JP2006124905A - ナノポーラスファイバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記目的は、直径100nm以下の細孔を有するナノポーラスファイバーであって、繊維横断面全体に占める直径200nm以上の細孔の面積比が1.5%以下であり、細孔が独立孔であるナノポーラスファイバー(ナノポーラス部が繊維横断面中で偏心的に偏在していることを除く)により達成される。
【選択図】なし
Description
東洋精機製キャピログラフ1Bにより、ポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
98%硫酸溶液にナイロンペレットを溶解し0.01mg/mlの濃度に調製した後、25℃で測定した。
オルソクロロフェノール中25℃で測定した。
Perkin Elmaer DSC−7を用いて、2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
室温(25℃)で、引っ張り速度=100%/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分でノーマルモードで測定を行った。
熱収縮率(%)=[(L0−L1)/L0]×100(%)
L0:延伸糸をかせ取りし初荷重0.09cN/dtexで測定したかせの原長
L1:L0を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09cN/dtex下でのかせ長。
繊維の横断面方向または縦断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、必要に応じて金属染色を施した。
TEM装置 : 日立社製H−7100FA型。
細孔直径は以下のようにして求める。すなわち、TEMによる繊維横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて細孔の円換算による直径を求めた。また、微細すぎたり形状が複雑でWINROOFでの解析が難しい場合は、目視と手作業により解析を行った。平均直径は、それらの単純な数平均値を求めた。この時、平均に用いる細孔は同一横断面内で無作為抽出した300以上の細孔を用いた。ただし、TEM観察用のサンプルは超薄切片とするため、サンプルに破れや穴あきが発生しやすい。このため、直径解析時にはサンプルの状況と照らし合わせながら慎重に行った。また、無機微粒子やこれの周りのボイドは、ここでは細孔に含めなかった。島ポリマー直径は細孔直径解析に準じた。
得られたサンプルを常法にしたがい染色し、同条件で染色した比較サンプルとの発色性を比較した。比較サンプルはナノポーラスファイバーを構成するポリマーを常法により製糸したものを用いた。より具体的には以下の方法を用いた。
ナイロンの場合は、染料にクラリアントジャパン株式会社製“NylosanBlue N−GFL”を用い、この染料を繊維製品の0.8重量%、pHを5に調整した染色液で浴比100倍、90℃×40分処理した。
サンプルを秤量瓶に1〜2g程度はかり取り、110℃に2時間保ち乾燥させ重量を測定し(W0)、次に対象物質を20℃、相対湿度65%に24時間保持した後重量を測定する(W65)。そして、これを30℃、相対湿度90%に24時間保持した後重量を測定する(W90)。そして、以下の式にしたがい計算を行う。
MR65=[(W65−W0)/W0]×100% ・・・・・ (1)
MR90=[(W90−W0)/W0]×100% ・・・・・ (2)
ΔMR=MR90−MR65 ・・・・・・・・・・・・ (3)。
繊維を60℃で4時間乾燥した後、原長(L0’)を測定する。そしてこの繊維を25℃の水に10分間浸漬した後、水から取り出し素早く処理後長(L1’)を測定する。さらにこの繊維を60℃で4時間乾燥後、乾燥後長(L2’)を測定する。そして、乾燥/水浸漬の3回繰り返し、3回目の糸長手方向の膨潤率が1回目の糸長手方向の膨潤率に対して50%以上であれば可逆的水膨潤性を有しているとした。糸長手方向の膨潤率は以下のようにして計算した。なお、繊維の長さは、繊維の2カ所に色つきの糸を結びその間の距離を測定した。この距離は約100mmとなるようにした。
糸長手方向の膨潤率(%)=((L1’−L0’)/L0’)×100(%)。
仮撚加工糸をかせ取りし、実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中15分間処理し、24時間風乾した。このサンプルに0.088cN/dtex(0.1gf/d)相当の荷重をかけ水中に浸漬し、2分後のかせ長L0”を測定した。次に、水中で0.088cN/dtex相当の荷重を除き0.0018cN/dtex(2mgf/d)相当の微荷重に交換し、2分後のかせ長L1”を測定した。そして下式によりCR値を計算した。
CR(%)=[(L0”−L1”)/L0”]×100(%)。
相対粘度2.15、溶融粘度274poise(280℃、剪断速度2432sec−1)、融点220℃のN6(80重量%)と極限粘度0.60、溶融粘度1400poise(280℃、剪断速度2432sec−1)、融点250℃の5−ナトリウムスルホイソフタル酸5mol%共重合した共重合PET(20重量%)を二軸押出混練機で260℃で溶融混練してポリマーアロイチップを得た。このときの混練条件は以下のとおりであった。
スクリュー型式 同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー 直径37mm、有効長1670mm、L/D=45.1
混練部長はスクリュー有効長の28%
混練部はスクリュー有効長の1/3より吐出側に位置させた
途中3個所のバックフロー部有り
ポリマー供給 N6と共重合PETを別々に計量し、別々に混練機に供給した
温度 260℃
ベント 2個所
