JP2006127343A - 割れ検出可能な板ガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性ペーストを用いることにより導電薄膜を簡便に形成することができ、且つ、割れの検出精度に優れた割れ検出可能な板ガラスを提供する。
【解決手段】 強化ガラス製の基板3と、基板表面の一部に導電性ペースト焼付融着部6を設けることにより形成された導電領域4と、同一の導電領域4内において導電性ペースト焼付融着部6上に設けられた対の電極部5a,5bと、を備えた板ガラス1である。導電性ペースト焼付融着部6は0.1μm以上5μm未満の膜厚とされた薄膜領域A2を有し、この薄膜領域A2は対の電極部5a,5b間に設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、割れ検出可能な板ガラス及びその製造方法に関するものである。
家屋への侵入犯罪としてのガラス破りや災害時のガラス破壊等を検出するシステムは、公知である。
従来のシステムは、ガラスが破壊される際の破壊音や振動を感知するものが多いが、誤作動が多いという問題がある。
特許文献1には、ガラスの表面若しくは内部に抵抗体を設置しておき、ガラスが割れて抵抗体が断線されることによってガラス割れを検出するガラス割れ検出装置が記載されている。この特許文献1には、ガラスに設置させる抵抗体としては、線状のものの他、透明導電膜でもよい旨が記載されている。
特開2003−141649号公報(図3)
しかし、抵抗体を導電膜とした場合、導電膜は一定の面積を持つため、ガラスが割れても導電膜の完全な断線が生じにくく、割れを検出するのは非常に困難である。
特許文献1には、抵抗体が導電膜でもよい旨が記載されているのみで、どのようにすれば確実にガラス割れを検出できるかが記載されていない。すなわち、特許文献1には、ガラスに導電膜を形成してどのように抵抗の変化を測定すればよいのか教示するところがない。
そこで、本発明者は、特願2004−114700において、ガラス製の基板と、この基板の表面に形成された導電薄膜と、この導電薄膜上に設けられた対の電極部とを備えるとともに、基板を強化ガラスとした割れ検出可能な板ガラスを提案した。この場合、基板を強化ガラスとしているので、ガラス基板のいずれの位置に割れが生じても、基板全体に割れが波及することとなる。よって、対の電極部を近接配置しても、基板の割れが対の電極部間に波及し、対の電極部間の導電薄膜が破断するので、確実にガラス割れを検出することができる。
また、この特願2004−114700に記載しているように、上記導電薄膜の形成法としては、CVDやスパッタリング以外にスクリーン印刷法による方法を採用してもよい。このうちCVDやスパッタリングは、基板全体を処理する必要があるため、基板の全体に導電薄膜を設ける方法としては適当である。またこの場合、金属薄膜を表面にコーティングした低放射板ガラス(Low−Eガラス)の金属薄膜を導電薄膜として用いることができるという利点もある。
一方、スクリーン印刷法により導電性ペーストを印刷する方法は、CVDやスパッタリングよりも簡便な方法であり、且つ導電薄膜を基板表面の一部に局所的に設けるのに適した方法である。またこの場合、上記低放射板ガラスでない通常のソーダ石灰フロート板ガラスを基板ガラスとして使用できるため、割れ検出可能な板ガラスの種類を増加することができ、消費者ニーズに幅広く対応することも可能となる。
しかしながら、導電性ペーストを用いた場合、膜厚が5μmを超えてしまいやすい。導電薄膜の膜厚が5μmを超えると、基板である強化ガラスが割れて細片化しても、導電薄膜の破断が不完全となる部分が生じやすくなる。その理由は次の通りである。基板となる強化ガラスは、窓ガラスとして実際に使用される場合は、窓枠部(サッシ等)に取り付けられて用いられる。したがって、基板の辺縁部分は、上記窓枠部の各部材(例えば窓枠フレーム、溝型断面のゴム部品、又は固定用シール材等)によって拘束されている。このように辺縁部が拘束されている為、侵入等により基板の強化ガラスが破壊された場合の破断面間隔は、強化ガラスが単体の場合、即ち辺縁部が拘束されていない場合よりも大幅に狭くなる。よってこの場合、導電性ペーストの膜厚が5μm以上であると十分な破断面間隔が得られず、導電性ペースト膜の破断が不完全となって、部分的に導通部分が残りやすい。したがって、導電薄膜として導電性ペーストを用いた場合、割れの検出精度がやや低下するという問題があった。
本発明は、導電性ペーストを用いることにより導電薄膜を簡便に形成することができ、且つ、割れの検出精度に優れた割れ検出可能な板ガラスを提供することを目的としている。
本発明の割れ検出可能な板ガラスは、強化ガラス製の基板と、前記基板表面の一部に硬化した導電性ペーストを設けることにより形成された導電領域と、同一の前記導電領域内において前記導電性ペースト上に設けられた対の電極部と、を備え、前記導電性ペーストは0.1μm以上5μm未満の膜厚とされた薄膜領域を有し、この薄膜領域は前記対の電極部間に設けられていることを特徴とする。
基板として強化ガラスを用いたので、強化ガラス上のいずれの位置に衝撃が加わって基板が割れても、基板表面の一部に設けられた導電領域内に基板割れが確実に波及する。よって、導電領域を基板表面の一部のみとすることが可能となる。また、導電薄膜として導電性ペーストを用いたので、基板表面の一部に導電領域を簡便に形成することができる。また薄膜領域の膜厚を上記範囲としたのは、5μmを超えると基板割れにおける導電性ペースト膜の破断が充分になされないからであり、0.1μmより薄いと基板が割れていない状態において対の電極部間の抵抗値を低くしにくくなり、また導電性ペースト中の導電粒子(金属粒子等)が酸化しやすくなるからである。よって、薄膜領域の膜厚は1μm以上2μm以下とするのがより好ましい。
