JP2006133428A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】剥離部材の耐久性を増大させるとともに、定着画像の画質を向上させることができる定着装置を提供すること、また、該定着装置を備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の定着装置は、熱源を有する定着ローラ21と、該定着ローラに圧接される加圧ローラ22と、定着ローラの軸方向かつ定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に、定着ローラに近接して配設される剥離部材31とを備えている。剥離部材は、基材と、該基材の表面側に設けられた被膜とを有するものであり、被膜は、炭素系硬質材料を含む材料で構成されたものである。また、被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであるのが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関するものである。
電子写真法を用いる画像形成装置においては、紙等の記録媒体上に転写されたトナー像を定着させる定着装置として、定着ローラと加圧ローラとからなる一対のローラのニップ部に、トナー像が転写された用紙を通過させて、定着ローラによる加熱と二つのローラによる加圧とによりトナー像を用紙に融着させる定着装置が広く用いられている。
一般に、この定着装置においては、記録媒体に融着したトナー像が定着ローラに接触するので定着ローラとしては離型性のよいフッ素系樹脂を表面に形成したローラが使用されている。しかし、このような定着ローラを使用しても、溶融したトナーは軟らかくかつ粘性が高いため定着ローラ表面に付着し易く用紙(記録媒体)が定着ローラに巻き付いてしまう恐れがある。
上記のような問題点を解決する目的で、樹脂シートまたは金属シートを基材とし、該基材表面および定着ローラに接触する端縁にフッ素系樹脂層を塗装或いは貼付けにより形成した剥離部材を、定着ローラの回転方向下流側に定着ローラに接触するように配置する提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような定着装置においては、剥離部材を定着ローラに接触させているために、硬質のフッ素系樹脂層により定着ローラを傷つけてしまうという問題を有している。また、フッ素系樹脂は、耐摩耗性に劣るため、比較的短期間でフッ素系樹脂層が摩耗し、基材が露出してしまい、トナーが固着したり、画像すじが発生してしまうという問題を有している。特に、フッ素系樹脂層が塗装により形成されたものである場合、フッ素系樹脂層中に気泡や異物が含まれ易く、これにより、印字不良が発生し易くなるという問題点があった。
また、従来においては、定着ローラと加圧ローラとが上下にかつ縦方向に配置されるのが一般的であり、両者のニップ部から排出される記録媒体は重力により定着ローラから離れる方向に力が作用するため、記録媒体が剥離部材によって剥離される度合いは少ない。しかしながら、定着ローラと加圧ローラを略水平状態に配置する場合には、記録媒体は定着ローラ側に巻きつき易くなり、記録媒体は必ず剥離部材に当接されることになり、その使用頻度が増大するため、剥離部材の耐久性をいかにして向上させるかが課題となる。
特に、フルカラー画像の定着においては、白黒画像の定着時よりも多量のトナーが重ねて転写されたトナー像を定着しなければならず、剥離時に大きな剥離力が必要であり、剥離部材の耐久性が課題となっている。また、光沢のあるカラー画像の場合には、定着後のトナー画像表面の平滑性をだすことが要求され、そのためにはトナーを十分に加熱溶融して低粘度化させた後に、画像表面を平らにならすことが必要であり、ますます大きな剥離力を必要とするとともに、剥離部材に画像表面を平らにならす機能を保持させることが課題となっている。
特開平11−184300号公報
本発明の目的は、剥離部材の耐久性を増大させるとともに、定着画像の画質を向上させることができる定着装置を提供すること、また、該定着装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の定着装置は、熱源を有する定着ローラと、該定着ローラに圧接される加圧ローラと、前記定着ローラの軸方向かつ定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に、前記定着ローラに近接して配設される剥離部材とを備え、
前記剥離部材は、基材と、該基材の表面側に設けられた被膜とを有するものであり、
前記被膜は、炭素系硬質材料を含む材料で構成されたものであることを特徴とする。
これにより、剥離部材の耐久性を増大させるとともに、定着画像の画質を向上させることができる定着装置を提供することができる。
本発明の定着装置では、前記加圧ローラに近接して配設される剥離部材を備えていることが好ましい。
これにより、加圧ローラ等への記録媒体の巻き付き等を効果的に防止することができる。
本発明の定着装置では、前記加圧ローラ側の剥離部材の先端は、定着ローラ側の剥離部材の先端よりも記録媒体搬送方向下流側に配置されていることが好ましい。
これにより、加圧ローラ側の剥離部材の先端と、加圧ローラ表面との間のギャップをより確実に常時一定にすることができる。
本発明の定着装置では、前記加圧ローラ側の剥離部材は、基材と、該基材の表面側に設けられ、前記炭素系硬質材料を含む材料で構成された被膜とを有するものであることが好ましい。
これにより、加圧ローラに溶融したトナーが付着するのを防止し、紙等の記録媒体が加圧ローラに巻き付くのを効果的に防止することができるとともに、記録媒体に形成された印刷部に悪影響を与えるのを効果的に防止することができる。また、剥離部材の耐久性を向上させることができる。
本発明の定着装置では、前記基材は、先端部にエッジを有するものであることが好ましい。
これにより、万が一、被膜が摩耗してしまった場合等においても、トナーの固着や画像すじの発生を防ぐことができる。また、その結果、剥離部材の耐久性を向上させることができる。
