JP2006122803A - 機能性デバイス、機能性材料および機能性デバイスの製造方法 - Google Patents

機能性デバイス、機能性材料および機能性デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 機能性粒子が散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能な機能性デバイス、機能性材料および機能性デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】 基材5に固着された粒子によって機能が発揮される機能性デバイス10であって、機能性粒子群20と、バインダ粒子群30とを備えている。機能性粒子群20は、所定の機能を発揮させる機能性粒子21a、21b、21c・・・を複数有している。バインダ粒子群30は、機能性粒子21a、21b、21c・・・を基材5に対して固着させるとともに機能性粒子21a、21b、21c・・・同士を固着させるバインダ粒子31a、31b、31c・・・を複数有している。そして、バインダ粒子群31a、31b、31c・・・の重量は、機能性粒子群20の重量とバインダ粒子群30の重量との合計重量の5〜25%である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、機能性デバイス、機能性材料および機能性デバイスの製造方法、特に、支持体に対して機能性粒子が固着されている機能性デバイス、機能性材料および機能性デバイスの製造方法に関する。
従来から、脱臭機能や触媒機能を備えた機能性粒子を基材の表面に固着した機能性デバイスが提案されている。このような機能性デバイスは、例えば、空気調和装置において空調処理を行う場合等に採用され、空気中に含まれている有害成分等の不要な成分を除去したり・低減化させたりすることができる。なお、機能性デバイスは、基材に対して機能性粒子をバインダによって固着させることで形成される。
例えば、以下の特許文献1に示されている機能性デバイスは、製造工程において、機能性粒子を基材に固着させるためのバインダ層を設けている。このバインダ層は、基材の表面にバインダを流布することで形成される。そして、機能性粒子の表面の一部をこのバインダ層に対して接触させることで、機能性粒子を基材に固着させている。このように基材の表面上に固着された粒子は、粒子表面のうちバインダと接着されている部分以外の表面部分において機能を発揮する。
特開2004−202329号公報
しかし、従来の機能性粒子の固着方法によると、基材に対して機能性粒子を1段しか設けることができず、機能性粒子を多く固着させることが難しい。このため、機能性デバイスの性能を向上させることが困難である。
これに対して、溶剤中において機能性材料とバインダとを混合し、基材を含浸したり基材に塗布したりして、基材に対してより多くの機能性粒子を固着させる方法が考えられる。
ところが、このように機能性粒子とバインダとを溶剤中で混合してより多くの機能性粒子を基材に対して固着させる場合については、機能性粒子が基材に対して安定して固着させるために必要とされるバインダの量が明確にされていない。このため、バインダの量が多い場合には、機能性粒子を安定して固着できるとしても、機能性粒子の表面がバインダによって覆われてしまい機能を十分に発揮できなくなるおそれがある。また、逆に、バインダの量が少ない場合には、機能の発揮は確保されるとしても、機能性粒子を安定して固着させることが困難であったり、基材から剥がれ落ちたりしてしまうおそれがある。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、機能性粒子が散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能な機能性デバイス、機能性材料および機能性デバイスの製造方法を提供することにある。
第1発明の機能性デバイスは、支持体に固着された粒子によって機能が発揮される機能性デバイスであって、機能性粒子群と、固着性粒子群とを備えている。機能性粒子群は、所定の機能を発揮する機能性粒子を複数有している。固着性粒子群は、機能性粒子を支持体に対して固着させるとともに機能性粒子同士を固着させる固着性粒子を複数有している。そして、固着性粒子群の重量は、機能性粒子群の重量と固着性粒子群の重量との合計重量の5〜25%である。ここでの機能性粒子としては、触媒や多孔質の粒子等が挙げられる。
従来から、機能性粒子を支持体に対して固着させる場合に、必要となる固着性粒子の量が明確にされていない。このため、固着性粒子の量が多い場合には、機能性粒子の表面が固着性粒子によって覆われてしまい機能を十分に発揮できなくなるおそれがある。また、逆に、固着性粒子の量が少ない場合には、機能性粒子を安定して固着させることが困難であったり、支持体から剥がれ落ちたりしてしまうおそれがある。
これに対して、第1発明の機能性デバイスでは、固着性粒子は、機能性粒子を支持体に固着させるだけでなく、機能性粒子同士を固着させることができる。このため、支持体の表面に対して機能性粒子を1段だけ固着させるのではなく、より多くの機能性粒子を固着させることができる。これにより、機能性粒子群を構成する機能性粒子のトータル比表面積を増大させ、機能性デバイスの性能を向上させることができる。また、固着性粒子は、機能性粒子と支持体とを固着させるだけでなく機能性粒子同士についても固着させることができるため、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えることができる。また、固着性粒子群の重量は機能性粒子群との合計重量の5〜25%としている。このため、固着性粒子の不足により機能性粒子が剥がれ落ちてしまうことを抑えることができる。また、固着性粒子が機能性粒子の表面を必要以上に覆ってしまい、機能性粒子が機能を効果的に発揮できなくなることを回避することができる。したがって、第1発明の機能性デバイスによると、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能になる。
なお、上述した固着性粒子の重量割合(5〜25wt%)の数値範囲は、以下の実験データおよび考察によって得られたものである。すなわち、固着性粒子が機能性粒子の表面を覆ってしまうことによる機能性デバイスの性能の劣化を多少犠牲にしつつも、機能性粒子と支持体との固着安定性や機能性粒子同士の固着安定性を確保するためには、固着性粒子は5wt%以上必要であることがわかった。また、機能性粒子と支持体との固着安定性や機能性粒子同士の固着安定性を多少犠牲にしつつも、機能性粒子の表面を露出させて機能の効果的な発揮を確保するには、固着性粒子は25wt%以下であればよいことがわかった。これらによると、機能性粒子と支持体との固着安定性や機能性粒子同士の固着安定性を確保しつつ機能性粒子の機能の発揮を効果的にするためには、固着性粒子の重量割合の数値範囲は、上述したように5〜25wt%とするのが好ましいと考えられる。なお、固着性粒子の重量割合の数値範囲は、5〜15wt%とするのがより好ましいと考えられる。
第2発明の機能性デバイスは、第1発明の機能性デバイスであって、機能性粒子の平均粒径は、10μm以下である。また、固着性粒子の平均粒径は、機能性粒子の平均粒径の10分の1よりも小さい。ここで、機能性粒子の平均粒径は、2〜7μmであることがより好ましい。なお、固着性粒子の平均粒径は、例えば、10〜100nmであることが好ましく、10〜20nmであることがより好ましい。なお、固着性粒子の種類は、固着させる対象となる支持体の種類によって相性が異なることが実験により確認されている。この場合に、例えば、支持体との良好な固着強度を確保するために固着性粒子としてコロイダルシリカを用いた場合には、平均粒径が2〜3μmの機能性粒子との相性がよく、良好な固着強度が得られる。また、支持体の種類に合わせて良好な固着強度を確保するために固着性粒子としてウレタン等の樹脂を用いた場合には、平均粒径が6〜7μmの機能性粒子と相性がよく、良好な固着強度が得られる。