前記薄膜領域は、前記導電領域を横断して設けられているのが好ましい。このようにすると、対の電極部間を導通する電流は、必ず導電領域を通過することとなるので、割れの検出精度が更に高まる。
前記薄膜領域は、前記基板上に設けられた前記導電性ペーストの表面を削り取って膜厚を薄くすることにより形成されているのが好ましい。このようにすると、比較的簡便に導電性ペーストの膜厚を5μm未満とすることができる。
前記導電性ペーストは、前記基板に焼付融着されているのが好ましい。この場合、導電性ペーストの基板に対する付着強度が向上し、表面研削の際に導電性ペーストが剥がれ落ちにくくなる。よって、硬化した導電性ペーストの表面を削り取ることが極めて容易となる。また、強化ガラス化される前の基板に導電性ペーストを塗布しておくことにより、強化ガラス化のための加熱処理と同時に導電性ペーストを焼付融着させることができる。
また、前記導電領域は、前記導電性ペーストを網目状に設けることにより形成されているのが好ましい。このようにすると、導電領域の全面に(全面ベタで)導電性ペーストを設ける場合よりも導電性ペーストの使用量が少なくなるので、コストを低減することができる。また、導電性ペーストを網目状とした場合と比べて、導電性ペーストを一本の線状とした場合には、通電経路は一本のみであるから、この導電性ペーストの表面を削り取って膜厚を薄くする際にわずかな削り取り量の誤差によって対の電極部間の抵抗値が急激に変化しやすくなる。したがって、導電性ペーストの表面を削り取って対の電極部間の抵抗値を調節することが比較的困難となる。これに対して、導電性ペーストを網目状とすることにより、対の電極部間で多数の通電経路(迂回回路)が形成されることになるため、上述した急激な抵抗変化を防止でき、表面研削による抵抗値の調節が容易となる。
前記導電領域は前記基板の隣接する2辺に面して設けられている構成とするのが好ましい。この場合、導電領域の当該2辺は基板の面内方向外側にむかって開放された状態となっている。よって、導電領域の基板は、当該2辺のそれぞれに沿った2方向に伸びやすくなり、破断面間隔を大きくすることができるから、割れ発生時の抵抗増加を大きくして割れ検出を確実とすることができる。
前記導電領域は、前記基板の隣接する2辺の交わるコーナー部近傍に設けられているのが好ましい。この場合、導電性ペーストが塗られた導電領域を比較的目立たない位置に配置することができ、またデザイン的にも優れた板ガラスとすることができる。また、対の電極部に接続される配線の取扱いが容易となる。更に、コーナー部近傍は、互いに隣接して交わる2辺の木口それぞれから加熱及び冷却を受けるので特に強化度が高くなり、基板割れの際に特に細かく破断する。よって、コーナー部近傍に対の電極部を設けることで割れ検出の確実性を特に向上させることができる。
前記導電性ペーストは、銀及びホウ珪酸ガラスの粒子を含有しているのが好ましい。この場合、ホウ珪酸ガラスの粒子を基板ガラスにより強固に融着させることができ、導電性ペーストの付着強度を更に高めることができる。よって、導電性ペーストの膜厚を薄くするための研削工程において導電性ペーストが基板ガラスから剥がれにくくなる効果がより一層高まる。また、銀の粒子により導電性に優れた導電性ペーストとなり、膜厚を薄くしても抵抗値を安定させることができる。
板ガラスの製造方法に係る本発明は、強化ガラス製の基板上に導電膜を設けるとともに、この導電膜上に対の電極部を設け、前記対の電極部間における前記導電膜の表面を削り取ることにより、削り取っていない領域よりも膜厚の薄い領域を形成することを特徴とする割れ検出可能な板ガラスの製造方法である。このようにすると、膜厚を薄くすることが困難な材料からなる導電膜であっても簡便な方法で膜厚を薄くすることがでる。そして、対の電極部間に膜厚の比較的薄い部分を形成することができ、割れ検出の精度を向上させることができる。
また、本発明における他の製造方法は、上述した板ガラスの製造方法であって、強化ガラス化される前の前記基板の表面に前記導電性ペーストを印刷塗布する工程と、この基板を加熱及び急冷して前記導電性ペーストを融着させつつ前記基板を強化ガラス化する工程と、前記対の電極部間の抵抗値を測定しながら前記基板に融着した前記導電性ペーストの表面を削り取って前記薄膜領域を形成する工程と、を含む割れ検出可能な板ガラスの製造方法である。
この場合、基板の強化ガラス化における加熱工程を利用して導電性ペーストを融着させることができ、導電性ペーストの基板に対する固着強度を高めることができる。また、対の電極部間の抵抗値を測定しながら焼付融着した導電性ペーストの表面を削り取るので、導電性ペーストの研削量を精度よく調整することができる。
本発明によれば、基板に強化ガラスを用いることにより、導電領域が部分的であってもこの導電領域に割れが確実に波及し、割れの検出精度が高まる。また、導電性ペーストを用いることにより導電薄膜を簡便に形成することができる。更に、導電性ペーストの膜厚を比較的薄くすることにより、割れの検出精度をより一層高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施形態である板ガラス1を示しており、図1はガラス面側から見た正面図、図2は木口から見た側面図、図3は図1のB−B線における断面図である。この板ガラス1は、建物の窓や戸に用いられるガラスの割れ検出システムに用いられるものである。このシステムは、建物へ侵入者や災害を検出するために用いられる建物用ガラス割れ検出システムであり、板ガラス(割れ検出用ガラス)1と、図10に示す抵抗検出器2とを備えている。抵抗検出器2は、板ガラス1に設けられた対の電極部に接続されており、板ガラス1が割れることによって対の電極部間に生じる抵抗変化を検出する。
