以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成又は作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略した。
<参考の形態>
図1に、本発明を適用し得る画像形成装置の一例を示す。同図に示す画像形成装置は、電子写真方式の4色フルカラーのプリンタであり、同図はその概略構成を模式的に示す縦断面図である。
(画像形成装置の構成)
同図に示すプリンタ(以下「画像形成装置」という。)は、デジタルカラー画像プリンタ部(以下単に「プリンタ部」という。)Aと、プリンタ部Aの上面に載せられたデジタルカラー画像リーダ部(以下単に「リーダ部」という。)Bとを備えている。
プリンタ部Aには、像担持体としてのドラム形の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1が矢印R1方向に回転可能に配設されている。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、帯電手段としての一次帯電器2、露光手段としてのレーザ露光光学系3、現像手段としての現像装置4、中間転写体としての中間転写ベルト5、クリーニング手段としてのクリーニング装置6等が配設されている。上述の現像装置4は、回転自在なロータリ4Aと、これに搭載された4個の現像器、すなわちイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の現像器4Y,4M,4C,4Kを有している。上述の中間転写ベルト5は、駆動ローラ41、テンションローラ42,44、二次転写対向ローラ43に掛け渡されている。また、中間転写ベルト5の内側には、中間転写ベルト5を感光ドラム1に押圧する一次転写ローラ40が配設されている。また、中間転写ベルト5の外側の二次転写対向ローラ43に対応する位置には二次転写ローラ45が配設されている。
また、プリンタ部Aの下部には、画像形成対象となる記録材Pの搬送方向(矢印K方向)に沿って、その上流側から順に、給紙カセット11,12,13、給紙ローラ14,15,16、搬送ローラ17,18,19、レジストローラ20、ローラ47,48に掛け渡された搬送ベルト21、定着手段としての定着装置22、排紙ローラ23が配設されている。上述の定着装置22は、定着ローラ51と加圧ローラ52と定着ローラクリーナ53が配設されている。また、両面搬送パス24、手差しトレイ25、給紙ローラ26が配設されている。
リーダ部Bには、原稿台ガラス31、原稿押圧板32、露光ランプ33、反射ミラー34,35,36、レンズ37、フルカラーCCDセンサ38等が配設されている。
上述構成の画像形成装置において、画像形成時には、リーダ部Bにおいて、原稿Dをその画像面を下方に向けた状態で原稿台ガラス31上に載せ、原稿押圧板32で押圧する。この原稿Dの画像面を露光ランプ33により露光走査することにより、原稿Dからの反射光像をレンズ37により、フルカラーCCDセンサ38に集光し、カラー色分解画像信号を得る。カラー色分解画像信号は増幅回路(不図示)を経て、ビデオ処理ユニット(不図示)にて画像処理を施され画像メモリ(不図示)を介してプリンタ部Aに送出される。
プリンタ部Aには、リーダ部Bからの信号のほか、外部機器としてのコンピュータからの画像信号、FAXからの画像信号なども同様に送出されてくる。
ここでは、その代表としてリーダ部Bからの信号に基づくプリンタ部Aの動作を説明する。
画像形成時に感光ドラム1は、駆動手段(不図示)によって矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動され、その表面が一次帯電器2によって所定の極性・電位に一様に帯電される。
帯電後の感光ドラム1表面は、レーザ露光光学系3によって静電潜像が形成される。リーダ部Bからの画像信号は、レーザ出力部(不図示)にて光信号に変換され、光信号に変換されたレーザ光がポリゴンミラー3aで反射され、レンズ3b及び各反射ミラー3cを経て帯電後の感光ドラム1表面に照射される。照射部分の電荷が除去され、これにより例えば第1色目のイエローの静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置4のロータリ4Aが回転することによって感光ドラム1に対向する現像位置に移動されたイエローの現像器4Yによってイエローのトナー像として現像される。なお、トナーは、樹脂と顔料とを基体としている。現像器4Y内のトナーは、トナー収容部(不図示)から、現像器4Y内のトナー比率(又はトナー量)が一定となるように、順次、補給されるようになっている。
こうして感光ドラム1上に形成されたイエローのトナー像は、一次転写ローラ40により、中間転写ベルト5上に一次転写される。トナー像転写後の感光ドラム1は、表面に残ったトナー(残留トナー)がクリーニング装置6によって除去され、次の色(例えば第2色目のマゼンタ)の画像形成に供される。
以上のイエローについて行った、帯電、露光、現像、一次転写、クリーニングの各画像形成プロセスを、残りの3色であるマゼンタ,シアン,ブラックについても同様に繰り返す。これにより、中間転写ベルト5上で4色のトナー像が重ね合わされる。