なお、共重合PETは0.05重量%の酸化チタンを含有していた。そして、このポリマーアロイを270℃の溶融部2で溶融し、紡糸温度275℃のスピンブロックに導いた。そして、限界濾過径15μmの金属不織布でポリマーアロイ溶融体を濾過した後、溶融紡糸した(図21)。この時、溶融部2から吐出までの滞留時間は10分間であった。口金としては図22に示すように吐出孔上部に直径0.2mmの計量部11を備えた、吐出孔径13が0.5mm、吐出孔長12が1.25mmのものを用いた。そして、この時の単孔あたりの吐出量は2.1g/分とし、ポリマーアロイの口金吐出線速度は10m/分であった。また、口金下面から冷却開始点(チムニー5の上端部)までの距離は9cmであった。吐出された糸条は20℃の冷却風で1mにわたって冷却固化され、口金4から1.8m下方に設置した給油ガイド7で給油された後、非加熱の第1引き取りローラー8および第2引き取りローラー9を介して3800m/分で巻き取られた。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。また、ナイロンで問題となる巻き取りパッケージの経時膨潤によるパッケージ崩れも無く、優れた取り扱い性であった。
N6を溶融粘度1260poise(280℃、剪断速度2432sec−1)のN6を用い溶融粘度比を表2記載のように変更して実施例1と同様に溶融紡糸、延伸仮撚りを行った。この時、単孔あたりの吐出量、口金孔数を変更し105dtex、96フィラメント、強度3.8cN/dtex、伸度29%、熱収縮率8%、CR35%のポリマーアロイ捲縮糸を得た(表2)。得られたポリマーアロイ捲縮糸の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造を形成していることが分かった。
実施例1で得たポリマーアロイチップを用い、吐出量と口金孔数を変更し、紡糸速度を900m/分として実施例1と同様に溶融紡糸を行った。この時の溶融部2から吐出までの滞留時間は12分間であった。紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。また、ナイロンで問題となる巻き取りパッケージの経時膨潤によるパッケージ崩れも無く、優れた取り扱い性であった。
N6を溶融粘度1260poiseまたは1540poise(280℃、剪断速度2432sec−1)の実施例3で用いたものよりも高粘度のN6を用い、N6と共重合PETの溶融粘度比を表2記載のように変更して実施例3と同様に溶融紡糸、延伸・熱処理を行った。この時、単孔あたりの吐出量、口金孔数を変更し105dtex、96フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。紡糸性はいずれも良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。得られたポリマーアロイ繊維は、いずれも粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径200nm以上の島は島全体に対し面積比で0.1%以下、直径100nm以上の島も面積比で0.1%以下であった。また、糸物性は表2に示すとおり優れたものであった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。
N6と共重合PETブレンド比を50重量%/50重量%とし、単孔あたりの吐出量、口金孔数を変更して実施例3と同様に溶融紡糸、延伸・熱処理を行い、90dtex、34フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察結果を図6に示すが、共重合PETは直径10nm程度の島が数珠状に繋がり、短軸10nm以下、長軸50〜80nm程度の層状の島として存在しており、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、糸物性は表2に示すとおり優れたものであった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。
実施例3で用いたN6(50重量%)と5−ナトリウムスルホイソフタル酸を12mol%、イソフタル酸を26mol%共重合したPET(50重量%)とを2軸押し出し混練機で245℃で混練し、ポリマーアロイチップを得た。このポリマーアロイを紡糸温度250℃で溶融し、口金孔径0.6mmとし、単孔あたりの吐出量を変更して実施例3と同様に溶融紡糸を行い、紡糸速度800m/分で未延伸糸を巻き取った。これを延伸倍率3.4倍、第1ホットローラー温度90℃、第2ホットローラー温度130℃で延伸熱処理した。これにより、85dtex、36フィラメントのポリマーアロイ糸を得た。紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察結果を図19に示すが、共重合PETは短軸10〜30nm、長軸50〜100nm程度の層状の島として存在しており、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表2に示すとおり優れたものであった。
共重合PETをイソフタル酸を7mol%、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を4mol%共重合したPET(融点225℃、0.05重量%の酸化チタンを含有)として、N6と共重合PETの重量比を50重量%/50重量%、口金孔径を0.7mmとして実施例3と同様にして溶融紡糸、延伸・熱処理を行った。問題となるほどではないが実施例3に比べると紡糸が不安定化し、24時間の連続紡糸の間の糸切れは2回であった。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子はわずかであったが、島の平均直径が143nm、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は5%であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。糸物性は表2に示した。