本発明の定着装置では、前記基材と前記被膜との間に、M(ただし、Mは、Si、B、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Cu、Cr、Au、Ag、W、Ti、Al、Ni、SnおよびVからなる群から選択される少なくとも1種)または、前記Mの酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、炭酸窒化物、ホウ窒化物から選択される1種または2種以上で構成された中間層が設けられていることが好ましい。
これにより、基材と被膜との密着性を特に優れたものとすることができ、剥離部材の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の定着装置では、前記炭素系硬質材料は、ダイヤモンド様炭素であることが好ましい。
これにより、剥離部材の耐久性を増大させるとともに、剥離部材に溶融したトナーが付着するのをより効果的に防止することができる。
本発明の定着装置では、前記被膜は、乾式めっき法により形成されたものであることが好ましい。
これにより、被膜の特性(例えば、基材との密着性、耐擦傷性、耐摩耗性、硬度、潤滑性(トナーの付着し難さ)等)を特に優れたものとすることができる。
本発明の定着装置では、前記被膜は、0.05〜10μm/hの成膜速度で形成されたものであることが好ましい。
これにより、被膜の特性(例えば、基材との密着性、耐擦傷性、耐摩耗性、硬度、潤滑性(トナーの付着し難さ)等)を特に優れたものとすることができる。
本発明の定着装置では、ボールオンディスク法により測定される前記被膜の摩擦係数μは、0.05〜0.7であることが好ましい。
これにより、剥離部材へのトナーの固着を、より効果的に防止することができる。
本発明の定着装置では、前記被膜のビッカース硬度Hvは、800〜5000であることが好ましい。
これにより、被膜の耐擦傷性、耐摩耗性を特に優れたものとすることができる。
本発明の定着装置では、前記被膜の厚さが0.1nm〜5μmであることが好ましい。
これにより、基材との密着性を十分に高いものとしつつ、耐擦傷性、耐摩耗性、潤滑性等の特性を特に優れたものとすることができる。
本発明の定着装置では、前記定着ローラと前記加圧ローラとが略水平状態で配設されていることが好ましい。
これにより、紙等の記録媒体の搬送経路を短縮でき、省スペース化が可能となる。
本発明の画像形成装置は、本発明の定着装置を備えたことを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた画質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の定着装置および画像形成装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[画像形成装置]
まず、本発明の画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明の定着装置を備えた本発明の画像形成装置の全体構成図である。
画像形成装置1の装置本体2内には、感光体ドラムで構成される像担持体3が配設されている。この像担持体3は、図示しない駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。像担持体3の周囲には、その回転方向に沿って、像担持体3を一様に帯電するための帯電装置4と、像担持体3上に静電潜像を形成するための露光装置5と、静電潜像を現像するためのロータリー現像装置6と、像担持体3上に形成された単色のトナー像を一次転写するための中間転写装置7とが配設されている。
ロータリー現像装置6は、イエロー用現像装置6Y、マゼンタ用現像装置6M、シアン用現像装置6Cおよびブラック用現像装置6Kが支持フレーム8に装着され、支持フレーム8は図示しない駆動モータにより回転駆動される構成になっている。これらの複数の現像装置6Y、6C、6M、6Kは、像担持体3の1回転毎に選択的に一つの現像装置の現像ローラ6aが像担持体3に対向するように回転移動するようにされている。なお、各現像装置6Y、6C、6M、6Kには各色のトナーが収納されたトナー収納部が形成されている。
中間転写装置7は、駆動ローラ9および従動ローラ10と、両ローラにより図示矢印方向に駆動される中間転写ベルト11と、中間転写ベルト11の裏面で像担持体3に対向して配設された一次転写ローラ12と、中間転写ベルト11上の残留トナーを除去する転写ベルトクリーナ13と、駆動ローラ9に対向して配設され、中間転写ベルト11に形成された4色フルカラー像を記録媒体(紙等)上に転写するための二次転写ローラ14とを有している。
装置本体2の底部には給紙カセット15が配設され、給紙カセット15内の記録媒体は、ピックアップローラ16、記録媒体搬送路17、二次転写ローラ14、定着装置19を経て排紙トレイ20に搬送されるように構成されている。
次に、上記のような構成の画像形成装置の作用について説明する。
図示しないコンピュータからの画像形成信号が入力されると、像担持体3、現像装置6の現像ローラ6aおよび中間転写ベルト11が回転駆動し、先ず、像担持体3の外周面が帯電装置4によって一様に帯電され、一様に帯電された像担持体3の外周面に、露光装置5によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、イエローの静電潜像が形成される。
像担持体3上に形成された潜像位置には、イエロー用現像装置6Yが回動してその現像ローラ6aが当接し、これによってイエローの静電潜像のトナー像が像担持体3上に形成され、次に、像担持体3上に形成されたトナー像は一次転写ローラ12により中間転写ベルト11上に転写される。このとき、二次転写ローラ14は中間転写ベルト11から離間されている。
上記の処理が画像形成信号の第2色目、第3色目、第4色目に対応して、像担持体3と中間転写ベルト11の1回転による潜像形成、現像、転写が繰り返され、画像形成信号の内容に応じた4色のトナー像が中間転写ベルト11上において重ねられて転写される。そして、このフルカラー画像が二次転写ローラ14に達するタイミングで、記録媒体が搬送路17から二次転写ローラ14に供給され、このとき、二次転写ローラ14が中間転写ベルト11に押圧されるとともに二次転写電圧が印加され、中間転写ベルト11上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写される。そして、この記録媒体上に転写されたトナー像は定着装置19により加熱加圧され定着される。中間転写ベルト11上に残留しているトナーは転写ベルトクリーナ13によって除去される。