ここでは、固着性粒子の平均粒径が機能性粒子の10分の1以下のものを採用しているため、固着性粒子は、単に機能性粒子同士を固着させるだけでなく、機能性粒子の間に入り込んで機能性粒子同士を近接固着させることが可能になる。また、例えば、支持体に対して機能性粒子をより密に固着させることができる場合には、機能性デバイスの性能を向上させることも可能になる。
なお、付随的な効果として、機能性粒子群中に固着性粒子を点在させることが可能な場合には、機能性粒子間の固着性をより一層向上させることができる。
第3発明の機能性デバイスは、第1発明または第2発明の機能性デバイスであって、機能性粒子群と固着性粒子群とを含有する機能性膜の厚みもしくは支持体の単位表面積当たりに対する機能性膜の重量は、機能性粒子が機能を発揮する対象成分についての機能性膜の内部における拡散抵抗に基づいて定められている。なお、ここでの拡散抵抗は、例えば、機能性粒子群によって対象成分が反応する反応速度や、対象成分が機能性粒子群に対して吸着される吸着速度や、対処成分が機能性粒子群によって分解される分解速度等によって定量化させることもできる。
ここでは、機能性粒子の対象成分の拡散速度が考慮されて機能性膜の膜厚もしくは支持体の単位表面積当たりに対する機能性膜の重量が定められる。このため、対象成分が行き届きにくいほど必要以上に機能性膜が厚く形成されてしまったり、必要以上に多くの重量分設けられたりすることを回避することができ、機能性膜の厚みを、効率的に機能を発揮するのに十分な厚みに抑えることができる。このため、機能性粒子の機能の効果的な発揮を維持しつつ、機能を有効に発揮しにくい機能性粒子の量を省くことが可能になり、コストの低減化を図ることができるようになる。
第4発明の機能性デバイスは、第1発明から第3発明のいずれかの機能性デバイスであって、機能性粒子の平均粒径は、2〜3μmである。
ここでは、平均粒径が2〜3μmの機能性粒子を採用している。このため、機能性粒子が対象成分と接触するための表面積をより十部に確保することができる。このため、機能性デバイスの性能を向上させることができるようになる。なお、機能性粒子の平均粒径が2〜3μmであり、10μm程度のものよりも単位体積当たりに詰めることができる個数を増やして密に充填させることができるため、このような観点からも、機能性デバイスの機能を向上させることができるようになる。
なお、平均粒径が2〜3μmの機能性粒子を採用した場合には、固着性粒子の平均粒径は、例えば、10〜100nmであることが好ましく、10〜20nmであることがより好ましい。固着性粒子の平均粒径は、機能性粒子の平均粒径との間で相対的に定められ、この場合に、機能性粒子の間に入り込むことが可能になる。
第5発明の機能性デバイスは、第1発明から第4発明のいずれかの機能性デバイスであって、機能性粒子は、水分子、臭気成分、有害成分、有用成分、VOC(揮発性有機化合物)の少なくともいずれか1つに対して、吸着、脱離、分解のいずれか1つの機能を発揮する。なお、機能性粒子の機能の発揮対象成分としては、例えば、臭気成分でもあり有害成分でもあるような成分も含まれる。
ここでは、水分子を吸着・脱離したり、臭気成分や有害成分やVOCを吸着・脱離・分解したり、有用成分を脱離したりする機能を有する機能性粒子について、このような機能を効果的に発揮させつつ、支持体に対する固着安定性を確保させることができる。
第6発明の機能性デバイスは、第1発明から第5発明のいずれかの機能性デバイスであって、機能性粒子群は、シリカ、酸化チタン、ゼオライトおよび樹脂の少なくともいずれか一方を含有している。また、固着性粒子群は、コロイダルシリカまたは樹脂を含有している。なお、ここでの樹脂としては、例えば、ウレタン等が好ましい。また、ウレタンは、固着性粒子として用いるほうがより好ましい。
ここでは、機能性粒子群が、シリカ、酸化チタン、ゼオライトおよび樹脂の少なくともいずれか一方を含有し、固着性粒子群が、コロイダルシリカまたは樹脂を含有している場合において、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能になる。
第7発明の空調処理装置は、第1発明から第6発明のいずれかの機能性デバイスであって、気相中の所定の成分に対して機能する第1発明から第6発明のいずれかの機能性デバイスと、気相中の所定の成分を送る送風手段とを備えている。
ここでは、空調処理装置に採用された機能性デバイスは、送風手段によって送られてくる気相中の所定の成分に対して機能を発揮する。ここでは、このように機能性デバイスが送風手段を備えた空気処理装置に採用された場合において、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能になる。
第8発明の機能性材料は、機能性粒子群と、固着性粒子群を備えている。機能性粒子群は、所定の機能を発揮する機能性粒子を複数有する。また、固着性粒子群は、機能性粒子同士を固着させる固着性粒子を複数有する。そして、固着性粒子群の重量は、機能性粒子群の重量と固着性粒子群の重量との合計重量の5〜25%である。ここでの機能性粒子としては、触媒や多孔質の粒子等が挙げられる。
従来から、機能性粒子同士を固着性粒子を介して固着させる場合に、必要となる固着性粒子の量が明確にされていない。このため、固着性粒子の量が多い場合には、機能性粒子の表面が固着性粒子によって覆われてしまい機能を十分に発揮できなくなるおそれがある。また、逆に、固着性粒子の量が少ない場合には、機能性粒子を安定して固着させることが困難であったり、互いに剥がれ落ちたりしてしまうおそれがある。
これに対して、第8発明の機能性材料では、固着性粒子は、機能性粒子同士を固着させることができる。このため、機能性粒子を何らかの支持体に対して1つ1つ固着させるのではなく、多くの機能性粒子同士を固着性粒子を介して互いに固着させることができる。これにより、機能性粒子群を構成する機能性粒子のトータル比表面積を増大させ、機能性材料の性能を向上させることができる。また、固着性粒子は、機能性粒子の間に存在して機能性粒子同士を固着させることができ、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えることができる。また、固着性粒子群の重量は機能性粒子群との合計重量の5〜25%としている。このため、固着性粒子が不足することによる機能性粒子の剥がれ落ちを抑えることができる。そして、固着性粒子が機能性粒子の表面を必要以上に覆ってしまい、機能性粒子が機能を効果的に発揮できなくなることを回避することができる。したがって、第8発明の機能性材料によると、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能になる。
なお、上述した固着性粒子の重量割合(5〜25wt%)の数値範囲は、以下の実験データおよび考察によって得られたものである。すなわち、固着性粒子が機能性粒子の表面を覆ってしまうことによる機能性デバイスの性能の劣化を多少犠牲にしつつも、機能性粒子同士の固着安定性を確保するためには、固着性粒子は5wt%以上必要であることがわかった。また、機能性粒子同士の固着安定性を多少犠牲にしつつも、機能性粒子の表面を露出させて機能の効果的な発揮を確保するには、固着性粒子は25wt%以下であればよいことがわかった。これらによると、機能性粒子同士の固着安定性を確保しつつ機能性粒子の機能の発揮を効果的にするためには、固着性粒子の重量割合の数値範囲は、上述したように5〜25wt%とするのが好ましいと考えられる。なお、固着性粒子の重量割合の数値範囲は、5〜15wt%とするのがより好ましいと考えられる。
第9発明の機能性デバイスの製造方法は、支持体に固着された粒子によって機能が発揮される機能性デバイスの製造方法であって、混合ステップと、膜形成ステップとを備えている。混合ステップでは、所定の機能を発揮する機能性粒子を複数有する機能性粒子群と、機能性粒子を支持体に対して固着させるとともに機能性粒子同士を固着させる固着性粒子を複数有する固着性粒子群とを混合する。ここでは、固着性粒子群の重量が、機能性粒子群の重量と固着性粒子群の重量との合計重量の5〜25%となるように混合する。また、膜形成ステップでは、混合ステップで得られた混合粒子群を支持体に対して固着させて、支持体上に機能性膜を形成させる。なお、ここでの膜形成ステップとしては、例えば、機能性粒子が分散している溶剤中に支持体を含浸させ、乾燥させることによって機能性膜を形成させたり、混合粒子群を支持体に対して噴霧させるスプレー等の手段によって機能性膜を形成させたりする方法も含まれる。ここでの機能性粒子としては、触媒や多孔質の粒子等が挙げられる。
