JP4160485B2 - 割れ検出可能な板ガラス及び板ガラスの割れ検出システム - Google Patents

割れ検出可能な板ガラス及び板ガラスの割れ検出システム Download PDF

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Description

本発明は、割れ検出可能な板ガラス及び板ガラスの割れ検出システムに関するものである。
家屋への侵入犯罪としてのガラス破りや災害時のガラス破壊等を検出するシステムは公知である。
従来のシステムは、ガラスが破壊される際の破壊音や振動を感知するものが多いが、誤作動が多いという問題がある。
特許文献1には、ガラスの表面若しくは内部に抵抗体を設置しておき、ガラスが割れて抵抗体が断線されることによってガラス割れを検出するガラス割れ検出装置が記載されている。この特許文献1には、ガラスに設置させる抵抗体として、透明導電膜でもよい旨が記載されている。
また、この抵抗体に関し、所定の面積を持つ抵抗体を窓ガラスの全部若しくは一部に配置する旨が記載されている。
特開2001−141649号公報(図3)
ガラスに導電膜を形成する場合、抵抗体である導電膜の断線を検出する装置に延びる配線端子と当該導電膜とを接続する電極が当該導電膜上に必要となる。しかし、特許文献1には、そのような電極を設けることはもちろん、その配置についても何ら記載されていない。
上述のような従来技術の場合、電極を導電膜上に設けて、当該電極に検出装置の配線端子を接続することが考えられる。そうすると、ガラス面上に当該端子が露出することとなり、美観を著しく損なうこととなる。
なお、導電膜上に配線や端子が位置することになるので、当該導電膜上に保護フィルムなどの他部材を設ける等の場合に大きな障害となり、板ガラスとしての設計上の自由度を著しく制約することになる。
本発明は、ガラス割れ検出のために板ガラスに導電膜を設け、この導電膜に電極を設置する場合に、美観を損なわない板ガラス及びガラス割れ検出システムを提供することを目的とする。
板ガラスの割れ検出システムに係る本願発明は、ガラスからなる基板と、前記基板の少なくとも一のガラス面に形成された導電薄膜と、前記導電薄膜の表面上に形成された対の電極部と、前記対の電極部に接続される対の端子を有し、前記対の電極部間の前記導電薄膜の抵抗値を検出する抵抗検出器と、を有し、前記基板の木口表面には、前記導電薄膜が形成されておらず、絶縁状態であり、前記対の電極部は、それぞれ、前記導電薄膜の表面上から絶縁状態の前記木口表面上にわたって形成され、前記電極部のうち絶縁状態の前記木口表面上に形成された部分が、前記抵抗検出器の前記端子が接続される接続部とされていることを特徴とする。
この場合、抵抗検出器の端子が接続される接続部が木口表面上に配置されるので、ガラス面上に端子を露出させない構成をとることが可能となる。
なおここで、「ガラス面」とは、ガラスからなる基板の表面のうち、木口以外の表面のことをいうものとする。
また「木口」とは、基板の側面のことをいう
前記木口表面上の前記電極部に接続された前記端子を覆うことなく、前記導電薄膜と前記導電薄膜表面上の前記電極部とを覆うように貼り付けられたフィルム材を備えているのが好ましい。
この場合、端子は木口表面上の電極部に接続され、当該フィルム材と導電薄膜との間に端子が介在することがないので、フィルム材を外観良く貼り付けることができる。また、接続部は木口表面に配置されているから、フィルム材を貼りつけた後でも当該接続部に端子を接続することができる
また、前記導電薄膜は、複数枚のガラス基板間に中間膜を挟んだ合わせガラスにおける当該ガラス基板の前記中間膜側のガラス面に形成され、前記木口表面上の前記電極部に接続された前記端子が、前記中間膜によって覆われることなく、前記導電薄膜表面上の前記電極部が前記中間膜と前記導電薄膜との間に挟まれている構成としてもよい。
この場合、端子は木口表面上の電極部に接続され、当該中間膜と導電薄膜との間に端子が介在することがない。したがって、合わせガラス化が容易になるとともに、美観に優れた合わせガラスとすることができる。また、接続部は木口表面に配置されているから、合わせガラス化された後でも当該接続部に端子を接続することができる
また、前記導電薄膜は、複数枚のガラス基板間に内部空間を有しペアガラスとして構成された板ガラスにおける当該ガラス基板の前記内部空間側のガラス面に形成され、前記木口表面上の前記電極部に接続された前記端子が、前記複数のガラス基板間に設けられた封着材によって覆われることなく、前記導電薄膜表面上の前記電極部が前記封着材と前記導電薄膜との間に挟まれている構成としてもよい。
この場合、端子は木口表面上の電極部に接続されるので、ペアガラスの内部空間に端子を設けずに済む。よって、ペアガラス化が容易になるとともに、美観に優れたペアガラスとすることができる。
前記導電薄膜上の電極部(検出部は、その厚みが10μm〜100μmであるのが好ましい。この場合、検出部が100μm以下と薄いので、検出部が目立たなくなり、美観が向上する。また、導電膜上にフィルム材等の他部材を設ける場合には、検出部が当該他部材と導電薄膜との間に介在した状態となるが、検出部が薄いので、当該他部材と導電膜との間に生ずる隙間が無くなるかまたは最小限とすることができる。よって、板ガラスの透明性の劣化を最小限とすることができ、美観が向上する。さらに、厚みが10μm以上であるので、検出部として必要とされる導電性が十分確保される。
前記対の電極部は、導電性ペーストとするのが好ましい。この場合、導電性ペーストを所望位置に塗布することにより、導電薄膜上から木口にまで電気的に導通する検出部及び接続部を容易に形成することができる。また、これら各部を薄くすることが容易となる。