なお、両面印刷の場合には、定着装置19を出た記録媒体は、その後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路23を経て、二次転写ローラ14に供給され、中間転写ベルト11上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着装置19により加熱加圧され定着される。
定着装置19は、熱源を有する定着ローラ21とこれに圧接される加圧ローラ22とを有し、定着ローラ21と加圧ローラ22の軸を結ぶ線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
[定着装置]
以下、本発明の定着装置について、詳細に説明する。
図2〜図7は、図1の定着装置19の詳細を示し、図2は、図1に示す定着装置の一部破断面を示す斜視図であり、図3は、図2の要部断面図であり、図4は、図2に示す剥離部材の斜視図であり、図5は、剥離部材の取付状態を示す側面図であり、図6は、図2の定着装置を上面から見た正面図であり、図7は、剥離部材の断面図である。
図2および図6において、ハウジング24内には定着ローラ21が回動自在に装着され、定着ローラ21の一端には駆動ギヤ28が連結されている。そして、定着ローラ21に対向して加圧ローラ22が回動自在に装着されている。加圧ローラ22の軸方向長さは定着ローラ21のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受25が設けられ、加圧ローラ22の両端は軸受25により支持されている。軸受25には加圧レバー26が回動可能に設けられ、加圧レバー26の一端とハウジング24間には加圧スプリング27が配設され、これにより加圧ローラ22と定着ローラ21が加圧されるように構成されている。
図3に示すように、定着ローラ21は、内部にハロゲンランプ等の熱源21aを有する金属製の筒体21bと、筒体21bの外周に設けられたシリコンゴム等で構成された弾性層21cと、弾性層21cの表面に被覆されたフッ素ゴム、フッ素樹脂(例えばパーテトラフロロエチレン(PTFE))等の材料で構成された表層(図示せず)と、筒体21bに固定された回転軸21dとを有している。
加圧ローラ22は、金属製の筒体22bと、筒体22bに固定された回転軸22dと、回転軸22dを軸支持する軸受25と、筒体22bの外周に設けられたシリコンゴム等で構成された弾性層22cと、弾性層22cの表面に被覆されたフッ素ゴム、フッ素樹脂(例えばパーテトラフロロエチレン(PTFE))等の材料で構成された表層(図示せず)とを有している。定着ローラ21の弾性層21cの厚みは、加圧ローラ22の弾性層22cの厚みより極端に小さくし、これにより加圧ローラ22側が凹状にへこむようなニップ部Nが形成されている。
図2および図3に示すように、ハウジング24の両側面には、支持軸29、30が設けられており、この支持軸29、30にそれぞれ定着ローラ21側の剥離部材31と加圧ローラ22側の剥離部材32が回動自在に装着されている。これにより、定着ローラ21と加圧ローラ22の軸方向でニップ部の記録媒体搬送方向下流側に剥離部材31、32が配設されることになる。
定着ローラ21側の剥離部材31は、図4および図5に示すように、プレート状の剥離部31aと、剥離部31aの後方で定着ローラ21側にL字状に折曲された折曲部31bと、剥離部31aの両側端で下方向に折曲された支持片31cと、支持片31cに形成された嵌合穴31dと、剥離部31aの両側端前方に延設されたガイド部31eとを有している。
剥離部31aは、ニップ部Nの出口に向けて傾斜するように配置され、剥離部31aの先端は定着ローラ21に非接触でかつ近接されている。支持片31cの嵌合穴31dには、図3で説明した支持軸29が嵌合されている。ガイド部31eは、スプリング33によりハウジング24に付勢され、これによりガイド部31eの先端は定着ローラ21に当接されており、その結果、剥離部31aの先端と定着ローラ21表面との間のギャップが常時一定になるようにされている。
加圧ローラ22側の剥離部材32は、定着ローラ21側の剥離部材と同様の形状であるが、図2および図3に示すように、剥離部32aの先端は剥離部31aの先端よりも記録媒体搬送方向下流側に配置されている。また、ガイド部32eの先端は加圧ローラ22の軸受25の周面にP点で当接されており、これにより、剥離部32aの先端と加圧ローラ22表面との間のギャップが常時一定になるようにされている。
ところで、従来の定着ローラ21と加圧ローラ22の配置は、定着ローラ21と加圧ローラ22が上下にかつ縦方向に配置されるのが一般的であり、両者のニップ部から排出される記録媒体は重力により定着ローラ21から離れる方向に力が作用するため、記録媒体が剥離部材によって剥離される度合いは少ない。しかし、図1に示すように、定着ローラ21と加圧ローラ22を略水平状態に配置すると、記録媒体は定着ローラ21側に巻きつき易くなり、ニップ部Nから排出される記録媒体は必ず剥離部材31に当接されることになり、その使用頻度が従来方式と比較して極めて高いという特徴を有している。そのため、剥離部材の耐久性をいかにして向上させるかが課題となっている。特に、フルカラー画像の定着においては、白黒画像の定着時よりも多量のトナーが重ねて転写されたトナー像を定着しなければならず、剥離時に大きな剥離力が必要であり、また、定着後のトナー画像表面の平滑性をだすことが要求され、そのためにはトナーを十分に加熱溶融して低粘度化させた後に、画像表面を平らにならすことが必要であり、ますます大きな剥離力を必要とするとともに、剥離部材に画像表面を平らにならす機能を保持させることが求められており、剥離部材の耐久性が非常に大きな課題となっている。
そこで、本発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、剥離部材として、基材と、該基材の表面側に設けられ、炭素系硬質材料を含む材料で構成された被膜とを有するものを用いることにより、優れた結果が得られることを見出した。
