JP2006124681A - 末端カルボキシウレタン樹脂を用いる熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分子末端に1個以上かつ一分子あたり2個以上のカルボキシル基を有するポリウレタン(A)と熱硬化性成分(B)を含む熱硬化性樹脂組成物、その樹脂組成物の硬化物、その硬化物からなるソルダーレジストおよび保護膜ならびにその硬化物で被覆されたプリント配線基板。ポリウレタン(A)としては数平均分子量500〜100,000で酸価が5〜150mgKOH/gのものが好ましく、熱硬化性成分(B)としてはエポキシ樹脂が好ましい。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、ソルダーレジストでは、硬化収縮および硬化後の冷却収縮が大きいために生じる反りが問題となっている。
1.分子末端に1個以上かつ一分子あたり2個以上のカルボキシル基を有するポリウレタン(A)、および熱硬化性成分(B)を含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
2.ポリウレタン(A)が、分子中にイソシアネート基と付加反応または縮合反応し得る官能基とカルボキシル基の両方を有するモノカルボン酸化合物(a)を用いる末端封止反応で形成されるポリウレタン(A)であって、分子末端に1個以上かつ一分子あたり2個以上のカルボキシル基を有し、かつポリマーポリオール(b)とポリイソシアネート(c)との反応で形成されるウレタン結合を有するポリウレタン(A)である前記1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
3.ポリウレタン(A)の数平均分子量が500〜100,000で、酸価が5〜150mgKOH/gである前記1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
4.分子中にイソシアネート基と付加反応または縮合反応し得る官能基とカルボキシル基の両方を有するモノカルボン酸化合物(a)が、ヒドロキシル基を有するモノカルボン酸化合物、アミノ基を有するモノカルボン酸化合物、およびチオール基を有するモノカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
5.モノカルボン酸化合物(a)がモノヒドロキシカルボン酸である前記2または4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
6.ポリマーポリオール(b)が、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、およびアクリル系ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
7.ポリマーポリオール(b)がポリカーボネートジオールである前記2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
8.ポリカーボネートジオールの数平均分子量が200〜5,000である前記7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
9.ポリカーボネートジオールが、構成単位として、1種または2種以上の直鎖状脂肪族ジオールに由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオール、1種または2種以上の脂環式ジオールに由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオール、およびこれら両方のジオールに由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
10.ポリカーボネートジオールが、構成単位として、直鎖状脂肪族ジオールと脂環式ジオールに由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオールであって、数平均分子量が400〜2,000であり、直鎖状脂肪族ジオールと脂環式ジオールの共重合割合が質量比で3:7〜7:3である前記9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
11.ポリイソシアネート(c)が脂環式ジアミンから誘導される脂環式ジイソシアネートである前記2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
12.ポリウレタン(A)が、ポリマーポリオール(b)とポリイソシアネート(c)のほかにさらにカルボキシル基を有するポリオール(d)を用いて反応させて得られる前記2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
13.カルボキシル基を有するポリオール(d)がジヒドロキシ脂肪族カルボン酸である前記12に記載の熱硬化性樹脂組成物。
14.熱硬化性成分(B)がエポキシ樹脂である前記1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
15.エポキシ樹脂が、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、およびテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記14に記載の熱硬化性樹脂組成物。
16.分子末端に1個以上かつ一分子あたり2個以上のカルボキシル基を有するポリウレタン(A)のカルボキシル基当量に対する、熱硬化性成分(B)であるエポキシ樹脂のエポキシ当量の比が、1.0〜3.0である前記14または15に記載の熱硬化性樹脂組成物。
17.さらに硬化剤を含む前記1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
18.硬化剤が、アミン、四級アンモニウム塩、酸無水物、ポリアミド、窒素含有複素環化合物、および有機金属化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記17に記載の熱硬化性樹脂組成物。
19.さらに有機溶媒を含む前記1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
20.前記1乃至19のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
21.前記20に記載の硬化物からなるソルダーレジスト。
22.前記20に記載の硬化物からなる保護膜。