こうして中間転写ベルト5上で重ねあわされた4色のトナー像は、二次転写ローラ45によって記録材P上に一括で二次転写される。記録材Pは、例えば、給紙カセット11に収納されていたものが、給紙ローラ14、搬送ローラ17、レジストローラ20等によって、中間転写ベルト5上のトナー像とタイミングを合わせるようにして、中間転写ベルト5と二次転写ローラ45との間の二次転写部に供給されるものである。トナー像転写後の中間転写ベルト5は、表面に残ったトナー(残留トナー)がベルトクリーナ46によって除去されて、次の一次転写に供される。
一方、トナー像転写後の記録材Pは、搬送ベルト21によって定着装置22に搬送される。記録材Pは、定着装置22において、定着ローラ51とこれに押圧されている加圧ローラ52との間の定着ニップ部に供給されて加熱・加圧され、表面にトナー像が定着される。
制御手段としてのCPU(図1参照)は、定着ローラ51の表面温度が所定の定着温度(180℃近傍)を維持するように定着ローラ51に内蔵されたハロゲンヒータへの通電を制御している。このとき、定着ローラ51表面の温度を検出する温度検出素子が設置されており、CPUはこの温度検出素子からの信号に応じてハロゲンヒータへの通電を制御している。
なお、定着装置22は、定着ローラ51と加圧ローラ52により構成されているので、定着装置(定着ローラ)から記録材が分離される温度はほぼ定着温度(180℃)である。
本参考の形態では、定着ローラ51の表層はゴムではなく、フッ素系樹脂チューブで覆っている。このような構成にすることで、定着ローラ51の長寿命化を図っている。
トナー像定着後の記録材Pは、排紙ローラ23によって排紙トレイ(不図示)上に排出される。これにより、記録材Pの片面に対する画像形成が終了する。
また、記録材Pの両面に画像を形成する場合には、定着装置22を記録材Pが通過後すぐに搬送パスガイド(不図示)を駆動し、記録材Pを搬送パス60を経て反転パス61に一旦導いた後、反転ローラ62の逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして、送り込まれた方向と反対向きに退出させ、両面搬送パス24へと送る。その後、記録材Pは、両面搬送パス24を通過し、両面搬送ローラ63にて斜行補正とタイミング取りが行われ、所望のタイミングにてレジストローラ20へと搬送され、再び上述した画像形成プロセスによってもう一方の面にトナー像が転写され、その後、定着される。これにより、記録材Pの両面に対する画像形成が終了する。
本実施の形態では、記録材光沢検出装置71,72,73,74が、各給紙カセット14,15,16、及び手差しトレイ25に対応する位置に配設されていて、画像形成に供される記録材Pの光沢を検出し、その検出結果を、後述する画像形成条件にフィードバックするようにしている。このようにすることで、ユーザの作業を増やすことなく、使用する記録材Pに応じて画質を最適化することができる。
ここで、本例の装置にて使用可能な記録材Pについて説明する。記録材の種類としては、多種であるが大別して、上質紙に代表される低光沢紙、A2コート紙(上質紙をベースに四六全判に両面20gの塗料を塗布したもの)に代表される中光沢紙、キャストコート紙やトナー受容層(熱可塑性樹脂層)がコートされたメディア等に代表される高光沢紙の3種類でそれぞれが記録材の光沢度に合わせてトナー画像の光沢が再現されるように制御を行っている。定着温度付近(180℃)で溶けることのない上述のA2コート紙やキャストコート紙などの通常のコート紙と、定着温度付近で溶ける溶融特性をもつ上述のトナー受容層(熱可塑性樹脂層)がコートされた特殊なコート紙とは、その特性が大きく異なっている。以下、具体的に説明する。
高光沢モードに対応する記録材Pは大きく分けて、上述した通常のコート紙と、熱可塑性樹脂によるトナー受容層を持つトナー受容紙(以下「熱可塑性樹脂コート紙」という。)の2種類に分けられる。これらの記録材Pに対して、同じ画像形成条件で画像形成を行った場合には、以下に述べるような問題が発生してしまう。
通常の高光沢コート紙は、トナー層(トナー像)が横方向(記録材P表面に沿った方向)に拡散しやすいため、γ特性(ガンマ特性)が立ちやすいという問題が発生する。特に、面積階調における中間調処理時のスクリーン線数が高い場合やFMなど画素の周囲長の長くなるハーフトーン処理を行うと、よりγ特性が立ちやすくなる傾向がある。
一方で、熱可塑性樹脂コート紙ではトナー受容層により、トナー層の横方向への広がりが押さえられるために、通常の高光沢コート紙に比べ、高ガンマ化しにくいという特徴がある。
図5に、通常の高光沢コート紙P1と熱可塑性樹脂コート紙P2での定着時のトナー層tの挙動についての模式図を示す。定着前のトナー層tは、通常の高光沢コート紙P1も熱可塑性樹脂コート紙も同じである。一方、定着後は、通常の高光沢コート紙P1においては、トナー層tが記録材表層にあるのに対して、熱可塑性樹脂コート紙P2においては、トナー層tが、記録材基層(基層)Pbにコートされている熱可塑性樹脂からなるトナー受容層Pa内に入り込むため、トナー層tが押しつぶされて広がる現象が発生しにくい。このことが要因となって、上述のように、熱可塑性樹脂コート紙P2は高ガンマ化しにくい。
