JP2006135031A - 電磁波吸収板 - Google Patents

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正昭 片野
Masaji Onishi
正司 大西
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Abstract

【課題】、携帯電話、無線LANあるいはETCなどで使用されている、1〜10GHzの周波数範囲の電磁波に対して、透明な電磁波吸収板を提供する。
【解決手段】本発明の電磁波吸収板は、透明な板状の誘電体と該誘電体の1つの表面に形成されている抵抗被膜とからなる電磁波吸収板において、誘電体の抵抗被膜が形成されていない表面から電磁波が入射するときの入射側のインピーダンスを用いて、電磁波吸収量を求め、電磁波吸収量が10dB以上となるように誘電体の厚みと抵抗被膜の面積抵抗とが決定されて成ることを特徴とする電磁波吸収板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主に建物の外壁の開口部あるいは屋内の間仕切り等に用いるための、透明な電磁波吸収板に関する。
近年、情報伝達技術の飛躍的進歩に伴い、多様な情報伝達が可能となっている。なかでも無線による情報伝達は、利便性の観点から、非常に優れ、盛んに利用されている。
無線による情報伝達の手段としては、携帯電話、PDA(携帯情報端末)、無線LAN、放送波、自動車レーダー、ETC車載装置、および様々な電子機器などがあげられる。
一方、これら無線による情報伝達の普及にともない、無線による情報伝達に用いられる機器から発せられる電磁波は、建物の開口部から建物内に侵入して、他の電子機器の電磁ノイズとなるため、電磁波を効果的に吸収できる透明性を有する電磁波吸収板が望まれている。
無線による情報伝達のなかでも、無線LAN(構内情報通信網)は、室内におけるLAN工事(コードの配線工事など)が不要なため、オフィスや一般家庭内において、コスト削減や使い易さに大きく貢献している。
しかしながら、無線LANは、室内においては反射材(机、ロッカー、イス等)の影響によるLANスピードの低下、室外への電波漏洩による盗聴、ビルや建物間の電波干渉(2.45GHz帯域は4チャンネルのため)による弊害、外部からの不正アクセスやなりすまし等の発生など、多くの問題が発生する。
このような問題の対策として、PC(パーソナルコンピュータ)などの通信端末とサーバとの間での発行者証明書の交換、データの暗号化または定期的な暗号キ−の自動変更、IDやパスワードの発行等で対策を実施している。
しかし、発行者証明書の交換は、機種の互換性がなく、異機種の間では困難である。データの暗号化または定期的な暗号キ−の自動変更、IDやパスワードなどの対策は、第三者によって解読されてしまうという危険性が伴う。
このため、室内の間仕切りやビルや建物などの開口部に、透明な電磁波吸収板が必要とされている。
さらに、高速道路における料金徴収所のETCレーンにおいて、一般レーンの車などからの反射波による誤動作を防止するために、ETCレ−ンと一般レーンの隔壁用として、透明な電磁波吸収板が必要とされている。
電磁波吸収板の電磁波吸収量は、電磁波吸収板からの反射量がどの程度低下するかによって定義され、電波吸収体の反射係数から電磁波吸収量が求められる。(非特許文献1)
一般に、電磁波を吸収する電磁波吸収板としては、例えば、透明フィルムに積層したITO導電膜を2層用い、一方を電波吸収材、他方を電波反射材として用い、その間隔を吸収すべき電磁波の波長の1/4に調整できるようにした透明電波吸収体が知られている。
(特許文献1)
電波吸収材と電波反射材との間隔を吸収周波数の1/4にする電波吸収体は、吸収する電波がVHF帯の場合、10cmから1m以上となってしまう。この厚みをを薄くするために、電波吸収材と電波反射材との間に、ストライプ状または格子形状に導電性被膜を形成した絶縁性基板を配置して、電波吸収材と電波反射材との間の実効誘電率を大きくした電波吸収性板が提案されている(特許文献2)。
