JP2006137310A - 自動二輪車のスイングアーム支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】パワーユニットに、該パワーユニットの出力軸と同軸である円筒状の第1ピボット軸ならびに第1ピボット軸と同軸の第2ピボット軸を介して、スイングアームの前部が揺動可能に支承される自動二輪車のスイングアーム支持構造において、部品点数の低減を図り、スイングアームの取り外しおよび組付け作業を容易とする。
【解決手段】外端部をスイングアーム70の外方に突出させる出力軸60が、軸線まわりの相対回転を不能としつつ軸線方向の挿脱を可能として減速伝動装置Mの最終伝動部材63に連結され、第1ピボット軸71はパワーユニットPAに着脱可能に取付けられ、第2ピボット軸72はパワーユニットPAもしくはスイングアーム60に着脱可能に固定される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、エンジンと、後輪に動力を付与する出力軸を備えるとともに該出力軸に前記エンジンの出力を減速して伝達する減速伝動装置とを含んで車体フレームに搭載されるパワーユニットに、後輪を後部で軸支するスイングアームの前部が、前記出力軸と同軸である円筒状の第1ピボット軸ならびに第1ピボット軸と同軸の第2ピボット軸を介して揺動可能に支承される自動二輪車のスイングアーム支持構造に関する。
スイングアームの前部が、パワーユニットの左右両側に該パワーユニットの出力軸と同軸に配置される一対のピボット軸でパワーユニットに揺動可能に支承されるようにしたスイングアーム支持構造が、たとえば特許文献1で既に知られている。
特開平11−342754号公報
ところが上記特許文献1で開示されたスイングアーム支持構造では、パワーユニットの組立完了状態で出力軸は軸方向に移動を規制された状態でパワーユニットのケーシングに支承されており、前記出力軸を同軸に貫通せしめた第1ピボット軸がパワーユニットに着脱可能に固定され、スイングアームの前部に固定される第2ピボット軸が、軸線まわりの回動を可能としてパワーユニットに嵌合、支持されている。このため、第1ピボット軸のパワーユニットへの固定を解除し、スイングアームへの固定を解除してスイングアームおよびパワーユニットから第2ピボット軸を離脱させても、スイングアームが一体のものではパワーユニットに対するスイングアームの組付けおよび取り外しができず、組付けおよび取り外しを可能とするためにスイングアームが左右に2分割された構造となっており、部品点数が多くなるとともに、スイングアームのパワーユニットに対する組付けおよび取り外し作業が煩雑である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数の低減を図るとともに、パワーユニットに対するスイングアームの取り外しおよび組付け作業を容易として、スイングアームをパワーユニットに支承し得るようにした自動二輪車のスイングアーム支持構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、エンジンと、後輪に動力を付与する出力軸を備えるとともに該出力軸に前記エンジンの出力を減速して伝達する減速伝動装置とを含んで車体フレームに搭載されるパワーユニットに、後輪を後部で軸支するスイングアームの前部が、前記出力軸と同軸である円筒状の第1ピボット軸ならびに第1ピボット軸と同軸の第2ピボット軸を介して揺動可能に支承される自動二輪車のスイングアーム支持構造において、外端部を前記スイングアームの外方に突出させる前記出力軸が、軸線まわりの相対回転を不能としつつ軸線方向の挿脱を可能として前記減速伝動装置の最終伝動部材に連結され、第1ピボット軸はパワーユニットに着脱可能に取付けられ、第2ピボット軸は前記パワーユニットもしくは前記スイングアームに着脱可能に固定されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、第2ピボット軸が、固定解除状態では前記パワーユニットから軸線方向に離脱可能として前記パワーユニットもしくは前記スイングアームに着脱可能に固定されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記スイングアームが一体成形されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記出力軸の外端部を回転自在に支承する出力軸ホルダが、前記出力軸の外端部を覆うようにして前記スイングアームの前部に着脱可能に取付けられることを特徴とする。
