JP2006123867A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、操縦の安定性が低下することなく、ベルト6の耐久性を向上させることのできる空気入りタイヤ10を提供する。
【解決手段】 ベルト6を構成する被覆ゴムの全体を同一の組成で形成し、タイヤ幅方向において被覆ゴムの弾性率を変化させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ベルトを構成する被覆ゴムの全体を同一の組成で形成し、タイヤ幅方向において被覆ゴムの弾性率を変化させることを特徴とする空気入りタイヤに関する。
従来、空気入りのラジアルタイヤは、カーカスとトレッドとの間に、2枚のコーティングゴムから形成されたベルトを設けている。このベルトは、カーカスを周方向に締め付けることによって、カーカスの補強、及びトレッドの剛性向上を行うためのものである。
また、近年において、上記ベルトは、ベルト間とベルト外側、及びセンター部とショルダー部とにおいて、異種ゴムが使用されている(特許文献1参照)。これによって、ベルトの部位毎に異なる弾性率を持たせることができるため、旋回時等に横力が発生した場合においても、操縦の安定性を保つことができる。
特表2002−537162号公表
しかしながら、上記のベルトは、ベルトの部位毎にゴムの種類が異なるため、車両旋回時等の空気入りタイヤに負担がかかる場合において、異種ゴム間で界面剥離が発生する等、ベルトの耐久性が弱いという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、操縦の安定性が低下することなく、ベルトの耐久性を向上させることのできる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の特徴は、ベルトを構成する被覆ゴムの全体を同一の組成で形成し、タイヤ幅方向において被覆ゴムの弾性率を変化させることを特徴とする空気入りタイヤであることを要旨とする。
本発明の特徴に係る空気入りタイヤによると、被覆ゴム全体が同一の組成で形成され、タイヤ幅方向において被覆ゴムの弾性率が変化されていることによって、被覆ゴムの部位間で発生する亀裂及び界面剥離や、車両旋回時に発生する横力によって空気入りタイヤの外側に発生する磨耗を防ぐため、ベルトの耐久性を向上させることができる。また、車両旋回時に発生する横力を増加させることで、車両の操縦安定性が低下することを防ぐことができる。
また、本発明の特徴に係るベルトは、車両装着時において、車両外側となる部位の弾性率を車両内側となる部位の弾性率より高くすることが好ましい。車両装着時における車両外側の弾性率が高く、車両内側の弾性率が低いため、車両旋回時に発生する横力を増加させることができ、それによって操縦安定性が低下することを防ぐことができる。
また、本発明の特徴に係るベルトの端部の弾性率は、ベルトの中央部の弾性率より高いことが好ましい。ベルトの端部が同一の弾性率を持っていることによって、ベルトの部位間において亀裂及び界面剥離が発生することをより防ぐことができる。
また、本発明の特徴に係るベルトは、車両装着時において、車両外側となる部位から車両内側となる部位にかけて、弾性率を段階的に低くすることが好ましい。ベルトの弾性率が、車両外側から車両内側にかけて段階的に低くなっていることによって、弾性率の高い部位と弾性率の低い部位とが区切られていないため、ベルトの部位間において、亀裂及び界面剥離が発生することをより防ぐことができ、ベルトの耐久性をより向上させることができる。また、車両装着時における車両外側の弾性率が高く、車両内側の弾性率が低いことによって、操縦安定性が低下することを防ぐことができる。
本発明によれば、操縦の安定性が低下することなく、ベルトの耐久性を向上させることのできる空気入りタイヤを提供することができる。
(空気入りタイヤの構成)
以下において、本実施形態に係る空気入りタイヤ10の構成について説明する。
図1は、本実施形態における空気入りタイヤ10を示す断面図である。
空気入りタイヤ10は、一対のビード部1と、一対のサイドウォール部2と、これらのサイドウォール部2を跨ぐトレッド部3とを備えている。
また、ビード部1内に埋設した一対のビードコア4相互間に渡って、ビード部1、サイドウォール部2及びトレッド部3を補強するカーカス5が備えられている。
