JP2002166144A - フィルターカートリッジ及びろ過方法 - Google Patents

フィルターカートリッジ及びろ過方法

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JP2002166144A
JP2002166144A JP2000365123A JP2000365123A JP2002166144A JP 2002166144 A JP2002166144 A JP 2002166144A JP 2000365123 A JP2000365123 A JP 2000365123A JP 2000365123 A JP2000365123 A JP 2000365123A JP 2002166144 A JP2002166144 A JP 2002166144A
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filter cartridge
membrane
filter
end plate
filtration
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JP2000365123A
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English (en)
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Sumio Otani
純生 大谷
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐薬品性に優れ、環境適性のある親水性微孔
性精密ろ過膜を使用したフィルターカートリッジと、そ
のろ過方法を提供することである。 【解決手段】 微孔性ろ過膜、膜サポート、コアー、外
周カバー及びエンドプレートのすべての部材がポリエー
テルスルホンで構成される精密ろ過フィルターカートリ
ッジにおいて、該フィルターカートリッジをペレットに
再生した時、前記ペレットの還元粘度が0.45以上
0.52以下の間にある精密ろ過フィルターカートリッ
ジおよびそれによるろ過方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微孔性ろ過膜を使用
したカートリッジフィルターに関する。更に詳しくは、
本発明は、耐薬品性に優れ環境適性のある親水性微孔性
精密ろ過膜を使用したカートリッジフィルターに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年半導体の製造においては、有機溶
剤、酸、アルカリ及び酸化剤といった薬液に対する耐性
が強く溶出物の少ないろ過用フィルターが求められるよ
うになっている。現在このような薬液のろ過には、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)を素材とする微孔
性精密ろ過膜を使用し、その他のフィルター構成部材に
はパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)を用いたろ過
用フィルターが使用されている。しかるにこのオール弗
素フィルターカートリッジにおいては、PTFE製ろ過
膜の疎水性が極めて強く、ろ過の始めにイソプロパノー
ルなどのアルコールで湿潤しておいても、僅かの気泡の
混入でエアーロックをおこしてろ過不能となり、ろ過安
定性に欠けるという問題点がある。また湿潤処理後薬液
ろ過開始にあたって、アルコールと薬液との混合液が大
量に廃棄物となってしまう。更に使用済みフィルターカ
ートリッジはPTFEとPFAの異種材料を熱溶着で一
体化しているため、溶融してペレットに再生することが
できない。また焼却処理を行うと有毒ガスを発生するな
どの問題点があるため、オール弗素フィルター廃棄処理
は埋立てしか方法がないという、環境上の大きな問題が
ある。しかし、上記構成要素の全てがポリエーテルスル
ホンでできているフィルターカートリッジにおいては、
まだ次のような問題がある。即ち、ポリエーテルスルホ
ンには分子量の異なる多種のグレードがあり、フィルタ
ーカートリッジ構成要素毎に使用する分子量グレードが
異なっている。分子量グレードの相違によって溶融時の
流動性が大きく変化し、再生ペレットの再使用に障害を
生じることが分かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の状況に鑑み、優れた耐薬品性、ろ過安定性及び廃
液の減少の特長は勿論のこと、使用済フィルターをペレ
ットに再生してフィルターの射出成型部材として再使用
可能な精密ろ過フィルターカートリッジと、その製造方
法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は下記(1)〜
(4)により達成された。 (1) フィルターカートリッジを構成する微孔性ろ過
膜、膜サポート、コアー、外周カバー及びエンドプレー
トのすべての部材がポリエーテルスルホンで構成される
精密ろ過フィルターカートリッジにおいて、該フィルタ
