JP2006130356A - イオン交換フィルタおよびイオン交換フィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオン交換樹脂粉体が濾材から脱落しにくく、且つイオン交換樹脂粉体のイオン除去効率が高いイオン交換フィルタおよびイオン交換フィルタの製造方法を得る。
【解決手段】 本発明にかかるイオン交換フィルタ1は、濾過材にイオン交換樹脂粉体4bをバインダ4cで付着されている。イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとの接着面4dには、イオン交換樹脂粉体およびバインダの双方に吸収させていた有機溶媒12,13を蒸発させてイオン交換樹脂粉体4bおよびバインダ4cの双方を収縮させて、バインダ4cの一部をイオン交換樹脂粉体4bから剥離させて断続的な隙間4eを形成した。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明にかかるイオン交換フィルタ1は、濾過材にイオン交換樹脂粉体4bをバインダ4cで付着されている。イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとの接着面4dには、イオン交換樹脂粉体およびバインダの双方に吸収させていた有機溶媒12,13を蒸発させてイオン交換樹脂粉体4bおよびバインダ4cの双方を収縮させて、バインダ4cの一部をイオン交換樹脂粉体4bから剥離させて断続的な隙間4eを形成した。
【選択図】図1
Description
この発明は、液体や気体などの精密濾過に使用されるイオン交換フィルタおよびイオン交換フィルタの製造方法であって、特にたとえば、イオン交換樹脂粉体の脱落が少なく、イオン不純物を効率的に除去できるイオン交換フィルタおよびイオン交換フィルタの製造方法に関する。
従来より、半導体製造時に使用する洗浄液の精製,有機溶媒の精製、電子部品用原料液の精製,一般産業用液体中の有害なイオンの除去等を行う場合には、濾過流体中から特定のイオン不純物を除去するためにカートリッジ型のイオン交換フィルタ等が利用されてきた。カートリッジ型のイオン交換フィルタの濾過材としては、濾材である繊維マトリックス全体に、濾過助剤とイオン交換樹脂を粉砕して粉末状にしたもの(以下、単にイオン交換樹脂粉体と称す)とを均一に分散して固定したフィルターシートなどが利用されてきた(特許文献1参照)。なお、イオン交換樹脂粉体を濾材に固着するには、ラテックスバインダ等のバインダを用いられている。(特許文献2参照)。イオン交換樹脂粉体を濾材に固着させる手順としては、まず、溶媒で溶解したバインダにイオン交換樹脂粉体を混ぜ合わせる。そして、イオン交換樹脂粉体を混ぜ合わせたバインダを、スプレー、含浸、吸引などの適宜な方法を用いて濾材に付着させる。その後、バインダに含有されている溶媒を蒸発させることで、イオン交換樹脂粉体を濾材に固着させていた。
特表2000−516133号
特表2001−507984号公報
しかしながら、上述した濾過材では、濾材に乾燥状態のイオン交換樹脂粉体をバインダで固着しているため、使用中にイオン交換樹脂粉体が濾過流体を吸収し膨潤したときに、イオン交換樹脂粉体とバインダとの接着部分が剥離してしまうことが多かった。このため、接着部分が剥離したイオン交換樹脂粉体は、濾材から脱落し、濾過流体の中に混入してしまい、コンタミネーションを発生する恐れがあった。この問題を解消するために、バインダの量を多くしてイオン交換樹脂粉体の表面を広い範囲でバインダにより覆い接着する方法も考えられた。しかしこの場合には、イオン交換樹脂粉体が脱落しにくい反面、イオン交換樹脂粉体がイオン交換反応を行う有効表面積が減少するために、イオン交換性能が低下する問題が発生していた。
それゆえに、この発明の主たる目的は、イオン交換樹脂粉体が濾材から脱落しにくく、且つイオン交換樹脂粉体のイオン除去効率が高いイオン交換フィルタおよびイオン交換フィルタの製造方法を提供することである。
請求項1に記載の発明は、濾材にイオン交換樹脂粉体をバインダで固着させたイオン交換フィルタであって、イオン交換樹脂粉体とバインダとの接着面に、イオン交換樹脂粉体およびバインダの双方を収縮させることにより形成した断続的な隙間を有することを特徴とするイオン交換フィルタである。この場合には、イオン交換樹脂粉体とバインダとの接着面に形成された断続的な隙間の中にも濾過流体が流通しイオン交換樹脂粉体と接触する。
請求項2に記載の発明は、濾材にイオン交換樹脂粉体をバインダで付着させたイオン交換フィルタの製造方法であって、イオン交換樹脂粉体に有機溶媒を吸収させてイオン交換樹脂粉体を膨潤させる工程と、膨潤したイオン交換樹脂粉体を有機溶媒で溶解したバインダで前記濾材に付着させる工程と、イオン交換樹脂粉体が膨潤している状態でバインダを溶解している有機溶媒を蒸発させて、イオン交換樹脂粉体を濾材に固着させる工程と、イオン交換樹脂粉体に吸収されている有機溶媒を蒸発させる工程とを含むことを特徴とするイオン交換フィルタの製造方法である。この場合には、イオン交換樹脂粉体が膨潤している状態でバインダにより濾材に付着される。その後、イオン交換樹脂粉体とバインダとに含まれていた有機溶媒を蒸発させ、イオン交換樹脂粉体とバインダとを収縮させることでイオン交換樹脂粉体とバインダとの接着面に断続的な隙間が形成される。これにより、イオン交換樹脂粉体は、乾燥状態で固着されるときより広い面積を有してバインダで接着される。また、イオン交換樹脂粉体とバインダとの接着面に形成された断続的な隙間の中を濾過流体が流通してイオン交換樹脂粉体と接触する。
請求項3に記載の発明は、バインダを溶解する有機溶媒が、イオン交換樹脂粉体を膨潤させる有機溶媒と同一またはイオン交換樹脂粉体を膨潤させる有機溶媒に可溶な有機溶媒である請求項2に記載のイオン交換フィルタの製造方法である。この場合には、有機溶媒で膨潤しているイオン交換樹脂粉体と有機溶媒で溶解しているバインダは、互いにはじきあうことなく馴染んだ状態で接触する。これにより、イオン交換樹脂粉体とバインダとは、広い面積にわたって強固に接着される。また、その接着面にはイオン交換樹脂粉体およびバインダの双方の収縮によって確実に断続的な隙間が形成される。
