JP2006137882A - ポリイミド樹脂またはこれを使用した光学補償部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 着色の少ないポリイミド樹脂を提供することを目的とする。
【解決手段】 従来のポリイミド樹脂、またはこれを用いて形成したフィルムまたは層が着色するのは、ラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物を含む合成原料を使用してポリイミド樹脂を形成したことが原因であることを見出し、本発明に至った。
即ち、特定構造の酸二無水物を合成原料に用いると共に、ラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物を合わせた含有量が0.5%未満とした酸二無水物を用いて合成したポリイミド樹脂を提供した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学用途に好適に用いることが可能な、着色の少ないポリイミド樹脂、更にはこれを使用した光学補償部材に関する。
ポリイミド樹脂は、一般的に高屈折性、高複屈折性を有していることから、光学部材に広く使用されている。例えば、光通信部材、液晶ディスプレイの光学補償部材、光学用基板などに用いられている。
これらの光学部材に用いられるポリイミド樹脂には、透明性が高く、着色の少ないことが要求される。
例えば、特許文献1に示されるように、液晶ディスプレイに有用なポリイミド膜が提案されているが、着色が多く、実際に液晶ディスプレイに使用する際に問題となることがある。
特表平8−511812号公報
本発明は、従来技術が有する上記課題に鑑みてなされたものであり、光学用途に好適に用いることが可能な、着色の少ないポリイミド樹脂を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、従来のポリイミド樹脂、またはこれを用いて形成したフィルムまたは層が着色するのは、ラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物を含む合成原料を使用してポリイミド樹脂を形成したことが原因であることを見出し、本発明に至った。尚、ラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物は、酸二無水物製造時のベンジル位酸化工程で、酸化不十分であった際に生成することが予想される。
即ち、本発明は、一般式(1)で表される酸二無水物を合成原料に用いると共に、合成原料中の酸二無水物中に混入するラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物の総和を、酸二無水物全量に対し0.5重量%未満として合成したことを特徴とするポリイミド樹脂を提供した。
Figure 2006137882
(Rは、直接結合、−O−、−C(CF32−、−C(CH32−、−SO2−、−CO−の内のいずれか)
また、一般式(1)で表される酸二無水物のRが−C(CF32−であることを特徴とする前記ポリイミド樹脂を提供した。
また、重量平均分子量が30,000以上、250,000未満であることを特徴とする前記ポリイミド樹脂を提供した。
また、イミド化率が99%以上である前記ポリイミド樹脂を提供した。
これらのポリイミド樹脂によれば、例えばこの樹脂を用いて形成したフィルムや層の着色を低減することが可能となる。
本発明のポリイミド樹脂は、合成原料中の酸二無水物中に混入するラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物の総和を、酸二無水物全量に対し0.5重量%未満として合成されている為、従来のイミド樹脂に比較して、着色の少ないポリイミド樹脂を提供することができる。また、このポリイミド樹脂を使用すれば、例えば、益々着色の低減が必要とされる様になってきている光学用途、特に液晶ディスプレイ用のフィルムや層において、その要求に答えることが可能となる。
本発明に係るポリイミド樹脂の要旨とするところは、一般式(1)で表される酸二無水物を合成原料に用いると共に、合成原料中の酸二無水物中に混入するラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物の総和を、酸二無水物全量に対し0.5重量%未満として合成したことを特徴とするポリイミド樹脂である。
Figure 2006137882
(Rは、直接結合、−O−、−C(CF32−、−C(CH32−、−SO2−、−CO−の内のいずれか)
本願発明に好適に用いることのできる酸二無水物は、合成したポリイミドに透明性を付与できるものであれば特に拘らないが、特に、ビフェニル−3,3´,4,4´−テトラカルボン酸二無水物、オキシ−4,4´−ビス(フタル酸無水物)、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、スルホニル−4,4´−ビス(フタル酸無水物)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が好ましく用いられ、特に、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物を選ぶことが反応性、更に生成ポリイミド樹脂の有機溶媒への溶解性(有機溶媒への溶解性が高いポリイミド樹脂を使用すれば、溶液キャストや塗布による賦形が可能であるため、熱履歴を低減でき、透明性の向上に有効である)の面から考えて好ましい。また、これらの酸二無水物を2種類以上用いることもできる。
更に、必要とする透明性が発現する範囲で、他の酸ニ無水物成分を併用してもよく、例えば、p−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,3−ジメチルフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)4,4´−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、1,4−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−クロロフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−ブロモフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)p−ジクロロフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,4−ヒドロキノンジベンゾエ−ト−3.3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。また、これらの酸二無水物も、2種類以上用いることができる。