さらに請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記スイングアームを貫通して前記パワーユニットに螺合される第2ピボット軸の外端部を固定的に保持し得るピボットホルダが、前記スイングアームの揺動範囲から外れた部分で前記パワーユニットに設けられた複数のボス部に着脱可能に取付けられることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、パワーユニットの出力軸が、減速伝動装置の最終伝動部材にその軸線方向の挿脱を可能として連結されているので、パワーユニットから出力軸を軸線方向に挿脱せしめることが可能である。また第1ピボット軸はパワーユニットに着脱可能に取付けられ、第2ピボット軸はパワーユニットもしくはスイングアームに着脱可能に固定されるので、パワーユニットからのスイングアームの取り外し時には、出力軸のパワーユニットからの離脱作業、第1ピボット軸のパワーユニットに対する固定解除作業、ならびに第2ピボット軸をパワーユニットから離脱せしめる作業を行った後に、スイングアームをパワーユニットから外せばよく、またパワーユニットにスイングアームを組付けるときには、上記取り外し作業とは逆の作業を行えばよいので、取り外しおよび組付け作業を容易とするとともにスイングアームを分割することを不要として部品点数を低減することができる。
また請求項2記載の発明によれば、パワーユニットに対するスイングアームの取付けおよび取り外し作業時に、第2ピボット軸が作業の邪魔にならないようにパワーユニットから離脱させておくことができ、取付けおよび取り外し時の作業性向上を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、スイングアームが一体成形されるので、部品点数を低減することができるとともにスイングアームのパワーユニットに対する組付け精度が向上する。また複数部材をボルト等で締結してスイングアームを組み立てるための締結構造が不要となり、スイングアーム自体の高剛性化や、ばね下重量の軽量化に寄与することができる。
請求項4記載の発明によれば、出力軸の支持部材およびカバー部材を兼ねる出力軸ホルダをスイングアームの前部に着脱可能に取付けることにより、外観性を高めるとともに出力軸の支持を確実なものとすることができる。
さらに請求項5記載の発明によれば、第2ピボット軸のパワーユニットへの両持ち支持構造、ならびにパワーユニットに螺合される第2ピボット軸の緩み止めを少ない部品点数で得ることができ、第2ピボット軸のパワーユニットへの支持剛性を高めるとともにスイングアームの揺動支持をより安定化させることができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は自動二輪車の側面図、図2は自動二輪車の前部の拡大縦断側面図、図3は図1の3−3線断面図、図4は図3の4矢示部拡大図、図5は図4の5−5線断面図、図6は図4の6−6線矢視図、図7は図4の7−7線矢視図である。
先ず図1において、このスクータ型自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク15ならびに該フロントフォーク15に連結される操向ハンドル16を操向可能に支承するヘッドパイプ17と、該ヘッドパイプ17から後ろ下がりに延びる左右一対のダウンパイプ18…と、それらのダウンパイプ18…の下方で前記ヘッドパイプ17に連設されるとともに両ダウンパイプ18…よりも急傾斜で後下がりに延びる左右一対のロアパイプ19…と、それらのロアパイプ19…の下端に連設されて後方に延びるとともに前記両ダウンパイプ18…の後端が中間部に連設される左右一対のメインパイプ20…とを備える。
前記ロアパイプ19…の下端にはそれらのロアパイプ19…の延長方向に延びるエンジンハンガブラケット19a…が接合される。前記メインパイプ20…は、ロアパイプ19…および前記エンジンハンガブラケット19a…の接合部近傍から後方に延出されるものである。また左右で対をなすダウンパイプ18…およびロアパイプ19…の中間部間には補強用連結板21…が設けられる。
図2を併せて参照して、前記メインパイプ20は、前記ロアパイプ19のたとえば下端から後上がりに延びる前半傾斜部20aと、後下がりに延びる後半傾斜部20bと、上方に膨らむように彎曲して前半傾斜部20aの後端および後半傾斜部20bの前端間を結ぶ彎曲部20cとが一体に連なって成るものであり、上下方向を左右方向よりも長くした略直角四辺形の角筒から成る。しかも前記前半傾斜部20aの中間部に前記ダウンパイプ18の下端が溶接により連設される。