共重合PETの代わりにポリアルキレンオキサイド誘導体の熱水可溶性ポリマーである第一工業製薬株式会社製“パオゲンPP−15”とし、単孔あたりの吐出量と口金孔数を変更、紡糸速度を4000m/分、延伸倍率を1.2倍として、実施例3と同様に溶融紡糸、延伸・熱処理を行い55dtex、68フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は1.3%であった。また、糸物性は表2に示すとおり優れたものであった。
共重合PETの代わりに重量平均分子量15万、溶融粘度857poise(240℃、2432sec−1)、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)を用い混練温度を220℃として実施例1と同様に溶融混練した。なお、ポリ乳酸の重量平均分子量は以下のようにして求めた。試料のクロロホルム溶液にTHF(テトロヒドロフラン)を混合し測定溶液とした。これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。なお、実施例1で用いたN6の240℃、2432sec−1)での溶融粘度は570poiseであった。そして、単孔あたりの吐出量と口金孔数を変更、紡糸速度を3500m/分として、実施例1と同様に溶融紡糸を行い105dtex、36フィラメント、強度3.1cN/dtex、伸度107%、U%1.2%の高配向未延伸糸を得た。紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。これに延伸倍率を1.4倍として実施例1と同様に延伸仮撚り加工を施し、76dtex、36フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度29%、U%1.3%、CR35%の仮撚り加工糸を得た。この時、ポリL乳酸の融点を考慮し、ヒーター温度を160℃としたため、未解撚がほとんど無い品位にも優れた仮撚り加工糸が得られ、延伸仮撚りでの工程通過性も良好であった。得られたポリマーアロイ捲縮糸の繊維横断面をTEMで観察結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島ポリマーの島成分全体に対する面積比は0.1%以下、島ポリマーの平均直径は80nmであった。また、糸物性は表1に示すとおり優れたものであった。
実施例3で用いたN6と共重合PETを図24の装置を用いてそれぞれ270℃、290℃で溶融した後、パック3内に設置した静止混練器20(東レエンジニアリング社製“ハイミキサー”10段)により104万分割して混合した。そして、これを絶対濾過径20μmの金属不織布フィルターで濾過した後、孔径0.35mmの口金孔から吐出した。この時、紡糸温度は280℃、口金4からチムニー5の上端までの距離は7cmとした。これを紡糸速度900m/分で引き取り、第2引き取りローラー9を介して巻き取った。24時間の紡糸を行ったが、紡糸での糸切れは皆無であり、良好な紡糸性を示した。これを図23の装置を用いて延伸・熱処理した。この時、延伸倍率は3.2倍、第1ホットローラー16温度は70℃、第2ホットローラー17温度は130℃とした。延伸・熱処理での糸切れは皆無であり、良好な延伸性を示した。
N6/共重合PETブレンド比を50重量%/50重量%として実施例11と同様に溶融紡糸を行った。紡糸性は良好であり、24時間の紡糸で糸切れはゼロであった。これを図23の装置を用いて延伸・熱処理した。この時、延伸倍率は3.2倍、第1ホットローラー16温度は70℃、第2ホットローラー17温度は130℃とした。延伸・熱処理での糸切れは皆無であり、良好な延伸性を示した。
N6をN66として実施例12と同様に溶融紡糸、延伸・熱処理を行った。この時、紡糸温度は280℃、N66/共重合PETのブレンド比は80重量%/20重量%とした。紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表2に示すとおり優れたものであった。
実施例1と同様に溶融紡糸を行い、図26の装置を用いて紡糸直接延伸を行った。この時、単孔あたりの吐出量と口金孔数を変更し、第1ホットローラー28の周速2000m/分、温度40℃、第2ホットローラー29の周速4500m/分、温度150℃として55dtex、12フィラメント、強度4.4cN/dtex、伸度37%、U%1.2%、熱収縮率12%のポリマーアロイ繊維を得た。紡糸性は良好であり、24時間の紡糸で糸切れはゼロであった。得られたポリマーアロイ繊維は、いずれも粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径200nm以上の島は島全体に対し面積比で0.1%以下、直径100nm以上の島も面積比で0.1%以下であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表2に示すとおり優れたものであった。
混練方法を二軸押出混練機ではなく単純なチップブレンドとして図21の装置を用い、実施例3と同様に溶融紡糸を行った。紡糸中のポリマーの吐出が安定せず、紡糸性は劣悪であり紡糸中に糸切れが頻発し、安定して糸を巻き取ることができなかった。しかし、わずかに得た未延伸糸を用いて実施例3同様に延伸・熱処理を行いポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、ブレンド斑が大きく、粗大な凝集ポリマー粒子が散見され、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は10%であった。これを用いて実施例3同様にN6多孔繊維を得たが、直径200nm以上の粗大細孔の面積比が2.0%と大きいため、散乱光が多く白っぽいものであり、発色性に劣るものであった。