また、トナー層tにおける押しつぶされて広がる量は、画像のトナー層の端部の長さに相関があり、高線数になるほど隠蔽率の上昇分が増えるため、γ特性が立つことになる。
これに対して、熱可塑性樹脂コート紙の場合には、定着時にトナー受容層にトナー層tが溶け込むために、前述したような押しつぶされて広がる現象が見られにくい。したがって、熱可塑性樹脂コート紙の中間調処理をFMで行い定着した際の通常の高光沢コート紙とのγ特性の比較は、通常の高光沢コート紙の150lpiとほぼ同じγ特性を示す。
そこで、本例では、後述するように、高光沢モード時の熱可塑性樹脂コート紙への画像形成の際、中間調処理をFMで行っている。もちろん、200lpi等のFMとAM150lpiの間の特性を示す処理であればどれを採用してもかまわない。このように、通常の高光沢コート紙に比べて周囲長の長くなるような中間調処理で画像形成することにより、高光沢特性を実現でき、かつ、スクリーン線数が高いことによりスクリーン線が見えにくくなり、より写真に近い再現ができるようになったり、より高い解像力を示すことができたりと、より高画質の画像出力が可能となっている。
以下、高光沢モードにて使用されるコート紙の構成を詳細に説明する。
(通常のコート紙)
定着温度付近(180℃)で溶けることのない特性を備えた上述のA2コート紙やキャストコート紙などの通常のコート紙について説明する。
このようなコート紙は、顔料塗工層と呼ばれるコーティングが施されている。顔料塗工の目的は印刷品質の向上であり、普通紙などの非塗工紙に比べ、平滑性、インキ受理性、光沢、白色度、不透明度が格段に向上する。
さらに詳しく説明すると、基材は、一般の上質紙の少なくとも片面に、主として顔料と水性結着剤からなる塗被液を塗工して顔料塗工層を形成し、これに平滑化処理を施すことによって得られる。顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カルシウム、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂並びにそれらの微小中空粒子や貫通孔型の有機顔料等が挙げられ、これらの中から1種あるいは2種以上が用いられる。
顔料塗工層用接着剤としては、水溶性及び/または水分散性の高分子化合物が用いられ、例えば、カチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エ−テル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然あるいは半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、イソプレン、ネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等の合成高分子化合物等を用いることができる。そしてこれらの中から、電子写真用転写シートの品質目標に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用される。
この顔料塗工層用塗被液中には、これらの他に各種助剤、例えば界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、香料等が必要に応じて適宜使用することも可能である。
顔料塗工層の塗工量については、使用目的に応じて適宜に選択されるものであるが、基材表面の凹凸を完全に覆う程度の量が必要であり、乾燥重量で8〜40g/m2であることが好ましい。塗工層を形成する塗被方法としては一般に公知の塗被装置、例えばブレードコータ、エヤーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、ブラシコータ、ツーロールあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコータ、ビルブレードコータ、ショートドウェルコータ、ゲートロールコータ等が適宜用いられる。
顔料塗工層は、基材の片面或いは両面に形成され、塗工層は、1層あるいは必要に応じて2層以上の中間層を設け、多層構造にすることも可能である。なお両面塗工、又は多層構造にする場合、各々の塗被液が同一また同塗工量である必要はなく、所要の品質レベルに応じて適宜調整して配合されればよい。また基材の片面に塗工層を設けた場合、裏面に合成樹脂層や顔料と接着剤等からなる塗被層又は帯電防止層等を設けて、カール発生防止、印刷適性付与、及び給排紙適性等を付与することも可能である。さらに基材の裏面に種々の加工、例えば粘着、磁性、難燃、耐熱、耐水、耐油、防滑等の後加工を施すことにより、各種の用途適性を付加することも勿論可能である。
また基材に平滑化処理を施す際には、通常のスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトカレンダ等の平滑化処理装置を用いて行われる。またオンマシンやオフマシンで適宜施されてもよく、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も通常の平滑化処理装置に準じて適宜調節される。
このようなコート紙は、定着温度付近で顔料塗工層が溶融することはなく、光沢度の変化もほとんどない。