前記後半傾斜部20bの前部には後上がりに延びるシートレール23の前端が連結され、左右一対のシートレール23…の後部は相互に一体に連結される。またシートレール23…の後部には、前端を後半傾斜部20bの後端に接合せしめて後上がりに延びるリヤパイプ24…の後端がそれぞれ溶接により接合される。さらに左右で対をなすシートレール23…およびリヤパイプ24…の中間部間には補強用連結板25…が設けられる。
車体フレームFには、4サイクルであるエンジンEAと、該エンジンEAの出力を減速して後輪WRに伝達する減速伝動装置Mとから成るパワーユニットPAが、後輪WRを駆動すべく搭載される。前記エンジンEAは、たとえば水冷式単気筒に構成されるものであり、クランクケース28と、上下に延びるシリンダ軸線を有してクランクケース28から起立したシリンダブロック29と、シリンダブロック29の上端に結合されるシリンダヘッド30と、シリンダヘッド30の頂部に結合されるヘッドカバー31とを備える。
ところで前記車体フレームFにおけるダウンパイプ18…の下端近傍で前記両メインパイプ20…の前半傾斜部20a…には第1のエンジンハンガ32…が設けられており、前記エンジンEAにおけるシリンダブロック29の前方でクランクケース28の上部が第1のエンジンハンガ32…に支持され、シリンダブロック29およびシリンダヘッド30は、両メインパイプ20…の彎曲部20c…間に配置される。またロアパイプ19…の下端に連なるエンジンハンガブラケット19a…の下端には、第2のエンジンハンガ33…が一対のボルト43…で取付けられており、前記クランクケース28の前側下部が第2のエンジンハンガ33…にボルト44で締結、支持される。
このようにして剛性の高い部分でエンジンEAを両メインパイプ20…に支持することができ、しかも第1のエンジンハンガ32…は前記ダウンパイプ18…の中心線の延長線を両側から挟む一対のボルト26…の締結によって両メインパイプ20…の前半傾斜部20a…に設けられ、前記エンジンEAのクランクケース28は、前記ダウンパイプ18…の中心線の延長線上に配置されるボルト27の締結により第1のエンジンハンガ32…に支持されるものであり、効率よくかつ剛性をより高くしてクランクケース28を第1のエンジンハンガ32…に支持することができる。
図3において、クランクケース28に回転自在に支承されるクランクシャフト34は、一対のクランクウエブ34a,34aと、それらのクランクウエブ34a,34a間を結ぶクランクピン34bとを一体に備えるものであり、シリンダブロック29に摺動自在に嵌合されるピストン35は、前記両クランクウエブ34a,34a間のクランクピン34bにコネクティングロッド36を介して連結される。
自動二輪車の進行方向に沿う左側で、クランクシャフト34の一端部はクランクケース28から突出されており、このクランクシャフト34の一端部に固定されるロータ37と、該ロータ37内に収容されるステータ38とでAC発電機39が構成され、該AC発電機39は、クランクケース28に結合される左カバー40で覆われ、前記ステータ38は左カバー40に固定される。
また前記シリンダヘッド30に配設される吸気弁および排気弁(図示せず)を開閉駆動する動弁装置の一部を構成するようにして前記シリンダヘッド30に回転自在に支承されるカムシャフト41と、前記クランクケース28およびAC発電機39間のクランクシャフト34との間には、調時伝動装置42が設けられており、クランクシャフト34の回転動力は前記調時伝動装置42によって1/2に減速されて前記カムシャフト41に伝達される。
自動二輪車の進行方向に沿う右側で前記クランクケース28には、該クランクケース28から後方に延びるケース主体45が連結されており、このケース主体45の右側に締結される右カバー46と、前記ケース主体45の後部右側に締結されるギヤケース47と、前記ケース主体45とで変速機ケース48が構成され、ケース主体45および右カバー46間には変速室49が形成され、ケース主体45およびギヤケース47間にはギヤ室50が形成される。
減速伝動装置Mは、クランクシャフト34の回転動力を無段階に変速するベルト式の無段変速機51と、該無段変速機51の出力を減速する減速ギヤ列52と、該減速ギヤ列52で減速された動力を後輪WRに付与するための出力軸60とを備えるものであり、無段変速機51は前記変速室49に収納され、減速ギヤ列52はギヤ室50に収納される。
