JP2006124844A - 炭素繊維束の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、マトリックス樹脂に対する濡れ性が良好で、優れた工程通過性、経時的な劣化を伴わず安定した機械物性を有する炭素繊維束の製造方法を提供することにある。
【解決手段】
非イオン界面活性剤(A)と陰イオン界面活性剤(B)からなり重量比(A)/(B)が40/60〜90/10である界面活性剤が含まれるサイジング剤を炭素繊維に付与する炭素繊維束の製造方法である。

Description

本発明は、マトリックス樹脂に対する濡れ性が良好で、優れた工程通過性、安定した機械物性を有する炭素繊維束の製造方法に関する。
炭素繊維は、極めて高い比強度と比弾性率、更には優れた耐熱性を示し複合材料の補強用繊維として多く用いられているが、高弾性率であるが故に、伸度が低く対屈曲摩耗性に劣るため、プリプレグなどのシート作成やフィラメントワインディングなどの成形といった加工工程において単糸切れによる糸の損傷、切断および毛羽立ちを生じ、製品の品質低下を招くことがしばしば見られる。そこで炭素繊維にサイジング剤を付与し、繊維表面を適当な樹脂膜で保護すると同時に柔軟性と集束性を与えることによって、単糸切れによる毛羽立ちを抑え、加工性、取扱性を改善すると同時に、マトリックス樹脂に対する濡れ性を確保して、炭素繊維強化複合材料の優れた性質を十分発揮させる技術が提案されている。
集束性を高めるサイジング剤としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を配合した炭素繊維用サイジング剤などが提案されている(例えば、特許文献1,2)。一方でこれらエポキシ樹脂を水分散液で使用するために、機械物性にマイナスの影響を与えるものの界面活性剤が必須となっている。界面活性剤には非イオン系、陽イオン系、陰イオン系および両イオン系が使用されている。非イオン界面活性剤は、電荷を有しないため、サイジング主剤の経時的な変化は少ないものの乳化安定性が十分でない場合があった。また、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤は、電荷を有する界面活性剤であり、サイジング主剤として使用されるエポキシ化合物等に対して優れた乳化性能を有する場合がある(例えば、特許文献3,4)。一方で、電荷を有しているため炭素繊維束に付与したエポキシ化合物が徐々に重合を進行し、炭素繊維束の集束性が経時変化する課題があった。
特開平6−173170号公報 特開平9−250087号公報 特開2003−342873号公報 国際公開第2002−099180号パンフレット 上記の通り、従来、サイジング剤乳化安定性、経時的な変化を含めた優れた工程通過性、高い機械物性等を全て満足する炭素繊維束は得られていないという問題があった。
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、マトリックス樹脂に対する濡れ性が良好で、優れた工程通過性、経時的な劣化を伴わず安定した機械物性を有する炭素繊維束の製造方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、非イオン界面活性剤(A)と陰イオン界面活性剤(B)からなり重量比(A)/(B)が40/60〜90/10である界面活性剤が含まれるサイジング剤を炭素繊維に付与する炭素繊維束の製造方法である。
本発明によれば、以下に説明するとおり、マトリックス樹脂に対する濡れ性が良好で、優れた工程通過性、安定した機械物性を有する炭素繊維束を提供できる。
本発明は、鋭意検討した結果、サイジング剤を水溶媒で使用するために必要な界面活性剤の非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤とを特定比率でエマルジョン化したサイジング剤を炭素繊維束に付与することで、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
すなわち、特定比率の非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤とを配合した界面活性剤が含まれるサイジング剤を使用することにより、マトリックス樹脂に対する濡れ性が良好で、優れた工程通過性、安定した機械物性を同時に達成しうることを見いだしたものである。理由については明らかではないが、非イオン界面活性剤に陰イオン界面活性剤を少量添加することで、非イオン界面活性剤のアルキレンオキサイド構造による高い接着特性を維持しつつ、エマルジョン粒子径が小さく安定性が高くなり、かつマトリックス樹脂との濡れ性が高まり、ひいては物性向上効果が発現できたものと推定される。同時に、陰イオン界面活性剤の混合割合を特定量に制限することで従来の課題である付着後の炭素繊維束の経時変化が起こることなく使用することが可能となった。
本発明の炭素繊維束で用いるサイジング液中の界面活性剤は非イオン界面活性剤(A)と陰イオン界面活性剤(B)からなり重量比(A)/(B)が40/60〜90/10で、好ましくは50/50〜80/20であることを特徴とする。40/60より小さいと、炭素繊維表面に付着、乾燥したエポキシ化合物と残存アニオン基が反応、重合が進行することにより、炭素繊維束の集束性が高く硬くなり、また非イオン界面活性剤のアルキレンオキサイド構造による高い接着特性を阻害し機械物性が低下する場合がある。また、90/10を超えるとエマルジョン安定性、マトリックス樹脂との濡れ性が低くなり、ひいては物性向上が見られない場合がある。