実施例4で用いたN6を50重量%と5−ナトリウムスルホイソフタル酸を2.5mol%、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物3.5mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを50重量%を単純にチップブレンドした後、290℃で溶融し、孔径0.6mmの丸孔口金から吐出し、図21の装置を用い、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸を行った。しかし、紡糸中のポリマーの吐出が安定せず、紡糸性は劣悪であり紡糸中に糸切れが頻発し、安定して糸を巻き取ることができなかった。わずかに得た未延伸糸を用いて120℃の熱プレートを用い延伸倍率2.7倍で延伸した。これにより、85dtex、24フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。これの横断面をTEMで観察したところ、ブレンド斑が大きく、粗大な凝集ポリマー粒子が散見され、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は10%であった。
実施例4で用いたN6を70重量%、極限粘度0.60の5−ナトリウムスルホイソフタル酸を4.5mol%、分子量4000のポリエチレングリコールを8.5重量%共重合したポリエチレンテレフタレートを30重量%を単純にチップブレンドして280℃で溶融し、孔径0.6mmの丸孔口金から吐出し、図21の装置を用い、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸を行った。しかし、紡糸中のポリマーの吐出が安定せず、紡糸性は劣悪であり紡糸中に糸切れが頻発し、安定して糸を巻き取ることができなかった。わずかに得た未延伸糸を用いて延伸倍率3.35倍、第1ホットローラー16温度90℃、第2ホットローラー17温度130℃で延伸・熱処理した。これにより、85dtex、24フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。これの横断面をTEMで観察したところ、ブレンド斑が大きく、粗大な凝集ポリマー粒子が散見され、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は8%であった。
実施例4で用いたN6を77重量%、ホモPETを20重量%、相溶化剤としてブロックポリエーテルポリアミド(ポリエチレングリコール部分45重量%+ポリ−ε−カプロラクタム部分55重量%)を3重量%を単純にチップブレンドして図21の装置を用い、実施例1と同様に溶融紡糸を行った。しかし、紡糸中のポリマーの吐出が安定せず、紡糸性は劣悪であり紡糸中に糸切れが頻発し、安定して糸を巻き取ることができなかった。わずかに得た未延伸糸を用いて実施例1と同様に延伸・熱処理した。これにより、77dtex、24フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。これの横断面をTEMで観察したところ、ブレンド斑が大きく、粗大な凝集ポリマー粒子が散見され、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は14%であった。
N6/共重合PETブレンド比を25重量%/75重量%として比較例3と同様に溶融紡糸を行った。しかし、紡糸中のポリマーの吐出が安定せず、紡糸性は劣悪であり紡糸中に糸切れが頻発し、安定して糸を巻き取ることができなかった。わずかに得た未延伸糸を用いて120℃の熱プレートを用い延伸倍率2.7倍で延伸した。これにより、85dtex、24フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。これの横断面をTEMで観察したところ、比較例1とは異なりアルカリ難溶解性のN6が島、アルカリ易溶解性の共重合PETが海を形成していた。また、ブレンド斑が大きく、粗大な凝集ポリマー粒子が散見され、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は10%であった。
PETにエチレンナフタレートを全酸成分に対し10mol%共重合した共重合PET(極限粘度0.60)とポリエーテルイミド(ゼネラルエレクトリック社製”ウルテム”−1000)を共重合した共重合PETが70重量%になるように30mmφの二軸押し出し混練機を用い、320℃で混練した。ここで得られたポリマーアロイチップを十分乾燥後、口金孔数6ホール、単孔吐出量0.6g/分、紡糸温度315℃、紡糸速度500m/分で溶融紡糸した。海ポリマーである共重合PETの融点に比べ紡糸温度が高すぎたため紡糸が不安定化し、12時間の紡糸で10回の糸切れと紡糸性は不良であった。わずかに得られた未延伸糸を用いて、予熱ローラー温度90℃、ホットプレート温度120℃、延伸倍率3.0倍で延伸を行ったが、糸切れが頻発した。ここで得られた延伸糸の強度は1.3cN/dtexと低いものであった。これは、混練温度、紡糸温度がメジャー成分である共重合PETにとって高すぎたため熱分解によるポリマー劣化が発生したためと考えられる。また、これのU%も16%と極度に悪いものであった。
融点255℃、極限粘度0.63、溶融粘度830poise(280℃、2432sec−1)のホモPETを80重量%、実施例9で用いた熱水可溶性ポリマーを20重量%として275℃で実施例1と同様に二軸押出混練機を用いて溶融混練を行った。これを溶融部2の温度を280℃、紡糸温度を280℃とし、単孔吐出量と口金孔数を変更して実施例3と同様に溶融紡糸を行ったところ、紡糸性は良好で24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、第1ホットローラー温度16を90℃として、実施例3と同様に延伸・熱処理を行い、90dtex、36フラメント、強度3.3cN/dtex、伸度40%、U%1.5%、熱収縮率7%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。ここで、濃い部分がPET、薄い部分が熱水可溶性ポリマーである。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表4に示すとおり優れたものであった。
