JP2008238077A - 除湿素子および除湿素子の製造方法および除湿機 - Google Patents
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Abstract
【課題】室内を除湿する際に使用される除湿機において、水分と同時に臭気成分を脱臭分解するための除湿用素子を、除湿性能の低下を抑えながら高効率の脱臭効果を与える触媒脱臭機能付き除湿素子を安い製造コストで提供することを目的とする。
【解決手段】マンガンイオン溶液もしくはマンガンとコバルトの混合イオン溶液を吸湿剤を担持した除湿素子に浸し、酸化マンガンもしくはコバルトマンガン複合酸化物となる焼成温度で焼成することによって、吸湿剤上で微粒子化した脱臭触媒を添着した触媒脱臭機能付除湿素子が得られる。
【選択図】図4
【解決手段】マンガンイオン溶液もしくはマンガンとコバルトの混合イオン溶液を吸湿剤を担持した除湿素子に浸し、酸化マンガンもしくはコバルトマンガン複合酸化物となる焼成温度で焼成することによって、吸湿剤上で微粒子化した脱臭触媒を添着した触媒脱臭機能付除湿素子が得られる。
【選択図】図4
Description
本発明は、湿分を吸着する除湿素子において、除湿する能力を保持したまま、さらに臭気成分を吸着分解でき、空間を脱臭する能力を向上させた脱臭機能付除湿素子を提供するものである。
従来、空気中の臭気成分を吸着し分解する脱臭素子として、二酸化マンガンをもちいたハニカム構造のフィルタが知られており空気清浄装置に対する技術として開示されている。
以下、その空気清浄装置について図10を参照しながら説明する。
図10に示すように回転式の脱臭ロータ101を備え、処理空気102を吸引し、脱臭ロータ101を通過させる。この際、前記処理空気102中の臭気は脱臭ロータ101によって吸着される。脱臭ロータ101は、吸着剤103と触媒104が混合されており、臭気成分を吸着した脱臭ロータ101は回転して、加熱装置105によって温められ、熱によって活性化した触媒104と反応することによって、臭気成分を分解することができるものであり、吸着剤103に臭気成分が飽和することなく、連続して脱臭できるものである。
また、その吸着剤と触媒をふくむ脱臭ロータの作成方法として、吸着剤と触媒をアルミナシリカ繊維と微細繊維化セルロースとからなる分散液を抄紙してなるセラミックシートを片面段ボール状に加工して、前記片面段ボールを渦巻状に加工してハニカム状基材とし、触媒として二酸化マンガン、吸着剤としてハイシリカゼオライト、接着剤としてアクリル樹脂系のエマルジョンをもちいスラリーを作成し、これに前記ハニカム状基材を浸漬して塗付、乾燥したのち焼成して作成する一例が示されている(図示せず)。
また、他の例として触媒が白金の場合に活性炭担体に担持し、これを上記と同様にアクリル樹脂系のエマルジョンと、吸着剤としてハイシリカゼオライトを用いてスラリーを作成し、前記ハニカム状基材を浸漬して、塗付、乾燥したのち焼成して作成する例が示されている(図示せず)。
また、他の例として触媒として二酸化マンガン、吸着剤として活性炭をもちい、主体繊維としてポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維、および補強繊維としてポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維をフィブリル化した微細繊維から成る水性分散液を湿式抄紙してなる脱臭シートを、前記片面段ボールのハニカム状に加工して得る例が示されている(図示せず)(特許文献1参照)。
そして、この技術を除湿機の除湿素子に応用する。前記従来手法中の脱臭用吸着剤ではなく吸湿剤をもちいてハニカム等の通気構造体に触媒を添着して作成した触媒添着除湿素子を、吸い込み口および吹き出し口をもつ筐体内に備え、また輻射熱および温風の両方もしくはいずれかによって前記除湿素子に吸着した水分を脱着させて再生するための加熱手段と前記温風を送るための再生用ファン、および前記除湿素子に除湿するための処理空気を送るための処理用ファンと、前記除湿素子より放出された水分を冷却し結露させて回収するための結露用熱交換器を備えた脱臭機能付除湿機を得る。
ここで、脱臭機能付除湿機について説明する。
前記吸湿剤であっても、湿気と同時に臭気は吸着できる吸湿剤はゼオライトや活性炭など多く存在する。そのため、筐体に吸い込まれた空気中の臭気成分を吸湿剤は湿気と共に吸着できる。そして、吸湿剤を担持した除湿素子は回転し、前記の加熱手段によって再生される。このとき前記の触媒添着除湿素子では、前記加熱手段によって吸湿剤と共に添着している触媒も活性化され、吸湿剤に吸着したもしくは吸湿剤から脱着した臭気成分と反応して、分解する。そのため脱臭ができる。触媒を担持していない従来の除湿素子の場合は加熱手段によって脱着するのみなので臭気成分は水に溶けるか、風路を通って外気に再放出するため脱臭できない。もしくは加熱手段による熱が足らず、脱着しないために吸湿剤内にたまりつづけることになり、吸着飽和によって脱臭できなくなり、結局のところ脱臭は出来ない。そのため脱臭機能付除湿機では従来の除湿素子を搭載した場合に比べ触媒を添着した触媒添着除湿素子を搭載した場合のほうが除湿機の脱臭能力は向上する。