請求項4に記載の発明は、イオン交換樹脂粉体に吸収される有機溶媒の蒸発速度が、バインダを溶解する有機溶媒の蒸発速度より小さい、請求項2または請求項3に記載のイオン交換フィルタの製造方法である。この場合には、確実にイオン交換樹脂粉体が膨潤している状態において、バインダに含まれている溶媒を蒸発させることが可能である。その後、イオン交換樹脂粉体に含まれている溶媒を蒸発させ、イオン交換樹脂粉体を収縮させることで、確実にイオン交換樹脂粉体とバインダとの接着面に断続的な隙間が形成される。これにより、バインダとイオン交換樹脂粉体との接着面積は、乾燥状態のイオン交換樹脂粉体を固着させた場合よりも確実に大きくなる。また、イオン交換樹脂粉体とバインダとの接着面に形成された断続的な隙間の中を濾過流体が流通してイオン交換樹脂粉体と接触する。
本発明にかかるイオン交換フィルタによれば、イオン交換樹脂粉体が濾材から脱落しにくく、且つイオン交換樹脂粉体のイオン除去効率が高い。
図1は、本発明にかかるイオン交換フィルタを適用したカートリッジ型イオン交換フィルタの一部を破断した斜視図解図である。図2は、図1の線II−IIにおける断面図解図である。
カートリッジ型イオン交換フィルタ1は、カバー2を有する。カバー2は、カートリッジ型イオン交換フィルタ1の筐体の一部を構成し、内部に格納されるイオン交換フィルターエレメント3等を保護するためのものである。カバー2は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂や、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などのプラスチックから形成され、その形状は円筒状に形成されている。また、カバー2は、側面全体に貫通孔2aが多数設けられており、濾過流体が外面から内面へ向けてスームズに流通するように構成されている。
カバー2の内側には、図3に示すように、イオン交換フィルタエレメント3が配されている。なお、図3は、カートリッジ型イオン交換フィルタを示す縦断面図解図である。イオン交換フィルタエレメント3は、図4に示すように、イオン交換フィルタである濾過材4を、流入側サポート材5と流出側サポート材6とで挟み込んだ形に構成されている。なお、図4は、イオン交換フィルターエレメントを示す要部断面図解図である。
濾過材4は、図5に示すように、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bをバインダ4cで固着したものが使用される。なお、図5は、イオン交換樹脂粉体が濾布を構成する繊維にバインダで固着されている状態を示す図解図である。濾布4aは、濾過流体に対する耐性を備え、イオン交換樹脂粉体4bを固着するバインダ4cが接着可能な素材からなるものが使用される。具体的に濾布4aとしては、ポリプロピレン繊維,ポリエチレン繊維,フッ素樹脂繊維等からなる不織布などが使用される。また、濾布4aには、開口径が、1μm〜100μmのものが使用され、好ましくは3μm〜50μm、さらに好ましくは5μm〜20μmのものが使用される。これは、濾布4aの開口径が1μm以下であると、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bをバインダ4cで固着したときに圧力損失が大きくなりすぎ、反対に濾布4aの開口径が100μm以上であると、濾過流体がイオン交換樹脂粉体4bに接触することなく濾材4を通過してしまう確率が上昇し、イオン不純物の除去効率が低下してしまうためである。以上の理由から、濾布4aとしては、メンブレン膜といったような微細孔を有するものではなく、比較的大きい孔径分布を持つメルトブロー不織布やスパンボンド不織布といったものが使用される。
イオン交換樹脂粉体4bには、イオン交換樹脂を粉末状に粉砕したものが使用される。なお、イオン交換樹脂は、化学性質上の分類として強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂、強塩基性アニオン交換樹脂、弱塩基性アニオン交換樹脂、キレート樹脂等に分類でき、さらにその分類の中でも基体構造の違いから、ゲル型、ポーラス型、ハイポーラス型に分類できるが、本実施の形態では、有機溶媒を吸収したときに膨潤して体積が増大するイオン交換樹脂が使用されればよい。イオン交換樹脂は、小さく粉砕されてイオン交換樹脂粉体4bとされる。なお、イオン交換樹脂を粉砕する方法としては、衝撃式粉砕機、ジェットミル、ボールミル、ピンミル等の粉砕機を使用して粉砕する。イオン交換樹脂は、粒径が平均粒径が1μm〜50μmに粉砕され、好ましくは、5μm〜30μmの範囲に粉砕されるのが好ましい。
バインダ4cには、使用時において濾過流体の影響による膨張や変形などの物理的変形が少なく、分子量の低下などの化学的変化が少なく、且つ濾布4aに接着可能なものが使用される。また、バインダ4cには、熱硬化性樹脂よりも熱可塑性樹脂が使用されるのが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂の中でも樹脂皮膜が軟らかいものが使用されるのが好ましい。これは、バインダ4cがイオン交換樹脂粉体4bの収縮・膨張に追従して変形して、イオン交換樹脂粉体4bが濾布4aから脱落するのを防止するためである。具体的にバインダ4cとしては、ポリエチレン樹脂(エチレン・ブテン共重合体やエチレン・ヘキセン共重合体等)、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、スチレン樹脂(SEBS:スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体など)等が使用される。これらの中で有機溶媒への耐性を考慮した場合には、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系が望ましく、その中でも皮膜に柔軟性がありイオン交換樹脂の保持性に優れるポリエチレン系樹脂を使うことがさらに好ましい。