板ガラス1は、建物などの構造体のガラス窓用開口部に装着されるものであって、フロート板ガラスを熱処理(加熱後風冷)して強化ガラスとした基板3の片面3aの一部に導電性ペーストを焼付融着して形成された導電性ペースト焼付融着部6を有している。導電膜としての導電性ペースト焼付融着部6を設けた領域が導電領域4である。導電領域4は、基板3の4辺21,22,23,24のうち、隣接する2辺21,24に面して設けられるとともに、これら2辺21,24の交わるコーナー部近傍に設けられている。そして導電領域4の形状は、隣接する2辺21.24の各辺の一部を等辺とする2等辺三角形とされている。また、この導電性ペースト焼付融着部6上の2カ所には、対の電極部5a,5bが設けられている。
導電性ペーストは、導電領域4内の全面に(ベタで)塗布されている。即ち、図1等において散点模様(ドット)で示す領域は、隙間無く(ベタで)導電性ペーストが設けられていることを意味する。
導電領域4を形成する導電性ペーストはスクリーン印刷法により基板3の一部に印刷塗布されたものである。この導電性ペーストは、基板3を強化ガラス化するための熱処理の前に塗布される。その後、基板3を加熱及び急冷することにより、基板3は強化ガラス化されている。この強化ガラス化における加熱工程により、基板3に対して焼付融着した状態の導電性ペースト焼付融着部6となる。
なお、導電性ペーストの塗布方法はスクリーン印刷法に限られないが、導電性ペーストを正確な範囲に、正確な模様を付して、且つ均等な膜厚で塗布する方法としては、スクリーン印刷法が好ましい。
対の電極部5a,5bも、上記導電性ペースト焼付融着部6と同じ仕様の導電性ペーストよりなり、且つ焼付融着されている。これら対の電極部5a,5bは導電領域4を形成する導電性ペースト焼付融着部6の膜の上にスクリーン印刷法により塗布されたものである。対の電極部5a,5bの膜厚は15〜25μm程度とされている。そして、対の電極部5a,5bのそれぞれには、銅などの金属板よりなる端子9a,9bがはんだ付け等により接続されている。各端子9a,9bのそれぞれは、図示しないリード線を介して上述した抵抗検出器2に接続されている。
導電領域4を形成する導電性ペースト焼付融着部6の膜厚は一定ではなく、部分的に膜厚の薄い薄膜領域A2(図1において、薄膜領域A2を示す2本の直線と導電領域4を示す散点模様の外周縁とで囲まれた範囲)を有している。薄膜領域A2は、基板3の対角線に沿って帯状に延びるとともに、導電領域4を横断している。この薄膜領域A2は、面研磨(面研削)により導電性ペースト焼付融着部6を削り取って薄く平坦化したものであり、図3に示すように、導電領域4における他の部分(即ち、削り取っていない部分)よりも膜厚が薄くなっている。面研磨は、薄膜領域A2を含む帯状領域である研磨範囲A1をフェルトバフにより研磨して行った。そのため、図3に示すように、研磨範囲A1のうち薄膜領域A2を除く部分は、膜厚が徐々に変化する移行領域である。この移行領域は、薄膜領域A2を形成する研磨過程で生ずるものであるが、薄膜領域A2と厚膜領域(導電領域4のうち上記研磨領域A1以外の部分)とを滑らかに連続させることにより、対の電極部5a,5b相互間における抵抗値が安定化しやすくなる。薄膜領域A2では、導電性ペースト焼付融着部6の膜厚は0.1μm以上5μm未満とされている。更には、この膜厚は1μm以上2μm以下とするのがより好ましい。
薄膜領域A2における導電性ペースト6を1μm〜2μm程度とし、且つ導電領域4を横断して薄膜領域A2を設けた場合でも、電極部5a,5b間には10〜30Ω程度の比較的低い抵抗値が確保されている。板ガラス1が割れていない状態では、電極部5a,5b間は低い抵抗値であるが、板ガラス1が割れると電極部5a,5b間の抵抗値は増大する。図5は、基板3に割れが生じた場合における板ガラス1の断面図(分かりやすいようにハッチングを省略)である。基板3が強化ガラスであるため、板ガラス上のどの位置に衝撃が加わっても、基板3全体が瞬時に破断して粒状に細片化し、基板3の破断によって導電性ペースト焼付融着部6も同様に細片化(半強化ガラスの場合、「小片化」ともいう)する。
よって、板ガラス1上に部分的に設けられた導電領域4内に近接配置された電極部5a,5b間の導電性ペースト焼付融着部6にも破断が生じ、電極部5a,5b間が断絶状態となって抵抗値が増大する。かかる抵抗値の変化を検出することにより、基板割れの検出が可能となる。しかしながら、導電性ペースト焼付融着部6の膜厚が5μmを超えている場合、基板3が割れても導電性ペースト焼付融着部6の破断が不完全となり、抵抗値が充分に増大せず、割れ検出の精度が充分に得られないことが判明した。図5に示すように、膜厚が比較的薄い薄膜領域A2では、基板3の割れが導電性ペースト焼付融着部6の厚み方向に貫通した割れB2が多数発生しており、導電性ペースト焼付融着部6が充分に破断されているが、膜厚が比較的厚い領域(研磨範囲A1以外の領域)では、膜厚が5μmを超えているため、導電性ペースト焼付融着部6に生じる割れは、厚み方向に貫通していない割れB1が多く、導電性ペースト焼付融着部6の破断が不充分であることがわかった。その理由は、前述したように、窓枠部の各部材によって基板3の辺縁部が拘束されているからである。よって本発明のように、基板3の膜厚を5μm未満とした薄膜領域A2を対の電極部5a,5b間に設けると、この薄膜領域A2では基板割れにより導電性ペースト焼付融着部6が確実に破断され、割れ発生時における対の電極部5a,5b間の抵抗値を大きくすることができる。
さらに、薄膜領域A2は導電領域4を横断して設けられているので、対の電極部5a,5b間を導通する電流は必ず導電領域4を通過することになる。よってこの場合、割れ発生時における対の電極部5a,5b間の抵抗値をより確実に増大させることができる。