このようなコート紙としては、キヤノン(株)のキャストコート紙 型番NS701、NS1000、王子製紙(株)OKトップコート、SA金藤、ストラエンソ社の4CCアート紙などが知られている。
(トナー受容層が設けられたコート紙)
次に、定着温度(180℃近傍)付近で溶ける溶融特性をもつトナー受容層としての熱可塑性樹脂層を設けられた特殊なコート紙について説明する。シート状の基材(基層:例えば上質紙)の表裏両面に、トナー受容層(トナー像が転写・定着される面)としてポリエステル樹脂を約20μmコートすることによって形成されている。これは、トナーの平均粒径が約5μmのときに、ポリエステル樹脂のコート厚みとしては20μmにするのが実験的に好ましいことが判明したからである。ただし、これは条件により適正値も異なるため、その設定条件などにより適宜設定すれば良い。
このコート紙は最表層のトナー受容層が定着温度付近で溶けることが最大の特徴である。これによりトナー像を記録材に定着する際にトナー像がトナー受容層内に埋め込まれるために上述したトナーによる段差が減少する。このような具体例を紹介すると、上記した顔料塗工層をもつコート紙に透明樹脂層を設けることによって製造される。
これにより下層に顔料層があり高白色で平滑な面が形成されているため、最表層の樹脂層に顔料を混ぜる必要がなく白色度を上げるといった機能も不要となるため、表面の熱可塑性の透明樹脂層は、光沢度を上げることと、トナー像を埋め込むといった機能を優先した設計が可能となる。さらに新規にコート紙を製造しなくても済むといったメリットもある。
このような記録材としては、王子製紙(株)製 PODスーパーグロスコート紙などが市上されている。
具体的に製造方法の一例を紹介すると、基材上に上記した顔料塗工層を形成したコート紙をベース紙として、ベース紙の片面、または、両面に、熱可塑性樹脂を、グラビアコーター等を用いて塗工することで所望のコート紙を作ることができる。透明樹脂層を構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル樹脂等を用いることができるが、特にポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分と多価カルボン酸成分としては、下記のものが例示される。
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAにオレフィンオキサイドを付加したモノマー等を用いることができる。
多価カルボン酸成分としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの酸の低級アルキルエステル等を用いることができる。
透明樹脂層を構成するポリエステル樹脂は、上記多価アルコール成分の1種以上と多価カルボン酸成分の1種以上との重合により合成される。またトナーの樹脂成分としては、カラートナーではポリエステル樹脂が用いられ、モノクロトナーでは、スチレン−アクリル樹脂が主に用いられていることから、透明樹脂層を形成する熱可塑性樹脂としては、トナーとの相溶性の高いものを選ぶことが好ましい。
したがって、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル樹脂等の中から目的に応じて1種或いは2種以上の混合物が使用される。
さらに透明樹脂層には、その透明性を阻害しない範囲内で、顔料、離型剤、導電剤等を含有させることができる。その場合、樹脂層全重量に対し、主成分の樹脂量は80重量%以上であることが好ましい。さらに透明樹脂層は、温度20℃、相対湿度85%において、その表面電気抵抗が8.0×108Ω以上になるようにその組成を調整されたものが好ましい。
なお、このような製法に限定されることはなく、表面が定着温度付近で溶ける溶融特性をもつ熱可塑性樹脂層が設けられたコート紙であれば、必ずしも多層構成にする必要はなく、顔料などの様々な添加物を加えてもよいことは言うまでもない。
次に、トナー受容層を構成する樹脂の定着温度付近での溶融特性について説明する。
溶融特性については、プラスチック−液状,乳濁状又は分散状の樹脂−回転粘度計による定せん断速度での粘度の測定方法(JIS K 7117−2)を用いて粘弾特性を測定することによって調べることができる。
定着温度付近で表層が溶ける樹脂をもつコート紙の表面について、このような測定を行うと、好ましい貯蔵弾性率は150℃において、1×107Pa・s以下である。より好ましい貯蔵弾性率は150℃において、1×106Pa・s以下であると考えられる。
しかしながら、コート紙の表面が多層構成になるとこのような粘弾性測定が出来ない場合が多い。つまり、最表層は、貯蔵弾性率が150℃において、1×107Pa・sの樹脂を1〜5μm塗工して、その下に、貯蔵弾性率が150℃において、1×103Pa・sの樹脂を10〜50μm塗工した場合でも、光沢度の変化やトナーを埋め込むといった効果は得られるが、複数層全体として機能するために、単一樹脂の貯蔵弾性率の組み合わせや、複数の樹脂を混ぜ合わせた樹脂の貯蔵弾性率では、光沢度の変化やトナーを埋め込むといった効果について表すことが難しい。
また、通常のコート紙の最表層の樹脂についてこのような粘弾性測定が可能となる量を集めることは非常に困難である。
そこで、本例では、下記のようなコート紙(溶融特性)の判別方法を用いる。すなわち、表層が溶けない通常のコート紙と、定着温度付近で表層が溶ける樹脂層をもつコート紙の判別方法について説明する。