上述したように、イオン交換樹脂粉体4bはバインダ4cにより濾布4aに固着されるが、本実施の形態のイオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとの接着面4dは、従来の方法により乾燥状態のイオン交換樹脂粉体をバインダで固着した場合より面積が大きい。従来は、図6(a)に示すように、収縮状態にあるイオン交換樹脂粉体をバインダで濾布に付着させ、図6(b)に示すように、バインダ中の有機溶媒を蒸発させて固着している。収縮状態にあるイオン交換樹脂粉体は、ろ過流体を吸収して膨張している使用中の状態に比べると体積が小さい。そのため、従来の方法で固着させた場合には、図6(c)に示すように、濾過流体を吸収して膨張したイオン交換樹脂粉体を固着させるために必要な接着面積が確保できないので、イオン交換樹脂粉体が脱落しやすい。それに比べ本発明にかかるでは、膨張状態にあるイオン交換樹脂粉体4bをバインダにより固着しているので、図5に示すように、イオン交換樹脂粉体4bを保持するのに必要な面積を備えた接着面4dを設けることが可能である。
また接着面4dには、図5に示すように断続的に微小な隙間4eが形成されている。隙間4eは、使用中に濾過流体をその内部に流通させて、イオン交換樹脂粉体4bと濾過流体を接触させるための空間である。また、隙間4eは、イオン交換樹脂粉体4bの収縮・膨張に追従して、隙間4eが変形することにより接着面4dが剥離するのを防止する機能も備えている。隙間4eの変形について詳しく説明すると、図7(a)に示すように、イオン交換樹脂粉体が膨張していない状態では、隙間4eの谷状になっている部分の高さ(深さ)が大きい状態にあるが、イオン交換樹脂粉体4bが膨張したときには、図7(b)に示すように、イオン交換樹脂粉体4bの動きにバインダ4bが追従することにより、隙間4eが拡がり、その高さを低く(浅く)することでイオン交換樹脂粉体4bの膨張を吸収する。上述してきた作用により、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとは剥離しにくく、イオン交換樹脂粉体4cが脱落して濾過流体中に混入することを防止できる。また、イオン交換樹脂粉体4bは、従来の方法により固着された場合より、イオン交換を行う有効面積が増大し、効率よくイオン交換を行うことが可能である。なお、この接着面4dと隙間4eは、イオン交換樹脂粉体4bに有機溶媒を吸収させ膨潤させた状態においてバインダ4cで濾布4aに固着させた後、バインダ4cとイオン交換樹脂粉体とに吸収されている有機溶媒を蒸発させてイオン交換樹脂粉体を収縮させて形成したものである。この製造方法については、後程詳述する。
流入側サポート材5は、プリーツ状に成型された濾布4a同士の密着を防止するためのものである。流入側サポート材5としては、濾布4a同士の密着を防止できる厚さを有し、耐液性と通液性に優れた部材が適用可能である。具体的に流入側サポート材5としては、ポリプロピレン等のプラスチックからなるネットまたはスパンボンド不織布などが使用される。また、流出側サポート材6についても、流入側サポート材5と同様な目的で使用され、プリーツ状に成型された濾布4a同士の密着を防止できる厚さを有し、耐液性と通液性に優れた部材が適用可能であり、具体的に流出側サポート材6としては、通液性に優れたスパンボンド不織布などが使用される。なお、流入側サポート材5については、プレフィルタの役目を備えさせる点で、平均細孔径は濾材4の平均細孔径より大きいものを使用することが望ましい。
濾材4と流入側サポート材5と流出側サポート材6とは、重ね合わされた後、図4に示すように、所定の幅でプリーツ加工が施され、所定の寸法に裁断される。重ね合わされ裁断された部材は、円筒状となるようにその両端部同士が突き合わされた状態で液密に溶着され、イオン交換フィルタエレメント3とされる。
イオン交換フィルタエレメント3の内側には、コア7が配されている。コア7は、イオン交換フィルタエレメント3を内側から支持するためのものである。コア7は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂や、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などのプラスチックから形成され、その形状は円筒状に形成されている。また、コア7は、側面全体に貫通孔7aが多数設けられており、カバー2と同様に、濾過流体が外側から内側へスムーズに流通できるように構成されている。カバー2の下部には、下部エンドプレート8が取付けられている。下部エンドプレート8は、イオン交換フィルタ1の筐体の一部を構成し、内部に格納されるフィルターエレメント等を保護するためのものである。下部エンドプレート8は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂や、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などのプラスチックから形成される。下部エンドプレート8の形状は、平面形状正円形で、その外径はカバー2の外径と等しく形成されている。また、下部エンドプレート8の外周縁部8aおよび内周縁部8bは、図3に示すように垂直方向上方に向けて立設されている。なお、内周縁部8bの外縁には、全周に亘って切欠き8cが設けられている。切り欠き8cには、コア7の下端が嵌め入れられ、コア7が所定位置に配置される。また、外周縁部8aと内周縁部8bとの間には、イオン交換フィルタエレメント3が嵌め入れられ、カバー2とコア7との間にイオン交換フィルタエレメント3が配される。