板ガラス1の製造方法について説明する。上述したように、薄膜領域A2は、基板3上に設けられた導電性ペースト焼付融着部6の表面を削り取って膜厚を薄くすることにより形成されている。よって、比較的簡便な方法で導電性ペーストの膜厚を薄くすることができる。
より詳細に説明すると、板ガラス1の製造方法は次の通りである。
まず、強化ガラス化される前の基板3の表面に導電性ペースト焼付融着部6を形成するための導電性ペーストをスクリーン印刷法により印刷塗布する。更に、導電性ペーストからなる対の電極部5a,5bを、導電性ペースト焼付融着部6を形成するために印刷塗布された導電性ペーストの上にスクリーン印刷法にて印刷塗布する。
次に、上記各導電性ペーストの塗布された状態の基板3を加熱及び急冷して強化ガラス化する。ここで導電性ペーストは、銀粒子を含む銀ペーストであるが、銀粉末の他ホウ珪酸(鉛)ガラスの粉末も含まれており、これらの粉末を粘結用オイルでペースト状としたものである。基板3の強化ガラス化における加熱工程で、基板3は約700℃の強化ガラス製造炉雰囲気内におかれ、導電性ペーストも加熱される。この加熱により、導電性ペースト内のホウ珪酸ガラスが溶融し、基板3に融着するので、導電性ペースト焼付融着部6が形成されるとともに、対の電極部5a,5bを形成する導電性ペーストも焼付融着される。よって、導電性ペースト焼付融着部6の付着強度が高まると同時に、導電性ペーストよりなる対の電極部5a,5bも、導電性ペースト焼付融着部6と強固に一体化する。
次に、対の電極部5a,5b間の抵抗値を測定しながら、基板3に融着した導電性ペースト焼付融着部6の表面を削り取って薄膜領域A2を形成する。上述したように導電性ペースト焼付融着部6の表面研削は、研磨範囲A1をフェルトバフにより面研磨することにより行う。研磨材としては、酸化セリウム粉末(一般にセリコとも称される)と水とを混ぜたものを用い、この研磨材をフェルトバフにしみ込ませた上で、回転式又は往復式のフェルトバフ装置を用いてバフを行った。研磨量は、回転運動又は往復運動するフェルトバフによる研磨時間や圧力その他を変えることにより調節した。その結果、研磨前には図4のような状態であった導電性ペースト焼付融着部6が図3のようになり、他の部分よりも比較的薄い薄膜領域A2が形成された。上述したように、導電性ペースト焼付融着部6は基板3に対して強固に付着しているから、研磨の際に導電性ペースト焼付融着部6が基板3から剥がれることはほとんどなく、円滑に研磨することができた。
また、上記研磨材とフェルトバフとにより、導電性ペースト焼付融着部6の表面が平坦化され、極めて平滑な表面となる。よって、膜厚を比較的薄くした場合でも均等な膜厚が確保されやすくなり、対の電極部5a,5b間の抵抗値を安定させることができる。
なお、銀粉末とホウ珪酸(鉛)ガラスの粉末とを粘結用オイルでペースト状としたものとしては、例えばデュポン株式会社が製造販売している銀ペーストを例示することができる。
上述したように、対の電極部5a,5b間の抵抗値を抵抗計により常時測定しながら研磨を行う。研磨前には抵抗値が0.5オーム前後であったが、研磨により薄膜領域A2の膜厚が薄くなるにつれて抵抗値が増加していく。そして、薄膜領域A2を所望の膜厚(好ましくは1〜2μm)とした状態での抵抗値をあらかじめ求めておき、この抵抗値となった時点で研磨を終了する。ただし、この研磨後における対の電極部5a,5b間の抵抗値は、研磨直後は比較的低く、時間の経過とともに徐々に増加していき、通常は研磨後数日程度で抵抗値が安定する。これは、研磨により露出した導電性ペースト中の導電粒子(銀ペーストであれば、銀粒子)の表面が酸化したことによるものと考えられる。したがって、研磨終了時の抵抗値は、研磨後の抵抗増加分をあらかじめ予測して設定しておく必要がある。
このようにすると、膜厚を実測する手間を省くことができ、且つ正確な膜厚に研磨することができる。更に、研磨終了後における対の電極部5a,5b間の抵抗値を確認するための検査工程を省くこともできる。研磨終了後の安定時における対の電極部5a,5b間の抵抗値(つまり板ガラス1における対の電極部5a,5b間の抵抗値)は10〜30オームとすると、薄膜領域A2の膜厚が好ましい範囲(1〜2μm)とすることができ、且つ割れ検出精度を高めるのに充分な低い抵抗値を確保できるので好ましい。そして、研磨終了時における抵抗値は、研磨後抵抗が増加して安定した時点における抵抗値が10〜30オームとなるように設定するのが好ましい。
なお、対の電極部5a,5b間の抵抗値と研磨量との関係について補足説明しておく。
一般に、抵抗値はその物質の種類、形状等により変化する。いま、抵抗の長さをL(m)、断面積をS(m)、比例定数をPとすると、電気抵抗Rは、R=P(L/S)となる。つまり、電気抵抗Rは断面積Sに反比例する。よって、研磨量を多くし対の電極部5a,5b間を導通する導電性ペースト焼付融着部6の断面積を小さくするほど抵抗値は増加していく。したがって、対の電極部5a,5b間の抵抗値を確認しながら研磨することにより、研磨量を精度よく調節することが可能となる。
なお、膜厚を精度よく制御しながら導電性ペースト焼付融着部6を削り取る方法としては、上記の方法に限定されず、例えばNCマシン(数値制御工作機械)にて導電性ペースト焼付融着部6の表面を切削する方法も可能である。この場合は、抵抗値を測定しながら削らなくても所望の膜厚が得られるという利点がある。しかしながら、高価なNCマシンを用いる必要があり、また基板3をNCマシンに対して正確にセッティングしなければならず生産性が著しく低下するという欠点がある。よって、上述した方法のほうが好ましい。