前記基板は、前記導電性ペーストの塗布後に、強化ガラスとするための熱処理が施されたものであるのが好ましい。この場合、導電ペーストが導電薄膜に融着する。
前記対の電極部は、それぞれ、導電性ペーストを前記導電薄膜の表面上から前記絶縁状態の前記木口表面上にわたって塗布することで形成されているのが好ましい。
また、前記対の電極部は、銀ペーストであるのが好ましい。
前記導電薄膜は、膜厚が0.05μm〜5μmであるのが好ましい。膜厚が5μmよりも大きいと、基板に割れが生じても導電薄膜が確実に破断せず抵抗値の増大がないか少ないため割れ検出の確実性が低下する。また、膜厚が0.05μmよりも小さいと抵抗値が低くなりすぎて割れの検出がしにくい傾向となる。なお、膜厚としては、3μm以下であるのが好ましく、さらには2μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm〜2μmである。
前記基板は、強化ガラスからなる構成としてもよい。この場合、基板のいずれの位置に衝撃が加わって割れても、基板全体が割れる。したがって、電極部から離れた位置に衝撃が加わった場合でも、対の検出部間にまで割れが広がり、当該検出部間の抵抗値が確実に増加するので、割れの検出がより確実となる。
このように強化ガラスを用いた場合、前記対の検出部は、3〜30cm程度の間隔をもって配置されているのが好ましい。このようにすると、対の接続部が近接しているので、これら各接続部に接続される各配線の取り扱いが容易となる。
また、前記対の接続部は、いずれも同一の木口面内に配置されているのが好ましい。この場合、各接続部に接続される各端子が同一の木口面内に配置されるので、各端子に接続する各配線の取り扱いが容易となる。
なお、「同一の木口面内」とは、例えば矩形のガラス基板の場合では、当該矩形を構成する四辺の各辺に沿う四側面のうちの一側面内のことである。
前記対の電極部における前記接続部のうちの一方は、他方の接続部に向けて絶縁状態の前記木口表面上で延設されており、前記対の接続部に接続された前記対の端子間隔を、前記導電薄膜上における前記対の電極部の間隔よりも小さくしてもよい。このようにすると、導電薄膜上における対の電極部の間隔を広く確保して割れの検出を容易としつつ、対の端子間隔を近接させることにより各端子に接続する配線の取り扱いを容易とすることができる
また、板ガラスに係る本発明は、板ガラスの割れ検出システムに用いられる板ガラスであって、ガラスからなる基板と、前記基板の少なくとも一のガラス面に形成された導電薄膜と、前記導電薄膜の表面上に形成された対の電極部と、を有し、前記基板の木口表面には、前記導電薄膜が形成されておらず、絶縁状態であり、前記対の電極部は、それぞれ、前記導電薄膜の表面上から絶縁状態の前記木口表面上にわたって形成され、前記電極部のうち絶縁状態の前記木口表面上に形成された部分が、前記対の電極部間の前記導電薄膜の抵抗値を検出する抵抗検出器の端子が接続される接続部とされていることを特徴とする。
本発明によれば、電極部のうち接続部が木口表面上に配置されるので、当該木口表面の接続部に端子を接続することができ、ガラス面上にかかる端子を露出させない構成とすることができる。
以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1〜図4は、建物の窓や戸に用いられるガラスの割れ検出システムを示している。このシステムは、建物への侵入者や災害などを検出するために用いられる建物用ガラス割れ検出システムであり、板ガラス(割れ検出用ガラス)1と、割れることによって板ガラス1に生じる抵抗変化を検出する抵抗検出器2と、を備えている。ここで、図1は板ガラス1の正面図、図2はその側面図であり、図3は図1及び図2のX−X線における断面図である。また、図4は抵抗検出器2の回路図である。
なお、図3はX−X線の断面図、即ち、電極部5部分の断面図であるが、電極部6部分における断面図も同様の構成となる。よって、図3及び後述の図5〜図7においては、括弧書きで電極部6部分における断面図の符号を付している。
板ガラス1は、建物などの構造体のガラス窓用開口部に装着されるものであって、フロート板ガラスを熱処理(加熱後風冷)して強化ガラスとした基板3の有する表裏両面のガラス面3a,3bのうち片方のガラス面3a全体に導電薄膜4が形成されてなる板ガラス本体を備えている。さらに、板ガラス1は、基板3の辺縁部において所定間隔をもって配置された対の電極部5,6を備えている。
板ガラス本体は、基板3となる生板ガラスの一面3aにCVD又はスパッタリングなどの適宜の薄膜形成法によって透明な導電薄膜(金属薄膜)4をコーティングして熱処理前板ガラス本体を作製した後、これを熱処理することによって強化ガラス化したものである。CVD又はスパッタリングなどで導電薄膜4を形成することで、基板3と導電薄膜4とが一体的に割れやすくなる。
特に、フロート板ガラスの製造工程中において、ガラスが加熱されている状態で金属(金属の気化混合ガス)をガラス面と反応固着させて(CVDなどにより)コーティングすることで、金属薄膜とガラス表面がより一体化して強度が高まるとともに、基板3と薄膜4とが一体的に割れやすくなる。
導電薄膜4は、基板3程度の硬度を有するハードコーティングであるのが好ましく、上記の製法の場合、導電薄膜4の表面硬度はモース硬度で6程度であり、基板3のモース硬度約6.5と同程度の硬度となっている。
なお、基板3を強化ガラス化した後にスパッタリングなどで導電薄膜4を形成してもよい。導電薄膜4の形成前に強化ガラス化処理を行うと、強化熱処理による導電薄膜4の変色を回避できる。