従来から、機能性粒子を支持体に対して固着させる場合に、必要となる固着性粒子の量が明確にされていない。このため、固着性粒子の量が多い場合には、機能性粒子の表面が固着性粒子によって覆われてしまい機能を十分に発揮できなくなるおそれがある。また、逆に、固着性粒子の量が少ない場合には、機能性粒子を安定して固着させることが困難であったり、支持体から剥がれ落ちたりしてしまうおそれがある。
これに対して、第9発明の機能性デバイスの製造方法では、固着性粒子として、機能性粒子を支持体に固着させるだけでなく、機能性粒子同士を固着させることができる粒子を採用している。このため、支持体の表面に対して機能性粒子を1段だけ固着させるのではなく、支持体に対してより多くの機能性粒子を固着させることができる。これにより、機能性粒子群を構成する機能性粒子のトータル比表面積を増大させ、機能性デバイスの性能を向上させることができる。また、固着性粒子は、機能性粒子と支持体とを固着させるだけでなく機能性粒子同士を固着させることもできるため、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えることができる。また、第9発明の製造方法では、固着性粒子群の重量が機能性粒子群との合計重量の5〜25%となるように混合して、機能性膜を形成するための混合粒子群を得ている。このため、混合粒子群中の固着性粒子群を所定重量割合で確保して、固着性粒子の不足による機能性粒子の剥がれ落ちを抑えることができる。そして、固着性粒子が機能性粒子の表面を必要以上に覆ってしまい、機能性粒子が機能を効果的に発揮できなくなることを回避することができる。したがって、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能な機能性デバイスを製造することができる。
なお、上述した固着性粒子の重量割合(5〜25wt%)の数値範囲は、以下の実験データおよび考察によって得られたものである。すなわち、固着性粒子が機能性粒子の表面を覆ってしまうことによる性能の劣化を多少犠牲にしつつも、機能性粒子と支持体との固着安定性や機能性粒子同士の固着安定性を確保するには、固着性粒子は5wt%以上必要であることがわかった。また、機能性粒子と支持体との固着安定性や機能性粒子同士の固着安定性を多少犠牲にしつつも、機能性粒子の表面を露出させて機能の効果的な発揮を確保するには、固着性粒子は25wt%以下であればよいことがわかった。これらによると、機能性粒子と支持体との固着安定性や機能性粒子同士の固着安定性を確保しつつ機能性粒子の機能の発揮を効果的にするためには、上述のように、固着性粒子の重量割合の数値範囲を5〜25wt%とするのが好ましいと考えられる。なお、固着性粒子の重量割合の数値範囲は、5〜15wt%とするのがより好ましいと考えられる。
第10発明の機能性デバイスの製造方法は、第9発明の機能性デバイスの製造方法であって、機能性膜の膜厚もしくは支持体の単位表面積当たりに対する機能性膜の重量は、機能性粒子が機能を発揮する対象成分についての機能性膜の内部における拡散抵抗に基づいて定められている。また、混合ステップでは、機能性粒子と固着性粒子とを溶剤中において混合することにより混合粒子群を得る場合に、溶剤中の機能性粒子の濃度が、拡散抵抗に基づいて定められた機能性膜の膜厚もしくは重量に対応した濃度となるように調製する。ここでの溶剤としては、機能性粒子と固着性粒子とを分散させることができる液体等が含まれ、水も含まれる。なお、ここでの拡散抵抗は、例えば、機能性粒子群によって対象成分が反応する反応速度や、対象成分が機能性粒子群に対して吸着される吸着速度や、対処成分が機能性粒子群によって分解される分解速度等によって定量することもできる。
ここでは、機能性粒子の対象成分の拡散速度が考慮されて機能性膜の膜厚もしくは支持体の単位表面積当たりに対する機能性膜の重量が定められる。このため、対象成分が行き届きにくいほど必要以上に機能性膜が厚く形成されてしまったり、必要以上に多くの重量分設けられたりすることを回避することができ、機能性膜の厚みを、効率的に機能を発揮するのに十分な厚みに抑えて機能性デバイスを製造することができる。このため、機能性粒子の機能の効果的な発揮を維持しつつ、機能を有効に発揮しにくい機能性粒子の量を省くことが可能になり、機能性デバイスの製造において、製造コストの低減化を図ることができるようになる。
第1発明の機能性デバイスでは、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能になる。
第2発明の機能性デバイスでは、固着性粒子は、単に機能性粒子同士を固着させるだけでなく、機能性粒子の間に入り込んで機能性粒子同士を近接固着させることが可能になる。
第3発明の機能性デバイスでは、機能性粒子の機能の効果的な発揮を維持しつつ、機能を有効に発揮しにくい機能性粒子の量を省くことが可能になり、コストの低減化を図ることができるようになる。
第4発明の機能性デバイスでは、機能性デバイスの性能を向上させることができるようになる。
第5発明の機能性デバイスでは、機能性粒子が、水分子を吸着、脱離したり、臭気成分や有害成分やVOCを吸着、脱離、分解したり、有用成分を脱離したりする機能を有する場合であっても、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能になる。
第6発明の機能性デバイスでは、機能性粒子群が、シリカ、酸化チタン、ゼオライトおよび樹脂の少なくともいずれか一方を含有し、固着性粒子群が、コロイダルシリカもしくは樹脂を含有している場合であっても、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能になる。
第7発明の空調処理装置では、機能性デバイスが送風手段を備えた空気処理装置に採用された場合であっても、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能を効果的に発揮することが可能になる。
第8発明の機能性材料では、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能を効果的に発揮することが可能になる。
第9発明の機能性デバイスの製造方法によると、機能性粒子が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能を効果的に発揮することが可能な機能性デバイスを製造することができるようになる。
第10発明の機能性デバイスの製造方法によると、機能性粒子の機能を効果的に発揮することを維持しつつ、機能を有効に発揮しにくい機能性粒子の量を省くことが可能になり、機能性デバイスの製造において、製造コストの低減化を図ることができるようになる。
<発明の概要>
本発明は、基材に対して機能性粒子が固着されている機能性デバイスおよびその製造方法を提案する。本発明では、主に、以下の2点において改善された機能性デバイスを製造する。
第1の改善点は、図1に示すように、機能性粒子群20とバインダ粒子群30との重量比率を調整して機能性デバイス10を製造する点である。重量比率の調整を行うことによって、機能性粒子21の表面がバインダ粒子31によって覆われる程度を調整し(図2参照)、基材5に対して固着した機能性粒子21の有効表面積を十分に確保することができる。また、この重量比率の調整を行うことによって、機能性粒子21と基材5とがバインダ粒子31を介して固着され、さらに機能性粒子21同士もバインダ粒子31を介して固着され、機能性粒子21を多く固着させても、基材5から機能性粒子21が剥がれ落ちて分散してしまうことを抑えることができる。
