JP2006125092A - 土留め擁壁パネル及び土留め擁壁の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンカー部材との連結を容易とし、アンカー部材としっかりと連結させることのできる土留め擁壁パネルを提供する。
【解決手段】コンクリート製のパネル本体1と、縦横に隣接するパネル本体1の縁部同士を互いに接続する接続部材と、盛り土に埋設されるアンカー部材2の端部をパネル本体1の背面1a側に連結するための連結部材とを備えている。連結部材はパネル本体1をその厚さ方向に抜け止め状態で貫通する連結用金具4よりなる。この連結用金具4の背面側の突出端部にアンカー部材2の端部を連結するための連結部5が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】コンクリート製のパネル本体1と、縦横に隣接するパネル本体1の縁部同士を互いに接続する接続部材と、盛り土に埋設されるアンカー部材2の端部をパネル本体1の背面1a側に連結するための連結部材とを備えている。連結部材はパネル本体1をその厚さ方向に抜け止め状態で貫通する連結用金具4よりなる。この連結用金具4の背面側の突出端部にアンカー部材2の端部を連結するための連結部5が設けられている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、土留め擁壁パネル及び土留め擁壁の施工方法に関する。
土留め擁壁パネルとして知られるものとして、図10に示すように、地盤に対して造成された基礎51の上に積み重ねられ、背面側に盛られる盛り土(図示せず)にアンカー部材53にて固定される擁壁パネル52がある。従来の擁壁パネル52は背面側に複数の凹部54が設けられており、この凹部54内にてアンカー部材53の端部と連結されている。図11は擁壁パネル52とアンカー部材53との連結部を示す断面図であり、擁壁パネル52には前記凹部54に連通するジョイントバー57用の連結用孔55が凹部54の上下に夫々形成されている。また、アンカー部材53はその端部に取り付け用孔56が設けられている。なお、土留め擁壁に用いられるアンカー部材53としては、例えば特許文献1に示すように、端部に孔を有する帯状部材(ストリップ)がある。
そして、擁壁パネル52とアンカー部材53との連結は、擁壁パネル52の凹部54内にアンカー部材53の端部を挿し入れ、ジョイントバー57を擁壁パネル52の前記連結用孔55,55とアンカー部材53の取り付け用孔56とに挿通させることにより行われている。
そして、擁壁パネル52とアンカー部材53との連結は、擁壁パネル52の凹部54内にアンカー部材53の端部を挿し入れ、ジョイントバー57を擁壁パネル52の前記連結用孔55,55とアンカー部材53の取り付け用孔56とに挿通させることにより行われている。
しかし、図10と図11に示す従来の土留め擁壁パネルは、ジョイントバー57と擁壁パネル52内の連結用孔55との隙間、及び、ジョイントバー57とアンカー部材53の取り付け用孔56との隙間によりガタツキが生じて擁壁パネル52が安定せず、またこの隙間により連結後に緩みが生じて擁壁パネル52が傾いてしまうというおそれがある。さらに、アンカー部材53は水平とされて擁壁パネル52の壁面に対して直角となるよう施工する必要があるが、前記隙間によりアンカー部材2の端部はふらつくため、この施工を困難とさせている。さらに、擁壁パネル52とアンカー部材53との連結は擁壁パネル52の凹部54内にて行われるために、その作業は行いにくいという問題点を有する。
また、擁壁パネル52は背面に複数の大きな凹部54が形成されているために、その部分において厚さが薄くなり、擁壁パネル52自体の強度を低下させているという問題点を有している。
また、擁壁パネル52は背面に複数の大きな凹部54が形成されているために、その部分において厚さが薄くなり、擁壁パネル52自体の強度を低下させているという問題点を有している。