まず、定着装置にコート紙を突入させ、そして定着ニップ内にコート紙を5秒間留まらせることで充分に加熱しその後取り出す。このとき記録材表面の状態(樹脂が溶けているか否か)を確認することによって、コート紙の判別を行う。
具体的には、このような測定を行うと定着温度で溶ける樹脂を用いたコート紙では、紙表面の樹脂が溶けて定着ニップから押出されるために定着ニップの跡が段差として残ることになる。したがって、この段差の有無で判別することができる。この段差は、進行方向上流に樹脂がはみ出すために、上流で樹脂が盛り上がり、ニップ中で薄くなり、ニップ通過後の下流では、ニップ下流に溶け出した樹脂が潰されるため、少し滑らかな段差になる。この段差の高さは、樹脂層の厚みにもよるが、1〜10μm程度の段差がつく。
一方、定着温度付近で溶けることのない顔料塗工層を用いたコート紙では、段差はほとんどなくニップ中で加圧されたことによるなだらかな凹凸となる。また、加熱によって変色が見られることもある。
以上説明したような方法で、コート紙の溶融特性の判別が可能であるが、次のような方法でも構わない。例えば、定着温度付近(180°程度)に加熱したある重さの金属棒をコート紙上に一定時間置いた後、持ち上げる。金属棒が置かれたコート紙の位置に金属棒の跡があるか否かを観察することにより判別する。
(光沢モードに応じた画像形成方法)
次に光沢モードに応じた画像形成方法について詳細に説明する。
図2に示すように、本画像形成装置の通常の動作速度(プロセススピード)は、200mm/secであり、低光沢紙に画像形成する低光沢モードの場合は、その動作速度を定着速度として設定する。中光沢紙に画像形成する中光沢モードの場合は、定着速度を100mm/secに設定する。さらに、高光沢紙に画像形成する高光沢モードの場合は、定着速度を70mm/secに設定する。
このように設定することで、記録材Pの光沢レベルに合わせたトナー像の光沢を得ることが可能となる。ここで、光沢度について、低光沢とは光沢度15未満をいい、中光沢とは光沢度15以上25未満をいい、高光沢とは光沢度25以上をいうものとする。しかし、ここでの閾値は標準紙としての(坪量が80g/m2)普通紙においての値であり、あくまでも参考値である。記録材全般に対しては、感覚的な相対レベル差として意識することが正しい。
本例では、上記の画像制御を記録材光沢検出装置に検出される光沢度により、自動的に画像形成条件を選択することで行っている。
なお、記録材の光沢度に応じた画像形成モードの設定をユーザが画像形成装置の操作部(モード設定手段)としての液晶表示部から選択指示するような構成としても構わない。この場合、画像形成装置は液晶表示部から選択指示されたモード信号をCPUが受けて一連の画像形成を行う構成となっている。
ここで、各光沢モードと中間調画像処理に関して説明する。低光沢モードで形成した画像は、図9に示すようにトナーが紙上に立体的に形成されており、光沢特性が低く押さえられる。
一方、中光沢、高光沢モードでは、光沢特性は記録材の光沢特性に合わせて階調域に依らずフラットになっている。
高光沢モードでは図11に示すようになっており、この光沢特性を実現するためにトナー像を押しつぶす定着を行っている。低光沢、中光沢、高光沢各モード時の中間調でのトナー像の断面外略図を図14に示す。
このように、中光沢モード、高光沢モード時には、トナー像を押しつぶすために、面積隠蔽率が上がり、いわゆるγ特性が立ちやすいという問題が発生する。
図3に、スクリーン線数を200lpi(line per inch)と一定にした状態で、定着速度を200、100、70mm/secと変化させて定着を行った場合のγ特性(横軸は入力画像信号(256階調)であり、縦軸は出力画像濃度を表す)の変化を示す。ここでは、200mm/secでのγ特性を図中で傾き45度として図示し、これに対して、100、70mm/secでのγ特性の相対比較を行っている。
また、このようなγ特性の変化は、図12に示すように、トナー像を押しつぶす前のトナー像の微小な高さの振れや定着装置の圧力分布などが面積の振れとなって現れるため、粒状性の悪化となって現れやすい。この現象は、中間調処理と関係が深く、振幅変調方式(以下AMする)による線成長スクリーン線数が高いほど、さらに振幅変調方式よりは周波数変調方式(以下FMとする)の方が発生しやすい傾向がある(FM、AMの関係は詳細条件に依存するが、ここでは300dpiFMにおいて画素がDuty50%まで結合しないようなモデルを想定している)。
これは、画像を構成する画素の周囲長の総和と関係が深い。トナー像が押しつぶれる場合に画素の端部から横方向に広がるため、その端部の長さつまり周囲長が長いほどつぶれやすいためである。
ここで、図16に示すように、振幅変調方式とは、画素構造の空間周波数を変えることなく線幅を変化させることにより階調表現を行う中間調処理を指し、周波数変調方式とは、誤差拡散に代表されるように、画素構造の空間周波数特性を変化させることで(ドットの個数を変化させることで)階調表現を行う中間調処理を指している。例えば、5画素×5画素のドットマトリックスを想定した場合、振幅変調方式はある画素(露光部)に対し隣り合う画素(露光部)を増やしていくことにより階調を表現する方式であり、周波数変調方式はある画素(露光部)に対し隣り合わない画素(露光部)を増やしていくことにより階調を表現する方式である。これらの変調方式の実現手段としてはディザ方式等が挙げられる。