23.前記20に記載の硬化物で面の一部または全面が被覆されたプリント配線基板。
ポリウレタン(A)は、分子中にイソシアネート基と付加反応または縮合反応し得る官能基とカルボキシル基の両方を有するモノカルボン酸化合物(a)を用いる末端封止反応で形成されるポリウレタン(A)であって、分子末端に1個以上かつ一分子あたり2個以上のカルボキシル基を有し、かつポリマーポリオール(b)とポリイソシアネート(c)との反応で形成されるウレタン結合を有する。ポリウレタン(A)は、例えば、少なくともポリマーポリオール(b)とポリイソシアネート(c)とを反応させ、続いて末端封止剤としてモノカルボン酸化合物(a)を反応させて得られるが、酸価を調節する目的で、上記ポリマーポリオール(b)とポリイソシアネート(c)にさらにカルボキシル基を有するポリオール(d)を加えて反応させても良い。
また、用途に合わせて粘度調整剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤などを添加・混合することができる。
実施例1(合成例1):ウレタン樹脂「PU−1」の合成
滴下ロート、撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオールと1,4−シクロヘキサンジメタノールから誘導されたポリカーボネートジオール(宇部興産(株)製、UM−CARB90、数平均分子量900、上記2種のジオールの共重合割合は質量比で1:1)を1,800g(=2mol)、カルボキシル基を有するジヒドロキシル化合物としてジメチロールプロピオン酸を402g(=3mol)およびポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートを1,554g(=7mol)投入した。撹拌しながら60℃まで加熱して停止し、反応容器内の温度が低下し始めたら再度加熱して、80℃で撹拌を2時間続けた。末端封止剤のモノカルボン酸化合物としてグリコール酸153g(=2mol)を滴下ロートで添加し、同温度でさらに撹拌を2時間続けた。赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm-1)が消失したことを確認して反応を終了した。固形分が50質量%となるようにカルビトールアセテートを添加し、希釈剤を含有する粘稠液体のウレタン樹脂PU−1を得た。得られたポリウレタンの数平均分子量は3,900(平均分子量は、ゲル担体液体クロマトグラフィー(GPC昭和電工(株)製GPC−1)を用い、ポリスチレンに換算した値で求めた。)、固形分の酸価は87mgKOH/gであった。
末端封止剤のモノカルボン酸化合物としてヒドロキシピバリン酸を237g(=2mol)用いた以外は合成例1と同様の手段で合成を行い、希釈剤を含有する粘稠液体のウレタン樹脂PU−2を得た。得られたポリウレタンの数平均分子量は4,000、固形分の酸価は85mgKOH/gであった。
末端封止剤のモノヒドロキシ化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレートを235g(=2mol)用いた以外は合成例1と同様の手段で合成を行い、希釈剤を含有する粘稠液体のウレタン樹脂PU−3を得た。得られたポリウレタンの数平均分子量は4,000、固形分の酸価は57mgKOH/gであった。
比較例2(比較合成例2):ウレタン樹脂「PU−4」の合成
末端封止剤のモノヒドロキシ化合物としてイソブタノールを148g(=2mol)用いた以外は合成例1と同様の手段で合成を行い、希釈剤を含有する粘稠液体のウレタン樹脂PU−4を得た。得られたポリウレタンの数平均分子量は4,000、固形分の酸価は58mgKOH/gであった。
ジョンソンポリマー(株)製のスチレン−アクリル酸樹脂;ジョンクリル586(分子量4,600、固形分酸価108mgKOH/g)をカルボキシル基含有樹脂として用いた。
比較例4:
ダイセル化学工業(株)製のアクリル共重合樹脂;サイクロマーP ACA320(分子量20,000、固形分酸価130mgKOH/g)をカルボキシル基含有樹脂として用いた。
表1に示す各成分および配合割合で、三本ロールにより混合(23℃)し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。得られた熱硬化性樹脂組成物をバーコーターにて膜厚約25μmとなるように基板に塗工した。各塗工基板を80℃にて15分間溶剤を予備乾燥した後、150℃×60分の条件で熱硬化を行なった。各例における性能評価結果を表1に示す。
(1)反り性
ポリイミドフィルム(カプトン100H;東レデュポン(株)製、厚さ25μm)に熱硬化性樹脂組成物を塗工し、熱硬化後、50mmφにサークルカッターでカットした。円形にカットされたものは中心付近が凸状または凹状に反る形の変形を呈する。1h後に下に凸の状態で静置し、水平面からの反りの高さの最大、最小値を測定し、平均した。符号は反りの方向を表し、下に凸の状態で静置した際、ポリイミドフィルムに対し硬化膜が上側になる場合を+、硬化膜が下側になる場合を−とした。
(2)可とう性
ポリイミドフィルム(カプトン100H;東レデュポン(株)製、厚さ25μm)上で、熱硬化まで行った試料を15×70mmにカットし、レジスト面が外側になるように180度折り曲げ、折り曲げ部位に0.35kNの力が1秒間かかるようにした。顕微鏡で観察し、クラックが入るまでの回数を可とう性として測定した。なお、評価は10回までとした。
(3)はんだ耐熱性
リジッド銅基板上の一部をカプトンポリイミドテープ(東レデュポン(株)製)でマスクし、マスク面、非マスク面を全体的に塗工し、硬化塗膜を得た。ついでカプトンポリイミドテープを剥離し、ロジン系フラックスを塗布して、はんだ浴に260℃×10sec浸漬させた。レジスト膜とテープ剥離部の界面を目視観察し、膜剥離などの変化が現れるまでの浸漬回数を評価した。なお、評価は3回までとした。
(4)密着性
銅基板、ポリイミドフィルム(カプトン300H;東レデュポン(株)製、厚さ100μm)上で硬化させた塗膜を用いて、JIS K5600に準拠して評価した。なお、剥離用テープは日東製を用いた。
○:碁盤目の数が完全に残る場合
△:碁盤目の数が50個以上100個未満残る場合
×:碁盤目の数が50個未満しか残らない場合
(5)PCT(プレッシャークッカーテスト:耐湿熱性試験)
フレキシブル銅基板(宇部興産(株)製:ユピセルN SE3150)上に硬化塗膜を得て、121℃、相対湿度100%RHの恒温恒湿機内で120時間放置後、以下の基準で評価。
○:硬化塗膜に膨れ、剥がれ、変色なし
△:硬化塗膜に若干、膨れ、剥がれ、変色がある
×:硬化塗膜に膨れ、剥がれ、変色がある
(6)耐錫めっき性
フレキシブル銅基板(宇部興産(株)製:ユピセルN SE3150)上に硬化塗膜を得て、錫めっき液(ローム&ハース社製:TINPOSIT LT−34)のめっき浴にて70℃、3分浸漬後、湯洗(70℃、3分)し、以下の基準で目視評価した。
○:硬化塗膜に膨れ、剥がれ、変色なし
△:硬化塗膜に若干、膨れ、剥がれ、変色がある
×:硬化塗膜に膨れ、剥がれ、変色がある
Claims (23)
- 分子末端に1個以上かつ一分子あたり2個以上のカルボキシル基を有するポリウレタン(A)、および熱硬化性成分(B)を含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- ポリウレタン(A)が、分子中にイソシアネート基と付加反応または縮合反応し得る官能基とカルボキシル基の両方を有するモノカルボン酸化合物(a)を用いる末端封止反応で形成されるポリウレタン(A)であって、分子末端に1個以上かつ一分子あたり2個以上のカルボキシル基を有し、かつポリマーポリオール(b)とポリイソシアネート(c)との反応で形成されるウレタン結合を有するポリウレタン(A)である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ポリウレタン(A)の数平均分子量が500〜100,000で、酸価が5〜150mgKOH/gである請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 分子中にイソシアネート基と付加反応または縮合反応し得る官能基とカルボキシル基の両方を有するモノカルボン酸化合物(a)が、ヒドロキシル基を有するモノカルボン酸化合物、アミノ基を有するモノカルボン酸化合物、およびチオール基を有するモノカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- モノカルボン酸化合物(a)がモノヒドロキシカルボン酸である請求項2または4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ポリマーポリオール(b)が、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、およびアクリル系ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ポリマーポリオール(b)がポリカーボネートジオールである請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ポリカーボネートジオールの数平均分子量が200〜5,000である請求項7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ポリカーボネートジオールが、構成単位として、1種または2種以上の直鎖状脂肪族ジオールに由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオール、1種または2種以上の脂環式ジオールに由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオール、およびこれら両方のジオールに由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ポリカーボネートジオールが、構成単位として、直鎖状脂肪族ジオールと脂環式ジオールに由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオールであって、数平均分子量が400〜2,000であり、直鎖状脂肪族ジオールと脂環式ジオールの共重合割合が質量比で3:7〜7:3である請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ポリイソシアネート(c)が脂環式ジアミンから誘導される脂環式ジイソシアネートである請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ポリウレタン(A)が、ポリマーポリオール(b)とポリイソシアネート(c)のほかにさらにカルボキシル基を有するポリオール(d)を用いて反応させて得られる請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- カルボキシル基を有するポリオール(d)がジヒドロキシ脂肪族カルボン酸である請求項12に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性成分(B)がエポキシ樹脂である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- エポキシ樹脂が、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、およびテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項14に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 分子末端に1個以上かつ一分子あたり2個以上のカルボキシル基を有するポリウレタン(A)のカルボキシル基当量に対する、熱硬化性成分(B)であるエポキシ樹脂のエポキシ当量の比が、1.0〜3.0である請求項14または15に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに硬化剤を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 硬化剤が、アミン、四級アンモニウム塩、酸無水物、ポリアミド、窒素含有複素環化合物、および有機金属化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項17に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに有機溶媒を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1乃至19のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
- 請求項20に記載の硬化物からなるソルダーレジスト。
- 請求項20に記載の硬化物からなる保護膜。
- 請求項20に記載の硬化物で面の一部または全面が被覆されたプリント配線基板。
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