この発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、アンカー部材との連結を容易とし、しっかりとアンカー部材を連結させることのできる土留め擁壁パネル及び土留め擁壁の施工方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するためのこの発明の土留め擁壁パネルは、コンクリート製のパネル本体と、縦横に隣接する当該パネル本体の縁部同士を互いに接続する接続部材と、盛り土に埋設されるアンカー部材の端部を前記パネル本体の背面側に連結するための連結部材とを備えている土留め擁壁パネルにおいて、前記連結部材は前記パネル本体をその厚さ方向に抜け止め状態で貫通する連結用金具よりなり、この連結用金具の背面側の突出端部に前記アンカー部材の端部を連結するための連結部が設けられていることを特徴としている。
このような構成の土留め擁壁パネルによれば、パネル本体の背面側に突出状となる連結部が設けられているため、アンカー部材との連結作業が容易であり、工期の短縮が図れる。さらに、アンカー部材をパネル本体に連結させる連結部材がパネル本体をその厚さ方向に抜け止め状態で貫通する連結用金具によりなるため、アンカー部材を盛り土側へ引っ張ってパネル本体をしっかりと固定させることができる。これにより、時間が経過しても垂直に設けたパネル本体が傾くことを防止できる。
また、連結用金具の連結部が背面に突出して設けられているため、この連結部とアンカー部材の端部とを様々な連結手段により連結させることができる。例えば連結手段をボルトナットとすることにより、パネル本体とアンカー部材とを連結用金具を介してしっかりと固定させることができる。これにより、アンカー部材の緩みやパネル本体のガタツキを防ぐことができ、パネル本体が傾いてしまうことを防止できる。そして、パネル本体を工場にて製作する際に連結用金具をパネル本体に対して直角に貫通させれば、擁壁パネルの施工場所においてアンカー部材をパネル本体に対して簡単に直角に取り付けることができる。
さらに、コンクリート製のパネル本体からの連結用金具の引き抜き耐力は、パネル本体のコーン破壊によって支配されることになる。そこで、本発明は、連結用金具がパネル本体をその厚さ方向に抜け止め状態で貫通しているため、その連結用金具の抜け止め部を例えばパネル本体の板厚中心よりも表面側の位置に設ければ、連結用金具のパネル本体への埋め込み深さを大きくすることができ、コーン破壊に抗する引き抜き耐力を大きくさせることができる。
また、連結用金具の連結部が背面に突出して設けられているため、この連結部とアンカー部材の端部とを様々な連結手段により連結させることができる。例えば連結手段をボルトナットとすることにより、パネル本体とアンカー部材とを連結用金具を介してしっかりと固定させることができる。これにより、アンカー部材の緩みやパネル本体のガタツキを防ぐことができ、パネル本体が傾いてしまうことを防止できる。そして、パネル本体を工場にて製作する際に連結用金具をパネル本体に対して直角に貫通させれば、擁壁パネルの施工場所においてアンカー部材をパネル本体に対して簡単に直角に取り付けることができる。
さらに、コンクリート製のパネル本体からの連結用金具の引き抜き耐力は、パネル本体のコーン破壊によって支配されることになる。そこで、本発明は、連結用金具がパネル本体をその厚さ方向に抜け止め状態で貫通しているため、その連結用金具の抜け止め部を例えばパネル本体の板厚中心よりも表面側の位置に設ければ、連結用金具のパネル本体への埋め込み深さを大きくすることができ、コーン破壊に抗する引き抜き耐力を大きくさせることができる。
また、前記パネル本体のコーン破壊領域を通過する鉄筋部材が当該パネル本体内に埋設されているのが好ましい。この構成によれば、コーン破壊に抗する引き抜き耐力をさらに向上させることができ、コーン破壊を効果的に防止することが可能となる。また、連結用金具とパネル本体とを一体的とさせることができ強度の高い擁壁パネルを得ることができる。また、施工後において盛り土の土圧によりパネル本体には連結用金具部分に最大曲げモーメントが作用する。従って、パネル体の板厚中心よりも盛り土側(背面側)に鉄筋部材を設ければこの曲げモーメントによる応力(引張応力)に抵抗させることができる。