振幅変調方式によるスクリーン線数の差および周波数変調方式との差が周囲長とどのような関係にあるか、すなわち、方式に応じたγ特性(横軸は入力画像信号(256階調)であり、縦軸は出力画像濃度を表す)を図15に示す。
図16に線成長AM150lpi、線成長AM200lpi、FM(300dpi(dot per inch))の想定モデルの画像比率50%での画素構造を示す。また、図4に、定着速度を70mm/secと一定にした状態で、スクリーン線数をFM(300dpi)、線成長AM200lpi、線成長AM150lpiと変化させて定着を行った際のγ特性の変化を示す。ここでは、線成長AM150lpiでのγ特性を図中で傾き45度として図示し、これに対して、FM、線成長AM200lpiでのγ特性の相対比較を行っている。なお、図3,図4ともγ特性を直線で近似させている。図15で明らかなように、スクリーン線数が、線成長AM150lpi、線成長AM200lpi、FM(300dpi)と増加するほど、中間調領域のほとんどの領域において周囲長が長くなっている。したがって、本例においては、低光沢モード時にはFM(300dpi)、中光沢時には線成長AM200lpi、高光沢時には線成長AM150lpiを採用している。
そして、図6に示すようなフローチャートのような流れで、高光沢モード時の画像形成条件を切り替えるようにしている。
画像形成がスタートすると(S11)、画像形成装置内に配設されている記録材光沢検出装置71,72,73,74(図1参照)により、画像形成に供される記録材Pの光沢が検出され、その光沢に応じて、制御手段としてのCPU(図1)により、低光沢モード、中光沢モード、高光沢モードが自動的に切り替えられる(S12,S13,S14)。なお、上述したように、自動切替えに代えて、ユーザが手動で光沢モードを切り替えるようにしてもよい。この場合には、例えば画像形成装置の操作パネルに表示されたモード選択画面が判別手段に相当することになる。
なお、低光沢、中光沢モードでは前述したγ特性が立つ問題は起こりにくいため、図17に示すように、中光沢モードが選択された場合はスクリーン線数は200lpi、低光沢モードではFMによる中間調処理が採用され、定着速度は、低光沢モードでは200mm/sec、また中光沢モードでは100mm/secが設定される。
高光沢モード時には、通常のコート紙か熱可塑性樹脂コート紙かに応じて中間調処理を変更する。具体的には、図6に示すように、通常のコート紙ではスクリーン線数が約150lpiに設定され、熱可塑性樹脂コート紙ではスクリーン線数が200lpiに設定される。定着速度はいずれのコート紙も70mm/secに設定される(S19)。そして、これらの条件で記録材Pに対してトナー像を形成し、定着処理が施され、画像出力が行われる(S20)。
このように、高光沢モードにおいて、記録材の光沢に合わせた光沢再現を行う際に、高光沢コート紙の種類に応じて最適な中間調処理(スクリーン線数)を採用することで、具体的には低光沢モードではより周囲長の長いハーフトーン手法を採用し、高光沢になるほど、周囲長が短くなるようなハーフトーン手法を用いることで、γ特性が立ち不安定になることや粒状性の悪化を回避し、光沢特性とその他の画像特性を最適化することが可能となる。
すなわち、通常の高光沢コート紙では、高γ特性化や、粒状性の悪化、文字つぶれ等を回避することができ、一方、熱可塑性樹脂コート紙では、スクリーン高線数化や誤差拡散化、最大濃度の向上により、銀鉛写真に匹敵する特性の高画質画像を得ることが可能となる。
<実施の形態1>
本実施の形態においては、記録材Pが通常の高光沢コート紙か熱可塑性樹脂コート紙かの違いによって、高光沢モード時のトナー載り量を変更するようにしている。本実施の形態の画像形成装置としては、前述の参考の形態の画像形成装置(図1に示す画像形成装置)を使用するので、画像形成装置の全体の説明については省略する。
先に述べたように、通常の高光沢コート紙へのトナーの定着時に、定着速度が低い場合には、トナー層が定着時に押しつぶされて横方向へ広がり、これにより、高γ特性化や文字つぶれ等の問題が発生しやすいという問題があった。一方、熱可塑性樹脂コート紙では、トナー受容層があるために、このような問題が発生しにくい。
そこで、本実施の形態においては、高光沢モード時のトナー載り量を、通常の高光沢コート紙と熱可塑性樹脂コート紙とで切り替えるようにした。以下、図7のフローチャートに沿って説明する。
画像形成がスタートすると(S1)、画像形成装置内に配設されている記録材光沢検出装置71,72,73,74(図1参照)により、画像形成に供される記録材Pの光沢が検出され、その光沢に応じて、制御手段(不図示)により、低光沢モード、中光沢モード、高光沢モードが自動的に切り替えられる(S2,S3,S4)。なお、自動切替えに代えて、ユーザが手動で光沢モードを切り替えるようにしてもよい。
低光沢モード、又は中光沢モードが選択された場合には、前述したように、γ特性が立つ問題は起こりにくいため、高光沢モードが選択された場合(S4)のみ、以下に示す画像形成条件で画像形成を行う。