そして、上記方法で臭気成分も吸着可能な吸湿剤を含む除湿素子に触媒を添着しようとすると、二酸化マンガンや、特許文献2の特開平10−180108にしめされるコバルトマンガン複合酸化物などの触媒粉末を、素子上にアクリル樹脂のバインダやコロイダルシリカなどの無機バインダを用いて接着することになる。しかし、触媒粒子および無機バインダによって除湿素子内の吸湿剤のもつ吸着サイトは大きく阻害されてしまうため、除湿能力が低下してしまう。また、触媒粉末は表面積が大きくないため、十分な触媒活性、つまりは十分な脱臭能力を得るためには、多量の触媒が必要となっており、そのために吸湿剤の持つ吸着サイトが阻害され、除湿能力が低下してしまっていた。また、この方法では触媒粒子を製造し、必要によって粉砕し、スラリー化し、含浸して添着し、乾燥するというように多くの工程を行なわなくてはならないため、製造コストもかかってしまう。
もちろん粉末を超微細化することも可能であるが、超微細の触媒粉末は高価であり、また、バインダを用いて接着するのであれば、触媒粉末が粉落ちしないために多くのバインダ成分が必要になるため、結果前記の理由により、バインダの影響で除湿能力が低下してしまう。
また、触媒成分と吸着剤成分を水性分散液として繊維などと抄紙などの方法で混合しても、繊維成分および繊維を結合させるためのバインダ成分に触媒、吸着剤成分の表面積が覆われてしまうため、やはり望む除湿能力と脱臭能力の両立は得られない。
特開2003−339831号公報
特開平10−180108号公報
近年室外の空気の汚染などにより、室内において洗濯物を乾燥させるために除湿機を使用するといったケースが増えている。しかしながら通常、室内で衣類を乾燥させる場合、部屋を締め切って使用する場合がおおく、さまざまな生活臭や発生するVOCは換気されること無く、室内にこもってしまう。そのため、除湿機が湿度を吸い取るのと同時ににおい成分も吸い込み、さらに分解して脱臭することが求められている。
しかしながら前述したとおり、従来の脱臭ロータを作成する方法で作成した触媒による脱臭機能付の除湿素子は、臭気成分も吸着できる吸湿剤に触媒を添着するためにバインダを用いる、もしくは紙の繊維成分で触媒と吸湿剤を保持するために、除湿に必要な吸湿剤の吸着サイトが阻害され、除湿能力がおおきく低下させてしまうといった課題があった。また、触媒の製造およびスラリー化および含浸し添着し、乾燥するという複数の工程によるの高コストな製法が課題であった。
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、除湿機に搭載された除湿素子によって脱臭機能を付与しながら、脱臭能力は向上しても除湿能力がほとんど低下せず、低コストな製造方法での脱臭機能付除湿素子を製造、提供することを目的としている。
本発明の触媒脱臭機能付除湿素子は上記目的を達成するために、マンガンイオン溶液もしくはマンガンイオンとマンガン以外の例えばコバルトなどの金属イオンの溶液を、ハニカム構造などの通気構造体に吸湿剤を担持した除湿素子に、含浸やスプレー手法によって浸し、その後乾燥、焼成酸化することによって、除湿素子の吸湿剤上に酸化マンガンもしくはコバルトとマンガンの複合酸化物のようなマンガン系複合酸化物を生成して触媒脱臭機能付除湿素子を作成したものであり、またその素子および吸湿剤に対する適した触媒量について検討して、開発したものである。
また、この方法では従来からある除湿素子もしくはこの除湿素子に必要であれば脱臭性能の高い吸着剤を混ぜた脱臭剤入りの除湿素子を、マンガンイオンもしくはマンガンイオンとマンガン以外の例えばコバルトなどの金属イオンの溶液に浸して乾燥し、酸化温度で焼成するだけの簡単な工程で作成でき、低コストで製造できる。
この手段により低コストで従来の除湿素子と同様の除湿能力である、つまり除湿能力が低下しないで脱臭性能が向上した触媒脱臭機能付除湿素子が得られる。なお、本発明における測定実験では、除湿能力測定における触媒添着前後の測定値の差は、実験の測定誤差が1乃至2%程度有り、また除湿運転による吸湿剤そのものの劣化などが見込まれること、また従来の製法で作成した場合の除湿能力が3乃至4%以上低下するため、本発明における除湿能力の変化が触媒添着前後で2%までは除湿能力の低下が抑えられているものとして扱うこととし、最も悪くとも、4%の差までは許容するものとした。
本発明によれば従来の除湿素子と同様に除湿能力が低下せず、すなわち従来の除湿素子と同等の除湿能力を保持したまま脱臭能力が向上した触媒脱臭機能付除湿素子が得られる。
また、本発明の触媒脱臭機能付除湿素子では、その製造法は従来の触媒粒子を製造し、吸着剤、バインダ成分のスラリーを作成し、これに除湿素子を含浸し、乾燥する複雑な工程をふむことなく、簡単で低コストに製造することができる。
本発明の請求項1記載の発明は、吸湿剤を含む通気構造体に少なくともマンガンイオンを含む溶液を浸し、前記通気構造体が保持しない溶液、つまりは通風セルなどの通風孔に詰まった構造体に浸透したりその表面に付着しない溶液を、前記通気構造体から除去し、この溶液の浸透した前記通気構造体を乾燥し、マンガンが酸化物となる温度以上の温度で焼成した酸化マンガンが前記通気構造体に添着していることを特徴とする除湿素子であり、吸湿剤上で直接マンガンを酸化することにより、酸化マンガンが触媒粉末を添着するよりも微粒子の状態で添着できるため、酸化マンガンの表面積が大きくなる。そのためより少ない触媒量で高い触媒活性が得られ、脱臭することができる。また、除湿能力を低下させるほど、つまり吸湿剤の吸湿サイトを覆ってしまうほどには触媒量をつけないことによって、十分に脱臭能力を保ったまま、除湿能力の低下を防ぐことが可能になる。
また、本発明の請求項2記載の発明は、前記手法で作成し、前記の通気構造体の体積1Lあたり0.97g以上2.96g以下の重量で酸化マンガンを添着した除湿素子であり、後述の実験の結果、通気構造体の体積に対して、以上の範囲であれば脱臭能力を確保したまま除湿能力の低下が測定誤差範囲内に収まる程度である酸化マンガンの添着量の範囲である。これ以下の添着重量では、十分な脱臭能力が得られない。また、これ以上の添着量では、酸化マンガンが吸湿剤の表面を覆うために、除湿能力の低下が現れるため、規定した重量の範囲で酸化マンガンを添着するのが望ましい。
