以下、本発明を実施した通信用回路保持体、およびその製造方法について詳細に説明する。これらの通信用回路保持体、およびその製造方法によって、本発明は限定されるものではない。
(1)第一の実施形態
図1は、本発明に係る通信用回路保持体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図1中、符号10は通信用回路保持体、11Aは第一基材、11Bは第二基材、11Cは第三基材、12は第一接着部材層、12Aは第三接着部材、12Bは第四接着部材、13は第二接着部材層、13Aは第一接着部材、13Bは第二接着部材、19はこれら基材と接着部材からなる構造体、14は空間部、15は折線、15Aは第一折線、15Bは第二折線、16は接着剤、20はRFID機能を有する半導体装置(以下、「半導体装置」と略す。)、21はICチップ、22はアンテナをそれぞれ示している。
この通信用回路保持体10は、折線15を境にして第一基材11A、第一接着部材13A、第二接着部材13B、第二基材11B、第三接着部材12A、第四接着部材12B、第三基材11Cを順に重ねてなる構造体19、第一接着部材13Aと第四接着部材12Bとの間に配した半導体装置20、第一基材11Aの全部と第二接着部材13Bおよび第三接着部材12Aとを除いてなる空間部14、から概略構成されている。
この通信用回路保持体10では、第一接着部材層12は第二折線15Bを境にして、第三接着部材12Aと第四接着部材12Bとから構成されている。また、第二接着部材13が第一折線15Aを境にして、第一接着部材13Aと第二接着部材13Bとから構成されている。
また、第二折線15Bを境にし、第三接着部材12Aおよび第四接着部材12Bを介して、第二基材11Bと第三基材11Cを重ね合わせた場合に、第二基材11Bに設けられた空間部14内に配される位置に、半導体装置20が第四接着部材12Bの上に設けられている。また、空間部14は、ここに半導体装置20を収納するために十分な大きさ、すなわち、第四接着部材12B上に半導体装置20を実装し、空間部14に半導体装置20を収納した場合に、両者の間にわずかに隙間ができる大きさをなしている。
基材11としては、特に限定されず、如何なるものでも適用され、例えば、紙材、樹脂材などの絶縁性の基材が挙げられる。
第一接着部材13Aと第二接着部材13Bとから構成されている第一接着部材層13、および第三接着部材12Aと第四接着部材12Bとから構成されている第二接着部材層12は、貼着後は剥離困難または剥離不可な非剥離性感圧接着剤からなるものである。このような非剥離性感圧接着剤としては、従来の感圧接着剤として慣用されているものが用いられ、これらの中でも220gf/25mm以上の剥離力を有する接着剤が挙げられる。このような非剥離性感圧接着剤としては、例えば、天然ゴムに、スチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト共重合させて得られた天然ゴムラテックスが挙げられる。この天然ゴムラテックスは、耐ブロッキング性、耐熱性、耐磨耗性などの点で、本発明のインレット部材に好適な接着剤である。
接着剤16としては、特に限定されず、一般的に半導体装置の実装に用いられるものであれば如何なるものでも用いられる。
半導体装置20としては、電磁波を使った非接触の自動認識機能を有する装置であれば特に限定されず、如何なるものでも適用される。半導体装置20としては、例えば、図1に示すように、コイル状、ポール状、ループ状のアンテナ22の上にICチップ21が搭載されたものや、これらのアンテナと別体に設けられたICチップが、これらのアンテナと接続されて一体化されたもの、ICチップ上にこれらのアンテナが形成されたものなど、通信機能を有するものが挙げられる。具体的には、13.56MHz〜2.45GHzまでの全周波数帯域において通信可能な微小RFIDチップなどが挙げられる。
また、半導体装置20の大きさは、特に限定されず、通信機能や記憶容量などに応じて適宜設定される。
ICチップ21としては、特に限定されず、アンテナ22を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
アンテナ22は、導電性ペーストからなる導電性の膜、導電性の箔などからなる導電体である。アンテナ22を形成する導電体をなす導電性ペーストとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム、ロジウムなどの粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子を樹脂組成物に配合したものが挙げられる。この導電性ペーストをなす樹脂組成物としては、熱硬化型樹脂組成物、光硬化型樹脂組成物、浸透乾燥型樹脂組成物、溶剤揮発型樹脂組成物が挙げられる。
上記のような導電性微粒子を樹脂組成物に配合した導電性ペーストとしては、具体的には、導電微粒子を60質量%以上含有し、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物とし、ポリエステル系樹脂を10質量%以上含有するもの、すなわち溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(但し熱可塑性樹脂を50質量%以上含有するもの)のものや、導電性微粒子を50質量%以上含有し、架橋性樹脂(エポキシ樹脂のフェノール硬化系、あるいはエポキシ樹脂のスルホニウム塩硬化系など)のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂とのブレンド樹脂組成物としたもの、すなわち架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
