この発明は、携帯電話端末、PHS及び携帯情報端末等の携帯通信端末において、交通機関や公共の場、病院等のマナーが必要とされるところ(以下、「マナーエリア」と呼ぶ)でのいわゆるマナーモードやドライブモード(以下「マナーモード」に統一する)、電源のON/OFF、通話制限及び通信制限等(以下、これらを「マナー動作モード」と総称する)の設定・解除を自動的に行うことにより、マナーエリアでのマナー動作モードの設定を手動でする手間を省き、マナーエリアでのマナーの向上を図るとともに、マナーを必要としないマナーエリア外でのマナー動作モードの解除忘れを防止する携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システム、方法及び携帯通信端末に係り、詳しくは、マナー動作モードの自動設定・自動解除の動作により、継続中の通話や通信、あるいは着信を逃してしまう可能性を回避する携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システム、方法及び携帯通信端末に関する。
現在の一般的な携帯電話端末やPHSには、電車内や映画館などの公共の場で着信音やボタン操作確認音を鳴らさないようにするマナーモードの設定機能が備わっている。しかし、このマナーモードは、手動で設定しなければならず、電車内や映画館などの公共の場においてマナーモードに設定し忘れて着信音を鳴らしてしまったり、故意に周りの迷惑を顧みず通話を行ったり、携帯電話端末等の電源を切らずに病院や航空機等の通話・通信制限エリア内にある電子機器に影響を与えたりする者がいるなど、マナーの問題が関心を集めている。さらに、公共の場や通話・通信制限エリア等でマナーを遵守してマナーモードを使っていたり、電源を切ったりしていた場合に、自宅などのマナーエリア外でマナーモードを解除し忘れたり、電源をONにし忘れたりすると、大事な着信を逃してしまうケースがあった。
この問題を解決するため、特許文献1では、通話制限エリア内にある電子機器に与える影響を低減しつつ携帯電話機の利用を効果的に制限するために、携帯電話機の通話を制限したいエリアの出入口に、携帯電話機に対して入退出識別用信号を送信する通話制限装置を設け、携帯電話機は、入退出識別用信号を用いてエリアへの進入、あるいはエリアからの退出を判定し、進入の場合には携帯電話機の無線部やベースバンド処理部の動作を停止(電源オフ)させて通話制限モードとし、退出の場合にその通話制限モードを解除している。なお、通話制限モードの間は通話制限中であることを表示して、使用者に故障でないことを知らせるようにしている。
また、特許文献2では、マナーモードへの操作忘れを防止する技術が開示されている。即ち、外部から「マナー設定」のモード切り換え無線信号を受信すると、現在の設定モードを一旦コピーした後に自動的にマナーモードに設定する。従って、利用者がマナーモードに設定する操作を忘れても、自動的にマナーモードに設定され、着信があっても迷惑なブザーが鳴らないことや、病院内で電波を発信しようとしても電波の強度が制限される等の、その場所に応じた適切な動作モードに切り換わる。一方、外部から「モード復帰」のモード切り換え無線信号を入力すると、前記のコピーを呼び出して「マナー設定」を受信した際の動作モードに復帰させるので、その場所から離れた際には、元の動作モードに自動的に復帰し、携帯無線端末の機能を損ねることがないようにしている。
さらに、特許文献3では、使用環境に適した呼出しモードを設定できる携帯用通信機器に関する技術が開示されている。この携帯用通信機器は、呼出しモードを変換させるためのモード変換信号を、公共の場に設けられた外部送信装置から受信する受信手段と、前記受信手段からモード変換信号が入力されると、現在の呼出しモード状態と判定し、現在の呼出しモードが音モードの場合、これを使用環境に適したマナーモード(バイブレータモード、光モード、サイレントモード)に変換させるモード変換手段を含んでいる。これにより、公共の場に出入する全ての携帯用通信機器の呼出しモードをマナーモードに自動的に変換させ、着信音による周囲の人々への迷惑を未然に防止することを可能としている。なお、モード変換信号を受信してマナーモードへ変換することの他に、音声通話チャネルを遮断して文字通信のみを可能にすること、入場方向を判定してモード変換を行った後に出場方向を判定して入場前のモードに変換すること、電力遮断信号を判定して携帯用通信機器の電源をオフにすること、また、モード変換信号を受信しても、現在がマナーモードであるときには、マナーモードをそのまま維持することも記載されている。
特開2000−032557号公報
特開2000−324554号公報
特表2002−524940号公報
しかしながら、上記従来の技術には、通話や通信、あるいは着信を逃してしまう可能性があるという問題点があった。即ち第1に、上記従来の技術では、通話や通信に没頭するあまり、通話や通信の継続中に知らずにマナーエリアに入ってしまうと、電波の発信が停止されたり、電源がOFFされたりすることにより、回線が切れて継続中の通話や通信が不能になり、大切な通話や通信を逃してしまうという問題点があった。
また第2に、特許文献1に記載されているように、入退出識別信号の受信回数により進入と退出をオルタネートに判定する場合では、入退出識別信号の反射や遮蔽の状態で、一度の通過で入退出識別信号を複数回受信してしまう(以下、チャタリングと呼ぶ)ことがあり、一旦はマナーエリアに進入したとして設定されたマナーモードや機能制限モードがマナーエリア内にいるにもかかわらず解除されたり、逆にマナーエリア外にいるにもかかわらずマナーモードや機能制限モードが設定されたりしてしまう可能性があった。マナーエリア外にいるのにマナーモードや機能制限モードが設定された場合では、マナーモードであるために大切な着信に気付かずに逃してしまったり、電波の発信停止や電源OFFとされるために大切な着信を逃してしまったりする問題となる。また、マナーエリア内にいるのにマナーモードや機能制限モードが解除された場合では、マナーが遵守されないばかりでなく、このままマナーエリアから出場するとマナーエリアへの進入と誤って判定され、マナーエリア外にいるにもかかわらずマナーモードや機能制限が設定されてしまうので、同様に大切な着信を逃してしまう問題となる。
また第3に、特許文献3のようにマナーエリアに入ると携帯用通信機器の電源がOFFされる場合には、当該機器は動作ができなくなるため、マナーエリアから出場しても、その電源を自動的にONに復帰させることができなくなり、手動で電源をONにし忘れてしまうと、大切な着信を逃してしまうという問題点があった。