本発明のイミド樹脂の合成には、各種ジアミン類を使用することができるが、例えば、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−3,3´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−3,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−3,3´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−3,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−3,3´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−3,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリフルオロメチル)−3,3´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリフルオロメチル)−3,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリクロロメチル)−3,3´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリクロロメチル)−3,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリブロモメチル)−3,3´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリブロモメチル)−3,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、3,4´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノベンゾフェノン、3,4´−ジアミノベンゾフェノン、4,4´−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3´−ジアミノ−ベンゾフェノン、3,4´−ジアミノ−ベンゾフェノン、4,4´−ジアミノ−ベンゾフェノン、ビス(2−フルオロ−3−アミノフェニル)エーテル、2−フルオロー3−アミノフェニル−2´−フルオロ−4´−アミノフェニルエーテル、ビス(2−フルオロー4−アミノフェニル)エーテル、2,2−ビス(2−フルオロ−3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(2−フルオロ−3−アミノフェニル)−2−(2−フルオロー4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−フルオロ−4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4−(4−アミノフェノキシ)−4´−(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン,4−(3−アミノフェノキシ)−4´−(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス(4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)−2−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4−(3−アミノフェノキシ)−4´−(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4´−ビス(2−トリフルオロメチル−3−アミノフェニキシ)−ジフェニルエーテル、4−(2−トリフルオロメチル−3−アミノフェニキシ)−4´−(2−トリフルオロメチル−4−アミノフェニキシ)ジフェニルエーテル、4,4´−ビス(2−トリフルオロメチル−4−アミノフェニキシ)−ジフェニルエーテルなどが使用可能である。また、これらのジアミンを、2種類以上用いることも可能である。
本発明のイミド樹脂は、合成原料中の酸二無水物中に混入するラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物の混入量の総和を0.5重量%未満とすることが必要であり、より好ましくは0.3重量%未満である。0.5重量%以上となると、合成したポリイミド樹脂の着色が大きくなることがある。
ポリイミド樹脂の重量平均分子量は30,000以上、250,000未満であることが好ましい。より好ましくは、40,000以上、200,000未満である。重量平均分子量が30,000未満となると、耐久性に問題が生じることがある。また、重量平均分子量が250,000以上となると有機溶媒への溶解性が低下するため、ポリイミド樹脂を有機溶媒へ溶解させて使用する用途では用いることが難しくなることがある。
また、ポリイミド樹脂のイミド化率は99%以上であることが耐久性の面で好ましい。
次にポリイミドの製造方法について説明する。ポリイミドの一般的な製造方法は、(1)ポリアミド酸の重合、(2)ポリアミド酸のイミド化、(3)ポリイミド樹脂の析出の三工程を含んでいる。以下にこの一般的な方法の一例を述べる(但しこれに限定するものではない。)。
(1)ポリアミド酸の重合
ポリアミド酸の製造方法は下記方法に特定されるものではなく、種々の方法を用いることが可能である。その一例を以下に示す。
ジアミンを溶解した有機溶媒中に、酸二無水物を分散し、攪拌することで完全に溶解させ重合させる方法、酸二無水物を有機溶媒中に溶解及び/または分散させた後、ジアミンを用いて重合させる方法、酸二無水物とジアミンの混合物を有機溶媒中で反応させて重合する方法などがあるが、公知の重合方法を用いればよい。
反応時間は、約1時間から5時間反応させることが好ましいが、ポリアミド酸溶液の粘度が、5Pa・s以上になるまで反応を行うことが好ましく、さらに好ましくは10Pa・s以上、最も好ましくは20Pa・s以上まで反応を行うころとが好ましい。ポリアミド酸溶液の粘度が20Pa・s以上であるとポリアミド酸溶液からポリイミド樹脂へと成形する際に取扱う上で最も好ましい。上記粘度は、液温20℃において、E型粘度計で測定した値である。
