの接着層D2が冷却されて十分な接着力を発揮するようになる程度の距離を第1加圧機構8に対して有するように配置すると好適である。
第2加圧機構10は、記録紙Aと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ10aと、この駆動ローラ10aを回転駆動するローラ駆動機構10cと、駆動ローラ10aに対向して設けられ、駆動ローラ10aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ10aの回転に従動して回転する加圧ローラ10bと、この加圧ローラ10bを駆動ローラ10a側に加圧する加圧機構10dとを有している。本実施形態においては、駆動ローラ10a及び加圧ローラ10bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材により覆った構成としている。この金属ローラの表面を覆う弾性部材の厚さは、後述するように金属ローラの内部に設けられるヒータからの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとの間を搬送される被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、シリコンゴムの場合であれば約1mm程度の厚さとすると好適である。
ローラ駆動機構10cは、本実施形態においては、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ10aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。ここで、伝達機構は、第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と、第2加圧機構10の駆動ローラ10aの外周の周速とがほぼ同じになるように設定されている。また、加圧機構10dは、図7に示すように、加圧ローラ10bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材10eと、この保持部材10eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材10fとを有して構成されている。この加圧機構10dによる加圧力は、本実施形態においては、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとのニップ部における圧力が3〜7kg/cm2程度となるように設定している。
また、この第2加圧機構10の加圧ローラ10bの内部にはヒータ10gが設けられており、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。本実施形態においては、このヒータ10gとして、ハロゲンランプを加圧ローラ10bの軸心部に配設している。このヒータ10gによる加熱温度は、本実施形態においては、加圧ローラ10bの表面温度で80〜100℃程度となるように設定している。
したがって、第2加圧機構10においては、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを搬送しながら両面から加圧するとともに被覆層F側の面から加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fが隙間無く圧着されて強固に接着される。
前記第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2加圧機構10の下流側に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。本実施形態においては、図9に示すように、第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面11aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面11aに対して鋭角をなして下方に延びるように設けられた第2ガイド面11bが形成されている。そして、図10に示すように、この第1ガイド面11aと第2ガイド面11bとが接する端縁11cにおいて補助シートEが記録紙Aから剥離され、剥離された補助シートEは、第2ガイド面11bに沿って搬送されてシート回収部7bに巻き取り回収される。この際、記録紙Aはその搬送経路Lに沿って水平方向に直進するのに対して、補助シートEは第2分岐ガイド11の第2ガイド面11bに沿って下方に折り曲げられて搬送されることから、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとは互いに離間することとなり、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとが記録紙Aの端縁付近に沿って切断されて分離される。よって、本実施形態においては、この第2分岐ガイド11が、本発明における「分岐手段」を構成する。
前記排出機構3は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2分岐ガイド11の下流側に設けられ、第2分岐ガイド11において補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出するための記録紙Aの搬送機構である。ここでは、記録紙Aの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ3aと、この駆動ローラ3aを回転駆動するローラ駆動機構3cと、駆動ローラ3aに対向して設けられ、駆動ローラ3aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ3aの回転に従動して回転する加圧ローラ3bと、この加圧ローラ3bを駆動ローラ3a側に加圧する加圧機構3dとを有している。