ホモPETをPEG1000を8重量%、イソフタル酸を7mol%共重合したPET(融点235℃、極限粘度0.65溶融粘度920poise(280℃、2432sec−1))として255℃で実施例15と同様に溶融混練を行った。これを溶融部2の温度を255℃、紡糸温度を255℃、口金孔形状をY断面として実施例15と同様に溶融紡糸を行ったところ、紡糸性は良好で24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、実施例15と同様に延伸・熱処理を行い三葉断面のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表4に示すとおり優れたものであった。
共重合PETを融点220℃、溶融粘度1290poise(280℃、2432sec−1)のポリトリメチレンテレフタレート(PTT)または融点220℃、溶融粘度550poise(280℃、2432sec−1)のポリブチレンテレフタレート(PBT)として、実施例16と同様に、溶融混練、溶融紡糸、延伸・熱処理を行った。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表4に示すとおり優れたものであった。
PETを融点170℃、溶融粘度1200poise(280℃、2432sec−1)の重量平均分子量16万のPLAとし、溶融温度を220℃として実施例15と同様に溶融混練を行った。これを溶融部2の温度を220℃、紡糸温度を220℃として実施例15と同様に溶融紡糸を行ったところ、紡糸性は良好で24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、第1ホットローラー温度16を90℃として、実施例3と同様に延伸・熱処理を行った。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表4に示すとおり優れたものであった。
PLAをポリプロピレン(PP)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)として実施例17と同様に溶融混練、溶融紡糸、延伸・熱処理を行った。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表4に示すとおり優れたものであった。
PETをポリメチルペンテン(PMP)とし、溶融温度を255℃として実施例15と同様に溶融混練を行った。これを溶融部2の温度を255℃、紡糸温度を255℃として実施例15と同様に溶融紡糸を行ったところ、紡糸性は良好で24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、第1ホットローラー温度16を90℃として、実施例3と同様に延伸・熱処理を行った。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比は1.2%であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表4に示すとおり優れたものであった。
PETをポリフェニレンサルファイド(PPS)、熱水可溶性ポリマーを実施例2で用いたN6とし、PPSのブレンド比を90重量%として実施例15と同様に305℃で溶融混練を行った。これを溶融部2の温度を305℃、紡糸温度を305℃とし、単孔あたりの吐出量と口金孔数を変更して実施例15と同様に溶融紡糸を行ったところ、24時間の連続紡糸の間の糸切れは2回であった。そして、第1ホットローラー温度16を90℃として、実施例3と同様に延伸・熱処理を行い、150dtex、48フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は1.5%であった。また、繊維縦断面TEM観察から島は筋状構造をしていることがわかった。また、糸物性は表4に示すとおり優れたものであった。
実施例1で作製したN6/共重合PETアロイ仮撚り加工糸を鞘糸として用いて、オペロンテックス社製ポリウレタン繊維糸である“ライクラ”(登録商標)をカバリングした。そして、このカバリング糸を用いてタイツ用の編み地を作製した後、実施例1と同様にアルカリ処理を行いN6ナノポーラスファイバーからなるタイツ用編み地を作製した。このタイツ用編み地の目付は100g/m2であり、N6ナノファイバーとポリウレタン繊維糸の重量比率はそれぞれ95%と5%であった。これにシリコーン処理、揉布処理を行った。そして、このタイツ用編み地を縫製し、タイツを作製した。このタイツからN6ナノポーラスファイバーを抜き出し、TEM観察したところ、直径が50nm以上の粗大細孔は皆無であり、細孔の平均直径は25nmであった。また、細孔は独立孔であった。また、糸強度は2.5cN/dtexであった。このタイツは発色性も良好であり、ΔMRが5.6%と高く、また繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示し、非常に着用快適性の高いものであった。また、ポリウレタン繊維を混用することにより、大きなストレッチ性が付与されただけでなく、洗濯時のタイツの形態安定性も向上した。
単孔吐出量、孔数を変更し、紡糸速度を3800m/分として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、400dtex、96フィラメントのN6/共重合PETポリマーアロイ繊維からなる高配向未延伸糸を得た。このポリマーアロイ高配向未延伸糸の強度は2.5cN/dtex、伸度は100%、U%は1.2%であった。この繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、また島の平均直径は39nmであった。そして、これに図25の装置を用いて実施例1と同様に延伸仮撚りを施し、333dtex、96フィラメントの仮撚り加工糸を得た。得られた仮撚り加工糸は、強度3.0cN/dtex、伸度30%であった。得られたポリマーアロイ捲縮糸の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、島の平均直径は27nmであった。