さらに、カーカス5とトレッド部3との間には、カーカス5の補強、及びトレッド部3の剛性向上を行うためのベルト6が備えられている。ベルト6は、主にスチールから形成されている複数のコーテッドコードを同一組成のゴムで被覆することによって形成されている。ここで、「同一組成」とは、ゴム種が同じであることをいう。ベルト6を構成する被覆ゴムは、図2において詳述するように、異なる部位毎にそれぞれ異なる弾性率を持っている。
図2は、本実施形態におけるベルト6の3つのパターンを示す断面図である。
なお、同図において、ベルト6の周方向においての中心であるセンターCより左を車両装着時においての車両外側とし、センターCより右を車両装着時においての車両内側とする。また、同図において、ベルト6のトレッド部3に最も近い層を上層部、カーカス5に最も近い層を下層部、上層部と下層部との間を中層部とする。
さらに、ベルト6を構成する被覆ゴムは、中弾性率ゴムA1と、高弾性率ゴムA2と、低弾性率ゴムB2とに分かれており、ベルト6の部位に応じて使い分けられている。中弾性率ゴムA1と、高弾性率ゴムA2と、低弾性率ゴムB2との弾性率の比は、A2>A1>B2となっている。
さらに、被覆ゴムがコーテッドコード7を被覆することによって、ベルト6は、構成されている。
図2(a)は、上層部と下層部との弾性率を同一とし、中層部の車両外側の弾性率を、中層部の車両内側の弾性率より高くしている。具体的には、上層部及び下層部は、中弾性率ゴムA1、中層部の車両外側は、高弾性率ゴムA2、中層部の車両内側は、低弾性率ゴムB2によって構成されている。
図2(b)は、上層部と下層部との弾性率を同一とし、中層部の周方向においての両端部の弾性率を、中層部の中央部の弾性率より高くしている。具体的には、上層部及び下層部は、中弾性率ゴムA1、中層部の両端は、高弾性率ゴムA2、中層部の中央は、低弾性率ゴムB2によって構成されている。
図2(c)は、上層部と下層部との弾性率を同一とし、中層部の車両外側から車両内側にかけて弾性率を段階的に低くしている。具体的には、上層部及び下層部は、中弾性率ゴムA1によって構成されており、中層部は、外側から内側にかけて高弾性率ゴムA2から低弾性率ゴムB2に段階的に変化している弾性率変化ゴムC2によって構成されている。
なお、本実施形態において、高弾性率ゴムA2の弾性率は中弾性率ゴムA1よりも高い(A2<A1)として説明しているが、これに限定されることなく、高弾性率ゴムA2と中弾性率ゴムA1との弾性率は同一(A2=A1)であってもよい。
(ベルトの製造方法)
以下において、本実施形態に係るベルト6の製造方法について、説明する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、ベルト6は、タイヤ装着時における車両外側と車両内側、及びベルトの幅方向における端部と中央部とによって弾性率を変化させるために、2種あるいはそれ以上のインジェクションを使用して被覆ゴムを押出し、ベルト6を形成する。
また、図2(c)に示すように、ベルト6は、タイヤ装着時における車両外側から車両内側へかけて弾性率を段階的に低くさせるために、2種以上の被覆ゴムの組成をインジェクションより押出速度を変化させながら最終インジェクションに押出す。そして、最終インジェクションより押出した任意に混合された被覆ゴムによって、ベルト6を形成する。
(本実施形態に係るベルトの作用・効果)
本実施形態に係る空気入りタイヤ10によると、ベルト6を構成する被覆ゴムの全体が同一の組成で形成され、該被覆ゴムの弾性率が、タイヤ幅方向において変化されていることによって、被覆ゴムの部位間で発生する亀裂及び界面剥離や、車両旋回時に発生する横力によって空気入りタイヤの外側に発生する磨耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性を向上させることができる。また、車両旋回時に発生する横力を増加させることで、車両の操縦安定性が低下することを防ぐことができる。
また、ベルト6は、車両装着時において、車両外側となる部位の弾性率を車両内側となる部位の弾性率より高くすることによって、車両旋回時に発生する横力を増加させることができ、それによって操縦安定性が低下することを防ぐことができる。
また、ベルト6の端部の弾性率は、ベルト6の中央部の弾性率より高いことによって、ベルト6の部位間において亀裂及び界面剥離が発生することをより防ぐことができ、ベルト6の耐久性を向上させることができる。