また、通信用回路保持体10において耐折り曲げ性がさらに要求される場合には、導電性ペーストに可撓性付与剤を配合することができる。可撓性付与剤としては、例えば、ポリエステル系可撓性付与剤、アクリル系可撓性付与剤、ウレタン系可撓性付与剤、ポリ酢酸ビニル系可撓性付与剤、熱可塑性エラストマー系可撓性付与剤、天然ゴム系可撓性付与剤、合成ゴム系可撓性付与剤などが挙げられる。本発明の半導体装置においては、これらの可撓性付与剤が単独で、あるいは2種以上が組み合わせられて用いられる。
アンテナ22を形成する導電体をなす導電性の箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔などが挙げられる。
このように、通信用回路保持体10によれば、第四接着部材12Bの上に半導体装置20を実装し、この半導体装置20が第二基材11Bに設けられた空間部14内に配されるように、折線15Bを境にして第二基材11Bと第三基材11Cを重ね合わせて接着し、折線15Aを境にして第一基材11Aと第二基材11Bを重ね合わせて接着することにより、容易に半導体装置20が内蔵された通信用回路保持体を作製することができる。
なお、この実施形態では、基材11に印刷情報が設けられていない通信用回路保持体10を例示したが、本発明の通信用回路保持体はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体にあっては、基材11の接着部材が設けられていない領域に、各種印刷情報が設けられていてもよい。すなわち、この実施形態における、基材11の第一接着部材層12が設けられていない領域、または基材11の他方の面において第二接着部材層13が設けられていない領域に、各種印刷情報が設けられていてもよい。このように、通信用回路保持体を構成する基材にあらかじめ印刷情報を設けておけば、この通信用回路保持体を、折線を境にして基材同士を重ね合わせて、他の形態の通信用回路保持体を作製する際に、通信用回路保持体の表面に、文字、模様または画像などの情報を設けるためにラミネートを施す必要がなく、そのための装置および工程を削減することができる。
また、この実施形態では、ICチップ21と接着剤16との間にはアンテナ22が存在するように示してあるが、本発明の通信用回路保持体はこれに限定されない。半導体装置20としては、例えば、図1及び図2(a)に示すように、コイル状、ポール状、ループ状のアンテナ22(22a)の上にICチップ21(21a)が搭載されたものや、図2(b)に示すように、アンテナ22bと別体に設けられたICチップ21bが、これらのアンテナ22bと接続されて一体化されたもの、あるいは、図2(c)に示すように、ICチップ21c上にこれらのアンテナ22cが形成されたものなど、通信機能を有するものが挙げられる。具体的には、13.56MHz〜2.45GHzまでの全周波数帯域において通信可能な微小RFIDチップなどが挙げられる。
(2)第二の実施形態
図3は、本発明に係る通信用回路保持体の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
図3において、図1に示した通信用回路保持体10と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の通信用回路保持体(インレット)30は、第一基材11Aと、第二基材11Bと、第三基材11Cと、第三接着部材12Aと、第四接着部材12B、第一接着部材13Aと、第二接着部材13Bと、半導体装置20とから概略構成されており、インレットを成している。
この通信用回路保持体30では、第一基材11Aと第二基材11Bが、第一接着部材13Aおよび第二接着部材13Bを介して積み重ねられている。また、第三基材11Cが、第三接着部材12Aおよび第四接着部材12Bを介して、第二基材11Bにおける第一基材11Aと反対の面に積み重ねられている。また、第一基材11Aの全部と第二接着部材13Bおよび第三接着部材12Aとを除いてなる空間部14が設けられている。そして、第四接着部材12Bの上には、空間部14に収納されるように半導体装置20が設けられている。そして、第一基材11Aと第二基材11Bの積層方向と垂直な方向(図3(a)のB−B線に沿う方向)において、空間部14の内側面と半導体装置20との間の隙間は出来る限り小さいことが望ましい。また、第一基材11Aと第二基材11Bの積層方向(図3(a)のB−B線と垂直な方向)において、空間部14の内側面と半導体装置20との間の隙間は、第一基材11Aを押圧しても、第一基材11Aが半導体装置20に触れない程度であることが望ましい。
このように、通信用回路保持体30によれば、空間部14の内側面と半導体装置20との間には、隙間が設けられているから、圧着による通信用回路保持体の製造時、または、完成後の通信用回路保持体の使用時に、通信用回路保持体30に外力が加えられても、半導体装置20は直接外力の影響を受け難いので、半導体装置20が破損したり、半導体装置20の機能が損なわれたりするのを防止することができる。
(3)第一および第二の実施形態における製造方法
