JP2006132630A - 動圧軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高回転精度の動圧軸受装置を低コストで提供することを目的とする。
【解決手段】 動圧軸受装置1のラジアル軸受部Rを多円弧軸受で構成する。軸受スリーブ8の内周面8aには、曲率中心を回転軸心から偏心させた複数の円弧面11と、その各円弧面11の境界には分離溝10とが形成される。軸受スリーブ8の内周面8aに形成された前記複数の円弧面11でラジアル軸受面Aが構成され、軸部材2の外周面2a1との間でくさび状隙間13が形成される。軸部材2と軸受スリーブ8との相対回転に伴い、流体圧力が最大となるくさび状隙間13の最小幅部t1は、その円周方向位置を軸方向でずらせて形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、動圧軸受装置に関するものである。この動圧軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用の軸受装置として好適である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている。これらの要求性能を決定付ける構成要素の一つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、この種の軸受として、上記要求性能に優れた特性を有する動圧軸受(流体動圧軸受)の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
動圧軸受の一例として、多円弧軸受が知られている。この多円弧軸受は、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間に、回転方向を次第に縮小したくさび形の隙間(くさび状隙間)を円周方向等間隔に三つ以上配置し、くさび状隙間に生じる油等の潤滑流体の動圧作用で軸部材を軸受スリーブに対して非接触に支持するものである(例えば、特許文献1)。
特開平9−200998号公報
この多円弧軸受は、円周方向等間隔に配置された複数の円弧面をその内周に有する軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材とで構成される。軸部材と軸受スリーブとを相対回転させると、ラジアル軸受隙間内の潤滑流体がくさび状隙間の狭い部分に押し込まれるため、潤滑流体の圧力が隙間の縮小方向に徐々に上昇し、最小幅部の周辺で圧力のピークを迎える。この上昇した圧力によって軸部材と軸受スリーブとが非接触支持される。
このように多円弧軸受では、圧力のピーク部分がくさび状隙間の数に対応して円周方向の複数箇所で生じる。そのため、ラジアル軸受隙間の円周方向では、圧力の高い部分と低い部分、さらには圧力が0となる部分(分離溝の形成領域)とが周期的に現れ、圧力のアンバランスを生じるが、この圧力のアンバランスは、HDD等のスピンドルモータで要求されるNRRO等の軸受精度に悪影響を及ぼす可能性がある。また、動圧軸受の用途によっては軸部材を水平姿勢にして使用する場合があり、その場合、ラジアル軸受隙間の圧力の低い部分を下にして軸受をセットすると、圧力不足から軸部材を確実に非接触支持できないおそれがある。
そこで本発明は、多円弧軸受に特有の上記問題点を解決し、高い回転精度を有する動圧軸受装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸受スリーブと軸部材との間のラジアル軸受隙間に生じた流体の動圧作用で、軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部とを備え、ラジアル軸受隙間が、円周方向の一方又は双方を縮小させた複数のくさび状隙間を有する動圧軸受装置において、くさび状隙間の最小幅部の円周方向位置を軸方向でずらせたことを特徴とするものである。上記の流体(潤滑流体)としては、潤滑油や磁性流体の他、エアー等の気体を用いることができる。この構成によれば、軸受装置全体で見ると、圧力の発生部分であるくさび状隙間の最小幅部の数が従来品よりも増す結果となる。そのため、円周方向での流体圧力のアンバランスを軽減することができ、NRRO等の回転精度の向上、さらには水平姿勢時における軸部材と軸受スリーブとの接触回避を図ることが可能となる。