無段変速機51は、変速室49内に臨むクランクシャフト34の他端部に装着されるドライブプーリ53と、クランクシャフト34と平行な軸線を有して変速機ケース48の後部に回転自在に支承される伝動軸54の変速室49内に臨む部分に装着されるドリブンプーリ55と、ドライブプーリ53およびドリブンプーリ55に巻き掛けられる無端状のベルト56とを備える。
ドライブプーリ53は、図示しない電動モータ等の作動によって前記クランクシャフト34の軸方向にスライドするスライド筒57のスライド動作によって前記ベルト56の巻き掛け半径を変化させるものである。またドリブンプーリ55は、ドライブプーリ53でのベルト56の巻き掛け半径の変化に応じて巻き掛け半径をドライブプーリ53とは反対側に変化させるものであり、このドリブンプーリ55および伝動軸54間に遠心クラッチ58が介装される。
前記伝動軸54の他端側はギヤ室50に臨んで配置されており、ギヤ室50内に収納される減速ギヤ列52は、前記伝動軸54の他端側に一体に形成される駆動ギヤ61と、該駆動ギヤ61に噛合するアイドルギヤ62と、該アイドルギヤ62に噛合する被動ギヤ63とで構成されるものであり、アイドルギヤ62および被動ギヤ63は、前記伝動軸54と平行な軸線まわりに回転自在にしてケース主体45およびギヤケース47に支承される。
図4を併せて参照して、減速伝動装置Mにおける最終伝動部材である前記被動ギヤ63は円筒状の軸部63aを中心部に一体に有するものであり、該軸部63aの一端部は、変速機ケース48におけるケース主体45の後部に一体に形成される軸受ハウジング45aにボールベアリング64を介して回転自在に支承される。また前記変速機ケース48におけるギヤケース47の後部には、前記軸受ハウジング45aに対応した円形の開口部65が設けられており、前記軸部63aの他端部は開口部65内に同軸に配置される。しかも軸部63aの外周および開口部65の内周間にボールベアリング66が介装されるとともに、ボールベアリング66の外方に位置する環状のシール部材67が介装される。
前記被動ギヤ63の軸部63aには、ギヤケース47の後部を貫通してギヤケース47の後部左側に一部を突出せしめる出力軸60がスプライン68により結合される。すなわち出力軸60は、軸線まわりの相対回転を不能としつつ軸線方向の挿脱を可能として被動ギヤ63に同軸に連結される。
ところで後輪WRの車軸69はスイングアーム70の後部に軸支されており、このスイングアーム70は、前記後輪WRの両側方および前方に配置されるようにして略U字状に形成されるスイングアーム主部70aと、前記変速機ケース48の一部を構成するケース主体45およびギヤケース47の後部間を相互に挟むようにしてスイングアーム主部70aの前部に一体に設けられる一対の支持腕部70b,70cとを有して一体成形されるものであり、両支持腕部70b,70cは、第1ピボット軸71と、第1ピボット軸71と同軸の第2ピボット軸72を介してパワーユニットPAの後部に揺動可能に支承され、第1および第2ピボット軸71,72は前記出力軸60と同軸に配置される。
図5を併せて参照して、変速機ケース48におけるギヤケース47の後部外面には、第1ピボット軸71が着脱可能に取付けられる。この第1ピボット軸71は、前記出力軸60のギヤケース47からの突出部を同軸に囲繞するようにして円筒状に形成されており、第1ピボット軸71のギヤケース47側の端部に一体に設けられて側方に張出すフランジ部71aが、第1ピボット軸71の周方向に間隔をあけて配置される複数個たとえば4個のボルト73A,73A,73A,73Bにより変速機ケース48に着脱可能に締結される。しかも前記フランジ部71aは、前記ボルト73A…,73Bを緩めた取付け解除状態では第1ピボット軸71の軸線とほぼ直交する平面に沿って移動し得るように形成されており、第1ピボット軸71は、出力軸60を離脱せしめるとともにパワーユニットPAの変速機ケース48への取付けを解除した状態では、軸線とほぼ直交する方向に移動することがパワーユニットPAから離脱することができる。
前記各ボルト73A…,73Bの大部分、この実施例では4個のうち3個のボルト73A…は、側面視で変速機ケース48の外周部に配置される。一方、変速機ケース48の外周部には、ケース主体45およびギヤケース47を相互に締結するための複数のボルト74,74…が相互に間隔をあけて配置されており、ケース主体45に挿通された前記各ボルト74,74…がギヤケース47に螺合される。而して変速機ケース48の外周部に配置される前記ボルト73A…は、ケース主体45およびギヤケース47を相互に締結すべくケース主体45およびギヤケース47の外周部に沿って配列される複数の前記ボルト74…の配列位置にほぼ対応した位置に配置されるものであり、第1ピボット軸71を変速機ケース48に固定するだけでなくケース主体45およびギヤケース47を締結するために、フランジ部71aおよびギヤケース47に挿通される各ボルト73A…はケース主体45に螺合される。