第2の改善点は、基材5上に混合粒子群を固着させて機能層6を形成させる場合に、機能層6の固着重量・膜厚を、機能を発揮する対象成分に対する機能層6内の拡散抵抗を考慮した固着重量・膜厚となるように機能性デバイス10を製造する点である。この固着重量・膜厚の調整によって、対象成分が機能層6の内部で拡散しても届かないほどの固着重量・膜厚で機能層6が形成されてしまうことを回避でき、機能を発揮するのに必要十分な固着重量・膜厚にすることができる。これにより、機能性粒子21の機能の効果的な発揮を維持しつつ、不要な機能性粒子21の量を省くことが可能になり、製造コストの低減化を図ることができる。
そして、第1の改善点にしたがって混合重量比率が調整された混合粒子群を、第2の改善点にしたがって基材5に対して所定の固着重量・膜厚になるように固着させて機能性デバイス10を製造することで、上記の2つの改善点をともに反映させた効果が得られる。
<本発明の実施形態>
次に、本発明の機能性デバイス10およびその製造方法について、説明する。
<機能性デバイスの外観構成等>
本発明の一実施形態が採用された機能性デバイス10の外観構成を図1に示す。
機能性デバイス10は、機能性粒子群20が基材5に対してバインダ粒子群30によって固着された構成となっている。以下、図1および図2に示すように、機能性粒子群20とバインダ粒子群30とを含有し基材5に形成される層を、機能層6と呼ぶ。機能性デバイス10は、機能層6に含まれている機能性粒子群20が機能を発揮することで、気相もしくは液相の所定の機能発揮対象成分を対象として、吸着・脱離・分解等をすることができる。ここで用いられる基材5としては、例えば、表面にガラス繊維シートやハニカム構造等が採用されているローラ、熱交換器、フィルタ等が考えられる。
図2において、機能層6において、機能性粒子群20がバインダ粒子31を介して基材5に対して固着されているイメージ、および、機能性粒子21同士がバインダ粒子31を介して固着されているイメージを示す。
機能性粒子21は、シリカ、酸化チタン、ゼオライトおよび樹脂等の材料であって無数の細孔が設けられ吸着・脱離機能を有する粒子もしくは触媒機能等を有する粒子である。この機能性粒子21は、平均粒径が1〜10μm、より好ましくは2〜7μm、さらに好ましくは2〜3μmのものを採用している。また、ここでの機能性粒子21としては、粒子表面に形成された細孔において酸素やビタミン等の有用成分を保持しており、必要に応じてこれらを放出できるようなものであってもよい。
バインダ粒子31は、機能性粒子21と基材5との間に位置して、機能性粒子21を基材5に対して固着させている。また、バインダ粒子31は、機能性粒子21同士の間に位置することにより、機能性粒子21同士を互いに近接固着させている。このように機能性粒子21の間に入り込んで機能性粒子21同士を互いに近接固着させることができるように、バインダ粒子31としては、コロイダルシリカや樹脂等の材料であって、平均粒径が機能性粒子21の平均粒径の10分の1以下のものを採用している。なお、バインダ粒子31の平均粒径は、機能性粒子21の平均粒径の100分の1以下のものが好ましい。また、バインダ粒子31の平均粒径は、機能性粒子の平均粒径を考慮すると、10〜20nmのものがより好ましい。なお、固着性粒子31の種類は、固着させる対象となる基材5の種類によって相性が異なりことが実験により確認されている。この場合において、基材5との固着強度の相性を良好にするために固着性粒子31としてコロイダルシリカを用いた場合には、平均粒径が2〜3μmの機能性粒子21と相性がよく、良好な固着強度が得られる。また、基材5の種類に合わせて固着強度を良好に確保するために固着性粒子31としてウレタン等の樹脂を用いた場合には、平均粒径が6〜7μmの機能性粒子21と相性がよく、良好な固着強度が得られる。
なお、例えば、図2に示すように、機能層6における機能性粒子21aは、バインダ粒子31aを介して基材5に対して固着されている。また、この基材5に対して固着された機能性粒子21aは、バインダ粒子31bを介して、機能性粒子21bと固着されている。この機能性粒子21bは、バインダ粒子31cを介して、機能性粒子21cと固着されている。このようにして、機能層6中の機能性粒子21を、基材5に対して多段的に数多く設けることができる。なお、機能性粒子21は、平均粒径が1〜10μm(より好ましくは2〜7μm、さらに好ましくは2〜3μm)のものを採用し、バインダ粒子31は、平均粒径が機能性粒子21の平均粒径の10分の1以下(好ましくは100分の1以下、もしくは平均粒径が10〜20nm)のものを採用している。このため、バインダ粒子31は、機能性粒子21の隙間を完全に埋めるように存在するのではなく、機能性粒子21の表面の一部のみを覆うようにして、機能層6中に点在することができる。これにより、機能性粒子21を基材5に対して多段的に数多く設けた場合であっても、機能層6の上段部分に設けられた機能性粒子21cだけでなく、機能層6の下段部分に設けられている機能性粒子21cについても、機能性粒子21の表面を機能発揮対象成分と接触させて、それぞれ効果的に機能を発揮することができる。したがって、基材5上において機能性粒子21を多段的に設けた場合であっても、各機能性粒子21a、21b、21c・・・は機能を発揮することができるため、機能性粒子21を基材5表面において1段のみ設ける場合と比較して、基材5の単位表面積当たりの性能を向上させることができている。
以下、機能性デバイス10の製造方法について説明する。
<機能性デバイスの製造工程>
本発明の機能性デバイス10の製造方法の流れを示すフローチャートを、図3に示す。
機能性デバイス10は、主として、混合重量比率の決定、混合粒子群の重量濃度の決定、浸漬溶剤調製工程、含浸工程、乾燥工程等を経て製造される。
図3に示すように、まず、ステップS11では、基材5の表面上に形成する機能層6の機能性粒子21とバインダ粒子31との混合重量比率を決定する。
ステップS12では、機能性粒子21およびバインダ粒子31を水溶媒中に拡散させて浸漬溶剤を調製する場合において、機能性粒子21とバインダ粒子31とが混合された混合粒子群の重量濃度を決定する。ここでの混合粒子群中の機能性粒子21とバインダ粒子31との混合重量比率は、ステップS11で決定された混合重量比率にしたがった混合重量比率とされる。このようにして混合重量比率と重量濃度とが決定されると、ステップS13に移行する。
ステップS13(浸漬溶剤調製工程)では、ステップS12において決定された混合粒子群の重量濃度にしたがって、混合粒子群を水溶媒中に拡散させて浸漬溶剤を調製する。
ステップS14(含浸工程)では、混合粒子群が分散している浸漬溶剤中に基材5を含浸させて、基材5に対して混合粒子群を付着させる。
ステップS15(乾燥工程)では、混合粒子群が付着した基材5を浸漬溶剤から引き上げ、基材5を乾燥させることで基材5に対して混合粒子群を固着させる。
以上のような工程を経ることによって、基材5の表面上に機能層6が形成され、機能性デバイス10が製造される。
以下、ステップS11における混合重量比率の決定、および、ステップS12における重量濃度の決定について、グラフを用いつつ詳細に説明する。
(混合重量比率の決定方法についての詳細)
機能層6における混合重量比率と性能との関係、および、混合重量比率に対する機能性粒子21の固着強度の関係を示すグラフを、図4に示す。なお、上述した図1においては、混合重量比率別の機能層6のイメージが示されている。ここで、図1および図4中に示す、エリアA、B、Cは、それぞれ対応している。
ここでは、機能層6における機能性粒子21とバインダ粒子31との混合重量比率を変更させながら、機能層6の性能の変化の様子を調べている。これにより、機能層6の固着強度をある程度確保しつつ、機能性粒子21の固着強度についてもある程度確保できるバランスのとれた混合重量比率を決定する。なお、図1および図4においては、機能性粒子21とバインダ粒子31との合計重量に対するバインダ粒子31の重量割合を変化させた場合において、機能層6の性能が変化する様子を示している。