上記のくさび状隙間の最小幅部を、軸方向で傾斜させることもできる。これにより、軸部材と軸受スリーブとの相対回転時、軸方向で流体の圧力ピークが円周方向の一部領域(最小幅部の存在領域)αに満遍なく分布する。従って、ラジアル軸受隙間全体で圧力ピークの局所的な分布を回避することができ、NRRO等の回転精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
この動圧軸受装置では、各くさび状隙間の最小幅部の存在領域αを円周方向で連続させるのが望ましい。これにより、流体の圧力ピークがラジアル軸受隙間の全周で満遍なく生じるため、回転精度のさらなる向上を図ることができる。
この動圧軸受装置では、軸方向に二つのラジアル軸受隙間を配置することもできる。この場合、両ラジアル軸受隙間における前記最小幅部の傾斜方向は逆向きとし、相対回転時に両ラジアル軸受隙間の流体が合流するように形成するのが望ましい。ラジアル軸受隙間の流体がそれぞれ軸方向に離反する方向に流れると、潤滑流体の軸受外への漏れや流体圧力のアンバランスによる気泡の発生等を招くおそれがあるからである。このとき、流体の合流部には、逃げ溝を形成することが望ましい。この逃げ溝を形成することにより、逃げ溝の部分では軸部材の外周面との間の隙間幅が拡大するため、逃げ溝部分での流体圧力の極端な上昇を回避することができる。
くさび状隙間は、例えば軸受スリーブの内周面に隙間数と同数の円弧面を形成することによって構成される。この場合、軸受スリーブを焼結金属で形成すれば、圧縮成形により精度良くかつ能率良く各円弧面を成形することが可能となる。予め焼結金属製軸受スリーブ素材の内周面に逃げ溝を形成した上で、円弧面を圧縮成形すれば、逃げ溝部分はサイジングされないため、その表面開孔率は円弧面に比べて大きくなる。これにより、逃げ溝に集められた流体が、軸受スリーブの内部に環流しやすくなり、逃げ溝部分での流体圧力の極端な上昇を回避することができる。
上記の動圧軸受装置は、この動圧軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを有するモータに好ましく用いることができる。モータとしては、例えばディスク装置用のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ用のポリゴンスキャナモータ、軸流ファン用の小型モータ等を挙げることができる。
以上のように、本発明によれば、高い回転精度を有する動圧軸受装置を低コストで提供することができる。また、この動圧軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを含むモータは、高い回転精度を有し、しかも低コストであるという特徴を備える。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る動圧軸受装置(流体動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、動圧軸受装置1と、動圧軸受装置1の軸部材2に取り付けられたロータ(ディスクハブ)3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取り付けられ、ロータマグネット5は、ディスクハブ3の内周に取り付けられている。ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一枚または複数枚保持する。ブラケット6の内周に動圧軸受装置1のハウジング7が装着されている。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する電磁力でロータマグネット5が回転し、それに伴ってディスクハブ3、軸部材2が回転する。
図2は、本発明の一実施形態にかかる動圧軸受装置1を示している。この動圧軸受装置1は、一端に開口部7aを有する有底円筒状のハウジング7と、ハウジング7の内周面に固定された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部材2と、ハウジング7の開口部7aに固定されたシール部材9とを主要な構成部材として含む。なお、以下では、説明の便宜上、ハウジング7の開口部7aを上側、これと軸方向反対側を下側として説明を行う。
軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端で外径側に張り出したフランジ部2bとを一体または別体に有する。この軸部材2は、全体をステンレス鋼等の金属材で形成する他、例えば軸部2aを金属製、フランジ部2bを樹脂製とした金属と樹脂のハイブリッド構造とすることもできる。フランジ部2bの下側端面2b2は、ハウジング7の底部7cの上側端面7c1と対向し、フランジ部2bの上側端面2b1は、軸受スリーブ8の下側端面8cと対向している。
ハウジング7は、両端を開口させた円筒状の側部7bと、側部7bの一端開口を封口する底部7cとで構成される。この実施形態において、側部7bと底部7cとは別部材であり、例えば側部7bは樹脂組成物の射出成形により、底部7cは軟質金属のプレス成形により成形される。この底部7cを側部7bの下側開口部に接着あるいは圧入、またはこれらを併用して取り付けることにより、一方の端部を封口した有底筒状のハウジング7が形成される。この他、ハウジング7の側部7bと底部7cとは、樹脂組成物や金属材料で一体成形することもできる(図8参照)。本実施形態において底部7cの上側端面7c1には、第2のスラスト軸受面Cが形成され、上側端面7c1の第2のスラスト軸受面Cとなる領域には、図示は省略するが、例えばスパイラル形状やヘリングボーン形状の動圧溝が形成される。この動圧溝は、ハウジング7全体あるいは底部7cを射出成形やプレス成形する際に同時に成形することができる。ハウジング7の側部7bの内周面には、後述する軸受スリーブ8が例えば接着等の手段により固定される。
ハウジング7の開口部7aの内周面には、金属材料や樹脂組成物で形成された環状のシール部材9が、例えば圧入あるいは接着、またはこれらを併用して固定される。シール部材9の内周面9aは、軸部2aの外周面2a1に設けられたテーパ面2a2とシール空間Sを介して対向する。軸部2aのテーパ面2a2は上側に向かって漸次縮径しており、軸部材2の回転により遠心力シールとしても機能する。動圧軸受装置の組立後、シール部材9で密封された動圧軸受装置1の内部空間に流体として例えば潤滑油が充満され、この状態では、潤滑油の油面はシール空間Sの範囲内に維持される。なお部品点数の削減および組立工数の削減のため、シール部材9をハウジング7と一体成形することもできる。
軸受スリーブ8は、例えば、黄銅やアルミ(アルミ合金)等の軟質金属材料、あるいは焼結金属材料で形成される。この実施形態においては、軸受スリーブ8は焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属に潤滑油(または潤滑グリース)を含浸させた含油焼結金属で円筒状に形成される。本実施形態において、軸受スリーブ8の下側端面8cには、第1のスラスト軸受面Bが形成され、このスラスト軸受面Bとなる領域には、図示は省略するが、例えばスパイラル形状やヘリングボーン形状の動圧溝が例えば型成形により形成される。
軸受スリーブ8の内周面8aには、例えば、図3に示すように、軸受スリーブ8の両端面に開口する分離溝10と、円周方向に複数の円弧面11を配列した多円弧状のラジアル軸受面Aとが形成される。各円弧面11は、軸心Oから等距離オフセットした位置に中心を有する偏心円弧面であり、各円弧面11の境界に分離溝10が配置されている。分離溝10は、後述するくさび状隙間13へ給油するため、およびくさび状隙間13での負圧発生を防止するために設けられ、その断面形状は図示の半円状には限定されない。
軸受スリーブ8の内周に軸部材2を挿入すると、軸部2aの真円状外周面2a1と軸受スリーブ8の内周面8aとの間に環状のラジアル軸受隙間が形成される。このうち、円弧面11と軸部2aの外周面2a1との間の隙間は、円周方向両端に最大幅部t2と最小幅部t1を有し、かつ円周方向の一方向に対して漸次縮小するくさび状隙間を形成する。このくさび状隙間13は、円弧面11の数に対応して、円周方向の複数箇所(図示例では三箇所)に等間隔で形成される。なお、このような形態の多円弧軸受は、テーパ軸受と称されることもある。
