JP2006130122A - 粉剤、リン酸カルシウム系ペースト、およびリン酸カルシウム系ペーストキット - Google Patents

粉剤、リン酸カルシウム系ペースト、およびリン酸カルシウム系ペーストキット Download PDF

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洋一郎 水谷
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武憲 澤村
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Masahide Nishio
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Abstract

【課題】リン酸カルシウム系ペーストキットを小型化することができる粉剤、リン酸カルシウム系ペースト、およびこれらを使用するリン酸カルシウム系ペーストキットを提供すること。
【解決手段】 前記課題を解決するための手段としては、水和硬化性を有するリン酸カルシウムを主成分とし、200g以下の荷重で圧壊する顆粒を含有することを特徴とする粉剤であり、前記粉剤と、水を含む硬化液とから得られることを特徴とするリン酸カルシウム系ペーストであり、前記リン酸カルシウム系ペーストを調製し、注入する混練器具を有することを特徴とするリン酸カルシウム系ペーストキットである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、粉剤、リン酸カルシウム系ペースト、およびリン酸カルシウム系ペーストキットに関し、特に詳しくは、リン酸カルシウム系ペーストキットを小型化することができる粉剤、リン酸カルシウム系ペースト、およびこれらを使用するリン酸カルシウム系ペーストキットに関する。
近年、骨欠損部或いは空隙部等を充填する骨補填材として様々な材料が開発されている。その中でも、リン酸カルシウム系ペーストの一種であるリン酸カルシウム系骨ペーストは、水和反応により硬化する骨補填材であるため、その粉末を硬化液と練和することにより骨欠損部に埋入する前に形態付与することが可能であり、欠損部内で硬化するという利点がある。
また、注射器等により欠損部へ直接充填することが可能である等の利点もある。更に、水和硬化により生体骨の無機成分と類似の水酸アパタイトを形成し、硬化するため、生体親和性にも優れている。これは、従来から使用されているPMMA(ポリメチルメタクリレート)のような樹脂系骨セメントに比べると、遥かに安全性の高い骨補填材であり、残留モノマーの毒性といった問題も無い。このような特徴を有するため、骨補填材として注目されている。
このようなリン酸カルシウム系骨ペーストは、骨欠損部に充填する前に硬化液と練和する必要があるが、その練和方法としては、半密閉容器内で硬化液と粉体を練和する手段であることが好ましい。つまり、雑菌や異物等の混入を防ぐような容器内で、且つ、均一に練和する必要がある。
練和する手段としては、例えば、「円筒部11と該円筒部の一端側に設けられるノズル部12とを具備するシリンダ1と、該円筒内を摺動可能に設けられる仕切り具2と、該仕切り具を挿通し上下移動並びに回転可能に設けられる31、該シャフト部の一端に設けられる混練部32、及び該シャフト部の他端に設けられるハンドル部34とを具備するピストン3と、該シリンダの該ノズル部の先端に設けられる蓋4と、該仕切り具を該シリンダの他端側に固定するストッパ5と、を備えることを特徴とするリン酸カルシウム系セメント用混練器具。」が提案されている(特許文献1 参照)。
特開平2000−237208号公報(請求項1)
通常、上記したような混練器具には、予めリン酸カルシウム粉体を充填しておき、使用時に、その混練器具内に硬化液を投入して練和する方法が行われる。しかし、従来技術では、そのリン酸カルシウム系骨ペースト粉体の嵩体積が高く、又、硬化液が浸透し難いために硬化液を投入するスペースが必要となり、混練器具の容量を必要以上に大きくする必要がある。したがって、容器の大型化は、保管時の占有面積が大きくなるといった問題がある。
一方、使用するリン酸カルシウム粉体としては、例えば、「第4リン酸カルシウムと第1リン酸カルシウム及び/又は第2リン酸カルシウムとをCa/Pモル比1.30〜1.90の割合で混合した粉体を主成分とするリン酸カルシウム混合物を200kgf/cm2以上のプレス圧で加圧した後再粉砕して顆粒状に成形してなり、該顆粒の最短径が0.1〜1.0mmであることを特徴とするリン酸カルシウム顆粒セメント。」が提案されている(特許文献2 参照)。
特許2626359号公報(請求項1)
