JP2003321258A - ヒーター付き合わせガラス及びその製造方法 - Google Patents

ヒーター付き合わせガラス及びその製造方法

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JP2003321258A
JP2003321258A JP2002131671A JP2002131671A JP2003321258A JP 2003321258 A JP2003321258 A JP 2003321258A JP 2002131671 A JP2002131671 A JP 2002131671A JP 2002131671 A JP2002131671 A JP 2002131671A JP 2003321258 A JP2003321258 A JP 2003321258A
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glass
glass plate
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laminated glass
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JP2002131671A
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Takeshi Isaki
健 勇木
Masaru Akiyama
勝 秋山
Keizo Masada
圭三 政田
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Nakajima Glass Co Inc
Original Assignee
Nakajima Glass Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水性に優れ、ガラス破損時の安全性にも優
れた、浴室などの防水防曇鏡として特に好適に使用でき
るヒーター付き合わせガラスを提供すること。 【解決手段】 2枚のガラス板が樹脂製中間膜9を介し
て積層されてなる合わせガラスであって、第1のガラス
板1の片面の周縁部を除いた領域に通電によって発熱す
る薄膜である発熱皮膜3が形成され、該発熱皮膜3の上
面の一部に少なくとも一対の導電皮膜からなる電極部
(5,5’)が形成され、該電極部(5,5’)に電線
(7,7’)が接続されてなり、第1のガラス板1の発
熱皮膜3が形成された側の面と、第2のガラス板10と
が、樹脂製中間膜9を介して積層されてなるヒーター付
き合わせガラスとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合わせガラス、特
にその内部に発熱可能な皮膜を有するヒーター付き合わ
せガラス及びその製造方法に関するものである。本発明
のヒーター付き合わせガラスは、曇り防止ガラス、特に
防曇鏡として好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】鏡をヒーターで加熱してその曇りを防止
することは、現在広く行われており、例えば洗面所で使
用される鏡として、ヒーター加熱によって曇りを除去で
きるものが市販されている。代表的な防曇鏡は、鏡の裏
面に導電性カーボン粒子を練りこんだ樹脂シートからな
る面状発熱体を貼り付け、それを通電加熱することによ
って鏡の表面温度を上昇させて、鏡の表面の曇りを防止
しているものである。しかしながら、このような防曇鏡
は、その防水性が不十分であることが多く、浴室内のよ
うな高温、高湿の雰囲気中で長期間に亘って使用するこ
とは困難であった。
【0003】実開昭52−129595号公報には、鏡
用板ガラス、発熱シート及び裏板を貼り合わせてなる鏡
において、貼り合わせ時に内部の脱気ができるように脱
気用の穴を鏡用板ガラス又は裏板に形成し、そこから配
線を引き出して気密処理した防湿防曇鏡が記載されてお
り、当該鏡は浴室内でも使用できる旨記載されている。
【0004】また、鏡の裏面に発熱体を定着させただけ
では、鏡の裏面と面状発熱体との間に水分が浸透して防