また、前記連結用金具は前記パネル本体に複数箇所設けられ、隣り合う当該連結用金具のそれぞれのコーン破壊領域を共に通過するように前記鉄筋部材が埋設されているのが好ましい。この構成によれば、連結用金具とパネル本体とを一体的とさせることができる。これにより、均質で強度の高い擁壁パネルを得ることができる。さらに、パネル本体は無筋でも十分強度を有するが、パネル本体のひび割れ発生後の急激な破壊を避けるための用心鉄筋として機能させることができると共にコーン破壊抵抗力を高めることができる。鉄筋部材を共用させることにより、局所的にアンカー部材から連結用金具を介して引っ張り力が作用しても、その力を分散させることができる。従って、パネル本体が偏った部分で大きく傾くことを防止できる。
また、前記パネル本体は、背面側がポーラスコンクリート層とされた複数層構造であるのが好ましい。この構成によれば、盛り土施工される背面側にポーラスコンクリート層を設けることにより、背面側部分に透水性を持たせることができ、パネル本体の背面側の層を排水層として機能させることができる。これにより、従来擁壁の背面側に必要であった盛り土排水層としての裏込め砕石施工を不要にすることができ、施工場所における工期の短縮が可能となる。
また、前記パネル本体は、表面側がポーラスコンクリート層とされた複数層構造であるのが好ましい。この構成によれば、擁壁の表層側が多孔質体となるため、この面側に植栽が可能となり緑化擁壁を形成することができる。
また、前記目的を達成するためのこの発明の土留め擁壁の施工方法は、前記土留め擁壁パネルの縁部同士を接続部材によって接続して当該パネルを一段ずつ積み重ね、その積み重ねられた前記パネルの前記連結部材にアンカー部材の端部を連結したあと、当該積み重ねられた前記パネルの背面側に盛り土を充填して前記アンカー部材を埋設することを特徴としている。このような構成によれば、擁壁パネルとアンカー部材との連結作業が容易であり、工期の短縮が図れる。さらに、一段ずつしっかりとパネル本体を固定させることができ、全体として寸法精度が良く安全な擁壁を得ることができる。
本発明の土留め擁壁パネルによれば、パネル本体とアンカー部材との連結作業が容易であり工期の短縮が図れる。アンカー部材を盛り土側へ引っ張ってパネル本体をしっかりと固定させることができ、施工後においてアンカー部材の緩みや擁壁パネルの傾きを防ぐことができる。さらに、連結用金具の引き抜き耐力を向上させることができ、コンクリート製のパネル本体におけるコーン破壊を防止することが可能となる。
以下、この発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳述する。
図1はこの発明の実施の一形態に係る土留め擁壁パネルが施工される状態を示す斜視図である。図1において、まず地盤に対してコンクリートによって基礎9が造成され、この基礎9の上に土留め擁壁パネルPが積み重ねられて擁壁が設けられる。擁壁パネルPは、後述するジベル12(図2参照)からなる接続部材が用いられて縦横に隣接するパネル本体1の連結縁部10同士を互いに接続させ積み重ねられる。そして、擁壁パネルPは、擁壁パネルPの背面1a側に設けられる盛り土(図示せず)にアンカー部材2にて固定される。アンカー部材2は水平状とされて盛り土内に深く挿入され、アンカー部材2と擁壁パネルPの壁面とは直角となるようされる。
