JP2006126351A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明樹脂層上に転写された色トナーを電子写真式画像形成装置の定着装置を通過させることで、透明樹脂層内に色トナーを浸透させ、且つ、透明樹脂及び色トナーの平滑性を確保して高光沢性を得ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】ベース層と透明樹脂層を有する電子写真用記録シートを用いて、出力画像に高光沢性を持たせる電子写真用記録シート及び画像形成装置において、該電子写真用記録シートの表面粗さが該画像形成装置で用いるトナーの平均粒径に対して3個分以上、16個分以下の十点平均粗さRzを有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式を用いたカラー複写機、カラープリンタ、カラーFAX等の画像形成装置に関するものである。特に、高光沢で、且つ、高画質の画像を得ることが可能な画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真式画像形成装置を用いて電子写真用記録シートの画像に高光沢性を持たせる方法としては、透明樹脂層を電子写真記録シート上に形成することが開発されている。透明樹脂層としては、画像形成装置で形成した色トナーを電子写真用記録シート上に転写する前又は後に透明トナーを転写して光沢性を得るものもある。この場合には、透明トナーの扱いが困難であることや画像形成装置内における透明トナーの作像系に余分なスペース及びコストが掛かる点が指摘されており、特許文献1にあるように、電子写真記録シートに予めポリエステル樹脂等の透明樹脂層を具備される手段も開発されている。透明樹脂層上に転写された色トナーを電子写真式画像形成装置の定着装置を通過させることで、透明樹脂層内に色トナーを浸透させ、且つ、透明樹脂及び色トナーの平滑性を確保して高光沢性を得ることを目的としている。
又、電子写真式画像形成装置の定着装置において、トナー面と接触する定着ローラ又は定着フィルムの表面性を向上させることで、定着後のトナー表面の凹凸を低減して、高光沢性を確保するシステムも提案されている。特許文献2にあるように、加熱混色工程と冷却工程と分離工程を有する定着フィルムを用いて高光沢でありながら光沢ムラを抑制する構成も紹介されている。
特開平10−272837号公報 特開平5−107960号公報
ところで、従来技術における透明樹脂層を有した電子写真記録シートを用いて高光沢性を得る構成では、高光沢と高画質という点で相反する特性を示す不具合が発生し易い。高光沢性を得るように透明樹脂層内に色トナーを浸透させようとしても、色トナーは定着の熱及び圧力を受けて一時的に粘性の低い溶融物となるため、色トナーは望ましい位置に浸透されず前後左右に拡散する。このため、定着後の画像は鮮鋭さを失い、いわゆるボケた画像になってしまう。とりわけ写真調画質を目指して、より一層の高光沢性を得るように定着ローラ又は定着フィルムの表面性を向上させて、色トナーを十分加熱混色させる構成と併用すると、その影響は大きかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、高光沢で、且つ、高画質の画像を得ることができる画像形成装置を提供することにある。
そこで、本発明では、高光沢と高画質を両立するため、電子写真用記録シートの表面性に着目した。即ち、電子写真用記録シートの表面、即ち透明樹脂層の表面に予め凹凸を明示的に付けることで、定着時の色トナーが前後左右に広がる現象を抑制することが可能となっている。凹凸の深さは、通常の透明樹脂層を有した電子写真用記録シートがRz2μm程度、せいぜい5μm程度であるのに対して、本発明のように電子写真用記録シート上に載せるトナー層の高さ以上に粗くすることが有利であることが分かった。色トナーは少なくとも1色から4色、百分率で表現する場合は100%から400%電子写真用記録シートには載せる。
又、1色、即ち100%当たり、トナー層の高さはトナーの平均粒径の3〜4個分程度載せることから、トナー平均粒径の3個分以上、16個分以下のトナー層に相当する凹凸を電子写真記録シートに具備すれば有利であった。トナー平均粒径は通常5〜10μm程度であるため、絶対値的な表面性はRzで15〜160μm程度となり、例として平均粒径を7μmとすると、21〜112μmの範囲となる。尚、画像形成装置は、通常の4色全てをフルに載せる、即ち400%載せることは稀で、通常は4色の混色はあっても、300%程度のトナー量までが殆どであるため、トナーの平均粒径3個から12個分であれば望ましく、効果を全色で確保するためには、トナーの平均粒径の10個分前後であることが望ましい。