より具体的には、このような剥離部材は、定着ローラに溶融したトナーが付着(固着)するのを防止し、紙等の記録媒体が定着ローラに巻き付くのを効果的に防止することができるとともに、耐擦傷性、耐摩耗性にも優れ、長期間にわたって安定した特性を発揮することができる(耐久性に優れる)。また、上記のような剥離部材は、優れた潤滑性(摺動性)を有しているため、記録媒体に定着されたトナー(高温状態のトナー)と接触した場合においても、記録媒体に形成された印刷部に悪影響を与えることが効果的に防止されている。また、万が一、剥離部材が定着ローラの周面等の周面に接触した場合であっても、定着ローラ等に傷が付くこと等が効果的に防止されている。
被膜313を構成する炭素系硬質材料としては、例えば、ダイヤモンド様炭素(DLC)、水素化アモルファス炭素、ダイヤモンド等が挙げられる。これらの炭素系硬質材料は、各種材料の中でも、特に優れた硬度、耐擦傷性、耐摩耗性を有している。したがって、被膜313がこのような材料で構成されたものであると、剥離部材31の耐久性は特に優れたものとなる。
また、このような炭素系硬質材料(特に、ダイヤモンド様炭素(DLC)、水素化アモルファス炭素)で構成された被膜313は、通常の使用条件では優れた安定性を有するものでありながらも、所定の方法により、容易に基材311上から除去することができる。このため、必要時(例えば、被膜313の一部にカケ等を生じてしまった場合等)には、基材311上から被膜313を一端除去し、再度、被膜313を好適に形成することができる。すなわち、剥離部材31の再利用(リサイクル)を好適に行うことができ、省資源の点からも好ましく、環境にも優しい。
ボールオンディスク法により測定される被膜313の摩擦係数μ(JIS R 1613に準じて測定されるボールオンディスク法での摩擦係数μ)は、0.05〜0.7程度であるのが好ましく、0.1〜0.5程度であるのがより好ましく、0.1〜0.35程度であるのがさらに好ましい。被膜313の摩擦係数μが前記範囲内の値であると、剥離部材31へのトナーの固着を、より効果的に防止することができる。
また、被膜313のビッカース硬度Hvは、700以上であるのが好ましく、800〜5000であるのがより好ましく、2000〜5000であるのがさらに好ましい。被膜313のビッカース硬度Hvが前記範囲内の値であると、被膜313の耐擦傷性、耐摩耗性を特に優れたものとすることができ、剥離部材31の耐久性がさらに向上する。
上記のような炭素系硬質材料で構成された被膜313の厚さは、特に限定されないが、0.1nm〜5μmであるのが好ましく、1〜3μmであるのがより好ましい。被膜313の厚さが前記範囲内の値であると、前述したような効果はさらに顕著なものとして発揮される。これに対し、被膜313の厚さが前記下限値未満であると、被膜313を設けることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、被膜313の厚さが前記上限値を超えると、被膜313の密着性が低下し、界面剥離等が生じ易くなる傾向を示す。
また、被膜313は、その表面粗さRaが、0.05〜1.2μmであるのが好ましく、0.08〜1.0μmであるのがより好ましく、0.1〜0.9μmであるのがさらに好ましい。表面粗さRaが前記範囲内の値であると、トナーの付着等をより効果的に防止することができる。
また、被膜313は、その表面粗さRzが、1〜10μmであるのが好ましく、2.5〜8.5μmであるのがより好ましく、4〜8μmであるのがさらに好ましい。表面粗さRaが前記範囲内の値であると、トナーの付着等をより効果的に防止することができる。
剥離部材の基材311の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ニッケル、アルミニウム、鉄、銅等の金属やこれらのうち少なくとも1種を含む合金(例えば、ステンレス鋼)、ポリエステル、ポリイミド等の樹脂等が挙げられる。この中でも、ステンレス鋼を用いた場合には、十分な成形性を確保しつつ、剥離部材の機械的安定性(形状の安定性)を特に優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、被膜313は、中間層312を介して、基材311上に設けられている。すなわち、本実施形態では、基材311と被膜313との間に中間層312が設けられている。このような中間層312を設けることにより、例えば、被膜313の密着性を特に優れたものとすることができる。
中間層312は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、主として、M(ただし、Mは、Si、B、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Cu、Cr、Au、Ag、W、Ti、Al、Ni、SnおよびVからなる群から選択される少なくとも1種)または、前記Mの酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、炭酸窒化物、ホウ窒化物から選択される1種または2種以上で構成されたものであるのが好ましく、主としてCu、Cr、Au、Ag、W、Ti、Al、Ni、Sn、Vから選択される1種または2種以上で構成されたものであるのがより好ましい。これにより、基材311、被膜313との密着性を特に優れたものとすることができる。
中間層312の厚さは、特に限定されないが、10〜500nmであるのが好ましく、50〜200nmであるのがより好ましい。
また、図7(A)に示すように、本実施形態においては、基材311は、先端部にエッジ(角部)Eを有するものであり、その表面側に、中間層312、被膜313が積層されている。このような構成により、万が一、図7(B)に示すように、被膜313が摩耗してしまった場合等であっても、記録媒体はエッジEで線接触するだけのため、トナーの固着や画像すじの発生を防ぐことができ、その分だけ剥離部材31の耐久性を向上させることができる。このようなエッジEは、機械的研磨、電解研磨、エッチング等の精密仕上げ加工を施すことにより、容易かつ確実に形成することができる。
[剥離部材の製造方法]
次に、剥離部材の製造方法について説明する。
まず、剥離部材の形状に対応する形状の基材311を用意する。