ーカートリッジをペレットに再生した時そのペレットの
還元粘度が0.45以上0.52以下の間にあることを
特徴とする精密ろ過フィルターカートリッジ。 (2) 少なくとも該部材のひとつが熱溶融成型され、
その後アニール処理されていることを特徴とする上記
(1)記載の精密ろ過フィルターカートリッジ。 (3) カートリッジ組立て後、稀酸洗浄と50℃以上
100℃以下の熱超純水洗浄を行うことを特徴とする上
記(1)又は(2)記載の精密ろ過フィルターカートリ
ッジ。 (4) 半導体集積回路製造のウエハー洗浄工程におけ
るウエハー洗浄液のろ過方法において、上記、(1)、
(2)または(3)記載の精密ろ過フィルターカートリ
ッジを用い、かつアルコールによる予備親水化処理を行
うことなく、洗浄薬液のろ過を開始することを特徴とす
る半導体集積回路用ウエハー洗浄液のろ過方法。
【0005】
【発明の実施の形態】一般に、フィルターカートリッジ
にはろ過膜とろ過膜を保護する膜サポートをプリーツ状
に折り束ねた構造のプリーツカートリッジと、複数個の
平板型ろ過ユニットを積層してなる平板積層カートリッ
ジが知られている。プリーツカートリッジの構造につい
てはその例がたとえば特開平4−235722号公報や
同10−66842号公報などに開示されている。平板
積層カートリッジの構造についてはたとえば特開昭63
−80815号、特開昭56−129016号及び同5
8−98111号などの各公報に記載されている。本発
明の目的にはこのどちらタイプのフィルターカートリッ
ジも使用可能である。
【0006】以下に、プリーツカートリッジを例にして
その構造を詳しく説明する。図1は一般的なプリーツ型
精密ろ過膜カートリッジフィルターの全体構造を示す展
開図である。精密ろ過膜3は2枚の膜サポート2、膜サ
ポート4によってサンドイッチされた状態でひだ折りさ
れ、集液口を多数有するコアー5の廻りに巻き付けられ
ている。その外側には外周カバー1があり、精密ろ過膜
を保護している。円筒の両端にはエンドプレート6a、
エンドプレート6bにより、精密ろ過膜がシールされて
いる。エンドプレートはガスケット7を介してフィルタ
ーハウジング(図示なし)のシール部と接する。一つの
エンドプレート部にO−リングが設けられ、O−リング
を介してフィルターハウジングと接するタイプのものも
ある。ガスケットあるいはO−リングは、フィルター廃
却の際に容易に脱着できる。ろ過された液体はコアーの
集液口から集められ、流体出口8から排出される。液体
出口が円筒の両端に設けられたタイプのものと、液体出
口が片方のみに設けられ片端はふさがれているタイプの
ものがある。
【0007】本発明ではガスケット及びO−リングを除
く全部材に、一般的にポリエーテルスルホンと呼ばれて
いる下記化学式1に示す化学構造のポリマーを使用す
る。ポリエーテルスルホンは耐熱性が高く且つ耐薬品性
に優れていることは従来から知られていた。しかし半導
体製造で使用される熱濃硫酸や濃燐酸の如き酸化性の特
に強烈な熱酸には耐えず、それ故に半導体製造工程では
従来オール弗素フィルターが使用されてきた。本発明者
はポリエーテルスルホンが熱塩酸、熱アンモニア、弗酸
及び熱イソプロパノールの如き半導体集積回路用ウエハ
ーの洗浄薬品のろ過に耐えることを発見し、本発明に至
った。ポリエーテルスルホンはスミカエクセルPESの
名称で住友化学より販売されている。
【0008】
【化1】
【0009】スミカエクセルPESには平均分子量の違
いによって各種グレードがある。各グレードはその平均
的な還元粘度によって3600G(還元粘度0.3
6)、4100G(還元粘度0.41)、4800G
(還元粘度0.48)、5200G(還元粘度0.5
2)などの品番がつけられている。還元粘度は1(w/
v)%ポリエーテルスルホンのジメチルホルムアミド溶
液粘度(測定温度:25℃)より算出され、分子量の目
安に使用されている。還元粘度値の大きいもの程分子量
が大きく、その溶融物の流動性は低いが強度的には強靭
になる。
【0010】精密ろ過膜3には一般的には高分子量の従
って0.48以上の高還元粘度のポリエーテルスルホン
を使用する。粘度の小さなポリエーテルスルホンは微孔
性ろ過膜製造に際して、指型と呼ばれる粗大孔が形成し
やすくなり、従って孔径の制御が難しい。ひどい場合は
ピンホールを発生してろ過に使用できなくなる。使用す
るポリエーテルスルホンの還元粘度は大きいほどよいと
されているが、中程度の還元粘度のものでも、製膜溶液
にする時に粘性の大きな溶剤を選択して使用したり、粘
度が大きくなる添加剤を選択して組み合わせることによ
り、指型の発生しない微孔性ろ過膜を作成することは不
可能ではない。ポリエーテルスルホンを材料とする親水
性の微孔性精密ろ過膜の製法は、特開昭56−1540
51号、特開昭56−86941号、特開昭56−12
640号、特開昭62−27006号、特開昭62−2
58707号、特開昭63−141610号の各公報に
詳しく記載されている。
【0011】ろ過膜の孔径は通常0.02μmから5μ
mであるが、半導体製造用途では0.02μmから0.