単孔吐出量、孔数を変更し、吐出孔をY型として実施例3と同様に溶融紡糸を行った。紡出糸は900m/分で引き取り、次いで、1段目の延伸倍率を1.3倍、トータル倍率を3.5倍の条件で2段延伸を行い、さらにジェットノズルを用いて捲縮を付与してから500dtex、90フィラメントの嵩高加工糸を巻き取った。この嵩高加工糸の強度は5.0cN/dtex、伸度は25%であった。得られたポリマーアロイ捲縮糸の繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の面積比も0.1%以下であった。また、島の平均直径は30nmであった。
口金および単孔吐出量を変更して実施例3と同様に紡糸を行い、第1引き取りローラー8にて糸を引き取った後、合糸し、バンカーに受けた。そして、バンカーに受けた糸条をさらに合糸し15万dtexのトウとした。これを、90℃水槽中で3.2倍に延伸した。そして、クリンパーを通した後、給油し、カットした。得られたカットファイバーは、単糸繊度7dtex、捲縮数10個/25mm、繊維長51mmであった。捲縮数はカットファイバー単糸30mmをサンプリングし、捲縮数を数えた。このカットファイバーの強度は3.3cN/dtex、伸度は40%であった。これの繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nm以上の島の面積比は0.7%であった。また島の平均直径は33nmであった。
実施例27で作製したポリマーアロイからなるカットファイバーを紡績し、ポリマーアロイ紡績糸を得た。これを経糸および緯糸に用いて目付150g/m2の平織りを得た。そして、実施例1と同様にアルカリ処理を行いN6ナノポーラスファイバー布帛を得た。この布帛からナノポーラスファイバーをサンプリングしTEM観察したところ、直径が50nm以上の粗大細孔は皆無であり、細孔の平均直径は30nmであった。また、細孔は独立孔であった。また、この布帛からナノポーラスファイバー紡績糸を抜き出し強度を特定したところ、2.0cN/dtexであった。この布帛は発色性も良好であり、ΔMR=5.8%と充分な吸湿性を示し、また発色性も良好であった。
実施例20と同様に紡糸を行い、エアーサッカーにより糸条を引き取り、開繊させてネットに捕集した後、カレンダーロールを掛けポリマーアロイ繊維からなる目付35g/m2の不織布を得た。なお、エアーサッカーで引き取った繊維の単糸繊度は2dtexであり、繊度から求めた紡糸速度は4500m/分相当であった。この不織布からポリマーアロイ繊維を抜き取り繊維横断面をTEMで観察した結果、粗大な凝集ポリマー粒子を含まず、直径が200nm以上の島の島全体に対する面積比は0.1%以下、直径100nmの島の面積比も0.1%以下であった。また島の平均直径は31nmであった。
実施例14で作製したポリマーアロイ繊維と70dtex、96フィラメントの通常のN6繊維をインターレースノズルを用いてエア混繊した。これを経糸および緯糸に用いて目付150g/m2の平織りを作製し、実施例3と同様にアルカリ処理を施すことによりN6ナノポーラスファイバーと通常N6からなる布帛を得た。このN6ナノポーラスファイバーをTEM観察したところ、直径が50nm以上の粗大細孔は皆無であり、細孔の平均直径は20nm、糸強度は3.3cN/dtexであった。また、細孔は独立孔であった。この布帛は発色性も良好であり、またΔMRも4%と充分な吸湿性を示した。また、これはソフトで繊細なタッチの優れた風合いであった。
吐出量と口金孔数を変更し実施例3と同様に溶融紡糸を行い、90dtex、68フィラメント、強度2.7cN/dtex、伸度100%、U%1.3%のポリマーアロイからなる高配向未延伸糸を巻き取った。これと別途準備した70dtex、34フィラメントの通常のN6延伸糸(強度6cN/dtex、伸度45%)を複合仮撚りした。この時、延伸倍率は1.02倍、ヒーター温度は165℃とした。得られたCR37%の複合仮撚り糸を用いて実施例1と同様に丸編みを作製し、アルカリ処理を施した。得られた丸編みからN6ナノポーラスファイバーを抜き出しTEM観察したところ、直径が50nm以上の粗大細孔は皆無であり、細孔の平均直径は15nm、糸強度は2.5cN/dtexであった。また、細孔は独立孔であった。この布帛は発色性も良好であり、またΔMRも4.5%と充分な吸湿性を示した。また、これはソフトで繊細なタッチの優れた風合いであった。
実施例4で得たポリマーアロイ繊維を経糸に72dtex、27フィラメントのビスコースレーヨン緯糸に用い、目付が150g/m2となるように2/2ツイル織物を作製した。これを実施例1と同様にアルカリ処理をほどこした。得られた布帛からN6ナノポーラスファイバーを抜き出しTEM観察したところ、直径が50nm以上の粗大細孔は皆無であり、細孔の平均直径は15nm、糸強度は2.5cN/dtexであった。また、細孔は独立孔であった。この布帛は発色性も良好であり、またΔMRも7%と充分な吸湿性を示した。また、これはソフトで繊細なタッチの優れた風合いであった。このように、本発明のナノポーラスファイバーは他の繊維と混用することにより、さらに風合いや吸湿性を向上させることができ、高級衣料用の布帛に最適である。
実施例15で得たPETナノポーラスファイバーからなる布帛に吸湿剤である高松油脂(株)製商品名“SR1000”(10%水分散品)を吸尽させた。このときの、加工条件は吸湿剤は固形分として20%owf、浴比1:20、処理温度130℃、処理時間1時間とした。この吸湿剤の通常のポリエステル繊維への吸尽率はほぼ0%であるが、このPETナノポーラスファイバーへの吸尽率は12%以上であり、ΔMR=4%以上と綿同等以上の優れた吸湿性を有するPET布帛を得ることができた。このように、本発明のナノポーラスファイバーは、機能物質を容易に取り込み、あたかもカプセル化するような構造となるため、機能物質の吸尽率を向上することができ、機能加工用原糸として最適である。
通常のPET布帛を実施例33と同様に吸湿加工を施したが、吸湿剤の吸尽率はほぼ0%であり、吸湿性も発現しなかった。