ここでの機能性粒子21の固着強度は、例えば、基材5に固着された機能層6に対して、所定の風量の風を当てて、機能性粒子21が剥がれ落ちずに固着状態を維持できるか否かによって判断することができる。また、機能層6の性能は、機能層6中における機能性粒子21の表面のうち、機能発揮対象成分に対して露出させることが可能な有効表面積として定量化させることができる。なお、機能発揮対象成分が、気相成分ではなく、液相成分である場合には、上述と同様に、機能発揮対象成分を含んだ液体を機能層6に対して流し当てて、機能性粒子21が剥がれずに固着状態を維持できるか否かによって判断することができる。液体に対する機能層6の性能についても同様である。
図1および図4において、エリアAとして示す混合重量比率の条件下では、機能性粒子21の重量に対するバインダ粒子31の重量が少なくなっている。すなわち、機能性粒子21に対するバインダ粒子31の重量が過少している状況であり、機能性粒子21の表面は十分に露出させることができるものの、機能性粒子21の固着強度を十分に確保することができない。このためエリアAにおける混合上量比率の条件下では、機能性粒子21の上層部分が剥がれ落ちて散乱してしまい、基材5に対して機能性粒子21を多く固着させることができない。
ここで、バインダ粒子31の重量比率を上げていくと、エリアAからエリアBに移る。エリアBにおける混合重量比率の条件下では、機能性粒子21に対するバインダ粒子31の重量が適当な関係となっている。すなわち、このエリアBの条件下では、機能性粒子21の表面は効果的に機能を発揮できる程度に十分に露出されており、機能層6の性能を十分に確保することができ、さらに、機能性粒子21の固着強度も十分に確保することができる。
また、さらにバインダ粒子31の混合重量比率を上げていくと、エリアBからエリアCに移る。エリアCにおける混合重量比率の条件下では、機能性粒子21に対するバインダ粒子31の重量が過剰な状況となっている。すなわち、機能性粒子21の固着強度については十分に確保できるものの、機能性粒子21の表面の大部分がバインダ粒子31によって覆われてしまい、機能層6の性能を十分に確保することができない状況となっている。
以上のように、バインダ粒子31の混合重量比率を変化させながら機能性粒子21の固着強度および機能層6の性能を調べることで、機能性粒子21の固着強度および機能層6の性能をともに満足させることができるバランスのとれた混合重量比率を求める。このようにして、適当な比率であるエリアBの混合重量比率を決定することができる。
次に、上述のようにして決定された混合重量比率を満たした混合粒子群を水溶媒中に拡散させた場合における重量濃度の決定について説明する。
(重量濃度の決定方法についての詳細)
図5において、混合粒子群の固着重量別の機能層6のイメージを示す。また、基材5の単位面積当たりにおける混合粒子群の固着重量に対する機能層6の性能の関係を示すグラフを、図6に示す。さらに、浸漬溶剤中における混合粒子群の重量濃度に対する基材5の単位面積当たりの混合粒子群の固着重量の関係を示すグラフを、図7に示す。ここで、図5および図6中において示されている、エリアD、E、Fは、それぞれ対応している。
また、図5では、水、臭気成分、有害成分等の機能性粒子21の機能発揮対象成分を星印によって表し、機能層6の内部に拡散して機能性粒子21の機能が有効に発揮されている様子をイメージ化させて示している。
ここでは、基材5の単位面積当たりに固着する混合粒子群の固着重量を変化させた場合における、機能層6の性能の変化の様子を調べている。これにより、機能層6の性能が最大となる重量濃度を探ることで、機能層6中の機能性粒子21のうち機能を有効に発揮できない粒子が含まれることを抑えることが可能なバランスのとれた固着重量を決定する。なお、基材5の単位表面積当たりにおける混合粒子群の固着重量は、おおよそ機能層6の膜厚と比例関係となる。また、機能層6の膜厚がSEM等の電子顕微鏡等によって測定可能なオーダーの範囲にある場合には、膜厚を変えながら、機能層6の性能が最大となる膜厚を探るようにしてもよい。
図5および図6において、エリアDにおける混合粒子群の固着重量の条件下では、基材5に対して固着している混合粒子群の固着重量が少ない状況となっている。すなわち、機能層6における機能性粒子21は、上層部分6aだけでなく下層部分6bにおいても十分に機能を発揮することができる。しかし、エリアDの範囲内では、混合粒子群の固着重量を増加させるにつれて基材5の単位面積当たりの性能が増加する関係にあり、さらに機能性粒子21を固着させることができるため、基材5の単位面積当たりの性能を十分に発揮させているとはいえない。
ここで、混合粒子群の固着重量を上げていくと、エリアDからエリアEに移る。エリアEにおける混合粒子群の固着重量の条件下では、基材5に単位面積当たりの性能が十分であり、かつ、不必要な機能性粒子21をできるだけ少なく抑えることができている状況である。すなわち、このエリアEでは、基材5の単位面積当たりにおける固着重量を十分に確保し、性能をほぼ最大限に発揮できる状態である。また、機能層6における機能性粒子21は、上層部分6aだけでなく下層部分6bにおいても十分に機能を発揮することができる。このため、機能を効率的に発揮できないような不必要な機能性粒子21は少なく抑えられている。
また、さらに混合粒子群の固着重量を上げていくと、エリアEからエリアFに移る。エリアFにおける混合粒子群の固着重量の条件下では、基材5に対して固着されている混合粒子群の固着重量が過剰な状況となっている。すなわち、固着重量を増加させても基材5の単位面積当たりの性能はほとんど増加しない飽和状態にあり、混合粒子群の固着重量を増加する割には性能の向上を図ることができない。また、機能層6における機能性粒子21は、上層部分6aだけが効率的に機能を発揮することができ、下層部分6bは十分に機能を発揮することができない。すなわち、機能層6における機能性粒子21が必要以上に設けられており、機能層6の内部拡散を考慮しても下層部分6bの当たりまでは機能発揮対象成分が拡散していきにくいため、この部分の機能性粒子21は、機能を効率的に発揮することができない。
以上のように、基材5に対する混合粒子群の固着重量を変化させながら機能層6の性能の推移を調べることで、基材5の単位面積当たりに対する混合粒子群の好適固着重量を求める。このようにして、基材5の単位面積当たりの性能をほぼ最大限に確保しつつ機能層6における不能な機能性粒子21の数を少なく抑えた好適固着重量として、上述したエリアEにおける固着重量を求めることができる。
このように好適固着重量は、機能性粒子21の機能発揮対象成分の拡散速度が反映された性能を考慮して定められるため、機能発揮対象成分が拡散していきにくいほど必要以上に厚い機能層6が形成されてしまうことを回避できる。また、機能層6の形成において、混合粒子群の固着重量を、機能を発揮するのに必要十分な混合粒子群の重量に抑えることができる。このため、機能層6の性能をほぼ最大限に確保しつつ、機能を有効に発揮しにくい機能性粒子21の量を省くことが可能になり、コストの低減化を図ることができる。
なお、上述の決定された混合重量比率にしたがった混合粒子群を基材5に対して固着させるために、混合粒子群が水溶媒中に拡散された浸漬溶剤を調製する。また、図7においては、浸漬溶剤中の混合粒子群の重量濃度に対する基材5への固着重量の関係を示している。ここで、求められた混合粒子群の好適固着重量を、図7に示すグラフと照らし合わせることによって、基材5を含浸させるための浸漬溶剤の混合粒子群の重量濃度を求めることができる。これにより、浸漬溶剤を調製する場合における混合粒子群の重量濃度を決定することができる。
このようにして、浸漬溶剤が調製され、基材5を含浸させて、乾燥固着させることで、高機能で機能性粒子21が散乱しにくい機能性デバイス10を製造することができる。
<機能性デバイスの適用態様>
上述のようにして製造される機能性デバイス10は、例えば、図8に示すような、空調処理装置100の機能材として採用することができる。