45μmのものが好ましく使用され、特に高集積IC製
造においては表示孔径0.02μmから0.2μmのも
のが好ましい。このような膜の特性はASTM F31
6の方法で測定した水バブルポイント値で表すと0.3
MPa以上となり、エタノールバブルポイントでは0.
1から1MPaと表せる。特に好ましくはエタノールバ
ブルポイントで0.3から0.7MPaである。膜はみ
かけの体積に対する孔の割合が多い方がろ過抵抗が少な
くて好ましい。一方あまり孔が多いと膜強度が低下して
壊れやすくなる。従って従来は好ましいろ過膜の空隙率
は40%から90%であり、特に好ましいのは57%か
ら85%とされてきた。また膜厚さは、厚すぎるとカー
トリッジに組込める膜面積が減少し、一方薄いと膜強度
が低下するため、好ましい膜厚さは80μmから160
μmとされてきた。本発明においても従来の好ましい範
囲の中で使用するが、使用済フィルターをペレットに再
生使用するためには、高還元粘度のポリエーテルスルホ
ン使用量は少ないほど好ましい。従って本発明では特に
好ましい空隙率は75から85%であり、特に好ましい
厚さは80から120μmである。コアーやエンドプレ
ートなどの成型部材と同じ低粘度のポリエーテルスルホ
ンを精密ろ過膜原料に使用したときは、膜厚さや空隙率
の制限は不要である。
【0012】精密ろ過膜3は膜サポート2、膜サポート
4の間に挟んで、通常公知の方法でひだ折り加工され
る。膜サポート2、膜サポート4としては不織布、織
布、ネットなどが使用される。膜サポートの役割は、ろ
過圧変動に対してろ過膜を補強する役割と同時に、ひだ
の奥に液を導入する役割も担っている。従って適度な通
液性とろ過膜よりも十分に高い物理強度を有している必
要がある。このような機能を有するシート材料であれば
何でも使用可能である。本発明で使用可能な膜サポート
としては上記一般的な機能の他に耐熱性と耐薬品性が兼
ね備わりかつ比較的安価な材料である必要がある。従っ
て使用可能な素材は限定される。また本発明の目的の一
つである使用済フィルターカートリッジをペレットに再
生して再利用するために、サポート材の材料はポリエー
テルスルホンであることが不可欠である。膜サポートの
厚さはスクリューマイクロメーターで測定した時50か
ら600μmであることが好ましい。不織布や織布では
目付けが30g/m2 から100g/m2 であることが
従来は好ましいとされてきた。薄すぎると強度が不足
し、厚すぎるとカートリッジに収容可能なろ過膜の必要
面積を確保できないためである。本発明においても従来
の好ましい範囲の中で使用するが、使用済フィルターを
ペレットに再生使用するためには、特に特に好ましい範
囲は厚さで80から180μm、目付けで30から35
g/m2 である。
【0013】ネットは直径50μmから300μmのモ
ノフィラメントを紡糸し、これを編むことによってでき
る。ネットに使用するモノフィラメントは不織布用糸に
くらべて太くて強いので、比較的容易に紡糸できる。糸
径は細い方が出来あがりのネットが薄くなり、プリーツ
加工しやすい。一方細いと紡糸が難しくなり,また出来
あがったネットの強度も低下する。従って従来好ましい
フィラメント径は60から200μmであり、本発明で
は特に60から100μmである。目の開きは、開きす
ぎるとネットが小さな力で変形しやすくなるので、プリ
ーツが難しくなる。一方目が狭いと液体の透過性が悪く