このように第1ピボット軸71を変速機ケース48に固定するためのボルト73A…,73Bの大部分73A…が、側面視で変速機ケース48の外周部に配置されることにより、変速機ケース48のうち剛性の高い部分に第1ピボット軸71を固定することができ、自動二輪車の走行時等で第1ピボット軸71に荷重が作用しても変速機ケース48のギヤケース47側で変形が生じ難いようにすることができ、それによりギヤケース47内の各ギヤ61〜63の軸部に不要な歪みが生じることがないようにすることができる。しかも前記ボルト73A…は、ケース主体45およびギヤケース47を相互に締結する機能をも果たすものであり、ケース主体45およびギヤケース47の締結および第1ピボット軸71の変速機ケース48への取付けに必要なボルト本数を低減することができる。
前記第1ピボット軸71に挿通される出力軸60と、第1ピボット軸71との間には、ニードルベアリング75と、該ニードルベアリング75の内、外両側に配置される環状のシール部材76,77とが介装される。
スイングアーム70における支持腕部70bには、前記出力軸60と、第1ピボット軸71とを貫通させる支持孔78が設けられており、第1ピボット軸71の外周および支持孔78の内周間には、ニードルベアリング79と、該ニードルベアリング79の内、外両側に配置される環状のシール部材80,81とが介装される。このように第1ピボット軸71がスイングアーム70の支持腕部70bを貫通していることにより、スイングアーム70の揺動支持を安定化させることができ、また出力軸60を確実に支持することができる。
前記出力軸60の外端部は、スイングアーム70における支持腕部70bから外方に突出されるものでり、この出力軸60のスイングアーム70からの突出部には駆動スプロケット82が固定される。一方、図1で示すように、自動二輪車の進行方向に沿う左側で後輪WRの車軸69には従動スプロケット83が固定されており、駆動スプロケット82および従動スプロケット83に無端状のチェーン84が巻き掛けられる。
図6を併せて参照して、スイングアーム70における支持腕部70bの前端外面側には前記出力軸60の外端部を覆う出力軸ホルダ85が取付けられる。この出力軸ホルダ85は、前記出力軸60の外端を覆うようにして円形の皿状に形成される軸受ハウジング部85aと、該軸受ハウジング部85aの周方向に間隔をあけた3箇所から外側方に延出される取付け腕部85b,85c,85dとを一体に有するものであり、前記出力軸60の外端部は前記軸受ハウジング部85aにボールベアリング86を介して回転自在に支承される。
前記取付け腕部85b〜85dのうち85bは、軸受ハウジング部85aから後方に延出されるものであり、この取付け腕部85bの先端部はボルト87によってスイングアーム70の左側面に着脱可能に締結される。また残余の取付け腕部85c,85dは、前記軸受ハウジング部85aから上方および下方に延びるものであり、これらの取付け腕部85c,85dの先端部は、前記スイングアーム70における支持腕部70bの上部および下部にそれぞれ一体に設けられる支持板部70d,70eにボルト88,88によって着脱可能に締結される。
ところで、出力軸60に固定される駆動スプロケット82の前半部は前記出力軸ホルダ85の軸受ハウジング部85aから前方に露出するように配置されるものであり、駆動スプロケット82の前方には該駆動スプロケット82の前半部を前方から覆うようにして半円状に形成される保護板89が配置される。
前記支持板部70d,70eには円筒状のスペーサ90…(図4参照)の一端が当接されており、それらのスペーサ90…の他端および前記取付け腕部85c,85d間に前記保護板89が挟まれる。しかも取付け腕部85c,85d、保護板89およびスペーサ90…に挿通される前記ボルト88…が支持板部70d,70eに螺合される。
第2ピボット軸72は、スイングアーム70における支持腕部70cを貫通してパワーユニットPAに着脱可能に固定されるものであり、この実施例では、パワーユニットPAの変速機ケース48におけるケース主体45にインサート結合された円筒体91に螺合されるボルトであるる。