本発明では、くさび状隙間13の最小幅部t1は、その円周方向の位置を軸方向でずらせて形成される。図4はその一例を示すもので、この実施形態の各最小幅部t1は、軸方向で連続して円周方向に変位した形態、すなわち軸方向に対して傾斜した形態を有する。これに伴い、分離溝10および円弧面11の各部も軸方向で傾斜した形態となっている。これは、軸受スリーブ8の内周面8a(軸方向両端のチャンファ8eを除く)の横断面形状が、軸方向全体で同一形状をなし、かつ軸方向一端側から他端側にかけて徐々に回転させた形態を有することを意味する。なお、図4および以下示す軸受スリーブの縦断面図では、図面の簡略化のため、軸受スリーブ8の内周面8aには、分離溝10の輪郭のみを図示している。
図4に示すように、各くさび状隙間13の最小幅部t1は、軸受スリーブ8の軸方向全体で見れば、円周方向の一部領域αに存在する。本発明では、各くさび状隙間13における最小幅部t1の存在領域αを円周方向で連続させている。ここでの「連続」は、隣接する存在領域αが離れていないこと、すなわち隣接する存在領域αの円周方向両端が一致している場合、および隣接する存在領域αの円周方向両端が重なっている場合の双方を含む意である(図4では隣接する存在領域αの両端が重なっている場合を例示している)。
この軸受スリーブ8をハウジング7に固定する際、軸受スリーブ内周面8aの分離溝10や円弧面11の傾斜方向は、軸部材2の回転に伴って、潤滑油が分離溝10をハウジング7の底部7c側に向かって流れる向きとする。例えば軸部材2が上方から見て時計回りに回転する場合、図4に示す上下姿勢のまま軸受スリーブ8をハウジング7に固定する。この組立時のねじれ方向の識別を容易とするため、軸受スリーブ8の両端面の何れか一方、例えば上側端面8bには、図3に示すように識別マーク14を形成するのが望ましい。識別マーク14の形状は任意であり、図示のようなドット状とする他、例えば環状に形成することもできる。
以上の構成を有する軸受スリーブ8の内周面8aは、例えば軸受スリーブ8の内周に、当該内周面8aの形状に対応した成形部をその外周に有するサイジングピンを挿入し、その状態で金型に入れて圧縮成形(サイジング)することで形成することができる。圧縮成形により、軸受スリーブ8の内周面8aが塑性流動を起こしてサイジングピンの成形部に食い付き、成形部の表面形状が軸受スリーブ内周面8aに転写される。これにより、軸受スリーブ8の内周面8aに分離溝10や多円弧状のラジアル軸受面Aを精度良く成形することができ、高精度のラジアル軸受隙間が得られる。軸受スリーブ8を圧縮成形用の金型から取り出すと、軸受スリーブ8にスプリングバックが生じて成形した内周面8aが拡径するので、成形後の内周面8aを崩すことなく、サイジングピンをスムーズに軸受スリーブ8の内周から抜き取ることができる。なお、この他にも、傾斜状の分離溝10や多円弧状のラジアル軸受面Aを転造により成形することもできる。
以上の構成を有する動圧軸受装置1では、軸部材2の回転に伴い、ラジアル軸受隙間に満たされた潤滑油がくさび状隙間13の狭い部分に押し込まれるため、潤滑油の圧力がくさび状隙間13の縮小方向に徐々に上昇し、最小幅部t1の周辺で圧力のピークを迎える。このような潤滑流体の動圧作用によって、軸部材2と軸受スリーブ8とをラジアル方向で非接触支持するラジアル軸受部Rが構成される。この際、最小幅部t1は傾斜しているので、軸方向全長では、圧力ピークが円周方向の一部の存在領域αに満遍なく分布する。従って、ラジアル軸受隙間全体で見れば、圧力ピークの局所的な分布を回避することができ、NRRO等の回転精度の向上を図ることが可能となる。特に本実施形態のように、存在領域αを円周方向で連続させれば、圧力ピークがラジアル軸受隙間の円周方向全周で満遍なく生じるため、回転精度のさらなる向上を図ることができる。
また、軸受スリーブ8の下側端面8cに形成された第1スラスト軸受面Bと、ハウジング7の底部材7cの上側端面7c1に形成された第2スラスト軸受面Cは、それぞれ軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1との間の第1スラスト軸受隙間、下側端面2b2との間の第2スラスト軸受隙間を介して対向する。従って、軸部材2の回転時には、各スラスト軸受面B、Cに形成した動圧溝により両スラスト軸受隙間に潤滑油の動圧作用が発生し、その圧力によって軸部材2がスラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト両方向に回転自在に非接触支持する第1のスラスト軸受部T1および第2のスラスト軸受部T2が形成される。