図1はこの発明の実施の一形態に係る土留め擁壁パネルが施工される状態を示す斜視図である。図1において、まず地盤に対してコンクリートによって基礎9が造成され、この基礎9の上に土留め擁壁パネルPが積み重ねられて擁壁が設けられる。擁壁パネルPは、後述するジベル12(図2参照)からなる接続部材が用いられて縦横に隣接するパネル本体1の連結縁部10同士を互いに接続させ積み重ねられる。そして、擁壁パネルPは、擁壁パネルPの背面1a側に設けられる盛り土(図示せず)にアンカー部材2にて固定される。アンカー部材2は水平状とされて盛り土内に深く挿入され、アンカー部材2と擁壁パネルPの壁面とは直角となるようされる。
図2は擁壁パネルPの正面図であり、擁壁パネルPはコンクリート製の厚板状のパネル本体1と盛り土に埋設されるアンカー部材2の端部を連結させるための連結部材とを備えている。パネル本体1は両側縁部に左右突出するよう形成された連結縁部10を有しており正面視ほぼ矩形とされている。接続縁部10は縦横(斜め左右側方)に隣り合う他のパネル本体1と接続させるための段付き部であり、接続縁部10の段付き水平上面部11には軸状のジベル12が突出されている。このジベル12は隣り合う他のパネル本体1の接続縁部10の水平下面部13に形成された孔部14に挿入され、パネル本体1,1同士が連結される。擁壁パネルPの一辺は例えば1000mm程度とすることができ、図1に示すように、擁壁パネルPは正方形や、下部用又は上部用とするために正方形が上下半分にされた横長の長方形とすることができる。そして、この擁壁パネルPが積み重ねられて擁壁が構築される。また、図2に示すように、擁壁パネルPはその上部に2個の吊り部材26,26を有しており、荷降ろしや擁壁パネルPの組み立ての際に利用することができる。
擁壁パネルPが備える前記連結部材はパネル本体1をその厚さ方向に抜け止め状態で貫通する連結用金具4によりなる。図3の断面図に示すように、パネル本体1はその厚さ方向の貫通孔3を有しており、連結用金具4はこの貫通孔3に挿通されて設けられている。図4は連結用金具4の分解平面図であり、連結用金具4は、一端部がアンカー部材2と連結される連結部5とされており、連結部5はパネル本体1の背面1aから突出状となる。そして、連結用金具4の他端部がパネル本体1に抜け止めされる抜け止め部6とされている。
連結用金具4は、ロッド部材15と平板部材16とナット部材21と座金22とからなり、ロッド部材15がパネル本体1に形成した貫通孔3に挿通状とされており、ロッド部材15の一端部がパネル本体1の背面1aから突出している。そして、この突出している部分に平板部材16が溶接されており、平板部材16にはアンカー部材2取り付け用の孔17が形成されている。つまり、この平板部材16が連結用金具4の連結部5とされている。さらに、ロッド部材15の他端部に雄ねじ部20が形成されており、ロッド部材15の他端部側において平板環状の座金22を外嵌させ、雄ねじ部20にナット部材21を螺合させている。つまり、この雄ねじ部20と座金22とナット部材21とにより連結用金具4の抜け止め部6が構成されている。
また、パネル本体1の貫通孔3は、パネル本体1の背面1a側に設けられてロッド部材15の直径よりも大きい内径の小径孔部18と、小径孔部18とその軸心方向に連続するよう設けられて小径孔部18よりも内径が大きい大径孔部19とから成る。つまり、貫通孔3は段付き孔とされており、厚さ方向に直交する方向の段付き環状面23が形成されている。さらに、大径孔部19の内径はナット部材21及び座金22の径寸法よりも大きくされており、ナット部材21及び座金22はこの大径孔部19内に設けられ、かつ、ロッド部材15の雄ねじ部20もパネル本体1の表面1bから突出することなく大径孔部19内に設けられている。ロッド部材15に座金22が外嵌され、かつ、ロッド部材15の雄ねじ部20にナット部材21が螺合されているため、アンカー部材2と連結させた平板部材16からロッド部材15に引っ張り抜け力が作用してもナット部材21を介して座金22が貫通孔3の環状面23に当接し、ロッド部材15が裏面1a側に抜け出るのを防止している。