対の電極部5,6は、熱処理前板ガラス本体の導電薄膜4上に導電性ペースト(銀ペースト;金属ペースト)をスクリーン印刷等により印刷塗布して得た。導電性ペーストを塗布して乾燥させた後、強化ガラスとするための熱処理(加熱風冷)をすることで、板ガラス本体が強化ガラス化するとともに、導電性ペーストが導電薄膜4に融着結合する。導電性ペーストを導電薄膜4に融着させることで、導電性ペーストは電極用途として適当な耐電圧・耐電流強度や導電薄膜―電極間の抵抗値の安定性が得られる。また、電極部5,6の剥離も防止できる。なお、対の電極部5,6は、強化熱処理後に形成してもよい。
図1及び図2に示すように、対の電極部5,6には、端子として、スズ又は銀等でメッキされた銅製薄板8a,8bがそれぞれハンダ付けにより取り付けられており、さらにこれら銅製薄板8a,8bのそれぞれにはリード線7a,7bがそれぞれハンダ付けにより取り付けられている。これら銅製薄板8a,8b及びリード線7a,7bを介して、板ガラス1と抵抗検出器2とが接続されている。なお、対の電極部5,6は、銅製薄板8a,8bをハンダ付けできる程度の大きさで局所的に形成すれば十分であり、図1及び図2に示すような小さいもので足りる。よって、高価な導電性ペーストの使用量が少なくて済む。
図4に示すように、抵抗検出器2は、対の電極部5,6間の抵抗R1の変化を検出するものであり、板ガラス1側のかかる抵抗R1を含めて構成されるブリッジ回路を有している。図1のリード線7aは図4の回路におけるAと接続され、リード線7bは同Bと接続される。このブリッジ回路を構成する抵抗としては、抵抗検出器2内に抵抗R2,R3,R4を備えており、板ガラス1の対の電極部5,6間が割れていないときは、R1−R2間の電位V1と、R3−R4間の電位V2とが等しくなるように、各抵抗R2,R3,R4の値が設定されている。このとき、V1,V2を入力とする差動アンプ10の出力(警報出力信号9は小さく(=0)なる。
一方、板ガラス1の電極部5,6間が割れて抵抗R1の抵抗値が増大すると、V1とV2との差が大きくなり、ブリッジの平衡が失われ、差動アンプ10の出力が大きくなる。差動アンプ10の出力は、図示しない警報機等に与えられ、ガラス割れに対する警報を屋内、屋外、又は警備会社等に発することができる。
図3に示すように、電極部5は、断面略L字状とされるとともに、導電薄膜4上に配置された検出部5aと、基板3の木口(側面)3cに配置され検出部5aと電気的に導通する接続部5bとからなる。同様に、電極部6は、断面略L字状とされるとともに、導電薄膜4上に配置された検出部6aと、基板3の木口(側面)3cに配置され検出部6aと電気的に導通する接続部6bとからなる。端子としての銅製薄板8a,8bは、電極部5,6のうちの接続部5b,6bに接続している。一方、基板3のガラス面3aに形成された導電薄膜4上には、電極部5,6のうち検出部5a,6aが配置されている。これら検出部5a,6aには、銅製薄板8a,8bは接続されていない。導電薄膜4は基板3のガラス面3aにのみ形成されており、基板3の木口及び他のガラス面3bには形成されていない。
対の検出部5a,6aは、対の電極部5,6間の抵抗を検出する電極としての役割を果たし、対の接続部5b,6bは、端子としての銅製薄板8a,8bが接続される接続部分としての役割を果たす。
このような構成とすることにより、木口3cに配置された接続部5b,6bに端子としての銅製薄板8a,8bが接続しているので、これら銅製薄板8a,8bをガラス面3a,3b上に設けずに済む。したがって、銅製薄板8a,8bなどの端子あるいはこれらと接続するリード線7a,7bを目立たなくすることができ、板ガラス1としての美観が向上する。
また、導電薄膜4が形成されたガラス面3a上に銅製薄板8a,8bやリード線7a,7bを配置せずに済むので、ガラス面3a上に他部材を設置することが容易となる。例えば、図1において点線で示す枠(サッシ等)Fの範囲内に検出部5a,6aを設ける場合に、当該サッシ等とガラス面3aとの間に銅製薄板8a,8bやリード線7a,7bが介在しないので、当該サッシ等への組み付けが極めて容易となる。さらに、ガラス面3a上の導電薄膜4側にフィルム部材を貼り付けたり、導電薄膜4側に中間膜を貼り合わせて合わせガラス化したりする等の場合にも、これら部材と基板3との間に銅製薄板8a,8bやリード線7a,7bが介在することがない。したがって、これら貼り付け等が可能となり、板ガラス1としての設計自由度が向上する。この点については後述の他の実施形態において更に説明する。
本第一実施形態に係る板ガラス1では、基板3は強化ガラスからなる。よって、図1に示すように、対の電極部5,6から離れた位置Pが割れの起点である場合であっても、この割れが瞬時に基板3の全面に波及して(図1の矢印参照)細片化(あるいは小片化)し、全体が粒状に割れる。よって、この割れは対の電極部5,6間にも波及することになる。この際、基板3表面にコーティングされた導電薄膜4も基板3に追従して細片化した破断形状となり、破断した破片間の抵抗が増大して絶縁状態となる。このように、強化ガラス化した場合には、対の電極部5,6を近接させても抵抗値の変化を検知できることとなる。また、導電薄膜4は、対の電極部5,6間に存在すれば足りる。即ち、導電薄膜4は、基板3のガラス面全体にあってもよいが、対の電極部5,6間に部分的に存在していても足りる。
このように、強化ガラスを用いた場合には、対の電極部5,6における検出部5aと同6aとの間隔を近接させることが可能となる。この場合、当該間隔は一般に1〜50cm程度に設定され、より好ましくは3〜30cm程度に設定される。この間隔が近接するほどリード線7a,7bの配線の取り扱いが容易となるので好ましい。ただし、近接させすぎると割れたときの細片の大きさよりも当該間隔が小さくなって割れを正確に検知できない場合がある。