高光沢モード時には、記録材Pが通常の高光沢コート紙か(S5)、熱可塑性樹脂コート紙か(S6)をユーザが入力し、それぞれに応じて画像形成条件が切り替えられる。ここでの、画像形成条件とは、各色でのトナーの載り量である。
トナーの載り量の変更は、現像時の電位コントラスト設定により変更している。図8に、高光沢モード時の通常の高光沢コート紙でのトナーの載り量(トナー層高さ)と文字つぶれ量との関係を示す。同図に示すように、トナーの載り量が多いほど(トナー層高さが高いほど)、高光沢モード時の文字つぶれ量は大きくなる。したがって、通常の高光沢コート紙においては、熱可塑性樹脂コート紙に比べ、トナー量を下げる(トナー層高さを低くする)のが好ましい。
一方で、トナーの載り量を少なくすると当然、画像の最大濃度が低下してしまうという問題がある。本実施の形態では、トナーの載り量の最大値は、低光沢紙である上質紙の場合に0.5mg/cm2としている。この場合の最大濃度は1.6である。同じトナー載り量で通常の高光沢コート紙に画像形成を行うと通常は最大濃度が上がる傾向にあり、同じ高光沢モードで画像形成すると最大濃度は1.9となる。
そこで、本実施の形態においては、高光沢モードにおいて通常の高光沢コート紙に画像形成する場合、最大濃度が上質紙と同じレベルの1.6を得られるように、トナーの載り量の最大値を0.45mg/cm2に設定する(S7)ことで、通常の高光沢コート紙での文字つぶれといった不具合を回避することが可能となる。
また、熱可塑性樹脂コート紙を用いた高光沢モードの場合には、文字つぶれの問題が起きにくいため、トナー載り量の最大値を通常の高光沢コート紙よりも多くすることで、最大濃度を高くし、画像濃度の再現範囲を広げて高画質画像を出力することが可能となる。
そこで、本実施の形態においては、熱可塑性樹脂コート紙を用いた場合にはトナーの載り量の最大値を0.5mg/cm2としている(S8)。このようにすることで、最大濃度は1.9となり、より銀塩写真に近い画像コントラストを得ることが可能となっている。なお、通常の高光沢コート紙と熱可塑性樹脂コート紙とのいずれの場合も、定着速度は70mm/secに設定して画像出力を行う(S10)。
以上のように、本実施の形態は、高光沢モード時に、通常の高光沢コート紙と熱可塑性樹脂コート紙とで、トナーの載り量を切り替えることにより、文字つぶれ等の問題を回避するとともに、最大濃度を制御することで、それぞれの記録材Pに最適な画質を出力することが可能となっている。
<実施の形態2>
本実施形態で説明する画像形成装置は、定着装置の構成が実施の形態1、2で説明した図1のものと異なっているものの、これ以外の構成は実施形態1、2とほぼ同様な構成であるので詳細な説明は省略するものとする。
図18の画像形成装置には、図1にて説明した画像形成装置の排紙部に、熱可塑性樹脂コート紙用の定着装置122を備えたオプションユニットが着脱自在に装着されている。すなわち、図18の画像形成装置には、2つの定着装置、すなわち、第1の画像加熱手段としての定着装置22と第2の画像加熱手段としての定着装置122が搭載されている。
(オプションユニット)
次に、オプションユニットの詳細について説明する。
オプションユニットには、定着装置122と、定着装置22にて定着処理された記録材をオプションユニットの上面に設けられた排紙トレイに向けてそのまま搬送するか定着装置122を経由するように定着装置122に向けて搬送するかを切替えるガイドと、を有している。さらに、オプションユニットには、上面(前述)及び側面(定着装置122にて定着処理された記録材を載置する)に設けられた排紙トレイや定着装置122に向けて記録材を搬送するためのローラ対が適所に配置されている。
定着装置122は、定着ローラ151、加圧ローラ152、分離ローラ153、テンションローラ154、冷却ファン155、定着ベルト156を有している。
さらに、定着ローラ151内、加圧ローラ152内には加熱ヒータ(ハロゲンランプ)158、159が内蔵されており、各々のヒータへの通電は定着ローラ、加圧ローラの温度検出結果に応じて制御されている。
定着ローラ151は、同心円状に3層構造を採用しており、コア部分、弾性層、離型層を有している。このコア部分は直径44mm、厚さ5mmのアルミニウム製中空パイプにより構成され、弾性層はJIS−A硬度50度、厚さ300μmのシリコンゴムにより構成され、離型層は厚さ50μmのPFAにより構成される。なお、コア部分の中空パイプ内部には、熱源としてのハロゲンランプが配設されている。
加圧ローラ152もほぼ同様の構成を採用しているが、弾性層は厚さ3mmのシリコンゴムを用いる。これは、弾性層により定着ニップを稼ぐためである。
加圧ローラによる定着ローラへの加圧力は総圧で50kgに設定されており、定着ニップの記録材搬送方向の長さは5mmに設定されている。
分離ローラ153、テンションローラ154はアルミニウム製中空パイプにより構成されている。
また、定着ローラ151から分離ローラ153にいたる領域において、定着ベルト156に密着している記録材を冷却する冷却手段としての冷却ファン155が設けられている。これは、冷やされて剥がれて搬送できなくなることを防止する。