反応装置には、反応温度を制御するための温度調製装置を備えていることが好ましく、反応溶液温度として60℃以下が好ましく、さらに、40℃以下であることがポリアミド酸の粘度が上昇しやすいことから好ましい。
ポリアミド酸の重合に使用される有機溶媒としては、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられることができ、通常これらの溶媒を単独で用いるが、必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いても良い。これらのうちDMF、DMAc、NMPなどのアミド類が好ましく使用される。
ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の重量%は、有機溶媒中にポリアミド酸が5〜50wt%、好ましくは10〜40wt%、更に好ましくは、15〜30wt%溶解されているのが取り扱い面から好ましい。
ポリアミド酸溶液の製造反応に用いられる酸二無水物類とジアミン類の使用モル比率は、次式で算出した場合に、0.9以上、1.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.95以上、1.3以下であることが好ましく、特に好ましくは、0.97以上、1.2以下であることがポリアミック酸溶液から得られるポリイミド樹脂中の未反応の酸二無水物やジアミンを減少させる上で好ましい。
Figure 2006137882
(2)ポリアミド酸のイミド化
ポリアミド酸をイミド化する方法について記載する。ポリアミド酸をイミド化する方法としては、公知の各種方法が使用可能である。例えば熱的に脱水閉環する熱的イミド化法や、脱水剤を用いる化学的イミド化法等が使用可能である。
熱的イミド化法はイミド化反応時に生成する水と共沸するトルエン等の共沸溶媒をポリアミド酸溶液に添加後、加熱して行うことが一般的である。熱的イミド化法ではイミド化促進剤を併用することができる。
一般的に化学的イミド化法は、熱的イミド化法よりもイミド化反応が進行しやすく、加熱時のポリアミド酸の分解を抑制し、イミド化できる点で好ましい。
化学的イミド化法ではイミド化促進剤を用いることが、反応を短時間で終了させる点で好ましい。イミド化促進剤としては、各種三級アミンが使用可能であるが、ピリジン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などが好ましい。特に、キノリン、ピリジン、イソキノリンがポリイミドの着色を防ぐために好ましい。
また、イミド化する際の温度は40℃〜150℃、加熱時間は1〜10時間であることが好ましい。温度が40℃を下回るとイミド化率が低くなることがあるので好ましくない。一方、150℃以下で加熱することが、ポリイミドの着色を防ぐためには好ましい。更には、120℃以下で加熱することが同様の理由で好ましい。
化学的イミド化法で用いる脱水剤としては、無水酢酸などの脂肪族酸無水物や芳香族酸無水物などが挙げられる。無水酢酸を用いることがポリイミド樹脂の抽出工程に適しているという点から好ましい。
ポリアミド酸に対する脱水剤及びイミド化促進剤の添加量は、ポリアミド酸を構成する化学構造式にも依存するが、脱水剤の量は、脱水剤/ポリアミック酸中のアミド基のモル比で1.0〜4.0となるよう用いることが好ましく、より好ましくは1.2〜3当量である。脱水剤の量が脱水剤/ポリアミック酸中のアミド基のモル比で1.0未満だとイミド化が十分に進行しない場合があり、逆に脱水剤/ポリアミック酸中のアミド基のモル比で4以上だと分子量の低下を引き起こす場合がある。
イミド化促進剤の量は、イミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で0.5〜5であるように用いることが好ましく、さらに好ましくは1〜4当量である。イミド化促進剤の量がイミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で0.5未満だとイミド化が十分に進行しない場合がある。逆にイミド化促進剤の量がイミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で5より多いとポリイミド樹脂粉体の抽出で用いる貧溶媒にもよるが、イミド化率を低下させる傾向にある。
(3)ポリイミド樹脂の析出
上記(1)(2)のようにして得られたポリイミド樹脂を含む溶液から、ポリイミド樹脂を析出する方法としては、公知の各種方法が選択できるが、例えば、ポリイミド樹脂、脱水剤、イミド化促進剤などを含有するポリイミド樹脂の溶液をポリイミド樹脂の貧溶媒中に投入する方法、またはポリイミド樹脂の溶液に貧溶媒を投入することでポリイミド樹脂を固形状態で得ることができる。
ポリイミド樹脂の溶液に貧溶媒を添加し、ポリイミド樹脂を析出させる方法は、貧溶媒の添加速度により、ポリイミド樹脂の粉体の大きさを調整することができる。貧溶媒の添加速度を遅くすると、ポリイミド樹脂の粉体が小さくなり、貧溶媒の添加速度を早くすると、ポリイミド樹脂の粉体が大きくなる。また、ポリイミド樹脂の溶液の温度と貧溶媒を添加した後の攪拌速度により、ポリイミド樹脂の粉体の大きさを調整することができる。
この方法で用いる貧溶媒は、特に限定されるものではないが、合成時に使用した有機溶剤と混和するものであることが好ましく、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ヘキシルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、t−ブチルアルコールなどが挙げられる。上記アルコールの中でもイソプロピルアルコール、2−ブチルアルコール、2−ペンチルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、t−ブチルアルコール等の2級又は3級アルコールが、抽出後のポリイミド樹脂の安定性が高いという観点から好ましく、2−プロピルアルコールがさらに好ましい。貧溶媒量はポリイミド樹脂の溶液の2倍以上、さらに好ましくは3倍以上の量で抽出することが好ましい。
合成時に使用した有機溶媒からポリイミド樹脂を得るには前記の抽出だけでは、乾燥後に所望の形状のポリイミド樹脂を得ることが難しいことがある。これはポリイミド樹脂に溶媒が多く含有していることによるものであり、ポリイミド樹脂を前記貧溶媒で洗浄することで有機溶剤をほんど含有しない所望のポリイミド樹脂を得ることができる。