前記サイジング剤の単位重量当たり、非イオン界面活性剤(A)5〜25重量%、陰イオン界面活性剤(B)5〜15重量%で、好ましくは(A)10〜20重量%、(B)5〜10重量%である。陰イオン界面活性剤が15重量%を超えると、炭素繊維表面に付着、乾燥したエポキシ化合物と残存アニオン基が反応、重合が進行する場合が多くなり、炭素繊維束の集束性が高く硬くなり、機械物性が低下する場合がある。非イオン界面活性剤(A)25重量%を超えるとエポキシ樹脂等のサイジング剤主剤の効果が薄められて炭素繊維複合材料の機械物性が低下する場合がある。また、非イオン界面活性剤(A)、陰イオン界面活性剤(B)とも5重量%に満たないと、エマルジョン安定性が低くなる場合がある。
さらに前記サイジング剤の単位重量当たり、界面活性剤の総量(非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤の重量合計)は10重量%〜40重量%で、好ましくは10重量%〜20重量%である。10重量%未満であるとエマルジョン安定性が低く、40重量%を超えるとエポキシ樹脂等のサイジング剤主剤の効果が薄められて炭素繊維複合材料の機械物性が低下する場合がある。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどのエステルエーテル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどの含窒素型などをあげることができる。
一方、陰イオン界面活性剤はポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレン付加ポリスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン付加ポリベンジル化フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン付加モノあるいはジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレン付加モノあるいはジベンジル化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩などをあげることができるが、ナトリウム、カリウム等の金属類を含まないアンモニウム塩が好ましい。金属類が炭素繊維複合材料に残存すると高温雰囲気でマトリックス樹脂が劣化し、耐酸化性が低下する場合がある。
本発明において用いるサイジング剤主剤はエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和エステル化合物、エポキシエステル化合物、ポリウレタン樹脂等で特に制限はないが、マトリックス樹脂との相溶性からエポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物としては、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート(登録商標)828(エポキシ当量:184〜194)、エピコート834(エポキシ当量:230〜270)、エピコート1001(エポキシ当量:450〜500)、エピコート1004(エポキシ当量:875〜975)などのビスフェノールA型エポキシ化合物、エピコート806(エポキシ当量:160〜170)、エピコート807(エポキシ当量:160〜175)、などのビスフェノールF型エポキシ化合物、エピコート152(エポキシ当量:172〜178)、エピコート157S65(エポキシ当量:200〜220)、エピコート1032S50(エポキシ当量:169〜179)などの多官能型エポキシ化合物、エピコート871(エポキシ当量:390〜470)、エピコート872(エポキシ当量:600〜700)などのダイマー酸型エポキシ化合物、エピコート171などの脂環型エポキシ化合物、エピコート604(エポキシ当量:110〜130)、エピコート630(エポキシ当量:90〜105)などの芳香族アミノエポキシ化合物をあげることができる。
また、脂肪族ポリエポキシ樹脂としては、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどをあげることができる。具体的には、ナガセケムテックス製デナコール(登録商標)EX313(エポキシ当量:141)、EX512(エポキシ当量:168)、EX612(エポキシ当量:166)などを挙げることができる。
かかるエポキシ化合物の、1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数で表されるエポキシ当量としては、好ましくは100〜1000、更に好ましくは140〜500のものがよい。エポキシ当量が100未満だとエポキシ基量が多いため、炭素繊維表面に付着、乾燥したエポキシ化合物と残存アニオン基が反応、重合が進行する場合が多くなり、炭素繊維束の集束性が高く硬くなり、機械物性が低下する場合がある。また、エポキシ当量が1000を超えるとエポキシ基が少ないために、炭素繊維表面との相互作用が小さいために炭素繊維複合材料の接着特性が低くなる場合がある。
