JP6863478B2 - 炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法、及びシートモールディングコンパウンドの製造方法 - Google Patents
炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法、及びシートモールディングコンパウンドの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6863478B2 JP6863478B2 JP2019558633A JP2019558633A JP6863478B2 JP 6863478 B2 JP6863478 B2 JP 6863478B2 JP 2019558633 A JP2019558633 A JP 2019558633A JP 2019558633 A JP2019558633 A JP 2019558633A JP 6863478 B2 JP6863478 B2 JP 6863478B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon fiber
- fiber bundle
- sub
- mass
- tows
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08J—WORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
- C08J5/00—Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
- C08J5/24—Impregnating materials with prepolymers which can be polymerised in situ, e.g. manufacture of prepregs
- C08J5/248—Impregnating materials with prepolymers which can be polymerised in situ, e.g. manufacture of prepregs using pre-treated fibres
-
- D—TEXTILES; PAPER
- D01—NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
- D01F—CHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
- D01F9/00—Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments
- D01F9/08—Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments of inorganic material
- D01F9/12—Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof
-
- D—TEXTILES; PAPER
- D06—TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- D06M—TREATMENT, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE IN CLASS D06, OF FIBRES, THREADS, YARNS, FABRICS, FEATHERS OR FIBROUS GOODS MADE FROM SUCH MATERIALS
- D06M13/00—Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with non-macromolecular organic compounds; Such treatment combined with mechanical treatment
- D06M13/10—Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with non-macromolecular organic compounds; Such treatment combined with mechanical treatment with compounds containing oxygen
- D06M13/224—Esters of carboxylic acids; Esters of carbonic acid
-
- D—TEXTILES; PAPER
- D06—TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- D06M—TREATMENT, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE IN CLASS D06, OF FIBRES, THREADS, YARNS, FABRICS, FEATHERS OR FIBROUS GOODS MADE FROM SUCH MATERIALS
- D06M15/00—Treating fibres, threads, yarns, fabrics, or fibrous goods made from such materials, with macromolecular compounds; Such treatment combined with mechanical treatment
- D06M15/19—Treating fibres, threads, yarns, fabrics, or fibrous goods made from such materials, with macromolecular compounds; Such treatment combined with mechanical treatment with synthetic macromolecular compounds
- D06M15/37—Macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
- D06M15/55—Epoxy resins
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Textile Engineering (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
- Inorganic Fibers (AREA)
Description
本願は、2018年10月19日に、日本に出願された特願2018−197594号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