図8に示す空調処理装置100は、室内機102および室外機103によって構成されている。室外機103には、空調処理機能部104が設けられている。この空調処理機能部104には、図9に示すように、送風機105と、調湿機能を備えたロータ106とが設けられている。このロータ106は、上述した機材5に対応するガラス繊維シートによって形成されている。また、上述した機能性粒子21に対応する調湿性粒子がバインダ粒子31を介して、このガラス繊維に対して固着されている。送風部105は、回転するロータ106に対して空気を送る方向を切り換えることができ、この空気中に存在する水分子を吸着して排気方向(R1)へ送ったり(図9(a)参照)、水分子を脱離して加湿して給気方向(R2)に送ったり(図9(b)参照)することができる。このように調湿された空気は、室内機102を介して室内空間まで送られ、対象とする空間を調湿することができる。
本発明を、以下の実施例を用いて詳細に説明する。
本実施例では、上述した機能性粒子21としては、調湿機能を有するシリカを用いた。ここでは、平均粒径が2〜3μmのシリカを採用した。なお、ここでの機能性粒子21は、吸湿機能を有するシリカに限られるものではなく、例えば、有害成分の分解機能を有する酸化チタン、触媒、酸素やビタミン等の有用成分の放出機能を有する粒子等であってもよい。
また、上述したバインダ粒子31としては、コロイダルシリカを用いた。ここでは、平均粒径が10〜20nmの範囲にあるコロイダルシリカを採用した。これは、機能性粒子21としてのシリカの平均粒径の100分の1以下の平均粒径である。なお、バインダ粒子31としてのコロイダルシリカの平均粒径は、機能性粒子21の平均粒径の10分の1以下程度であってもよい。
また、上述した基材5としては、ガラス繊維シートを用いた。ここで、機能性粒子21としてのシリカは、ガラス繊維シートを構成する各ガラス繊維の表面に対して、コロイダルシリカを介して固着させた。
また、上記シリカとコロイダルシリカとを水中に分散させ、溶剤中における混合粒子群の濃度が均一になるように十分に攪拌してスラリー(浸漬溶剤)を調製した。
次に、この調製されたスラリーに対して、ガラス繊維シートを30秒以上浸漬させて、混合粒子群をガラス繊維に対して付着させた。
そして、スラリーからガラス繊維シートを引き上げて、乾燥炉内において120℃の条件下、15分間程度乾燥させて、ガラス繊維シート上に混合粒子群を固着させ、機能層6が形成された機能性デバイスを得た。なお、乾燥処理の終了は、ガラス繊維シートに付着した混合粒子群に含まれる水分が蒸発し、全体の重量変化が見られなくなる時点とした。
(シリカとコロイダルシリカとの混合重量比率を決定するための試験)
まず、ガラス繊維シート上に形成される機能層6におけるコロイダルシリカ(バインダ粒子31)の重量%を変化させながら、シリカ(機能性粒子21)の固着強度の変化、および、機能層6の性能の変化の様子を調べた。
ここで、固着強度は、完成された機能性デバイス10に対して所定の風速の風を当てることにより、機能層6のシリカ等が剥がれ落ちずに固着状態を維持できるか否かによって定量化させた。固着強度の試験では、上述したガラス繊維シートとして1cm×5cmの小片平板形状のものを用いた。また、この小片平板のガラス繊維シート上に形成された機能層6に対して、シート平面に水平な方向に所定の風速の風を180秒間当てた。そして、風を当てる前と当てた後の小片平板のガラス繊維シートの重量を計測した。ここでの固着強度は、風を当てる前のガラス繊維シートおよび機能層6の合計重量を100とした場合における、風を当てた後のガラス繊維シートおよび固着状態を維持している機能層6の合計重量の重量割合として定量化させた。なお、シリカの吸水能に基づいて生じる重量増加の誤差を考慮して、計量の直前にデシケータ内で試料を十分に乾燥させた。
また、ガラス繊維シート上に形成される機能層6の性能は、調湿材料動的試験装置を用いて、ガラス繊維シートの単位面積当たりにおける単位時間当たりの吸放湿速度(mg/sec/cm2)として定量化した。ここでは、吸湿条件環境下と脱湿条件環境下との間で試料を行き来させて、単位時間当たりの吸放湿速度を求めた。吸湿条件は、気温が6℃で、湿度が70%の環境下とした。また、脱湿条件は、気温が80℃で、湿度が約0%の環境下とした。なお、この両環境下を180秒間隔で行き来させる毎に、試料の重量を計測した。
上記のようにしてコロイダルシリカの重量%を変化させた場合における、固着強度および機能層6の性能の変化の様子を、以下の表1に示す。
Figure 2006122803
表1に示すグラフによると、固着強度は、コロイダルシリカ(バインダ粒子31)の重量%を上昇させた場合に、3〜5wt%において急激に上昇し、その後はシリカの散乱がほとんど見られなくなることがわかった。なお、3wt%以下では、重量変化を計測できなかった。ここで、機能層6の固着強度を十分な値に維持するためには、コロイダルシリカの重量%が、5wt%以上の範囲にあることが好ましいことがわかった。さらに、表1に示すグラフによると、機能層6の性能は、コロイダルシリカの重量%が上昇するにつれて、徐々に減少することがわかった。ここで、機能層6の性能を良好にするためには、コロイダルシリカの重量%が、25wt%未満の範囲にあることが好ましいことがわかった。これらの固着強度および機能層6の性能の両者を好ましい状況とするためには、コロイダルシリカの重量%が、5〜25wt%の範囲であればよいと考えられる。なお、表1に示すように、コロイダルシリカの重量%を上昇させた場合に、固着強度は、3〜5wt%において急激に上昇しその後ほぼ一定となるため5wt%以上であることに意味があり、固着強度はこの場合には十分と考えられる。また、機能層6の性能は、コロイダルシリカの重量%の上昇に伴って緩やかに減少しており、コロイダルシリカの重量%が少ないほど高機能であるといえ、5wt%以上であれば固着強度はさほど問題にならないことから、25wt%未満よりも15wt%未満のほうが好ましいと考えられる。コロイダルシリカの重量%は、5〜15wt%の範囲であることがより好ましいと考えられる。なお、表1に示す結果により、コロイダルシリカの重量%の最も好ましい値は、13wt%であると判断した。
以下、機能層6の混合重量比率は、シリカ:コロイダルシリカ=87:13(wt%)である(不純物は除く)と決定し、次に、混合重量比率をこの決定値に維持したままで、混合粒子群の最適固着重量を調べた。
(シリカとコロイダルシリカとの混合粒子群の固着重量を決定するための試験)
次に、上記混合重量比率は固定させたままで、ガラス繊維シートを含漬させる浸漬溶剤中のシリカの重量%を変化させながら、ガラス繊維に固着する機能層6の固着重量の変化の様子を調べた。
ここで、浸漬溶剤中のシリカ(サイリシア710)の重量%は、水とシリカとコロイダルシリカとを混合した浸漬溶剤のトータル重量中に占めるシリカ(サイリシア710)の重量の割合をいう。なお、ここでは、シリカの重量の割合を変化させても、上記決定したシリカとコロイダルシリカとの混合重量比率は維持されるようにしている。また、固着重量指数は、ガラス繊維シートの単位面積当たりにおける機能層6の固着重量(mg/cm2)の比率(無次元)を示す。
上記のようにして浸漬溶剤中のシリカ(サイリシア710)の重量%を変化させた場合における、固着重量指数の変化の様子を、以下の表2に示す。
Figure 2006122803
表2に示すグラフによると、浸漬溶剤中のシリカの重量%が増すにつれて、固着重量指数も上昇していることがわかった。これにより、ガラス繊維シートの単位面積当たりに固着させるべき混合粒子群の重量は、浸漬溶剤中のシリカの重量%に応じた値となり、また、シリカとコロイダルシリカとの混合重量比率は87:13で一定であるため、結局、混合粒子群の重量%が増加すると固着重量指数も増加する関係にあると考えられる。
そして、上記混合重量比率は固定させたままで、ガラス繊維シートに対する固着重量指数を変化させながら、ガラス繊維シートの単位面積当たりにおける調湿性能の変化の様子について調べた。
ここで、固着重量指数は、上述した表2における固着重量指数と同様に、ガラス繊維シートの単位面積当たりにおける機能層6の固着重量(mg/cm2)の比率(無次元)を示す。
また、ガラス繊維シートの単位面積当たりにおける調湿性能は、上述した表1における性能と同様であり、調湿材料動的試験装置を用いて、ガラス繊維シートの単位面積当たりにおける単位時間当たりの吸放湿速度(mg/sec/cm2)として定量化した値の比率(無次元)である。
上記のようにガラス繊維シートに対する固着重量指数を変化させた場合における、ガラス繊維シートの単位面積当たりにおける調湿性能の変化の様子を、以下の表3に示す。