また、ベルト6は、車両装着時において、車両外側となる部分から車両内側となる部分にかけて、弾性率を段階的に低くすることによって、弾性率の高い部位と弾性率の低い部位とが区切られていないため、ベルトの部位間において、亀裂及び界面剥離が発生することをより防ぐことができ、ベルトの耐久性をより向上させることができる。また、車両装着時における車両外側の弾性率が高く、車両内側の弾性率が低いことによって、操縦安定性が低下することを防ぐことができる。
本発明の実施形態に係るベルト6の実施例について、以下詳細に説明する。
本発明のコーテッドコード7をゴムで被覆したベルト6を、2種以上のインジェクションを用いて形成し、車両装着時において車両外側となる部位に高弾性率ゴムA2、車両内側となる部位に低弾性率ゴムB2を用いたベルト6(実施例1、図2(a)参照)と、周方向においてベルト端部に高弾性率ゴムA2、ベルト中央部に低弾性率ゴムB2を用いたベルト6(実施例2、図2(b)参照)と、車両装着時において車両外側となる部位から車両内側となる部位にかけて、高弾性率ゴムA2から低弾性率ゴムB2に弾性率を段階的に低くしている弾性率変化ゴムC2を用いたベルト6(実施例3、図2(c)参照)とを製造した。なお、比較のため、ベルト6の全体が同一の組成及び弾性率で形成されているベルト(従来例1)と、ベルト6の部位によって異なる組成及び弾性率で形成されているベルト(従来例2)とを製造し、下記に示す条件の下でテストし、操縦安定性とベルト6の耐久性とを評価した。
また、空気入りタイヤ10のサイズは205/65R15であった。また、中弾性率ゴムA1と、高弾性率ゴムA2と、低弾性率ゴムB2との弾性率の比は、A2>A1>B2であった。
<操縦安定性試験>
JIS規格D4202に準じて調整した試験タイヤをテスト用の車両に装着し、時速40〜120kmの範囲で、直進走行とレーン変更走行の条件にて実車走行を行い、試験ドライバーの感性(フィーリング)により操縦安定性を、10点を満点として評価した。この点数は、高い方が操縦安定性に優れる。
<ベルト耐久性>
ドラム上で、0.1Gのサイドフォースを定常的に発生させながら3800km走行させた後、急傾斜ベルト層の側縁位置に発生した亀裂の長さを測定し、この測定値を走行距離で除した亀裂進展速度を指数評価することにより求めた。また、従来例1を100とし、指数表示した。この指数は、高い方がベルト耐久性に優れる。
得られた結果を表1の下段に併記する。
Figure 2006123867
表1の結果より、実施例1、実施例2、実施例3の操縦安定性は、従来例1、従来例2と同一、若しくは上回っており、実施例1、実施例2、実施例3のベルト6の耐久性は、従来例1、従来例2とほぼ同一、若しくは上回っていた。よって、ベルト6の全体を同一の組成で形成し、該ベルトの部位によって弾性力を変えることにより、操縦安定性やベルト6の耐久性が向上することが分かった。
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ10を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るベルト6の3つの例を示す断面図である。
符号の説明
1…ビード部、2…サイドウォール部、3…トレッド部、4…ビードコア、5…カーカス、6…ベルト、7…コーテッドコード、10…空気入りタイヤ、A1…中弾性率ゴム、A2…高弾性率ゴム、B2…低弾性率ゴム、C2…弾性率変化ゴム

Claims (4)

  1. ベルトを構成する被覆ゴムの全体を同一の組成で形成し、タイヤ幅方向において前記被覆ゴムの弾性率を変化させることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ベルトは、車両装着時において、車両外側となる部位の弾性率を車両内側となる部位の弾性率より高くすることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ベルトの端部の弾性率は、前記ベルトの中央部の弾性率より高いことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ベルトは、車両装着時において、車両外側となる部位から車両内側となる部位にかけて、弾性率を段階的に低くすることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014121979A (ja) * 2012-12-21 2014-07-03 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 空気入りタイヤ

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