これらのエポキシ樹脂は、1種単独でも、2種類以上併用することもできる。上記エポキシ樹脂のうち、ビスフェノール型グリシジル系エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型グリシジル系エポキシ樹脂が更に好ましく使用される。
本発明でいう前記サイジング剤は、炭素繊維束の単位重量当たり0.2〜3.0重量%の範囲で炭素繊維に付着していることが好ましい。すなわち、該サイジング剤の付着量が0.2重量%未満の場合、糸条を拡げる際に、通過する金属ガイドなどによる摩擦に耐えられず毛羽発生し易い傾向にあり、炭素繊維シートの品位が低下してしまうため好ましくない。一方、サイジング剤の付着量が3.0重量%を超える場合、樹脂膜に阻害されてエポキシ樹脂などのマトリックス樹脂が炭素繊維糸条内部に含浸しにくくなり、好ましくない。
また、本発明における炭素繊維糸条は、ポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系あるいはピッチ系などの公知の炭素繊維フィラメントが数千から数万本束になったもので、特に、高強度の炭素繊維束が得られやすいPAN系炭素繊維が補強効果を得る上で好ましい。また、最終製品としては、繊度は好ましくは0.4〜3.0g/mであり、総単糸数は好ましくは1000〜100000本、さらに好ましくは3000〜24000本であり、また、強度は好ましくは1〜10GPa、さらに好ましくは2〜7GPaであり、弾性率は好ましくは100〜1000GPa、さらに好ましく200〜600GPaである炭素繊維糸条とするのがよい。尚、炭素繊維には、炭化繊維と黒鉛化繊維が含まれる。
以下に、PAN系炭素繊維の場合を例にして詳細を説明する。
紡糸方法としては、湿式、乾式あるいは乾湿式などを採用できるが、高強度糸が得られやすい湿式あるいは乾湿式が好ましく、特に乾湿式が好ましい。紡糸原液には、ポリアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合成分の溶液あるいは懸濁液などを用いることができる。
該紡糸原液を凝固、水洗、延伸して前駆体原糸とする。該前駆体原糸を耐炎化処理、炭化処理まで行なって炭化繊維とするか、必要によっては更に黒鉛化処理をして黒鉛化繊維とする。得られた炭化繊維、黒鉛化繊維は、複合材料化される際に組み合わされるマトリックス樹脂との接着性を良好とするため、電解表面処理、サイジング剤付与がなされ、本発明の炭素繊維糸条となる。
本発明の製造方法において、付着せしめるサイジング剤量は、サイジング剤付着前の炭素繊維束単位重量当たり、好ましくは0.2〜3重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。該サイジング剤の付着量が0.2重量%未満の場合、糸条を拡げる際に、通過する金属ガイドなどによる摩擦に耐えられず毛羽発生し易い傾向にあり、炭素繊維シートの品位が低下してしまうため好ましくない。一方、サイジング剤の付着量が3.0重量%を超える場合、樹脂膜に阻害されてエポキシ樹脂などのマトリックス樹脂が炭素繊維糸条内部に含浸しにくくなり、好ましくない。
本発明の製造方法において、サイジング液の付与方法は、特に限定されないが、ローラーサイジング法、ローラー浸漬法、スプレー法、その他公知の方法を用いることができる。中でも、ローラー浸漬法は、一束あたりの単繊維数が多い炭素繊維束についても、サイジング液を均一に付与しうるため好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例中における測定法は以下の通りである。
<サイジング剤エマルジョンの平均粒子径> レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製LS−230)を用いて測定した。乳化安定性のため粒子径0.2μm未満を望ましいとした。
<サイジング剤付着量> 約2gの炭素繊維糸条を秤量(W1)した後、50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定した電気炉(容量120cm)に15分間放置し、サイジング剤を完全に熱分解させた。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に移し、15分間冷却した後の炭素繊維糸条を秤量(W2)して次式よりサイジング付着量を求めた。
サイジング付着量(%)=[W1(g)−W2(g)]/[W1(g)]×100
<擦過毛羽数> サイジング剤を付着させた繊度0.8g/m、総単糸数12000本の炭素繊維糸条を、第1から第4の4個のステンレス製クロム鏡面ガイド(直径9.5mmの円筒)表面に各4.7±0.3mm接触するように通糸し、室温下3m/分の速度で擦過させた後、東レエンジニアリング社製特殊糸用毛羽計数装置[形式:DT−105(S特)]により毛羽数(個/m)を測定し、5未満を望ましいとした。
<樹脂溶液の浸透度> まず、炭素繊維糸条を該糸条の長手方向に対してほぼ垂直になるようにはさみを入れて糸条片を5片切り出し、各糸条長さb(mm)を測定した。この時、炭素繊維糸条の形態が崩れないようにサンプル部分を挟みながらカットした。尚、bは、10〜20mmの範囲となるようにカットした。