カバー2の上部には、上部エンドプレート9が取付けられている。上部エンドプレート9は、下部エンドプレート8と同様に、カートリッジ型イオン交換フィルタ1の外郭の一部を構成し、内部に格納されるフィルターエレメント等を保護するものである。さらに、上部エンドプレート9は、濾過された濾過流体を排出するための流出経路の役割も備えている。上部エンドプレート9は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂や、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などなどのプラスチックから形成されている。上部エンドプレート9の形状は、平面形状正円形で、その外径はカバー2の外径と等しく形成されている。また、上部エンドプレート9の外周縁部9aおよび内周縁部9bは、図3に示すように垂直方向下方に向けて立設されている。なお、内周縁部9bの外縁には、全周に亘って切欠き9cが設けられている。切り欠き9cには、コア7の上端が嵌め入れられ、コア7が所定位置に配置される。また、外周縁部9aと内周縁部9dとの間には、イオン交換フィルタエレメント3が嵌め入れられ、カバー2とコア7との間にイオン交換フィルタエレメント3が配される。上部エンドプレート9の中央部分には、排出口9dが設けられている。排出口9dは、イオン交換フィルタ1内部に流入し濾過された濾過流体を外部に排出するためのものである。排出口9dは、上部エンドプレート9の中央部分が円形に開口され、開口部分の縁が上方に向けて円筒状に突出するように設けられている。排出口9dは、適宜、システム下流に位置する装置類に接続され、濾過した濾過流体を下流の装置等に排出する。イオン交換フィルタエレメント3の上下端は、それぞれ上部エンドプレート9と下部エンドプレート8とに液密に溶着され、濾過流体が濾過されずに排出口9dに洩れ出ないように構成されている。
カートリッジ型イオン交換フィルタ1は、イオン交換フィルターエレメント3に固着するイオン交換樹脂粉体4bに有機溶媒を吸収させてイオン交換樹脂粉体4bを膨潤させたことで、乾燥状態のイオン交換樹脂粉体4bをバインダ4cで固着した従来の場合に比べて、イオン交換樹脂粉体4bが広い接着面積をもってバインダ4cにより固着されている。したがって、使用中に濾過流体を吸収してイオン交換樹脂粉体4bが膨潤しても、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとの接着部分が剥離しにくい。これにより、イオン交換樹脂粉体4bが濾布4aから脱落しにくいので、コンタミネーションの発生を防止することができる。また、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとの接着部分には、イオン交換樹脂粉体4b及びバインダ4cの双方の収縮によって断続的に微小な隙間4eが形成されている。これにより、イオン交換樹脂粉体4bが従来のものより広い範囲においてバインダ4cに覆われて接着されているにもかかわらず、濾過流体が流通可能な状態に形成された隙間4e内を濾過流体が流通するため効率良くイオン交換が行われる。さらに、イオン交換樹脂粉体4bが膨張・収縮したときには、バインダ4c自体が膨張・収縮するのに加え、隙間4eが変形することで、イオン交換樹脂粉体4bの変形にバインダ4cが追従することが容易である。
引き続き、図8を参照しながら、本発明にかかる別の実施の形態について説明を行う。図8は、本発明にかかる別の実施形態のイオン交換フィルタを適用したイオン交換フィルターエレメントを示す要部断面図解図である。なお、符号については、図1に示した実施の形態と同一のものについては、同一の符号を付す。図8に示したカートリッジ型イオン交換フィルタ10は、カートリッジ型イオン交換フィルタ1とは、内蔵されるイオン交換フィルタであるイオン交換フィルターエレメントが異なる。図1では、濾過流体が流通する流通方向にほとんど厚みを有さないプリーツ型のイオン交換フィルターエレメント3が内蔵されていたが、図8の実施の形態では、流通方向に濾材が厚みを有するデプス型のイオン交換フィルターエレメント11が内蔵されている。イオン交換フィルターエレメント11には、濾布12aとして、短繊維を熱ロール加工などによって融着加工したシートや、メルトブロー不織布,スパンバンド不織布などを積層してデプス型の濾過材としたものや、メルトブロー法やスポンボンド法により多孔性のコア7の外周に直接濾材繊維を同心円状に積層して形成されたものが使用される。そして、図8に示したイオン交換フィルタエレメント11にも、図1に示した実施の形態と同様に、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとが、従来のものより広い接着面を有して固着されている。また、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとの接着面4dには、同様の手法により断続的な微小な隙間4eが形成されている。
上述した実施の形態についても、図1等に示した実施の形態と同様の手法によりイオン交換樹脂粉体4bを固着させているので、使用中にイオン交換樹脂粉体4bが膨潤しても脱落しにくく、コンタミネーションの発生を防止できる。また、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとの接着部分には、断続的に微小な隙間4eが設けられているので、イオン交換樹脂粉体4bが広い範囲においてバインダ4cに接着されていても、隙間4eの一部の中を流通することで効率良くイオン交換が行われる。さらに、イオン交換樹脂粉体4bが膨張・収縮したときには、バインダ4c自体が膨張・収縮するのに加え、隙間4eが変形することでバインダ4cが容易にイオン交換樹脂粉体4bの変形に追従することができる。
上述してきた実施の形態のイオン交換フィルタであるイオン交換フィルタエレメント3,11を製造するには、イオン交換樹脂粉体4bを有機溶媒12により膨潤している状態でバインダ4cにより固着させることにより製造することができる。以下、本発明にかかるイオン交換フィルタの製造方法について説明を行う。
まず、第1の工程として、イオン交換樹脂粉体4bを有機溶媒12に浸漬し、イオン交換樹脂粉体4bに有機溶媒12を十分吸収させる。有機溶媒12を吸収したイオン交換樹脂粉体4bは、膨潤して体積が増大した状態となる。なお、イオン交換樹脂粉体4bには、前述したように有機溶媒12を吸収したときに体積が増大するタイプのイオン交換樹脂4bを平均粒径1μm〜50μmに粉砕したものを使用する。有機溶媒12としては、エタノールやメタノール、イソプロピルアルコールなどといったアルコール系溶媒や、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、単にPGMと称す)などのエーテルアルコール系溶媒等が使用される。なお、この工程において有機溶媒12に浸漬する前のイオン交換樹脂粉体4bは、水分を含んでいない乾燥状態でも水分を含んだゲル状態のどちらの状態にあってもよい。これは、イオン交換樹脂粉体4bが水分を含んだ状態にあっても、有機溶媒12に浸漬されると吸液されている水分と有機溶媒12とが置換され、イオン交換樹脂粉体4bが有機溶媒12を吸液して膨潤した状態となるからである。