上記のようにこの動圧軸受装置1では、分離溝10が軸方向で傾斜しているため、軸部材2の回転中は潤滑油がハウジング7の底側に押し込まれる。従って、そのままではスラスト軸受部T1、T2のスラスト隙間隙間での圧力が極端に高まり、これに起因して潤滑油中での気泡の発生や潤滑油の漏れ、あるいは振動の発生が懸念される。この場合、図2に示すように、スラスト軸受隙間(特に第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間)とシール空間Sを連通する循環路15、16を設ければ、この循環路15、16を通って潤滑油がスラスト軸受隙間とシール空間Sとの間で流動するため、かかる圧力差が早期に解消され、上記の弊害を防止することができる。図2では一例として、循環路15を軸受スリーブ8の外周面に形成する場合、および循環路16をシール部材9の下側端面9bに形成する場合を例示しているが、循環路15をハウジング7の内周面に、循環路16を軸受スリーブ8の上側端面8cに形成することもできる。
図2に示す実施形態では、一つのラジアル軸受部Rを有する動圧軸受装置1を例示しているが、軸方向に二つのラジアル軸受部R1、R2を設けることもできる。二つのラジアル軸受部R1、R2は、図5に示す動圧軸受装置1のように、それぞれ一つのラジアル軸受面Aを有する二つの軸受スリーブ81、82を軸方向に並べて配置することにより構成することができる。なお、この構成では、第一スラスト軸受部T1のスラスト軸受面Bが下側の軸受スリーブ82の下側端面8cにのみ形成され、上側の軸受スリーブ81の下側端面が動圧溝のない平滑面である点を除き、個々の軸受スリーブ81、82の構成は、図2に示す軸受スリーブ8と共通する。
このように二つの軸受スリーブ81、82を突合せて使用する場合、図6に示すように、二つの軸受スリーブ81、82は、その内周面8aに形成される分離溝10および円弧面11の傾斜方向が逆向きとなるように配置するのが望ましい。この場合、図6に示すように軸部材2の回転に伴い、潤滑油が二つの軸受スリーブ81、82の突合せ部に合流するよう軸受スリーブ81、82の組み込み方向を設定すれば(図6の例でいえば、軸部材2は上方向から見て時計回りに回転させる)、潤滑油がハウジング7内の軸方向中間部付近に集められるため、シール空間Sからの油漏れやスラスト軸受隙間での極端な圧力上昇を回避することができ、従って、図2に示す循環路15、16を省略することが可能となる。
以上のように、軸方向に二つのラジアル軸受隙間を形成した場合、潤滑油の合流部となる軸受スリーブ81、82の突合せ部分で潤滑油の圧力上昇が懸念されるが、実際には、以下の理由から極端な圧力上昇は回避することができる。:
(1)突合せ部には、上側の軸受スリーブ81の下側内径チャンファ8dと下側の軸受スリーブ82の上側内径チャンファ8eとが存在する。両チャンファ8d、8eで形成される逃げ溝17と軸部2aの外周面との間の隙間はラジアル軸受隙間に比べて大きいので、潤滑油が流れ込んだとしても圧力上昇は最小限に抑えられる。
(2)焼結金属製の軸受スリーブ81、82にラジアル軸受面Aを圧縮成形した場合、通常はサイジングピンと非接触の上記チャンファ8d、8eの表面開孔率がラジアル軸受面Aよりも大きくなるため、両チャンファ8d、8eでは、潤滑油が軸受スリーブ81、82の内部に活発に還流する。従って、突合せ部に流れ込んだ潤滑油の圧力上昇を抑えることができる。
もちろん、使用条件や設計条件等により、圧力の軸方向のアンバランスが問題となる場合があるので、必要に応じ、図2に示す実施形態と同様に循環路15、16を形成することもできる。例えばラジアル軸受部R1、R2の軸方向長さを異ならせた場合には、上下のラジアル軸受部R1、R2での油の押し込み力に差が生じるので、圧力のアンバランスを生じる可能性があり、その場合には循環路15、16を設けることでかかるアンバランスを解消することができる。
図7は、図6に示す実施形態において、二つの軸受スリーブ81、82を一体とし、一つの軸受スリーブ8の内周面8aに二つのラジアル軸受面Aを形成した例である。この場合も上記と同様、各ラジアル軸受面における分離溝10および円弧面11の傾斜方向を逆向きとし、潤滑油を二つのラジアル軸受面Aの間で合流させるのが望ましい。この場合、潤滑油の合流部における潤滑油の極端な圧力上昇を回避するため、軸受スリーブ8の内周面8aに、上記チャンファ8d、8eに代えて環状の逃げ溝17を設け、軸部材2の外周面2a1との間の隙間幅をラジアル軸受隙間よりも大きくするのが望ましい。