さらに、平板部材16はその幅寸法Bが小径孔部18の内径よりも大きくされており、座金22と平板部材16とによりパネル本体1を両側から挟むよう、ロッド部材15の雄ねじ部20にナット部材21を締め付けている。これにより、連結用金具4をパネル本体1にしっかりと一体状として取り付けることができる。つまり、連結用金具4がパネル本体1との間においてがたつくことを防止している。そして、連結用金具4のパネル本体1への取り付けは、平板部材16と固着されたロッド部材15を裏面1a側から貫通孔3に挿通し、ロッド部材15に座金22を外嵌させ、ロッド部材15の雄ねじ部20にナット部材21を螺合させることにより行われる。
また、図3に示すように、ナット部材21を締め付けた状態において、貫通孔3の大径孔部19にモルタルや樹脂等からなる充填材24が充填されている。これによりナット部材21の緩みを防止することができ、パネル本体1の表面1bの外観をきれいにしている。連結用金具4の材質はステンレス鋼や一般構造用鋼材又はメッキ(例えば亜鉛メッキ)が施された一般構造用鋼材とすることができる。
そして図1に示すように、この連結用金具4と連結されるアンカー部材2は帯状部材とされており、アンカー部材2の先端部に貫通孔が設けられている。そして、アンカー部材2の貫通孔と連結用金具4の連結部5の孔17(図4参照)とにボルトを挿通させナットにより固定し、アンカー部材2を連結用金具4を介してパネル本体1と連結させている。従って、ボルトのせん断耐力がアンカー部材2からの引っ張り力に抗している。アンカー部材2は、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400)に亜鉛メッキを施した帯状部材がある。
図5は本発明に係る土留め擁壁パネルの他の実施の形態を示す正面図であり、図6は図5のVI‐VI面を示し、図7は図5のVII‐VII断面を示す。この擁壁パネルPには連結用金具4のパネル本体1からの引き抜き耐力を向上させるための鉄筋部材7が設けられている。この鉄筋部材7は、図8の要部断面図に示すように、連結用金具4の引き抜きによるコーン破壊領域C内を通過するように擁壁パネルP内に埋設されている。つまり、アンカー部材2から連結用金具4に引っ張り力が作用すると、座金22がパネル本体1を背面1a側へ向かって押圧することとなり、座金2の円周縁部からパネル本体1の背面1aに向かってかつ45°の角度にて広がる方向のコーン破壊をパネル本体1に生じさせようとする。しかし、本発明においてこの45°の角度にて広がる円錐台形状の範囲内に鉄筋部材7を設けてコーン破壊に抗する耐力を高めている。この鉄筋部材7はパネル本体1の強度を高めることを主目的とするのではなく、コーン破壊防止用として設けられている。
また、この鉄筋部材7は連結用金具4のロッド部材15を所定間隔をもって両側から挟むよう一対設けられており、さらに、図5に示すように、直交する2方向の夫々の方向に沿って一対の鉄筋部材7,7が設けられ、この直交する2方向の鉄筋部材7,7はコーン破壊領域C内において交差するよう設けられている。
また、連結用金具4はパネル本体1に複数箇所設けられている。例えば図5に示すように、連結用金具4はパネル本体1に上下左右の4箇所に設けられており、上下方向又は左右方向に隣り合う連結用金具4,4の間隔を例えば500mm程度とすることができる。そして、1本の鉄筋部材7は隣り合う連結用金具4,4の夫々のコーン破壊領域C,C内を共に通過するように埋設されている。つまり、1本の直線状の鉄筋部材7は上下、左右に隣り合う連結用金具4,4に対して共用されている。そして、4箇所の連結用金具4に対して、連結用金具4よりも外方側に4本の鉄筋部材7が井桁状とされて設けられ、かつ、連結用金具4よりも内方側に4本の鉄筋部材7が井桁状とされて設けられている。
また、連結用金具4はパネル本体1に複数箇所設けられている。例えば図5に示すように、連結用金具4はパネル本体1に上下左右の4箇所に設けられており、上下方向又は左右方向に隣り合う連結用金具4,4の間隔を例えば500mm程度とすることができる。そして、1本の鉄筋部材7は隣り合う連結用金具4,4の夫々のコーン破壊領域C,C内を共に通過するように埋設されている。つまり、1本の直線状の鉄筋部材7は上下、左右に隣り合う連結用金具4,4に対して共用されている。そして、4箇所の連結用金具4に対して、連結用金具4よりも外方側に4本の鉄筋部材7が井桁状とされて設けられ、かつ、連結用金具4よりも内方側に4本の鉄筋部材7が井桁状とされて設けられている。