第2の工程として、バインダ4cに有機溶媒13を混ぜてバインダ4cを溶解する。バインダ4cには、前述したようにイオン交換樹脂粉体4bの膨潤による膨張・収縮に追従することができる皮膜の柔軟な樹脂等を使用する。バインダ4cを溶解する有機溶媒13としては、イオン交換樹脂粉体4bを膨潤するのに用いた有機溶媒12と同じものか、若しくは有機溶媒12に可溶な有機溶媒が使用される。この理由は、有機溶媒12で膨潤したイオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとが、互いにはじき合うことなく馴染んだ状態で密着して乾燥することで、十分な面積を持つ接着面4dと接着面4dの接着強度を確保するためである。なお、この実施の形態においては、イオン交換樹脂粉体4bを膨潤させる有機溶媒12に、エタノール等のアルコール系溶媒やPGM等のエーテルアルコール系溶媒を使用したので、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系の有機溶媒を使用した。
第3の工程として、濾布4aに膨潤したイオン交換樹脂粉体4bを付着させる。なお、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bを付着させるには、濾布4aに含浸法、コーティング法、スプレー法などの公知な方法を用いて付着させる。また、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cが付着されていないカートリッジ型イオン交換フィルタ1を作製し、イオン交換樹脂粉体4bを分散した有機溶媒12をそのカートリッジ型イオン交換フィルタ1の流入口から流出口に向けて流通させ、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bを付着させるようにしてもよい。この場合には、カートリッジ型イオン交換フィルタ1の濾布4aの目の粗さは、イオン交換樹脂粉体4bを十分捕捉しうるものを選択することが好ましい。
第4の工程として、図9に示すように、濾布4aに付着したイオン交換樹脂粉体4bに、有機溶媒13で溶解したバインダ4cを付着させる。バインダ4cを付着させるには、イオン交換樹脂粉体4bと同様に含浸法、コーティング法、スプレー法などの公知な方法を用いて濾布4aに付着させてもよいし、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bが付着している状態のカートリッジ型イオン交換フィルタ1の流入口から流出口に向けて有機溶媒13で溶解してあるバインダ4cを流通させ、イオン交換樹脂粉体4bにバインダを付着させるようにしてもよい。
第5の工程として、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとが付着された濾布4aに乾燥処理を施し、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとに含まれている有機溶媒12および有機溶媒13を蒸発させる。乾燥処理は、バインダ4cに含まれている有機溶媒13が、イオン交換樹脂粉体4bに含まれている有機溶媒12より、先に蒸発するように行われる。その理由は、膨潤して体積が増大している状態のイオン交換樹脂粉体4bをバインダで覆い(図9図示)、膨潤して体積が増大している状態のイオン交換樹脂粉体4bをバインダで固着(図10図示)させて、乾燥状態のイオン交換樹脂粉体4bをバインダ4cで覆い、バインダ4cに含まれる有機溶媒13を蒸発させ固着したときよりも、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとの接着面4dを大きくするためである。それと、完全に乾燥して収縮(肉やせ)したバインダ4cが、イオン交換樹脂粉体4cの収縮によりさらに収縮(圧縮)させるためである(図11図示)。バインダ4cは、弾性で吸収できる範囲はイオン交換樹脂粉体4bに追従して収縮するが、それ以上収縮すると、接着面4dのバインダ4cの一部が断続的に剥離して、図5に示すように、微小な隙間4eを形成する。本工程で、有機溶媒12より有機溶媒13の方を速く蒸発させるためには、有機溶媒13として有機溶媒12の沸点より高い沸点の有機溶媒を用いるのが好ましい。具体的な組み合わせとしては、有機溶媒12としてPGMを使用して、有機溶媒13にトルエンを使用することが好ましい。しかし、上述したような組合せが使用できない場合や、有機溶媒12と有機溶媒13とに同じ有機溶媒を使用する場合には、イオン交換樹脂粉体4bに含まれている有機溶媒12の割合を多くし、他方のバインダ4cに含まれるバインダ4cの割合を少なくすることで有機溶媒13の方が先に蒸発するように調製されればよい。
上述してきた工程を経て、イオン交換樹脂粉体4bをバインダで固着させた場合には、広い面積の接着面4dを確保することができる。これにより、図12に示すように、イオン交換樹脂粉体4bが膨張した状態でも、保持するために必要な接着面積4dを備えており、イオン交換樹脂粉体4bが脱落しにくい。また、イオン交換樹脂粉体4bが濾過流体を吸収して膨張したときでも、その動きに合わせてバインダ4cと隙間4eが変形するので、接着面4dが剥離せず、イオン交換樹脂粉体4bが脱落しにくい。さらに、接着面4dに断続的な隙間4eが形成されるので、隙間4e内を濾過流体が流通することによりイオン交換が効率的に行われる。