なお、図5〜図7に示す実施形態において、これ以外の構造・作用は、基本的に図2および図4に示す実施形態と共通するので、同一機能を有する部材および要素には共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
図4、図6、および図7に示す実施形態では、ラジアル軸受面Aおよび分離溝10を軸方向に対して傾斜させた場合を例示したが、本発明の効果を得るためには、少なくともくさび状隙間13の最小幅部t1の円周方向位置が軸方向でずれていれば足り、ラジアル軸受面Aおよび分離溝10は必ずしも傾斜させる必要はない。図8は、その一例で、ラジアル軸受面Aおよび分離溝10を軸方向にストレートに形成する一方、両ラジアル軸受部R1、R2において、ラジアル軸受面Aおよび分離溝10の円周方向の位相を異ならせたものである。これにより、軸受スリーブ8の全体で見れば、くさび状隙間13の最小幅部t1が、各ラジアル軸受部R1、R2と比べて半分のピッチで円周方向に間欠的に形成されるため、円周方向での圧力ピークの発生数が増大し、流体圧力のアンバランスを軽減することができる。
なお、図8に示す実施形態では、軸部材2の回転時にも潤滑油は軸方向の押し込み力を受けないので、図6や図7に示す実施形態に比べ、潤滑油の合流部に逃げ溝17を形成する必要性は少ない。この観点から、図8に示す実施形態では逃げ溝17を省略しているが、必要に応じて逃げ溝17を形成することもできる。例えば、ラジアル軸受部R1、R2の軸方向長さが異なる場合、軸受スリーブ8の内周面8aの任意箇所で潤滑油を合流させることができるので、その場合には軸受スリーブ8の内周面8aの合流部に逃げ溝17を形成するのが望ましい。また、図8では、一つの軸受スリーブ8で二つのラジアル軸受部R1、R2を構成する場合を例示しているが、図6に示す実施形態と同様に、二つの軸受スリーブ81、82を付き合わせることもできる。
また、以上の説明では、流体として潤滑油を使用する場合を説明したが、磁性流体やエア等の他の流体を使用する場合にも本発明を適用することができる。さらに動圧溝を有するスラスト軸受面B、Cを軸受スリーブ8の下側端面8cおよびハウジング底部7cの上側端面7c1に形成する場合を例示したが、これらスラスト軸受面B、Cの何れか一方または双方をフランジ部の上側端面2b1や下側端面2b2に例えばプレス成形等により形成することもできる。
図9は、動圧軸受装置1の他の実施形態を示すものである。この動圧軸受装置のスラスト軸受部Tは、ハウジング7の開口部7a側に位置し、一方のスラスト方向で軸部材2を軸受スリーブ8に対して非接触支持する。軸部材2の下端よりも上方にフランジ部2bが設けられ、このフランジ部2bの下側端面2b2と軸受スリーブ8の上側端面8bとの間にスラスト軸受部Tのスラスト軸受隙間が形成される。ハウジング7の開口部内周にはシール部材9が装着され、シール部材9の内周面9aと軸部材2の軸部2a外周面との間にシール空間Sが形成される。シール部材9の下側端面9bはフランジ部2bの上側端面2b1と軸方向隙間を介して対向しており、軸部材2が上方へ変位した際にはフランジ部2bの上側端面2b1がシール部材9の下側端面9bと係合し、軸部材2の抜け止めがなされる。
この実施形態においても、ラジアル軸受部Rを、図3に示す多円弧軸受で構成し、かつそのラジアル軸受面Aおよび分離溝10を、図4、図7、もしくは図8に示す何れかの形状に形成することにより、同様の効果を得ることができる。もちろん図5および図6に示す実施形態と同様に、ラジアル軸受部Rを軸方向に二つ設けることもできる。
以上に述べた各動圧軸受装置の説明では、ラジアル軸受部R、R1、R2を構成する多円弧軸受の一形態として、いわゆるテーパ軸受を例示したが、図9および図10に示す他の形態の多円弧軸受を使用することもできる。