また、本発明の請求項3記載の発明は、前記手法で作成し、前記の通気構造体に担持された吸着剤の乾燥時重量100g当たり0.51g以上2.18g以下の重量で酸化マンガンが添着した除湿素子であり、後述の実験の結果、通気構造体の体積に対して、以上の範囲であれば脱臭能力を確保したまま除湿能力変化が許容範囲内に収まる程度である酸化マンガンの添着量の範囲である。これ以下の添着重量では、十分な脱臭能力が得られず、また、これ以上の添着量では、酸化マンガンが吸湿剤の表面を覆うために、除湿能力の低下が現れる。
また、本発明の請求項4記載の発明は、少なくとも吸湿剤を含む前記通気構造体に前記のマンガンイオン溶液のマンガンイオン濃度が0.03mol/L以上0.20mol/L以下の溶液を浸して、マンガンが酸化物となる温度以上の温度で焼成して製造する除湿素子である。上記条件における溶液で、酸化マンガンは吸湿剤表面で微粒子になり、かつ十分な脱臭能力を得ることができる。上記条件以上に高濃度のマンガンイオンを用いると、焼成時、マンガン原子が凝集し、大きな粒子の酸化マンガンが生成してしまう。そのために、酸化マンガンの表面積が小さくなり、望む脱臭能力は得られず、また、酸化マンガンの添着量としても多くなり、上述のように酸化マンガンが吸湿剤の表面を覆うために、除湿能力の低下が現れる。
また、本発明の請求項5記載の発明は、少なくとも吸湿剤を含む通気構造体に少なくともマンガンイオンとマンガン以外の金属イオンを含む混合イオン溶液を浸し、前記通気構造体が保持しない溶液を前記通気構造体から除去し、この溶液の浸透した前記通気構造体を乾燥し、前記マンガンとマンガン以外の金属イオンがともに酸化物となる温度以上の温度で焼成して得られるマンガン系複合酸化物が前記通気構造体に添着した除湿素子であり、マンガンと、例えば鉄、ニッケルなどの金属原子とで複合酸化物を生成させることで、触媒活性を向上させることができ、そのために少ない触媒量で、望む脱臭能力を得ることができる。また、触媒が少ないために、吸湿剤の吸湿サイトを覆う量が少なくなり、除湿能力の低下がおこりにくい。
また、本発明の請求項6記載の発明は、前記マンガン以外の金属イオンが特にコバルトイオンである除湿素子であり、マンガンに対して金属イオンの中でもコバルトからなる複合酸化物が、とくにその触媒活性が高く、触媒活性を向上させることができ、そのために少ない触媒量で、望む脱臭能力を得ることができる。また、触媒が少ないために、吸湿剤の吸湿サイトを覆う量が少なくなり、除湿能力の低下がおこりにくい。
また、本発明の請求項7記載の発明は、通気構造体の体積1Lあたりに0.55g以上4.95g以下の重量でコバルトマンガン複合酸化物を添着したの除湿素子であり、後述の実験の結果、通気構造体の体積に対して、以上の範囲であれば脱臭能力を確保したまま除湿能力変化が許容範囲内に収まる程度であるコバルトマンガン複合酸化物の添着量の範囲である。これ以下の添着重量では、十分な脱臭能力が得られない。また、これ以上の添着量では、コバルトマンガン複合酸化物が吸湿剤の表面を覆うために、除湿能力の低下が現れるため、規定した重量の範囲でコバルトマンガン複合酸化物を添着するのが望ましい。
また、本発明の請求項8記載の発明は、通気構造体に担持された吸着剤の乾燥時重量100g当たりに0.29g以上3.65g以下の重量でコバルトマンガン複合酸化物を添着した除湿素子であり、後述の実験の結果、通気構造体の体積に対して、以上の範囲であれば脱臭能力を確保したまま除湿能力変化が許容範囲内に収まる程度であるコバルトマンガン複合酸化物の添着量の範囲である。これ以下の添着重量では、十分な脱臭能力が得られない。また、これ以上の添着量では、コバルトマンガン複合酸化物が吸湿剤の表面を覆うために、除湿能力の低下が現れる。
また、本発明の請求項9記載の発明は、マンガンイオンとコバルトイオンが共存した溶液の各イオン濃度の合計が0.015mol/L以上0.47mol/L以下で、前記溶液を通気構造体に浸して製造する除湿素子であり、上記条件における溶液で、コバルトマンガン酸化物触媒は吸湿剤表面で微粒子になり、かつ十分な脱臭能力を得ることができる。上記条件以上に高濃度のイオン溶液を用いると、焼成時、コバルトとマンガンの原子が凝集し、大きな粒子でかつその原子比率がまちまちなコバルトマンガン複合酸化物が生成してしまう。そのために、コバルトマンガン複合酸化物の表面積は小さくなり、望む脱臭能力は得られず、また、コバルトマンガン複合酸化物の添着量としても多くなってしまうため、上述のようにコバルトマンガン複合酸化物が吸湿剤の表面を覆うために、除湿能力の低下が現れる。
また、本発明の請求項10記載の発明は、焼成によって、酸化マンガン結晶のマンガン原子の位置にコバルト原子が一部入れ替わって入った複合酸化物もしくは酸化コバルト結晶のコバルト原子の位置にマンガン原子が一部入れ替わって入った複合酸化物となり、MnXCoYOZからなる化学式で表されるコバルトマンガン複合酸化物が前記通気構造体に添着した除湿素子であり、微粒子結晶が吸湿剤上に点在することによって、吸湿剤から脱着した際、臭気成分と前記コバルトマンガン複合酸化物の結晶が反応して分解する脱臭機構が形成され、微粒子の結晶のため、高効率で臭気成分を分解脱臭することが可能である。また、結晶中の電荷の欠損によって、電子の受け渡しが起こりやすくなるため、触媒の活性が向上し、より低温度でも臭気成分を分解することができるようになる。