次に、図4〜図8を参照して、本発明に係る通信用回路保持体の製造方法を説明する。 図4および図5は、本発明に係る通信用回路保持体の製造方法を示す概略斜視図である。図6は、本発明に係る通信用回路保持体の製造方法の一実施形態を示す概略図であり、(a)、(b)および(c)は断面図、(d)は斜視図である。図7は、本発明に係る通信用回路保持体の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。図8は、本発明に係る通信用回路保持体の製造に用いられる製造装置の一例を示す概略構成図である。
図4〜図8において、図1および図3に示した通信用回路保持体10および通信用回路保持体30と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
図8に示す、製造装置40は、連続基材供給手段41と、穿孔手段42と、実装手段43と、切込手段44と、折り手段45と、圧着・切断手段46と、排出手段47とから概略構成されており、これらの手段がこの順に連続的に配置されている。また、製造装置40を構成する各種手段は、ベルトコンベアなどの搬送手段によって繋がっている。また、連続基材供給手段41は、折線を境にして第一基材、第二基材および第三基材からなる基材を連続状態(連続基材41A)で供給するものであり、基材の一方の面には第一接着部材と第二接着部材とから構成されている第一接着部材層13が設けられており、基材の他方の面には第三接着部材と第四接着部材とから構成されている第二接着部材層が設けられている。
まず、連続基材供給手段41から、一方の面11aに貼着後は剥離困難または剥離不可な非剥離性感圧接着剤からなる第一接着部材層12(第一接着部材12A,第二接着部材12B)が設けられ、他方の面11bに貼着後は剥離困難または剥離不可な非剥離性感圧接着剤からなる第二接着部材層13(第三接着部材13A,第四接着部材13B)が設けられ、折線15を境にして第一基材11A、第二基材11Bおよび第三基材11Cからなる基材11(連続基材41A)を供給する(図4(a)、図6(a)、図8参照)。なお、ここでは説明を容易にするために、第一接着部材層12を第三接着部材12Aと第四接着部材12Bに分けているが、これらは基材11の一方の面11aに連続に設けられ、一体をなすものである。また、同様に、第二接着部材層13を第一接着部材13Aと第二接着部材13Bに分けているが、これらは基材11の他方の面11bに連続に設けられ、一体をなすものである。
次いで、穿孔手段42により、基材11の第二基材11Bにおいて、所定の間隔をおいて、第三接着部材12A、第二基材11Bおよび第二接着部材13Bを貫通する空間部14、14、・・・を設ける(工程B)(図4(b)、図6(b)、図8参照)。
この工程では、この空間部14を、後段の工程において、ここに半導体装置を実装するために十分な大きさ、すなわち、空間部14に半導体装置を実装した場合に、両者の間にわずかに隙間ができる程度の大きさに形成する。
次いで、実装手段43により、半導体装置20を、接着剤16を介して、第三基材11Cにおいて第四接着部材12Bの基材11と接する面とは反対の面に設ける(工程C)(図4(c)、図6(c)、図8参照)。
この工程では、第二折線15Bを境にし、第三接着部材12Aおよび第四接着部材12Bを介して、第二基材11Bと第三基材11Cを重ね合わせた場合に、第二基材11Bに設けられた空間部14内に配される位置における第四接着部材12Bの上に、半導体装置20が設けられる。
次いで、切込手段44により、1つの空間部14が設けられた第二基材11Bと、1つの半導体装置20が設けられた第三基材11Cが一対をなすように、所定の間隔をおいて、基材11の長手方向と垂直に、基材11を個別に分離可能とするミシン目などの切込17を形成する(図5(a)、図8参照)。
次いで、折り手段45により、第二折線15Bを境にし、第三接着部材12Aおよび第四接着部材12Bを介して、第二基材11Bと第三基材11Cを、基材11の搬送方向の前方から順次折り重ねる。同時に、第一折線15Aを境にし、第一接着部材13Aと第二接着部材13Bを介して、第一基材11Aと第二基材11Bを、基材11の搬送方向の前方から順次折り重ねる。(工程D)(図5(b)、(c)、図6(d)、図8参照)。
この工程では、第二基材11Bに設けられた空間部14内に、第三基材11Cに設けられた半導体装置20が配されるように、第二基材11Bと第三基材11Cを折り重ねる。
次いで、圧着・切断手段46に設けられた圧着ローラにより、折り重ねた状態で第一基材11A、第二基材11Bおよび第三基材11Cに所定の圧力を加えて、これらを、それぞれに設けられた第三接着部材12Aと第四接着部材12Bとを圧着して接着するとともに、第一接着部材13Aと第二接着部材13Bとを圧着して接着する(工程D)(図7(a)、図8参照)。
引き続いて、圧着・切断手段46に切断手段により、7(a)のC−C線およびD−D線、すなわち、基材11の長手方向に沿って、不要な部分を切断、除去するとともに、切込17に沿って、半導体装置20が実装された基材11を個別に分離して、図3に示すような通信用回路保持体30を得る(図7(b)、図8参照)。
次いで、排出手段47により、分離された通信用回路保持体30が圧着・切断手段47から排出され、回収される(図8参照)。
このように、この実施形態の通信用回路保持体の製造方法によれば、複雑な機構の装置を用いることなく、従来の装置を組み合わせて用いることにより、従来の製造工程を削減して、容易に、かつ、低コストで通信用回路保持体を製造することができる。
なお、上述したように、2つ以上の接着面が生ずるように、接着部材を介して複数の基材同士を重ねて設ける際には、以下に示す3通りの方法が挙げられる。
1.各接着部材を異なる接着材料で構成する
剥離困難または剥離不可とする場合は、強接着可能な接着材料を用いる。