下記式(1)で表される重なり率Pが5〜80%である、炭素繊維束。
[2]複数本の前記サブトウ同士がサイジング剤で結着されている、[1]に記載の炭素繊維束。
[3]前記サブトウの質量が100〜1000mg/mである、[1]又は[2]に記載の炭素繊維束。
[4]前記サブトウのフィラメント数が500〜15000本である、[1]〜[3]のいずれかに記載の炭素繊維束。
[5]それぞれの前記サブトウの交絡回数の平均が20〜50回/mである、[1]〜[4]のいずれかに記載の炭素繊維束。
[6]それぞれの前記サブトウのカンチレバー値の平均値が110〜300mmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の炭素繊維束。
[7]総フィラメント数が1000〜120000本である、[1]〜[6]のいずれかに記載の炭素繊維束。
[8]それぞれの前記サブトウが隣接するサブトウと断続的に分割された状態となっている、[1]〜[7]のいずれかに記載の炭素繊維束。
[9]下記に定義される分繊性の割合Qが20%以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載の炭素繊維束。
(分繊性の割合Q)
連続した炭素繊維束を長さ1インチにチョップ(裁断)し、サブトウ同士の未分割部分を含まないチョップド炭素繊維束をピンセットで100個ランダムに拾い上げ、それぞれ質量を測定する。これら100個の質量測定値から、サブトウの質量に相当するチョップド炭素繊維束の個数をカウントし、その個数の割合を計算し、分繊性の割合Qとする。
[10]下記方法(I)で算出される嵩密度が60〜400g/L以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の炭素繊維束。
(方法(I))
(手順I−1)炭素繊維束を繊維長が25mmとなるようにロータリーカッターで裁断した試験用チョップド繊維束100gを2Lのメスシリンダー(Φ88mm、高さ485mmの円柱状)に充填する。
(手順I−2)メスシリンダー内の前記試験用チョップド繊維束の上部から均一に500gの荷重をかけ、体積に変化が無くなったときの充填された前記試験用チョップド炭素繊維束の総体積(L)を測定し、前記試験用チョップド繊維束の総質量(100g)を前記試験用チョップド炭素繊維束の総体積(L)で除して嵩密度を算出する。
[11]シートモールディングコンパウンド用炭素繊維束である、[1]〜[10]のいずれかに記載の炭素繊維束。
[12]下記の工程(a)〜(d)を含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
(a)サイジング剤を含む水分散液を浸漬槽に収容し、複数本のサブトウを含む炭素繊維束を走行させつつ前記水分散液に連続的に浸漬して通過させる。
(b)前記水分散液から引き上げた前記炭素繊維束をローラーの周面に接触させつつ、前記炭素繊維束にエアーを吹き付けて余剰の水分散液を除去する。
(c)工程(b)の後、前記水分散液が付着した前記炭素繊維束をニップ処理し、前記炭素繊維束と前記水分散液の合計質量に対する前記水分散液の質量の割合を40質量%以下とする。
(d)工程(c)の後、周面が110〜200℃に加熱された加熱ローラーに前記炭素繊維束を接触させて乾燥させる。
[13]前記サイジング剤が、下記の成分(A)及び成分(B)を含有し、
前記成分(B)の含有量に対する前記成分(A)の含有量の質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が1〜20であり、
前記サイジング剤の全量(100質量%)に対する前記成分(A)と前記成分(B)の合計含有量の割合が80質量%以上である、[12]に記載の炭素繊維束の製造方法。
成分(A):30℃における粘度が500〜120000Pa・sであるエポキシ樹脂組成物。
成分(B):凝固点が50℃以下である脂肪族エステル化合物。
[14][1]〜[11]のいずれかに記載の炭素繊維束を長手方向に間隔を空けて裁断した繊維束を樹脂に含浸させる、シートモールディングコンパウンドの製造方法。
本発明の炭素繊維束の製造方法によれば、チョップ時の優れたチョップ性と分繊性を両立でき、特にSMCの製造に好適に用いることができる炭素繊維束を製造できる。
本発明の炭素繊維束は、複数本のサブトウを含む。本発明の炭素繊維束に含まれる複数本のサブトウ同士は、サイジング剤で結着されていてもよい。
炭素繊維束を構成する炭素繊維としては、例えばポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
炭素繊維束の長さは、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
特に、本発明の炭素繊維束においては、それぞれのサブトウが隣接するサブトウと断続的に分割された状態、つまり、隣接するサブトウ同士が断続的に分割された状態とすることもできる。このように隣接するサブトウ間で未分割部分を局所的に有することにより、炭素繊維束の生産性や加工時における形態安定性をさらに向上させることができる。
本発明の炭素繊維束の総フィラメント数は、製造コストや取扱い性等の面から、1000〜120000本程度であるのが好ましい。
シートモールディングコンパウンド用炭素繊維束として好適に使用することができることから、本発明の炭素繊維束に含まれるサブトウのフィラメント数は、500〜15000本程度とするのが好ましい。
さらに、本発明の炭素繊維束に含まれるサブトウの形状が扁平状であれば、シートモールディングコンパウンド製造時における、炭素繊維束の裁断性や裁断された炭素繊維束への樹脂含浸性が良好になる傾向にあるので好ましい。
また、本発明の炭素繊維束に含まれる、それぞれのサブトウの質量は、100〜1000mg/m程度であるのが好ましい。
それぞれのサブトウのカンチレバー値の平均値が110mm以上、好ましくは140mm以上、より好ましくは160mm以上であれば、炭素繊維束のチョップ時にロールへの巻き付きが生じず、連続的なチョップの容易性(チョップ良好性)に優れる。それぞれのサブトウのカンチレバー値の平均値が300mm以下、好ましくは250mm以下、より好ましくは220mm以下であれば、炭素繊維束のチョップ分繊性に優れる。
サブトウ同士がサイジング剤で結着されている場合、サイジング剤で結着されているサブトウのカンチレバー値は、サイジング剤が付着した状態の炭素繊維束についての測定値である。なお、サブトウのカンチレバー値は、炭素繊維束に付着させるサイジング剤の組成や付着量等を調節することで調節できる。
(手順1)本発明の炭素繊維束から長さ40cmの試験用サブトウ100を切り出す。