このような基材311は、例えば、板材に対して、折り曲げ、孔開け等の加工を施すことにより得られたものであってもよいし、例えば、各種成形方法(例えば、金属材料の場合には、鋳造、鍛造等、樹脂材料の場合には、圧縮成形、射出成形等)により、直接所望の形状となるように成形されたものであってもよい。なお、このような場合であっても、研磨等の仕上げ加工を施してもよい。
上記のようにして用意される基材311は、剥離部における表面粗さRaが、0.1〜2μmであるのが好ましく、0.1〜1.5μmであるのがより好ましく、0.1〜1.4μmであるのがさらに好ましい。基材311の表面粗さRaが前記範囲内の値であると、被膜313の表面粗さ(剥離部材の表面粗さ)を、より確実に、前述したような範囲内の値とすることができ、剥離部材へのトナーの付着等をより確実に防止することができる。また、基材311の表面粗さRaが前記範囲内の値であると、基材311と被膜313との密着性(中間層312を介しての密着性)を特に優れたものとすることができる。
上記のようにして用意される基材311は、剥離部における表面粗さRzが、1〜18μmであるのが好ましく、1〜17μmであるのがより好ましく、4〜16μmであるのがさらに好ましい。基材311の表面粗さRzが前記範囲内の値であると、被膜313の表面粗さ(剥離部材の表面粗さ)を、より確実に、前述したような範囲内の値とすることができ、剥離部材へのトナーの付着等をより確実に防止することができる。また、基材311の表面粗さRzが前記範囲内の値であると、基材311と被膜313との密着性(中間層312を介しての密着性)を特に優れたものとすることができる。
上記のような表面粗さは、例えば、必要に応じて研磨等の処理が施した基材311に対し、ショットブラスト、サンドブラスト、液体ブラスト等のブラスト処理等を施すことにより、容易かつ確実に実現することができる。
次に、基材311の表面に中間層312を形成する。
中間層312の形成方法は、特に限定されないが、例えば、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法(ウェットプロセス)、熱CVD、プラズマCVD(マイクロ波プラズマCVD法、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、有磁場マイクロ波プラズマCVD、レーザープラズマCVD、熱フィラメントCVD法等を含む)、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着(イオンビーム蒸着、レーザー蒸着等を含む)、スパッタリング(イオンビーム・スパッタ法、プラズマ・スパッタ法、反応性プラズマ・スパッタ法等を含む)、イオンプレーティング、イオン注入法、イオンビーム・ミキシング法、クラスター・イオンビーム法、アーク放電法、プラズマジェット法(DC、RF)、燃焼炎法等の乾式めっき法(ドライプロセス)、溶射、スピンコート、カーテンフローコート、ロールコート、スプレーコート、流し塗り、刷毛塗り、ディッピング、静電塗装、電着塗装等の各種塗布法等が挙げられる。特に、中間層312が無機酸化物で構成されるものである場合、真空蒸着が好ましい。これにより、比較的膜厚の小さな中間層312を均一な厚さで形成することができる。
なお、中間層312の形成に先立ち、基材311に対しては、アルカリ洗浄、酸洗浄、水洗、有機溶剤洗浄等の洗浄処理、ボンバード処理、エッチング処理等の処理を施してもよい。これにより、例えば、基材311と中間層312との密着性の向上などを図ることができる。
次に、被膜313を形成する。
被膜313は、いかなる方法で形成されるものであってもよいが、例えば、熱CVD、プラズマCVD(マイクロ波プラズマCVD法、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、有磁場マイクロ波プラズマCVD、レーザープラズマCVD、熱フィラメントCVD法等を含む)、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着(イオンビーム蒸着、レーザー蒸着等を含む)、スパッタリング(イオンビーム・スパッタ法、プラズマ・スパッタ法、反応性プラズマ・スパッタ法等を含む)、イオンプレーティング、イオン注入法、イオンビーム・ミキシング法、クラスター・イオンビーム法、アーク放電法、プラズマジェット法(DC、RF)、燃焼炎法等の乾式めっき法(ドライプロセス)により形成されるものであるのが好ましく、マイクロ波プラズマCVD法、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、有磁場マイクロ波プラズマCVD、レーザープラズマCVD、熱フィラメントCVD、レーザーCVD、イオンビーム蒸着、レーザー蒸着、スパッタリング(イオンビーム・スパッタ法、プラズマ・スパッタ法、反応性プラズマ・スパッタ法等を含む)、イオンプレーティング、イオン注入法、イオンビーム・ミキシング法、クラスター・イオンビーム法、アーク放電法、プラズマジェット法(DC、RF)、および、燃焼炎法よりなる群から選択される方法により形成されるものであるのがより好ましい。このような方法を用いることにより、ムラの少ない均質な被膜313を比較的容易に形成することができる。また、このような方法によれば、基材311との密着性(中間層312を介しての密着性)に優れた被膜313を形成することができる。また、上記のような方法を用いることにより、被膜313の膜質(例えば、耐擦傷性、耐摩耗性、硬度、潤滑性(トナーの付着し難さ)等)を特に優れたものとすることができ、剥離部材31の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、上記のような方法を用いて被膜313を形成することにより、以下のような効果が得られる。すなわち、上記のような方法においては、雰囲気ガスの組成を適宜選択することにより、容易に、所望の組成を有する被膜313を形成することができる。このように、被膜313の組成を容易に調整することにより、被膜313の特性を容易かつ確実に調整することが可能となる。