したがって、特許文献2に記載の発明によれば、「・・・リン酸カルシウム混合物を200kgf/cm2以上のプレス圧で加圧した後再粉砕して顆粒状に成形・・・」のようにしてリン酸カルシウム顆粒セメントを得ることが当業者における技術常識であった。
本発明は、このような従来の問題点を解消し、リン酸カルシウム系ペーストキットを小型化することができる粉剤、リン酸カルシウム系ペースト、およびこれらを使用するリン酸カルシウム系ペーストキットを提供することをその課題とする。
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、水和硬化性を有するリン酸カルシウムを主成分とし、200g以下の荷重で圧壊する顆粒を含有することを特徴とする粉剤であり、
請求項2は、前記顆粒の平均粒径が、0.1〜5mmである前記請求項1に記載の粉剤であり、
請求項3は、前記リン酸カルシウムを圧縮成形し、粉砕して前記顆粒を得る際に、
前記圧縮成形時の圧力が、9.807×10〜1471×10 Paである請求項1または2に記載の粉剤であり、
請求項4は、多糖類を含む前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉剤であり、
請求項5は、前記多糖類が、デキストラン及びデキストラン硫酸塩の少なくとも一方である前記請求項4に記載の粉剤であり、
請求項6は、前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉剤と、水を含む硬化液とから得られることを特徴とするリン酸カルシウム系ペーストであり、
請求項7は、前記硬化液が、多糖類を含む水溶液である前記請求項6に記載のリン酸カルシウム系ペーストであり、
請求項8は、前記多糖類が、デキストラン及びデキストラン硫酸塩の少なくとも一方である前記請求項7に記載のリン酸カルシウム系ペーストであり、
請求項9は、前記請求項6〜8のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム系ペーストを調製し、注入する混練器具を有することを特徴とするリン酸カルシウム系ペーストキットであり、
請求項10は、水を含む硬化液が充填され、前記硬化液を前記混練器具に注入可能なシリンジを有する前記請求項9に記載のリン酸カルシウム系ペーストキットであり、
請求項11は、前記硬化液が、多糖類を含む水溶液である前記請求項10に記載のリン酸カルシウム系ペーストキットであり、
請求項12は、前記多糖類が、デキストラン及びデキストラン硫酸塩の少なくとも一方である前記請求項11に記載のリン酸カルシウム系ペーストキットである。
本発明によれば、水和硬化性を有するリン酸カルシウムを主成分とし、200g以下の荷重で圧壊する顆粒を含有することにより、顆粒自体の密度が高いために、従来技術のような顆粒を含まない粉末状のリン酸カルシウム系骨ペーストに比べて、容器内の充填密度が高くなる。そして、顆粒同士に間隙が生じるために硬化液の浸透性が高まる。したがって、容器内の充填密度が高くなり、そして、硬化液の浸透性が高まるので、リン酸カルシウム系ペーストキットを小型化することができる。
また、200g以下の荷重で圧壊する顆粒は、硬化液と練和の際に、顆粒が潰れる。顆粒が潰れることにより、顆粒の潰れ残りが生ずることがないので、硬化液と顆粒とが均一に練和することとなる。したがって、硬化液と顆粒とが均一に練和するので、リン酸カルシウム系ペーストを硬化させた場合の強度を低下させることがない。
本発明における粉剤は、水和硬化性を有するリン酸カルシウムを主成分とし、200g以下の荷重で圧壊する顆粒を含有する。
また、本発明に係る粉剤の製造方法としては、様々な方法を挙げることができる。本発明に係る粉剤の製造方法として、例えば、プレス機等で圧縮成形した成形体を粉砕し、顆粒を含む粉剤を得る製造方法、揮発性の非水溶媒を利用したスプレードライ法、および転動造粒法等を挙げることができる。更には、整粒や造粒等で得られた顆粒を粉末と混合させても良い。このような製造方法の中でも、特に製造方法として好ましいのは、水和硬化性を有するリン酸カルシウム粉体を圧縮成形し、粉砕することにより粉剤を得る製造方法である。
圧縮成形の手段としては、一軸成形プレス機、冷間静水圧プレス(CIP)等を挙げることができる。これら圧縮成形の手段により得られた成形体を乳鉢等で粉砕することで顆粒を含む粉剤が得られる。
顆粒径は、篩通しを行うことで調整することが出来る。また、成形圧は、均一練和の観点から硬化液との練和時に顆粒が潰れる程度の成形圧である必要がある。
ここで、前記リン酸カルシウムを圧縮成形し、粉砕して前記顆粒を得る際に、前記圧縮成形時の圧力が、9.807×10〜1471×10 Pa(1〜150kgf/cmを換算した値)であることが好ましい。なぜならば、成形圧が高すぎると、練和時に顆粒が潰れ残ってしまい、均一に混練することが困難となり、骨ペースト硬化体の強度低下させる場合があるからである。また、成形圧が低すぎると、所望の荷重で圧壊する顆粒とすることができなくなる場合があるからである。