スイングアーム70の前記支持腕部70cには、第2ピボット軸72を貫通せしめる支持孔92が設けられており、第2ピボット軸72の外周および支持孔92の内周間には、一対のボールベアリング93,93が介装され、それらのボールベアリング93…の内輪は、第2ピボット軸72の外周に設けられる環状段部72aと、前記円筒体91の外端に一端を当接させて第2ピボット軸72を同軸に囲繞する円筒状のスペーサ94の他端との間に挟まれる。また前記両ボールベアリング93…の内方側でスペーサ94の外周および支持孔92の内周間には環状のシール部材95が介装され、前記両ボールベアリング93…の外方側で第2ピボット軸72の外周および支持孔92の内周間には環状のシール部材96が介装される。
図7を併せて参照して、第2ピボット軸72の外端部は前記変速機ケース48のケース主体45に着脱可能に取付けられるピボットホルダ97で固定的に保持される。このピボットホルダ97は、周方向1箇所に割り溝98を有して略円形に形成される保持部97aと、該保持部97aから側方に張り出す取付け部97bとを一体に有するものであり、前記保持部97aには、前記割り溝98を跨ぐボルト99が螺合される。而して保持部97aに第2ピボット軸72の外端部を挿通せしめた状態でボルト99を締めつけることで第2ピボット軸72の外端部が保持部97aで固定的に保持される。
一方、スイングアーム70の揺動範囲から外れた部分で前記パワーユニットPAの変速機ケース48におけるケース主体45には、複数たとえば2つのボス部100,101が前記ピボットホルダ97の取付け部97bに当接するようにして一体に当接されており、それらのボス部100,101には前記取付け部97bが2つずつのボルト102,102…によって着脱可能に固定される。
前記変速機ケース48の後部には上方に延びる一対のブラケット106…が設けられており、それらのブラケット106…は、メインパイプ20…の後端部に支持される。また図1で明示するように、変速機ケース48の後方側下部には、一対のメインスタンド軸107…が同軸に設けられており、それらのメインスタンド軸107…でメインスタンド108が回動可能に軸支される。また前記両メインパイプ20…における彎曲部20c…間にはクロスパイプ109が架設されており、このクロスパイプ109と、前記スイングアーム70の前部に設けられたクッション用ブラケット111との間に、前後に延びる軸線を有するリヤクッション110が設けられる。
図2に注目して、シリンダヘッド30の前方側側面には、該シリンダヘッド30から前方に延びる吸気管112の下流端が接続され、該吸気管112の接続部付近でシリンダヘッド30に燃料噴射弁113が取付けられる。また前記吸気管112の上流端はスロットルボディ114を介してエアクリーナ115に接続される。
エアクリーナ115の前部下方には、水冷式であるエンジンEAで温められたエンジン冷却水を冷却するためのラジエータ116が該エンジンEAよりも前方に位置するようにして配置される。ラジエータ116の下部には、車体フレームFが備えるエンジンハンガブラケット19a…側に向けて突出する取付け腕部117…が設けられ、この取付け腕部117…は、エンジンハンガブラケット19a…に設けられたブラケット118…にマウントゴム119…を介して支持される。またラジエータ116の上部には、その上方のロアパイプ19…側に向けて突出する取付け腕部120…が設けられ、ロアパイプ19…に設けられたブラケット121…に、前記取付け腕部120…がマウントゴム(図示せず)を介して支持される。すなわちラジエータ116は、車体フレームFのロアパイプ19…およびエンジンハンガブラケット19a…に支持される。
エンジンEAにおけるシリンダヘッド30の後部側面には排気管122の上流端が接続され、この排気管122の下流端は後輪WRの右側に配置される排気マフラー123に接続される。
図1に注目して、車体フレームFおよびパワーユニットPAは、合成樹脂から成る車体カバー125で覆われるものであり、この車体カバー125は、ヘッドパイプ17の前部および前輪WFの上部を覆うフロントカバー126と、ヘッドパイプ17を後方側から覆ってフロントカバー126に連なるセンターカバー127と、前記フロントカバー126の左右両側に接合されて乗員の脚部前方を覆う左右一対のレッグシールド128…と、両レッグシールド128…およびセンターカバー127に連なるフロアトンネル部129と、車体フレームFの後部の左右両側を覆うリヤカバー130とを備える。