また、本発明の請求項11記載の発明は、吸湿剤を含んだ通気構造体の表面積が300m2/g以上であり、この表面に前述のいずれかの方法によって触媒を添着した除湿素子であり、後述の実験の結果、表面積の広い場合、イオン溶液を浸して乾燥、酸化焼成する場合にもイオンが吸湿剤もしくは吸湿剤の基材中に点在しているために凝集が起こりにくく、小さな微粒子の酸化物触媒として添着されるものである。そのため、微粒子の酸化マンガンもしくは、マンガンと例えばコバルトなどマンガン以外の金属と作るマンガン系複合酸化物が吸湿剤上に点在することによって、吸湿剤から脱着した際、臭気成分と前記酸化物触媒が反応して分解する脱臭機構が形成され、また微粒子のため、高効率で臭気成分を分解脱臭することが可能である。
また、本発明の請求項12記載の発明は、吸湿剤としてとくにゼオライトを用いた除湿素子である。ゼオライトは吸湿性に優れ、他の吸湿剤よりも熱的に安定であることが知られており、特に極性の高い有機成分の吸着に優れている。また。前記の表面積という観点からも、ゼオライトは表面積が広い種類が多く、本発明の触媒を生成するための担体として適している。そのため、前述のように、イオンの溶液を浸し、乾燥、酸化焼成する場合にもイオンがゼオライトの各点に点在しているために凝集が起こらず、小さな微粒子の酸化物触媒として添着されるものである。そのため、微粒子の酸化物触媒がゼオライト上に点在することによって、ゼオライトから脱着した際、臭気成分と前記酸化物触媒が反応して分解する脱臭機構が形成され、また微粒子のため、高効率で臭気成分を分解脱臭することが可能である。
また、本発明の請求項13記載の発明は、マンガンイオンの溶液がマンガンの硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、塩化物のいずれかを水に溶解したものであり、もしくは例えばコバルトイオンなどのマンガン以外の金属イオンの溶液がマンガンイオン以外の金属の硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、塩化物のいずれかを水に溶解し、これを上記の製造方法のいずれかによって作成した除湿素子である。本発明ではとくに複合酸化物を作成する場合には、お互いの酸化温度が近しいもの同士の塩を除湿素子に添着するのが望ましく、それによって、複合化しやすく、複合化によってより高効率の触媒を得ることができる。
また、本発明の請求項14記載の発明は、前記マンガンイオンの溶液もしくはコバルトイオンの溶液もしくはマンガンイオンとたとえばコバルトイオンなどのマンガン以外の金属イオンとの混合溶液を、前記通気構造体に浸す方法として溶液をスプレー噴霧によって前記構造体に一定量を吹き付けることで、酸化マンガンもしくは例えばコバルトなど金属とマンガンのマンガン系複合酸化物、コバルトイオンであればコバルトマンガン複合酸化物を通気構造体に添着し、マンガンが酸化物になるもしくはマンガンとマンガン以外の金属イオンが複合酸化物となる温度以上の温度で焼成する除湿素子の製造方法である。
イオンの溶液を噴霧し、一定の量のみをふきつけ浸透させる。これによって、イオン溶液のイオン濃度を管理するための手間が削減できる。含浸などによるイオンの添着では溶媒中のイオンのみがより多く吸着されてしまうことがおおくあり、そのため残ったイオン溶液の濃度は含浸前より薄くなってしまい、繰返し使用するには、イオン濃度の管理が必要になる。しかしながらこの方法であれば、一定の濃度のイオン溶液を一定量のみ通気構造体に吸わせるだけでよいので、一定量のイオンつまりは酸化物触媒を通気構造体に添着することができる。
また、本発明の請求項15記載の発明は、前記マンガンイオンの溶液もしくはコバルトイオンの溶液もしくはマンガンイオンとたとえばコバルトイオンなどのマンガン以外の金属イオンとの混合溶液を、前記通気構造体に浸す方法として溶液をローラー塗付によって前記構造体に一定量を塗りつけることによって、酸化マンガンもしくは例えばコバルトなど金属とマンガンのマンガン系複合酸化物、コバルトの場合はコバルトマンガン複合酸化物を通気構造体に添着し、マンガンが酸化物になるもしくはマンガンとマンガン以外の金属イオンが複合酸化物となる温度以上の温度で焼成除湿素子の製造方法である。
イオンの溶液を塗付し、一定の量のみを塗りつけ浸透させる。これによって、イオン溶液のイオン濃度を管理するための手間が削減できる。この方法であれば、一定の濃度のイオン溶液を一定量のみ通気構造体に吸わせるだけでよいので、一定量のイオンつまりは酸化物触媒を通気構造体に添着することができる。
また、本発明の請求項16記載の発明は、上記の酸化物触媒つきの除湿素子を吸い込み口および吹き出し口をもつ筐体内に備え、さらに輻射熱および温風の両方もしくはいずれかによって前記除湿素子に吸着した水分を脱着させて再生するための加熱手段と前記温風を送るための再生用ファン、および前記除湿素子に除湿するための処理空気を送るための処理用ファンと、前記除湿素子より放出された水分を冷却し結露させて回収するための結露用熱交換器を備えた除湿機である。除湿素子の再生用にニクロム線ヒータなどの加熱手段をもうけ、除湿素子を加熱再生する。この加熱時の熱をもちい、除湿素子中に前記手法によって添着した酸化物触媒が活性化することで、除湿素子の吸った臭気成分を分解し、脱臭することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に示すように、波型シート1と平型シート2を交互に積層して得られるコルゲートハニカム構造体に吸湿材としてゼオライトを添着した除湿素子3を図2のチャート4でマンガンイオン水溶液に含浸する。