特に、被膜313がダイヤモンド様炭素(DLC)、水素化アモルファス炭素で構成されるものである場合、上記のような方法の中でも、特に、マイクロ波プラズマCVD、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、有磁場マイクロ波プラズマCVD、レーザープラズマCVD等の化学蒸着法(CVD)、スパッタリング(イオンビーム・スパッタ法、プラズマ・スパッタ法、反応性プラズマ・スパッタ法等を含む)、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング、イオン注入法等の方法を用いるのが好ましい。このとき用いる原料ガスとしては、例えば、含炭素ガスであるメタン、エタン、プロパン、エチレン、ベンゼン、アセチレン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロルエタン等ハロゲン化炭化水素、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、(CHCO、(CCO等のケトン類、CO、CO等のガスや、これらにN、H、O、HO、Ar等のガスを混合したもの等が挙げられる。また、固体炭素源としては、例えば、高純度のグラファイトやガラス状炭素等を用いることができる。また、アシスト・イオンビームを用いる場合には、通常、前述の材料の他に、He、N、H、O、HO、Ar、Ne、Kr、Xe等のガスを用いる。また、被膜313がダイヤモンドで構成されるものである場合、上記のような方法の中でも、特に、マイクロ波プラズマCVD、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、有磁場マイクロ波プラズマCVD、レーザープラズマCVD等の化学蒸着法(CVD)、スパッタリング(イオンビーム・スパッタ法、プラズマ・スパッタ法、反応性プラズマ・スパッタ法等を含む)、イオンビーム蒸着、プラズマジェット法(DC、RF)、燃焼炎法等の方法を用いるのが好ましいこのときの原料としては、例えば、前述の気体あるいは固体源等を用いることができる。
以下、ダイヤモンド様炭素で構成された被膜313を、スパッタリングにより形成する方法の一例について説明する。
スパッタリングは、通常、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを主とする雰囲気ガス中で行われるが、雰囲気ガス中には、メタンガス、エタンガス等の炭化水素ガスや水素ガス等が含まれているのが好ましい。これにより、形成される被膜313を、水素添加されたダイヤモンド様炭素で構成されたものとすることができる。被膜313が水素添加されたダイヤモンド様炭素で構成されたものであると、被膜313の摩擦係数が低下し、潤滑性がさらに向上する。
雰囲気ガス中における炭化水素ガスおよび水素ガスの総含有率は、10vol%以上であることが好ましい。これにより、ダイヤモンド様炭素への水素添加をより効果的に行うことが可能となる。
なお、雰囲気ガス中には、例えば、O、N、NH等の反応性ガスが含まれていてもよい。このような反応性ガスを含む雰囲気ガス中で、スパッタリングを行うことにより、C、H以外の元素が添加された被膜313を形成することができる。これにより、被膜313と中間層312との密着性を高めたり、被膜313の硬度等を調整することができる。
また、ターゲットとしては、通常、グラファイト等が用いられる。
なお、ターゲットとして、C、H以外の元素(例えば、N、O、Ti、Al、Cr、Si、Zr、Mo、W、B、P、F等)を含む材料を用いたり、このような材料とグラファイトとの混合物を用いてもよい。これにより、C、H以外の元素が添加された被膜313を形成することができる。その結果、被膜313と中間層312との密着性を高めたり、被膜313の耐擦傷性、耐摩耗性、硬度等を調整することが可能となる。
また、このようなスパッタリングは、高周波(RF)放電により行うのが好ましい。これにより、プラズマ密度を高くすることができ、またアーク放電を効果的に防止することができる。また、スパッタリングを高周波(RF)放電により行うことにより、形成される被膜313と基材311との密着性(中間層312を介しての密着性)を特に優れたものとすることができる。
被膜313の成膜速度は、特に限定されないが、0.05〜10μm/hであるのが好ましく、0.1〜3μm/hであるのがより好ましい。被膜313の成膜速度が前記範囲内の値であると、ムラの少ない均質な被膜313をより確実に形成することができる。また、基材311との密着性(中間層312を介しての密着性)に優れた被膜313を形成することができる。また、被膜313の膜質(例えば、耐擦傷性、耐摩耗性、硬度、潤滑性(トナーの付着し難さ)等)を特に優れたものとすることができ、剥離部材31の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
以上、本発明の定着装置および画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、定着装置、画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、前述した実施形態では、剥離部材は、基材と被膜との間に中間層を有するものとして説明したが、このような中間層はなくてもよい。また、基材と被膜との間には、2層以上の中間層が設けられていてもよい。
また、剥離部材の表面には、保護層等が設けられていてもよい。これにより、例えば、剥離部材の保管時等に、剥離部材の構成材料が劣化したり、傷ついたりするのを効果的に防止することができる。なお、保護層は、このような機能を有するものに限定されない。また、このような保護層は、定着装置の使用時(組み立て時)に、除去されるものであってもそうでなくてもよい。
また、前述した実施形態で説明したような剥離部材の構成(基材と被膜とを有する構成、更には、基材と被膜との間に中間層を有する構成)は、例えば、他の部材に対しても好適に適用することができる。例えば、前述したような剥離部材の構成は、定着ローラの表面を構成する離型層、定着ローラのリング部、シャフト部、現像ローラの表面層等にも好適に適用することができる。