実施例15で作製したPETナノポーラスファイバーからなる布帛に難燃剤であるトリフェニルリン酸(味の素ファインテクノ(株)“レオフォスTPP”)を20%owf、浴比1:40、処理温度130℃、処理時間1時間で吸尽させた。そして、これを水洗後、炭酸ナトリウム水溶液(80℃)でソーピングした。さらに、家庭洗濯を10回施した。このときの付着量は7重量%であり、燃焼評価を行ったところ良好な自己消火性を示したこのように、本発明のナノポーラスファイバーは、機能物質を容易に取り込み、あたかもカプセル化するような構造となるため、洗濯耐久性を向上することができ、機能加工用原糸として最適である。
通常のPET布帛を実施例34と同様に難燃加工を施した。これの洗濯10回後の付着量は1重量%であり、燃焼評価を行ったところ自己消火性を示さなかった。
実施例15で得たPETナノポーラスファイバーからなる布帛に鮫の肝臓から抽出した天然油成分であり、保湿によるスキンケア効果のあるスクワランを吸尽させた。この時の処理条件は、スクワラン60%と乳化分散剤40%を混合した物を水に濃度7.5g/リットルで分散させ、浴比1:40、温度130℃、処理時間60分間である。処理後80℃で2時間洗浄を行い、この時のスクワランの付着量は布帛に対して21重量%であった。その後、家庭洗濯を20回施した後のスクワランの付着量は、布帛に対して12重量%であり、充分な洗濯耐久性を示した。
通常のPET布帛に実施例35と同様にスクワランの吸尽加工を施したところ、洗浄後の付着量は布帛に対して21重量%であったが、家庭洗濯10回後の付着量は0重量%であり、まったく洗濯耐久性が無かった。
実施例3で作製したN6ナノポーラスファイバー布帛をイオン交換水に浸漬し、その後1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンを加え、3時間攪拌した。室温で14時間静置後、さらに13時間攪拌し、さらに室温で14時間静置後、さらに7時間攪拌し、シリカを重合した。その後、丸編み地をイオン交換水で洗浄後、風乾した。この操作により、N6ナノファイバーの細孔を鋳型とした、布帛形状のN6/シリカ複合体が得られた。これは、十分な剛性としなやかさを併せ持つ優れた材料であった。また、優れた難燃性を持つハイブリッド材料でもあった。また、この複合体中のシリカの比率は30重量%であった。
実施例24で作製したN6ナノポーラスファイバーからなるタイツに大鵬薬品社製「新ポリカイン液」を含浸させ、乾燥した。これにより、水虫薬を汗により溶出させることができるタイツを得た。このタイツを水虫患者に着用させ、一日ごとに新品に取り替えた。これを1ヶ月続けたところ、水虫薬が徐放されたため症状の改善が見られた。
実施例1で得たN6ナノポーラスファイバー布帛の消臭試験を以下の手法で行った。すなわちサンプル布帛3.0gを500mlのポリエチレン製容器内に固定した後、悪臭物質を容器内に導入した。そして、密栓後、容器を50℃で1分間保持し、悪臭物質を十分気化させた。そして、30℃で所定時間放置後、容器内の空気をサンプリングし、株式会社ガステック社製のガス検知管で悪臭物質濃度を測定した。悪臭物質としてアンモニアを使用した場合、初期濃度200ppmから10分間で20ppmまで消臭できた。また、硫化水素ガスを用いた場合には初期濃度45ppmから10分間で2ppmまで消臭できた。
通常のN6布帛を用いて実施例38と同様に消臭試験を行ったところ、アンモニアでは初期濃度200ppmから10分間で130ppm、また、硫化水素ガスを用いた場合には初期濃度45ppmから10分間で10ppmまでしか消臭できなかった。
実施例1で得たN6ナノポーラスファイバー布帛をジエチレントリアミン3%水溶液に50℃で1分間浸漬することにより、N6ナノポーラスファイバーにジエチレントリアミンを担持させた。これのアセトアルデヒド除去能力を評価したところ、10分間で30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた除去能力を示した。
実施例1で作製したポリマーアロイを芯成分、実施例1で用いたN6を鞘成分としてそれぞれ270℃で溶融した後、紡糸温度275℃で芯鞘複合紡糸を行い、3800m/分で引き取り高配向未延伸糸を得た。これに実施例1と同様に延伸仮撚りを施した。ここでポリマーアロイの複合比は80重量%とした。得られた芯鞘複合捲縮糸は150dtex、76フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度27%、U%1.0%、熱収縮率10%、CR45%であった。芯成分であるポリマーアロイ中で島共重合PETは平均直径26nm程度で微分散し、直径100nm以上の粗大な島は島全体に対し面積比で0.1%以下であった。ここで得られた芯鞘複合捲縮糸を用い実施例1と同様に丸編み、アルカリ処理を行い、N6ナノポーラスファイバーからなる丸編みを得た。これからナノポーラスファイバーを抜き取り、TEM観察したところ直径が50nm以上の粗大細孔は皆無であり、細孔の平均直径は20nmであった。また、ナノポーラス部の面積は繊維横断面に対して77%であった。また、ナノポーラスファイバーの糸強度は3.3cN/dtexであり、実施例1に比べ高強度であり、耐摩耗性にも優れていた。また、細孔は独立孔であった。この布帛は実施例1よりも鮮明発色となり、またΔMRも4.8%と充分な吸湿性を示した。
芯成分と鞘成分を入れ替え、ポリマーアロイの複合比を50重量%として実施例40と同様に芯鞘複合紡糸、延伸仮撚りを行い、150dtex、76フィラメント、強度4.1cN/dtex、伸度27%、U%1.0%、熱収縮率10%、CR45%の芯鞘複合捲縮糸を得た。鞘成分であるポリマーアロイ中で島共重合PETは平均直径26nm程度で微分散し、直径100nm以上の粗大な島は島全体に対し面積比で0.1%以下であった。ここで得られた芯鞘複合捲縮糸を用い実施例40と同様に丸編み、アルカリ処理を行い、N6ナノポーラスファイバーからなる丸編みを得た。これからナノポーラスファイバーを抜き取り、TEM観察したところ直径が50nm以上の粗大細孔は皆無であり、細孔の平均直径は20nmであった。また、ナノポーラス部の面積は繊維横断面に対して45%であった。また、ナノポーラスファイバーの糸強度は3.5cN/dtexであり、実施例1に比べ高強度であった。また、細孔は独立孔であった。この布帛は発色性も良好であり、またΔMRも4%と充分な吸湿性を示した。