乗車用シート131の下方には、該乗車用シート131の底板132で上端開口部が開閉可能に閉鎖されるようにして収納ボックス134が配置され、該収納ボックス134は、前記メインパイプ20…およびシートレール23…で支持される。
ところで収納ボックス134は、車体フレームFのクロスパイプ109およびスイングアーム70間に設けられて前後に延びるリヤクッション110の上方に配置されるものであり、収納ボックス134の底部は、リヤクッション110を上方から跨ぐようにして下方に開いた略U字状の横断面形状を有するように形成される。
また収納ボックス134の後方には、乗車用シート131を開くことにより給油することを可能とした燃料タンク135が配置されており、この燃料タンク135は、リヤパイプ24…の後部に弾性支持される。
次にこの第1実施例の作用について説明すると、パワーユニットPAが備える出力軸60は、軸線まわりの相対回転を不能としつつ軸線方向の挿脱を可能として減速伝動装置Mの最終伝動部材である被動ギヤ63に連結されるとともに、スイングアーム70の外方に外端部を突出するように配置されている。一方、スイングアーム70の前部は、出力軸60を同軸に貫通せしめる円筒状の第1ピボット軸71と、第1ピボット軸71と同軸である第2ピボット軸72を介して、パワーユニットPAにおける変速機ケース48に揺動可能に支承されるものであり、第1ピボット軸71は、取付け解除状態ではその軸線とほぼ直交する平面に沿って移動してパワーユニットPAの前記変速機ケース48から離脱することを可能として変速機ケース48に着脱可能に取付けられ、第2ピボット軸72は、固定解除状態ではパワーユニットPAの変速機ケース48から軸線方向に離脱することを可能として変速機ケース48に着脱可能に固定されている。
このようなスイングアーム70のパワーユニットPAへの揺動支持構造によれば、パワーユニットPAからのスイングアーム70の取り外し時には、出力軸ホルダ85をスイングアーム70から取り外した状態での出力軸60のパワーユニットPAからの離脱作業、第1ピボット軸71のパワーユニットPAに対する固定解除作業、ならびに第2ピボット軸72をパワーユニットPAから離脱せしめる作業を行った後に、スイングアーム70をパワーユニットPAから外せばよく、またパワーユニットPAにスイングアーム70を組付けるときには、上記取り外し作業とは逆の作業を行えばよい。したがってパワーユニットPAに対するスイングアーム70の取り外しおよび組付け作業を容易とすることができるとともに、スイングアーム70を分割することを不要として部品点数を低減することができる。また第2ピボット軸72が、その固定解除状態ではパワーユニットPAから軸線方向に離脱可能としてパワーユニットPAに着脱可能に固定されることにより、パワーユニットPAに対するスイングアーム70の取付けおよび取り外し作業時に、第2ピボット軸72を作業の邪魔にならないようにパワーユニットPAから離脱させておくことができ、取付けおよび取り外し時の作業性向上を図ることができる。
しかもスイングアーム70が一体成形されることにより、部品点数を低減することができるとともにスイングアーム70のパワーユニットPAに対する組付け精度を向上せしめることができる。また複数部材をボルト等で締結してスイングアーム70を組み立てるための締結構造が不要となり、スイングアーム70自体の高剛性化や、ばね下重量の軽量化に寄与することができる。
また出力軸ホルダ85が、出力軸60の外端部を覆うとともに出力軸60の外端部を回転自在に支承するようにしてスイングアーム70の前部に着脱可能に取付けられているので、出力軸ホルダ85は、出力軸60の支持部材およびカバー部材を兼ねることになり、外観性を高めるとともに出力軸60の支持を確実なものとすることができる。
さらにスイングアーム70を貫通してパワーユニットPAにおける変速機ケース48に螺合される第2ピボット軸72の外端部が、スイングアーム70の揺動範囲から外れた部分でパワーユニットPAの変速機ケース48に設けられた複数のボス部100,101に着脱可能に取付けられるピボットホルダ97で固定的に保持されるので、第2ピボット軸72のパワーユニットPAへの両持ち支持構造、ならびにパワーユニットPAに螺合される第2ピボット軸72の緩み止めを少ない部品点数で得ることができ、第2ピボット軸72のパワーユニットPAへの支持剛性を高めるとともにスイングアーム70の揺動支持をより安定化させることができる。
図8は本発明の第2実施例の自動二輪車の側面図を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