特開2001−44750号公報 特開平10−275998号公報 橋本修:"電波吸収体のはなし," 日刊工業新聞社,2001
電波吸収材と電波反射材との間隔を波長の1/4にする電波吸収体を、中心周波数が2.45GHzの無線LANに用いる場合、電波吸収体の厚さは波長の1/4の大きさを必要とするため、約31mmの厚さが必要となり、この電波吸収体を部屋や通路などの間仕切り、あるいは建築物の窓等へ取り付けるには、厚みが大きすぎるという欠点がある。
また、電波吸収材と電波反射材との間に、導電性被膜がストライプ状または格子形状に形成されてなる絶縁性基板を配し、電波吸収体の厚みを減じることができるが、構成が複雑で量産が困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、携帯電話、無線LANあるいはETCなどで使用されている、1〜10GHzの周波数範囲の電磁波に対して、透明な電磁波吸収板を提供する。
本発明の電磁波吸収板は、透明な板状の誘電体と該誘電体の1つの表面に形成されている抵抗被膜とからなる電磁波吸収板において、誘電体の抵抗被膜が形成されていない表面から電磁波が入射するときの、(1)式で求められる入射側のインピーダンスZxiを用いて、(2)式で求められる電磁波吸収量Aiが10dB以上となるように誘電体の厚みと抵抗被膜の面積抵抗とが決定されて成ることを特徴とする電磁波吸収板。
Figure 2006135031
ここに、εは透明板状体の複素誘電率であり、μは透明板状体の比透磁率であり、j=(−1)1/2であり、λiは電磁波の波長であり、dは誘電体の厚さ(m:メートル)であり、Zrは抵抗被膜側の入力インピーダンスである。
Figure 2006135031
ここに、Γiは、(Zxi−1)/(Zxi+1)で求められる、誘電体表面の電磁波の反射係数である。
また、本発明の電磁波吸収板は、前記の電磁波吸収板において、誘電体が1枚の板ガラスあるいは2枚以上の板ガラスを中間膜により積層されたものであって、誘電体の厚みが4〜20mmの範囲にあり、抵抗被膜の面積抵抗が20Ω/□以上であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収板。
また、本発明の電磁波吸収板は、誘電体が1枚のポリカーボネート板あるいは2枚以上のポリカーボネート板を中間膜により積層してなり、誘電体の厚みが3〜20mmの範囲にあり、抵抗被膜の面積抵抗が80Ω/□以上であることを特徴とする電磁波吸収板である。
また、本発明の電磁波吸収板は、誘電体が1枚以上の板ガラスと1枚以上のポリカーボネート板を中間膜により積層してなり、誘電体の厚みが4〜20mmの範囲にあり、抵抗被膜の面積抵抗が50Ω/□以上であることを特徴とする電磁波吸収板である。
本発明の電磁波吸収板は、簡易な構成でなる、1〜10GHzの周波数範囲で有効に機能する透明な電磁波吸収板、特に無線LANの周波数2.45GHzと5.2GHz、およびETCの5.8GHzに対して有効な透明の電磁波吸収板を提供する。
本発明の電磁波吸収板が有効になる周波数は、およそ1〜10GHzであり、携帯電話の800MHz〜1GHz、1.5GHz帯、PHS電話の1.9GHz帯の、PDA(情報携帯端末)の2.45GHz帯、PCの無線LANに用いる、2.45GHz帯と5.2GHz帯があり、さらに、ETC車載搭載機器5.8GHz帯などである。
本発明の電磁波吸収板は、図1、図2に示すように、透明な板状の誘電体1の片面に抵抗被膜2が形成されてなるものである。透明な板状の誘電体は、図1に示すような、1枚の透明な誘電体1か、あるいは、2枚以上の透明な誘電体が中間膜で積層されてなる透明な板であり、図2は、2枚の誘電体1、1′を積層したものである。
透明な誘電体には、ソーダ石灰系ガラス、アルミノ珪酸系ガラス、ホウ珪酸系ガラス等の各種板ガラスやポリカーボネイト板やアクリル板などの透明な各種プラスティック板が使用できる。