また、本発明では、定着装置を構成する剥離部材のうち少なくとも1つが上述したような構成を有するものであれば良く、加圧ローラ側の剥離部材のみが上述したような構成を有していてもよい。このように、定着装置が複数の剥離部材を有する場合、定着ローラ側の剥離部材、加熱ローラ側の剥離部材のうち少なくとも一方が、前述したような構成(基材と被膜とを有する構成)を有するものであればよいが、少なくとも、定着ローラ側の剥離部材が前述したような構成を有しているのが好ましい。これにより、本発明による効果が、より確実に発揮される。
(実施例1)
まず、図4に示すような形状を有するステンレス鋼(SUS301)製の基材を用意した。
次に、この基材の表面に、液体ブラストにより微小な凹凸を形成した。液体ブラストは、ローラ搬送機により搬送されてくる基材に対して、エメリー粉を水に分散して得られたスラリー状の物質を、高圧で噴射することにより行った。その後、十分な洗浄を行うことにより、研削粉を除去し、さらに、乾燥を行った。上記のような処理が施された基材は、表面粗さRaが1.4μmであり、表面粗さRzが15μmであった。
次に、この基材の表面に、Crで構成される中間層を形成した。中間層の形成は、真空蒸着により行った。このようにして形成された中間層の厚さは、200nmであった。
次に、中間層の表面に、スパッタリングにより、ダイヤモンド様炭素で構成された被膜を形成した。
このスパッタリングは、真空装置を用いて以下のようにして行った。
まず、真空装置内をアルゴンガス:60vol%と、メタンガス:40vol%との混合ガスで置換した。その後、混合ガスの流量、排気量を調整することにより、雰囲気圧を0.6Paとした。
真空装置内の雰囲気圧を調整した後、ターゲットとしてグラファイトを用い、高周波放電を行うことにより、ダイヤモンド様炭素(水素添加されたダイヤモンド様炭素)で構成された被膜を形成した。
なお、スパッタリング時における混合ガスの流量は60SCCMであり、雰囲気圧が0.6Paとなるようにした。高周波電力は、500Wであった。また、成膜速度は、0.4μm/hであった。
このようにして形成された被膜は、その厚さが1.5μmであり、表面粗さRaが0.9μmであり、表面粗さRzが8μmであった。また、形成された被膜のビッカース硬度Hvは2000、JIS R 1613に準じて測定されるボールオンディスク法での摩擦係数μは0.25であった。
また、上記と同様にして加圧ローラ側の剥離部材を作製し、これらを用いて、図2、3、5、6に示すような定着装置を製造し、更に、この定着装置を用いて、図1に示すような画像形成装置を製造した。
なお、定着ローラは、その直径が30mmで、シリコンゴム(硬度JISA5°)で構成された厚さ1mmの弾性層と、PFAで構成された厚さ40μmの表層とを備えるものであり、加圧ローラは、その直径が35mmであり、シリコンゴム(硬度JISA10°)で構成された厚さ6mmの弾性層と、PFAで構成された厚さ40μmの表層とを備えるものであった。定着ニップ出口と剥離部31a先端の距離を6.5mm、定着ニップ幅を8mm、定着温度を175℃、紙搬送速度を215mm/秒、ローラ圧接加重を31kgfに設定した。
(実施例2〜7)
基材の表面に対する液体ブラストの条件を変更することにより基材の表面粗さを表1に示すようにし、中間層の構成材料を表1に示すようなものとし、さらに、被膜の成膜条件を変更することにより、被膜の厚さ、表面粗さRa、表面粗さRz、ビッカース硬度Hv、摩擦係数μを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして剥離部材(定着ローラ側の剥離部材および加圧ローラ側の剥離部材)を製造し、これらの剥離部材を用いて、前記実施例1と同様にして定着装置、画像形成装置を製造した。
(実施例8)
被膜の形成に先立ち、中間層を形成しなかった以外は、前記実施例3と同様にして剥離部材(定着ローラ側の剥離部材)を製造した。
また、加圧ローラ側の剥離部材として、ステンレス鋼(SUS301)で構成され、表面粗さRaが10μmであり、表面粗さRzが13μmであるものを用意した。
これらの剥離部材を用いて、前記実施例1と同様にして定着装置、画像形成装置を製造した。なお、被膜についての表面粗さRaは9μmであり、表面粗さRzは10μmであった。
(比較例1)
中間層および被膜の形成を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にして剥離部材(定着ローラ側の剥離部材および加圧ローラ側の剥離部材)を製造した。
また、上記のようにして得られた剥離部材(定着ローラ側の剥離部材および加圧ローラ側の剥離部材)を用いて、前記実施例1と同様にして定着装置、画像形成装置を製造した。
(比較例2)
基材の表面に、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)で構成される表面層を形成した以外は、前記比較例1と同様にして剥離部材(定着ローラ側の剥離部材および加圧ローラ側の剥離部材)を製造した。
なお、表面層の形成は、ポリテトラフルオロエチレンを含む塗料(ダイキン工業製、商品名「ポリフロン」)をエアスプレーにて膜厚が約40μmになるように塗装し、90℃で赤外線乾燥した後、380℃で焼成することにより行った。また、形成された表面層の厚さは、30μmであった。なお、表面層についての表面粗さRaは0.9μmであり、表面粗さRzは8.2μmであった。
また、上記のようにして得られた剥離部材を用いて、前記実施例1と同様にして定着装置、画像形成装置を製造した。
定着ローラ側の剥離部材の構成を表1にまとめて示す。
Figure 2006133428
[評価]
[1]画像すじ(初期および耐久印字(8万枚印字)後)
前記各実施例および各比較例の画像形成装置を用いて、全面ベタ画像を印字し、剥離部での擦り跡である「すじ」について、目視による観察を行い、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:すじの発生が全く認められない。
○:すじの発生がほとんど認められない。
△:すじの発生がわずかに認められる。
×:すじの発生が顕著に認められる。
[2]耐擦傷性、耐摩耗性
前記各実施例および各比較例の画像形成装置について、耐久印字(8万枚印字)後の剥離部を顕微鏡で観察し、剥離部材表面付近の状態を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:被膜についての摩耗や擦り傷が全く認められない。