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、マナー動作モードの自動設定・自動解除の動作により、継続中の通話や通信、あるいは着信を逃してしまう可能性を回避する携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システム、方法及び携帯通信端末を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための請求項1記載の発明は、モード切替信号の発信手段を備えたゲートと、このゲートを通過した際に前記モード切替信号を受信する受信手段、このモード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定する方向判定手段、及び入場と判定された場合には自動的にマナー動作モードの設定を行い、出場と判定された場合には前記設定したマナー動作モードを自動的に解除する動作モード切替手段を備えた携帯通信端末と、からなる携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムであって、前記動作モード切替手段が、入場と判定された場合には通話中又は通信中か否かを判断する第1の手段と、通話中又は通信中の場合には一定の猶予時間の経過を判断し、一定の猶予時間が経過する前に出場と判定された場合には現在の動作モードを継続する第2の手段と、前記通話中又は通信中でない場合及び前記一定の猶予時間が経過した場合にはマナー動作モードを自動設定する第3の手段と、を有することを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムである。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムに係り、前記第2の手段が、通話中又は通信中の場合に一定の猶予時間が経過するまで、又は一定の猶予時間が経過する前に出場と判定されるまで、回線を接続したまま通話又は通信を中断し、前記一定の猶予時間が経過する前に出場と判定された場合には前記中断した通話又は通信を再開するものであることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムに係り、前記マナー動作モードが通話をOFFにすることである場合には、前記通話を可能とする通話手段への電源供給を前記動作モード切替手段からの指令によりON/OFFする電源供給制御手段を備え、前記動作モード切替手段が、入場と判定された場合には一定の猶予時間が経過した後に自動的に前記通話手段への電源供給をOFFとし、出場と判定された場合には電源供給をONに戻すように、前記電源供給制御手段に対して指令するものであることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1に記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムに係り、前記マナー動作モードが電波の発信をOFFにすることである場合には、前記電波の発信を行う無線手段への電源供給を前記動作モード切替手段からの指令によりON/OFFする電源供給制御手段を備え、前記動作モード切替手段が、入場と判定された場合には一定の猶予時間が経過した後に自動的に前記無線手段への電源供給をOFFとし、出場と判定された場合には電源供給をONに戻すように、前記電源供給制御手段に対して指令するものであることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、モード切替信号の発信手段を備えたゲートと、このゲートを通過した際に前記モード切替信号を受信する受信手段、このモード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定する方向判定手段、及び入場と判定された場合には自動的にマナー動作モードの設定を行い、出場と判定された場合には前記設定したマナー動作モードを自動的に解除する動作モード切替手段を備えた携帯通信端末と、からなる携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムであって、前記動作モード切替手段が、入場と判定されて一定の猶予時間が経過するまでは出場の判定を無効とし、前記一定の猶予時間が経過した後に前記入場に対するマナー動作モードの設定を行うとともに以後の出場の判定を有効とするものであることを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムである。
また、請求項6記載の発明は、モード切替信号の発信手段を備えたゲートと、このゲートを通過した際に前記モード切替信号を受信する受信手段、このモード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定する方向判定手段、及び入場と判定された場合には自動的にマナー動作モードの設定を行い、出場と判定された場合には前記設定したマナー動作モードを自動的に解除する動作モード切替手段を備えた携帯通信端末と、からなる携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムであって、前記動作モード切替手段が、出場と判定されて一定の猶予時間が経過するまでは入場の判定を無効とし、前記一定の猶予時間が経過した後に前記出場に対するマナー動作モードの解除を行うとともに以後の入場の判定を有効とするものであることを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムである。
また、請求項7記載の発明は、モード切替信号の発信手段を備えたゲートと、このゲートを通過した際に前記モード切替信号を受信する受信手段、このモード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定する方向判定手段、及び入場と判定された場合には自動的にマナー動作モードの設定を行い、出場と判定された場合には前記設定したマナー動作モードを自動的に解除する動作モード切替手段を備えた携帯通信端末と、からなる携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムであって、少なくとも前記受信手段、前記方向判定手段、及び前記動作モード切替手段には常に電源を供給しその他への電源の供給を前記動作モード切替手段からの指令によりON/OFFする電源供給制御手段を備え、前記マナー動作モードが電源をOFFにすることである場合には、前記動作モード切替手段が、入場と判定された場合には自動的に前記受信手段、前記方向判定手段、及び前記動作モード切替手段以外への電源供給をOFFとし、出場と判定された場合には電源供給をONに戻すように、前記電源供給制御手段に対して指令するものであることを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムである。