なり、できたフィルターカートリッジの流量が少なくな
る。従って目の開きは50から300メッシュが従来か
ら好ましいとされ、本発明では50から120メッシュ
が軽くなるので特に好ましい。不織布やネットの製造に
は一般的に低粘度で流動性の高いポリマーが使用され
る。その最大の理由は生産性に優れるためである。本発
明のサポート材に不織布やネットを使用する時は、敢え
て生産性を犠牲にして還元粘度が0.41以上の高粘度
のポリエーテルスルホンを使用することが好ましい。特
に好ましい還元粘度は0.45以上0.50以下であ
る。
【0014】ひだ折り加工されたろ材は両端部をそろえ
るためにカッターナイフ等で両端部の不揃いを切り落と
し、円筒状に丸めてその合わせ目のひだをヒートシール
あるいは接着剤を用いて液密にシールする。接着シール
は精密ろ過膜と膜サポート計6層を合わせて行うことも
あれば、サポート2あるいは4を除外してろ過膜同士が
直接重なるように接着シールすることもある。ひだの合
わせ目に熱可塑性シートを挟んでヒートシールしてもよ
い。ここで使用する接着剤や熱可塑性シートにもポリエ
ーテルスルホンを使用する。接着剤は、例えばポリエー
テルスルホン10部を塩化メチレン30部、ジエチレン
グリコール20部の混合溶液に溶解し、ジエチレングリ
コール140部を徐々に添加混合する。溶剤は接着後加
熱揮発させてフィルターカートリッジ中に残さない。
【0015】このようにしてできた円筒状ろ材の内側に
コアー5を挿入し、外周カバー1をかぶせたものをプリ
ーツ体という。エンドプレート6にプリーツ体の両端部
を液密に接着シールするエンドシール工程は熱溶融によ
る方法と、溶剤接着による方法とに大きく分けられる。
熱溶融法ではエンドプレートのシール面のみを熱板に接
触させたりあるいは赤外線ヒーターを照射して表面だけ
を加熱溶解し、プリーツ体の片端面をプレートの溶解面
に押し付けて接着シールする。溶剤接着法の場合は溶剤
の選定が重要である。通常はろ過膜を溶解しないあるい
はろ過膜に対する溶解性が低く、且つエンドプレートに
対しては溶解性のある溶剤を選ぶ。溶剤は単独化学種で
あってもよく混合溶剤であってもよい。2種以上の溶剤
を混合する時は、少なくとも沸点の高い方の溶剤はろ過
膜に対して溶解性を有しないものを選択する。溶剤接着
剤にポリエーテルスルホンを1%から7%程度溶解させ
ておくとなおよい。
【0016】コアー5、外周カバー1及びエンドプレー
ト6に使用する材料も耐熱性と耐薬品性を備えている必
要があり、かつペレットに再生できる材料でなければな
らない。従ってポリエーテルスルホンを用いる。すべて
の材料をポリエーテルスルホンで統一すると耐薬品性の
幅が広くなりかつ接着シール性がよくなる点でも好まし
い。エンドプレートは生産性の観点から主に射出成型し
たものが使用される。一般的に、射出成型には生産性の
観点から流動性の高い低還元粘度ないし中還元粘度のポ
リエーテルスルホンが好ましく使用される。本発明の場
合は敢えて還元粘度が0.45以上0.52以下と中程
度あるいはむしろ大きなポリエーテルスルホンを使用す
る。ガスケット及びO−リングを除くフィルターカート
リッジ全体に占めるコアー、外周カバー、及びエンドプ
レートを合わせた質量割合は80%以上が好ましい。コ
アー、外周カバー、及びエンドプレートに使用するポリ
エーテルスルホンのグレードをろ過膜に使用するものと