また、前記顆粒の平均粒径が、0.1〜5mmであることが好ましい。なぜならば、顆粒の平均粒径が大きいほど、顆粒間の間隙が大きくなるので、硬化液の浸透性が向上するが、顆粒の平均粒径が大きすぎると、逆に充填密度が低くなる場合があるからである。また、顆粒の平均粒径が小さすぎると、顆粒間の間隙が小さくなるので硬化液の浸透性が悪くなる場合があるからである。
前記水和硬化性を有するリン酸カルシウムは、水和硬化性を示すリン酸カルシウム化合物、或いは混合物であれば、特に限定されないが、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム水和物、α型リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、ドロマイト、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、水酸アパタイト、フッ素アパタイト、炭酸アパタイト及び塩素アパタイトの少なくとも1種を含有することが好ましい。
更に、リン酸カルシウムが、リン酸水素カルシウム粉体及びリン酸四カルシウム粉体であることが好ましい。これら2種類の粉体の量比は特に限定されないが、モル比で8/2〜2/8、特に6/4〜4/6、更には等量程度とすることが好ましい。
リン酸水素カルシウム及びリン酸四カルシウムを主成分とするリン酸カルシウムの調製方法は特に限定されず、どのような方法によって調製された粉体も使用することができる。例えば、リン酸水素カルシウム粉体及びリン酸四カルシウム粉体等を混合して得ることができる。
このリン酸水素カルシウム粉体としては、例えば、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物として市販されているものをそのまま使用することもできるし、水和物を120℃程度の温度で加熱し、脱水したものを使用することもできる。リン酸四カルシウム粉体としては、例えば、炭酸カルシウム及びリン酸水素カルシウム二水和物の混合物を成形後、焼成し、整粒したもの等を用いることができる。
又、その含有量は、水和硬化性を示す量であれば、特に限定しない。尚、ここでの主成分とは、顆粒の構成成分を100質量%とした場合に、リン酸カルシウムが合計で60質量%以上、特に80質量%以上、更には実質的に100質量%であることを意味する。
更に、本発明の顆粒及び粉剤の少なくとも一方には、リン酸カルシウム系ペーストの粘度維持、リン酸カルシウム系ペーストの形態付与性の向上、生体内での崩壊の抑制等の観点から、多糖類等の水溶性高分子を含有させることが出来る。水溶性高分子は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。なかでも、多糖類を含有させることが好ましい。
この多糖類としては、各種の単糖類がポリグリコシル化し、高分子化したもの等を用いることができ、特に、デキストラン及びデキストラン硫酸塩のうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。デキストラン硫酸塩としては、デキストラン硫酸ナトリウム及びデキストラン硫酸カリウム等のアルカリ金属塩が特に好ましく、これらは1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
また、デキストランとその硫酸塩とを併用することもできる。デキストラン及びその硫酸塩は、水に易溶性であるため、水に溶解し易く、容易に均質なリン酸カルシウム系ペーストとすることができる。
更に、用途に応じて、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス等のX線造影剤を含有させることもできる。また、抗ガン剤、抗生物質等の薬物を混ぜ合わせ、薬物徐放性を付加させることもでき、タンパク質、ホルモン又は細胞等と複合化させ、骨欠損部へ充填した際の骨形成を更に促進させることもできる。
また、本発明の粉剤に含まれる粉体の成分についても上記の内容と同じであり、その成分は、顆粒と同一であっても良く、異なっていても良い。
一方、本発明に係るリン酸カルシウム系ペーストキットは、前記リン酸カルシウム系ペーストを調製し、注入する混練器具を有する。また、リン酸カルシウム系ペーストキットにおいては、水を含む硬化液が充填され、前記硬化液を前記混練器具に注入可能なシリンジを有することが好ましい。
本発明に係るリン酸カルシウム系ペーストキットとしては、例えば、図1に示されるような態様を挙げることができる。図1に示されるように、リン酸カルシウム系ペーストキット1は、混練器具2と、シリンジ3とを有する。
混練器具2としては、特に制限はないが、例えば、図1に示されるように、シリンダ4と、仕切り具5と、ピストン6と、蓋7と、ストッパ8とを備える。シリンダ4は、略円筒形状の円筒部9と、円筒部9の先端部に設けられたノズル部10とを備える。仕切り具5は、シリンダ4の開口部に挿入固定される略円柱状の部材である。
ピストン6は、シャフト部11と、シャフト部11の先端に設けられた攪拌翼12と、ハンドル部13と、つまみ14とを備える。攪拌翼12は、平面視した場合に十文字形状を有する。なお、この攪拌翼12は、十文字形状に限定されるものではなく、目的に応じて、適宜変更可能である。
蓋7は、ノズル部10外周に設けられ、ノズル部10と嵌合可能に形成されている。ストッパ8は、シリンダ4内の仕切り具5をシリンダ4に固定するピンである。
混練器具に前記粉剤を充填するには、まず、ノズル部10に蓋7を嵌めて、ノズル部10を塞ぐ。次いで、所定量の粉剤をシリンダ4内に投入し、充填する。続いて、シリンダ4内に仕切り具5を挿入して、ストッパ8で固定する。
前記シリンジ3は、水を含む硬化液を前記混練器具2に注入可能であればよい。本実施形態において、シリンジ3は、ルアーロックを有するシリンジである。前記シリンジ3に充填する硬化液は、リン酸カルシウム系ペーストを水和硬化させるために少なくとも水を含む液である。又、硬化液は、多糖類等の水溶性高分子を含む水溶液であっても良い。特に、この水溶液中に含まれる多糖類としては、デキストラン及びデキストラン硫酸塩の少なくとも一方であることが好ましい。すなわち、本発明におけるリン酸カルシウム系ペーストは、前記粉剤と、水を含む硬化液とから得られる。
多糖類の配合量は、水を100質量部とした場合に、例えば、1〜150質量部とし、好ましくは5〜130質量部、とすることができる。この場合、水に溶解した多糖類がリン酸カルシウム系ペーストに適度な粘性を付与し、形態付与性に優れたリン酸カルシウム系ペーストとなる。多糖類の含有量が1質量部未満の場合、形態付与のし易さ等、多糖類を含有させることによる特有の作用、効果が低減することがある。一方、多糖類の含有量が150質量部を超える場合、それ以上の効果が期待できない。
また、水の量比を比較的高めにすることで、リン酸カルシウム系ペーストの粘度を適度に下げ、例えば、骨欠損部等への注射器などによる充填を容易にすることができ、それによって患者への負担を軽減することもできる。
前記リン酸カルシウム系ペーストキット1を用いた場合のリン酸カルシウム系ペーストの調製を以下に説明する。
まず、ノズル部10から蓋7を外した後、シリンジ3をルアーロックを介してノズル部10と接続する。次いで、シリンジ3内の硬化液を混練器具2内に注入する。その後、混練器具2からシリンジ3を取り外す。ノズル部10を再び、蓋7で塞ぐ。その後、混練器具2を所定の時間、振る。次いで、つまみ14を持って、ハンドル部13を回転させ、攪拌翼12をシリンダ4のノズル部10側まで移動させた後、ハンドル部13を反対方向に回転させて、攪拌翼12をシリンダ4の仕切り具5側に移動させる。この操作を所定の回数繰り返し、粉剤と硬化液とを混練する。これら混練操作を経て、リン酸カルシウム系ペーストを得ることができる。なお、このようにして得られたリン酸カルシウム系ペーストは、例えば、人体の骨等の欠損部に注入される。
以上のようにして得られたリン酸カルシウム系ペーストは、以下のような作用・効果を奏することができる。前記粉剤は、水和硬化性を有するリン酸カルシウムを主成分とし、200g以下の荷重で圧壊する顆粒を含有することにより、顆粒自体の密度が高いために、従来技術のような顆粒を含まない粉末状のリン酸カルシウム系骨ペーストに比べて、混練器具2内の充填密度が高くなる。そして、顆粒同士に間隙が生じるために硬化液の浸透性が高まる。したがって、混練器具2内の充填密度が高くなり、そして、硬化液の浸透性が高まるので、本発明に係るリン酸カルシウム系ペーストキット1を小型化することができる。
また、200g以下の荷重で圧壊する顆粒は、硬化液と練和の際に、顆粒が潰れる。顆粒が潰れることにより、顆粒の潰れ残りが生ずることがないので、硬化液と顆粒とが均一に練和することとなる。したがって、硬化液と顆粒とが均一に練和するので、リン酸カルシウム系ペーストを硬化させた場合の強度を低下させることがない。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
[実施例]
(1)実施例1〜10
以下の表1に示す所定の組成の粉体を金型に充填し、所定の圧力で成形し、成形体を得た。この成形体をアルミナ乳鉢で軽く粉砕し、所定の篩目の篩を全通しすることにより顆粒を含む粉剤を得た。各実施例における粉体組成、成形圧、篩目サイズを表1に示す。