(手順2)図1に示すように、水平面12と、水平面12の一端から下方に向かって傾斜する、傾斜角度が45度の斜面14とを有する測定台10の、水平面12上に試験用サブトウ100を載せる。このとき、試験用サブトウ100の長さ方向の第1の端部102を斜面14と水平面12との境界線Aに合わせる。試験用サブトウの上に押さえ板200を載せ、押さえ板200の端部202を境界線Aに合わせる。
(手順3)図2に示すように、押さえ板200を斜面14側に水平方向に2cm/秒の速さで移動させ、試験用サブトウ100の第1の端部102が斜面14と接触した時点で押さえ板200の移動を停止させる。
(手順4)手順3における押さえ板200の移動距離x(mm)を測定する。
押さえ板200の重さは、測定に支障がない重さであればよく、例えば、1000gとすることができる。
それぞれのサブトウの交絡が20回/m以上、好ましくは30回/m以上であれば、サブトウの結束力が強くなり、サブトウ同士の絡まりが生じなくなる。それぞれのサブトウの交絡が50回/m以下、好ましくは40回/m以下であれば、サブトウの結束力が強すぎることによる、樹脂の含侵性の低下を防ぐことができる。
熱処理によってサイジング剤を取り除いた炭素繊維束を張力付与手段に通し、トウ張力を1.0Nに制御して、サブトウに分割された状態の前記炭素繊維束を走行速度1.2m/分で巻取る。その間に、前記張力付与手段を通過直後の前記サブトウにヤーン・テンションメーターのセラミックピンを貫通させて0.5cN以上の交絡強度が検出された回数をサブトウの交絡回数とする。
炭素繊維束の重なり率Pが5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%であれば、ボビン巻取り時にサブトウの結着が解除されずに巻き取れる。炭素繊維束の重なり率Pが80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、さらにこのましくは40%以下であれば、チョップ分繊性に優れた炭素繊維束が得られる。
重なり率は、サイジング剤塗布工程において、浸漬用フラットローラーの前に、溝付きガイドローラーを設置した際の、前記ガイドローラーの溝の幅、もしくは1つの溝へのサブトウの投入本数、又はサイジング剤塗布工程でのトウ張力によって調節できる。
本発明の炭素繊維束の製造に際しては、サイジング剤を適宜使用することができる。ここで使用されるサイジング剤としては特に限定されるものではないが、チョップ分繊性が特に優れる点から、成分(A)及び成分(B)を含有するサイジング剤が好ましい。
成分(A)の30℃における粘度は、500〜120000Pa・sであり、4000〜100000Pa・sが好ましい。
成分(A)の30℃における粘度が500Pa・s以上、好ましくは4000Pa・s以上であれば、炭素繊維束のチョップ良好性に優れる。成分(A)の30℃における粘度が120000Pa・s以下、好ましくは100000Pa・s以下であれば、炭素繊維束のチョップ分繊性に優れる。
なお、粘度は、JIS Z8803(2011)における、円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法により測定される。
成分(A)は、炭素繊維同士の摩擦抵抗が低減される点から、軟化点が50℃以上のエポキシ樹脂を含有することが好ましい。軟化点が50℃以上のエポキシ樹脂を用いる場合、30℃における粘度が1〜100Pa・sであるエポキシ樹脂を混合して成分(A)の粘度が前記範囲内となるように調節する。
なお、エポキシ樹脂の軟化点は、JIS K 7234(1986)エポキシ樹脂の軟化点試験方法における、環球法により測定される値である。
30℃における粘度が1〜100Pa・sであるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、芳香族エポキシ樹脂の中で低粘度である、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
成分(A)に用いるエポキシ樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
なお、脂肪族エステル化合物の凝固点は、JIS K0065(1992)における、化学製品の凝固点測定方法により測定される値である。
脂肪族エステル化合物の凝固点が50℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは15℃以下であれば、炭素繊維束のチョップ分繊性に優れる。脂肪族エステル化合物の凝固点が−30℃以上、好ましくは−20℃以上、より好ましくは−10℃以上であれば、炭素繊維束のチョップ良好性に優れる。
分子内にエステル結合を1つ有する脂肪族エステル化合物としては、例えば、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル等が挙げられる。
分子内にエステル結合を2つ有する脂肪族エステル化合物としては、例えば、アジピン酸イソブチル、アジピン酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
成分(B)に用いる脂肪族エステル化合物としては、炭素繊維同士の摩擦抵抗を低減させる点から、分子内にエステル結合を1つ有する脂肪族エステル化合物が好ましい。
成分(B)に用いる脂肪族エステル化合物は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
他の成分としては、例えば、界面活性剤、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
他の成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
サイジング剤の全量(100質量%)に対する成分(A)と成分(B)の合計含有量の割合が80質量%以上であれば、炭素繊維束のチョップ良好性及びチョップ分繊性に優れる。
サイジング剤中の成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の質量比が1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは3以上であれば、炭素繊維束のチョップ良好性に優れる。サイジング剤中の成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の質量比が20以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下であれば、炭素繊維束のチョップ分繊性に優れる。