このときのマンガンイオン水溶液は硝酸マンガン、酢酸マンガン、硫酸マンガン、炭酸マンガン、シュウ酸マンガン、水酸化マンガン、マンガン塩化物などを水に溶かしたものでよく、後に焼成して酸化するため、酸化温度がなるべく低いもの、つまりこの場合は硝酸マンガンなどが望ましい。このときのマンガンイオンの濃度としては、0.03mol/L以上0.20mol/Lが望ましい。さらに好ましくは0.03mol/L以上0.05mol/Lが望ましく、除湿能力の低減を抑えつつ、脱臭能力を向上させることができる。そして、含浸後素子を引上げ、エアーガン等のエアブロー装置により風を送り、構造体に浸透せずに通気孔などにのこっている余剰液を吹き飛ばして除去する。溶液が浸透したハニカム構造体をトンネル炉やオーブンにて乾燥して水分を飛ばし、マンガンが酸化物となる温度、硝酸マンガンであれば250℃以上、好ましくは300℃以上で焼成する。このとき硝酸が十分に処理されるように、300℃以上で焼成するのがのぞましい。また通気構造体の熱的安定性やマンガンの安定性などから焼成温度を決定することが望ましい。
図1に示すように、波型シート1と平型シート2を交互に積層して得られるコルゲートハニカム構造体に吸湿材としてゼオライトを添着した除湿素子3を図2のチャート4でマンガンイオン水溶液に含浸する。このときのマンガンイオン水溶液は硝酸マンガン、酢酸マンガン、硫酸マンガン、炭酸マンガン、シュウ酸マンガン、水酸化マンガン、マンガン塩化物などを水に溶かしたものでよく、後に焼成して酸化するため、酸化温度がなるべく低いもの、つまりこの場合は硝酸マンガンなどが望ましい。このときのマンガンイオンの濃度としては、0.03mol/L以上0.20mol/Lが望ましい。さらに好ましくは0.03mol/L以上0.05mol/Lが望ましく、除湿能力の低減を抑えつつ、脱臭能力を向上させることができる。そして、含浸後素子を引上げ、エアーガン等のエアブロー装置により風を送り、構造体に浸透せずに通気孔などにのこっている余剰液を吹き飛ばして除去する。溶液が浸透したハニカム構造体をトンネル炉やオーブンにて乾燥して水分を飛ばし、マンガンが酸化物となる温度、硝酸マンガンであれば250℃以上、好ましくは300℃以上で焼成する。このとき硝酸が十分に処理されるように、300℃以上で焼成するのがのぞましい。また通気構造体の熱的安定性やマンガンの安定性などから焼成温度を決定することが望ましい。
また、こうして得られるハニカム構造体体積1L当たりの酸化マンガンの添着量は0.97g以上2.96g以下の重量が望ましい。さらに好ましくは、0.97g以上から1.82g以下が望ましい。ただし、これは除湿素子に含まれた水分が十分に乾燥している場合の重量とする。なお、本発明では200℃で重量変化がなくなって安定するまで乾燥しているものとする。なお、この除湿素子において、その吸湿剤としてのゼオライト量は素子の体積1Lあたり135g以上190g以下が望ましいので、ハニカム構造体に担持した吸着剤100g当たりで考えると、0.51g以上から2.18g以下の重量で添着しているのが望ましい。さらに好ましくは0.98g以上から2.18g以下の重量で添着しているのが望ましい。脱臭能力は酸化マンガンを添着しなかった場合に比べその脱臭能力の明らかな向上が確認され、かつ本来の除湿能力の低下は測定誤差の範囲でしか認められない。なお、図3に示すような除湿機に酸化マンガンを前述の方法で添着した除湿素子5を搭載し、このときに前述の脱臭能力、除湿能力を得ることができるものである。その除湿機の詳細は、前記除湿素子5が吸った水分を放出するためのヒーターなどの加熱手段6と、前記除湿素子5に空気を送るためのファン7と、放出された水分を回収するための結露用熱交換器8をそなえ、前記除湿素子5が、回転手段9によって回転し、ファン7によって筐体10内に吸い込まれる処理風路11と加熱手段6によって再生される再生風路12の通過を連続して繰り返すことによって、処理空気を除湿して供給するものである。なお、加熱手段6によって除湿素子5から放出された水分は、前記結露用熱交換器8で冷却され水滴13となり、タンク14に回収される。
(実施の形態2)
実施の形態1では、吸湿剤添着したハニカム構造体の除湿素子に、マンガンイオン溶液を浸し、酸化マンガンを生成して添着したが、マンガンイオンのみではなく、マンガンイオンとマンガン以外の金属イオンを混合した溶液を用いて、マンガン系複合酸化物を触媒として添着しても良い。
実施の形態1では、吸湿剤添着したハニカム構造体の除湿素子に、マンガンイオン溶液を浸し、酸化マンガンを生成して添着したが、マンガンイオンのみではなく、マンガンイオンとマンガン以外の金属イオンを混合した溶液を用いて、マンガン系複合酸化物を触媒として添着しても良い。
(実施の形態3)
実施の形態1では、吸湿剤がゼオライトのハニカム構造体の除湿素子に、マンガンイオンのみの水溶液を浸し、酸化マンガンを生成して添着したが、マンガンイオンのみの水溶液ではなく、図4に示すような、コバルトマンガン複合酸化物添着素子の製造方法を示すチャート15でマンガンとコバルトを用いて、コバルトマンガン複合酸化物を触媒として生成させ、添着しても良い。
実施の形態1では、吸湿剤がゼオライトのハニカム構造体の除湿素子に、マンガンイオンのみの水溶液を浸し、酸化マンガンを生成して添着したが、マンガンイオンのみの水溶液ではなく、図4に示すような、コバルトマンガン複合酸化物添着素子の製造方法を示すチャート15でマンガンとコバルトを用いて、コバルトマンガン複合酸化物を触媒として生成させ、添着しても良い。