曇効果が低下することがあり、それを解決するために、
実用新案登録第2555509号公報には、鏡の裏面に
面状発熱体を室温硬化性シリコンゴムで固定し、更にそ
の裏面に前記シリコンゴムを介して防水板を固定してな
る防曇防水鏡が記載されている。この鏡は浴室などでも
使用可能であり、しかも鏡の裏面がシリコンゴムに接着
されるので、割れても破片が飛び散ることがないとして
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】実開昭52−1295
95号公報に記載されているように、鏡の裏面に発熱シ
ートを介して裏板と貼り合わせる際に、鏡と裏板の間に
発熱シートを挟んだ状態で板ガラス又は裏板の1箇所に
配置された穴から全体の脱気を行ったのでは、均一に貼
り合わせるのは困難である。また、実用新案登録第25
55509号公報に記載されているように室温硬化性シ
リコン樹脂で封止する場合には、発熱シートが通常1m
m以上の厚さを有するシートであることから、封止用シ
リコン樹脂の厚みが場所によって大きく変化し、泡噛み
のないように均一に液状シリコン樹脂を配して封止する
ことは容易ではない。このように、均一に貼り合わせる
ことができない場合には、接着力の低下や隙間の発生に
よって、防水性が不十分になるおそれがある。
【0006】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、防水性に優れたヒーター付き合わせガ
ラスを提供するものである。当該合わせガラスは樹脂製
中間膜の存在によってガラス破損時の安全性にも優れて
おり、浴室などの防水防曇鏡として特に好適に使用でき
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、2枚のガラ
ス板が樹脂製中間膜を介して積層されてなる合わせガラ
スであって、第1のガラス板の片面の周縁部を除いた領
域に通電によって発熱する薄膜である発熱皮膜が形成さ
れ、該発熱皮膜の上面の一部に少なくとも一対の導電皮
膜からなる電極部が形成され、該電極部に電線が接続さ
れてなり、第1のガラス板の発熱皮膜が形成された側の
面と、第2のガラス板とが、樹脂製中間膜を介して積層
されてなるヒーター付き合わせガラスを提供することに
よって解決される。
【0008】第1のガラス板の片面に、通電によって発
熱する薄膜である発熱皮膜が形成されるが、これが周縁
部を除いた領域に形成されることで、ガラス板端部への
漏電を遮断し、感電に対する安全性が向上する。また当
該発熱皮膜が薄膜であることによって、発熱皮膜形成部
と非形成部との間の段差がほとんどなくなり、樹脂製中
間膜を介してガラスを合わせる際に、均一な膜厚で気泡
を含まないようにして合わせることができる。
【0009】また、前記発熱皮膜の上面の一部に少なく
とも一対の導電皮膜からなる電極部が形成されること
で、発熱皮膜を均一に発熱させることができるととも
に、電極部への電線の接続が容易になる。このとき、当
該電極部を構成する導電皮膜が導電粒子含有セラミック
ス焼付け皮膜であることが、当該電極部の耐久性の面か
ら好ましい。また、第1のガラス板が強化ガラス板であ
ることが、電極を形成したガラスの破損が防止できて、
感電防止の観点から好ましい。したがって、導電粒子含
有セラミックス塗料を焼付ける際に、同時に第1のガラ
ス板を強化することが、生産工程を合理化できて好まし
い。
【0010】こうして得られた第1のガラス板の発熱皮
膜が形成された側の面と、第2のガラス板とが、樹脂製
中間膜を介して積層されることによって、ガラス板の破
損時に高い安全性を確保することができるとともに、発
熱皮膜や電極部を2枚のガラス板の内側に挟んで保護す
ることができる。このとき、樹脂製中間膜が架橋エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体からなることが、耐水性の良好
なヒーター付き合わせガラスを提供できて好ましい。当
該架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体は、合わせ加工の