このスクータ型自動二輪車の車体フレームFには、4サイクルであるエンジンEBと、該エンジンEBの出力を減速して後輪WRに伝達する減速伝動装置Mとから成るパワーユニットPBが、後輪WRを駆動すべく搭載される。前記エンジンEBは、たとえば水冷式2気筒のV型に構成されるものであり、クランクケース28から上方に立ち上がる後部バンクBRと、該後部バンクBRとV形をなすようにしてわずかに前上がりに前傾したシリンダ軸線を有してクランクケース28から前方に延びる前部バンクBFとを有する。
このパワーユニットPBに、後部で後輪WRを軸支するスイングアーム70の前部が、上記第1実施例と同様の支持構造で揺動支持される。
この第2実施例によっても上記第1実施例と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施例では、第2ピボット軸72がパワーユニットPA,PBに着脱可能に固定される構成としたが、スイングアーム70に着脱可能に固定される第2ピボット軸72が挿脱可能としてパワーユニットPA,PBに支承される構成とすることも可能である。また第2ピボット軸が、パワーユニットPA,PBもしくはスイングアーム70にボルト等で着脱可能に締結されるものであってもよい。
第1実施例の自動二輪車の側面図である。 自動二輪車の前部の拡大縦断側面図である。 図1の3−3線断面図である。 図3の4矢示部拡大図である。 図4の5−5線断面図である。 図4の6−6線矢視図である。 図4の7−7線矢視図である。 第2実施例の自動二輪車の側面図である。
符号の説明
60・・・出力軸
63・・・最終伝動部材としての被動ギヤ
70・・・スイングアーム
71・・・第1ピボット軸
72・・・第2ピボット軸
85・・・出力軸ホルダ
97・・・ピボットホルダ
100,101・・・ボス部
EA,EB・・・エンジン
F・・・車体フレーム
M・・・減速伝動装置
PA,PB・・・パワーユニット
WR・・・後輪

Claims (5)

  1. エンジン(EA,EB)と、後輪(WR)に動力を付与する出力軸(60)を備えるとともに該出力軸(60)に前記エンジン(EA,EB)の出力を減速して伝達する減速伝動装置(M)とを含んで車体フレーム(F)に搭載されるパワーユニット(PA,PB)に、後輪(WR)を後部で軸支するスイングアーム(70)の前部が、前記出力軸(60)と同軸である円筒状の第1ピボット軸(71)ならびに第1ピボット軸(71)と同軸の第2ピボット軸(72)を介して揺動可能に支承される自動二輪車のスイングアーム支持構造において、外端部を前記スイングアーム(70)の外方に突出させる前記出力軸(60)が、軸線まわりの相対回転を不能としつつ軸線方向の挿脱を可能として前記減速伝動装置(M)の最終伝動部材(63)に連結され、第1ピボット軸(71)はパワーユニット(PA,PB)に着脱可能に取付けられ、第2ピボット軸(72)は前記パワーユニット(PA,PB)もしくは前記スイングアーム(70)に着脱可能に固定されることを特徴とする自動二輪車のスイングアーム支持構造。
  2. 第2ピボット軸(72)が、固定解除状態では前記パワーユニット(PA,PB)から軸線方向に離脱可能として前記パワーユニット(PA,PB)もしくは前記スイングアーム(70)に着脱可能に固定されることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のスイングアーム支持構造。
  3. 前記スイングアーム(70)が一体成形されることを特徴とする請求項1または2記載の自動二輪車のスイングアーム支持構造。
  4. 前記出力軸(60)の外端部を回転自在に支承する出力軸ホルダ(85)が、前記出力軸(60)の外端部を覆うようにして前記スイングアーム(70)の前部に着脱可能に取付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動二輪車のスイングアーム支持構造。
  5. 前記スイングアーム(70)を貫通して前記パワーユニット(PA,PB)に螺合される第2ピボット軸(72)の外端部を固定的に保持し得るピボットホルダ(97)が、前記スイングアーム(70)の揺動範囲から外れた部分で前記パワーユニット(PA,PB)に設けられた複数のボス部(100,101)に着脱可能に取付けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動二輪車のスイングアーム支持構造。
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