コバルトとマンガンの原子数の比率を1:2とし、コバルトイオン水溶液の濃度としては、0.005mol/L以上0.19mol/L以下が望ましい。さらに好ましくは0.01mol/L以上0.02mol/L以下がよい。また、マンガンイオン水溶液は、その2倍の0.01mol/L以上0.28mol/L以下が望ましい。さらに好ましくは0.02mol/L以上0.04mol/L以下がよい。つまり合計のイオン濃度としては0.015mol/L以上0.47mol/L以下が望ましく、さらにこのましくは0.03mol/L以上0.06mon/L以下がよい。この範囲のであれば、除湿能力の低減を最低限抑えつつ、脱臭能力を向上させることができる。
なお、このときのマンガンイオン、コバルトイオンの水溶液は、マンガンとコバルトのそれぞれの硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、塩化物を溶解して得るのが望ましい。とくに硝酸マンガンと硝酸コバルトや酢酸マンガンと酢酸マンガンは、酸化温度が比較的低く、かつマンガンとコバルトのそれぞれの酸化温度が非常に近いため、複合酸化物を作りやすいといったメリットもあるので望ましい。
そして、コバルトとマンガンの混合イオン水溶液に、前述実施の形態1と同様にして、除湿素子を含浸し、引上げ、エアーガン等のエアブロー装置により風を送り、構造体に浸透せずに通気孔などにのこっている余剰液を吹き飛ばして除去する。溶液が浸透したハニカム構造体をトンネル炉やオーブンにて乾燥して水分を飛ばし、コバルトとマンガンが酸化物となる温度、たとえば硝酸コバルトと硝酸マンガンで作成した溶液であれば250℃以上で焼成する。なおコバルトマンガン熱的に不安定であるので、300℃以上で焼成すると、原子同士が離れ、触媒の効果が薄くなってしまうことがあるので、250℃から300℃の間の温度で焼成するのが望ましい。
なお、このときの吸湿剤としてのゼオライトを含んだコバルトマンガン複合酸化物添着前のハニカム構造体全体の表面積として、300m2/gであることがのぞましく、広い表面積によって、水分および臭気成分が吸着しやすくなるのはもちろんであるが、含浸してぬれた状態にあるときはイオン状態のコバルトとマンガンが表面上に点在する。これを上記条件で焼成して、コバルトマンガン複合酸化物とするが、このとき表面積が小さいと、コバルトとマンガンの原子が凝集してコバルトマンガン複合酸化物の大きな粒子ができる。たとえば図5に示すようにコージェライト表面16にコバルトマンガン複合酸化物粒子17が出来てしまう。一方、ゼオライトなどの多孔体の表面にイオンを分散させることで凝集が起こりにくくなる。そのため、触媒としてのコバルトマンガン複合酸化物は微粒子として得られるので望ましい。当然、微粒子のほうが表面積が大きく、吸湿剤から脱着した臭気成分との接触確率も上がり、分解効率が向上するものである。
また、こうして得られるコバルトマンガン複合酸化物のハニカム構造体の体積1L当たりの添着量は0.55g以上から4.94g以下の重量が望ましい。更に好ましくは、1.49g以上から3.26g以下が望ましい。ただし、これは除湿素子に含まれた水分が十分に乾燥している場合の重量とする。なお、この除湿素子において、その吸湿剤としてのゼオライト量は素子の体積1Lあたり135g以上190g以下が望ましいので、ハニカム構造体に担持した吸着剤100g当たりで考えると、0.29g以上から3.65g以下の重量で添着しているのが望ましい。さらに好ましくは0.78g以上から2.41g以下の重量で添着しているのが望ましい。また、これに関しても除湿素子に含まれた水分が十分に乾燥している場合の重量とする。この、一定体積当たり、一定吸着剤量当たりの好ましい添着の重量範囲においては、これ以上酸化マンガンの量をふやしても、脱臭する速さは変わらない。脱臭能力は酸化マンガンを添着しなかった場合に比べその脱臭能力の明らかな向上が確認され、かつ本来の除湿能力変化は許容範囲内でしか認められない。
なお、ここでは、コバルトとマンガンの原子比率を1:2としているが、それ以外の比率であってもよく、添着重量の範囲条件や程度は違うものの、脱臭効果が得られ、除湿能力が低下しないといった効果をもつ除湿素子を作成できる。
また、こうして得られたコバルトマンガン複合酸化物をエックス線回折分析法によって解析すると、酸化コバルトの結晶中に一部マンガンが入ることで、酸化マンガンの結晶ピークがシフトしていることが確認でき、これによって、酸化コバルトの結晶のコバルト原子の位置にマンガン原子が一部入れ替わって入っている複合酸化物、つまり結晶となり、その化学式はMnXCoYOZであらわされる酸化物が触媒として働いていることがわかる。
(実施の形態4)
実施の形態1乃至3では、マンガンなどのイオンを除湿素子に添着するために、イオン溶液に含浸して、溶液を浸し、除湿素子の表面に酸化マンガン、マンガン系複合酸化物、コバルトマンガン複合酸化物を生成した。しかし、含浸はせずに、ハニカム構造体にイオン溶液を浸す方法として溶液をスプレー噴霧によって前記構造体に一定量を吹き付けてもよい。
実施の形態1乃至3では、マンガンなどのイオンを除湿素子に添着するために、イオン溶液に含浸して、溶液を浸し、除湿素子の表面に酸化マンガン、マンガン系複合酸化物、コバルトマンガン複合酸化物を生成した。しかし、含浸はせずに、ハニカム構造体にイオン溶液を浸す方法として溶液をスプレー噴霧によって前記構造体に一定量を吹き付けてもよい。
ここでは実施の形態3の含浸法と比較して説明する。
前記ハニカム構造体の除湿素子にコバルトイオンとマンガンイオンの混合溶液を噴霧し、一定の量のみを拭きつけ浸透させる。つまり一定の濃度のイオン溶液を一定量のみ通気構造体に吸わせる。これによって、毎回決まった量のコバルトマンガン複合酸化物の添着した除湿素子を得る。そして後は実施の形態3の手順と同様にして焼成する。