し易さや、安全ガラスとしての力学特性の面からも好ま
しい材料である。
【0011】第1のガラス板と第2のガラス板とを樹脂
製中間膜を介して積層する際に加熱圧着することが好適
である。加熱圧着することで、気泡がなく高い接着強度
を有する中間膜を形成することができる。このとき、樹
脂製中間膜の原料として一定厚みの樹脂フィルムを使用
し、該樹脂フィルムを第1のガラス板と第2のガラス板
との間に挟んで加熱圧着することが、均一な厚みの樹脂
製中間膜を容易に形成できて好適である。前述のように
本発明の第1のガラス板に形成された発熱皮膜は薄膜で
あって、発熱皮膜形成部と非形成部との間の段差がほと
んどないので、上記樹脂フィルムを使用して容易に均一
な膜厚の樹脂製中間膜を形成することができる。こうす
ることによって、中間膜の厚みムラに由来する不要な残
存応力が発生することがなく、ガラスの密着安定性にも
優れることになる。
【0012】本発明のヒーター付き合わせガラスの好適
な実施態様は、第2のガラス板の片面に反射膜が形成さ
れてなり、第1のガラス板の発熱皮膜が形成された側の
面と、第2のガラス板の反射膜が形成された側の面と
が、樹脂製中間膜を介して積層されてなる構成、すなわ
ち、ヒーター付き鏡の態様である。鏡の場合に特に曇り
を防止したいという要望が多いことに対応するものであ
る。特に、長期間に亘る高度な防水性が要求される浴室
用の鏡や、大面積の鏡に対して本発明を適用することが
好適である。本発明の最適な実施態様の一つは浴室用防
水防曇鏡である。
【0013】前記鏡としての実施態様において、第2の
ガラス板に形成された反射膜が銀からなり、その上に銅
からなる膜が形成され、さらにその上に保護塗膜が形成
されてなり、該保護塗膜が樹脂製中間膜と接着されてな
るものが、特に好適である。このような構成の鏡が最も
一般的に使用されている鏡であることから、本発明を実
施する実益が大きいものである。すなわち、このような
構成の鏡を、浴室などの高温、高湿下で長期間使用した
場合には、鏡の端から腐食する場合があるところ、樹脂
製中間膜を介してガラスと積層することによって、その
ような腐食の発生を防止できるからである。
【0014】本発明のヒーター付き合わせガラスは、上
述のように防曇鏡に使用することが好適であるが、透明
合わせガラスとして窓などに使用することもまた好まし
い。その場合には、用途に対応して防曇効果や融雪効果
などが期待できるものである。このような実施態様にお
いては、発熱皮膜を透明薄膜とすることが、視認性の観
点から好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を詳細
に説明する。図1は本発明の好適な実施態様である防曇
鏡の一実施例の裏面図(鏡として機能する反対側から見
た図)である。図2は図1のA−A’断面図の一部を厚
み方向に不均一に拡大して示した模式図である。図3
は、図1の防曇鏡の組み立て方法を示す、B−B’位置
の断面図の一部を厚み方向に不均一に拡大して示した模
式図である。
【0016】本実施例では、第1のガラス板1の原料と
して、ピルキントン社製の「Kガラス」を使用した。当
該「Kガラス」の仕様は以下のとおりである。 ・基板ガラス:ソーダライムガラス ・皮膜:酸化スズ(熱分解コーティング法によって形成
されたもの) ・皮膜厚み:0.4〜0.5μm ・表面抵抗率:15Ω/□ ・板厚:3.0mm ・寸法:2250×3210mm
【0017】上記「Kガラス」をダイヤモンドカッター
にて550×1200mmの寸法に切断した。切断端面
を研磨した後、ガラス板の周縁部の幅15mmに亘って
酸化スズ皮膜を剥離して発熱皮膜非形成部2を形成し
た。皮膜の剥離はNC面取り機にポリッシングホイル
(砥石)を装着して、水冷しながら周縁部の酸化スズ皮
膜面を幅15mm、深さ1〜5μm程度切削研磨するこ
とによって行った。これにより中央に長方形に発熱皮膜
3が残存した第1のガラス板1が作成された。
【0018】本実施例では、第1のガラス板の基板ガラ
ス4としてソーダライムガラスを使用したが、基板ガラ
ス4はソーダライムガラスに限定されず、他のガラスで
あっても構わない。基板ガラス4の厚さは用途や面積に