2枚以上の誘電体の積層は、ポリビニルブチラールあるいはEVA等の中間膜を用いて積層することができ、同種の誘電体を積層してもよいが、板ガラスとプラスティック板とを積層してもよい。
抵抗被膜は、Ag、Au、Cr、Ti、Al、Cu、SUS、Ni等の1種類以上の金属から成る透明性の金属膜、または、該金属膜とたとえばZnO、SnO、In、TiO、Bi、Ta2、WO、ZnS等の金属酸化物膜とを積層した多層薄膜を用いることができる。
多層膜としては、たとえばZnO膜/Ag膜/ZnO膜、TiO2膜/Cr膜/SnO2膜、ZnO膜/Al膜/ZnO膜等の3層を積層したもの、ZnO膜/Ag膜/ZnO膜/Ag膜/ZnO膜、ZnO膜/Al膜/ZnO膜/Al膜/ZnO膜、SnO2膜/Al膜/SnO2膜/Al膜/SnO2膜などの5層を積層したもの、あるいは、ITO膜やネサ膜を適選して用いることができる。
前述した抵抗被膜を形成する手段としては、特定するものではないが、物理蒸着法(スパッタリング法、真空蒸着法など)や化学蒸着法を選択して用いることができる。
また、透明な樹脂フィルムに抵抗被膜を形成したものを誘電体に接着してもよい。このときの抵抗被膜も、ガラス板あるいはポリカーボネートなどの透明な樹脂板に形成する抵抗被膜と同じ膜を用いることができる。
樹脂フィルムには、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルなどの透明な樹脂フィルムを使用することができる。
抵抗被膜としては、Ag膜、Au膜、Al膜、Cr膜などの金属膜、金属膜とZn、Sn、Al、Tiなどの金属酸化物膜とを交互に積層した積層膜、ITO膜等を、スパッタリング法、真空蒸着法あるいはイオンプレーティング法などの成膜方法を用いて成膜した膜が、好適に用いることができる。
本発明の電磁波吸収板の電磁波吸収性能を次のようにして求められる。図3は、電磁波吸収板のインピーダンスを求める方法を説明するための図である。
図3の、透明な誘電体の抵抗被膜側(自由空間側の)インピーダンスは、図4に示す等価回路図から、次の(3)式で求められる。
Figure 2006135031
ここに、Dは抵抗被膜の面積抵抗(Ω/□)であり、377は空気の特性インピーダンスである。
図3の誘電体側(電磁波入射側)の、電磁波の入力インピーダンスZxiは、図4に示す等価回路から、次の式(1)で求められる値である。
Figure 2006135031
ここに、εは透明板状体の複素誘電率、μは透明板状体の比透磁率である。板ガラスの場合、ε=7−0.1j(j=(−1)1/2)、μ=1である。λiは電磁波の波長であり、dは透明板状体の厚さ(m)である。
さらに、透明板状体の表面で反射される電磁波の反射係数Γiは、次の式(4)で求められる値であり、
Figure 2006135031
反射係数Γiから、電磁波吸収量Aiは次の(2)式によって求めることができる。
Figure 2006135031
誘電体に板ガラスを用い、板ガラスの片面に抵抗被膜を成膜し、ガラス面を電波の到来方向側にするときの電磁波吸収量は、誘電体の厚みが5mm、10mmおよび15mmについては、図5〜図7のようになる。
また、図8〜図11は、誘電体にポリカーボネートを用いる場合の電磁波吸収性能である。
なお、板ガラスの場合、複素誘電率と比透磁率はそれぞれ、ε=7−0.1j(j=(−1)1/2)、μ=1とした。ポリカーボネートの場合は、複素誘電率と比透磁率は、それぞれ、ε=3.1−0.01j(j=(−1)1/2)、μ=1とした。
電磁波吸収性能を10dB(電磁波エネルギーを1/10に減衰)以上とすれば携帯電話、室内LANあるいはETCなどの電磁波の弱い出力の電磁波に対して、十分な性能であり、電磁波吸収板として有効に使用することができる。
誘電体に板ガラスを用いる場合、1〜10GHzの周波数範囲に対する電波吸収性能は、図5〜図7に示すようになり、10dB以上の電波吸収性能とするためには、板ガラスの厚みを4mm以上とすることが望ましく、また、窓などの開口部に実用的に用いるためには、22mm以下の厚みとすることが望ましい。
抵抗被膜の面積抵抗は、図5〜図7によれば、20Ω/□以上であることが望ましい。