上述したように、薄膜領域A2は、基板3上に塗布された導電性ペースト焼付融着部6の表面を面研磨により削り取って膜厚を薄くすることにより形成されている。スクリーン印刷法等で印刷塗布した場合、導電性ペースト6の膜厚を5μm未満とするのは困難である。つまり、膜厚ができるだけ薄くなるようにスクリーンのメッシュやスクリーンの厚み等を設定したとしても、せいぜい5μm〜8μm程度の膜厚となる。上述のように、研磨することにより5μm未満、好ましくは2μm以下の膜厚を有する領域を設けることができる。
なお、既述のように、導電領域4は基板3の隣接する2辺21,24に面して設けられている。この場合、導電領域4の当該2辺は基板の面内方向外側にむかって開放された状態となっている。よって、導電領域4の基板3は、当該2辺のそれぞれに沿った2方向K1,K2(図1参照)に伸びやすくなり、破断面間隔を大きくすることができるから、割れ発生時の抵抗増加を大きくして割れ検出を確実とすることができる。
また導電領域4は基板3の隣接する2辺21,24の交わるコーナー部近傍に設けられているので、導電性ペースト焼付融着部6が設けられた導電領域4を比較的目立たない位置に配置することができ、またデザイン的にも優れた板ガラス1とすることができる。導電性ペーストは一般的に不透明であるから、目立たない位置に配置したりデザイン性を考慮したりするのは極めて重要である。またこの場合、対の電極部5a,5bや端子9a,9bに接続される配線(図示しないリード線など)の取扱いが容易となる。
更に、コーナー部近傍は、互いに隣接して交わる2辺の木口それぞれから加熱及び冷却を受けるので特に強化度が高くなり、基板割れの際に特に細かく破断する。よって、コーナー部近傍に対の電極部を設けることで割れ検出の確実性を特に向上させることができる。また、コーナー部近傍は強化ガラス化のための熱処理工程においてより高温となる部位であるから、上述した導電性ペーストの融着がより一層確実となり、導電性ペーストの付着強度の高強度化や安定化に寄与する。
図6は、本発明の第2実施形態である板ガラス30の正面図である。
なお、この板ガラス30は、導電領域4を形成する導電性ペースト焼付融着部6が網目状であること以外は、図1の板ガラス1と同様の構成である。よって、以下において板ガラス1との共通点については説明を省略する。
図1に示す板ガラス1では、二等辺三角形の導電領域4の全面に隙間無く(ベタで)導電領域4が塗布されていた。これに対して板ガラス30では、導電領域4は板ガラス1と同位置、同形状、同面積の二等辺三角形の領域であるが、導電性ペースト焼付融着部6は網目状に設けられている。即ち図6において、網目状の実線部分にのみ導電性ペースト焼付融着部6が塗られており、略正方形をなす各網目の内部は、導電性ペースト焼付融着部6が存在せず基板3が露出している。この網目状の導電性ペースト6により形成された導電領域4の範囲内の2カ所に、対の電極部5a,5bが設けられている。この対の電極部5a,5bは、図1に示す板ガラス1と同様、略正方形の範囲にベタ塗りされた導電性ペーストよりなる。
このように網目状とされた導電性ペースト焼付融着部6により導電領域4を構成すると、導電領域4の全面に(全面ベタで)導電性ペースト焼付融着部6を設ける場合よりも導電性ペーストの使用量が少なくなるので、コストを低減することができる。
図9は、本発明の他の実施形態(第四実施形態)である板ガラス50の、導電領域4付近における拡大図である。この実施形態では、導電性ペースト焼付融着部6をつづら折り状に設けられた1本の線としており、この一本の線が対の電極部5a,5b間をつないでいる。導電性ペースト焼付融着部6が塗布されているのは、図9において散点模様で示すつづら折り部分のみであり、他の部分は基板3が露出している。本発明はこのような実施形態でもよい。このようにしても、図1に示す板ガラス1と比較して導電性ペーストの使用量を減らすことができる。
ただし、導電性ペースト焼付融着部6を網目状とした場合と比べて、板ガラス50のように導電領域4を形成するための導電性ペースト焼付融着部6を一本の線状(あるいは数本程度の線状の並列回路)とした場合には、薄膜領域A2(図9参照)のうち1カ所のみでも研磨過多となれば、対の電極部5a,5b間の抵抗値が大きく低下する。つまりこの場合、導電性ペースト焼付融着部6の表面を削り取って膜厚を薄くする際にわずかな研削量の誤差によって対の電極部5a,5bの抵抗値が急激に変化しやすくなる。よって、上述したような手法により、導電性ペースト6の表面をフェルトバフ等により削り取って、対の電極部5a,5b間の抵抗値を所望の値に調節することが困難となる。これに対して、図6に示す板ガラス30のように導電性ペースト焼付融着部6を網目状とすることで、対の電極部5a,5b間で多数の通電経路(迂回回路)が形成されることになる。よって、仮に局所的に研磨量過多となり、つまり前記多数の通電経路のうち1本又は複数本が研磨過多状態あるいは断線状態となっても、他の通電経路により抵抗値が補償される。その結果、研磨量と抵抗値との関係は、導電性ペースト焼付融着部6を網目状とした場合と図1のような全面塗布(ベタ塗布)した場合とでほぼ同じとなる。したがって、導電性ペースト焼付融着部6を網目状とした場合には、表面研削による抵抗値の調節を容易とすることができ、且つ導電性ペーストの使用量を削減することができる。一般に、導電性ペーストの価格は比較的高く、特に銀ペーストの価格は極めて高価であるから、導電性ペーストの使用量削減によるコスト低減効果は極めて高い。