本発明の炭素繊維束の総質量(100質量%)に対するサイジング剤の付着量が0.6質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であれば、炭素繊維束のチョップ良好性に優れる。本発明の炭素繊維束の総質量(100質量%)に対するサイジング剤の付着量が1.6質量%以下、より好ましくは1.4質量%以下、さらに好ましくは1.2質量%以下であれば、炭素繊維束のチョップ分繊性に優れる。
また、本発明の炭素繊維束は、以下に定義される分繊性の割合Qが20%以上であることが好ましい。
連続した炭素繊維束を長さ1インチにチョップ(裁断)し、サブトウ同士の未分割部分を含まないチョップド炭素繊維束をピンセットで100個ランダムに拾い上げ、それぞれ質量を測定する。これら100個の質量測定値から、サブトウの質量に相当するチョップド炭素繊維束の個数をカウントし、その個数の割合を計算し、分繊性の割合Qとする。
また、サブトウの質量に相当するチョップド炭素繊維束とは、サブトウの平均繊度に相当する質量の120%以下の質量のチョップド炭素繊維束である。
炭素繊維束の分繊性の割合Qは、上述のサブトウを上述のサイジング剤で結着させることによって、20%以上とすることができる。
隣接するサブトウ同士の未分割部分の長さが1mm以上、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上であれば、炭素繊維束の生産性や加工時における形態安定性をさらに向上させることができ、繊維束が切れて回転刃やロール等に巻付く工程トラブルを抑制しやすい。隣接するサブトウ同士の未分割部分の長さが50mm以下、好ましくは35mm以下、より好ましくは25mm以下であれば、裁断後のチョップド炭素繊維束に含まれる未分繊部分の割合を小さくできるため、得られた成形材料を成形した成形品の物性が向上する傾向にある。
また、上述のように、本発明の炭素繊維束においては、隣接するサブトウ同士が断続的に分割された状態とすることができるが、この場合、断続的に分割された状態が、下式(1)の条件を満たすことが好ましい。
式(1)中、aは隣接するサブトウ同士の分割部分の長さであり、bは隣接するサブトウ同士の未分割部分の長さである。
また、a/(a+b)の値が1未満であれば、炭素繊維束を安定した状態で裁断機まで供給しチョップできる。a/(a+b)の値は0.99以下であってもよい。
隣接するサブトウ同士の分割部分の長さaが1mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは100mm以上であれば、得られた成形材料を成形した成形品の物性がより向上する。隣接するサブトウ同士の分割部分の長さaが5000mm以下、好ましくは3000mm以下、より好ましくは1000mm以下であれば、炭素繊維束が切れたり弛んだりすることによって回転刃又はロールに巻き付く工程トラブルを抑制しやすい。
隣接するサブトウ同士の未分割部分の長さbが0mm超、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上であれば、繊維束が切れて回転刃やロール等に巻付く工程トラブルを抑制しやすい。隣接するサブトウ同士の未分割部分の長さbが50mm以下、好ましくは35mm以下、さらに好ましくは25mm以下であれば、裁断後のチョップド炭素繊維束に含まれる未分繊部分の割合を小さくできるため、得られた成形材料を成形した成形品の物性が向上する。
本発明の炭素繊維束は、繊維強化樹脂成形材料の原料として使用することができ、チョップ時のチョップ性及び分繊性に優れることから、SMC用炭素繊維束として特に有用である。
式(2)中、aは隣接するサブトウ同士の分割部分の長さであり、Lは前記連続した炭素繊維束が裁断される間隔である。
a/Lが1000以下、好ましくは200以下であり、より好ましくは100以下であれば、炭素繊維束が切れたり、弛んだりすることで回転刃やロール等に巻付く工程トラブルを抑制しやすい。
式(3)中、aは隣接するサブトウ同士の分割部分の長さであり、Lは前記連続した炭素繊維束が裁断される間隔である。
a/Lが1以上、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、さらに好ましくは5以上であれば、裁断後のチョップド炭素繊維束に含まれる未分繊部分の割合を小さくできるため、得られた成形材料を成形した成形品の物性が向上する。
式(4)中、bは隣接するサブトウ同士の未分割部分の長さであり、Lは前記連続した炭素繊維束が裁断される間隔である。
b/Lが0以上1未満、好ましくは0.03〜0.8、より好ましくは0.1〜0.6であれば、炭素繊維束が切れたり、弛んだりすることで回転刃やロール等に巻付く工程トラブルを抑制しやすく、裁断後のチョップド炭素繊維束に含まれる未分繊部分の割合を小さくできるため、得られた成形材料を成形した成形品の物性が向上する。
本発明の炭素繊維束の製造方法は、特に限定されない。例えば、上記のサイジング剤を水に加え、乳化して水分散液とし、前記水分散液を炭素繊維束に塗布して乾燥させる方法が挙げられる。
また、本発明の炭素繊維束の製造方法としては、サイジング剤でサブトウ同士をなるべく結着させないという点から、下記の工程(a)〜(d)を含む方法が好ましい。
(a)サイジング剤を含む水分散液を浸漬槽に収容し、複数本のサブトウを含む炭素繊維束を走行させつつ前記水分散液に連続的に浸漬して通過させる。
(b)前記水分散液から引き上げた前記炭素繊維束をローラーの周面に接触させつつ、前記炭素繊維束にエアーを吹き付けて余剰の水分散液を除去する。
(c)工程(b)の後、前記水分散液が付着した前記炭素繊維束をニップ処理し、前記炭素繊維束と前記水分散液の合計質量に対する前記水分散液の質量の割合を40質量%以下とする。
(d)工程(c)の後、周面が110〜200℃に加熱された加熱ローラーに前記炭素繊維束を接触させて乾燥させる。
製造装置300は、浸漬槽310と、浸漬用のフラットローラー312と、引き上げ用のフラットローラー314と、フィードローラー316と、ニップローラー318と、エアー吹き付け手段320と、複数の加熱ローラー322とを備えている。
フラットローラー312とフラットローラー314はいずれも、浸漬槽310に収容された水分散液50に一部が浸漬するように設けられている。フラットローラー314は、フラットローラー312の下流側に設けられている。フラットローラー312により、浸漬槽110に収容された水分散液50に炭素繊維束40を走行させつつ浸漬させ、フラットローラー314により、炭素繊維束40を水分散液50から引き上げるようになっている。
フィードローラー316とニップローラー318は、浸漬槽310の下流側において、炭素繊維束40をニップ処理するように設けられている。
エアー吹き付け手段320は、フラットローラー314の上方に設けられている。
複数の加熱ローラー322は、フィードローラー316とニップローラー318の下流側に設けられている。