また、請求項8記載の発明は、複数のモード切替信号の一つを選択して発信する発信手段を備えたゲートと、少なくとも請求項1乃至7記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムにおける各携帯通信端末の機能を複数備えた携帯通信端末と、からなり、前記携帯通信端末の方向判定手段が、受信された前記モード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定するとともに前記モード切替信号の種類を判定するものであり、前記携帯通信端末の動作モード切替手段が、マナー動作モードの設定と解除とを前記判定されたモード切替信号の種類に応じて前記複数の機能の一つを選択して行うものであることを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムである。
また、請求項9記載の発明は、モード切替信号の発信手段を備えたゲートを通過した際に前記モード切替信号を受信する受信過程、このモード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定する方向判定過程、及び入場と判定された場合には自動的にマナー動作モードの設定を行い、出場と判定された場合には前記設定したマナー動作モードを自動的に解除する動作モード切替過程を備えた携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法であって、前記動作モード切替過程が、入場と判定された場合には通話中又は通信中か否かを判断する第1の過程と、通話中又は通信中の場合には一定の猶予時間の経過を判断し、一定の猶予時間が経過する前に出場と判定された場合には現在の動作モードを継続する第2の過程と、前記通話中又は通信中でない場合及び前記一定の猶予時間が経過した場合にはマナー動作モードを自動設定する第3の過程と、を有することを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法である。
また、請求項10記載の発明は、請求項9記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法に係り、前記第2の過程では、通話中又は通信中の場合に一定の猶予時間が経過するまで、又は一定の猶予時間が経過する前に出場と判定されるまで、回線を接続したまま通話又は通信を中断し、前記一定の猶予時間が経過する前に出場と判定された場合には前記中断した通話又は通信を再開することを特徴としている。
また、請求項11記載の発明は、請求項9又は10記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法に係り、前記マナー動作モードが通話をOFFにすることである場合、前記動作モード切替過程では、入場と判定された場合には一定の猶予時間が経過した後に自動的に通話手段への電源供給をOFFとし、出場と判定された場合には電源供給をONに戻すように、電源供給制御手段に対して指令することを特徴としている。
また、請求項12記載の発明は、請求項9乃至11のいずれか1に記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法に係り、前記マナー動作モードが電波の発信をOFFにすることである場合、前記動作モード切替過程では、入場と判定された場合には一定の猶予時間が経過した後に自動的に前記無線手段への電源供給をOFFとし、出場と判定された場合には電源供給をONに戻すように、電源供給制御手段に対して指令することを特徴としている。
また、請求項13記載の発明は、モード切替信号の発信手段を備えたゲートを通過した際に前記モード切替信号を受信する受信過程、このモード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定する方向判定過程、及び入場と判定された場合には自動的にマナー動作モードの設定を行い、出場と判定された場合には前記設定したマナー動作モードを自動的に解除する動作モード切替過程を備えた携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法であって、前記動作モード切替過程では、入場と判定されて一定の猶予時間が経過するまでは出場の判定を無効とし、前記一定の猶予時間が経過した後に前記入場に対するマナー動作モードの設定を行うとともに以後の出場の判定を有効とすることを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法である。
また、請求項14記載の発明は、モード切替信号の発信手段を備えたゲートを通過した際に前記モード切替信号を受信する受信過程、このモード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定する方向判定過程、及び入場と判定された場合には自動的にマナー動作モードの設定を行い、出場と判定された場合には前記設定したマナー動作モードを自動的に解除する動作モード切替過程を備えた携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法であって、前記動作モード切替過程では、出場と判定されて一定の猶予時間が経過するまでは入場の判定を無効とし、前記一定の猶予時間が経過した後に前記出場に対するマナー動作モードの解除を行うとともに以後の入場の判定を有効とすることを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法である。
また、請求項15記載の発明は、モード切替信号の発信手段を備えたゲートを通過した際に前記モード切替信号を受信する受信過程、このモード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定する方向判定過程、及び入場と判定された場合には自動的にマナー動作モードの設定を行い、出場と判定された場合には前記設定したマナー動作モードを自動的に解除する動作モード切替過程を備えた携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法であって、前記マナー動作モードが電源をOFFにすることである場合、前記動作モード切替過程では、入場と判定された場合には少なくとも前記受信過程、前記方向判定過程、及び前記動作モード切替過程を実行する手段への電源供給を継続するとともにその他の手段への電源供給をOFFとし、出場と判定された場合には電源供給をONに戻すように、電源供給制御手段に対して指令することを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法である。