再剥離可能にする場合は、弱接着可能な接着材料を用いる。
2.各接着部材を同一の接着材料で形成し、厚みを異ならせる。
剥離困難または剥離不可とする場合は、接着材料を厚く形成する。
再剥離可能にする場合は、接着材料を薄く形成する。
3.各接着部材を同一の接着材料で形成し、貼着時の押圧力を異ならせる。
剥離困難または剥離不可とする場合は、貼着時の押圧力を強くして貼着する。
再剥離可能にする場合は、貼着時の押圧力を弱くして貼着する。
特に、各接着部材を同一の接着材料で形成し、貼着時の押圧力を変えることによって、貼着後に剥離困難または剥離不可な接着部材と、貼着後に再剥離可能な接着部材とを形成する場合、
(1) まず、同一の接着部材を同じ厚みで形成する。
(2) 次に、貼着後に再剥離可能にする接着部材同士を、強い押圧力で押し付けて貼り合わせる。
(3) そして、貼着後に再剥離可能にする接着部材同士を、弱い押圧力で押し付けて貼り合わせる。
この手順により、例えば、3つの基材A,B,Cを順に重ねた場合、基材A−基材B間を再剥離可能とし、基材B−基材C間を剥離困難または剥離不可とすることができる。
なお、この実施形態において、切込手段44により切込17を設けた後、折り手段45による第一基材11A、第二基材11Bおよび第三基材11Cの折り重ねを行わずに、圧着・切断手段46により、基材11を個別に分離すれば、図1に示すような通信用回路保持体10を得ることができる。
また、この実施形態では、基材11を長尺の連続基材41Aの形態で供給する製造方法を例示したが、本発明の通信用回路保持体の製造方法はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、あらかじめ所定の大きさに形成された短尺の基材をベルトコンベアなどの搬送手段により、所定の間隔をおいて搬送しながら、上述の工程を経て通信用回路保持体(インレット)を製造してもよい。
また、この実施形態では、あらかじめ一方の面に第一接着部材層12が設けられ、他方の面に第二接着部材層13設けられた基材11を用いる製造方法を例示したが、本発明の通信用回路保持体の製造方法はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、印刷手段の前段に接着部材形成手段を設けることにより、基材の一方の面および他方の面に接着部材を設ける工程(工程A)を設けてもよい。
また、本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、基材の一方の面または他方の面において、接着部材が設けられていない領域に、あらかじめ各種印刷情報を設けておいてもよい。このようにすれば、基材の表面に、文字、模様または画像などの情報を設けるためにラミネートを施す必要がなく、そのための装置および工程を削減することができる。
さらに、この実施形態では、実装手段43により半導体装置20を実装した後、切込手段44により切込17を形成する製造方法を例示したが、本発明の通信用回路保持体の製造方法はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、切込手段の配置は、半導体装置が実装された基材を個別に分離する圧着・切断手段の前段であればどこでもよい。また、本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、半導体装置を実装した後に、圧着・切断手段により、所定の形状に半導体装置が実装された基材を個別に分離すればよく、あらかじめ基材に切込を設けなくてもよい。
そして、本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、圧着・切断手段により、基材の第一基材、第二基材および第三基材を接着した後、基材の接着部材が設けられていない面を覆うように、ラミネートフィルムを設けてもよい。
(4)第三の実施形態
図9は、本発明に係る通信用回路保持体の第三の実施形態を示す概略断面図である。 図9において、図1および図2に示した通信用回路保持体10および通信用回路保持体30と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
図9中、符号51は第四基材、符号54は第五基材、52Aは第五接着部材、52Bは第六接着部材、55Aは第七接着部材、55Bは第八接着部材、53,56は折線をそれぞれ示している。
この実施形態の通信用回路保持体では、図9(a)に示すように、第三基材11Cと一体の第四基材51が折線53で折り返されて、第三基材11Cの第二基材11Bと対向する面とは反対の面に、第五接着部材52A,第六接着部材52Bを介して積み重ねられている。
また、第五接着部材52Aと第六接着部材52Bは、剥離が可であり、剥離後は再貼付が不可である。また、図9(a)のE−E線およびF−F線に沿って、第一基材11Aの第二基材11Bと対向する面とは反対の面から、第五接着部材52Aの第六接着部材52Bと接する面に渡って切込が設けられており、この切込に沿って、かつ、第五接着部材52Aと第六接着部材52Bの界面(接着面)から、図3に示す通信用回路保持体30が分離可能となっている。
また、図9(b)に示すように、第一基材11Aと一体の第五基材54が折線56で折り返されて、第一基材11Aの第二基材11Bと対向する面とは反対の面に、第七接着部材55Aと第八接着部材55Bを介して積み重ねられている。また、第七接着部材55Aと第八接着部材55Bは、剥離が可であり、剥離後は再貼付が不可である。また、図9(b)のG−G線およびH−H線に沿って、第三基材11Cの第二基材11Bと対向する面とは反対の面から、第七接着部材55Aの第八接着部材55Bと接する面に渡って切込が設けられており、この切込に沿って、かつ、第七接着部材55Aと第八接着部材55Bの界面(接着面)から、図3に示す通信用回路保持体30が分離可能となっている。