なお、この実施の形態では、第3の工程と第4の工程とに分けて、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとを別々に濾布4aに付着させたが、これに限らず、イオン交換樹脂粉体4bを分散した溶剤にバインダ4cを混ぜ入れて、同時に濾布4aに付着させるように処理してもよい。または、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとが付着されていない濾布を内蔵したカートリッジ型イオン交換フィルタ1,10を作製して、カートリッジ型イオン交換フィルタ1,10の流入口から流出口に向けて、イオン交換樹脂粉体4bを分散した溶剤にバインダ4cを混ぜ入れたものを流通させ、イオン交換樹脂粉体4bとバインダ4cとを付着させるようにしてもよい。
以下、幾つかの実施例を挙げて具体的に本発明にかかるイオン交換フィルタについて説明を行う。なお、各実施例において、外観に表れる特徴は全て同一条件となるように、カバー2、イオン交換フィルタエレメント3、コア7は同一の形状をしている。各部の形状の詳細は以下の通りである。
カバー:ポリプロピレン樹脂を用いて外径55mmの多孔性の円筒形に形成した。
コア:ポリプロピレン樹脂を用いて外径28mm、厚み2.5mmの多孔性の円筒形に形成した。
濾材:幅6cmのメルトブロー不織布(濾過精度10μm)にプリーツ幅10mmのプリーツ加工を施し、山数が75で濾材面積が900cm2の濾材を作製した。なお、イオン交換フィルタ1は、全体として65mmの高さとなるように形成し、内部に格納されるイオン交換フィルタエレメント3等は、それに対応した高さとなるように作製した。
(実施例1)
三菱化学株式会社製のイオン交換樹脂であるダイアイオン(登録商標)SK1BHを、平均粒径24μm、最大粒径54μmに粉砕したものをイオン交換樹脂粉体4bとして使用し、有機溶媒12には、PGMを使用した。バインダ4cにはオレフィン系のバインダを使用し、有機溶媒13にはトルエンを使用した。まず、上述のイオン交換樹脂粉体4bを有機溶媒12に分散・浸漬して膨潤させた。有機溶媒12にイオン交換樹脂粉体4bを分散した液を、予め濾布4a等を組付けて完成品の形に製作したイオン交換樹脂粉体4b、バインダ4cを固着する前のカートリッジ型イオン交換フィルタ1の流入口から排出口に向けて混合した液が流入するようにポンプを用いて吸引処理を行い、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bを付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタ1に有機溶媒13であるトルエンを流し入れ、イオン交換樹脂粉体4bに吸収されていない余分な有機溶媒12を除去した。次に有機溶媒13で溶解したバインダ4cをカートリッジ型イオン交換フィルタ1の流入口から排出口に向けて吸引してバインダ4cを付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタ1を80°Cで熱風乾燥処理を行い、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bの固着を行った。なお、1本のカートリッジ型イオン交換フィルタ1に付着したイオン交換樹脂粉体4bの乾燥付着重量は、7.2gであった。
(実施例2)
イオン交換樹脂粉体4bは、実施例1と同じものを使用し、有機溶媒12には、日本アルコール販売株式会社製の混合溶剤であるソルミックス(登録商標)AP−1(エタノール:メタノール:イソプロピルアルコール=85.5%:1.1%:13.4%混合液)を使用した。バインダ4cには、オレフィン系のバインダを使用して、有機溶媒13には、トルエンを使用した。まず、上述のイオン交換樹脂粉体4bを有機溶媒12に分散・浸漬して膨潤させた。そして、有機溶媒12にイオン交換樹脂粉体4bを分散した液を予め濾布4a等を組付けて完成品の形に製作したイオン交換樹脂粉体4b、バインダ4cを固着する前のカートリッジ型イオン交換フィルタ1の流入口から排出口に向けて液が流れ込むようにポンプを用いて吸引処理を行い、濾布にイオン交換樹脂粉体が付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタ1に有機溶媒13であるトルエンを流し入れ、イオン交換樹脂粉体に吸収されていない余分な有機溶媒12を除去した。次に有機溶媒13で溶解したオレフィン系バインダー液をカートリッジ型イオン交換フィルタの流入口から排出口に向けて吸引してバインダを付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタを80°Cで熱風乾燥処理を行い濾布へイオン交換樹脂粉体の固着を行った。なお、1本のカートリッジ型イオン交換フィルタに付着したイオン交換樹脂粉体の乾燥付着重量は、6.9gであった。
(実施例3)
イオン交換樹脂粉体4bは、実施例1と同じものを使用し、有機溶媒12にはPGMを使用した。バインダ4cには、オレフィン系のバインダを使用して、有機溶媒13には、トルエンを使用した。まず、イオン交換樹脂粉体をPGMに分散・浸漬して膨潤させた。そして、膨潤させたイオン交換樹脂粉体4bを、遠心分離機にかけて、表面の余分な有機溶媒12を除去した。さらに、このイオン交換樹脂粉体4bを有機溶媒13で溶解したバインダ4cに混合して、イオン交換樹脂粉体が均一に分散されているペーストとした。このペーストを、含浸法により、濾布4aに付着させた後、80°Cで熱風乾燥処理を行いイオン交換樹脂粉体4bを固着させた。なお、このときのイオン交換樹脂粉体の乾燥付着量は、77.8g/m2であった。そして、この濾布4aをサポート材と共にプリーツ加工を施した。濾布を所定のサイズに裁断した後、円筒状となるように両端部を溶着しイオン交換フィルタエレメント3を作製した。イオン交換フィルタエレメント3をカバー1とコア7との間に配置し、その上下端は、それぞれ上部エンドプレートと下部エンドプレートとに液密に溶着してカートリッジ型イオン交換フィルタとした。なお、1本のカートリッジ型イオン交換フィルタに付着したイオン交換樹脂粉体4bの乾燥付着重量は、7.0gであった。
(比較例1)