また、この冷却ファン155によって紙面(図18)に直交するエアフローが生じている。なお、冷却手段としては、上述のファンに限らず、ベルトに接触して冷却する、ペルチェ素子、ヒートパイプ、水の循環型冷却装置を用いても良い。
そして、定着ベルト156にはテンションローラ154により所定の張力が与えられ、定着ローラ151が時計回りの方向に回転駆動することにより、定着ベルト156が回転される。
次に、定着装置122の定着動作について説明する。
CPUは、定着ローラと加圧ローラに内蔵されたハロゲンランプに電力を供給し、定着ローラと加圧ローラの表面温度が所定の定着温度(180℃近傍)に上昇させ維持するように制御する。
定着ローラと加圧ローラの表面温度が定着温度に達すると、トナー像が形成された記録材Pが定着ベルト156と加圧ローラ152との圧接部分である定着ニップに突入する。その際、定着ローラ151と加圧ローラ152からの熱により、透明樹脂層の温度が上昇してトナーと共に軟らかくなり、さらに定着ローラ151と加圧ローラ152との圧力が加わることによりトナー像がその高温の透明樹脂層中に埋没される。トナー像が透明樹脂層中に埋め込まれた記録材Pは定着ベルト156表面に密着したまま、分離ローラ153による分離部に至るまで搬送される。
定着ベルト156に密着した状態の記録材Pは分離部に至るまでの間に、冷却ファン155により効率よく強制的に冷却される(トナーの軟化点温度よりも低い温度(約50〜60℃)に冷却される)。
そして、定着ベルト57の表面に密着された記録材は冷却領域で十分に冷却されてから分離ローラ153により定着ベルト156の曲率が変化する分離部にて定着ベルト156から自らの剛性(こし)により剥離される。したがって、定着装置122の記録材分離温度は定着装置22の記録材分離温度よりも低くなっている。
このように冷却分離を施すことにより、記録材の表面が定着ベルトの表面とほぼ対応して凹凸のない状態に仕上げることが可能となる。従って、本例の定着装置122を使用すれば、銀鉛写真に匹敵する光沢度を備えた高品質画像を得ることができる。
(光沢モードに応じた画像形成方法)
次に光沢モードに応じた画像形成方法について図19を用いて詳細に説明する。
まず、上述した通常の高光沢コート紙もしくは熱可塑性樹脂コート紙に画像を形成する高光沢モードについて説明する。
本例では、高光沢モードで使用する記録材に応じて、定着装置22のみを使用して画像形成するのか、もしくは定着装置22と定着装置122の双方を使用して画像形成するのか、切り替えられる構成となっている。この切り替えは、ユーザが操作部にて使用するコート紙の種類を選択指示することにより行われる。
具体的には、ユーザが「写真モード」なる表示がなされている操作部のボタンを押すと、記録材の種類が熱可塑性樹脂コート紙であるとCPUが認識し、定着装置22と定着装置122の双方を使用して定着処理を施す画像形成条件に設定する。
一方、ユーザが、「低光沢モード」、」「中光沢モード」、「高光沢モード」なる表示がなされている操作部のボタンを押すと、記録材の種類が上述した低高光沢紙、中光沢紙、通常の高光沢コート紙であるとCPUが認識し、定着装置22のみを使用して定着処理を施す画像形成条件に切り替える。
なお、操作部にて表示されたボタン名は上述のものに限られず、記録材の種類に対応した名称であれば構わない。
低光沢モード、中光沢モードは、参考の形態にて説明したフローと同様である。
一方、高光沢モードは、使用する定着装置に応じて、フローが変わる。
具体的には、定着装置22のみしか使用しない場合(通常のコート紙)ならば、スクリーン線数がAM150lpiに設定され、画像出力が行われる。
一方、定着装置22と定着装置122の双方を使用する場合(熱可塑性樹脂コート紙)ならば、スクリーン線数がAM200lpiに設定され、画像出力が行われる。
なお、高光沢モード時における定着装置22の定着速度はいずれの場合も70mm/secに設定されている。
また、以上説明したスクリーン線数を切り替える例の他に、実施の形態1と同様に、熱可塑性樹脂コート紙よりも通常の高光沢コート紙のトナーの載り量(最大値)を少なくする構成としても構わない。
なお、上述した実施の形態1、2では、ユーザによる画像形成モードの選択を画像形成装置の操作部から行う構成について説明したが、例えば、画像形成装置とLANケーブルにて接続されたパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから、画像形成モードの選択指示を行う構成であっても構わない。この場合、画像形成装置に設置された入力手段としてのインターフェースがPCから画像形成モードを示す信号を受け付けると、その入力信号に応じてCPUが各種画像形成条件(スクリーン線数、トナー載り量)を設定する構成となっている。
以上のように、実施の形態2では、第1の画像加熱手段のみを使用して画像加熱処理を行う第1のモードと第2の画像加熱手段を少なくとも使用して画像加熱処理を行う第2のモードとを有し、モードに応じて画像形成手段の画像形成条件を変更することにより、画像品質の低下を抑えながらも画像の光沢性を向上させることができる。
そして、使用する定着装置(の数)に応じて記録材の形成する画像形成条件(スクリーン線数、トナー載り量)を切り替えることにより、画像の光沢度を向上しながらも画像品位の低下を防止することができる。