第四基材51,第五基材54は、第一基材11Aまたは第三基材11Cと一体をなしており、これらと同一の材料からなる。
第五接着部材52Aと第六接着部材52B、および第七接着部材55Aと第八接着部材55Bは、貼着後も剥離が可であり、剥離後は再貼付が不可な材料で形成されている。このような材料としては、110gf/25mm〜170gf/25mmの剥離力を有する材料が用いられる。このような材料としては、例えば、(1)非剥離性感圧接着剤基剤と、この非剥離性感圧接着剤基剤に対して非親和性の微粒状充填剤とからなる接着剤組成物、(2)粘着主剤と、粘着付与剤と、無機充填剤とを含む配合物に、無機充填剤と反応性を有しないカップリング剤、粘着主剤と相溶性を有しない樹脂などを添加した感圧性の粘着剤、(3)熱融着可能な熱可塑性樹脂フィルムなどが挙げられる。
上記の接着剤組成物に含まれる非剥離性感圧接着剤基剤としては、第一基材11A、第二基材11B、第三基材11C、並びに、第四基材51、第五基材54に塗布した場合、単に基材同士を接触した状態では接着しないが、加圧により接着する性質を有するものが挙げられる。非剥離性感圧接着剤基剤としては、従来の感圧接着剤として慣用されているものの基剤の中から任意に選択して用いることができるが、特に、天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト共重合させて得られた天然ゴムラテックスが、耐ブロッキング性、耐熱性、耐摩耗性などの点で好適である。
上記の接着剤組成物に含まれる微粒状充填剤としては、非剥離性感圧接着剤基剤を構成する各成分によって溶解または膨潤されないものが挙げられる。このような微粒状充填剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、活性白土、球状アルミナ、小麦デンプン、シリカ、ガラス粉末、シラスバルーンなどが挙げられる。本発明においては、これらの微粒状充填剤から選択される2種以上を組み合わせて用いる必要があり、特に、シリカと他の充填剤との組合せが好適である。また、この2種以上の微粒状充填剤としては、粒径の異なるものを選ぶことが好ましく、このように粒径の異なる2種以上を組み合わせて用いることにより接着剤層の表面を凹凸状に形成し、剥離性能を向上させることができる。また、上記の非剥離性感圧接着剤基剤にシリカを添加することにより、接着剤組成物の塗膜を強化することができる。さらに、シリカは多孔質であるため、非剥離性感圧接着剤基剤がシリカの表面に付着しやすく、接着力や剥離力を調整しやすい上、シリコーンオイルを用いているプリンタにより、ノンインパクトプリンタ方式で印字した場合でも、シリカがシリコーンオイルを吸収するので、接着剤組成物がシリコーンオイルにより接着しなくなることもない。これらの微粒状充填剤は、平均粒子径が10mμm〜30μmの範囲にあるものが好ましく、平均粒子径が1μm〜20μmの範囲にあるものがより好ましい。
上記の感圧性の粘着剤に含まれる粘着主剤としては、ガラス転移点(Tg)が低く、ベタツキ感(タック感)の強い樹脂などが挙げられる。このような粘着主剤としては、例えば天然ゴム(NR)、エステル化天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが挙げられる。
上記の感圧性の粘着剤に含まれる粘着付与剤としては、ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、変成ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステルなどが挙げられる。
上記の感圧性の粘着剤に含まれる無機充填剤としては、上記の粘着主剤とは親和性を有しない、マイクロシリカ、合成ゼオライト、活性アルミナゲル、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、クレー、カオリン、活性白土、シラスバルーンなどの微粒状物質が挙げられる。
また、上記の感圧性の粘着剤には、上記の無機充填剤に加えて、アクリルなどの樹脂ビーズ、精製デンプン、コーンスターチ、セルロース粉末などの微粒状物質を併用してもよい。
上記の感圧性の粘着剤に含まれるカップリング剤としては、上記の無機充填剤との結合性を有し、かつ上記の粘着主剤と親和性を有するものが挙げられる。このようなカップリング剤としては、例えば、ビニルクリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シランなどのシラン単独またはこれらの混合物、さらにはこれらの部分加水分解物、または部分共加水分解物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネートなどのチタンオルトエステル、チタンアセチルアセトネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタンキレート、ポリヒドロキシチタンステアレート、ポリイソプロポキシチタンステアレートなどのチタンアシレート、以上のような有機チタン化合物単独またはこれらの混合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウムアルコレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウムキレート化合物、以上のような有機アルミニウム化合物単独またはこれらの混合物;その他の有機金属化合物;以上のシラン及び有機金属化合物の混合物などが挙げられる。