また、網目状の導電性ペースト焼付融着部6とした場合には他の利点もある。図9に示す板ガラス50のように導電領域4を形成するための導電性ペースト6を一本の線状(あるいは数本程度の線状)とした場合には、導電性ペースト6の印刷工程における基板3の局所的な汚れやゴミの混入等によって、印刷焼付後導電線部にピンホール等ができやすく、このピンホール等により対の電極部間の抵抗値が変化することがある。更に、板ガラス1の製造過程等で導電路を損傷等したりすれば抵抗値が大きく変化するおそれがある。よって、製品歩留まりや取り扱い性に問題が生じうる。これに対して図6に示す板ガラス30のように導電性ペースト焼付融着部6を網目状とした場合、対の電極部5a,5b間で多数の通電経路が形成されることになるので、上記ピンホール等や導電路の損傷等が特定の通電経路において発生したとしても、これらの影響は他の多数の通電経路の存在により最小限にとどまる。よって、製品歩留まりや取り扱い性において有利となる。
図1に示す板ガラス1と同様、図6に示す板ガラス30においても、薄膜領域A2を形成する前(研磨前)における対の電極部5a,5b間の抵抗値は0.5オーム前後である。また上述したように、網目状の板ガラス30の場合と全面塗布(ベタ塗布)した板ガラス1の場合とで、研磨量と抵抗値との関係はほぼ同じとなる。よって、図6に示す板ガラス30においても、研磨終了時における対の電極部5a,5b間の抵抗値は10〜30オームとするのが好ましい。このようにすると、薄膜領域A2の膜厚が好ましい範囲(1〜2μm)とすることが容易となり、且つ割れ検出精度を高めるのに充分な低い抵抗値を確保できるからである。
網目状の導電性ペースト焼付融着部6を形成する場合、網目の細かさとしては5メッシュ〜15メッシュが好ましく、10メッシュ程度とするのが特に好ましい。メッシュが粗すぎると、対の電極部5a,5b間における通電経路の数が少なくなり、研削量に対する対の電極部5a,5b間の抵抗値変化が大きくなりやすいからであり、メッシュが細かすぎると、導電性ペーストの削減効果が減少する傾向となるからである。
なお、「メッシュ」とは、網目の大きさを表す単位で、25.4mm間にある目数を示す。
また、網目を構成する線の幅は、0.5mm以上1.0mm以下が好ましい。幅が狭すぎると、研磨により断線する網目線が生じやすくなって研磨による抵抗値の調整がしにくい場合があるからであり、幅が広すぎると、導電性ペーストの削減効果が減少する傾向となるからである。
板ガラス30において、網目状の導電性ペースト焼付融着部6の目の粗さを10メッシュとし、網目を構成する線の幅を0.5〜1mmとしたテスト品を作製して、抵抗値の変化を確認した。面研磨により薄膜領域A2を作製し、基板3が割れる前における対の電極部5a,5b間の抵抗値を10〜30Ωとなるようにした。この基板3を実際の窓枠に取り付けて辺縁部を拘束した状態とし、この拘束状態において基板3を割り対の電極部5a,5b間の抵抗値を確認した。その結果、対の電極部5a,5b間の抵抗値は170〜180Ωとなり、高精度の割れ検出を可能とするのに充分な抵抗値変化が得られた。
図8は、導電領域4を構成する網目状の導電性ペースト焼付融着部6の変形例を示す図である。網目模様の態様としては、図6に示すような個々の網目が正方形(矩形)をなすものに限られず、例えば図8(a)に示すような個々の網目が三角形をなすものや、図8(b)に示すように個々の網目が六角形(亀甲形)をなすもの(ハニカム形状のもの)でもよい。
図7は、本発明の第三実施形態である板ガラス40の正面図である。板ガラス40では、導電領域4は板ガラス1のような二等辺三角形でなく矩形である。また、板ガラス1の場合、対の電極部5a,5bが基板3の隣接する2辺21,24に振り分け配置されていたのに対して、この板ガラス40においては、対の電極部5a,5bは一の辺24に沿って近接配置されている。これらの相違点はあるが、板ガラス40の作用効果は板ガラス1と基本的に同様である。つまり、この板ガラス40も、図6の板ガラス30と同様、導電領域4が網目状の導電性ペースト焼付融着部6により形成されている。また導電領域4は、基板3の隣接する2辺21,24に面して設けられており、且つ、基板3の隣接する2辺21,24の交わるコーナー部近傍に設けられている。更に、対の電極部5a,5b間には、薄膜領域A2が導電領域4を横断して設けられている。つまり薄膜領域A2は、対の電極部5a,5bの間において、導電領域4を基板3の短辺方向(図7における横方向)に横断している。本発明では、板ガラス40のように導電領域4を矩形とした構成も好適に用いられる。
導電領域4の基板木口側の各辺の長さ(図6の板ガラス30のような二等辺三角形の場合は等辺である二辺の長さ)は5〜8cmとするのが好ましい。この程度の大きさであれば、基板3をサッシに装着して用いた際、導電領域4の大部分がサッシ内に隠すことができ、ほとんどガラス透視の障害とならない。
本発明の板ガラスは、合わせガラスとして構成してもよく、複層ガラスとして構成してもよい。合わせガラスとする場合、導電領域4を設けたガラス面は中間層側とすると、導電領域4の導電性ペースト焼付融着部6や対の電極部5a,5bが保護されるので好ましい。また複層ガラスとする場合、導電領域4を設けたガラス面は空気層側とすると、同じく導電領域4の導電性ペースト焼付融着部6や対の電極部5a,5bが保護されるので好ましい。また、導電領域4を設けた基板3にフィルム材を設けても良い。また、基板3に金属薄膜4を形成して、断熱性に優れた低放射板ガラスとして構成してもよい。
基板3にフィルム材を設けることで、割れ発生時におけるガラス破片の飛散を防止することができる。また、このフィルム材を、導電領域4を覆うように設けることにより、導電領域4を保護することができ、電極部間の抵抗値を安定させることができる。さらに対の電極部5a,5bも覆うようにフィルム材を貼り付けることで、電極部5a,5bも保護できる。