また、請求項16記載の発明は、複数のモード切替信号の一つを選択して発信する発信手段を備えたゲートと、少なくとも請求項9乃至15記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法の複数を備えた携帯通信端末とからなり、前記携帯通信端末の方向判定過程では、受信された前記モード切替信号によりマナーエリアに対する入出場を判定するとともに前記モード切替信号の種類を判定し、前記携帯通信端末の動作モード切替過程では、マナー動作モードの設定と解除とを前記判定されたモード切替信号の種類に応じて前記複数の方法の一つを選択して行うことを特徴とする携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除方法である。
また、請求項17記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1に記載の携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムを構成している携帯通信端末である。
以上説明したように、この発明の構成によれば、第1の効果として、入場を判定すると通話中又は通信中ならば、一旦回線を接続したまま中断し、一定の猶予時間が経過する前に出場すれば中断した通話や通信を再開し、通話中又は通信中でなければ、又は一定の猶予時間が経過してしまえば、所定のマナー動作モードの設定を行うようにしたので、通話や通信の継続中にマナーエリアにうっかり入場しても、猶予時間内に引き返すなどして出場すれば通話や通信を継続することができ、大事な通話や通信が途切れて逃してしまう可能性を回避することができる。
また、この発明の構成によれば、第2の効果として、入場と判定しても一定の猶予時間が経過した後に所定のマナー動作モードを設定するようにし、あるいは出場と判定しても一定の猶予時間が経過した後に設定したマナー動作モードを解除するようにし、この猶予時間内では新たな入出場の判定を無効とするようにしたので、入場と出場をオルタネートに判定する場合において、猶予時間内にチャタリングが発生しても無視されて入出場の誤判定がなくなり、マナーエリア外にいるにもかかわらずマナー動作モードが設定されることにより着信音がないために大切な着信に気付かずに逃してしまったり、あるいは電波の発信停止や電源OFFとされるために大切な着信を逃してしまったりする可能性を回避することができる。
また、この発明の構成によれば、第3の効果として、マナー動作モードが携帯通信端末の電源をOFFにすることである場合、ゲートの発信手段からのモード切替信号を受信する手段、マナー動作モードの切替手段、及び電源供給の制御手段等の必要最小限の部分のみに電源を供給し、これらの手段により出場と判定した場合には携帯通信端末の電源をONに復帰させるようにしたので、マナー動作モードが電源OFFの場合でもマナーエリアから出場した場合には電源ONに復帰することができ、大切な着信を逃してしまう可能性を回避することができる。
この発明では、携帯通信端末において、マナー動作モードの自動設定・自動解除の動作により、継続中の通話や通信、あるいは着信を逃してしまう可能性を回避するという目的を達成する為に、まず、マナー動作モードを設定したい電車や建物等のマナーエリアの出入口にマナー動作モードへ自動設定するためのモード切替信号の発信機を備えるゲートを設置する。一方、携帯通信端末側には、このモード切替信号の受信部と、入出場の判定部、動作モードの切替部を設けて、ゲートを通過する際にこのモード切替信号を受信して入場と判定した場合、通話中又は通信中か否かを判断し、通話中又は通信中であれば、一旦回線を接続したまま中断し、所定の猶予時間をおいて所定のマナー動作モードを自動設定する。この猶予時間内にマナーエリアから出場したと判定した場合には、中断した通話や通信を再開させる。
また、入出場をオルタネートに判定する場合において、モード切替信号を受信して入場と判定した場合に、所定の猶予時間をおいて自動的に所定のマナー動作モードを設定したり、モード切替信号を受信して出場と判定した場合に、所定の猶予時間をおいて自動的に設定したマナー動作モードを解除する。この猶予時間によりチャタリングによる入出場の判定を無効として誤判定を防止し、この誤判定に起因してマナーエリア外でマナー動作モードが設定されることの無いようにすることで、着信を逃してしまう可能性を回避する。
さらに、マナー動作モードが携帯通信端末の電源をOFFにすることである場合には、少なくともゲートの発信機からのモード切替信号の受信部、入出場の判定部、動作モード切替部、及び電源供給の制御部には常に電源を供給して出場の判定を可能にしておき、出場と判定されたならば全ての回路への電源供給をONに戻すことによって、電源ONへのマナー動作モードの解除忘れを防ぎ着信を可能とする。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用いて具体的に行う。
まず、この発明の第1実施例を説明する。図1はこの実施例である携帯通信端末のマナー動作モードの自動設定・自動解除システムで用いる携帯通信端末の電気的な構成例を示すブロック図であり、図2は同じく、このシステムで用いるゲートの電気的な構成例を示すブロック図である。この実施例におけるマナーエリアで求められるマナー動作の形態としては、電車やバス、病院、音楽会、映画館、及び美術館等の展示室のように静粛が求められ環境において、着信音やボタン操作確認音の停止(いわゆる、マナーモード)とともに通話又は通信の停止や電波の発信の停止が求められる形態を想定する。
このシステムは、ゲート1と、携帯電話端末2からなる。ゲート1は、所定のマナー動作モードとしたい電車や建物等のマナーエリアの出入口に設置され、モード切替信号を発信する。携帯電話端末2は、このゲート1を通過する際、ゲート1からのモード切替信号を受信して入出場を判定し、入場の場合には通話中か否かを判断し、通話中であれば所定の猶予時間をおいて自動的に所定のマナー動作モードに設定し、通話中でなければ、直ちに自動的に所定のマナー動作モードに設定するとともに、出場の場合には、設定したマナー動作モードを自動的に解除するものとする。