よって適宜設定され、通常2〜10mmである。
【0019】本発明で使用される発熱皮膜3は、実施例
で使用している酸化スズに限定されず、導電によって発
熱することが可能な皮膜であれば特に限定されない。例
えば、ニクロム、Cr−SiO、Cr−Si、TaN、
酸化インジウム、ITOなどを使用することができる。
合わせガラスに透明性が要求されるような用途の場合に
は、発熱皮膜3を透明皮膜とすることが好ましく、酸化
スズ、酸化インジウム、ITOなどの金属酸化物皮膜が
透明性に優れていて好適である。また、このような金属
酸化物皮膜は耐酸化性にも優れていてその点からも好適
である。
【0020】このような発熱皮膜3の形成方法は本実施
例の方法に限定されるものではなく、種々の製膜方法が
採用される。例えば塗料をコーティングしてから乾燥さ
せたり熱処理したりするような方法を採用することがで
きる。また、気相からガラス面上に堆積させる方法で皮
膜を形成する方法は、均質な薄膜を大面積に形成しやす
い点から好ましい。そのように堆積させる方法として
は、物理的蒸着(PVD)法、化学的蒸着(CVD)法
又はスパッタリング法などが例示され、減圧下で製膜す
る方法だけではなく常圧下で製膜する方法も採用可能で
あり、熱処理を施して強固な膜とすることも好ましい。
【0021】発熱皮膜3を薄膜にすることで、ガラス同
士の合わせ面に形成される段差が小さくなり合わせ加工
が容易になる。発熱皮膜3の膜厚は100μm以下であ
ることが好ましく、10μm以下であることがより好ま
しく、最適には1μm以下である。また、通常0.01
μm以上である。ガラス板周縁部の発熱皮膜非形成部2
は、本実施例のように物理的に剥離して形成しても良い
し、化学的にエッチングすることによって形成しても良
い。また、予め周縁部をマスキングしてから所望の領域
にのみ発熱皮膜3を形成してもよい。
【0022】上述のようにして得られた第1のガラス板
1に対し、発熱皮膜非形成部2内に電線引出し孔(6,
6’)を2個開けた。穿孔に際しては、1軸孔開機を使
用し、孔径5mmの孔を10mmの間隔で2個開けた。
発熱皮膜3が形成されている部分に孔を開けた場合に
は、当該孔の周辺で電流密度に乱れを生じて異常発熱す
るおそれがあるため、発熱皮膜非形成部2内に穿孔する
ことが好ましい。本発明の合わせガラスでは樹脂製の中
間膜が発熱皮膜3に接触する構成になることから、異常
発熱によって当該中間膜に発泡等が生じるおそれがあ
る。また、上述のように第1のガラス板に穿孔する代わ
りに、ガラスの端部から電線を引出すことも可能であ
る。
【0023】穿孔後、発熱皮膜3の形成された長方形の
短辺に沿って、発熱皮膜3上に10mmの幅で銀ペース
トを塗布した。使用した銀ペーストは日本黒鉛商事株式
会社製の「エブリオームMG−11」であり、銀粉末と
ガラスフリットを溶剤に分散させたものである。銀ペー
ストが塗布された第1のガラス板1をタムグラス社製強
化炉「HTF2448」に導入し、650℃に加熱した
後、冷風を吹き付けることによって急冷してガラス板を
強化した。強化の際の加熱温度は、基板ガラスがソーダ
ライムガラスの場合で通常600〜700℃である。強
化と同時に焼付けられて形成された電極部(5,5’)
の厚みは15μmであった。こうして得られた一対の電
極部(5,5’)のそれぞれにハンダディップ銅箔から
なる電線(7,7’)をハンダ付け部(8,8’)でハ
ンダ付けした。ハンダ付けされた2本の電線(7,
7’)の長さはそれぞれ電線引出し孔(6,6’)から
引き出せる長さとした。
【0024】発熱皮膜3に直接電線(7,7’)を接続
したのでは、発熱皮膜3を均一に発熱させることが困難
となることから、発熱皮膜3上に電極部(5,5’)が
形成される。電極部(5,5’)は発熱皮膜3の全体を
均一な電流が流れやすいように配置される。例えば発熱
皮膜3の形状が長方形であればその対向する2辺に一対
の電極部(5,5’)を配置することが好ましい。発熱
量は、発熱皮膜3の表面抵抗率、電極間距離、印加電圧
などによって変化するので、これらを適宜調整すること
によって適当な発熱量とすることができる。
【0025】電極部(5,5’)は、発熱皮膜3の上面