本実施形態においては、ローラ駆動機構3cは、この被覆装置の全体の駆動を行う前記モータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ3aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。ここで、伝達機構は、この排出機構3の駆動ローラ3aの外周の周速が、第2加圧機構10の駆動ローラ10a及び第1加圧機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。この排出機構3の駆動ローラ3aの外周の周速は、具体的には、第2加圧機構10の駆動ローラ10aの外周の周速に対して、0.2〜30%程度、より好ましくは0.5〜20%程度、更に好ましくは1〜10%程度速い速度となるように設定すると好適であり、本実施形態においては5%程度速い速度となるように設定している。これにより、図11に示すように、補助シートEと分離後の記録紙Aの部分に対して補助シートEの搬送速度V1よりも速い搬送速度V2で搬送しようとする力を付与することになり、図9に示すように、記録紙Aの後端付近と補助シートEとが分離する際に記録紙Aを排出機構3の搬送力で補助シートEから引き離すことになるので、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その被覆層Fに連続して記録紙Aの搬送方向後方の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとを排出機構3の搬送力で分離させることができる。したがって、記録紙Aを補助シートEから分離した後で記録紙Aの後方に余分な被覆層Fが残った状態となることを防止できる。
また、加圧機構3dは、本実施形態においては、加圧ローラ3bの回転軸の両端部を下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材3fを有して構成されている。この加圧機構3dによる加圧力は、記録紙Aの後端付近が補助シートEと分離するまでは、駆動ローラ3aが記録紙Aの裏面に対して滑っている状態となり、記録紙Aの後端付近が補助シートEから分離した後は駆動ローラ3aと記録紙Aとが滑ることなく搬送されるような圧力とすると好適である。すなわち、本実施形態においては、この加圧機構3dによる加圧力の調整により、記録紙Aに対して与える搬送方向の力を制限可能な構成としている。そのため、加圧機構3dは、付勢部材3fの取り付け位置を調節可能とする等により加圧力を微調整可能な構成とすることが望ましい。これにより、記録紙Aと補助シートEとが分離する位置が、第2分岐ガイド11による記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路との分岐位置に対して上流側になり過ぎることにより被覆層Fに無理な力が作用して被覆後の記録紙Aの品質が低下することを防止できる。
図2に示すように、前記駆動ローラ8aと、加圧ローラ8bとの外周面のうち、前記補助シートE、及び、被覆シートBが接触しない端部側の領域に接触する熱電対型のローラ温度センサSa、Sbを備えており、また、これと同様に加圧ローラ10bの外周面のうち、補助シートEが接触しない端部側の領域に接触する熱電対型のローラ温度センサScを備え、更に、前記前記下部ケース20に対して外気温を計測するサーミスタ型の環境温度センサSeを備えている。
また、前記第1加圧機構8を基準にして被覆シートBの搬送方向での下流部分の放熱領域Lcに冷却風を供給する複数の冷却ファン25を、この放熱領域Lcの上方に配置してあり、また、第2加圧機構10bの上方にはケース部の内部の空気を排気する排気ファン26を備えている。尚、冷却ファン25は前記パネル25に穿設した多数の吸気口22aから吸引した外気を前記放熱領域Lcに供給するよう機能し、前記排気ファン26は前記上部ケース21に穿設した排気孔21aを介してケース部内の空気を外部に送り出すように機能する。
この被覆装置は図12に示すようにマイクロプロセッサ(CPU)を内蔵した制御ユニット30を備えている。この制御ユニット30は、入出力インタフェース31を備え、この入出力インタフェース31に対して前記ローラ温度センサSa、Sb、Sc、及び、環境温度センサSe夫々からの計測温度がA/D変換器32でデジタル信号化されて入力し、また、前記3つのヒータ8g、8g、10gに供給する電力を制御するPWM回路33夫々に対して制御信号を出力し、前記冷却ファン25、前記排気ファン26、前記モータ13の回転速度を制御する回転制御回路34に対して制御信号を出力する信号系を備えている。前記PWM回路33では前記3つのヒータ8g、8g、10g夫々に供給する電力のデューティ比の設定により調節するよう作動するものであり、前記回転制御回路34は前記冷却ファン25、前記排気ファン26、前記モータ13に供給する電力を調節することや駆動信号の周期を調節することにより夫々の駆動速度を調節するよう作動するものである。
前記マイクロプロセッサ(CPU)は、半導体メモリ(RAM/ROM)、搬送制御手段36、ローラ温度制御手段37、目標温度補正手段38、温度管理手段39夫々に対してデータバスを介して信号のアクセスを行えるように構成されている。尚、これら搬送制御手段36、ローラ温度制御手段37、目標温度補正手段38、温度管理手段39はソフトウエアで構成したものを想定しているが、ロジック等のハードウエアで構成して良く、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせで構成しても良い。
ちなみに、この制御ユニット30では制御を実現するためにデータバスの他にコントロールバスやアドレスバス等を必要とするものであるが、複雑化を避ける目的から図面にはコントロールバスやアドレスバス、あるいは、インタフェース類を示していない。