水分散液中のサイジング剤の濃度が1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であれば、チョップ良好性に優れる炭素繊維束が得られる。水分散液中のサイジング剤の濃度が前記範囲の10質量%以下、より好ましくは6質量%以下であれば、チョップ分繊性に優れた炭素繊維束が得られる。
炭素繊維束と水分散液の合計質量に対する水分散液の質量の割合が5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であれば、サイジング剤が均一に付与できる。炭素繊維束と水分散液の合計質量に対する水分散液の質量の割合が40質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下であれば、チョップ時のサブトウ同士の分割性が向上する。
炭素繊維束へのサイジング剤の付着量は、水分散液中のサイジング剤の濃度や、浸漬後の搾りの程度等によって調節できる。
炭素繊維束40を乾燥させる際の加熱ローラー322の周面の温度は、110〜200℃が好ましく、110〜170℃がより好ましく、130〜150℃がさらに好ましい。
加熱ローラーの周面温度が110℃以上、さらに好ましくは130℃以上であれば、サイジング剤を含む水分散液が十分に乾燥される。加熱ローラーの周面温度が200℃以下、より好ましくは170℃以下、さらに好ましくは150℃以下であれば、サイジング剤を熱分解させずに炭素繊維束40に付与できる。
具体的には、本発明の炭素繊維束の製造方法としては、図5に例示した製造装置300Aを用いる方法であってもよい。図5における図4と同じ部分は、同符号を付して説明を省略する。
製造装置300Bは、引き上げ用のフラットローラー314の代わりに浸漬用のフラットローラー314Aが設けられ、エアー吹き付け手段320が設けられないこと以外は、製造装置300と同じ態様である。
本発明の炭素繊維束を長手方向に間隔を空けて裁断した繊維束(チョップド繊維束)を樹脂(マトリックス樹脂)に含浸させることによって、SMCを製造することができる。
(方法(I))
(手順I−1)炭素繊維束を繊維長が25mmとなるようにロータリーカッターで裁断した試験用チョップド繊維束100gを2Lのメスシリンダー(Φ88mm、高さ485mmの円柱状)に充填する。
(手順I−2)メスシリンダー内の試験用チョップド繊維束の上部から均一に500gの荷重をかけ、体積に変化が無くなったときの充填された前記試験用チョップド炭素繊維束の総体積(L)を測定し、前記試験用チョップド繊維束の総質量(100g)を前記試験用チョップド炭素繊維束の総体積(L)で除して嵩密度を算出する。
方法(I)で測定される炭素繊維束の嵩密度が60〜400g/L、好ましくは70〜350g/L、より好ましくは80〜320g/L、さらに好ましくは100〜280g/Lであれば、SMC中でチョップド炭素繊維束同士が強固に絡み合うため、高強度の繊維強化複合材料を得ることができる。また、チョップド繊維束の剛直さと樹脂含浸性を両立することが可能となり、機械的特性の向上が可能となる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂等が挙げられる。
マトリックス樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で得られるSMCを金型内に配置し、加熱加圧成形することによって、繊維強化複合材料を得ることができる。
本実施例で使用した原料を以下に示す。
成分(A−1):ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(商品名「E157S70」、三菱ケミカル株式会社、軟化点:70℃)。
成分(A−2):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名「jER(登録商標。以下同様。)807」、三菱ケミカル株式会社、30℃における粘度:2Pa・s)。
成分(A−3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「jER1001」、三菱ケミカル株式会社、軟化点:64℃)。
成分(A−4):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「jER828」、三菱ケミカル株式会社、30℃における粘度:10〜15Pa・s)。
成分(B−1):ステアリン酸2−エチルヘキシル(商品名「エキセパール(登録商標) EH−S」、花王株式会社、凝固点:10℃)。
界面活性剤(C−1):多環フェノールエチレンオキサイド付加物硫酸エステルアンモニウム塩(商品名「ハイテノール(登録商標)NF−17」、第一工業製薬株式会社)。
サブトウのカンチレバー値の測定は、以下の手順1〜4により行った。
(手順1)炭素繊維束から長さ40cmの試験用サブトウを切り出した。
(手順2)水平面と、水平面の一端から下方に向かって傾斜する、傾斜角度が45度の斜面とを有する測定台の、水平面上に試験用サブトウを載せ、試験用サブトウの長さ方向の第1の端部を斜面と水平面との境界線に合わせた。試験用サブトウの上に押さえ板を載せ、押さえ板の端部を境界線に合わせた。
(手順3)押さえ板を斜面側に水平方向に2cm/秒の速さで移動させ、試験用サブトウの第1の端部が斜面と接触した時点で押さえ板の移動を停止させた。
(手順4)手順3における押さえ板の移動距離x(mm)を測定した。
サブトウの交絡回数は、以下の方法で測定した。
サイジング剤付与工程の前のサイジング剤が付与されていない炭素繊維束を採取し、炭素繊維束を鉛直方向に引き上げ、張力付与手段に通し、トウ張力を1.0Nに制御して走行速度1.2m/分で巻取った。その間に、張力付与手段を通過直後の分割されたサブトウに対して、ヤーン・テンションメーターのセラミックピンを貫通させて0.5cN以上の交絡強度が検出された回数を計測し、サブトウの交絡回数とした。
各例で得たサイジング剤付き炭素繊維束のサイジング剤の付着量は、メチルエチルケトンによるソックスレー抽出法により測定した。抽出時間は1時間とした。
連続した炭素繊維束を長さ1インチにチョップ(裁断)し、サブトウ同士の未分割部分を含まないチョップド炭素繊維束をピンセットで丁寧に100個ランダムに拾い上げ、それぞれ質量を測定した。これら100個の質量測定値から、サブトウの質量に相当するチョップド炭素繊維束の個数をカウントし、その個数の割合を計算し、分散性の割合Qとした。
具体的には、ロータリーカッターを用いて、サイジング剤付き炭素繊維束を長さ1インチにチョップ(裁断)し、チョップ分繊性を上記の方法で計算した分散性の割合Qで評価した。
ここで、サブトウの質量に相当するチョップド炭素繊維束とは、サブトウの平均繊度の120%以下のチョップド炭素繊維束である。