イオン交換樹脂粉体4bは、実施例1と同じものを使用した。このイオン交換樹脂粉体を乾燥させた後、トルエンに分散させた。トルエンにイオン交換樹脂粉体を分散した液を、予め濾布等を組付けて完成品の形に製作したカートリッジ型イオン交換フィルタの流入口から排出口に向けて液が流れ込むようにポンプを用いて吸引処理を行い、濾布にイオン交換樹脂粉体が付着させた。次にトルエンで溶解したオレフィン系バインダー液をカートリッジ型イオン交換フィルタの流入口から排出口に向けて吸引してバインダを付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタを80°Cで熱風乾燥処理を行い濾布へイオン交換樹脂粉体の固着を行った。なお、1本のカートリッジ型イオン交換フィルタに付着したイオン交換樹脂粉体の重量は、7.1gであった。
カバー:ポリプロピレン樹脂を用いて外径55mmの多孔性の円筒形に形成した。
コア:ポリプロピレン樹脂を用いて外径28mm、厚み2.5mmの多孔性の円筒形に形成した。
濾材:幅6cmのメルトブロー不織布(濾過精度10μm)にプリーツ幅10mmのプリーツ加工を施し、山数が75で濾材面積が900cm2の濾材を作製した。なお、イオン交換フィルタ1は、全体として65mmの高さとなるように形成し、内部に格納されるイオン交換フィルタエレメント3等は、それに対応した高さとなるように作製した。
(実施例1)
三菱化学株式会社製のイオン交換樹脂であるダイアイオン(登録商標)SK1BHを、平均粒径24μm、最大粒径54μmに粉砕したものをイオン交換樹脂粉体4bとして使用し、有機溶媒12には、PGMを使用した。バインダ4cにはオレフィン系のバインダを使用し、有機溶媒13にはトルエンを使用した。まず、上述のイオン交換樹脂粉体4bを有機溶媒12に分散・浸漬して膨潤させた。有機溶媒12にイオン交換樹脂粉体4bを分散した液を、予め濾布4a等を組付けて完成品の形に製作したイオン交換樹脂粉体4b、バインダ4cを固着する前のカートリッジ型イオン交換フィルタ1の流入口から排出口に向けて混合した液が流入するようにポンプを用いて吸引処理を行い、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bを付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタ1に有機溶媒13であるトルエンを流し入れ、イオン交換樹脂粉体4bに吸収されていない余分な有機溶媒12を除去した。次に有機溶媒13で溶解したバインダ4cをカートリッジ型イオン交換フィルタ1の流入口から排出口に向けて吸引してバインダ4cを付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタ1を80°Cで熱風乾燥処理を行い、濾布4aにイオン交換樹脂粉体4bの固着を行った。なお、1本のカートリッジ型イオン交換フィルタ1に付着したイオン交換樹脂粉体4bの乾燥付着重量は、7.2gであった。
(実施例2)
イオン交換樹脂粉体4bは、実施例1と同じものを使用し、有機溶媒12には、日本アルコール販売株式会社製の混合溶剤であるソルミックス(登録商標)AP−1(エタノール:メタノール:イソプロピルアルコール=85.5%:1.1%:13.4%混合液)を使用した。バインダ4cには、オレフィン系のバインダを使用して、有機溶媒13には、トルエンを使用した。まず、上述のイオン交換樹脂粉体4bを有機溶媒12に分散・浸漬して膨潤させた。そして、有機溶媒12にイオン交換樹脂粉体4bを分散した液を予め濾布4a等を組付けて完成品の形に製作したイオン交換樹脂粉体4b、バインダ4cを固着する前のカートリッジ型イオン交換フィルタ1の流入口から排出口に向けて液が流れ込むようにポンプを用いて吸引処理を行い、濾布にイオン交換樹脂粉体が付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタ1に有機溶媒13であるトルエンを流し入れ、イオン交換樹脂粉体に吸収されていない余分な有機溶媒12を除去した。次に有機溶媒13で溶解したオレフィン系バインダー液をカートリッジ型イオン交換フィルタの流入口から排出口に向けて吸引してバインダを付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタを80°Cで熱風乾燥処理を行い濾布へイオン交換樹脂粉体の固着を行った。なお、1本のカートリッジ型イオン交換フィルタに付着したイオン交換樹脂粉体の乾燥付着重量は、6.9gであった。
(実施例3)
イオン交換樹脂粉体4bは、実施例1と同じものを使用し、有機溶媒12にはPGMを使用した。バインダ4cには、オレフィン系のバインダを使用して、有機溶媒13には、トルエンを使用した。まず、イオン交換樹脂粉体をPGMに分散・浸漬して膨潤させた。そして、膨潤させたイオン交換樹脂粉体4bを、遠心分離機にかけて、表面の余分な有機溶媒12を除去した。さらに、このイオン交換樹脂粉体4bを有機溶媒13で溶解したバインダ4cに混合して、イオン交換樹脂粉体が均一に分散されているペーストとした。このペーストを、含浸法により、濾布4aに付着させた後、80°Cで熱風乾燥処理を行いイオン交換樹脂粉体4bを固着させた。なお、このときのイオン交換樹脂粉体の乾燥付着量は、77.8g/m2であった。そして、この濾布4aをサポート材と共にプリーツ加工を施した。濾布を所定のサイズに裁断した後、円筒状となるように両端部を溶着しイオン交換フィルタエレメント3を作製した。イオン交換フィルタエレメント3をカバー1とコア7との間に配置し、その上下端は、それぞれ上部エンドプレートと下部エンドプレートとに液密に溶着してカートリッジ型イオン交換フィルタとした。なお、1本のカートリッジ型イオン交換フィルタに付着したイオン交換樹脂粉体4bの乾燥付着重量は、7.0gであった。
(比較例1)
イオン交換樹脂粉体4bは、実施例1と同じものを使用した。このイオン交換樹脂粉体を乾燥させた後、トルエンに分散させた。トルエンにイオン交換樹脂粉体を分散した液を、予め濾布等を組付けて完成品の形に製作したカートリッジ型イオン交換フィルタの流入口から排出口に向けて液が流れ込むようにポンプを用いて吸引処理を行い、濾布にイオン交換樹脂粉体が付着させた。次にトルエンで溶解したオレフィン系バインダー液をカートリッジ型イオン交換フィルタの流入口から排出口に向けて吸引してバインダを付着させた。その後、カートリッジ型イオン交換フィルタを80°Cで熱風乾燥処理を行い濾布へイオン交換樹脂粉体の固着を行った。なお、1本のカートリッジ型イオン交換フィルタに付着したイオン交換樹脂粉体の重量は、7.1gであった。