さらに、本発明の土留め擁壁パネルPが有するコンクリート製のパネル本体1は、図9に示すように、背面1a側がポーラスコンクリート層8とされた複数層構造とされているのが好ましい。このパネル本体1は、背面1a側の全面が所定厚さのポーラスコンクリート層8とされ、残りの表面1b側が普通コンクリート層25とされた2層構造とされている。ポーラスコンクリート層8は、連続空隙を有する多孔質のコンクリートからなる層であり、水を自由に通過させることのできる性質を有する。また、普通コンクリート層25はゼロスランプの超硬練りの普通コンクリートとするのが好ましい。この複数層構造のパネル本体1は、強度確保のために基本形状に成形された普通コンクリート層25の面に所定厚さのポーラスコンクリート層9を付加した構造とされている。なお、前記基本形状とは、強度計算により得られた厚さを有する形状であり、ポーラスコンクリート層9を設けない場合の図6に示したパネル本体1の形状である。
この複数層構造のパネル本体1の製造方法について説明すると、図示しないが、まずパネル本体成型用の型枠を振動テーブルにセットし、この型枠内にゼロスランプの超硬練りとされた普通コンクリートを所定厚さとなるまで充填する。そして、バイブレータを作動させ、普通コンクリートが流動性を帯びるまで振動テーブルを振動させる。また、この振動テーブルを振動させる際に、型枠内に充填させた普通コンクリートの上面をプレスにより押圧してもよい。
その後、硬練りのポーラスコンクリートを前記型枠内に充填させ、このポーラスコンクリートの上面をプレスで押圧しながらバイブレータを作動させ、ポーラスコンクリートが流動性を帯びるまで振動テーブルを振動させる。また、このポーラスコンクリートをゼロスランプの超硬練りとしたものとすることもできる。その後、型枠から脱型させたコンクリート成形体を所定の温度で養生硬化させることにより、2層構造からなるパネル本体1を得ることができる。硬練りとされたコンクリートを用いることにより型枠を外した状態でコンクリート成形体を養生硬化させることができるため、次々と型枠を転用させることが可能となり生産コストを低減させることができる。さらに、硬練りとされたコンクリートを用いることにより、パネル本体1の連結縁部10の水平下面部13に形成する孔部14を中子を取り除いて養生硬化させることができる。従来において、型枠内にてコンクリートを養生硬化させる場合に必要であった筒部材58(図11参照)を不要とできる。つまり、従来では筒部材58は中子として使用されかつそのままコンクリートに埋設されてその内周面が連結用孔55とされているが、本発明では筒部材58を不要とできる。
また、本発明において、図示しないがパネル本体1の表面1b側をポーラスコンクリート層とした複数層構造としてもよい。この場合、擁壁の表層側が多孔質体となるため、この面側に植栽が可能となり緑化擁壁を形成することができる。
図2と図5の擁壁パネルPにおいて、連結縁部10にジベル12が設けられており、ジベル12は下半分部が連結縁部10に埋設されている。このジベル12はパネル本体1の成型の際に型枠に予め設置されてパネル本体1と一体化されたものである。擁壁パネルPは左右の両側に上方突出状のジベル12,12を有しており、かつ左右の両側に下方に向かって開口する孔部14,14を有している。従って、先に設置された他の擁壁パネルPの上に擁壁パネルPを積み重ねるよう設置するためには、先に設置された他の擁壁パネルP,Pのジベル12,12に、その擁壁パネルPの左右両側の孔部14,14を外嵌させるようにして行う。