Figure 2006122803
表3に示すグラフによると、固着重量指数が増すにつれて、ガラス繊維シートの単位面積当たりにおける調湿性能も上昇していくが、固着重量指数がある値近傍(表3では固着重量指数が0.35付近)を越えるとほぼ最良の値のままで維持され、飽和状態になることがわかった。なお、シリカ以外に、機能性粒子21としてゼオライト等を用いた場合にも、得られる性能は、表3と同様な推移となることを確認した。ここで、上述した表2によると、ガラス繊維シートの単位面積当たりにより多くの固着重量の機能層6を形成させるためには、浸漬溶剤中のシリカの重量%を増せばよいことがわかった。これに対して、表3によると、ガラス繊維シートの単位面積当たりにより多くの固着重量の機能層6を形成したとしても、固着重量は多ければ多いほど機能層6の性能が向上するという関係ではなく、一定の固着重量を超えると機能層6の性能が飽和してしまう関係であることがわかった。これは、コロイダルシリカ(固着性粒子)とシリカ(機能性粒子)とを含む機能層6において、水分子が内部拡散したとしても、機能層6の下層部分にまで拡散していくことが困難であることに起因するものと考えられる。すなわち、機能層6の膜厚(もしくはガラス繊維シートの単位面積当たりの固着重量)が多くなれば多くなるほど、機能発揮対象成分としての水分子が機能層6の下層部分まで拡散していくことに対する拡散抵抗が増大するものと考えられる。このため、機能層6の性能の固着重量に対する上限を超えた場合には、その超過分のシリカ(機能性粒子21)は、効率的に機能を発揮することができない不必要なものであるといえる。したがって、機能層6の固着重量は、性能の上昇が見られなくなる直前の重量とするのが好ましく、この場合に、不必要なシリカを低減できてコストを抑えることができることがわかった。
このように、機能性デバイス10に必要とされる性能と表3とを参照するより、目的とする固着重量を決定し、この目的とする固着重量が得られるように、表2を参照して、浸漬溶剤中の混合粒子群の濃度を決定した。なお、ここでは、機能性デバイス10に必要とされる性能に対応する固着重量指数が、表3のグラフにおける右上がりの勾配の範囲内であったため、表2においてこの固着重量指数に対応する浸漬溶剤中のシリカの重量濃度を求めた。なお、ここでは、浸漬溶剤中のシリカの重量濃度は、およそ40wt%となった。これにしたがって、以下の工程を実行し、機能性デバイス10を製造した。
そして、この決定された条件にしたがったスラリーを調製した(浸漬溶剤調製工程)。
このスラリーに対して、ガラス繊維シートを30秒以上浸漬させて、混合粒子群をガラス繊維に対して付着させた(含浸工程)。
そして、スラリーからガラス繊維シートを引き上げて、乾燥炉内において120℃の条件下、15分間程度乾燥させた(乾燥工程)。この乾燥処理によって、ガラス繊維シート上に混合粒子群を固着させて、機能層6が形成された機能性デバイス10を得た。
これにより、機能を十分に発揮できて、かつ、機能を効果的に発揮できない余分なシリカを低減させた機能層6を形成することができた。なお、膜厚が必要以上に厚くならないため、機能性デバイス10の送風抵抗をの上昇を抑えることができた。また、これによりガラス繊維シートの構造をより細かな形状にすることができ、シリカをより密に固着させることが可能になるため、機能性デバイス10の性能を向上させることができた。
<機能性デバイスの製造方法の特徴>
(1)
従来、機能性粒子を基材に対して固着させる場合に、必要となるバインダ粒子の量が明確にされていない。このため、バインダ粒子の量が多い場合には、機能性粒子の表面がバインダ粒子によって覆われてしまい機能を十分に発揮できなくなるおそれがある。また、逆に、バインダ粒子の量が少ない場合には、機能性粒子を基材に安定して固着させることが困難であったり、基材から剥がれ落ちたりしてしまうおそれがある。
これに対して上述した機能性デバイスの製造方法によると、バインダ粒子31は、機能性粒子21を基材5に固着させるだけでなく、機能性粒子21同士を固着させることができる。このため、基材5の表面に対して機能性粒子21を1段だけ固着させるのではなく、より多くの機能性粒子21を固着させることができる。これにより、機能性粒子群20を構成する機能性粒子21のトータル比表面積を増大させ、機能性デバイス10の性能を向上させることができる。また、バインダ粒子31は、機能性粒子21と基材5とを固着させるだけでなく機能性粒子21同士についても固着させることができるため、機能性粒子21が剥がれ落ちて散乱することを抑えることができる。また、バインダ粒子群30の重量は機能性粒子群20との合計重量の5〜25%としている。このため、バインダ粒子31の不足により機能性粒子21が剥がれ落ちてしまうことを抑えることができる。また、バインダ粒子31が機能性粒子21の表面を必要以上に覆ってしまい、機能性粒子21が機能を効果的に発揮できなくなることを回避することができる。したがって、上記実施形態による製造方法によって得られる機能性デバイス10は、機能性粒子21が剥がれ落ちて散乱することを抑えつつ、機能性粒子21による機能の発揮を効果的にすることが可能になる。
なお、上述したバインダ粒子31の重量割合(5〜25wt%)の数値範囲は、以下の実験データおよび考察によって得られたものである。すなわち、バインダ粒子31が機能性粒子21の表面を覆ってしまうことによる機能性デバイス10の性能の劣化を多少犠牲にしつつも、機能性粒子21と基材5との固着安定性や機能性粒子21同士の固着安定性を確保するためには、バインダ粒子は5wt%以上必要であることがわかった。また、機能性粒子21と基材5との固着安定性や機能性粒子21同士の固着安定性を多少犠牲にしつつも、機能性粒子21の表面を露出させて機能の効果的な発揮を確保するには、バインダ粒子は25wt%以下であればよいことがわかった。これらによると、機能性粒子21と基材5との固着安定性や機能性粒子21同士の固着安定性を確保しつつ機能性粒子21の機能の発揮を効果的にするためには、バインダ粒子31の重量割合の数値範囲は、上述したように5〜25wt%とするのが好ましいと考えられる。なお、バインダ粒子31の重量割合の数値範囲は、5〜15wt%とするのがより好ましいと考えられる。
(2)
上記実施形態の機能性デバイス10の製造方法では、平均粒径が10μm以下の機能性粒子21を採用している。また、バインダ粒子31の平均粒径は、機能性粒子21の平均粒径の10分の1よりも小さい10〜20nmのものを採用している。
このため、バインダ粒子31は、単に機能性粒子21同士を固着させるのではなく、機能性粒子21の間に入り込んで機能性粒子21同士を近接固着させることが可能になる。このため、機能性粒子21を密に設けることができ、性能の優れた機能性デバイス10を製造することができる。
また、機能性粒子群20中にバインダ粒子31を点在させることで、機能性粒子21間の固着性をより一層向上させ、機能性デバイス10から機能性粒子21が剥がれ落ちることによる分散が起こりにくい機能性デバイス10を製造することができる。
(3)
上記実施形態の機能性デバイス10の製造方法では、機能性粒子群20とバインダ粒子群30とを含有する機能層6の膜厚は、機能性粒子21が機能を発揮する機能発揮対象成分についての機能層6の内部における拡散抵抗に基づいて定められている。このため、機能性粒子21の機能発揮対象成分の拡散速度が考慮されて膜厚が定められるため、機能発揮対象成分が行き届きにくいほど必要以上に膜が厚く形成されてしまうことを回避することができ、機能を発揮するのに十分な膜の厚みに抑えることができる。このため、機能性粒子21の機能の効果的な発揮を維持しつつ、機能を有効に発揮しにくい機能性粒子21の量を省くことが可能になり、コストの低減化を図ることができるようになる。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、基材5に対して機能性粒子21が固着された機能性デバイス10の製造方法を例に挙げて説明を行った。