まず、ゲート1の詳細について説明する。図3,4は、その外観と設置の構成を示す斜視図である。ゲート1は、第1のゲート1aと、第2のゲート1bと、これらの2つのゲートに収納された2本のアンテナの間でモード切替信号を発信する発信機11と、その電源部12とから成る。発信機11と各ゲート1a,1bの内臓アンテナとは平面的にモード切替信号を発信し、床と垂直な信号面13を空間上に作る。そのためのアンテナの例としてはアレイアンテナ等が利用できる。また、モード切替信号の拡散を防ぐために、各ゲート1a,1bの内臓アンテナが、互いに対向する側だけ開口されたシールド体で囲われた構造とすることも有効である。この信号面13の前後の一方がマナーエリア内14となり、他方がマナーエリア外15となる。図例では入出場の通路の両側にゲート1a,1bを配置する構成となっているが、その一方を天井に設置し、他方を床内に埋め込む配置としてもよい。また、信号面13の前後にシールド効果を有し、通過の妨げとならないカーテンを設けてモード切替信号の拡散や漏洩を抑制することも、チャタリング等を防止する上で好適である。
次に、携帯電話端末2の詳細について説明する。携帯電話端末2は、基本的な手段として、アンテナ21aを有し電波の送受信処理、発着信処理及びデジタル処理等を行う無線通信部21と、マイク22a及びスピーカ22bを有して通話処理を行う通話部22と、テンキーや各種の操作ボタンを有して操作入力を行うための操作部23と、メールや電話番号等を含む送受信情報を表示する表示部24と、これらの各部を統括して制御する電話端末制御部25とを備える。この実施例では、さらに、アンテナ25aを有しゲート1を通過した際にモード切替信号を受信するモード切替信号受信部26と、受信したモード切替信号によりマナーエリア内14への入場又は出場を判定する方向判定部27と、入場又は出場の判定結果に応じて動作モードを切り替える動作モード切替部28と、バッテリ等からなる電源部29aを有して各部への電源供給を行うとともに、必要な場合にはモード切替部28の指令により所定の各部への電源供給をON/OFFする電源制御部29とを備える。
方向判定部27は、方向判定フラグの記憶部を有し、モード切替信号が方向判定フラグOFFの状態で受信された場合にはマナーエリア内14への入場と判定してONに設定し、方向判定フラグONの状態で受信された場合にはマナーエリア外15への出場と判定してOFFに設定するという具合にオルタネートに入出場を判定する。なお、方向判定フラグは初期設定によりOFFに設定し、必要時には操作部23からの修正操作を可能とする。ここで、入出場の判定は、ゲート1を通過して発信器11の有効範囲外に脱した時点で判定する。なお、マナーエリアに対する入出場の方向を判定する別な手段の例としては、周波数等の異なる少なくとも2つのモード切替信号を時間差を開けて発信するゲートを配置して、この2つの信号の受信順序から方向を判定する構成や、入口と出口を分けて、それぞれに周波数等の異なる2つのモード切替信号を入場用と出場用に割り当てる構成等を利用することも可能である。
動作モード切替部28は、自動設定フラグの記憶部を有し、入場時には通話中でない場合及び通話中において一定の猶予時間が経過する前に出場すれば現在の動作モードを維持し、一定の猶予時間が経過した場合には現在マナー動作モードでなければマナー動作モードを自動設定して自動設定フラグをONに設定し、出場時には自動設定フラグを参照してONであれば設定したマナー動作モードを解除する。このため、動作モード切替部28は、判定結果が入場である場合、電話端末制御部25を介して通話中か否かを判断する手段と、通話中である場合、一定の猶予時間の経過を判断し、一定の猶予時間が経過する前に出場したと判定された場合には入場直前の動作モードを維持する手段と、前記で通話中でない場合、あるいは前記で一定の猶予時間が経過した場合に、電話端末制御部25の動作モードを参照して現在マナー動作モードか否かを判定する手段と、判定結果がマナー動作モードでなければ動作モードを強制的にマナー動作モードに設定して自動設定フラグをONに設定するとともに、前記でマナー動作モードであれば自動設定フラグをOFFのままとしマナー動作モードを継続する手段とを有する。また、動作モード切替部28は、判定結果が出場である場合には、電話端末制御部25の動作モードを参照して現在マナー動作モードか否かを判定する手段による判定結果がマナー動作モードあれば自動設定フラグを参照し、ONであれば自動設定したマナー動作モードを解除して自動設定フラグをOFFに設定するとともに、OFFであればマナー動作モードを継続する手段を有する。この実施例での猶予時間は数秒程度とする。また、動作モード切替部28は、この猶予時間中、通話を中断した旨をスピーカ22bからの警告音や表示部24への表示により通知する。また、この間、通話相手の通信端末に対して適切な合成音声メッセージを送信することも有効である。
次に、マナー動作モードの切り替えを実施する構成について説明する。現在の携帯電話端末の動作モードとして、いわゆるマナーモードがある。マナーモードでは、着信があった場合に着信音を鳴動させることに代えてバイブレータを振動させるとともに、ボタン操作確認音を停止させるモードであるが、発着信は可能である。この実施例では、動作モード切替部28が電話端末制御部25に対して、強制的にマナーモードとするように指令するとともに、通話部22への電源供給をOFFとするように電源供給制御部29に指令するか、又は通話部22の送受信アンプの入力又は出力をアナログスイッチ等でOFFにする。これにより、通話部22は動作を停止し、通話が不能になる。ただし、その他の各部は動作可能なので、文字や画像等の通信(メール・Web閲覧等)は可能である。文字や画像等の通信の場合において、着信は表示可能とするが発信は不可としたい場合には、動作モード切替部28が操作部23への電源供給をOFFとするように電源供給制御部29に指令するか、又は操作部23からの入力を無効とするように電話端末制御部25に指令する。電波の発信を停止するマナー動作形態を実施する構成では、通話部22に代えて、無線通信部21への電源供給をOFFとするように電源供給制御部29に指令すること等により、無線通信部21を動作不能にする。
続いて、この実施例の動作について説明する。図1〜4において携帯電話端末2がゲート1を通過したときに起こる動作を図5,6に示すフローチャートを用いて説明する。図5,6において、S(数字)は処理のステップを表している(以下、同じ)。まず、ゲート1の発信機11によって発生するモード切替信号面13を携帯電話端末2が通過した際、モード切替信号受信部26によってモード切替信号を感知し、このモード切替信号を元にゲート1を通過した方向(入出場方向)を方向判定部27で判定し、その判定結果により以下のような動作をする。
図5に示すように、携帯電話端末2がマナーモード設定が必要なエリアの外部(マナーエリア外15)から電車、病院などマナーエリア内14に入る方向(入場の方向)にモード切替信号を受信し、方向判定部27が入場であると判定した場合(S101)、動作モード切替部28は、電話端末制御部25を介して通話中か否かを判断する(S102)。ここで、動作モード切替部28は、通話中である場合、回線を接続したまま通話を中断して、その旨を表示したり、警報音を鳴らしたりして通知する(S103)とともに、一定の猶予時間の経過を判断し(S104)、一定の猶予時間が経過する前にゲートから出場したと方向判定部27が判定した場合(S105)には、中断した通話を可能とする(S106)。ステップS102で通話中でない場合、あるいはS104で一定の猶予時間が経過した場合には、電話端末制御部25の動作モードを参照して現在マナー動作モードか否かを判定し(S107)、判定結果がマナー動作モードでなければ動作モードを強制的にマナー動作モードに設定して自動設定フラグをONに設定する(S108)。ステップS107でマナー動作モードであれば自動設定フラグをOFFのままとしマナー動作モードを継続する(S109)。
次に、図6に示すように、携帯電話端末2がマナーエリア内14からマナーエリア外15出る方向(出場の方向)にモード切替信号を受信し、方向判定部27が出場であると判定した場合(S111)、動作モード切替部28は、電話端末制御部25の動作モードを参照して現在マナー動作モードか否かを判定する(S112)。この判定結果がマナー動作モードあれば自動設定フラグを参照し(S113)、ONであれば自動設定したマナー動作モードを解除して自動設定フラグをOFFに設定する(S114)。ステップ113で自動設定フラグがOFFであれば、先に手動でマナー動作モードが設定されていた場合なので、そのままマナー動作モードを継続する(S115)。
次に、通話着信があった場合の動作例について、図7のフローチャートを用いて説明する。通話着信があった場合(S121)、まず、現在マナー動作モードであって(S122)、マナーエリア内14の場合(S123)には、動作モード切替部28の制御により自動設定されたマナー動作モードか、手動設定されたマナー動作モードかに関わらず着信があることを通知する表示はなされるが、通話することはできない(S124)。ここで、マナーエリア外15である場合には(S123)、マナーモードによる通常の着信としてバイブレーション動作による着信通知を行い通話を可能とする(S125)。現在マナー動作モードでない場合(S122)には、電話端末制御部25は通常の着信として着信音を鳴らし通話を可能とする(S126)。
次に、通話発信を行う場合の動作例について、図8のフローチャートを用いて説明する。通話発信を行う場合(S131)、マナーエリア内14では(S132)、動作モード切替部28の制御により発信することが不可となる(S133)。マナーエリア外15では(S132)、通常通りの発信・通話を行うことが可能である(S134)。
以上、この実施例では通話を例に説明したが、文字や画像、映像等の通信(メール・Web閲覧等)についても同様である。ただし、この場合、発信のみ不可とし着信情報は表示可能とするような設定としても良い。この実施例によれば、入場と判定された場合、通話中又は通信中ならば、一旦回線を接続したまま中断し、一定の猶予時間が経過する前に出場すれば中断した通話や通信を再開し、通話中又は通信中でなければ、又は一定の猶予時間が経過してしまえば、所定のマナー動作モードの設定を行うようにしているので、通話や通信の継続中にマナーエリアにうっかり入場しても、猶予時間内に引き返すなどして出場すれば通話や通信を継続することができ、大事な通話や通信が停止されて逃してしまう可能性を回避することができる。
次に、この発明の第2実施例について説明する。この実施例の電気的な構成及びゲートの外観と配置は図1〜4の第1実施例と同様であるが、動作モード切替部28の機能が異なる。即ち、この実施例の動作モード切替部28は、チャタリングを防止するために、入場と判定された場合、一定の猶予時間が経過した後に所定のマナー動作モードの設定処理をするようにし、あるいは出場と判定された場合、一定の猶予時間が経過した後に設定したマナー動作モードの解除処理をするようにし、これらの猶予時間内では新たな入出場の判定を無効とする構成としたものである。この実施例での、マナーエリアで求められるマナー動作の形態としては、第1実施例と同様の形態を想定する。即ち、電車やバス、病院、音楽会、映画館、及び美術館等の展示室のように静粛が求められ環境において、着信音やボタン操作確認音の停止(いわゆる、マナーモード)とともに通話又は通信の停止や電波の発信の停止が求められる形態を想定する。
上記の機能を実現する構成として、この実施例の動作モード切替部28は、方向判定部27による判定結果が入場である場合、一定の猶予時間の経過を判断する手段と、前記で一定の猶予時間が経過するまでは新たに出場の判定がなされても無効として現在の動作モードを維持する手段と、前記で一定の猶予時間が経過した場合に電話端末制御部25の動作モードを参照して現在マナー動作モードか否かを判定する手段と、この判定結果がマナー動作モードでなければ動作モードを強制的にマナー動作モードに設定して自動設定フラグをONに設定し、前記でマナー動作モードであれば自動設定フラグをOFFのままとしてマナー動作モードを継続する手段とを有する。また、動作モード切替部28は、方向判定部27による判定結果が出場である場合、一定の猶予時間の経過を判断する手段と、前記で一定の猶予時間が経過するまでは新たに入場の判定がなされても無効として現在の動作モード(マナー動作モード)を維持する手段と、前記で一定の猶予時間が経過した場合に電話端末制御部25の動作モードを参照して現在マナー動作モードか否かを判定する手段と、この判定結果がマナー動作モードあれば自動設定フラグを参照し、ONであれば自動設定したマナー動作モードを解除して自動設定フラグをOFFに設定し、OFFであればマナー動作モードを継続する手段を有する。この実施例での猶予時間は、チャタリングを防止するのに必要十分な短い時間とする。その他の構成は、第1実施例と同様なので、ここでは省略する。