表1は、無線LANの周波数2.45GHzに対し、吸収性能が10dB以上となる抵抗被膜の面積抵抗とガラス板の厚みを示すものである。
Figure 2006135031
表1により、無線LANの2.45GHzの周波数に対しては、ガラス板の厚みを9〜14mmの範囲とし、面積抵抗を30Ω/□〜140Ω/□とすること、あるいは、ガラス板の厚みを21〜22mmの範囲とし、面積抵抗を500Ω/□以上とすることが、好ましい。
さらに、ガラス板の厚みを10〜13mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を50〜80Ω/□とすることにより、20dB以上の吸収性能が得られるので、好ましい。
表2は、無線LANの周波数5.2GHzに対し、吸収性能が10dB以上となる抵抗被膜の面積抵抗とガラス板の厚みを示すものである。
Figure 2006135031
表2により、無線LANの5.2GHzの周波数に対しては、ガラス板の厚みを5〜6mmの範囲とし、面積抵抗を30Ω/□〜140Ω/□とすること、あるいは、ガラス板の厚みを10〜12mmの範囲とし、面積抵抗が500Ω/□以上の抵抗被膜を用いればよい。
さらに、ガラス板の厚みを10〜12mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を5kΩ/□以上とすることにより、20dB以上の吸収性能が得られるので、好ましい。
図12は、厚み11mmのガラス板に抵抗被膜を形成したときの、抵抗被膜の表面抵抗に対して、(3)式で求められる周波数が5.2GHzの電磁波吸収性能を示すものである。ガラス板の厚みを11mmとすると、抵抗被膜の面積抵抗は1MΩ/□以上でも電磁波吸収性能として有効であり、抵抗被膜には、面積抵抗の小さい金属を用いるよりも、耐久性のある金属の酸化物あるいは窒化物を用いることが望ましい。
表3はETCの周波数5.8GHzに対し、吸収性能が10dB以上となる抵抗被膜の面積抵抗とガラス板の厚みを示すものである。
Figure 2006135031
表3により、無線LANの5.8GHzの周波数に対しては、ガラス板の厚みを4〜6mmの範囲とし、面積抵抗を30Ω/□〜140Ω/□とすること、あるいは、ガラス板の厚みを9〜10mmの範囲とし、面積抵抗を500Ω/□以上とすることが、好ましい。
さらに、ガラス板の厚みを4〜6mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を50Ω/□〜80Ω/□とすることにより、また、ガラス板の厚みを10mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を3kΩ/□〜7kΩ/□とすることにより、20dB以上の吸収性能が得られるので、好ましい。
誘電体にポリカーボネートを用いる場合、1〜10GHzの周波数範囲に対する電波吸収性能は、図8〜図11に示すようになり、ポリカーボネートの厚みを5mm以上とすることが望ましく、また、窓などの開口部に用いるためには22mm以下の厚みとすることが望ましい。
表4は、無線LANの周波数2.45GHzに対し、吸収性能が10dB以上となる抵抗被膜の面積抵抗とポリカーボネートの厚みを示すものである。
Figure 2006135031
表5は、無線LANの周波数5.2GHzに対し、吸収性能が10dB以上となる抵抗被膜の面積抵抗とポリカーボネートの厚みを示すものである。
Figure 2006135031
表6は、ETCの周波数5.8GHzに対し、吸収性能が10dB以上となる抵抗被膜の面積抵抗とポリカーボネートの厚みを示すものである。
Figure 2006135031
無線LANの周波数2.45GHz、5.2GHzおよび、ETCの周波数5.8GHzに対し表4、表5および表6により、誘電体がポリカーボネートの場合、吸収性能を10dB以上とするためには、ポリカーボネートの厚みを3〜20mmの範囲とし、面積抵抗を80Ω/□以上とすることが、好ましい。