この制御ユニット30において、前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの温度制御ならびに、冷却ファン25の制御形態を図13のフローチャートのように示すことが可能である。つまり、このフローチャートの制御は加熱圧着手段としての駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとにおいて良好な転写を行った後、前記放熱領域Lcにおいて確実な放熱を行わせることにより、記録紙Aに対して転写層Dを確実に固着させる処理を実現するものである。
つまり、この温度制御ルーチンでは、イニシャライズにおいて予め設定された目標温度を設定する(#01ステップ)。この目標温度は前記駆動ローラ8aの表面温度と前記加圧ローラ8bの表面温度とに設定するための温度であり、前述したように夫々の目標温度は異なっている。フローチャートには示していないが、この被覆装置では、使用される記録紙Aの厚みや性質に対応して設定される数値に基づいて前記モータ13の目標回転速度が設定され、その目標回転速度で前記モータ13を駆動する制御が実行される。
前述したように目標温度が設定された後には、環境温度センサSeの計測温度(Te)を取得し、この計測温度(Te)と予め設定された高温側の基準温度(Ta)とを比較し、計測温度(Te)が基準温度(Ta)以下である場合(Te≦Ta:#04ステップのNo)には冷却ファン25を停止し(既に停止状態にある場合には停止状態を維持し:#02〜#05ステップ)、計測温度(Te)が基準温度(Ta)を超える場合(Te>Ta:#04ステップのYes)には、この温度差から係数Qを求め、この係数Qに正比例した速度で冷却ファン25を駆動する(#06、#07ステップ:温度管理手段39による制御)。また、この処理において、冷却ファン25を駆動する制御が実行された後には、後述するようにヒータ8g、8gを目標温度に維持する制御が実行される(#10、#11ステップ:ローラ温度制御手段37による制御)。
次に、環境温度センサSeの計測温度(Te)と予め設定された低温側の基準温度(Tb)とを比較し、計測温度(Te)が基準温度(Tb)以上である場合(Te≧Tb:#09ステップのNo)である場合には、目標温度を初期値(イニシャライズで設定される温度に)に設定し(既に初期値に設定されている場合には、その値を維持し)、前記ローラ温度センサSa、Sbの計測温度を目標温度に維持するようローラ温度センサSa、Sbの計測温度のフィードバックを行いながらPID式にヒータ8g、8gに供給する電力を制御する処理を実行し(#08〜#11ステップ)、計測温度(Te)が基準温度(Tb)未満である場合(Te<Tb:#09ステップのYes)である場合には、この温度差から係数Rを求め、この係数Rに正比例した目標温度を設定(目標温度補正補正手段38による制御)した後に、前述したようにローラ温度センサSa、Sbの計測温度を目標温度に維持するようローラ温度センサSa、Sbの計測温度のフィードバックを行いながらPID式にヒータ8g、8gに供給する電力を制御する処理を実行する(#12、#13、#11ステップ)。
そして、この処理はリセットされるまで継続的に行われるのである(#14ステップ)。このフローチャートには示していないが、前記排気ファン26は常時駆動することにより、ケース部内の空気の常時排気するものを想定しているが、前記冷却ファン25を駆動した場合にのみ、この排気ファン26を駆動するように制御形態を設定しても良い。
この温度制御ルーチンでは、図14の制御テーブルに制御の特性が示されるように、環境温度センサSeで計測される環境温度Teが低温側の基準温度Tbと高温側の基準温度Taとの中間(Tb≦Te≦Ta)である場合には、冷却ファン25を停止(OFF)した状態で、ヒータ8g、8gを駆動(ON)することにより駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとを初期設定された目標温度に維持する制御を実行する。
また、環境温度センサSeで計測される環境温度Teが高温側の基準温度Taを超えた場合(Te>Ta)には、ヒータ8g、8gを駆動(ON)することにより駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとを初期設定された目標温度に維持する制御を行いながら、冷却ファン25を駆動(ON)するものとなっており、この冷却ファン25の駆動時には、この冷却ファン25の駆動速度を、温度差が大きいほど高速化して迅速な冷却を実行する。
また、環境温度センサSeで計測される環境温度Teが低温側の基準温度Tbを下回った場合(Te<Tb)には、その温度差に正比例して高温となる値を目標温度として新たに設定した状態で、ヒータ8g、8gを駆動(ON)することにより駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとを新たに設定された目標温度に維持する制御を実行する。
このように、本発明によると、環境温度が低く、低い温度の記録紙Aや被覆シートBが駆動ローラ8aと加圧ローラ8bに供給された場合にも、この駆動ローラ8aと加圧ローラ8bの表面温度が転写に必要な温度より低下する不都合を回避して、記録紙Aの記録面に対して被覆シートBの転写層を確実に転写し固着させる処理を可能にすると共に、環境温度が高く、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bで記録紙Aに被覆シートBから転写した転写層の放熱が行われ難い場合でも、冷却ファン25からの冷却風を放熱領域Lcに供給して強制的に放熱を行わせるので、転写層を確実に記録紙Aの記録面に固着させる処理を可能にし、環境温度に拘わらず、良好な転写を実現する被覆装置が構成されたのである。
〔別実施の形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