(実施の形態5)
実施の形態4では溶液をスプレー噴霧によって前記構造体に一定量吹き付けたが、ローラーによって一定量を塗付しても良い。
実施の形態4では溶液をスプレー噴霧によって前記構造体に一定量吹き付けたが、ローラーによって一定量を塗付しても良い。
このばあい、ローラーの吸水量や、塗布時の圧力によって、一定の量を除湿素子に塗りつけることが可能である。
本発明で開発した触媒添着除湿素子について、下記のように作成し、それぞれについて評価を行なった。
(実施例1)
前述のコルゲートハニカム構造体に除湿剤としてゼオライトを添着した除湿素子1個(直径178mmの円形、厚さ15mm)に対して、硝酸マンガン6水和物を表1に示すように3種類の濃度で水に溶解し、マンガンイオン溶液としてそれぞれ800g作成し、除湿素子を含浸した。表1は、実施例の実験でのイオン濃度と酸化物触媒の添着量の関係を示した表である。
前述のコルゲートハニカム構造体に除湿剤としてゼオライトを添着した除湿素子1個(直径178mmの円形、厚さ15mm)に対して、硝酸マンガン6水和物を表1に示すように3種類の濃度で水に溶解し、マンガンイオン溶液としてそれぞれ800g作成し、除湿素子を含浸した。表1は、実施例の実験でのイオン濃度と酸化物触媒の添着量の関係を示した表である。
なお、このときのゼオライトを添着した除湿素子の表面積は300m2/g以上であった。
これを、エアブロー装置によって風をあて、除湿素子に浸透せずに、ハニカムセルに詰まった余剰の溶液を吹き飛ばし、残った除湿素子を乾燥し、250℃で2時間焼成した。得られた除湿素子の、含浸前後の重量変化から、酸化マンガンの添着量を計算した。なお、乾燥は200℃で重量が安定するまで行なった。
(実施例2)
前述のコルゲートハニカム構造体に吸湿剤としてゼオライトを添着した除湿素子1個(直径178mmの円形、厚さ15mm)に対して、硝酸マンガン6水和物と硝酸コバルト6水和物とを表1に示すようにコバルトとマンガンの原子比が1:2として5種類の濃度となるように水に溶解して混合し、コバルトイオンとマンガンイオンの水溶液としてそれぞれ800g作成し、除湿素子を含浸した。
前述のコルゲートハニカム構造体に吸湿剤としてゼオライトを添着した除湿素子1個(直径178mmの円形、厚さ15mm)に対して、硝酸マンガン6水和物と硝酸コバルト6水和物とを表1に示すようにコバルトとマンガンの原子比が1:2として5種類の濃度となるように水に溶解して混合し、コバルトイオンとマンガンイオンの水溶液としてそれぞれ800g作成し、除湿素子を含浸した。
これを、エアブロー装置によって風をあて、除湿素子に染み込まず、ハニカムセルに詰まった余剰の溶液を吹き飛ばし、残った除湿素子を乾燥し、250℃で2時間焼成した。得られた除湿素子の、含浸前後の重量変化から、コバルトマンガン複合酸化物の添着量を計算した。なお、乾燥は200℃で重量が安定するまで行なった。
実施例1および2でえられた除湿素子の酸化物触媒の添着量を表1にまとめた。
(比較例1)
硝酸コバルトと硝酸マンガンを溶解させた水溶液(コバルトとマンガンが原子比1:2で含まれるように調整)にアンモニア水を滴下し、コバルトとマンガンの水酸化物を沈殿させ、ろ過してこれを回収した。回収した沈殿物を空気中にて250℃で焼成することで不純物を脱離させ、コバルトマンガン複合酸化物として得た。これをコロイダルシリカと乾燥重量比で9:1となるように、水に分散した。そして、実施例1および2と同様の除湿素子1個(直径178mmの円形、厚さ15mm)を前記コバルトマンガン複合酸化物が分散した分散液に含浸した。
硝酸コバルトと硝酸マンガンを溶解させた水溶液(コバルトとマンガンが原子比1:2で含まれるように調整)にアンモニア水を滴下し、コバルトとマンガンの水酸化物を沈殿させ、ろ過してこれを回収した。回収した沈殿物を空気中にて250℃で焼成することで不純物を脱離させ、コバルトマンガン複合酸化物として得た。これをコロイダルシリカと乾燥重量比で9:1となるように、水に分散した。そして、実施例1および2と同様の除湿素子1個(直径178mmの円形、厚さ15mm)を前記コバルトマンガン複合酸化物が分散した分散液に含浸した。
これを、エアブロー装置によって風をあて、除湿素子に染み込まず、ハニカムセルに詰まった余剰の溶液を吹き飛ばし、残った除湿素子を乾燥し、250℃で2時間焼成した。得られた除湿素子の、含浸前後の重量変化から、コバルトマンガン複合酸化物の添着量を計算した。その結果は、除湿素子1Lに対する触媒は1.22gの添着量であった。
(比較例2)
また、脱臭試験は触媒を添着しない除湿素子での運転も行ない試験した。
また、脱臭試験は触媒を添着しない除湿素子での運転も行ない試験した。
こうして得られた実施の形態1の例に示した除湿機に搭載し、脱臭性能および除湿性能についての試験を行った。
除湿性能の実験方法は、約23m3のステンレスの部屋を室温20℃湿度60%に設定して、運転を行なった。このときの触媒添着前後の除湿性能の差を評価した。
脱臭性能の実験方法は、同様に約23m3のステンレスの部屋を27℃55%に設定し、密室としたのち、アンモニアを約10ppmとなるように拡散し、このときの濃度を初期濃度として、除湿機を運転し、アンモニアの残存率から脱臭性能を評価した。そのために、室内には加熱装置と水の滴下装置をもうけ、運転による水分の除去を常時補えるように加熱装置に水を滴下して気化させることで55%の湿度を保った。また、同様に冷却器を設置し、加熱装置および除湿機の運転等による発熱による室内の温度上昇をおさえ、27℃と一定の温度になるように、保った。こうして2時間運転し、15分ごとにアンモニア検知管によって室内のアンモニア濃度の測定を行なった。