さらに、無線LANの周波数2.45GHzに対しては、ポリカーボネートの厚みを15〜20mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を100〜300Ω/□とすると、20dB以上の吸収性能が得られるので、好ましい。
また、無線LANの周波数5.2GHzに対しては、ポリカーボネートの厚みを7〜10mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を100〜300Ω/□とするか、あるいは、ポリカーボネートの厚みを15〜18mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を3kΩ/□とすると、20dB以上の吸収性能が得られるので、好ましい。
また、ETCの周波数5.8GHzに対しては、ポリカーボネートの厚みを6〜9mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を100〜300Ω/□とするか、あるいは、ポリカーボネートの厚みを13〜17mmとし、抵抗被膜の面積抵抗を3kΩ/□以上とすると、20dB以上の吸収性能が得られるので、好ましい。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
誘電体に板ガラスを用いた。電磁波吸収板の誘電体には、単板の板ガラスあるいは2枚以上の板ガラスをPVB膜で接着したものを用いて、図1あるいは図2に示す構成の、誘電体の厚みが異なる電磁波吸収板を作製した。
板ガラスの表面に、スパッタリング法で、TiO膜、Cr膜およびSnO膜をこの順序で成膜して抵抗被膜とした。抵抗被膜の面積抵抗は、膜厚によって調整した。
作製した電磁波吸収板の電磁波吸収性能は、図12に示す、アーチ型測定装置といわれる装置によって測定した。
測定は、ネットワークアナライザ10を用いて、アーチ型フレーム13の中に設置された送信アンテナ12から電磁波を発信し、電磁波吸収板16あるいは図示しない金属板で反射された電磁波の反射量を、受信アンテナ12′によりネットワークアナライザで測定する。送信アンテナおよび受信アンテナには、共にホーンアンテナを用いた。
電磁波吸収板については、アルミニウムで作製した金属板の反射量を測定し、次いで電磁波吸収板の反射量を測定し、金属板の反射量と電磁波吸収板の反射量との差を、電磁波吸収板の電磁波吸収量として算出した。
なお、電磁波吸収板の反射量の測定は、ガラス面からの反射量を測定し、抵抗被膜面からの反射の影響を軽減するため、電磁波吸収板を電磁波吸収性の発泡ポリウレタン製の試料台15の上に置き、既存電磁破吸収体14で周囲を囲んで測定を行った。
表7示す試料1〜4は、無線LANの2.45GHz周波数帯に使用するために作製した電磁波吸収板である。
試料1〜4のそれぞれの電磁波吸収板を、図12に示す測定装置を用いて、2.45GHzの電磁波に対する電磁波吸収量を測定した。
試料1〜4の、計算によって求めた電磁波吸収量と測定された電磁波吸収量とは、表7に示すように、よく一致した。
Figure 2006135031
なお、測定で、TE波(電界が入射面に垂直な場合)とTM波(磁界が入射面に垂直な場合)について測定を行ったが、顕著な差はなかった。
また、垂直入射のみでなく、垂直から45度の傾けた、斜め入射の場合の測定も行ったが、垂直入射の測定結果と比較して、顕著な差はなかった。
試料1〜4の電磁波吸収板を用いたボックスを作製し、ノートパソコンをボックス内に設置した。ボックスは、抵抗被膜面を内側にして作製した
ボックス内に設置したノートパソコンから、ボックス外のサーバに周波数2.45GHzの周波数帯で無線LANの接続を試みたが、接続はできず、サーバからの電磁波がボックス内に透過していないことが確認され、従って、試料1〜4の電磁波吸収板は、実用レベルの電磁波吸収性能を有していることが確認できた。
また、表8に示す試料5〜7は、無線LANの5.2GHz周波数帯に使用するために作製した電磁波吸収板である。試料5〜7についても、5.2GHzの電磁波に対する、計算によって求めた電磁波吸収量と測定された電磁波吸収量とは、表8に示すように、よく一致した。