(イ)加熱圧着手段として、ローラを用いずに被覆シートと記録紙(記録媒体)とを挟み込み位置に配置された一対の加熱プレートを用いることや、一方にプレート状の加熱体を用い、他方にローラ状の加熱体を用いることが可能である。
(ロ)発熱機構として、ニクロム線のように通電によってジュール熱を発生させる構造のものを用いても良い。
(ハ)放熱領域に送られる被覆シートBからの輻射熱から、被覆シートBの表面温度を計測する温度センサを備え、この温度センサの計測結果に基づいて冷却ファンの回転速度を設定する制御系を備えても良い。
8 加熱圧着手段
25 ファン
37 温度制御手段
38 目標温度補正手段
39 温度管理手段
A 記録媒体
B 被覆シート
D 転写層
Sa ローラ温度センサ
Sb ローラ温度センサ
Se 環境温度センサ
25 ファン
37 温度制御手段
38 目標温度補正手段
39 温度管理手段
A 記録媒体
B 被覆シート
D 転写層
Sa ローラ温度センサ
Sb ローラ温度センサ
Se 環境温度センサ
Claims (7)
- 基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段からの熱と圧力との作用により、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に転写し、この転写の後に記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう処理形態が設定されている被覆装置であって、
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備えると共に、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された低温側の基準温度より低下した場合には、前記目標温度を高める側に変更する目標温度補正手段を備えている被覆装置。 - 基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段からの熱と圧力との作用により、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に転写し、この転写の後に記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう処理形態が設定されている被覆装置であって、
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備え、前記加熱圧着手段から搬送方向での下流側の被覆シートの部位に冷却風を供給するファンを備えると共に、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された高温側の基準温度を超えた場合には、前記ファンを駆動する温度管理手段を備えている被覆装置。 - 基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段からの熱と圧力との作用により、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に転写し、この転写の後に記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう処理形態が設定されている被覆装置であって、
前記加熱圧着手段を目標温度に維持する温度制御手段を備え、該装置の外部の環境温度を計測する環境温度センサを備え、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された低温側の基準温度より低下した場合には、前記目標温度を高める側に変更する目標温度補正手段を備え、
前記加熱圧着手段から搬送方向での下流側の被覆シートの部位に冷却風を供給するファンを備え、前記環境温度センサで計測される環境温度が予め設定された高温側の基準温度を超えた場合には、前記ファンを駆動する温度管理手段を備えている被覆装置。 - 前記加熱圧着手段が、圧着位置に配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備え、この圧着ローラ対の少なくとも一方の表面温度を計測するローラ温度センサを備えて構成され、
前記温度制御手段は前記ローラ温度センサで計測された表面温度を目標温度に維持するよう前記発熱機構に供給する電力を調節するフィードバック制御を行い、前記目標温度補正手段は、前記環境温度センサで計測される環境温度が前記基準温度より低下した際には、この基準温度と前記環境温度センサで計測される環境温度との温度差が大きいほど前記目標温度を高温側に変更するよう処理形態が設定されている請求項1又は3記載の被覆装置。 - 前記加熱圧着手段が、圧着位置に配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備え、この熱が与えられた圧着ローラの表面温度を計測するローラ温度センサを備えて構成され、
前記温度制御手段は前記ローラ温度センサで計測された表面温度を目標温度に維持するよう前記発熱機構に供給する電力を調節するフィードバック制御を行うよう制御形態が設定されている請求項2に記載の被覆装置。 - 前記温度管理手段は、前記基準温度と環境温度センサで計測される環境温度との温度差が大きいほど、前記ファンから送り出される冷却風の単位時間あたりの風量を増大させるよう処理形態が設定されている請求項2又は3記載の被覆装置。
- 前記被覆シートと対向した位置に補助シートを供給し、これら被覆シートと補助シートとの間に挟み込む形態で前記記録媒体を前記加熱圧着手段に供給するよう構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の被覆装置。
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