に形成される皮膜として設けられる。その材質は、発熱
皮膜3よりも抵抗の小さいものであれば特に限定されな
いが、導電性塗料を塗布してから乾燥させたものが好ま
しい。このような導電性塗料としては銀ペーストやカー
ボンペーストのような、導電粒子含有塗料が好ましく使
用されるが、中でも導電粒子含有セラミックス塗料が、
その後の加熱工程で発泡することがなく耐久性にも優れ
ていて好ましい。電極部(5,5’)の厚みは厚すぎな
い方が、合わせ面に形成される段差が小さくなり合わせ
加工が容易にできて好ましい。厚みは好適には500μ
m以下であり、より好適には200μm以下、最適には
100μm以下である。また、通常1μm以上である。
【0026】当該電極部(5,5’)に電線(7,
7’)が接続されるが電線(7,7’)の素材は特に限
定されない。本実施例のように電線(7,7’)がガラ
ス板間に挟まれる場合には、箔状の電線を使用すること
が好ましい。このような電線を使用する場合には、本実
施例のように電線(7,7’)が樹脂性中間膜9の中に
存在して上下のガラス板と接触しない形で配線すること
が、電線保護の面から好ましい。また、発熱皮膜非形成
部2の領域内を配線することが、短絡防止の面から好ま
しい。本実施例のような配線方法以外にも、例えば、発
熱皮膜非形成部2内において、導電皮膜からなる電極部
5’を延長して電極部5の近くまで配線して、そこに設
けた電線引出し孔6’から引出すこともできる。
【0027】本実施例で使用した第2のガラス板10
は、旭硝子株式会社製の鏡である。当該鏡の仕様は、ソ
ーダライムガラスからなる基板ガラス11の表面に、ま
ず銀メッキによって反射膜12を設け、その上に銅メッ
キ層13を設け、さらにその上にこれらの金属膜を保護
するための塗料をコーティングして乾燥させた保護塗膜
14を設けたものである。寸法は550×1200×
5.0mmである。第2のガラス板としては、このよう
な構成の鏡のみではなく、透明なガラス板であっても良
いし、他の反射膜からなる鏡であっても良い。用途に応
じて適当なものを採用することができる。第2のガラス
板10の基板ガラス11の材質は特に限定されず、ま
た、その厚みは通常2〜10mmである。
【0028】上述のようにして得られた第1のガラス板
1と第2のガラス板10を、2枚の樹脂フィルム(1
5,15’)を介して積層した。樹脂フィルム(15,
15’)としては、株式会社ブリヂストン製のエチレン
−酢酸ビニル共重合体フィルム「SG−14504」
(フィルム厚み:0.4mm)を使用した。本樹脂フィ
ルムは加熱によって架橋反応が進行するものである。ま
た、貼り合わせ装置は、イアヌア社製真空吸引付圧力容
器を使用した。
【0029】本発明で使用できる樹脂製中間膜9は、上
記架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体に限られず、各種
の樹脂が使用可能である。なかでも、安全ガラスとして
の接着性や膜強度の面からは、架橋エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体やポリビニルブチラールが好適に使用され
る。特に、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体が、耐水
性に優れていて好ましい。
【0030】上述のようにして準備した第1のガラス板
1と第2のガラス板10を用いて、図3に示すようにし
て組み立て操作を行った。まず、第1のガラス板1の短
い方の電線7を電線引出し孔6から裏面方向に引出して
おいた。また、ハンダ付け部8’付近に小孔16を開け
た樹脂フィルム15から電線7’を引出しながら、第1
のガラス板1と樹脂フィルム15を重ねた。電線7’を
樹脂フィルム15に沿わせて配置してから、樹脂フィル
ム15の別の小孔16’を通してから電線引出し孔6’
から裏面方向に引出した。その上にさらにもう一枚の樹
脂フィルム15’を重ね、その上に第2のガラス板10
を、保護塗膜14が樹脂フィルム15’と接触するよう
にして載置した。
【0031】こうして組み立てられたものを、前記圧力