本発明で凝固させた樹脂固形物の乾燥方法は、真空乾燥によってもよいし熱風乾燥によってもよい。ただし、光学用途に用いる場合、乾燥時の着色が問題となる場合があるので、120℃以下で行うことが望ましい。
上記方法で作製したポリイミド樹脂の分子量は、GPCのPEG(ポリエチレングリコール)換算で測定することができる。
本発明におけるポリイミド樹脂粉体を有機溶剤に溶解して、所望の形状に成型することができる。このような有機溶剤として、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、ジエチルケトンなどのケトン類等を挙げることができる。尚、これらの溶媒は単独で用いても、必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いても良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。先ず最初に各評価方法について説明する。
(ラクトンとベンジルアルコールを合わせた含有量)
1H−NMR法にて評価した。芳香族プロトンの積分値をA、ベンジルプロトン(約5ppm)の積分値をBとし、以下の計算式にて算出した。
含有量(%)=(B/2)/(A/6)×100
(着色量N)
着色量の試験では、ポリイミド樹脂をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解してポリイミド樹脂が10重量%含有されているポリイミド樹脂溶液を作製し、ポリイミド樹脂をバーコーターでガラス板上に均一な膜厚を持ったポリイミド樹脂溶液膜として塗布した後、80℃に加熱した熱風オーブン中で10分間乾燥させて厚さ20μmのポリイミド樹脂フィルムを得た。ポリイミドフィルムを紫外可視吸光光度計(JASCO Ubset−30)で測定を行った。着色量Nは次式:
Figure 2006137882
より算出される。
(分子量)
表1に示した条件にて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を評価した。
Figure 2006137882
(イミド化率)
表2に示した条件にて1H−NMR法にて評価した。芳香族プロトンの積分値をA、ポリアミド酸のアミドプロトン(約11ppm)の積分値をBとし、以下の計算式にて算出した。
イミド化率(%)=((A/12−B/2)/(A/12))×100
Figure 2006137882
(実施例1)
本実施例では、反応容器としてガラス製セパラブルフラスコを備え、該セパラブルフラスコ内の攪拌装置として2枚のパドル翼を備え、ポリアミック酸を製造した。重合反応中は、水分の混入を防ぐ為に、シリカゲル中を通過させて乾燥させた窒素ガスを0.05L/minで流して重合反応を行った。
(1)ポリアミック酸溶液の製造
上記セパラブルフラスコに、予めモレキュラーシーブス4Aで24時間以上乾燥させておいたN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)223.5gを仕込み、これに、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル(TFMB)40.0g(0.125モル)を溶解した。該溶液を水浴で冷却後、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(6FDA;ラクトンとベンジルアルコールを合わせた含有量:0.1%)55.5(0.125モル)gを添加・攪拌して完全に溶解させた。完全に溶解した後、攪拌して重合粘度を80Pa・sまで上昇させた。重合粘度は、攪拌機のトルク出力で確認した。なお、この反応溶液における芳香族ジアミン化合物及び芳香族テトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して30重量%となっている。
(2)ポリアミド酸のイミド化
上記溶液にイミド化触媒としてピリジン20g(イミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比=2)、無水酢酸15.3g(脱水剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比=1.2)、DMF109.2gを添加後5分間攪拌して均一溶液にした。該溶液を100℃に昇温させて4時間加熱した。その後、室温まで溶液温度を冷却した。
(3)ポリイミド樹脂の析出
上記で得られたポリイミド樹脂の溶液に2−プロピルアルコール640gを、約10mL/minの速度で滴下した。そして得られたポリイミド樹脂のスラリーを2−プロピルアルコール640gで洗浄した。その後、前記洗浄を3回繰り返した(640g×3回)。ポリイミド樹脂のスラリーを取り出し、固形分を100℃で真空乾燥して、ポリイミド樹脂として得た。
評価結果を表3に示した。
(比較例1)
(1)ポリアミック酸溶液の製造
2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(6FDA;ラクトンとベンジルアルコールを合わせた含有量:0.6%)を用いること以外は、実施例1と同様にして製造した。
(2)ポリイミド樹脂へのイミド化
実施例1と同様にして製造した。評価結果を表3に示した。
Figure 2006137882

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表される酸二無水物を合成原料に用いると共に、合成原料中の酸二無水物中に混入するラクトンまたはベンジルアルコール構造を含む化合物の総和を、酸二無水物全量に対し0.5重量%未満として合成したことを特徴とするポリイミド樹脂。
    Figure 2006137882
    (Rは、直接結合、−O−、−C(CF32−、−C(CH32−、−SO2−、−CO−の内のいずれか)
  2. 一般式(1)で表される酸二無水物のRが−C(CF32−であることを特徴とする請求項1記載のポリイミド樹脂。
  3. 重量平均分子量が30,000以上、250,000未満であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリイミド樹脂。
  4. イミド化率が99%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂を用いた光学補償部材。
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