Figure 2006135031
表9に示す試料8〜10は、ETCの5.8GHz周波数帯に使用するために作製した電磁波吸収板であり、試料8〜10についても、表9に示すよう、5.8GHzの電磁波吸収量は、計算で求めた値と測定した値とはよく一致した。
Figure 2006135031
本発明の単板ガラスを用いる電磁波吸収板の断面図である。 本発明の合わせガラスを用いる電磁波吸収板の断面図である。 電磁波吸収板の電磁波吸収する電波到来方向および電磁波吸収量を計算するため概念図。 インピーダンスを計算するための等価回路図。 誘電体(板ガラス)の厚みが5mmの場合の、抵抗被膜の面積抵抗を変えたときの電磁波吸収量を示すグラフ。 誘電体(板ガラス)の厚みが10mmの場合の、抵抗被膜の面積抵抗を変えたときの電磁波吸収量を示すグラフ。
スの電磁波吸収量を示すグラフ。
誘電体(板ガラス)の厚みが15mm板ガラスの電磁波吸収量を示すグラフ。 誘電体(ポリカーボネート)の厚みが5mmの場合の、抵抗被膜の面積抵抗を変えたときの電磁波吸収量を示すグラフ。 誘電体(ポリカーボネート)の厚みが10mmの場合の、抵抗被膜の面積抵抗を変えたときの電磁波吸収量を示すグラフ。 誘電体(ポリカーボネート)の厚みが15mmの場合の、抵抗被膜の面積抵抗を変えたときの電磁波吸収量を示すグラフ。 誘電体(ポリカーボネート)の厚みが20mmの場合の、抵抗被膜の面積抵抗を変えたときの電磁波吸収量を示すグラフ。 板ガラスの厚みが11mmの場合の、抵抗被膜の面積抵抗を変えたときの、周波数が5.2GHzの電磁波吸収量を示すグラフ。 電磁波吸収性能の測定装置を示す図。
符号の説明
1 透明な誘電体
2 抵抗被膜
3 中間膜
10 ネットワークアナライザ
11 電線
12 送受信アンテナ
12′ 送受信アンテナ
13 アーチ型フレーム
14 電磁波吸収板
15 資料台
16 電磁波吸収板

Claims (4)

  1. 透明な板状の誘電体と該誘電体の1つの表面に形成されている抵抗被膜とからなる電磁波吸収板において、誘電体の抵抗被膜が形成されていない表面から電磁波が入射するときの、(1)式で求められる入射側のインピーダンスZxiを用いて、(2)式で求められる電磁波吸収量Aiが10dB以上となるように誘電体の厚みと抵抗被膜の面積抵抗とが決定されて成ることを特徴とする電磁波吸収板。
    Figure 2006135031
    ここに、εは透明板状体の複素誘電率であり、μは透明板状体の比透磁率であり、j=(−1)1/2であり、λiは電磁波の波長であり、dは誘電体の厚さ(m:メートル)であり、Zrは抵抗被膜側の入力インピーダンスである。
    Figure 2006135031
    ここに、Γiは、(Zxi−1)/(Zxi+1)で求められる、誘電体表面の電磁波の反射係数である。
  2. 誘電体が1枚の板ガラスであるか、または2枚以上の板ガラスを中間膜により積層したものであって、誘電体の厚みが4〜20mmの範囲にあり、抵抗被膜の面積抵抗が20Ω/□以上であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収板。
  3. 誘電体が1枚のポリカーボネート板であるか、または2枚以上のポリカーボネート板を中間膜により積層したものであって、誘電体の厚みが3〜20mmの範囲にあり、抵抗被膜の面積抵抗が80Ω/□以上であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収板。
  4. 誘電体が1枚以上の板ガラスと1枚以上のポリカーボネート板を中間膜により積層したものであって、誘電体の厚みが4〜20mmの範囲にあり、抵抗被膜の面積抵抗が50Ω/□以上であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収板。
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