同じグレードあるいは近いグレードにすることにより、
使用済フィルターカートリッジから再生したペレットの
還元粘度は比較的容易に0.45以上0.52以下の範
囲にすることができ、再びコアー、外周カバー、及びエ
ンドプレートの成型に使用することが可能になる。サポ
ート材に還元粘度が0.39以下のポリエーテルスルホ
ンを使用する場合は、フィルターカートリッジの質量に
占めるサポート材質量を10%以下にしなければならな
い。好ましくは8%以下に抑える。
【0017】熱溶融成型でつくられたエンドプレートは
熱溶融成型時の残留歪のために、有機溶剤との接触で微
小なクラックを生じやすい。特に溶剤接着剤を用いて溶
着シールを行う時は激しいクラックを生じることもあ
る。時には熱溶融シールを行っても小さなクラックを生
じることがある。従って好ましくは溶着シール前にエン
ドプレートの熱歪をアニール処理によって除去する必要
がある。溶剤接着剤を用いてシールする場合はシール前
にアニール処理を行わないと必ず微小クラックが発生す
るので、シール前アニールは必須である。エンドプレー
トの残留歪が比較的少なく且つ熱溶融シールを採用する
場合は、溶着シール前にアニール処理せずともクラック
の発生は少ない。しかし熱溶融シールの場合は、エンド
プレートに吸着している水が熱で発泡し、エンドプレー
トの表面及び内部に小さな泡が多数生じる。ひどい場合
はろ過膜とエンドプレートとの間に隙間を生じ、ろ過時
粒子漏れを引き起こす原因になる。フィルターカートリ
ッジ製造工程中にアニール処理を全く行わないと、高温
のイソプロパノールろ過を行うときにエンドプレートに
微小クラックを生じ、このクラックから液が漏れる。以
下アニールの条件について述べる。アニール温度は14
0℃から200℃の温度が好ましい。160℃から18
0℃の間が特に好ましい。処理時間はアニール温度によ
り異なり2時間以上が必要であるが、4時間以上が好ま
しい。180℃でアニールする時は5時間以上行うと完
璧であり特に好ましい。エンドプレート以外の熱溶融成
型部材もエンドプレートと同様のアニール処理すること
は必須ではないが、好ましいことは言うまでもない。
【0018】再生したポリエーテルスルホンペレットは
フィルターカートリッジの各部材に混入できる。混入す
ることが好ましい部材はコアー、外周カバー、エンドプ
レート及びネットであり、特に好ましい部材はコアーと
外周カバーである。そのときの非再生ポリエーテルスル
ホン混入量は10%以上80%以下、好ましくは30%
以上60%以下である。また、フィルターカートリッジ
の全質量に対する非再生ポリエーテルスルホン混入量は
10%以上80%以下、好ましくは30%以上60%以
下である。、このような再生ポリエーテルスルホンの使
用により、成型部材の溶融接着強度が著しく向上するこ
とが判明した。
【0019】このようにしてできたフィルターカートリ
ッジは、ポリスルホン系ポリマーが不純物として有して
いるナトリウムやカルシウムなどの微量の金属イオンや
有機物、フィルターカートリッジ組立て工程で付着した
金属微粉や有機物汚染を完璧に除去するために、洗浄処
理しなければならない。本発明者らは鋭意検討の結果安
価で効率的且つ効果の高い金属イオン及び有機物汚染の
洗浄方法を発見した。以下詳細にその方法を述べる。最
初に行う希酸浸漬は複数のフィルターカートリッジを網
籠に入れ、籠ごと希酸で満たされた液中に浸漬し、振動