対の電極部5a,5bの間隔は、下限値としては1cm以上、より好ましくは3cm以上とするのがよく、上限値としては15cm以下が好ましく、10cm以下がより好ましく、6cm以下が更に好ましい。この間隔が広すぎると、導電領域4が大きくなってしまいガラス透視の際に目立ちやすくなり、この間隔が狭すぎると、基板割れ時における対の電極部間の抵抗値が低くなるおそれがある。また、この間隔が広すぎると、電極部5a,5bに接続される配線の取扱いが煩雑になりやすい。
また、対の電極部5a,5bの間隔は、細片化したガラスの大きさよりも広くするのが好ましいので、強化ガラスの強化度の度合いによって対の電極部5a,5bの間隔を設定するのも好ましい。ガラスが割れたときの破片の大きさは、強化ガラスの強化度の度合い、すなわち表面に残留する圧縮応力の値の大・中・小によって異なり、応力が大きいほど破片が小さくなるからである。
また、導電領域4及び対の電極部5a,5bは、基板3の辺縁部あるいはコーナー部近傍に設けるのが好ましい。この場合、対の電極部5a,5bに接続される配線の取扱いが容易となる他、割れ検出の確実性が向上するという効果もある。辺縁部は、強化ガラス化における熱処理において木口(側面)からも加熱及び風冷されるため、基板3の中央部(辺縁部以外の部分)よりも高温で加熱されるとともに、より急激に冷却される。特に基板3のコーナー部近傍は、互いに交差する2辺の木口それぞれから加熱及び風冷を受けるので、強化ガラス化される際の熱処理において特に高温となり且つ急冷される。したがって、基板3内における強化度の分布は一様ではなく、辺縁部、中でも特にコーナー部近傍は強化度が比較的高くなっている。よって、辺縁部やコーナー部近傍は基板3の割れの際に特に細かく破断する。従って、辺縁部、特にコーナー部近傍に対の電極部5a,5bを設けることで割れ検出の確実性が顕著に向上する。更に、辺縁部やコーナー部近傍は、強化ガラス化の際により高温となりやすいので、上述した導電性ペーストの融着が一層確実となり、導電性ペーストの付着強度の高強度化及び安定化に寄与する。
なお、辺縁部の中でも特に強化度が高く細片化しやすい部分は、例えば厚さが3mm〜5mm程度の基板3であれば、辺縁からの幅が5cm以内の範囲であり、中でも特に強化度が高いのは同幅が3cm以内の範囲である。よってこれらの辺縁部範囲に導電領域4や対の電極部5a,5bを設けるのが好ましい。また、コーナー部近傍の中でも特に強化度が高く細片化しやすい部分は、例えば厚さが3mm〜5mm程度の基板3であれば、コーナー部からの距離(コーナー部において互いに交わる両辺のなす角を2等分する方向における距離)が7cm以内の範囲であり、中でも特に強化度が高いのは同距離が6cm以内の範囲である。よって、これらのコーナー部近傍範囲に導電領域4や対の電極部5a,5bを設けるのが特に好ましい。
図10に示す抵抗検出器2は、対の電極部5a,5b間の抵抗(以下、抵抗R1ともいう)の変化を検出するものであり、板ガラス1側の抵抗R1を含めて構成されるブリッジ回路を有している。このブリッジ回路を構成する抵抗としては、検出器2内に抵抗R2,R3,R4を備えており、板ガラス1が割れていないとき(R1=10〜30Ω程度のとき)は、R1―R2間の電位V2と、R3−R4間の電位V1が等しくなるように、各抵抗R2,R3,R4の値が設定されている。このとき、V1,V2を入力とする差動アンプ10の出力(警報出力信号)は小さく(=0)なる。
一方、板ガラス1が割れて対の電極部5a,5b間の抵抗値R1が増大すると、V1とV2の差が大きくなり、ブリッジの平衡が失われ、差動アンプ10の出力が大きくなる。差動アンプ10の出力は、図示しない警報機等に与えられ、ガラス割れに対する警報を、屋内、屋外、又は警備会社等へ発することができる。したがって、このシステムによれば、建物への侵入者又は災害によるガラス破損に対する確実な警報が得られる。
また、抵抗検出器2には、図11の(a)及び(b)に示すように、抵抗検出器2により検出された抵抗値から得られたガラス割れに関する情報を割れ検出システムの外部に送信する送信部60を備えていても良い。この場合、例えば抵抗検出器2の前記差動アンプ10の出力の変化が送信部60を経由して、割れ検出システムの外部にガラス割れに関する情報として伝達される。ガラス割れに関する情報が伝達される割れ検出システムの外部としては、例えばガラスの設置された建築物の屋内や屋外に設置された警報器、警備会社のセキュリティシステム、携帯電話等の携帯端末、等がある。送信部60から割れ検出システム外部への情報伝達手段としては、有線又は無線の通信回線等を用いることが出来る。このように、抵抗検出器2により検出された抵抗値から得られたガラス割れに関する情報をシステム外部に送信する送信部60を設けることにより、建物への侵入者又は災害によるガラス破損に対する確実な警報が得られるとともに、ガラス破損に対する迅速な対応が可能なシステムとすることができる。そして、抵抗検出器2により検出された抵抗値から得られたガラス割れに関する情報をシステム外部に送信するガラス割れ検出方法とすることで、建物への侵入者又は災害によるガラス破損に対する確実な警報が得られるとともに、ガラス破損に対する迅速な対応が可能となる。
図10に示す抵抗検出器2は、電源等の配線を簡略化する観点から、上記送信部60を無線発信器として内蔵し且つ電源を電池とした、電池式無線発信器付き検出器とするのが好ましい。また、抵抗検出器2を基板3上に取り付ける場合、抵抗検出器2は、基板3上に取り付けられた状態の正面視において導電領域4以下の大きさとするのが好ましい。またこの場合、抵抗検出器2は導電領域4と同じ位置に重ねて設けるのが好ましい。このようにすると、ガラス透視の妨げになりにくいからである。
なお、上記抵抗R1の変化を検出する方式は、上述のものに限らず、抵抗の変化を検出するものであれば、他の方式も採用可能である。