又、表面の凹凸を付加する場合、紙面と水平方向の凹凸間距離についても、画像形成装置の画像処理線数との関係から濃度ムラとの相関があることが分かった。電子写真用記録シート表面の表面粗度に規則性を持たせる場合には、画像形成装置の画像出力中に用いる色再現用の最高線数を示す最小ドット間隔よりも小さい基本周期Tの凹凸を有するようにしている。電子写真用記録シート表面の表面粗度に規則性を持たせない場合には、画像形成装置の画像出力中に用いる色再現用の最高線数を示す最小ドット間隔よりも小さい平均間隔Smを有するようにしている。
更に、予め電子写真用記録シート表面の表面粗度を管理したものを使用するのではなく、画像形成装置内部で表面粗度を確保する構成でも良く、より汎用性のある電子写真用記録シートを使用することが可能となる。
このように、透明樹脂層を有した電子写真用記録シートの表面性を、予め画像形成装置で出力するトナー層の高さ以上に凹凸を持たせることで、定着の熱及び圧力を受けて一時的に粘性の低い溶融物といったトナーでも記録シート上で前後左右に拡散しづらい。このため、定着後の画像は鮮鋭さを維持することが可能で、いわゆるボケた画像にはならない。特に、写真調画質を目指して、より一層の高光沢性を得るように定着ローラ又は定着フィルムの表面性を向上させて色トナーを十分加熱混色させる構成と併用しても、鮮鋭さを確保することが可能となっている。
本発明では、高光沢と高画質を両立するため、電子写真用記録シートの表面性に着目し、電子写真用記録シート上に載せるトナー層の高さ以上に粗くすることが有利であることが分かった。具体的にはトナーの平均粒径3個分から16個分、望ましくは3個から12個分であれば良く、フルカラーで効果を確保するためには、10個分前後であれば画像に鮮鋭さを維持したまま高光沢性を有することが可能となった。
又、表面の凹凸を付加する場合、紙面と水平方向の凹凸間距離についても、画像形成装置の画像処理線数との関係から濃度ムラとの相関があることが分かった。電子写真用記録シート表面の表面粗度に規則性を持たせる場合には、画像形成装置の画像出力中に用いる色再現用の最高線数を示す最小ドット間隔よりも小さい基本周期Tの凹凸を有するようにした。電子写真用記録シート表面の表面粗度に規則性を持たせない場合には、画像形成装置の画像出力中に用いる色再現用の最高線数を示す最小ドット間隔よりも小さい平均間隔Smを有するようにした。この結果、濃度ムラを生じることなく高光沢性を有することも可能となった。
更に、予め電子写真用記録シート表面の表面粗度を管理したものを使用するのではなく、画像形成装置内部で表面粗度を確保する構成でも良く、より汎用性のある電子写真用記録シートを使用することが可能となった。
<実施の形態1>
図2は本発明で用いた画像形成装置について説明する図である。
半導体レーザ2により発生したレーザビームは、ポリゴンモータ3及びポリゴンミラー4の回転によりレンズ5及び反射ミラー6を経て感光体ドラム7に照射される。本画像形成装置では、副走査方向の解像度は600ドット/インチ(以降dpi)、主走査方向の基本解像度も600dpiである。主走査方向は、点灯周期さえ変更すれば解像度の変更は可能であるが、1画素のトナー像という意味では主副走査で同一としている。
感光体ドラム7は、予め一次帯電器8により均一な電位を帯びて、レーザビームによる画像情報に応じた静電潜像を形成する。静電潜像の電位の加減は、電位センサ9により検知され、一次帯電器8での放電電流値とレーザビームの強度を調整させることで変更が可能である。感光体ドラム7上の静電潜像は、ロータリー現像器8によりトナーが付与され、トナー像として顕像化される。ロータリー現像器8は、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色構成で、回転動作により感光体ドラム7と対向して多色現像が行われる。感光体ドラム7上に顕像化されたトナー像は、一次転写ローラ9の転写バイアスを受けて中間転写ベルト10上に転写され、多色の転写画像を作る。転写ベルト用クリーニング部11は多色画像の作成時には解除され、最大4色のトナー像が中間転写ベルト10上に作成される。中間転写ベルト10上のトナー像は、2次転写ローラ12を通過することによって、給紙デッキ21から通紙された電子写真用記録シート100に転写される。この後、搬送ベルト22を電子写真用記録シート100は移動し、定着器50において、電子写真用記録シート上のトナーは強固な固着状態を作り、画像が固定化される。