図9に示す多円弧軸受は、図3に示す構成において、各くさび状隙間13の最小幅部を円周方向の所定領域θの範囲で、回転軸心Oを曲率中心とする同心の円弧面12で構成したものである。偏心した円弧面11と同心の円弧面12とでラジアル軸受面Aが形成される。従って、各円弧面11で区画される各領域において、ラジアル軸受隙間は円周方向の一方に対して漸次縮小し、所定領域θにおいて一定幅を有する最小幅部t1となる。このような構成の多円弧軸受は、テーパフラット軸受と称されることもある。
図10に示す多円弧軸受では、図3に示す構成において、各円弧面11の曲率中心が回転中心Oに対して直径方向に等距離オフセットされている。各円弧面11で区画される各領域において、ラジアル軸受隙間は円周方向の両方向に対して、それぞれくさび状に漸次縮小した形状を有している。
なお、図3、図9、および図10では、3つの円弧面を有する3円弧軸受を例示しているが、円弧面11、12の数は3以上で任意に選択することができ、4円弧軸受や5円弧軸受を使用することもできる。また、円弧面11、12を軸受スリーブ8の内周面8aに形成する場合を例示してきたが、これに対向する軸部2aの外周面2a1に円弧面11を形成することもできる。
また、スラスト軸受部T、T1、T2の一方又は双方は、例えばスラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、いわゆる波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。
本発明の一実施形態に係る動圧軸受装置を組み込んだ情報機器用スピン ドルモータの断面図である。 上記動圧軸受装置の断面図である。 ラジアル軸受部の一構成例を示す横断面図である。 図2に示す軸受スリーブの縦断面図である。 動圧軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。 図5に示す軸受スリーブの縦断面図である。 図2に示す軸受スリーブの他の実施形態を示す縦断面図である。 図2に示す軸受スリーブの他の実施形態を示す縦断面図である。 動圧軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。 ラジアル軸受部の他の構成例を示す横断面図である。 ラジアル軸受部の他の構成例を示す横断面図である。
符号の説明
1 動圧軸受装置
2 軸部材
2a 軸部
2b フランジ部
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
9 シール部材
10 分離溝
11 円弧面
12 円弧面
13 くさび状隙間
14 識別記号
15 循環路
16 循環路
17 逃げ溝
A ラジアル軸受面
B、C スラスト軸受面
R、R1、R2 ラジアル軸受部
T、T1、T2 スラスト軸受部
t1 (ラジアル軸受隙間)最小幅部
t2 (ラジアル軸受隙間)最大幅部

Claims (7)

  1. 軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸受スリーブと軸部材との間のラジアル軸受隙間に生じた流体の動圧作用で、軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部とを備え、ラジアル軸受隙間が、円周方向の一方又は双方を縮小させた複数のくさび状隙間を有する動圧軸受装置において、
    くさび状隙間の最小幅部の円周方向位置を軸方向でずらせたことを特徴とする動圧軸受装置。
  2. くさび状隙間の最小幅部を軸方向で傾斜させた請求項1記載の動圧軸受装置。
  3. 各くさび状隙間の最小幅部の存在領域が、円周方向で連続している請求項2記載の動圧軸受装置。
  4. 軸方向に二つのラジアル軸受隙間を配置し、軸部材と軸受スリーブの相対回転に伴って、両ラジアル軸受隙間の流体が合流するように、両ラジアル軸受隙間における前記最小幅部の傾斜方向を逆向きとしたことを特徴とする請求項2又は3記載の動圧軸受装置。
  5. 軸受スリーブの内周面のうち、流体の合流部に逃げ溝を形成した請求項4記載の動圧軸受装置。
  6. 軸受スリーブが焼結金属で形成されている請求項1〜5何れか記載の動圧軸受装置。
  7. 請求項1〜6何れか記載の動圧軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを有することを特徴とするモータ。
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