また、ブリッジ回路に与えられる電圧Vccとしては、DC3〜24V程度が好ましい。また、抵抗検出器2は、小型にできるため、窓や戸の枠(サッシ等)に内蔵させてもよいし、ガラス面上に配置するなど外部に露出させてもよい。
また送信部60は、抵抗検出器2によって検出された抵抗値から得られたガラス割れに関する情報をシステム外部に送信できるものであればいかなるものでもよく、例えば前記抵抗R1の抵抗値がガラス割れにより増大したときのみシステム外部に信号(異常信号)を発するものでもよく、ガラス割れによる抵抗値増大の有無を常時あるいは定期的にシステム外部に発信するものでもよい。あるいは、抵抗R1の抵抗値そのものを常時あるいは定期的にシステム外部に発信するものであってもよい。
図11は、割れ検出システムの他の構成例を示している。このシステムは、建物のガラス開口部に装着された複数のガラス1の割れ検出を行うものであり、抵抗体である複数のガラス1が直列接続され、単一の検出器2に接続されている。図11(b)は、図11(a)の接続状態を回路図として示したものであり、電極部5a,5b間の抵抗R1が直列接続された状態で検出器2に接続されている。いずれかのガラス1が割れると回路の抵抗値が増大し、検出器2は割れを検出することができる。このように複数のガラス1を直列接続しているので、検出器2をガラスの枚数分用意する必要がなく、構成が簡素化される。
また、一つのガラスの抵抗値R1が比較的小さいので、複数枚のガラスを直列接続しても抵抗値がさほど高くならず、ガラスが割れたときの抵抗増大度を大きく保つことができる。
なお、上述したように送信部60を無線発信器とした場合には、上述した直列回路の形成も不要となるので更に好ましい。
上述した実施形態では、基板3のガラス面(片面3a)に対の電極部5a,5bを設け、これらの電極部5a,5bに端子9a,9bを接続したが、対の電極部5a,5bを基板3の木口(側面)にまで延在させ、当該木口において端子9a,9bと対の電極部5a,5bとを接続してもよい。
第1実施形態に係る板ガラスの正面図である。 第1実施形態に係る板ガラスの側面図である。 図1のB−B線における断面図である。 導電性ペースト焼付融着部を削り取る前の状態における図3と同位置での断面図である。 基板が割れた状態における図1のB−B線での断面図である。 第2実施形態に係る板ガラスの正面図である。 第3実施形態に係る板ガラスの正面図である。 第3実施形態の変形例を示す正面図である。 第4実施形態に係る板ガラスにおいて導電領域付近を拡大した正面図である。 抵抗検出器を示す回路図である。 システムの変形例を示す図である。
符号の説明
1 板ガラス
3 基板
4 導電領域
5a 電極部
5b 電極部
6 導電性ペースト焼付融着部(導電性ペースト、導電膜)
A2 薄膜領域
30、40,50 板ガラス

Claims (11)

  1. 強化ガラス製の基板と、前記基板表面の一部に硬化した導電性ペーストを設けることにより形成された導電領域と、同一の前記導電領域内において前記導電性ペースト上に設けられた対の電極部と、を備え、
    前記導電性ペーストは0.1μm以上5μm未満の膜厚とされた薄膜領域を有し、この薄膜領域は前記対の電極部間に設けられていることを特徴とする割れ検出可能な板ガラス。
  2. 前記薄膜領域における前記導電性ペーストの膜厚が1μm以上2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の板ガラス。
  3. 前記薄膜領域は、前記導電領域を横断して設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の板ガラス。
  4. 前記薄膜領域は、前記基板上に設けられた前記導電性ペーストの表面を削り取って膜厚を薄くすることにより形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の板ガラス。
  5. 前記導電性ペーストは、前記基板に焼付融着されていることを特徴とする請求項4に記載の板ガラス。
  6. 前記導電領域は、前記導電性ペーストを網目状に設けることにより形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の板ガラス。
  7. 前記導電領域は前記基板の隣接する2辺に面して設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の板ガラス。
  8. 前記導電領域は、前記基板の隣接する2辺の交わるコーナー部近傍に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の板ガラス。
  9. 前記導電性ペーストは、銀及びホウ珪酸ガラスの粒子を含有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の板ガラス。
  10. 強化ガラス製の基板上に導電膜を設けるとともに、この導電膜上に対の電極部を設け、前記対の電極部間における前記導電膜の表面を削り取ることにより、削り取っていない領域よりも膜厚の薄い領域を形成することを特徴とする割れ検出可能な板ガラスの製造方法。
  11. 請求項1〜9に記載の板ガラスを製造する方法であって、
    強化ガラス化される前の前記基板の表面に前記導電性ペーストを印刷塗布する工程と、この基板を加熱及び急冷して前記導電性ペーストを融着させつつ前記基板を強化ガラス化する工程と、前記対の電極部間の抵抗値を計測しながら前記基板に融着した前記導電性ペーストの表面を削り取って前記薄膜領域を形成する工程と、を含むことを特徴とする板ガラスの製造方法。
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