割れたときの細片の大きさは強化ガラスの強化度の度合いによって異なるので、この強化度に合わせて検出部5aと同6aとの間隔を設定するのが好ましい。即ち、割れたときに比較的細かく細片化されやすい通常の強化ガラス(全強化ガラス)の場合、当該間隔は1〜15cm程度が好ましく、3〜15cm程度がより好ましく、8〜15cm程度が更に好ましい。
また、割れたときのガラス片が比較的大きい半強化ガラスの場合、検出部5aと同6aとの間隔は20cm以上に設定するのが好ましい。
より詳細には、半強化ガラスのうち比較的強化度の高いもの(応力値が70MN/m2〜90MN/m2程度)では20〜50cm程度が好ましく、20〜30cm程度がより好ましい。
半強化度が中程度のもの(応力値が40MN/m2〜70MN/m2程度)は30〜120cmが好ましい。
半強化度が低いもの(応力値が20MN/m2〜40MN/m2程度)は120cm〜480cmが好ましい。
本実施形態では、対の電極部5,6における接続部5b,6bは、いずれも同一の木口面内に配置されている。即ち、図1に示すように、長方形の基板3の木口(側面)3cは4つの木口面(側面)3c1,3c2,3c3,3c4より構成されているが、接続部5b,6bはいずれも同一の木口面3c1内に配置されている。よって、リード線7a,7bの取り扱いが容易となる。
導電薄膜4は、膜厚Mが0.05μm〜5μmであるのが好ましい。膜厚Mが5μmよりも大きいと、図10(a)に示すように、基板3に割れが生じても導電薄膜4の厚さ方向の破断B1が完全でないところが多く生じ、破片間が確実に絶縁されず、抵抗値の増大が十分に検出されない場合が多くなった。
一方、図10(b)に示すように導電薄膜4の膜厚Mを薄くすると、基板3に生じた割れが導電薄膜4にもほぼ完全に波及し、破片間にほぼ完全な破断B2が生じて、破片間が確実に絶縁される。例えば、膜厚Mが5μm程度であれば、抵抗の増大を検出可能であった。膜厚Mを3μm以下にすると、抵抗の増大を一層確実に検出できるようになった。2μm以下にすると、ほとんどの場合、確実に抵抗増大を検出できた。
また、膜厚Mが0.05μmよりも小さいと膜としての十分な厚さとならないため、膜厚Mは0.05μm以上が好ましい。より好ましくは0.1μm以上であり、膜厚Mを0.1μm〜2μmの範囲内とした場合に特に良好な導電薄膜4が得られた。
また、導電薄膜4の膜厚Mに関する他の設計方針としては、基板3の破断箇所における破断面間隔よりも導電薄膜4の厚さを薄くするのがよい。例えば、図11に示すように一辺の長さD1が1000mmの基板3が割れることで当該一辺側からみて133カ所の破断箇所Bが発生し、その結果、当該一辺の長さが0.5mm長くなって1000.5mmとなる基板3の場合、一つの破断箇所Bにおける破断面間隔Eは約3.76μm(≒500μm÷133)である。導電薄膜4の膜厚Mが基板3の破断面間隔Eよりも大きいと、基板3が割れても導電薄膜4が破断しにくくなるため、導電薄膜4は破断面間隔Eである約3.76μmよりも小さいのが好ましい。また、導電薄膜4のより確実な破断のために、導電薄膜4の膜厚は基板3の破断面間隔Eの半分以下であるのがより好ましい。したがって、例えば、導電薄膜4は1μm以下とすることができる。
なお、膜厚Mを基板3の破断面間隔Eよりも小さくするという設計手法は、導電薄膜4の上にフィルム材を貼り付けたり、合わせガラスとした場合の中間膜が導電薄膜4上に位置するようにした場合などのように、導電薄膜4が他の部材(フィルム材、中間膜など)によって保護される場合に特に好ましい。なぜならこの場合は、基板3に割れが生じても破片がフィルム材や中間膜などに拘束されるため、前記破断面間隔Eが比較的小さくなり、導電薄膜4がより破断しにくい状態となるので、膜厚Mの薄肉化がより重要となるからである。また、基板3が割れた後であってもガラス破片が飛散せず拘束されるので、前述のように割れた後のガラス板の大きさを測定することにより、前記破断面間隔Eをより明確に算定できることも好ましい理由である。
導電薄膜4の形成法としては、CVD又はスパッタリング以外に、スクリーン印刷法によって薄膜を印刷し、その後乾燥させ、強化ガラス化するための熱処理工程で導電薄膜4と基板3とを融着一体化させてもよい。ただし、スクリーン印刷法の場合、膜厚Mが5μmを超えてしまいやすく、割れの検出精度がやや低下する。
導電薄膜4が板ガラス本体に形成されていることで、板ガラス本体の表面を電流が流れることができる。なお、導電薄膜4の抵抗値は、例えば、一辺が約1mである略正方形のガラス基板において、対向する二辺の各全長に亘って対の検出部を設けた場合で、20Ω/m2程度である。また、板ガラス本体は、導電薄膜4によって低放射板ガラスとして機能しており、断熱性に優れた板ガラスとなっている。
対の検出部5a,6a間の抵抗値R1としては、10Ω〜200Ω、好ましくは10Ω〜100Ω程度に低く抑えておくことで、電極部間の破断によって増大する抵抗値との差が大きくなって検出が容易となり有利である。つまり、電極部5,6間が電気的に完全に断絶された場合には、電極部5,6間の抵抗値R1は無限大あるいはほぼ絶縁状態(数MΩ)となって、抵抗増大を確実に検出できるが、電極部5,6間の断絶が完全でない場合(部分的な導電状態が維持されている場合)は、抵抗値は大きくなるものの相対的な増加量が小さくなる。このため、割れる前の電極部5,6間の抵抗値が大きすぎると抵抗値の増加を検出しにくく、破断が完全でない場合には誤検出を生じるおそれがあるが、電極部5,6間の抵抗値を低く抑えておくことで、相対的な増加量が大きくなり、破断が完全でない場合であっても確実な検出が行える。