を与えながら約2時間以上最大約10時間まで処理す
る。振動はフィルターカートリッジの完全性を損なわな
い程度であればどんな方法でもよいが、液を攪拌するこ
とによる方法、籠を上下あるいは水平方向に動かす方
法、超音波振動を付与する方法、いったん籠を液面より
も上に上昇して液切りした後再び液に浸漬する方法など
がある。強い超音波を10分以上付与するとフィルター
の完全性が損なわれるので、超音波の強度は十分に検討
をした上で決めなければならない。処理時間や振動の方
法・程度はフィルターカートリッジの汚れの程度によっ
て変わるのは言うまでもない。洗浄効果を測定して必要
十分な条件を選ばねばならない。
【0020】使用する酸で好ましいのは、塩酸、臭酸の
如きハロゲン化水素類、酢酸、蓚酸の如き有機カルボン
酸類、硝酸及び硫酸である。超純水洗浄やその後の乾燥
でフィルターに残りにくいハロゲン化水素類が好まし
く、その中でも一般的な塩酸が特に好ましく使用され
る。酸の濃度は0.1(mol/L)から5(mol/
L)までの希薄な酸が好ましく使用される。酸濃度が希
薄すぎると洗浄能力が劣り、濃すぎると後工程の超純水
リンス洗浄の負担が不必要に大きくなって非効率であ
る。特に0.5(mol/L)から2(mol/L)ま
での濃度の酸が好ましく使用される。液温は高い方が効
果的であるが、一方装置の腐食がおこりやすく却って装
置の腐食に伴う汚染がフィルターカートリッジに付着す
る危険もある。また高温ではハロゲン化水素ガスの発生
も起こりやすく、環境管理も難しくなる。従って液温は
20℃から40℃の範囲が好ましい。フィルターカート
リッジの汚染が甚だしい場合は、途中で希酸液を新鮮な
液に入れ替えることが好ましい。所定時間の酸洗浄が終
了すると籠ごとフィルターを液面上に引き上げ、数分間
放置することにより液切りを行う。引き続いて籠ごと超
純水槽中にフィルターカートリッジを浸漬し、振動を付
与する。付与する振動は前工程と同じである。超純水の
水温も前工程と同じが好ましい。5分から20分間超純
水中に浸漬した後、フィルターを籠ごと引き上げ、槽中
の超純水を新規の超純水に入れ替えて再びフィルターを
超純水中に浸漬する。このような超純水浸漬を2回から
4回繰り返す。リンスにより酸濃度が低下して装置腐食
の心配がなくなるので、最後にフィルターを浸漬する超
純水の温度は40℃以上80℃以下の高温にすることが
好ましい。
【0021】次いでフィルターカートリッジをろ過器ハ
ウジングに一本づつセットし、超純水を通水ろ過しなが
ら洗浄を続ける。フィルターカートリッジの液排出口は
上部方向を向いていると、洗浄水がフィルターカートリ
ッジの上部も下部もどこをとってもほぼ同じ流量で透過
するので好ましい。フィルターカートリッジを透過した
超純水の比抵抗値が原水と同じ理論超純水レベルに到達
するまで通水を続ける。ここで洗浄を効率的にするため
に、通水初期は熱水超純水を用いる。10インチフィル
ターカートリッジ一本当たりの通水流量は毎分2リット
ルから10リットルが好ましい。毎分10リットル以上
の流量で通水しても洗浄効果は変わらず、熱水超純水の
コストが高くつくだけで非効率である。熱水の温度は5
0℃以上、水温が高ければ高いほど洗浄効果が高い。し
かし100℃を超えると沸騰の制御が難しく、好ましく
ない。85℃前後の温度が最も扱いやすく且つ効果的で