容器内に収納し、まず真空にしてから加熱、加圧した。
内部雰囲気の設定温度を135℃にし、13気圧の圧力
を1時間かけた。こうして得られた合わせガラスは、泡
噛みもなく、均質に貼り合わせられていた。放冷後、周
囲にはみ出している中間膜を除去してから、第1のガラ
ス板1裏面に引出されている電線(7,7’)を端子ボ
ックス(図示せず)内で電源(図示せず)と接続してか
ら端子ボックス内をシリコン樹脂で封止した。
【0032】貼り合わせ手法も特に限定されないが、予
め作成した一定厚みの樹脂フィルム(15,15’)を
使用し、該樹脂フィルム(15,15’)を第1のガラ
ス板1と第2のガラス板10との間に挟んで加熱圧着す
るのが、操作が容易で、均一な膜厚のものができて好ま
しい。樹脂フィルム(15,15’)を使用して張り合
わせる際には、常温、常圧下で2枚のガラス板間に樹脂
フィルム(15,15’)を挟み込んだ後、まず減圧し
てから加熱するのが気泡を噛み込みにくくて好ましい。
しかる後に加熱しながら加圧することで、気泡の噛み込
みのない、接着性の良好な樹脂製中間膜9が形成され
る。本実施例では、2枚の樹脂フィルム(15,1
5’)を使用しているが、使用する樹脂フィルムは1枚
であっても3枚以上であっても構わない。例えば、導電
皮膜からなる電極部5’を延長して電極部5の近くまで
配線するような構成の場合には通常、1枚の樹脂フィル
ムが使用される。
【0033】貼り合わせ時の加熱温度は、70〜160
℃とすることが好ましい。樹脂フィルム(15,1
5’)として、加熱によって架橋するエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体を使用する場合には120〜150℃に設
定することがより好ましい。120℃以下の低温で架橋
することの可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からな
る樹脂フィルムも市販されているが、架橋反応に120
℃以上の温度を要するエチレン−酢酸ビニル共重合体の
方が、接着性や耐水性に優れていて好ましい。加熱貼り
合わせ時の圧力は2〜30気圧とすることが好ましく、
より好適には5〜20気圧である。こうして形成される
樹脂製中間膜9の厚みは通常0.2〜2mm程度であ
る。
【0034】特に、第2のガラス板として、ソーダライ
ムガラスからなる基板ガラス11の表面に、まず銀メッ
キによって反射膜12を設け、その上に銅メッキ層13
を設け、さらにその上にこれらの金属膜を保護するため
の塗料をコーティングして乾燥させた保護塗膜14を設
けたものを使用し、樹脂フィルム(15,15’)とし
て加熱によって架橋するエチレン−酢酸ビニル共重合体
を使用する場合には、温度を120〜150℃とし、か
つ圧力を5〜20気圧として、温度を上げすぎずに一定
以上の圧力をかけることによって、保護塗膜14を熱に
よって損傷させずに貼り合わせることができるので特に
好適である。
【0035】こうして得られたヒーター付き合わせガラ
スは、電源、スイッチ、温度センサー、サーモスタッ
ト、変圧器などを適宜使用した電気回路を付属させるこ
とによって、ガラス表面温度が適当な値になるように設
計される。
【0036】本発明のヒーター付き合わせガラスは、防
曇鏡として好適に使用される。特に耐水性と強度に優れ
た合わせガラス構造を有しているので、浴室内など、高
温、多湿の場所や直接水のかかる場所で使用するのに適
している。また、鏡ではなく、透明な合わせガラスとし
ても使用可能である。安全性と強度に優れていることか
ら、自動車や船舶等の窓、建築物の窓あるいは各種装置
のカバーなどにおいて、曇り防止や融雪のために使用す
ることも好ましい。特にフラットで大面積のものを作成
しやすいので、建築物の天窓あるいは太陽電池パネルの
カバーなどに好適である。
【0037】
【発明の効果】本発明によって、防水性及び安全性に優
れたヒーター付き合わせガラスを提供することができ
る。当該合わせガラスは樹脂製中間膜の存在によってガ
ラス破損時の安全性にも優れており、浴室などの防曇鏡
として特に好適に使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施態様である防曇鏡の一実施