上記の感圧性の粘着剤に含まれ、上記の粘着主剤と相溶性を有しない樹脂としては、水分散性高分子ポリエステル、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ケイ素含有水溶性ポリマー、熱可塑性エラストマー、また、低密度ポリエチレンなどの低分子ポリエチレン、アイオノマー、酢酸ビニル−オレフィン共重合体、セルロース誘導体などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、ガラス転移温度(Tg)が30℃〜80℃、重量平均分子量が10,000〜25,000、粘度が20〜20,000cps(30℃)のものが好ましい。
上記の熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびこれらの金属架橋物などからなるフィルムが挙げられ、これらの中でも透明なものが望ましい。
このようにすれば、この実施形態の通信用回路保持体を、親展性を有するハガキシステムに適用することができる。すなわち、個人的用件、あるいはプリント情報、印刷情報などの各種情報が記載された第四基材または第五基材を折り畳み、その重ね合わせ部分を第五接着部材と第六接着部材、または第七接着部材と第八接着部材で疑似接着した積層体を、親展性を有するハガキシステムに適用することができる。
なお、この実施形態では、第四基材51または第五基材54を一層からなるものとしたが、本発明の通信用回路保持体はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体にあっては、第四基材51または第五基材54の基材が接着部材を介するか、または、接着部材を介することなく、二層以上の複数層からなるものであってもよい。更に、第四基材51または第五基材54の外側に、更に別な1層以上の基材が重ねられていても良い。
(5)第四の実施形態
図10は、本発明に係る通信用回路保持体の第四の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のI−I線に沿う断面図である。
図9中、符号60は通信用回路保持体、61は基材、61Aは第一基材、61Bは第二基材、61Cは第三基材、62は第一接着部材層、62Aは第一接着部材、62Bは第二接着部材、62Cは第三接着部材、63は第四接着部材、64は空間部、65は折線、65Aは第一折線、65Bは第二折線、66は接着剤、70は半導体装置、71はICチップ、72はアンテナをそれぞれ示している。
この通信用回路保持体60は、折線65を境にして第一基材61A、第二基材61Bおよび第三基材61Cからなる基材61と、基材61の一方の面において第一基材61A、第二基材61Bおよび第三基材61Cを覆う第一接着部材層62と、基材61の他方の面において第三基材61Cを覆う第四接着部材63と、第三接着部材62C、第三基材61Cおよび接着部材63を貫通する空間部64と、第二基材61Bにおいて第二接着部材62Bの上に、接着剤66を介して設けられた半導体装置70とから概略構成されており、インレットをなしている。
この通信用回路保持体60では、第一接着部材層62が第一折線65Aを境にして、第一接着部材62Aと、第二接着部材62Bとから構成されている。また、第二折線65Bを境にし、第二接着部材62Bおよび第三接着部材62Cを介して、第二基材61Bと第三基材61Cを重ね合わせた場合に、第三基材61Cに設けられた空間部64内に配される位置に、半導体装置70が第二接着部材62Bの基材61と接する面とは反対の面に設けられている。また、空間部64は、ここに半導体装置70を収納するために十分な大きさ、すなわち、第二接着部材62B上に半導体装置70を実装し、空間部64に半導体装置70を収納した場合に、両者の間にわずかに隙間ができる大きさをなしている。
基材61としては、上記の基材11と同様のものが用いられる。第一接着部材層62および第四接着部材63としては、上記の第一接着部材層12および第二接着部材層13と同様のものが用いられる。接着剤66としては、上記の接着剤16と同様のものが用いられる。
半導体装置70としては、上記の半導体装置20と同様のものが用いられる。ICチップ71としては、上記のICチップ21と同様のものが用いられる。アンテナ72としては、上記のアンテナ22と同様のものが用いられる。
このように、通信用回路保持体60によれば、第二基材61Bの第二接着部材62B上に半導体装置70を実装し、この半導体装置70が第三基材61Cに設けられた空間部64内に配されるように、折線65Bを境にして第二基材61Bと第三基材61Cを重ね合わせて接着し、折線65Aを境にして第一基材61Aと第三基材61Cを重ね合わせて接着することにより、容易に半導体装置70が内蔵された通信用回路保持体を作製することができる。