A:分散性の割合Qが80%以上。
B:分散性の割合Qが60%以上80%未満。
C:分散性の割合Qが40%以上60%未満。
D:分散性の割合Qが20%以上40%未満。
E:分散性の割合Qが20%未満。
ロータリーカッターのゴムロールへのチョップド炭素繊維束の貼り付き状態を目視にて確認し、以下の基準に従ってチョップ良好性を評価した。
A:ゴムロールへのチョップド炭素繊維束の貼り付きがほとんど見られず、連続的にチョップできた。
B:ゴムロールへのチョップド炭素繊維束の貼り付きが多少見られたが、連続的にチョップできた。
C:ゴムロールへのチョップド炭素繊維束の貼り付きが多く、チョップ不良が発生し、連続的なチョップが困難であった。
炭素繊維束の嵩密度の測定は、以下の手順I−1〜I−2により行った。
(手順I−1)炭素繊維束を繊維長が25mmとなるようにロータリーカッターで裁断した切断片100gを2Lのメスシリンダー(Φ88mm、高さ485mmの円柱状)に充填した。
(手順I−2)メスシリンダー内の切断片の上部から均一に500gの荷重をかけ、体積に変化が無くなったときの充填された切断片の総体積(L)を測定し、切断片の総質量(100g)を切断片の総体積(L)で除して嵩密度を算出した。
<マトリックス樹脂組成物の調製>
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と不飽和ポリエステル樹脂との混合物(日本ユピカ株式会社製、製品名:ネオポール(登録商標)8113)の100質量部、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンの75質量%溶液(日油株式会社製、製品名:パーヘキサ(登録商標)C−75(EB))の0.5質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートの74質量%溶液(化薬アクゾ株式会社製、製品名:カヤカルボン(登録商標)BIC−75)の0.5質量部、内部離型剤(リン酸エステル系誘導体組成物)(アクセルプラスチックリサーチラボラトリー社製、製品名:MOLD WIZ INT−EQ−6)の0.35質量部、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学株式会社製、製品名:コスモネート(登録商標)LL)の22.0質量部、1,4−ベンゾキノン(精工化学株式会社製)の0.04質量部を、万能撹拌機を用いて充分に混合撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
得られたマトリックス樹脂組成物を、ドクターブレードを用いてポリエチレン製フィルム(キャリアフィルム)上に厚さ1.0mmになるように塗布し、その上に繊維長25mmのチョップド炭素繊維束を、炭素繊維束の目付が略均一になるように、かつ炭素繊維束の方向がランダムになるように散布した。別のポリエチレン製のキャリアフィルム上に、同じマトリックス樹脂組成物を厚さ1.0mmになるように塗布し、前記の散布した炭素繊維束上に、マトリックス樹脂組成物側が対向するように重ね、積層体を得た。この積層体を、ロールの間に通して押圧して、マトリックス樹脂組成物を炭素繊維束に含浸させてSMC前駆体を得た。
得られたSMC前駆体を室温(23℃)にて168時間(7日間)静置した。これにより、SMC前駆体中のマトリックス樹脂組成物を充分に増粘させてSMCを得た。
A:マトリックス樹脂組成物が、チョップド炭素繊維束に充分に含浸している。
B:マトリックス樹脂組成物が、チョップド炭素繊維束に含浸していない部分が若干確認される。
C:マトリックス樹脂組成物が、チョップド炭素繊維束に含浸していない部分が数多く確認される。
<サイジング剤の水分散液の調製>
成分(A)として成分(A−1)54質量部及び成分(A−2)11質量部を混合した樹脂組成物と、成分(B−1)20質量部と、界面活性剤(C−1)15質量部とを混合してサイジング剤を得た。得られたサイジング剤にイオン交換水を加え、ホモミキサーを用いた転相乳化によって、サイジング剤の濃度が3.3質量%の水分散液を調製した。
アクリルニトリル系共重合体を湿式紡糸し、フィラメント数3000本、総繊度3600テックスの炭素繊維束前駆体を得て、これらを5本束ねてボビンに巻き取った。束ねた炭素繊維束前駆体を焼成し、5本のサブトウ(質量:298mg/m)を含む、総フィラメント数15000本、総繊度1000テックスの炭素繊維束を得た。次いで、炭素繊維束を、炭酸水素アンモニウムを電解液として電解酸化処理し、水洗して、150℃に加熱されたローラーにより乾燥した。
サイジング剤付き炭素繊維束の製造条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤付き炭素繊維束を製造した。
成分(A)として成分(A−3)42.5質量部及び成分(A−4)42.5質量部を混合した樹脂組成物と、界面活性剤(C−1)15質量部とを混合してサイジング剤を得た。前記サイジング剤にイオン交換水を加え、ホモミキサーを用いた転相乳化によって、サイジング剤の濃度が3.3質量%の水分散液を調製した。得られた水分散液を用い、サイジング剤付き炭素繊維束の製造条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤付き炭素繊維束を製造した。
連続する繊維束として炭素繊維束(商品名「TR50S 15L」、三菱ケミカル社製)を使用した。隣接するサブトウ同士の分割部分の長さaを800mm、隣接するサブトウ同士の未分割部分の長さbを25mmとなるように炭素繊維束を断続的に分割し、9本のサブトウを含む、総フィラメント数15000本、総繊度1000テックスの炭素繊維束を得た。次いで、実施例1と同様にしてサイジング剤付き炭素繊維束を製造した。
サイジング剤付き炭素繊維束の製造条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤付き炭素繊維束を製造した。
連続する繊維束として炭素繊維束(商品名「TRW40 50L」、三菱ケミカル社製)を使用した。隣接するサブトウ同士の分割部分の長さaを800mm、隣接するサブトウ同士の未分割部分の長さbを25mmとなるように炭素繊維束を断続的に分割し、30本のサブトウを含む、総フィラメント数50000本、総繊度3750テックスの炭素繊維束を得た。次いで、サイジング剤付き炭素繊維束の製造条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤付き炭素繊維束を製造した。
また、重なり率Pが高めである実施例10では、チョップ分繊性に劣っていたが、SMCの製造に充分適用できるレベルであった。交絡回数の少ない実施例11ではチョップ分繊性及びチョップ良好性が劣っていたが、SMCの製造に充分適用できるレベルであった。