実施例3で得たポリマーアロイ繊維からなる丸編みを、2%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:40)で20分間処理し、ポリマーアロイ繊維中の共重合PETの50%を分解溶出した(繊維としての重量減量率は10%)。溶出は繊維表層からリング状に進行し、ナノポーラス部は繊維横断面に対し50%であった。この部分をTEM観察した結果、細孔は独立孔であり、これの平均直径は20nmであり、直径が50nm以上の粗大細孔は皆無であった。
実施例1で作製したポリマーアロイ捲縮糸を経糸および緯糸に用い、170g/m2の高密度平織りを作製した。これに実施例1と同様にアルカリ処理を施し、N6ナノポーラスファイバーからなる平織りを作製した。これからナノポーラスファイバーを抜き取り、形態および物性を測定したところ、実施例1と同様の値が得られた。これに、バフィング処理を施したところナノポーラスファイバーの表層がフィブリル化し、繊維径0.01〜1μm程度のフィブリルが多数生成し、織物表面を覆った。これにより、ソフトでスパン感のあるタッチが得られただけでなく、ノンコーティングでも撥水性が発現し、スポーツ用の布帛として好適であった。
通常のN6仮撚り加工糸(77dtex、34フィラメント)を用い、実施例46と同様に高密度平織りを作製し、バフィングを施したがフィブリル化が不十分であり、フィブリルが織物表面を覆うことはなく、ピル(毛玉)が多くなり、表面外観が汚くなっただけでなく、ソフトでスパン感のあるタッチも得られなかった。また、フィブリル化を進めるためにバフィング処理をきつくすると布帛破れが生じてしまった。
実施例1で作製したポリマーアロイ捲縮糸を緯糸に、経糸に通常N6繊維(44dtex、12フィラメント)を用いて180g/m2の5枚バックサテンを作製した。これに実施例1と同様にアルカリ処理を施し、N6ナノポーラスファイバーからなるバックサテン織物を作製した。これからナノポーラスファイバーを抜き取り、形態および物性を測定したところ、実施例1と同様の値が得られた。これに、バフィング処理を施した。これにより、ナノポーラスファイバーの表層がフィブリル化し、繊維径0.01〜1μm程度のフィブリルが多数生成し、織物表面を覆った。この後、さらにウォーターパンチ処理を施し、フィブリルをさらに開繊させた。これは、ワイピングクロス等の生活資材製品用の布帛として好適であった。
実施例27で得たN6ナノポーラスファイバーからなる不織布にバフィング処理を施したところ、やはり繊維径0.01〜1μm程度のフィブリルが多数生成し、不織布表面を覆った。これは従来のナイロン不織布にはないソフトな表面タッチであった。
実施例46
実施例29で得たPPナノポーラスファイバーからなる不織布にバフィング処理を施したところ、繊維径0.01〜1μm程度のフィブリルが多数生成し、不織布表面を覆った。これは従来のPPスパンボンド不織布よりも表面積が大きくなったため、粒子の補足効率やエレクトレット加工の効率が高くフィルターに好適な物であった。
2:溶融部
3:紡糸パック
4:口金
5:チムニー
6:糸条
7:集束給油ガイド
8:第1引き取りローラー
9:第2引き取りローラー
10:巻き取り糸
11:計量部
12:吐出孔長
13:吐出孔径
14:未延伸糸
15:フィードローラー
16:第1ホットローラー
17:第2ホットローラー
18:デリバリーローラー(室温)
19:延伸糸
20:静止混練器
21:未延伸糸
22:フィードローラー
23:ヒーター
24:冷却板
25:回転子
26:デリバリーローラー
27:仮撚加工糸
28:第1ホットローラー
29:第2ホットローラー
Claims (15)
- 直径100nm以下の細孔を有するナノポーラスファイバーであって、繊維横断面全体に占める直径200nm以上の細孔の面積比が1.5%以下であり、細孔が独立孔であるナノポーラスファイバー(ナノポーラス部が繊維横断面中で偏心的に偏在していることを除く)。
- 細孔の平均直径が0.1〜50nmである請求項1記載のナノポーラスファイバー。
- 繊維横断面全体に占める直径50nm以上の細孔の面積比が1.5%以下である請求項1または2記載のナノポーラスファイバー。
- 強度が1.5cN/dtex以上である請求項1〜3のうちいずれか1項記載のナノポーラスファイバー。
- ポリエステルまたはポリアミドを80重量%以上含む請求項1〜4のうちいずれか1項記載のナノポーラスファイバー。
- 吸湿率(ΔMR)が4%以上である請求項1〜5のうちいずれか1項記載のナノポーラスファイバー。
- 可逆的水膨潤性を有し、糸長手方向の膨潤率が6%以上である請求項1〜6のうちいずれか1項記載のナノポーラスファイバー。
- ナノポーラスファイバーの少なくとも一部がフィブリル化されており、フィブリル径が0.001〜5μmである請求項1〜7のうちいずれか1項記載のナノポーラスファイバー。
- ナノポーラス部の面積が繊維横断面に対し5〜95%である請求項1〜8のうちいずれか1項記載のナノポーラスファイバー。
- ナノポーラス部が繊維表層部に偏在している請求項9記載のナノポーラスファイバー。
- ナノポーラス部が繊維内層部に偏在している請求項9記載のナノポーラスファイバー。
- 請求項1〜11のうちのいずれか1項記載のナノポーラスファイバーを少なくとも一部に有する繊維製品。
- 繊維製品が長繊維または短繊維または紡績糸である請求項12記載の繊維製品。
- 繊維製品が織編物または不織布である請求項12記載の繊維製品。
- 繊維製品が衣料または生活資材またはインテリアまたは産業資材または美容・健康基布である請求項12の繊維製品。
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