以上の実施例1乃至3のイオン除去性能の検証・比較を行うために、実施例1乃至3および比較例1について、同じ条件のもと実験を行った。実験の内容は、ナトリウムイオンを30ppm含む水を流量100ml/分で各イオン交換フィルタで濾過させて、イオン除去率を測定するという内容である。なお、実験前の準備工程として、各カートリッジ型イオン交換フィルタはイソプロピルアルコールに浸された後、純水で十分に洗浄して、十分湿っている状態にした。
また、以上の実施例1乃至3のイオン交換樹脂粉体4bの脱落度合いを検証・比較するために、実施例1乃至3および比較例1について、同じ条件のもと実験を行った。実験の内容は、各カートリッジ型イオン交換フィルタに流量2.0l/分で純水を10分間通してフラッシング処理を行った後、リオン社製のパーティクルカウンタで各カートリッジ型イオン交換フィルタを通過した純水10mlに含まれる粒子を計測した。
イオン除去性能の実験結果と脱落度合いを図る実験結果を、それぞれ表1と表2に示す。表1および表2の数値からわかるように、本発明にかかるイオン交換フィルタの実施例は、従来のカートリッジ型イオン交換フィルタである比較例と比べて、イオン除去率を低下させないで、イオン交換樹脂粉体の脱落を低下している。
このように、本発明にかかるイオン交換フィルタによれば、イオン交換樹脂粉体が濾材から脱落しにくく、且つイオン交換樹脂粉体のイオン除去効率が高い。
なお、本発明にかかるイオン交換フィルタについて実施例を用いて具体的に説明を行ったが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。特許請求の範囲の範囲内において所望する効果が得られるように、適宜変更して実施されればよい。
1,10 カートリッジ型イオン交換フィルタ
2 カバー
2a,7a 貫通孔
3,11 イオン交換フィルタエレメント
4 濾過材
4a 濾布
4b イオン交換樹脂粉体
4c バインダ
4d 接着面
4e 隙間
5 流入側サポート材
6 流出側サポート材
7 コア
8 下部エンドプレート
8a,9a 外周縁部
8b,9b 内周縁部
8c,9c 切り欠き
9 上部エンドプレート
9d 排出口
2 カバー
2a,7a 貫通孔
3,11 イオン交換フィルタエレメント
4 濾過材
4a 濾布
4b イオン交換樹脂粉体
4c バインダ
4d 接着面
4e 隙間
5 流入側サポート材
6 流出側サポート材
7 コア
8 下部エンドプレート
8a,9a 外周縁部
8b,9b 内周縁部
8c,9c 切り欠き
9 上部エンドプレート
9d 排出口
Claims (4)
- 濾材にイオン交換樹脂粉体をバインダで固着させたイオン交換フィルタであって、
前記イオン交換樹脂粉体と前記バインダとの接着面に、前記イオン交換樹脂粉体および前記バインダの双方を収縮させて前記イオン交換樹脂粉体から前記バインダの一部を剥離することにより形成した断続的な隙間を有することを特徴とするイオン交換フィルタ。 - 濾材にイオン交換樹脂粉体をバインダで付着させたイオン交換フィルタの製造方法であって、
前記イオン交換樹脂粉体に有機溶媒を吸収させて前記イオン交換樹脂粉体を膨潤させる工程と、
前記膨潤したイオン交換樹脂粉体を有機溶媒で溶解した前記バインダで前記濾材に付着させる工程と、
前記イオン交換樹脂粉体が膨潤している状態で前記バインダに含有されている有機溶媒を蒸発させて、前記イオン交換樹脂粉体を前記濾材に固着させる工程と、
前記イオン交換樹脂粉体に吸収されている前記有機溶媒を蒸発させる工程とを含むことを特徴とする、イオン交換フィルタの製造方法。 - 前記バインダを溶解する有機溶媒が、前記イオン交換樹脂粉体を膨潤させる有機溶媒と同一または前記イオン交換樹脂粉体を膨潤させる有機溶媒に可溶な有機溶媒である、請求項2に記載のイオン交換フィルタの製造方法。
- 前記イオン交換樹脂粉体を膨潤させる有機溶媒の蒸発速度が、前記バインダを溶解する有機溶媒の蒸発速度より小さい、請求項2または請求項3に記載のイオン交換フィルタの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004318711A JP2006130356A (ja) | 2004-11-02 | 2004-11-02 | イオン交換フィルタおよびイオン交換フィルタの製造方法 |
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JP2004318711A JP2006130356A (ja) | 2004-11-02 | 2004-11-02 | イオン交換フィルタおよびイオン交換フィルタの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012011348A (ja) * | 2010-07-02 | 2012-01-19 | Fumio Maekawa | 粉末イオン交換樹脂を主成分とする液状組成物と粉末イオン交換樹脂包含支持体 |
US10069151B2 (en) | 2015-05-29 | 2018-09-04 | Hyundai Motor Company | De-mineralizer for fuel cell and manufacturing method of same |
-
2004
- 2004-11-02 JP JP2004318711A patent/JP2006130356A/ja active Pending
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JP2012011348A (ja) * | 2010-07-02 | 2012-01-19 | Fumio Maekawa | 粉末イオン交換樹脂を主成分とする液状組成物と粉末イオン交換樹脂包含支持体 |
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