一方、重なり率Pが低い比較例1は、チョップ分繊性やチョップ良好性は良好であったが、SMCの製造時において、分離したサブトウの装置への巻きつき等のトラブルが高頻度で発生した。また、比較例1のチョップド繊維束は、樹脂含侵性が低く、SMCの製造に適用できるレベルではなかった。
さらに、重なり率Pが高い比較例2は、チョップ分繊性は比較的良好であったが、チョップ良好性及び樹脂含侵性が低く、SMCの製造に適用できるレベルではなかった。
Claims (13)
- 複数本のサブトウを含む炭素繊維束であって、
下記式(1)で表される重なり率Pが5〜80%であり、
下記に定義される分繊性の割合Qが20%以上である、炭素繊維束。
(分繊性の割合Q)
連続した炭素繊維束を長さ1インチにチョップ(裁断)し、サブトウ同士の未分割部分を含まないチョップド炭素繊維束をピンセットで100個ランダムに拾い上げ、それぞれ質量を測定する。これら100個の質量測定値から、サブトウの質量に相当するチョップド炭素繊維束の個数をカウントし、その個数の割合を計算し、分繊性の割合Qとする。
- 複数本のサブトウを含む炭素繊維束であって、
下記式(1)で表される重なり率Pが5〜80%であり、
下記方法(I)で算出される嵩密度が60〜400g/L以上である、炭素繊維束。
(方法(I))
(手順I−1)炭素繊維束を繊維長が25mmとなるようにロータリーカッターで裁断した試験用チョップド繊維束100gを2Lのメスシリンダー(Φ88mm、高さ485mmの円柱状)に充填する。
(手順I−2)メスシリンダー内の前記試験用チョップド繊維束の上部から均一に500gの荷重をかけ、体積に変化が無くなったときの充填された前記試験用チョップド炭素繊維束の総体積(L)を測定し、前記試験用チョップド繊維束の総質量(100g)を前記試験用チョップド炭素繊維束の総体積(L)で除して嵩密度を算出する。
- 複数本の前記サブトウ同士がサイジング剤で結着されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素繊維束。
- 総フィラメント数が1000〜120000本である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の炭素繊維束。
- 下記の工程(a)〜(d)を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の炭素繊維束の製造方法。
(a)サイジング剤を含む水分散液を浸漬槽に収容し、複数本のサブトウを含む炭素繊維束を走行させつつ前記水分散液に連続的に浸漬して通過させる。
(b)前記水分散液から引き上げた前記炭素繊維束をローラーの周面に接触させつつ、前記炭素繊維束にエアーを吹き付けて余剰の水分散液を除去する。
(c)工程(b)の後、前記水分散液が付着した前記炭素繊維束をニップ処理し、前記炭素繊維束と前記水分散液の合計質量に対する前記水分散液の質量の割合を40質量%以下とする。
(d)工程(c)の後、周面が110〜200℃に加熱された加熱ローラーに前記炭素繊維束を接触させて乾燥させる。 - 前記サイジング剤が、下記の成分(A)及び成分(B)を含有し、
前記成分(B)の含有量に対する前記成分(A)の含有量の質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が1〜20であり、
前記サイジング剤の全量(100質量%)に対する前記成分(A)と前記成分(B)の合計含有量の割合が80質量%以上である、請求項11に記載の炭素繊維束の製造方法。
成分(A):30℃における粘度が500〜120000Pa・sであるエポキシ樹脂組成物。
成分(B):凝固点が50℃以下である脂肪族エステル化合物。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018197594 | 2018-10-19 | ||
JP2018197594 | 2018-10-19 | ||
PCT/JP2019/039938 WO2020080238A1 (ja) | 2018-10-19 | 2019-10-10 | 炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法、及びシートモールディングコンパウンドの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2020080238A1 JPWO2020080238A1 (ja) | 2021-02-15 |
JP6863478B2 true JP6863478B2 (ja) | 2021-04-21 |
Family
ID=70283948
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019558633A Active JP6863478B2 (ja) | 2018-10-19 | 2019-10-10 | 炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法、及びシートモールディングコンパウンドの製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6863478B2 (ja) |
WO (1) | WO2020080238A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102499103B1 (ko) * | 2021-10-20 | 2023-02-10 | 김덕영 | 섬유보강근의 로빙 개수산출방법 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4122666A4 (en) * | 2020-03-18 | 2023-08-30 | Mitsubishi Chemical Corporation | SMC MANUFACTURING PROCESS |
WO2021251205A1 (ja) * | 2020-06-09 | 2021-12-16 | 三菱ケミカル株式会社 | スリット入り炭素繊維束の製造方法、炭素繊維パッケージおよび炭素繊維パッケージの製造方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2957406B2 (ja) * | 1993-12-28 | 1999-10-04 | 東邦レーヨン株式会社 | 炭素繊維ストランド用サイジング剤、サイズ処理された炭素繊維ストランド、及びその炭素繊維ストランドを強化繊維としたプリプレグ |
JPH10121325A (ja) * | 1996-10-14 | 1998-05-12 | Toray Ind Inc | 炭素繊維用前駆体繊維束とその製造方法および炭素繊維の製造方法 |