続いて、この実施例の動作例について説明する。図1〜4において携帯電話端末2がゲート1を通過したときに起こるこの実施例の動作を図9,10に示すフローチャートを用いて説明する。まず、ゲート1の発信機11によって発生するモード切替信号面13を携帯電話端末2が通過した際、モード切替信号受信部26によってモード切替信号を感知し、このモード切替信号を元にゲート1を通過した方向を方向判定部27で判定し、その判定結果により以下のような動作をする。
図9に示すように、携帯電話端末2がマナーエリア外15から電車、病院などマナーエリア内14に入る方向(入場の方向)にモード切替信号を受信し、方向判定部27が入場であると判定した場合(S141)、動作モード切替部28は、一定の猶予時間の経過を判断し(S142)、一定の猶予時間が経過する前にゲートから出場したと方向判定部27が判定しても動作モードの切り替えを禁止し現在の動作モードを維持する(S143)。ステップS142で一定の猶予時間が経過した場合には、電話端末制御部25の動作モードを参照して現在マナー動作モードか否かを判定し(S144)、判定結果がマナー動作モードでなければ動作モードを強制的にマナー動作モードに設定して自動設定フラグをONに設定する(S145)。ステップS144でマナー動作モードであれば自動設定フラグをOFFのままとしマナー動作モードを継続する(S146)。
次に、図10に示すように、携帯電話端末2がマナーエリア内14からマナーエリア外15に出る方向(出場の方向)にモード切替信号を受信し、方向判定部27が出場であると判定した場合(S151)、一定の猶予時間の経過を判断し(S152)、一定の猶予時間が経過する前にゲートから入場したと方向判定部27が判定しても入場に対する処理を禁止する(S153)。ステップS152で一定の猶予時間が経過した場合には、動作モード切替部28は、電話端末制御部25の動作モードを参照して現在マナー動作モードか否かを判定し(S154)、マナー動作モードあれば自動設定フラグを参照し(S155)、ONであれば自動設定したマナー動作モードを解除して自動設定フラグをOFFに設定する(S156)。ステップ155で自動設定フラグがOFFであれば、先に手動でマナー動作モードが設定されていた場合なので、そのままマナー動作モードを継続する(S157)。
なお、通話着信があった場合の動作例については、第1実施例と同様なので、その説明は省略する。
以上、この実施例では、入場と判定された場合に一定の猶予時間が経過した後に所定のマナー動作モードを設定するようにし、あるいは出場と判定された場合に一定の猶予時間が経過した後に設定したマナー動作モードを解除し、この猶予時間内では入出場に対する動作モードの切り替え処理を禁止するようにしたので、入場と出場をオルタネートに判定する場合にチャタリングが発生しても誤判定がなくなり、マナーエリア外にいるのにマナー動作モードが設定されて、大切な着信に気付かずに逃してしまったり、電波の発信停止や電源OFFとされるために大切な着信を逃してしまったりする可能性を回避することができる。
なお、この実施例の入場時の処理を第1実施例の入場時の処理と組み合わせて実施することも可能である。この場合、図9のステップ141〜143を実行した後、図5のステップS102以降を実施する。ここで、この実施例の猶予時間はチャタリング防止のための短い時間であるのに対し、第1実施例の猶予時間は入場後に継続中の会話や通信を出場して再開するために、ゲートに戻って出場するまでに要する少し長めに設定される時間であり、両者の値は当然に異なる。
次に、この発明の第3実施例について説明する。この実施例の電気的な構成は図1〜4の第1実施例と同様であるが、動作モード切替部28及び電源供給制御部29の機能が異なる。即ち、この実施例の動作モード切替部28は、マナー動作の形態としてマナーエリアにおいて電源をOFFとする場合に、マナーエリアへ入場したと判定されたなら少なくともモード切替信号を受信し入出場を判定し電源ONに復帰させるための回路ブロックには電源を供給し他の回路ブロックの電源供給をOFFにするように制御し、マナーエリア外へ出場したと判定されたなら全ての回路ブロックへの電源供給をONにするように制御する機能手段を有する。また、電源供給制御部29は、動作モード切替部28からの上記の制御の指令により上記のように電源供給を制御する機能手段を有する。
上記の機能を実現するための構成例として、動作モード切替部28は、モード切替信号受信部26で受信したモード切替信号から方向判定部27によりマナーエリアへ入場したと判定された場合には、モード切替信号受信部26、方向判定部27、動作モード切替部28のうち少なくとも電源ONを指令する回路、及び電源供給制御部29の回路ブロックへは引き続き電源供給を行い、これらを除く各部への電源供給をOFFとするように電源供給制御部29に指令するとともに、モード切替信号受信部26で受信したモード切替信号から方向判定部27によりマナーエリア外へ出場したと判定された場合には、全ての回路ブロックへの電源供給をONにするように電源供給制御部29に指令し、電源供給制御部29がそれらの指令を実行する構成とする。
次に、この実施例の動作例について説明する。この実施例は、入場時のマナー動作モード設定による電源OFFの状態から、出場時に電源ONに復帰させて着信を逃さないようにすることが目的なので、第1、第2の実施例のように入出場時に猶予期間を設けて、通話や通信の継続を図ったり、ゲート通過時のチャタリングの防止を図ったりする必要はないが、この実施例を第1、第2の実施例とともに実施すれば、マナー動作モード設定による電源OFFにより発生する通話や通信の停止を回避したり、ゲート通過時のチャタリングを防止して入出場の誤判定による不都合を解消したりすることが同時に可能となる。この場合の動作例は、それぞれ第1、第2の実施例に従う。その場合のマナー動作モードの設定は、上記の電源OFFの制御であり、マナー動作モードの解除は、上記の電源ONの制御である。
また、通話中又は通信中でない場合でも、マナーエリアへの入場によりマナー動作モードとして電源をOFFにする場合では、通話中又は通信中である場合と同様に、数秒の猶予時間が経過した後に(猶予時間内は画面に電源OFFのマナーエリアに入った旨を通知する)、電源をOFFとし、猶予時間内にマナーエリア外に出場した場合には電源ONを維持することも好適である。電源OFFのマナーエリア内で手動により電源ONの操作をした場合は、電源供給制御部29が動作モード切替部28以外からの電源ONの指令を受け付けないようにすることで、マナーエリア内での手動による電源ONを不可とする。手動で電源OFFにして電源OFFのマナーエリアへ入場した場合には、現在マナー動作モードであるとして電源OFFを継続し、出場した場合もそのまま電源OFFを継続する。