得られた粉剤の中から顆粒を1粒取り出し、ガラス板の上に載せて、その上から200gのおもりを載せ、その顆粒に割れや潰れが生じたものについて200g以下の荷重で圧壊する顆粒であると判定した。
得られた粉剤20gをメスシリンダーに充填し、その上に硬化液5gを投入した。硬化液投入直後に、粉剤と硬化液とを含めた嵩体積を量った。
なお、表1中の「TeCP」と「DCPA」は、それぞれリン酸カルシウム化合物であるリン酸四カルシウムと、リン酸水素カルシウム粉体であることを示し、「硬化液組成」欄において、「DSS」は、デキストラン硫酸ナトリウムであることを示す。
また、各実施例の粉剤と硬化液を混和し、JIS T 6602に規定された方法に準じて硬化させ、硬化体とし、これらの硬化体の圧縮強度をオートグラフによって測定した。なお、実施例1〜6における強度評価は、粉剤5g、硬化液1.6gで行い、実施例7〜10における強度評価は、粉剤5g、粉剤0.9gで行った。
(2)比較例1〜3
以下の表1に示す所定の組成の粉体を用いて、実施例と同様に、粉剤と硬化液の嵩体積を量った。また、顆粒の荷重における強度評価および濡れ圧縮強度の評価を実施例と同様に行った。なお、比較例1における強度評価は、粉剤5g、硬化液1.6gで行い、比較例2及び3における評価は、粉剤5g、粉剤0.9gで行った。
(3)実施例の効果
Figure 2006130122
表1に示されるように、実施例1〜10によると、顆粒状にすることでリン酸カルシウム系ペーストの充填密度を高めることが出来、或いは、顆粒間に隙間を確保することが出来るため、粉剤と硬化液を含めた嵩体積が比較例1及び2に比べて小さくできることが分かった。このことにより、リン酸カルシウム系ペーストを混練するための容器を小型化出来ることを示している。
また、表1に示されるように、200g以下の荷重で圧壊する顆粒を有する実施例1〜10は、200g以上の荷重で圧壊する顆粒を有する比較例3に比べて濡れ圧縮強度が高い。さらに、200g以下の荷重で圧壊する顆粒を有する実施例1〜10は、粉剤に顆粒を含まない比較例1及び2と比較してほぼ同等である。これらのことから、実施例のリン酸カルシウム系ペーストにおいては、練和の際に顆粒が潰れ、均一に混和されていることが分かった。
図1は、本発明に係るリン酸カルシウム系ペーストキットの概略図である。
符号の説明
1 リン酸カルシウム系ペーストキット
2 混練器具
3 シリンジ
4 シリンダ
5 仕切り具
6 ピストン
7 蓋
8 ストッパ
9 円筒部
10 ノズル部
11 シャフト部
12 攪拌翼
13 ハンドル部
14 つまみ



Claims (12)

  1. 水和硬化性を有するリン酸カルシウムを主成分とし、200g以下の荷重で圧壊する顆粒を含有することを特徴とする粉剤。
  2. 前記顆粒の平均粒径が、0.1〜5mmである前記請求項1に記載の粉剤。
  3. 前記リン酸カルシウムを圧縮成形し、粉砕して前記顆粒を得る際に、
    前記圧縮成形時の圧力が、9.807×10〜1471×10 Paである請求項1または2に記載の粉剤。
  4. 多糖類を含む前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉剤。
  5. 前記多糖類が、デキストラン及びデキストラン硫酸塩の少なくとも一方である前記請求項4に記載の粉剤。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉剤と、水を含む硬化液とから得られることを特徴とするリン酸カルシウム系ペースト。
  7. 前記硬化液が、多糖類を含む水溶液である前記請求項6に記載のリン酸カルシウム系ペースト。
  8. 前記多糖類が、デキストラン及びデキストラン硫酸塩の少なくとも一方である前記請求項7に記載のリン酸カルシウム系ペースト。
  9. 前記請求項6〜8のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム系ペーストを調製し、注入する混練器具を有することを特徴とするリン酸カルシウム系ペーストキット。
  10. 水を含む硬化液が充填され、前記硬化液を前記混練器具に注入可能なシリンジを有する前記請求項9に記載のリン酸カルシウム系ペーストキット。
  11. 前記硬化液が、多糖類を含む水溶液である前記請求項10に記載のリン酸カルシウム系ペーストキット。
  12. 前記多糖類が、デキストラン及びデキストラン硫酸塩の少なくとも一方である前記請求項11に記載のリン酸カルシウム系ペーストキット。



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