ある。通常熱水通水を30分から60分間行い、冷水超
純水に切り替えて流量毎分5リットルから10リットル
で、ろ液の比抵抗値が理論超純水レベルになるまで通水
を続ける。通常10分から30分の通水で終了可能にな
る。
【0022】このように作られたフィルターカートリッ
ジは半導体製造工場のクリーンな環境下で洗浄装置に組
み込まれたフィルターハウジングに装着する。薬液をポ
ンプでゆっくりとろ過ハウジングに送りながら、フィル
ターハウジング一次側の空気を抜き、空気抜き口から薬
液が漏れ始めたら空気抜き口を閉じ、薬液のろ過を始め
る。最初暫くはろ過した薬液を薬液供給タンクに戻して
循環ろ過する。こうして間違って混入したごみをフィル
ターで捕集し、系内をきれいにする。その後は普通にウ
エハの洗浄作業を行う。薬液を通液するに先立って、超
純水を暫く通液して系内を洗浄することもある。この場
合薬液のろ過を始める時初流の0.5リットルないし2
リットルを廃液する必要がある。好ましくは前者のよう
に最初から薬液を通液する。長期間にわたってろ過を継
続する時は、長い間にフィルターハウジング一次側に空
気がたまることがある。この時は空気抜き口を少し開け
て空気を除去する。ポリエーテルスルホンフィルターの
場合は、少々空気がたまっても、PTFEフィルターの
ようにたまった空気でろ過膜が疎水化されて洗浄薬液を
ろ過できなくなることはない。従って使用途中にアルコ
ールで再濡らし作業をすることがないので、余計な廃液
が生じることはない。
【0023】フィルターの定期交換を行う時は、フィル
ターハウジングを含む洗浄装置系内のすべての薬液を液
抜き口から抜いた後、超純水を通水してフィルターカー
トリッジ内に残る洗浄液残査を洗い出す。そしてクリー
ンな環境下でフィルターカートリッジをハウジングから
取り出す。取り出したフィルターカートリッジは水きり
をした後回収し集め、O−リングあるいはガスケットを
脱着し、乾燥した後溶融してペレットに再生する。燃料
として再使用することもできる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 ポリエーテルスルホン(住友化学製スミライトPES5
20G:還元粘度0.52)14部、ポリビニルピロリ
ドン(和光純薬販売K−30)24部、Nメチル2ピロ
リドン62部および水7部よりなる製膜溶液を調整す
る。これを平膜状に流延し、露点20℃の空気に8秒間
接触させた後、4℃の水中に浸漬して微孔性ろ過膜を作
成した。できた膜のエタノールバブルポイントは350
kPa、膜厚さは120μm、空隙率は81%であっ
た。この膜をフィラメント径100μm、60メッシュ
のネット2枚にはさんでプリーツ状に折った。折目の間
隔は12mm、膜幅は230mmで、200山で切り取
り、両端を重ねてヒートシールして、中空円筒状にし
た。この中空部にコアーを、外側に外周カバーをかぶせ
てプリーツ体を形成した。ネットに使用したポリエーテ
ルスルホンは住友化学製スミカエクセル4800G(還
元粘度0.48)である。エンドプレートの表面に赤外
線ヒーターを照射し、エンドプレートの表面を約350
℃に熱して溶かし、これに十分に予熱したプリーツ体の
端部を押しつけて接着シールする。プリーツ体の反対側
も同様にエンドプレートを溶着シールして、フィルター
カートリッジを完成する。外周カバー、コアー及びエン
ドプレートはスミカエクセル4800G(還元粘度0.