○:被膜について、摩耗は認められないが、擦り傷がわずかに認められる。
△:被膜についての摩耗がわずかに認められるが、中間層、基材の露出は認められない

×:被膜の摩耗がはっきりと認められ、中間層、基材の露出が認められる。または、基
材の摩耗が認められる。
[3]トナー固着(耐久印字後)
前記各実施例および各比較例の画像形成装置について、耐久印字(8万枚印字)後の剥離部材を目視で観察し、ナーの固着状態を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナーの固着が全く認められない。
○:トナーの固着がほとんど認められない。
△:トナーの固着がわずかに認められる。
×:トナーの固着が顕著に認められる。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2006133428
表2から明らかなように、本発明では、剥離部材の耐擦傷性、耐摩耗性に優れ、耐久印字後においても、剥離部材等へのトナーの固着や印字された記録媒体でのすじ等は、認められなかった。これらの結果から、本発明では、優れた耐久性が得られることが分かる。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、各比較例では、いずれも、印字された記録媒体においてすじが発生しており、剥離部材へのトナーの固着も認められた。また、フッ素系樹脂で構成された表面層を有する比較例2においては、耐久印字後における表面層の摩耗等が顕著で耐久性に劣っていた。
本発明の定着装置を備えた本発明の画像形成装置の全体構成図である。 図1に示す定着装置の一部破断面を示す斜視図である。 図2の要部断面図である。 図2に示す剥離部材の斜視図である。 図2に示す剥離部材の取付状態を示す側面図である。 図2の定着装置を上面から見た正面図である。 剥離部材の拡大断面図である。
符号の説明
1…画像形成装置 2…装置本体 3…像担持体 4…帯電装置 5…露光装置 6…ロータリー現像装置 6Y…イエロー用現像装置 6M…マゼンタ用現像装置 6C…シアン用現像装置 6K…ブラック用現像装置 6a…現像ローラ 7…中間転写装置 8…支持フレーム 9…駆動ローラ 10…従動ローラ 11…中間転写ベルト 12…一次転写ローラ 13…転写ベルトクリーナ 14…二次転写ローラ 15…給紙カセット 16…ピックアップローラ 17…記録媒体搬送路 19…定着装置 20…排紙トレイ 21…定着ローラ 21a…熱源 21b…筒体 21c…弾性層 21d…回転軸 22…加圧ローラ 22b…筒体 22c…弾性層 22d…回転軸 23…両面印刷用搬送路 24…ハウジング 25…軸受 26…加圧レバー 27…加圧スプリング 28…駆動ギヤ 29、30…支持軸 31…剥離部材 31a…剥離部 31b…折曲部 31c…支持片 31d…嵌合穴 31e…ガイド部 311…基材 312…中間層 313…被膜(表面層) 32…剥離部材 32a…剥離部3 32e…ガイド部 33…スプリング N…ニップ部(定着ニップ部) E…エッジ

Claims (14)

  1. 熱源を有する定着ローラと、該定着ローラに圧接される加圧ローラと、前記定着ローラの軸方向かつ定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に、前記定着ローラに近接して配設される剥離部材とを備え、
    前記剥離部材は、基材と、該基材の表面側に設けられた被膜とを有するものであり、
    前記被膜は、炭素系硬質材料を含む材料で構成されたものであることを特徴とする定着装置。
  2. 前記加圧ローラに近接して配設される剥離部材を備えている請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記加圧ローラ側の剥離部材の先端は、定着ローラ側の剥離部材の先端よりも記録媒体搬送方向下流側に配置されている請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記加圧ローラ側の剥離部材は、基材と、該基材の表面側に設けられ、前記炭素系硬質材料を含む材料で構成された被膜とを有するものである請求項2または3に記載の定着装置。
  5. 前記基材は、先端部にエッジを有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記基材と前記被膜との間に、M(ただし、Mは、Si、B、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Cu、Cr、Au、Ag、W、Ti、Al、Ni、SnおよびVからなる群から選択される少なくとも1種)または、前記Mの酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、炭酸窒化物、ホウ窒化物から選択される1種または2種以上で構成された中間層が設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記炭素系硬質材料は、ダイヤモンド様炭素である請求項1ないし6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記被膜は、乾式めっき法により形成されたものである請求項1ないし7のいずれかに記載の定着装置。
  9. 前記被膜は、0.05〜10μm/hの成膜速度で形成されたものである請求項1ないし8のいずれかに記載の定着装置。
  10. ボールオンディスク法により測定される前記被膜の摩擦係数μは、0.05〜0.7である請求項1ないし9のいずれかに記載の定着装置。
  11. 前記被膜のビッカース硬度Hvは、800〜5000である請求項1ないし10のいずれかに記載の定着装置。
  12. 前記被膜の厚さが0.1nm〜5μmである請求項1ないし11のいずれかに記載の定着装置。
  13. 前記定着ローラと前記加圧ローラとが略水平状態で配設されている請求項1ないし12のいずれかに記載の定着装置。
  14. 請求項1ないし13のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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