以上により、この実施例によれば、マナー動作モードが携帯通信端末の電源をOFFにすることである場合、ゲートの発信機からのモード切替信号の受信部、入出場の方向判定部、マナー動作モードの切替部、及び電源供給の制御部等の必要最小限の部分のみに電源を供給し、これらの手段により出場と判定した場合には携帯通信端末の電源をONに復帰できるようにしたので、マナーエリアから出場して電源ONにし忘れて大切な着信を逃してしまう可能性を回避することができる。この実施例では、必要最小限の部分のみに電源を供給したままであるが、高い周波数のクロックを使用するコンピュータ等で構成されている電話端末制御部25や電波の発信手段を有する無線通信部21等が動作を停止するので、医療機器や電子機器への影響は無くなるものと考えられる。
なお、この実施例におけるモード切替信号受信部26、方向判定部27、及び動作モード切替部28の一部として、無線ICタグ(RF−ID)と、そのリーダライタを用いることも可能である。この場合、マナー動作モードとして電源供給をOFFにする際、最小限の回路ブロックとしてこれらと電源供給制御部29に対し電源を供給する。この無線ICタグは、自動設定フラグや方向判定フラグ、現在の動作モード等を記憶するとともに、モード切替信号を受信して記憶する。動作モード切替部28は、このモード切替信号を、例えば周期的に読み取りにいって獲得し、上述のような電源供給ONの復帰動作等の動作モード切り替えを行う。
次に、この発明の第4実施例について説明する。この実施例の電気的な構成及びゲートの外観と配置とは図1〜4の第1〜第3実施例と同様である。この実施例は、上述した第1〜第3の実施例において、複数のマナー動作モードを有し、実行するマナー動作モードを何らかの手段を用いて選択する場合の例である。この実施例の電気的な構成及びゲートの外観と配置において、第1〜第3実施例と同様な部分の説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この実施例では、マナー動作モードの形態として「マナーモードにする」だけでなく、「マナーモードに加えて通話又は通信を禁止する」、「電波を発信を禁止する」、「電源をOFFにする」等さまざまな形態を選択可能とする。このため、ゲート1から発信されるモード切替信号を複数設け、それぞれに上記さまざまのマナー動作モードへの設定、解除のモード切替信号として割り当てる。ゲート設置者は、病院の入り口や飛行機等のゲート設置環境等の必要に応じて、モード切替信号の種類を選択する。複数のモード切替信号としては、信号周波数を変える例が考えられる。
この実施例の方向判定部27は、モード切替信号により入出場の方向判定の他に、モード切替信号の種類を判定する。この種類が信号周波数に対応する場合は、フィルタ等によって識別する。動作モード切替部28は、方向判定部27から入出場の方向の判定結果とモード切替信号の種類の判定結果とを取得し、これらの判定結果に応じて第1〜第3の実施例のマナー動作モードの設定、削除の処理を実行する。このため、動作モード切替部28は、モード切替信号の種類に対応する全てのマナー動作モードの設定、削除の処理が可能となっており、電源制御部29もまた、動作モード切替部28からのモード切替信号の種類に対応する指令に応じて、第1〜第3の実施例で述べた回路ブロックへの電源供給のON/OFFを可能とする機能を有する。
以上により、この実施例によれば、ゲート設置者は、病院の入り口や飛行機等のゲート設置環境等の必要に応じて、モード切替信号の種類を選択することで、「マナーモードにする」だけでなく、「マナーモードに加えて通話又は通信を禁止する」、「電波を発信を禁止する」、「電源をOFFにする」等さまざまなマナー動作モードの形態を選択することが可能となる。
なお、各機能制限別のマナーエリアに対して設定したマナー動作モードの種類は携帯電話端末2側(例えば、動作モード切替部28にその記憶部を設ける)で記憶し、マナーモード、通話又は通信停止モード、及び電波発信停止モードの各機能制限別のマナーエリア内で電源を入れた場合は、記憶したマナー動作モードの種類を参照して、それぞれマナーモード、通話又は通信停止モード、及び電波発信停止モードで起動する。電源OFFのマナーエリアでの電源ONは、第3実施例で述べた通り不可である。また、「電源のON/OFF」に対応するモード切替信号を送受信する場合において、元々手動で電源OFFとしている場合は出場時の「電源ON」のモード切替信号を受信しても電源OFFを継続するようにしているが、「電波発信ON/OFF」に対応するモード切替信号を送受信する場合においても、手動で電波発信OFFにしている場合は、「電波発信ON」のモード切替信号を受信しても電波発信OFFを継続するなど、必要のない設定は行わないようにする。
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述の実施例では、携帯電話端末を例に説明したが、この発明の携帯通信端末は携帯電話端末に限るものではなく、例えばPHS、通信機能を有するPDAやノートパソコン等の携帯情報端末についても同様に適用可能である。ゲートの形状も実施例に限るものではなく、例えば出改札機等に組み込んだものであっても良い。
この発明は、携帯電話端末だけでなく、PHS、通信機能を有するPDAやノートパソコン等を含む携帯通信端末に好適に利用可能である。
この発明の第1〜第4実施例で用いる携帯電話端末の電気的な構成を説明するためのブロック図である。
同第1〜第4実施例で用いるゲートの電気的な構成を説明するためのブロック図である。
同ゲートの正面方向の外観と配置例を示す斜視図である。
同ゲートの斜め方向の外観と配置例を示す斜視図である。
この発明の第1実施例のマナーエリアへの入場時の動作例を示すフローチャートである。
同第1実施例のマナーエリアからの出場時の動作例を示すフローチャートである。
同第1実施例の着信時の動作例を示すフローチャートである。
同第1実施例の発信時の動作例を示すフローチャートである。
この発明の第2実施例のマナーエリアへの入場時の動作例を示すフローチャートである。
同第2実施例のマナーエリアからの出場時の動作例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 ゲート
11 発信機(発信手段)
2 携帯電話端末(携帯通信端末)
21 無線通信部(無線手段)
22 通話部(通話手段)
25 モード切替信号受信部(受信手段)
27 方向判定部(方向判定手段)
28 動作モード切替部(動作モード切替手段)
29 電源供給制御部(電源供給制御手段)