なお、この実施形態では、基材61に印刷情報が設けられていない通信用回路保持体60を例示したが、本発明の通信用回路保持体はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体にあっては、基材の他方の面において第二接着部材層が設けられていない領域に、各種印刷情報が設けられていてもよい。すなわち、この実施形態における、基材61の他方の面において第四接着部材63が設けられていない領域に、各種印刷情報が設けられていてもよい。このように、通信用回路保持体を構成する基材にあらかじめ印刷情報を設けておけば、この通信用回路保持体を、折線を境にして基材同士を重ね合わせて、他の形態の通信用回路保持体を作製する際に、通信用回路保持体の表面に、文字、模様または画像などの情報を設けるためにラミネートを施す必要がなく、そのための装置および工程を削減することができる。
また、この実施形態では、ICチップ71と接着剤66との間にはアンテナ72が存在するように示してあるが、本発明の通信用回路保持体はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体にあっては、ICチップとアンテナが一体となっていればよく、アンテナはICチップの側面に配されていても、ICチップに内包されていてもよい。
(6)第四の実施形態における製造方法
次に、図11〜図14を参照して、本発明に係る第四の実施形態における通信用回路保持体の製造方法を説明する。
図12および図13は、本発明に係る第四の実施形態における通信用回路保持体の製造方法を示す概略斜視図である。図13および図14は、本発明に係る第四の実施形態における通信用回路保持体の製造方法を示す概略断面図である。図11〜図14において、図10に示した通信用回路保持体60と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。また、この実施形態においても、図8に示した製造装置40を用いて、通信用回路保持体の製造方法を説明する。
まず、連続基材供給手段41から、一方の面61aに貼着後は剥離困難または剥離不可な非剥離性感圧接着剤からなる第一接着部材層62(62A,62B,62C)が設けられ、他方の面61bに貼着後は剥離困難または剥離不可な非剥離性感圧接着剤からなる第四接着部材63が設けられ、折線65を境にして第一基材61A、第二基材61Bおよび第三基材61Cからなる基材11(連続基材41A)を供給する(図11(a)、図13(a)、図8参照)。なお、ここでは説明を容易にするために、第一接着部材層62を第一接着部材62A、第四接着部材62B、第三接着部材62Cに分けているが、これらは基材61の一方の面61aに連続に設けられ、一体をなすものである。
次いで、穿孔手段42により、基材61の第三基材61Cにおいて、所定の間隔をおいて、第三接着部材62C、第三基材61Cおよび第四接着部材63を貫通する空間部64、64、・・・を設ける(工程B)(図11(b)、図13(b)、図8参照)。
この工程では、この空間部64を、後段の工程において、ここに半導体装置を実装するために十分な大きさ、すなわち、空間部64に半導体装置を実装した場合に、両者の間にわずかに隙間ができる程度の大きさに形成する。
次いで、実装手段43により、半導体装置70を、接着剤66を介して、第二基材61Bにおいて第二接着部材62Bの基材61と接する面とは反対の面に設ける(工程C)(図11(c)、図13(c)、図8参照)。
この工程では、第二折線65Bを境にし、第四接着部材62Bおよび第三接着部材62Cを介して、第二基材61Bと第三基材61Cを重ね合わせた場合に、第三基材61Cに設けられた空間部64内に配される位置に、半導体装置70を第四接着部材62Bの基材61と接する面とは反対の面に設ける。
次いで、切込手段44により、1つの空間部64が設けられた第三基材61Cと、1つの半導体装置70が設けられた第二基材61Bが一対をなすように、所定の間隔をおいて、基材61の長手方向と垂直に、基材61を個別に分離可能とするミシン目などの切込67を形成する(図12(a)、図8参照)。
次いで、折り手段45により、第二折線65Bを境にし、第二接着部材62Bおよび第三接着部材62Cを介して、第二基材61Bと第三基材61Cを、基材61の搬送方向の前方から順次折り重ねる。同時に、第一折線65Aを境にし、第一接着部材62Aおよび第四接着部材63を介して、第一基材61Aと第三基材61Cを、基材61の搬送方向の前方から順次折り重ねる。(工程D)(図12(b)、(c)、図8参照)。
この工程では、第三基材61Cに設けられた空間部64内に、第二基材61Bに設けられた半導体装置70が配されるように、第二基材61Bと第三基材61Cを折り重ねる。
次いで、圧着・切断手段46に設けられた圧着ローラにより、折り重ねた状態で第一基材61A、第二基材61Bおよび第三基材61Cに所定の圧力を加えて、これらを、それぞれに設けられた第二接着部材62Bと第三接着部材62Cとを圧着して接着するとともに、第一接着部材62Aと第四接着部材63とを圧着して接着する(工程D)(図14(a)、図8参照)。
引き続いて、圧着・切断手段46に切断手段により、図14(a)のJ−J線およびK−K線、すなわち、基材61の長手方向に沿って、不要な部分を切断、除去するとともに、切込67に沿って、半導体装置70が実装された基材61を個別に分離して、図14(b)に示すような通信用回路保持体80を得る(図8参照)。
次いで、排出手段47により、分離された通信用回路保持体80が圧着・切断手段47から排出され、回収される(図8参照)。
このように、この実施形態の通信用回路保持体の製造方法によれば、複雑な機構の装置を用いることなく、従来の装置を組み合わせて用いることにより、従来の製造工程を削減して、容易に、かつ、低コストで通信用回路保持体を製造することができる。