これに対して、基材5を用いることなく、複数の機能性粒子21同士をバインダ粒子31を介して互いに固着させて機能性材料を製造してもよい。この場合には、バインダ粒子31は、機能性粒子21同士を固着させることができればよく、機能性粒子21を基材5に固着させるための性質を有しない粒子であってもよい。このようにして製造される機能性材料は、基材5等に対して固着した状態で利用されるのではなく、所定のまとまりを持った一群の材料として、自由な場所に配置させて利用することができるため、この点で利便性を向上させることができる。なお、機能性粒子21の分散を抑えつつ、機能の発揮を十分に確保することができる点については、上記基材5を有する機能性デバイス10と同様である。
(B)
上記実施形態では、機能性粒子21およびバインダ粒子31について、平均粒径にしたがって各粒子が採用される場合について説明した。
ここで、上記機能性粒子21またはバインダ粒子31は、粒径の均一性が良好なほうが望ましい場合がある。このような場合には、例えば、機能性粒子群20を構成する機能性粒子21の80%以上(好ましくは90%以上)が、1〜10μm(より好ましくは2〜7μm、さらに好ましくは2〜3μm)の範囲にあるものを採用するようにしてもよい。また、バインダ粒子群30を構成するバインダ粒子31の80%以上(好ましくは90%以上)が、機能性粒子21の上記範囲の粒径の10分の1以下(好ましくは100分の1以下、もしくは10〜20nm)のものを採用するようにしてもよい。
本発明によれば、機能性粒子が散乱することを抑えつつ、機能性粒子による機能の発揮を効果的にすることが可能になるため、支持体に固着された粒子によって機能が発揮される機能性デバイス等への適用が特に有用である。
機能性粒子とバインダとの重量比率に応じた機能層の概略図。 機能性粒子がバインダ粒子を介して固着されている状態を示す概略図。 機能性デバイスの製造方法の流れを示すフローチャート。 機能性粒子とバインダの重量比率と性能および固着強度との関係を示すグラフ。 機能性粒子とバインダとの合計重量に応じた機能層の概略図。 機能性粒子とバインダとの合計重量と性能の関係を示すグラフ。 機能性粒子とバインダの混合水溶液の濃度と単位面積当たりの機能層重量との関係を示すグラフ。 機能性デバイスが採用された空気処理装置の概略構成図。 空気処理機能部の概略図。
符号の説明
5 支持体(基材)
6 機能性膜(機能層)
10 機能性デバイス
20 機能性粒子群
21、21a、21b、21c・・・ 機能性粒子
30 固着性粒子群(バインダ)
31、31a、31b、31c・・・ 固着性粒子(バインダ粒子)
100 空調処理装置

Claims (10)

  1. 支持体(5)に固着された粒子によって機能が発揮される機能性デバイス(10)であって、
    所定の機能を発揮する機能性粒子(21a、21b、21c・・・)を複数有する機能性粒子群(20)と、
    前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)を前記支持体(5)に対して固着させるとともに前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)同士を固着させる固着性粒子(31a、31b、31c・・・)を複数有する固着性粒子群(30)と、
    を備え、
    前記固着性粒子群(30)の重量は、前記機能性粒子群(20)の重量と前記固着性粒子群(30)の重量との合計重量の5〜25%である、
    機能性デバイス(10)。
  2. 前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)の平均粒径は、10μm以下であり、
    前記固着性粒子(31a、31b、31c・・・)の平均粒径は、前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)の平均粒径の10分の1よりも小さい、
    請求項1に記載の機能性デバイス(10)。
  3. 前記機能性粒子群(20)と前記固着性粒子群(30)とを含有する機能性膜(6)の厚みもしくは前記支持体(5)の単位表面積当たりに対する前記機能性膜(6)の重量は、前記機能性粒子が機能を発揮する対象成分についての前記機能性膜(6)の内部における拡散抵抗に基づいて定められている、
    請求項1または2に記載の機能性デバイス(10)。
  4. 前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)の平均粒径は、2〜3μmである、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の機能性デバイス(10)。
  5. 前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)は、水分子、臭気成分、有害成分、有用成分、VOCの少なくともいずれか1つに対して、吸着、脱離、分解のいずれか1つの機能を発揮する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の機能性デバイス(10)。
  6. 前記機能性粒子群(20)は、シリカ、酸化チタン、ゼオライトおよび樹脂の少なくともいずれか一方を含有し、
    前記固着性粒子群(30)は、コロイダルシリカまたは樹脂を含有している、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の機能性デバイス(10)。
  7. 気相中の所定の成分に対して機能する請求項1から6のいずれか1項に記載の機能性デバイスと、
    前記気相中の所定の成分を送る送風手段と、
    を備えた空調処理装置(100)。
  8. 所定の機能を発揮する機能性粒子(21a、21b、21c・・・)を複数有する機能性粒子群(20)と、
    前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)同士を固着させる固着性粒子(31a、31b、31c・・・)を複数有する固着性粒子群(30)と、
    を備え、
    前記固着性粒子群(30)の重量は、前記機能性粒子群(20)の重量と前記固着性粒子群(30)の重量との合計重量の5〜25%である、
    機能性材料。
  9. 支持体(5)に固着された粒子によって機能が発揮される機能性デバイス(10)の製造方法であって、
    所定の機能を発揮する機能性粒子(21a、21b、21c・・・)を複数有する機能性粒子群(20)と、前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)を前記支持体(5)に対して固着させるとともに前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)同士を固着させる固着性粒子(31a、31b、31c・・・)を複数有する固着性粒子群(30)とを、前記固着性粒子群(30)の重量が、前記機能性粒子群(20)の重量と前記固着性粒子群(30)の重量との合計重量の5〜25%となるように混合する混合ステップと、
    前記混合ステップで得られた混合粒子群を前記支持体(5)に対して固着させ、機能性膜(6)を形成する膜形成ステップと、
    を備えた機能性デバイス(10)の製造方法。
  10. 前記機能性膜(6)の膜厚もしくは前記支持体(5)の単位表面積当たりに対する前記機能性膜(6)の重量は、前記機能性粒子が機能を発揮する対象成分についての前記機能性膜(6)の内部における拡散抵抗に基づいて定められ、
    前記混合ステップでは、前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)と前記固着性粒子(31a、31b、31c・・・)とを溶剤中において混合することにより前記混合粒子群を得る場合に、前記溶剤中の前記機能性粒子(21a、21b、21c・・・)の濃度が、前記定められた機能性膜(6)の膜厚もしくは重量に対応した濃度となるように調製する、
    請求項9に記載の機能性デバイス(10)の製造方法。
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