次に、この擁壁パネルPを用いた土留め擁壁の施工方法について説明すると、施工場所において掘削、整地が行われ、図1に示すようにコンクリート基礎9を造成する。そして、仮押さえ用のさし筋を用いてこの基礎9の上に擁壁パネルPを組み立てて固定する。そして、1段目の擁壁パネルPを垂直となるよう設置すると、アンカー部材2により背面1a側に設けた第1の盛り土(図示せず)に擁壁パネルPを固定する。アンカー部材2は、擁壁パネルPの背面1aに対して直角となるよう、連結用金具4の背面側の突出端部に設けられた連結部5と固定される。この際、アンカー部材2を盛り土側に引っ張って固定する。連結用金具4の連結部5とアンカー部材2の端部との連結は、相互の孔17,27(図8参照)にボルトを挿通させナットを締め付けて行う。これにより、連結用金具4とアンカー部材2との間に隙間やガタツキが生じない。また、連結部5がパネル本体1の背面1aから突出状とされているため作業が容易であり、アンカー部材2を擁壁パネルPに直角に取り付けることが容易となる。
そして、擁壁パネルPの背面1a側において第2の盛り土施工を行い、1段目の擁壁パネルPの上面に水平目地材(図示せず)を敷き、その上に擁壁パネルPを連結縁部10同士を接続部材(ジベル12)によって接続して積み重ねる。そして、第1段目と同様にその積み重ねられたパネルPの連結用金具4にアンカー部材2の端部を連結しパネルPを固定する。そして擁壁パネルPの垂直度を確認し、アンカー部材2の傾斜を調整する。その後、積み重ねられたパネルPの背面1a側に盛り土を充填してアンカー部材2を埋設する。そして、盛り土の締め固めを行う。以降この作業を順次繰り返し行い、所定の土留め擁壁が得られる。
また、本発明の土留め擁壁パネルPは、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、例えば図4において、連結用金具4においてロッド部材15と平板部材16とを別体としているが、一体ものとして形成してもよい。
1 パネル本体
1a 背面
2 アンカー部材
3 貫通孔
4 連結用金具
5 連結部
6 抜け止め部
7 鉄筋部材
8 ポーラスコンクリート層
C コーン破壊領域
1a 背面
2 アンカー部材
3 貫通孔
4 連結用金具
5 連結部
6 抜け止め部
7 鉄筋部材
8 ポーラスコンクリート層
C コーン破壊領域
Claims (6)
- コンクリート製のパネル本体と、縦横に隣接する当該パネル本体の縁部同士を互いに接続する接続部材と、盛り土に埋設されるアンカー部材の端部を前記パネル本体の背面側に連結するための連結部材とを備えている土留め擁壁パネルにおいて、前記連結部材は前記パネル本体をその厚さ方向に抜け止め状態で貫通する連結用金具よりなり、この連結用金具の背面側の突出端部に前記アンカー部材の端部を連結するための連結部が設けられていることを特徴とする土留め擁壁パネル。
- 前記パネル本体のコーン破壊領域を通過する鉄筋部材が当該パネル本体内に埋設されている請求項1に記載の土留め擁壁パネル。
- 前記連結用金具は前記パネル本体に複数箇所設けられ、隣り合う当該連結用金具のそれぞれのコーン破壊領域を共に通過するように前記鉄筋部材が埋設されている請求項2に記載の土留め擁壁パネル。
- 前記パネル本体は、背面側がポーラスコンクリート層とされた複数層構造である請求項1〜3のいずれか一項に記載の土留め擁壁パネル。
- 前記パネル本体は、表面側がポーラスコンクリート層とされた複数層構造である請求項1〜4のいずれか一項に記載の土留め擁壁パネル。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の土留め擁壁パネルの縁部同士を接続部材によって接続して当該パネルを一段ずつ積み重ね、その積み重ねられた前記パネルの前記連結部材にアンカー部材の端部を連結したあと、当該積み重ねられた前記パネルの背面側に盛り土を充填して前記アンカー部材を埋設することを特徴とする土留め擁壁の施工方法。
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