例の裏面図(鏡として機能する反対側から見た図)であ
る。
【図2】図1のA−A’断面図の一部を厚み方向に不均
一に拡大して示した模式図である。
【図3】図1の防曇鏡の組み立て方法を示す、B−B’
位置の断面図の一部を厚み方向に不均一に拡大して示し
た模式図である。
【符号の説明】
1 第1のガラス板 2 発熱皮膜非形成部 3 発熱皮膜 4 基板ガラス 5,5’ 電極部 6,6’ 電線引出し孔 7,7’ 電線 8,8’ ハンダ付け部 9 樹脂性中間膜 10 第2のガラス板 11 基板ガラス 12 反射膜 13 銅メッキ層 14 保護塗膜 15,15’ 樹脂フィルム 16,16’ 小孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E016 AA01 AA07 BA01 CA01 CB01 CB02 CC03 CC04 EA05 GA02 3B111 AA01 AB00 AC01 AC02 AC03 AC08 4G061 AA04 AA10 AA23 BA00 BA01 CB05 CB07 CB12 CB16 CD02 CD18 DA24

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚のガラス板が樹脂製中間膜を介して
    積層されてなる合わせガラスであって、第1のガラス板
    の片面の周縁部を除いた領域に通電によって発熱する薄
    膜である発熱皮膜が形成され、該発熱皮膜の上面の一部
    に少なくとも一対の導電皮膜からなる電極部が形成さ
    れ、該電極部に電線が接続されてなり、第1のガラス板
    の発熱皮膜が形成された側の面と、第2のガラス板と
    が、樹脂製中間膜を介して積層されてなるヒーター付き
    合わせガラス。
  2. 【請求項2】 前記発熱皮膜が透明薄膜からなる請求項
    1記載のヒーター付き合わせガラス。
  3. 【請求項3】 前記電極部を構成する導電皮膜が導電粒
    子含有セラミックス焼付け皮膜である請求項1又は2記
    載のヒーター付き合わせガラス。
  4. 【請求項4】 第1のガラス板が強化ガラス板である請
    求項1〜3のいずれか記載のヒーター付き合わせガラ
    ス。
  5. 【請求項5】 前記樹脂製中間膜が架橋エチレン−酢酸
    ビニル共重合体からなる請求項1〜4のいずれか記載の
    ヒーター付き合わせガラス。
  6. 【請求項6】 第2のガラス板の片面に反射膜が形成さ
    れてなり、第1のガラス板の発熱皮膜が形成された側の
    面と、第2のガラス板の反射膜が形成された側の面と
    が、樹脂製中間膜を介して積層されてなる請求項1〜5
    のいずれか記載のヒーター付き合わせガラス。
  7. 【請求項7】 第2のガラス板に形成された反射膜が銀
    からなり、その上に銅からなる膜が形成され、さらにそ
    の上に保護塗膜が形成されてなり、該保護塗膜が前記樹
    脂製中間膜と接着されてなる請求項6記載のヒーター付
    き合わせガラス。
  8. 【請求項8】 浴室用防水防曇鏡である、請求項6又は
    7記載のヒーター付き合わせガラス。
  9. 【請求項9】 第1のガラス板と第2のガラス板とを樹
    脂製中間膜を介して積層する際に加熱圧着する請求項1
    〜8のいずれか記載のヒーター付き合わせガラスの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 樹脂製中間膜の原料として一定厚みの
    樹脂フィルムを使用し、該樹脂フィルムを第1のガラス
    板と第2のガラス板との間に挟んで加熱圧着する請求項
    9記載のヒーター付き合わせガラスの製造方法。
  11. 【請求項11】 導電粒子含有セラミックス塗料を焼付
    ける際に、同時に第1のガラス板を強化する請求項3〜
    8のいずれか記載のヒーター付き合わせガラスの製造方
    法。
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