JP4150896B2 (ja) * | 2002-07-25 | 2008-09-17 | 株式会社高分子加工研究所 | 拡幅された繊維束の製造方法および拡幅された繊維束よりなる積層不織布 |
JP4709625B2 (ja) * | 2005-09-28 | 2011-06-22 | 三菱レイヨン株式会社 | 炭素繊維前駆体繊維束の製造方法 |
JP5540722B2 (ja) * | 2010-01-20 | 2014-07-02 | 三菱樹脂株式会社 | プリプレグの製造装置及び製造方法 |
-
2019
- 2019-10-10 JP JP2019558633A patent/JP6863478B2/ja active Active
- 2019-10-10 WO PCT/JP2019/039938 patent/WO2020080238A1/ja active Application Filing
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102499103B1 (ko) * | 2021-10-20 | 2023-02-10 | 김덕영 | 섬유보강근의 로빙 개수산출방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2020080238A1 (ja) | 2021-02-15 |
WO2020080238A1 (ja) | 2020-04-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6863478B2 (ja) | 炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法、及びシートモールディングコンパウンドの製造方法 | |
DE112013001737B4 (de) | Schlichtemittel für Verstärkungsfasern, Kunstfaserstrang und faserverstärktes Verbundmaterial | |
DE69838021T2 (de) | Kohlenstofffasern sowie verfahren zu deren herstellung | |
DE69733387T2 (de) | Verbundfaden und daraus hergestellte faserverstärkte verbundwerkstoffe | |
JP6083377B2 (ja) | 炭素繊維複合材料 | |
EP2736691B1 (de) | Flexibles, mit harz vorimprägniertes verstärkungsfasergarn | |
WO2016043037A1 (ja) | 繊維強化樹脂成形材料 | |
JPS5836950A (ja) | ガラス繊維処理用水性組成物およびそれで処理されたガラス繊維 | |
EP2948499B1 (de) | Imprägniertes verstärkungsfasergarn und dessen verwendung zur herstellung von verbundwerkstoffen | |
JPH0641534B2 (ja) | 繊維強化熱可塑性プリプレグ | |
DE3137098A1 (de) | Verfahren zur kontinuierlichen herstellung von prepreg-schichten | |
JP2009114612A (ja) | チョップド繊維束および成形材料の製造方法、成形材料、繊維強化プラスチック | |
EP3485075B1 (en) | Carbon fiber random mat and carbon fiber composite material | |
WO2015097097A1 (de) | Langzeitstabile prepregs, verfahren zu deren herstellung und verwendungen der prepregs | |
EP3653772A1 (en) | Method for manufacturing carbon fiber bundles with sizing agent applied | |
JP6819792B2 (ja) | サイジング剤、強化繊維束、繊維強化樹脂成形材料及び繊維強化複合材料 | |
KR102253926B1 (ko) | 부분 분섬 섬유 다발의 제조 방법과 부분 분섬 섬유 다발, 및 부분 분섬 섬유 다발을 사용한 섬유 강화 수지 성형 재료와 그의 제조 방법 | |
JP2011157524A (ja) | 繊維強化熱可塑性プラスチックおよびその製造方法 | |
WO2016158436A1 (ja) | 繊維強化樹脂成形材料およびその製造方法 | |
JP4161409B2 (ja) | チョップド炭素繊維およびその製造方法 | |
JP2010037667A (ja) | 炭素繊維ウェブの製造方法および炭素繊維ウェブ | |
EP2886693B1 (de) | Vliesstoff aus Carbonfasern und thermoplastischen Fasern | |
WO2015049567A1 (en) | Sizing agent for carbon fiber, carbon fiber, carbon fiber-reinforced composite material, and method of producing carbon fiber-reinforced composite material | |
JP2011256486A (ja) | 炭素繊維束の製造方法 | |
KR20180092113A (ko) | 탄소 섬유 시트 몰딩 컴파운드의 제조 방법 및 제조 장치 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191025 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201117 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210107 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210302 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210315 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6863478 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |