JP2006124411A - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高電圧駆動回路において、高温高湿下でもマイグレーションの発生を抑制しうる光硬化性樹脂を提供する。
【解決手段】 (a)末端(メタ)アクリル変性ポリブタジエン系樹脂、(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及び、(c)光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物は基板、電極等との密着性が良好で、高温高湿下で高電圧をかけても耐マイグレーション性に優れる。

Description

本発明は、電気、電子部品等におけるポッティング,コーティング等に適用され、封止、接着などに用いられる光硬化性樹脂組成物に関する。
プリント配線板や混成集積回路、IC等の電子部品やその他の小型部品等を物理的、化学的に保護し、かつ固定、固着するため、光硬化性樹脂組成物を用いてそれらのポッティングやコーティング等が行われている。また、レンズなどに使われるガラス等の透明材料を面接着(ボンディング)したりするのにも、光硬化性樹脂組成物が用いられている。(例えば、特許文献1〜4)
特開平8−92340号公報 特開平8−134157号公報 特開2000−273128号公報 特開2003−128739号公報
上記のような光硬化性樹脂組成物は硬化に加熱を必要とせず、一液性で取り扱いが容易であり、しかも熱硬化性の樹脂組成物よりも短時間で硬化が完了しうるという利点があるため、近年はフラットパネルディスプレイ(FDP)などの駆動回路電極のシールにも用いられてきている。
しかしながら、光硬化性樹脂組成物で封止した電子部品を高温高湿下で駆動させた場合、回路の腐食(マイグレーション)を生じることが明らかとなった。例えばFDPの中でもプラズマディスプレイパネル(PDP)のようなAgあるいはCuを電極に使用し、高電圧で駆動する回路を従来の光硬化性樹脂組成物を用いて封止した場合、前記のようなマイグレーションの問題が顕著となることが見出された。
本発明は上記の点を鑑みてなされたものであり、AgやCuなどの電極が使用された高電圧で駆動する回路において、高温高湿下でもマイグレーションの発生を抑制しうる光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は前記課題を解決するため、(a)末端(メタ)アクリル変性ポリブタジエン系樹脂、(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及び、(c)光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とするものである。(請求項1)
また、本発明は上記光硬化性樹脂組成物において、 (d)ポリブロモフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とするものである。(請求項2)
さらに、本発明は上記光硬化性樹脂組成物において、(e)トリアジン骨格を有する有機酸や、(f)分子中にリンを含有する不飽和カルボン酸誘導体を含むことを特徴とするものである。(請求項3及び請求項4)
またさらに、本発明は上記光硬化性樹脂組成物において、前記(c)光重合開始剤が、ポリマー型光重合開始剤であることを特徴とするものである。(請求項5)
本発明の(a)末端(メタ)アクリル変性ポリブタジエン系樹脂、(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及び、(c)光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物を用いることにより、その硬化物はAgやCuなどの電極が使用された高電圧で駆動する回路において基板及び電極両者への密着性に優れ、高温高湿下でも耐マイグレーション性に優れる。
また本発明は上記光硬化性樹脂において、(d)ポリブロモフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むことにより、フィルム密着性もさらに向上することができる。
さらに本発明は上記光硬化性樹脂において、(e)トリアジン骨格を有する有機酸を含むことにより、高温高湿下の通電時に発生するイオン性物質を捕捉することができ、さらに耐マグレーション性を向上することができる。
またさらに、本発明は上記光硬化性樹脂において、(f)分子中にリンを含有する不飽和カルボン酸誘導体を含むことにより、基板及び電極との密着性をさらに向上することができる。
また、本発明は上記光硬化性樹脂において、前記(c)光重合開始剤が、ポリマー型光重合開始剤を用いることにより、硬化時の臭気を著しく低減することができる。
以下本発明を具体的に説明する。
本発明の光硬化性樹脂組成物に用いられる(a)末端(メタ)アクリル変性ポリブタジエン系樹脂(以下、適宜ポリブタジエン系樹脂という)としては分子末端が重合性官能基である(メタ)アクリル基で変性され、その基本骨格が1,2−または1,4−ポリブタジエン樹脂等であるものが用いられる。本発明のポリブタジエン系樹脂としては例えば、下記の(化1)で表される末端(メタ)アクリル変性ポリブタジエン樹脂が挙げられる。
Figure 2006124411
本発明のポリブタジエン系樹脂の分子量は特に限定はされないが、重量平均分子量で500〜5,000程度であることが好ましい。分子量が500未満であると、硬化物の機械的特性が劣る恐れがあり、他方、5,000を越えると、光硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、成形性や作業性に問題が生じる傾向がみられる。上記分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフによる測定値である。
なお、光硬化性樹脂組成物において水素添加されたポリブタジエン系樹脂では反応性が低く、残存未硬化成分が多いためガラス基材との密着力が低下し、またイオン性不純物も多くなる。このため高電圧駆動回路での耐マイグレーション性が劣ることが見出されている。
本発明の光硬化性樹脂組成物は上記ポリブタジエン系樹脂とともに、(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートをポリブタジエン系樹脂に重合が可能な反応性化合物として含むことを特徴とする。
すなわち、本発明の光硬化性樹脂組成物は(a)ポリブタジエン系樹脂及び(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを含むため、その硬化物はAgやCuなどの電極が使用された高電圧で駆動する回路を封止する場合に低モジュラスで適度な可とう性を有しているとともに、絶縁性を有している。従って、封止される電子部品等の被塗物(基材)と樹脂との間に伸縮等による寸法変化が生じても、この変化を樹脂の可とう性に吸収させて、密着性を維持するとともに高温高湿下での高電圧通電時のマイグレーションの発生を防止することができる。また、本発明の(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートはポリブタジエン系樹脂に重合が可能な反応性化合物の中でも、硬化収縮率が他のアクリレートに比べ非常に低く、そのため被塗物であるFDPなどの高電圧駆動回路のガラスや金属などとのなじみ(ぬれ性)が良好であり、密着性を向上できることにより高温高湿下でも耐マイグレーション性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物はさらに反応性化合物として、(d)ポリブロモフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
このような反応性化合物を併用することにより樹脂との反応性及び密着性をさらに向上することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物に併用できる他の反応性化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1、3−ブチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の反応性モノマー、および、ポリブタジエン系樹脂と相溶性のある変性ポリブタジエンアクリレート、変性エポキシアクリレート等の反応性オリゴマーが挙げられ、これらを単独で、あるいは複数種を併せて使用できる。ここで、モノマーは単官能性であっても多官能性であっても構わない。また、反応性モノマーと反応性オリゴマーとを併用することも可能である。
本発明で用いられる(c)光重合(硬化)開始剤としては、光照射により分解してラジカルを生成する一般的な開始剤が使用され、たとえば、ベンジル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジブトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチルチオキサントン等が挙げられるが、例示化合物に限定されることはない。これらは、単独で、あるいは複数種を併せて用いられる。
また、本発明の光重合開始剤としてはポリマー型光重合開始剤を用いることが好ましい。ポリマー型光重合開始剤としては、例えば下記(化2)で表されるオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンなどを用いることができる。このような光重合開始剤を用いることにより、硬化物の表面と深部の硬化性のバランスに優れるだけでなく、硬化直後の臭気を低減できるため好ましい。
Figure 2006124411
上記光重合開始剤と共に、ジ−n−ブチルアミン、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン等の増感剤を使用することもできる。
本発明の光硬化性樹脂組成物における各組成の配合量は特に限定はされないが、(a)ポリブタジエン系樹脂30〜70重量部に対して、(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及び(d)ポリブロモフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいはさらにその他の上記反応性化合物を70〜30重量部の割合で配合することが好ましい。全反応性化合物の配合量が上記範囲を越えると、硬化物に脆さが出てクラックが発生する恐れがあり、上記範囲に満たない場合は粘度が高くなりすぎて作業性に支障をきたす傾向がみられる。なお、(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートとともに、(d)ポリブロモフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいはさらにその他の上記反応性化合物を含む場合には、反応性化合物全体中に占める(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートの重量割合が1/4以上であることが好ましい。前記の割合が1/4未満であると、この発明における効果が充分に発揮されず、密着性に問題を残すおそれがある。
本発明の光重合開始剤の添加量としては(a)ポリブタジエン系樹脂及び(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートあるいはさらに他の反応性化合物の合計量100重量部に対し、光重合開始剤を0.1〜15重量部配合することが好ましい。光重合開始剤の添加量が上記範囲を越えると、揮発分が増えること等により耐湿信頼性等に問題を生じる恐れがあり、上記範囲に満たない場合は、反応を充分に開始させることができず、未硬化に終わる傾向がみられるため、好ましくない。
本発明の光硬化性樹脂組成物で使用することができる好適な添加剤としては、例えば(e)トリアジン骨格を有する有機酸を挙げることができる。前記トリアジン骨格を有する有機酸としては、例えばイソシアヌル酸、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物などが挙げられ、これらは単独または複数混合して使用することができる。
上記の(e)トリアジン骨格を有する有機酸の添加量としては、(a)ポリブタジエン系樹脂及び(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートあるいはさらに他の反応性化合物の合計量100重量部に対して、0.01〜30重量部配合することが好ましい。添加量が上記範囲を越えると、酸性度が強くなり、信頼性に問題を生じる恐れがあり、上記範囲に満たない場合は、この発明おいて得られる信頼性向上という効果が充分に得られない傾向がある。
また、本発明の他の好適な添加剤としては、(f)分子中にリンを含有する不飽和カルボン酸誘導体が挙げられる。前記リンを含有する不飽和カルボン酸誘導体としては分子中にリンを含み、重合可能な不飽和結合を有するカルボン酸であれば特に限定されず使用することができる。例えば、リンを中心原子とする各種酸素酸(オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等のリン酸、亜リン酸など)あるいはそれらのエステル化物などの誘導体を挙げることができ、これらの中でもオルトリン酸あるいはそれらの誘導体(モノエステル、ジエステル、トリエステル等)として含まれていることが好ましいが、その他にも各種有機リン化合物(ホスホン酸、ホスフィン酸等)あるいはそれらの誘導体であってもよい。不飽和カルボン酸としては、分子中に二重結合を有するカルボン酸、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸およびそれら各酸の誘導体等が、代表的一例として挙げられる。
上記リン含有部分と不飽和カルボン酸部分の両者は、どのような構造をもってつながれていてもよく、特に限定はされない。一例として、リン含有部分が酸素酸構造を有するものである場合、これと不飽和カルボン酸部分の双方は例えば酸無水物を構成して直接結合してもよいが、両者は2価アルコール等の多価アルコールを介して、すなわち、それぞれのエステル結合により結ばれているものなどが、通常の好ましい例として挙げられる。上記化合物としては例えば、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスファート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)ホスファート、ジブチル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスファート、ジフェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスファート、ジオクチル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスファート等が挙げられる。なお、この場合に用いられる多価アルコールとしても、特に限定はされず、たとえば2価アルコールについていえば、エチレングリコール以外にも、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシルジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコールなどを制限されることなく使用することができる。
上記の(f)分子中にリンを含有する不飽和カルボン酸誘導体の添加量としては、(a)ポリブタジエン系樹脂及び(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートあるいはさらに他の反応性化合物の合計量100重量部に対して、0.05〜10重量部配合することが好ましい。添加量が上記範囲を越えると、表面ブリード等を起こし、信頼性および作業性に問題を生じる恐れがあり、上記範囲に満たない場合は、この発明おいて得られる密着性向上という効果が充分に得られない傾向がある。
また、上記以外の添加剤としては、例えばシランカップリング剤を挙げることができる。シランカップリング剤としては例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基等の光ラジカル重合が可能であるような重合性官能基を有するものが好ましい例として挙げられるが、その他にも、エポキシ基、アミノ基等を有するシランカップリング剤であってもよく、これらは単独または複数混合して使用することができる。
上記のシランカップリング剤の添加量としては、(a)ポリブタジエン系樹脂及び(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートあるいはさらに他の反応性化合物の合計量100重量部に対して、0.05〜10重量部配合することが好ましい。
この発明にかかる光硬化性樹脂組成物は、この発明の目的に反しない限りで、また、得ようとする作用効果を阻害しない量の範囲内で、必要に応じて各種添加剤を含むことができる。
そのような添加剤としては、例えば酸化アルミニウム類,酸化ケイ素類,炭酸カルシウム,酸化マグネシウム類等の充填材、過酸化物,アゾ化合物等の熱重合開始材,消泡剤や陽イオン性,陰イオン性,非イオン性の各界面活性剤、チクソトロピー剤、カップリング剤、アンチモン類やブロム化合物等の難燃剤、無機,有機顔料や染料等の着色剤等が挙げられる。
この発明の光硬化性樹脂組成物は、必須成分および必要に応じて添加される任意成分が、使用時に全部混合されればよく、流通時や貯蔵時などには混合されている必要はない。この発明の光硬化性樹脂組成物は、混合された時に液状であり、塗布や注型等により電子部品等の封止を行うことができる。封止材として基材表面に直接塗布または注型された光硬化性樹脂組成物は、その状態でメタルハライドや(超)高圧水銀灯等の紫外線光照射を受けることにより数秒程度の短時間内照射(約500mJ以上)で硬化しうる。また、この発明の光硬化性樹脂組成物の用途は金属、ガラス等の無機材料等を接着面とする電子部品などの封止、金属板やガラス板等のコート、金属やガラス等との接着など種々可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜6及び比較例1〜3]
下記表1に示す配合組成(重量部)でホモディスパ(特殊機化工業製)を用いて各成分を混合し、実施例1〜6及び比較例1〜3の各光硬化性樹脂組成物を調整した。表1において使用した成分の詳細を以下に示す。
・樹脂A:アクリル変性ポリブタジエン樹脂(日本曹達(株)製、TE−2000)
・樹脂B:エポキシアクリレート(大日本インキ化学工業(株)製、UE−8200)
・樹脂C:水素添加アクリル変性ポリブタジエン樹脂(大阪有機(株)製、SPB−DA)
・反応性化合物A:ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート(ロームアンドハース(株)製、QM657)
・反応性化合物B:ポリブロモフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(新中村化学(株)製、NKエステル530)
・反応性化合物C:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(三菱レーヨン(株)製、HISS)
・反応性化合物D:ジシクロペンテニルアクリレート(日立化成工業(株)製、FA−511A)
・光重合開始剤A:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタンー1−オン(チバガイギー(株)製、イルガキュア651)
・ポリマー型光重合開始剤B:オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(日本シーベルヘグナー(株)製、ESACURE KK)
・添加剤A:イソシアヌル酸(ナカライテスク(株)製の工業性試薬)
・添加剤B:トリメトキシアクリルシラン(信越シリコーン(株)製、KBM803)
・添加剤C:リン含有不飽和カルボン酸誘導体(日本化薬(株)製、PM21)
Figure 2006124411
上記の実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた光硬化性樹脂組成物の特性を次の方法で測定した。測定結果を下記の表2に示す。
(1)硬化性
上記実施例および比較例の光硬化性樹脂組成物をPETフィルム上に厚み約0.8〜1.0mmとなるように塗布し、3kW高圧水銀ランプを使用した紫外線照射機(松下電工マシンアンドビジョン(株)製、ANUP7326FE−790)を用いて約2000mJ/cm2の条件で紫外線照射することにより、光硬化させた。得られた各硬化物をPETフィルムより剥離し、照射面(表面)と剥離面(裏面)のタック性を指触により評価した。
(2)硬化後臭気
(1)で評価した硬化物について、臭気の評価を行った。硬化直後に臭気が消えていれば「◎」、2日後までに臭気が消えていれば「○」、1週間後までに臭気が消えていれば「△」と判定した。
(3)フィルム密着強度
上記実施例および比較例の光硬化性樹脂組成物をガラス板上に厚み約0.1mmとなるように塗布し、ポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックスS)を貼り付け、ガラス板方向から(1)と同じ条件で紫外線照射することにより、光硬化させた。得られた試験片をJIS K6481に基づくT字ピール試験を行い、フィルム密着強度を評価した。
(4)吸湿密着性
上記実施例および比較例の光硬化性樹脂組成物をガラス板およびAgめっき板上に15×15mmの大きさで厚み約0.8〜1.0mmとなるように塗布し、(1)と同じ条件で紫外線照射することにより、光硬化させた。得られた試験片を85℃85%RHの恒温恒湿槽に投入し、剥離が発生する時間を評価した。
(5)耐マイグレーション性
ガラス(旭ガラス(株)製PD−200、厚み 28mm)上に線幅100μm、線間100μmの櫛形Agパターンを形成したテスト基板を用い、その上に厚みが約1mmとなるように、上記実施例および比較例の光硬化性樹脂組成物を塗布し、(1)と同じ条件で紫外線照射することにより、光硬化させた。このように樹脂封止したものを85℃85%RHの恒温恒湿槽中で100Vのバイアスをかけ、100時間処理ごとに取り出し、Agパターンの腐食の有無を顕微鏡を用いた外観観察により腐食するまでの時間を調べた。
Figure 2006124411
上記表2に示すように、本発明の光硬化性樹脂組成物は低臭気でフィルムへの密着強度が高く、また高温高湿下でもガラス、Ag電極いずれにも密着性に優れるとともに、高電圧下の耐マイグレーション性に優れていることが分かる。

Claims (5)

  1. (a)末端(メタ)アクリル変性ポリブタジエン系樹脂、(b)ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及び、(c)光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物。
  2. (d)ポリブロモフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. (e)トリアジン骨格を有する有機酸を含むことを特徴とする請求項1または2記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. (f)分子中にリンを含有する不飽和カルボン酸誘導体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(c)光重合開始剤が、ポリマー型光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
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