一次転写ローラ近傍を転写されずに感光体ドラム上に残留した転写残トナーは、クリーナー13により感光体ドラムから剥ぎ取られ、除電器14にて感光体ドラム上の残留電位を均して次の画像出力に備える。
図3は定着器50について説明する図である。
駆動を兼ねたヒートローラ51内部には加熱用のメインヒータ52及びサブヒータ53が内包され、不図示の温度センサの検知結果に応じて温度調整がされる。このヒートローラ51の外周には、電子写真用記録シート100上に載せられたトナー像と接触して、トナーを加熱溶融する定着フィルム54が巻かれており、定着分離ローラ55とテンションローラ56に懸架されている。テンションローラ56は不図示のバネ機構により、定着フィルム54に張力を付与している。定着フィルム54はポリイミドを基層として、表面にトナーとの離型性を確保するためPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コートしたものを用いており、表面層を十点平均粗さRzで1μm以下の平滑性を持たせている。
ここで、本発明の条件で重要な十点平均粗さRzについて説明する。十点平均粗さRzとは、下記の数1で得られる。
Figure 2006126351
ここで、dp1〜dp5は、最も高い山から5番目までの平均線からの距離で、dv1
〜dv5は、最も低い谷から5番目までの平均線からの距離である。
一方、電子写真用記録シート100上に載せられたトナー像と接触しない側も加圧ローラ61と、その外周に加圧フィルム62を有し、加圧分離ローラ63により懸架されている。
定着フィルム54と加圧フィルム62内部には、冷却フィン57及び64が設けられ、冷却ファン58及び65により各フィルムは冷却される。加圧フィルム62は、定着フィルムと同構成の材料で構成され、表面性については特別な平滑性を必要としない。
本定着器において、定着フィルムと加圧フィルムに狭持されるように電子写真用記録シート100は搬送され、ヒートローラ51と加圧ローラ61で加熱及び加圧され、冷却フィン57及び64近傍では各フィルムに狭持されたまま電子写真用記録シート100上のトナーは冷却され、記録シートに固着され、定着分離ローラ55と加圧分離ローラ63により記録シートは曲率分離され排出する。
図4は従来例における透明樹脂層を有した電子写真用記録シートの断面図である。紙繊維を主体としたベース層91と、透明樹脂層92により構成されている。通常透明樹脂層はバーコーター法等の平滑化手段によりポリエステル樹脂等が塗布され、平滑度はベース層よりも高い場合が多い。具体的には十点平均粗さRzで、1〜2μm程度に抑えられている。
一方、図5は本発明による透明樹脂層を有した電子写真用記録シート100の断面図である。
紙繊維を主体としたベース層101は厚さ200μmで、この上に十点平均粗さRzで70μm程度の表面性を持つ透明樹脂層102を有している。透明樹脂層102はポリエステル樹脂で、ステンレス製金型を用いた成型法により、明示的に凹凸を付加している。明示的な凹凸とは、明らかに従来技術におけるRzとは値の異なる範囲を使用することを意味している。尚、透明樹脂層は熱可塑性樹脂の特性を有するもので、100℃以上に加熱されると、ガラス転移点Tgを超え、硬度が軟化するポリエステル樹脂を用いている。
図6は従来例における2次転写後、定着器前で捕らえた電子写真用記録シートと、その上に転写された未定着トナー像の断面図を示している。図において、1色のトナー像t1を左側に示し、4色のトナー像t4を右側に示している。通常、4色全てを最大トナー量で載せることはせず、UCR(Under Color
Removal 下色除去)処理を行うため、1色の最大トナー量を100%とすると、300%程度が4色の最大トナー量となる。1色のトナー像t1と4色のトナー像t4について、未定着トナー像の幅はそれぞれd1及びd4としている。
一方、図1は本発明による透明樹脂層を有した電子写真用記録シート100上に転写された未定着トナー像の断面図を示している。
図において、1色のトナー像を左側に示し、4色のトナー像を右側に示している。尚、4色全てを最大トナー量で載せることは通常せず、UCR処理を行うため、1色の最大トナー量を100%とすると、300%程度が4色の最大トナー量となる。ここで、本発明の画像形成装置は平均粒径7μmの色トナーを採用しており、1色当たりトナー層は3〜4層程度の載り量で転写されるため、1色につき、21〜28μm程度のトナー高さ分のトナー量となり、4色時の最大トナー高さは63〜84μm程度のトナー高さ分のトナー量が転写される。本実施の形態では、およそ70μm程度のトナー高さであった。但し、このようなトナー高さは、図6で示したような従来例における平滑な表面性を持った電子写真用記録シートの場合であって、図1に示した本実施の形態の場合には、電子写真用記録シート100の表面に十点平均粗さRzで70μm程度の表面性を持つ透明樹脂層102を有している場合には、4色300%分のトナー高さであっても、その多くは記録シート100の表面の凹凸に沿うため、高さを正確に表現してはいない。1色のトナー像t1と4色のトナー像t4について、未定着トナー像の幅はそれぞれd1及びd4としている。
図7は図6で示した従来例の電子写真用記録シートと、その上に転写された未定着トナー像を定着器50に通過させた後の定着後トナー像の断面図を示している。透明樹脂層92にはトナーが浸透しているものの、定着後トナー像は、定着器50の熱と圧力を受けて左右に広がり、転写直後の画像よりもいわゆるボケた画像となってしまう。1色のトナー像t1と4色のトナー像t4について、定着後トナー像の幅はそれぞれD1及びD4で、明らかに未定着トナー像の幅d1及びd4よりも増加している。
図8は図1で示した本発明による電子写真用記録シート100と、その上に転写された未定着トナー像を定着器50に通過させた後の定着後トナー像の断面図を示している。透明樹脂層102にトナーが浸透しているだけでなく、定着後トナー像は、図7で示したような左右への広がりは少なく、転写直後の画像よりもボケてしまった量は少な目であることが分かる。
本発明者等の考察によれば、本発明のように電子写真用記録シート100表面の透明樹脂層102に明示的な凹凸が設けられていると、定着器の突入した直後に凹凸が軟化して高さを失うように振舞うと同時に、トナーの軟化速度の方が速いため、トナーが前後左右へ広がることを防止する障壁として働き、ボケる量を抑制するためと推定している。
この場合、電子写真用記録シート100の凹凸の深さとトナー量に深い関係があることを本発明の筆者らは見出した。表1及び表2は、凹凸の深さを表す指標として十点平均粗さRzとトナー量を示す指標としてトナー層の厚みを振って、画像のボケ具合を確認したものである。表1は1色に関するもので、表2は4色に関するものである。表1及び表2共にトナー粒径を2種類振り、各厚みで記録シートに転写したもので、この記録シートの十点平均粗さRzを幾つか振ることで、トナー層の厚みと記録シートの表面性の関係を示したものである。従来比較例1及び従来比較例2では、トナー層の厚みに対して、記録シートの表面性が極めて平滑であるため、画出し確認後の画像ボケは好ましくない結果となっている。従来比較例3のようにRzを或る程度つけても完全ではなく、実施例1−1又は実施例1−4のように記録シート上のトナー量に対して記録シートのRzを大きくして、具体的には平均トナー粒径の3個分以上とすることでボケの抑制された画像が得られる。
表2のように、4色トナーを転写させ、これを定着する場合は、従来比較例4及び5のように1色の場合には十分であったRzでも結果は好ましくなく、従来比較例6でも十分ではなかった。実施例1−3又は1−4において画像が満足できるレベルとなり、記録シート上のトナー量に対して記録シートのRzを大きくして、具体的には平均トナー粒径の10個分以上とすることでボケの抑制された画像が得られる。又1色当たりのトナー量は3〜4層程度であるため、平均トナー粒径の最大16個以下であることが、本発明の主旨からして妥当である。通常UCR処理により400%のトナー量を載せることは稀であり、望ましくは12個以下が最適である。表1のように1色しか使用しない単色の画像出力装置であれば、実施例1−1又は実施例1−2のような平均トナー粒径の3個分以上のRzを有する記録シートが優れている。フルカラー出力可能な画像出力装置であれば、9個分以上16個分以下、望ましくは12個分以下、或いは10個分前後のRzを有する記録シートが優れている。
Figure 2006126351
Figure 2006126351
<実施の形態2>
電子写真用記録シートに凹凸を明示的に設ける場合、実施の形態1で示したような凹凸の深さ方向だけでなく、紙面水平方向の特性的にも画質に関して相関があることが分かった。本実施の形態では紙面水平方向に関する説明をする。
そもそも、電子写真用記録シートに凹凸を設ける手法については、本発明では限定していない。金型を用いた成型法でも良く、軟化点前後での表面に凹凸ある金属ローラの押し付けによるものでも良く、研磨ローラ等による研磨法でも良く、微粒子ディスパージョンの吹きつけコーティング法でも良い。何れの方法でも、紙面水平方向の凹凸の具合については大別して2種類となる。規則性、即ち周期性が有る場合と、無い場合である。周期性が有る場合には、基本の周期が存在することになる。前記金型を用いた成型法や、軟化点前後での表面に凹凸ある金属ローラの押し付けによる方法では、凹凸に周期性を持たせることは可能な場合があり、研磨ローラ等による研磨法や、微粒子ディスパージョンの吹きつけコーティング法では、凹凸に周期性を持たせることは困難である。周期性が有る場合でも、基本の周期が多少ばらつくことは、フーリエ変換等の周波数解析法を使うとピークがブロードになる等の特性から十分あり得ることである。
表3は凹凸の周期性が多少ばらついたとしても存在する場合に、画質との関係を示したものである。従来比較例7及び実施例2−1で用いる階調再現用の画像処理として、Y(イエロー)は線成長、スクリーン線数106線、スクリーン各45度とし、M(マゼンダ)は点成長、85線、34度とし、C(シアン)は点成長、103線、−37度とし、K(ブラック)は線成長、106線、−45度としている。最高スクリーン線数は、106線であり、この場合最小ドット間隔は240μmとなる。
図9は従来比較例7における電子写真用記録シート上に転写された未定着トナー像の断面図を示している。3箇所のトナー像は基本ドット間隔Sで配置されるのに対して、記録シートの基本周期Tが大きいため、凹凸の凸部や凹部またはスロープ部に転写されている。
図10は図9で示した従来比較例7における転写された未定着トナー像を定着器50に通過させた後の定着後トナー像の断面図を示している。記録シートの凸部や凹部又はスロープ部により透明樹脂層に対するトナーの浸透具合と、前後左右へのトナーの広がり具合が異なる傾向となる。この結果、階調安定性としてハーフトーン画像に濃度ムラを生ずる原因となり、透明樹脂層に凹凸を設けたためにかえって画質が低下してしまう。
一方、図11は、実施例2−1における電子写真用記録シート上に転写された未定着トナー像の断面図を示している。3箇所のトナー像は基本ドット間隔Sで配置されるのに対して、記録シートの基本周期Tが小さいため、凹凸の凸部や凹部やスロープ部は各ドット内に偏在することなくそれぞれ存在して転写されている。
図12は図10で示した実施例2−1における転写された未定着トナー像を定着器50に通過させた後の定着後トナー像の断面図を示している。記録シートの凸部や凹部やスロープ部は各ドットの範囲に適度な割合で存在し、偏在することがないので、透明樹脂層に対する浸透具合と、前後左右へのトナーの広がり具合が各ドットでそれほど異なることがない。このため、図10で示したようなハーフトーン画像に濃度ムラを生ずることはなく、透明樹脂層に凹凸を設けても、凹凸の周期性さえ考慮すれば画質は維持することが可能となる。
表3において、従来比較例8と実施例2−2については、階調再現用の画像処理として、Y(イエロー)は点成長、スクリーン線数106線、スクリーン各45度とし、M(マゼンダ)は点成長、134線、63度とし、C(シアン)は点成長、134線、−63度とし、K(ブラック)は線成長、150線、0度としている。最高スクリーン線数は、150線であり、この場合ドット間隔は169μmとなる。この場合も同様に、画像処理の最小ドット間隔Sよりも記録シートの基本周期Tが大きいと濃度ムラが目立ち、逆に画像処理の最小ドット間隔Sよりも記録シートの基本周期Tが小さいと濃度ムラが良好になる結果となった。
次に、電子写真用記録シートに凹凸を設ける手法として、研磨ローラ等による研磨法や、微粒子ディスパージョンの吹き付けコーティング法のような手法では、透明樹脂層の表層に凹凸ができても、固有又は基本となる周期性を作成することは困難である。
図13は、研磨ローラによる透明樹脂層にランダム的な凹凸を模式的に示した断面図である。このような場合、表面性をフーリエ変換等の周波数解析法を使ってもピークは存在しなくなり、基本周期という考えができなくなる。しかし、このような周期性が無い場合には、本発明の筆者らは、凹凸の平均間隔Smで代用できることを確認している。平均間隔Smとは、下記の式2で得られる。
Figure 2006126351
ここで、Smiは、平均線を横切る粗さ曲線における山及び谷について、1つの山及びそれに隣り合う1つの谷分の平均線長さであり、その平均を求めたものが平均間隔Smである。
表4は、表3と同様の画像処理法において、電子写真用記録シートに周期性の乏しい凹凸を作成し、各記録シートの平均間隔Smと、画出し確認後の濃度ムラについて確認した結果である。画像処理の最小ドット間隔Sよりも記録シートの平均間隔Smが大きいと濃度ムラが目立ち、逆に画像処理の最小ドット間隔Sよりも記録シートの平均間隔Smが小さいと濃度ムラが良好になる結果を得ることが可能となっている。
尚、周期性が有るか無いかは大別すると2通りだが、中間的な特性を示す凹凸も十分考えられる。このような場合、基本周期Tと平均間隔Smのどちらか一方を満足するか、できれば両方とも満足するように、画像処理の最高スクリーン線数よりも細かな凹凸にすることで対応することが可能となる。
Figure 2006126351
Figure 2006126351
<実施の形態3>
本実施の形態では、透明樹脂層を有した電子写真用記録シートに予め深さと距離について管理された明示的な凹凸を設けたものを使用するのではなく、画像形成装置内にて凹凸を設けることを特徴としている。
図14は本実施の形態で用いた画像形成装置について説明する図である。
半導体レーザ2により発生したレーザビームは、ポリゴンモータ3及びポリゴンミラー4の回転により、レンズ5及び反射ミラー6を経て感光体ドラム7に照射される。本画像形成装置では、副走査方向の解像度は600ドット/インチ(以降dpi)、主走査方向の基本解像度も600dpiである。主走査方向は、点灯周期さえ変更すれば解像度の変更は可能であるが、1画素のトナー像という意味では主副走査で同一としている。
感光体ドラム7は予め一次帯電器8により均一な電位を帯びて、レーザビームによる画像情報に応じた静電潜像を形成する。静電潜像の電位の加減は、電位センサ9により検知され、一次帯電器8での放電電流値とレーザビームの強度を調整させることで変更が可能である。感光体ドラム7上の静電潜像は、ロータリー現像器8によりトナーが付与されトナー像として顕像化される。ロータリー現像器8は、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色構成で、回転動作により感光体ドラム7と対向して多色現像が行われる。感光体ドラム7上に顕像化されたトナー像は、一次転写ローラ9の転写バイアスを受けて中間転写ベルト10上に転写され、多色の転写画像を作る。転写ベルト用クリーニング部11は多色時には解除され、最大4色のトナー像が中間転写ベルト10上に作成される。中間転写ベルト10上のトナー像は、2次転写ローラ12を通過することによって、給紙デッキ21から通紙された電子写真用記録シート100に転写される。この後、搬送ベルト22を電子写真用記録シート100は移動し、定着器50において、電子写真用記録シート上にトナーは強固な固着状態を作り、画像が固定化される。
一次転写ローラ近傍を転写されずに感光体ドラム上に残留した転写残トナーはクリーナー13により感光体ドラムから剥ぎ取られ、除電器14にて感光体ドラム上の残留電位を均して次の画像出力に備える。
ここで、給紙デッキ21と2次転写ローラ12の間には給紙ローラ対120とレジローラ対121が配置され、更に、給紙ローラ対120とレジローラ対121間には、本実施の形態で特徴的な凹凸ローラ122と加圧ローラ123がそれぞれ3本ずつ配置されている。凹凸ローラ122は電子写真用記録シートの透明樹脂層表面に押し付けられ凹凸を発生させる役目を持っている。加圧ローラ123は凹凸ローラのバックアップ用であり、鉄製ローラである。凹凸ローラによって表面に凹凸を付けられた電子写真用記録シートの透明樹脂層から剥ぎ取られた樹脂粉は、吸引ファン124とフィルタ125により回収するようにしている。
図15は凹凸ローラ122についての斜視図で、ローラ径φ20、SUS製ローラの表面にNC加工により十点平均粗さRz100μmの凹凸が付けられている。凹凸はローラ表面において、ランダム的に配置されており、周期性を持たせないようにしている。
図16は図4で示したような従来例における透明樹脂層を有した電子写真用記録シートを、図14で示した凹凸ローラ122を3箇所通過した後の電子写真用記録シートの断面図である。凹凸ローラ122は、透明樹脂層に加圧されると、透明樹脂層は塑性変形を生じ、同時に紙繊維を主体としたベース層へも変形を促す。
更に、透明樹脂層の表面を切削するため樹脂粉を発生させて表面に凹凸ができる。凹凸ローラ122を3箇所通過した後の電子写真記録シートの表面性は、十点平均粗さが70μm程度となり、凹凸ローラに周期性がないため、記録シート表面にも周期性はなく、平均間隔Smが100μm程度の特性を有する記録シートに変化した。このような凹凸の粗さと間隔により、汎用性のある電子写真記録シートを使用でき、且つボケの少ない、濃度ムラの抑制された高画質な光沢画像を出力することが可能となる。
本発明に係る透明樹脂層を有した電子写真用記録シートに転写された未定着トナー像の断面図である。 本発明で用いた画像形成装置について説明する図である。 本発明で用いた定着器について説明する図である。 従来例における透明樹脂層を有した電子写真用記録シートの断面図である。 本発明による透明樹脂層を有した電子写真用記録シートの断面図である。 従来例における透明樹脂層を有した電子写真用記録シートに転写された未定着トナー像の断面図である。 従来例における透明樹脂層を有した電子写真用記録シートを定着器に通過させた後の定着後トナー像の断面図である。 本発明による透明樹脂層を有した電子写真用記録シートを定着器に通過させた後の定着後トナー像の断面図。 従来比較例7における電子写真用記録シート上に転写された未定着トナー像の断面図である。 従来比較例7における転写された未定着トナー像を定着器に通過させた後の定着後トナー像の断面図である。 実施例2−1における電子写真用記録シート上に転写された未定着トナー像の断面図である。 実施例2−1における転写された未定着トナー像を定着器に通過させた後の定着後トナー像の断面図である。 研磨ローラによる透明樹脂層にランダム的な凹凸を模式的に示した断面図である。 実施の形態3で用いた画像形成装置について説明する図である。 実施の形態3で用いた凹凸ローラの斜視図である。 実施の形態3で用いた凹凸ローラを通過した後の電子写真用記録シートの断面図である。
符号の説明
50 定着器
51 ヒートローラ
54 定着フィルム
55 定着分離ローラ
56 テンションローラ
61 加圧ローラ
62 加熱フィルム
58及び65 冷却フィン
100 電子写真用記録シート
122 凹凸ローラ
t1 未定着の1色トナー
t4 未定着の4色トナー
T1 定着後の1色トナー
T4 定着後の4色トナー
d1 未定着の1色トナードット形状
d4 未定着の4色トナードット形状
D1 定着後の1色トナードット形状
D4 定着後の4色トナードット形状
S 画処理における最小ドット間隔
Sm 凹凸の平均間隔
T 凹凸の基本周期
Rz 十点平均粗さ

Claims (3)

  1. ベース層と透明樹脂層を有する電子写真用記録シートを用いて、出力画像に高光沢性を持たせる画像形成装置において、
    前記電子写真用記録シートの表面粗さが該画像形成装置で用いるトナーの平均粒径に対して3個分以上16個分以下の十点平均粗さRzを有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記電子写真用記録シート表面の表面粗度に規則性を持たせる場合には、画像形成装置の画像出力中に用いる色再現用の最高線数を示す最小ドット間隔よりも小さい周期の凹凸を有し、電子写真用記録シート表面の表面粗度に規則性を持たせない場合には、画像形成装置の画像出力中に用いる色再現用の最高線数を示す最小ドット間隔よりも小さい平均間隔Smの凹凸を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. ベース層と透明樹脂層を有する電子写真用記録シートは、未使用時には十点平均粗さRzを該画像形成装置で用いるトナーの平均粒径に対して3個未満とし、該画像形成装置内にて表面粗度を粗くして、トナーの平均粒径に対して3個以上16個以下とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010286856A (ja) * 2010-08-23 2010-12-24 Canon Inc 電子写真用受像シート及びそれを用いた画像形成システム

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