抵抗検出器2を対の検出部5a,6aに接続して検出を行う際には、対の検出部5a,6a間の表面電力密度は低い方が好ましい。表面電力密度を低く抑えることで、導電薄膜4の劣化を防止できる。また、導電薄膜4上にフィルム材や合わせガラスの中間膜が位置する場合には、当該フィルム材や中間膜の劣化も防止できる。具体的には、対の検出部5a,6a間の表面電力密度は、0.1W/cm2以下であるのが好ましく、0.06W/cm2であるのがより好ましい。
なお、抵抗R1の変化を検出する方式は、上述のものに限らず、抵抗の変化を検出するものであれば、他の方式も採用可能である。
また、ブリッジ回路に与えられる電圧Vccとしては、DC6〜24V程度が好ましい。抵抗検出器2の電源としては、停電にも対応できるように蓄電池を用いても良い。
また、抵抗検出器2は、小型にできるため、窓の戸の枠に内蔵させてもよいし、ガラス面上に配置するなど外部に露出させてもよい。
図5は、本発明の第二実施形態に係る板ガラス1の断面図(第一実施形態の図3に相当する断面図)である。ここでは、前記の第一実施形態の板ガラス1の構成に加え、基板3の導電薄膜4とこの導電薄膜4上に配置された検出部5a,6aとを覆うように貼り付けられた透明なフィルム材11を備えている。この場合、銅製薄板8a,8bは接続部5b,6bと接続しており、検出部5a,6aには接続していない。したがって、検出部5a,6aとそれを覆うフィルム材11との間に銅製薄板8a,8bあるいはこれと接続するリード線7a,7bが介在しない構成とされている。ここに銅製薄板8a,8b等が介在すると、導電薄膜4とフィルム材11との間の介在物の厚みが大きくなり、当該介在物の周囲に発生する隙間S(図5参照)が広範囲に広がり、この部分が白濁等の外観を呈して美観を損ねる。しかし、本実施形態では、導電薄膜4とフィルム材11との間には検出部5a,6aが介在するのみであるから、隙間Sの存在する範囲は最小限に抑えられる。よって美観が良好となる。
また、フィルム材11によりガラス破損時のガラス破片の散乱が防止されて安全性が高まる。
さらに、検出部5a,6aの厚みTを10μm〜100μmとすると、前記隙間Sは無視できる程度に小さくなるか、又はほとんど無くなり、美観が更に良好となるので好ましい。このように、厚みTは薄いほど美観上有利であるが、薄すぎると電極部として必要とされる導電性が確保できない場合がある。以上の観点から、厚みTは、10μm〜50μmがより好ましく、10μm〜30μmが更に好ましく、15μm〜22μmが更に好ましい。 電極部5,6を10μm〜100μm程度の厚みとするには、前述のように導電性ペーストを用いるのが好ましい。導電性ペーストをスクリーン印刷等で塗布することにより、かかる厚みの電極部5,6を容易に形成することができる。
図6は、本発明の第三実施形態に係る板ガラス1の断面図であり、2枚の基板3の間に中間膜9が挟まれて合わせガラスとして構成されている。この中間膜9は、ポリビニルブチラールなど合わせガラスの中間膜として通常用いられる材質からなる。この中間膜9の膜厚は通常0.76mm〜1.52mm程度とされる。
導電薄膜4は、2枚の基板3のうちの1枚のみに設けられ、且つ、一の基板3の裏表二つのガラス面3a,3bのうち一の(片面の)ガラス面3aのみに設けられている。そして、導電薄膜4が基板3の中間膜9側(内側)とされた合わせガラスとなっている。電極部5,6の検出部5a,6aは、導電薄膜4上に設けられているから、上記のように導電薄膜4を中間膜9側にした合わせガラスにおいては、検出部5a,6aがガラス面3a上の導電薄膜4と中間膜9との間に挟まれて構成される。この場合、基板3と中間膜9との間に銅製薄板8a,8bやリード線7a,7bが介在することとなれば、合わせガラス化は事実上困難となる。しかしながら、本実施形態では、銅製薄板8a,8bやリード線7a,7bは木口3cに配置された接続部5b,6bに接続されているため、基板3と中間膜9との間に銅製薄板8a,8bといった端子やリード線7a,7b等が介在することがなく、合わせガラス化が可能となる。
この場合さらに、前述のように検出部5a,6aの厚みを薄くすることにより、合わせガラス化が更に容易となる。
さらに、導電薄膜4及び検出部5a,6aは基板3と中間膜9とに挟まれて保護されているので、電気抵抗が安定する。
そして、中間膜9を挟み込んだ合わせガラスであるから、割れにくいため防犯性が高まるとともに、割れた際の破片の飛散が防止されて安全性が高くなっている。
なお、前述したように、合わせガラスの場合は、基板3に割れが生じてもなおガラス破片が中間膜に拘束されるため、前記破断面間隔Eが比較的小さくなり、導電薄膜4がより分離しにくい状態となる。この場合、対の検出部5a,6a間距離が200mmであり且つ基板3が強化ガラス(完全強化ガラス)でない条件下において、当該検出部間の抵抗値R1は、ガラス破損前が30Ω程度であったのに対し、ガラス破損後は65Ω程度であった。このように、ガラス破損後の抵抗値R1が無限大あるいは数MΩとならなくても、30Ωから65Ω程度に変化すれば、かかる抵抗値の変化は容易に検出可能であり、割れが検出できる。なおこの場合、基板3の厚みが4mm以上であれば、当該基板3を完全強化ガラス化することができるが、この場合はガラス破損後の破片数が増加するので、ガラス破損後の抵抗値R1は数百Ω〜数千Ωとなり、より高精度な割れ検出が可能となる。
このように、合わせガラスに設けられた複数の基板3のうちの1枚のみに割れが生じた段階(複数枚の基板3のうち他の基板3は割れていない段階)であって、前記破断面間隔Eが比較的小さい段階であっても、当該割れた基板3に導電薄膜4を設けておけば割れの検出が可能である。さらに、侵入者が合わせガラスを破壊して家屋等に侵入しようとする場合、この侵入者は、複数の基板3のうちの1枚を破壊するのみならず、中間膜で貼り合わされた他の基板3をも破壊することになる。即ち、かかる侵入者の侵入行為が成立するためには、合わせガラスの少なくとも一部を完全破壊して穴を開ける等を行う必要があるから、かかる完全破壊の前段階において、中間膜9により貼り合わされた複数の基板3のいずれにも割れが生じた状態(以下、両面割れ状態などという)を必ず経由することになる。このような両面割れ状態では、ガラス破片が飛散しているわけではないが、中間膜9に僅かな伸びが生じ、1枚の基板3のみに割れが生じた場合と比較して前記破断面間隔Eが大きくなる。よって、前記抵抗値R1が更に大きくなるので、更に高精度な割れ検出が可能となる。さらに、複数の基板3の全てを強化ガラス又は半強化ガラスとしておけば、前記両面割れ状態において、中間膜9による拘束が全面的に解放されて破片の分離が促進されるため、ほぼ断線に近い数MΩという高い抵抗値となり、さらなる高精度な割れ検出が可能となる。
図7は、本発明の第四及び第五実施形態の板ガラス1の断面図である。これらの実施形態は、2枚の基板3間に内部空間を有しペアガラスとして構成された板ガラスのうち、当該内部空間に乾燥空気が封入された複層ガラスである。なお、この内部空間にアルゴン等空気以外の気体を封入してもよく、また真空にしてもよい。
図7(a)及び図7(b)は、いずれも複層ガラスのなかでも、一般に低放射ガラス(Low−Eガラス)と言われている板ガラスであり、導電薄膜4としてスパッタリング法等により成膜された特殊金属膜が用いられている。この特殊金属膜としては、銀系、チタン系、スズ系、ニッケル系、クロム系等の種々の金属の膜が用いられている。
図7(a),(b)とも、2枚の基板3間の内部空間が乾燥空気層12とされている点、乾燥空気層12側に導電薄膜4が形成されている点、乾燥空気層12の辺縁部であって2枚の基板3相互間には乾燥剤13と封着材(一次封着材15と二次封着材14)とが設けられている点、乾燥空気層12と乾燥剤13(及び一次封着材15)との間はアルミ製のスペーサ16で仕切られている点は共通である。乾燥剤13は乾燥空気層12内の空気を乾燥させる役割を果たし、封着剤14,15は乾燥空気層12の気密性を高める役割を果たす。スペーサ16には、図示しないが貫通孔が適宜設けられており、乾燥空気層12と乾燥剤13との間の通気性を確保している。これら複層の板ガラス1は、乾燥空気層12により高い断熱性を備える。
図7(a)の第四実施形態と、図7(b)の第五実施形態との第一の相違点は、導電薄膜4の配置である。即ち、図7(a)の第四実施形態では、乾燥空気層12を挟んだ2枚の基板3のうち室外側の基板3に導電薄膜4(特殊金属膜)が設けられている。一方、図7(b)の第五実施形態では、室内側の基板3に導電薄膜4(特殊金属膜)が設けられている。
図7(a)の第四実施形態は、遮熱複層ガラス用途に用いられるのに対して、図7(b)の第五実施形態は、高断熱複層ガラス用途として用いられる。
つまり、図7(a)の第四実施形態では、室外側に導電薄膜4としての特殊金属膜が設けられているので、太陽光線の熱エネルギーを効果的に遮り、建物の室内温度を夏期には比較的涼しくすることができ、且つ冬季には乾燥空気層12の断熱効果により室内温度を暖かくすることができる。
一方、図7(b)の第五実施形態では、室内側に導電薄膜4としての特殊金属膜が設けられているので、暖房熱(遠赤外線)を室内に反射し、部屋の暖かさをより逃がしにくくするとともに、窓辺の冷え込み(冷え冷えゾーン)を解消して暖房費を節約するのに適した、寒冷地用の板ガラス1となる。
図7(a)の第四実施形態と図7(b)の第五実施形態との第二の相違点は、検出部5a,6aの配置である。即ち、これら検出部5a,6aは導電薄膜4上に配置するものであるから、図7(a)の第四実施形態では室外側の基板3の乾燥空気層12側に検出部5a,6aが形成されており、図7(b)の第五実施形態では室内側の基板3の乾燥空気層12側に検出部5a,6aが配置されている。
そして、図7(a)の第四実施形態及び図7(b)の第五実施形態のいずれも、接続部5b,6bは、検出部5a,6a端部から当該検出部5a,6aの配置された基板3の木口3c上に延びている。その結果、図7(a)の第四実施形態では、接続部5b,6bは検出部5a,6a端部から室外側に向かって延びているのに対し、図7(b)の第五実施形態では、接続部5b,6bは検出部5a,6a端部から室内側に向かって延びている。 さらに、検出部5a,6aには端子としての銅製薄板8a,8bの一端側がはんだ付けされているが、この銅製薄板8a,8bの他端側は、これら第四及び第五実施形態のいずれも室内側に向かって突出している。このようにすると、銅製薄板8a,8bに対して配線たるリード線7a,7bを室内側から接続でき、配線の取り扱いが容易となるので好ましい。
図7(a)の第四実施形態と図7(b)の第五実施形態とに共通するが、導電薄膜4上に設けられた検出部5a,6aは、第二封着材14と導電薄膜4(基板3)との間に挟まれた状態となっている。一方、銅製薄板8a,8bやリード線7a,7bは木口3c側に設けられた接続部5b,6bに接続しているので、銅製薄板8a,8bやリード線7a,7bが第二封着材14と基板3との間(もしくは、対面する2枚の基板3相互間)に介在することがない。よって、複層ガラス化あるいはペアガラス化が容易となる。
この場合も、検出部5a,6aの厚みを薄くすることにより、複層ガラス化あるいはペアガラス化が更に容易となる。
検出部5a,6aは、第四及び第五実施形態のように第二封着材14と導電薄膜4との間に介在させる場合のほか、第一封着材15や乾燥剤13と導電薄膜4との間に介在させてもよく、また乾燥空気層12内に露出させてもよい。いずれにしても、検出部5a,6a及び導電薄膜4は乾燥空気層12側に配置されており、外側に露出していないので、外部から保護されて電気抵抗が安定化する。
図6に示す第三実施形態に係る合わせガラスや、図7に示す第四及び第五実施形態に係る複層ガラスは、通常の合わせガラス作製方法及び通常の複層ガラス作製方法に準じて作製することができる。この際、電極部5,6は当該合わせ化あるいは複層化の工程中において適宜挟み込めばよい。
また、電極部5,6を導電性ペーストにより作製する場合には、まず基板3状に導電薄膜4を形成し、その後基板3のガラス面上(導電薄膜4上)から木口3cに至る導電性ペーストよりなる電極部5,6をスクリーン印刷等の手法により印刷塗布する。そして、この導電性ペーストを乾燥させた後、通常の手法で合わせ化あるいは複層化を行えばよい。
図8は、第六実施形態に係る板ガラス1であり、図8(a)はその側面図、図8(b)はその正面図である。これは、図1及び図2に示す第一実施形態と同様、単層の基板3よりなるものであるが、対の検出部5a,6aの配置間隔及び接続部6bの仕様が前記第一実施形態と相違する。
対の検出部5a,6aの配置間隔は、前記第一実施形態よりも広くなっている。そして、接続部6bは、検出部6aの木口3c側近傍に位置する検出部近傍部分6b2と、この検出部近傍部分6b2から木口3c上を木口面3c1の長手方向に沿って延びる木口延設部6b1とを有している。この木口延設部6b1は、手塗り又はスクリーン印刷等の適宜の手法で導電性ペーストを木口面3c1に塗布したものである。
かかる木口延設部6b1を設けることにより、対の端子としての銅製薄板8a,8bにおけるリード線7a,7bの接続位置の間隔dsを、対の検出部5a,6aの配置間隔dkよりも小さくしている。このようにすると、検出部5a,6aの配置間隔dkを大きく確保して割れの検出が容易となり、また割れ検出の精度が高くなるのに加え、前記間隔dsを比較的小さくでき配線の取り扱いが容易となる。さらに、間隔dsの距離を適宜に設定しながら配置間隔dkを自由に設計できるので、高精度の割れ検出精度を備えた板ガラス1の設計自由度が極めて高くなる。例えば、基板3のガラスの特性に合わせて割れが検出できるように配置間隔dkあるいは検出部5a,6aの配置位置を適宜設定することができる。したがって、基板3が強化ガラスの場合のみならず、半強化ガラスあるいは通常のガラス(非強化ガラス)であっても、それぞれのガラスに対応した仕様を採用することができる。
なお、木口3cには導電薄膜4が形成されていないので、木口3c表面は絶縁状態である。よって、木口延設部6b1が、他方の接続部5bと電気的に導通してしまうことはない。つまり、間隔ds間で電気的に導通してしまうことはない。したがって、抵抗値の検出は検出部5a,6a間のみでなされ、前記配置間隔dkを大きくした効果が確実に奏される。また、木口延設部6b1は板ガラス1のガラス面ではなく木口3cに設けているので、木口延設部6b1は目立つことがなく板ガラス1としての美観を損なうことがない。
図8に示す第六実施形態では、接続部を木口3c上で延設しているが、これに代えて、またはこれと同時に、端子としての銅製薄板8aまたは8bを木口3c上で延設してもよい。この場合は、銅製薄板等を接着剤等で木口3cに接合すればよいので、製造が容易でコスト的にも有利である。銅製薄板の木口延設部分と基板3の木口3cとの接合には、たとえばブチルゴムや各種接着剤などを用いることができる。また、特に板ガラス1が合わせガラスであり、木口3cにポリビニルブチラール等の樹脂からなる中間膜の側面が露出している場合、この樹脂製中間膜側面と金属製の木口延設部分とを接合するのにはエポキシ系接着剤などの各種接着剤が好適に用いられる。
なお、木口3c上に設ける延設部は、図8に示すように、対の接続部5b,6b(あるいは対の端子8a,8b)のうち少なくとも一方に設けてもよく、両方に設けてもよい。さらには、端子としての銅製薄板8a,8bの少なくとも一方に延設部を設け、且つ、接続部5b,6bの少なくとも一方に延設部を設けても良い。
図9は、板ガラスの割れ検出システムとしての他の構成例を示している。このシステムは、建物のガラス開口部に装着された複数の板ガラス1の割れ検出を行うものであり、抵抗体である複数の板ガラス1は直列接続され、単一の抵抗検出器2に接続されている。図9(b)は、図9(a)の接続状態を回路図として示したものであり、対の検出部5a,6a間の抵抗R1が直列接続された状態で抵抗検出器2に接続されている。いずれかの板ガラス1が割れると回路の抵抗値が増大し、抵抗検出器2は割れを検出することができる。このように複数の板ガラス1を直列接続しているので、抵抗検出器2を板ガラス1の枚数分容易する必要がなく、構成が簡素化される。
また、一つの板ガラス1の抵抗値R1が比較的小さいので、複数枚の板ガラス1を直列接続しても抵抗値がさほど高くならず、板ガラス1が割れたときの抵抗増大度を大きく保つことができる。
本発明における板ガラスは、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。また、本発明の板ガラスは、複層ガラスなどのペアガラスを構成するガラスの一部(室内側・室外側のどちらか)又は全部としても採用できる。また、対の電極部は複数対あってもよい。
第一実施形態に係る板ガラスの正面図である。 第一実施形態に係る板ガラスの側面図である。 図1及び図2のX−X線における断面図である。 抵抗検出器の回路図である。 第二実施形態に係る板ガラスの断面図である。 第三実施形態に係る板ガラスの断面図である。 (a)は、第四実施形態に係る板ガラスの断面図である。 (b)は、第五実施形態に係る板ガラスの断面図である。 (a)は、第六実施形態に係る板ガラスの側面図である。 (b)は、第六実施形態に係る板ガラスの正面図である。 (a)は、板ガラスの割れ検出システムとしての他の構成例を示す図である。 (b)は、図9(a)の割れ検出システムの接続状態を回路図として示したものである。 基板の割れが導電薄膜に波及する様子を説明するための図である。 基板の割れにより生ずる破片間隙間を説明するための図である。
符号の説明
1 板ガラス
2 抵抗検出器
3 基板
3a ガラス面
3c 木口
3c1 木口面
4 導電薄膜
5a 検出部
6 電極部
6a 検出部
6b 接続部
8a 銅製薄板(端子)
8b 銅製薄板(端子)
8b1 木口延設部
9 中間膜
11 フィルム材
12 乾燥空気層(内部空間)
T 検出部の厚み
M 導電薄膜の膜厚

Claims (12)

  1. 板ガラスの割れ検出システムであって、
    ガラスからなる基板と、
    前記基板の少なくとも一のガラス面に形成された導電薄膜と、
    前記導電薄膜の表面上に形成された対の電極部と、
    前記対の電極部に接続される対の端子を有し、前記対の電極部間の前記導電薄膜の抵抗値を検出する抵抗検出器と、を有し、
    前記基板の木口表面には、前記導電薄膜が形成されておらず、絶縁状態であり、
    前記対の電極部は、それぞれ、前記導電薄膜の表面上から絶縁状態の前記木口表面上にわたって形成され、
    前記電極部のうち絶縁状態の前記木口表面上に形成された部分が、前記抵抗検出器の前記端子が接続される接続部とされている
    ことを特徴とする板ガラスの割れ検出システム。
  2. 前記木口表面上の前記電極部に接続された前記端子を覆うことなく、前記導電薄膜と前記導電薄膜表面上の前記電極部とを覆うように貼り付けられたフィルム材を備えていることを特徴とする請求項1記載の板ガラスの割れ検出システム。
  3. 前記導電薄膜は、複数枚のガラス基板間に中間膜を挟んだ合わせガラスにおける当該ガラス基板の前記中間膜側のガラス面に形成され、
    前記木口表面上の前記電極部に接続された前記端子が、前記中間膜によって覆われることなく、前記導電薄膜表面上の前記電極部が前記中間膜と前記導電薄膜との間に挟まれている
    ことを特徴とする請求項1記載の板ガラスの割れ検出システム。
  4. 前記導電薄膜は、複数枚のガラス基板間に内部空間を有しペアガラスとして構成された板ガラスにおける当該ガラス基板の前記内部空間側のガラス面に形成され、
    前記木口表面上の前記電極部に接続された前記端子が、前記複数のガラス基板間に設けられた封着材によって覆われることなく、前記導電薄膜表面上の前記電極部が前記封着材と前記導電薄膜との間に挟まれている
    ことを特徴とする請求項1記載の板ガラスの割れ検出システム
  5. 前記対の電極部は、導電性ペーストを塗布して形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の板ガラスの割れ検出システム
  6. 前記基板は、前記導電性ペーストの塗布後に、強化ガラスとするための熱処理が施されたものであることを特徴とする請求項5記載の板ガラスの割れ検出システム。
  7. 前記対の電極部は、それぞれ、導電性ペーストを前記導電薄膜の表面上から前記絶縁状態の前記木口表面上にわたって塗布することで形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の板ガラスの割れ検出システム。
  8. 前記対の電極部は、銀ペーストよりなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の板ガラス割れ検出システム。
  9. 前記基板は、強化ガラスからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の板ガラスの割れ検出システム。
  10. 前記対の接続部は、いずれも同一の木口面内に配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の板ガラスの割れ検出システム。
  11. 前記対の電極部における前記接続部のうちの一方は、他方の接続部に向けて絶縁状態の前記木口表面上で延設されており、
    前記対の接続部に接続された前記対の端子間隔を、前記導電薄膜上における前記対の電極部の間隔よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の板ガラスの割れ検出システム。
  12. 板ガラスの割れ検出システムに用いられる板ガラスであって、
    ガラスからなる基板と、
    前記基板の少なくとも一のガラス面に形成された導電薄膜と、
    前記導電薄膜の表面上に形成された対の電極部と、を有し、
    前記基板の木口表面には、前記導電薄膜が形成されておらず、絶縁状態であり、
    前記対の電極部は、それぞれ、前記導電薄膜の表面上から絶縁状態の前記木口表面上にわたって形成され、
    前記電極部のうち絶縁状態の前記木口表面上に形成された部分が、前記対の電極部間の前記導電薄膜の抵抗値を検出する抵抗検出器の端子が接続される接続部とされている
    ことを特徴とする板ガラス。
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