48)を使って射出成型で作り、溶着シール直前にエン
ドプレートとプリーツ体は180℃で5時間アニール処
理した。完全性を測定した後、できたフィルターカート
リッジを5%塩酸中に4時間浸漬し、次いで超純水中に
浸漬し、更にフィルターハウジングに装填して80度C
の熱水を20分間通水し、超純水を通水して塩酸を除去
する。水きりの後クリーオーブンで65℃12時間乾燥
する。このようにしてできたフィルターカートリッジを
溶融して再生ペレットを作成し、その還元粘度を測定す
ると0.47で、コアーや外周カバーなどの射出成型部
材の原料として再利用可能であった。使用した膜の質量
は34g、ネットの質量は60g、そのほかの成型部材
を合わせた質量は288gであった。
【0025】実施例2 呼び孔径0.1ミクロンのポリエーテルスルホン微孔性
ろ過膜(メンブラーナ製マイクロPES 1FPH、厚
さ108μm、エタノールバブルポイント値340kP
a)をフィラメント径100μm、60メッシュのネッ
ト2枚にはさんでプリーツ状に折った。折目の間隔は1
0.5mm、膜幅は210mmで、200山で切り取
り、両端を重ねてヒートシールして、中空円筒状にし
た。この中空部にコアーを、外側に外周カバーをかぶせ
てプリーツ体を形成した。ネットに使用したポリエーテ
ルスルホンは住友化学製スミカエクセル4800G(還
元粘度0.48)である。エンドプレートの表面に赤外
線ヒーターを照射し、エンドプレートの表面を約350
℃に熱して溶かし、これに十分に予熱したプリーツ体の
端部を押しつけて接着シールする。プリーツ体の反対側
も同様にエンドプレートを溶着シールして、フィルター
カートリッジを完成する。外周カバー、コアー及びエン
ドプレートはスミカエクセル4800G(還元粘度0.
48)を使って射出成型で作り、溶着シール直前にエン
ドプレートとプリーツ体は180℃で5時間アニール処
理した。完全性を測定した後、できたフィルターカート
リッジを5%塩酸中に4時間浸漬し、次いで超純水中に
浸漬し、更にフィルターハウジングに装填して80℃の
熱水を20分間通水し、超純水を通水して塩酸を除去す
る。水きりの後クリーオーブンで65℃12時間乾燥す
る。このようにしてできたフィルターカートリッジを溶
融して再生ペレットを作成し、その還元粘度を測定する
と0.46で、コアーや外周カバーなどの射出成型部材
の原料として再利用可能であった。使用した膜の質量は
29g、ネットの質量は48g、そのほかの成型部材を
合わせた質量は288gであった。
【0026】
【発明の効果】本発明の精密ろ過フィルターカートリッ
ジは、半導体製造工程のウエハ洗浄薬液ろ過に使用する
とき、初期廃液はほとんど発生せず、使用中にエンドプ
レートにクラックを発生せず、かつ使用済みのフィルタ
ーカートリッジはペレットに再生して再利用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的なプリーツ型フィルターカートリッジ
の構造を表す展開図。
【符号の説明】
1. 外周カバー 2. 膜サポート 3. 精密ろ過膜 4. 膜サポート 5. コアー 6a、6b. エンドプレート 7. ガスケット 8. 液体出口

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルターカートリッジを構成する微孔
    性ろ過膜、膜サポート、コアー、外周カバー及びエンド
    プレートのすべての部材がポリエーテルスルホンで構成
    される精密ろ過フィルターカートリッジにおいて、該フ
    ィルターカートリッジをペレットに再生した時、そのペ
    レットの還元粘度が0.45以上0.52以下の間にあ
    ることを特徴とする精密ろ過フィルターカートリッジ。
  2. 【請求項2】 少なくとも該部材のひとつが熱溶融成型
    され、その後アニール処理されていることを特徴とする
    請求項1記載の精密ろ過フィルターカートリッジ。
  3. 【請求項3】 カートリッジ組立て後、稀酸洗浄と50
    ℃以上100℃以下の熱超純水洗浄を行うことを特徴と
    する請求項1又は2記載の精密ろ過フィルターカートリ
    ッジ。
  4. 【請求項4】 半導体集積回路製造のウエハー洗浄工程
    におけるウエハー洗浄液のろ過方法において、請求項
    1、2または3記載の精密ろ過フィルターカートリッジ
    を用い、かつアルコールによる予備親水化処理を行うこ
    となく、洗浄薬液のろ過を開始することを特徴とする半
    導体集積回路用ウエハー洗浄液のろ過方法。
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