なお、この実施形態において、切込手段44により切込67を設けた後、折り手段45による第一基材61A、第二基材61Bおよび第三基材61Cの折り重ねを行わずに、圧着・切断手段46により、基材61を個別に分離すれば、図10に示すような通信用回路保持体60を得ることができる。
また、この実施形態では、基材61を長尺の連続基材41Aの形態で供給する製造方法を例示したが、本発明の通信用回路保持体の製造方法はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、あらかじめ所定の大きさに形成された短尺の基材をベルトコンベアなどの搬送手段により、所定の間隔をおいて搬送しながら、上述の工程を経て通信用回路保持体またはインレットを製造してもよい。
また、この実施形態では、あらかじめ一方の面に第一接着部材層62が設けられ、他方の面に第四接着部材63が設けられた基材61を用いる製造方法を例示したが、本発明の通信用回路保持体の製造方法はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、印刷手段の前段に接着部材形成手段を設けることにより、基材の一方の面および他方の面に接着部材を設ける工程(工程A)を設けてもよい。
また、本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、基材の他方の面において、接着部材が設けられていない領域に、あらかじめ各種印刷情報を設けておいてもよい。このようにすれば、基材の表面に、文字、模様または画像などの情報を設けるためにラミネートを施す必要がなく、そのための装置および工程を削減することができる。
さらに、この実施形態では、実装手段43により半導体装置70を実装した後、切込手段44により切込67を形成する製造方法を例示したが、本発明の通信用回路保持体の製造方法はこれに限定されない。本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、切込手段の配置は、半導体装置が実装された基材を個別に分離する圧着・切断手段の前段であればどこでもよい。また、本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、半導体装置を実装した後に、圧着・切断手段により、所定の形状に半導体装置が実装された基材を個別に分離すればよく、あらかじめ基材に切込を設けなくてもよい。
そして、本発明の通信用回路保持体の製造方法にあっては、圧着・切断手段により、基材の第一基材、第二基材および第三基材を接着した後、基材の接着部材が設けられていない面を覆うように、ラミネートフィルムを設けてもよい。
(6)第五の実施形態
図15は、本発明に係る通信用回路保持体の第五の実施形態を示す概略断面図である。
図15において、図10に示した通信用回路保持体60と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。図15中、符号81は第六の基材、82Aは第九接着部材、82Bは第十接着部材、83は折線をそれぞれ示している。
この実施形態の通信用回路保持体では、図15に示すように、第一基材61Aと一体の第六基材81が折線83で折り返されて、第一基材61Aの第三基材61Cと対向する面とは反対の面に、第九接着部材82Aおよび第十接着部材接着部材82Bを介して積み重ねられている。また、第九接着部材82Aおよび第十接着部材接着部材82Bは剥離が可であり、剥離後は再貼付が不可である。また、図15のL−L線およびM−M線に沿って、第二基材61Bの第三基材61Cと対向する面とは反対の面から、第九接着部材82Aの第十接着部材接着部材82Bと接する面に渡って切込が設けられており、この切込に沿って、かつ、第九接着部材82Aと第十接着部材接着部材82Bの界面(接着面)から、図14(b)に示す通信用回路保持体80が分離可能となっている。
第六基材81は、第一基材61Aと一体をなしており、これらと同一の材料からなる。
第九接着部材82Aの第十接着部材接着部材82Bとしては、上記の第五接着部材52A、第六接着部材52B、第七接着部材55A、第八接着部材55Bと同様のものが用いられる。
このようにすれば、この実施形態の通信用回路保持体を、親展性を有するハガキシステムに適用することができる。すなわち、個人的用件、あるいはプリント情報、印刷情報などの各種情報が記載された第四の基材を折り畳み、その重ね合わせ部分を第四の接着部材で疑似接着した積層体を、親展性を有するハガキシステムに適用することができる。
10,30,60,80・・・通信用回路保持体、11,61・・・基材、11A,61A・・・第一基材、11B,61B・・・第二基材、11C,61C・・・第三基材、12,62・・・第一接着部材層、12A,62C・・・第三接着部材、12B,62B・・・第四接着部材、13,63・・・第二接着部材層、13A,62A・・・第一接着部材、13B・・・第二接着部材、14,64・・・空間部(空間)、15,53,56,65・・・折線、15A,65A・・・第一折線、15B,65B・・・第二折線、16,66・・・接着剤、20,70・・・半導体装置、21,71・・・ICチップ、22,72・・・アンテナ、40・・・製造装置、41・・・連続基材供給手段、41A・・・連続基材、42・・・穿孔手段、43・・・実装手段、44・・・切込手段、45・・・折り手段、46・・・圧着・切断手段、47・・・排出手段、51・・・は第四基材、54・・・第五基材、52A・・・第五接着部材、52B・・・第六接着部材、55A・・・第七接着部材、55B・・・第八接着部材、81・・・第六の基材、82A・・・第九接着部材、82B・・・第十接着部材。