次に、該サンプルを、エピコート828とエピコート1001を重量比で1:3に混合した樹脂とメチルエチルケトンとの重量比が55:45となるよう配合して調製した樹脂溶液(室温25℃中の粘度が10mPa・s)の上に静かに載せ、糸条片の全ての部分が樹脂溶液表面から消え、樹脂溶液中に沈み、目視確認できなくなるまでの時間を計5回測定し、その平均値をt(秒)とした。樹脂溶液は、容器の中に5cm以上の深さになるように入れ、該液面の中央付近に乗せたサンプルは沈むまでに容器壁面に接触しないようにした。
最後に、この時間tとb、及び糸条幅a(mm)を用いて下式から浸透度を算出した。マトリックス樹脂との濡れ性から、浸透度は0.5秒/mm未満を望ましいとした。
浸透度(秒/mm) = t/(a×b)
<サイジング剤付着糸の接触角> 本発明における接触角は、次のように、DataPhysics社製DCAT11を用いて測定した。まず炭素繊維束から1本の単繊維を取り出し、長さ12±2mmに8本にカットした後、専用ホルダーFH12(表面が粘着物質でコーティングされた平板)に単繊維間が2〜3mmで平行に貼り付ける。その後、単繊維の先端を切り揃えてホルダーをDCAT11にセットする。測定は、純水の入ったセルを8本の単繊維の下端に0.2mm/sの速度で近づけ、単繊維の先端から5mmまで浸漬させる。その後、0.2mm/sの速度で単繊維を引き上げる。この操作を4回繰り返す。液中に浸漬している時の単繊維の受ける力Fを電子天秤で測定する。この値を用いて次式で接触角θを算出する。ここで単繊維の円周(m)は繊度(g/m)、総単糸数と比重(g/cm)より算出した。比重はJISR 7601−1986に従って測定した。
COSθ=(8本の単繊維が受ける力F(mN))/((8(単繊維の数)×単繊維の円周(m)×液体の表面張力(mJ/m))
なお、測定は、炭素繊維束の異なる場所3箇所から抜き出した単繊維について実施した。すなわち、一つの炭素繊維束に対して合計24本の単繊維についての接触角の平均値を求めた。マトリックス樹脂との濡れ性から、接触角は80°未満を望ましいとした。
<層間剪断強度:ILSS>
繊維体積含有率が60±5%になるように炭素繊維束に下記組成の樹脂を含浸させ、170℃で3時間硬化させた後、ASTM D2344−84(Reapproved1995)に基づいて層間剪断試験を行った。尚、測定数はn=5とし、その平均値を層間剪断強度とした。優れた機械物性を発現させるため層間剪断強度は80MPaを望ましいとした。
・ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ株式会社製) 3重量部
(実施例1〜5,比較例1〜3)
サイジング主剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828;50重量%、エピコート1001;50重量%)、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレン40モル付加モノスチレン化フェニルエーテル、アニオン界面活性剤としてポリオキシエチレン120モル付加モノスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩を使用し、配合比は表1にまとめた。
サイジング剤の水分散液は、サイジング主剤、非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を、乳化装置(特殊機化工業(株)製、T.K.ホモミクサーMARKIIf model)を用いて、転相乳化することにより調製した。
サイジング剤を付与していないポリアクリロニトリル系炭素繊維束(東レ株式会社製、単繊維直径6.9μm、フィラメント数12000本、ストランド強度4.9GPa、ストランド弾性率240GPa)を、サイジング剤水分散液に浸漬したのち、120℃に加熱した熱ローラーに接触させた後、200℃で2分間乾燥した。サイジング剤の付着量は1.0±0.2重量%であった。この炭素繊維束の特性結果を表1にまとめた。炭素繊維束の経時的な変化については、熱風乾燥機に80℃×7日間熱処理した後の束硬さを官能評価した。また、上述の方法で層間剪断強度測定を行った。
Figure 2006124844
表1から明らかなように、実施例1〜5のものは、比較例1〜3のものに比して、乳化安定性、マトリックス樹脂に対する濡れ性が良好で、優れた工程通過性、経時的な変化の小さい、安定した機械特性が得られていることがわかる。

Claims (3)

  1. 非イオン界面活性剤(A)と陰イオン界面活性剤(B)からなり重量比(A)/(B)が40/60〜90/10である界面活性剤が含まれるサイジング剤を炭素繊維に付与する炭素繊維束の製造方法。
  2. 前記サイジング剤単位重量当たり、非イオン界面活性剤(A)5〜25重量%、陰イオン界面活性剤(B)5〜15重量%である請求項1記載の炭素繊維束の製造方法。
  3. 前記サイジング剤の主剤は、エポキシ当量が100以上1000以下であるエポキシ化合物である請求項1乃至2の炭素繊維束の製造方法。
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