また、コバルトマンガン複合酸化物を体積1Lあたりの添着量を4.94gで添着した除湿素子と、触媒を添着しない吸湿剤のみの触媒なしの除湿素子についてアンモニア脱臭試験運転をおこない、初期濃度に対して90%のアンモニアが脱臭できた時点でタンクに回収された水をイオンクロマトグラフによって分析し、回収水中のアンモニウムイオン量を測定した。この値と室内空気中から減ったアンモニア、つまり空気中から除湿機によって回収されたアンモニアの中で分解されたアンモニアの比率を評価した。
以上の結果を図6から図9と表2に示す。表2は、実施例の実験での脱臭アンモニアの分解率を示した表である。
図6のグラフからイオン溶液の濃度と触媒の添着量は、酸化マンガン、コバルトマンガン複合酸化物の場合も、ほぼ濃度と添着量は相関関係が見られた。そのため、イオン水溶液の濃度を観測、管理することで触媒添着量を一定に制御することができることがわかった。
図7のグラフから除湿性能については、測定誤差として±1%程度が見込まれているが、触媒が添着することで除湿能力が低下する傾向があることがわかった。しかしながら、酸化マンガンにおいては除湿素子1Lあたりの添着量が1.82g以下であれば、その除湿能力がほぼ保持されている。一方コバルトマンガン酸化物においては除湿素子1Lあたりの添着量が4.94g以下であればその除湿能力がほぼ保持されている。さらに、3.26g以下であればなお良いことがわかった。さらに、従来の製法に比べ同量の触媒を担持した場合において、除湿能力の低下が格段に少ないことが確認できた。
また、図8、図9で示すように、脱臭性能については、酸化マンガン(グラフ中Mn、添着量の単位をg/Lつまり体積1Lあたりの添着量で表記)であれば除湿素子1Lあたり0.97g以上2.96g以下、コバルトマンガン複合酸化物(グラフ中Co/Mn、添着量の単位をg/Lつまり体積1Lあたりの添着量で表記)であれば除湿素子1Lあたり0.55g以上4.94g以下で添着したどの触媒添着除湿素子も従来の除湿素子よりも脱臭効果があることが認められ、少ない触媒量でも従来の製法以上の脱臭能力を得られることがわかった。中でも酸化マンガンであれば除湿素子1Lあたりの添着量が1.82g以上、コバルトマンガン複合酸化物であれば1.49g以上でもっともよい脱臭能力が得られる。しかしながら、触媒量を多くしても、吸湿剤のアンモニア吸着が追いつかず分解できないためにこれ以上の脱臭能力はえられない。
なお、表2の結果から、触媒なしの吸湿剤素子では、吸湿剤によってアンモニアが吸着されることによって、空気中からはアンモニアが回収できているが、分解できていないために、回収水に多く残ってしまう。一方コバルトマンガン複合酸化物を使用することで、アンモニアも分解できていることが確認された。
以上の結果から、触媒脱臭機能付除湿素子を得るための最もよい条件として、酸化マンガンならば、除湿素子1Lあたり、酸化マンガンであれば1.82g前後、コバルトマンガン複合酸化物であれば1.49g以上3.26g以下の添着量があげられ、またイオンの溶液濃度としては、触媒添着量とイオンの溶液濃度は相関があるのでこれより求めると、酸化マンガンであれば0.05mol/L前後、コバルトマンガン複合酸化物であればコバルトとマンガンの原子比率が1:2の場合、その両イオンの総濃度として0.03mol/Lから0.06mol/Lの範囲であることがあげられる。
(実施例3)
実施例1および2、比較例1および2で用いた除湿素子を、硝酸マンガン6水和物からマンガンイオンが0.20mol/Lの濃度となるように水に溶解し、実施例1のように酸化マンガンの除湿素子への添着を行ない、その表面を観察した。
実施例1および2、比較例1および2で用いた除湿素子を、硝酸マンガン6水和物からマンガンイオンが0.20mol/Lの濃度となるように水に溶解し、実施例1のように酸化マンガンの除湿素子への添着を行ない、その表面を観察した。
(実施例4)
実施例1および2、比較例1および2で用いた除湿素子を、硝酸マンガン6水和物と硝酸コバルト6水和物からからマンガンイオンが0.28mol/L、コバルトイオンが0.19mol/Lの濃度となるように水に溶解し、実施例2のようにコバルトマンガン複合酸化物の除湿素子への添着を行ない、その表面を観察した。
実施例1および2、比較例1および2で用いた除湿素子を、硝酸マンガン6水和物と硝酸コバルト6水和物からからマンガンイオンが0.28mol/L、コバルトイオンが0.19mol/Lの濃度となるように水に溶解し、実施例2のようにコバルトマンガン複合酸化物の除湿素子への添着を行ない、その表面を観察した。
その結果、実施例3、4ともに実施の形態3の図5のような、酸化物の粒子はみられず、微粒子として分散していることが確認できた。
酸化マンガンおよびたとえばコバルトマンガン複合酸化物などのマンガン系複合酸化物を、イオン溶液として浸透させ焼成酸化することで得られる触媒脱臭機能付除湿素子を搭載した除湿機において、空間を除湿するのと同時に脱臭し臭気成分を分解することができる。
1 波型シート
2 平型シート
3 除湿素子
4 チャート
5 除湿素子
6 加熱手段
7 ファン
8 結露用熱交換器
9 回転手段
10 筐体
11 処理風路
12 再生風路
13 水滴
14 タンク
15 チャート
16 コージェライト表面
17 コバルトマンガン複合酸化物粒子
101 脱臭ロータ
102 処理空気
103 吸着剤
104 触媒
105 加熱装置
2 平型シート
3 除湿素子
4 チャート
5 除湿素子
6 加熱手段
7 ファン
8 結露用熱交換器
9 回転手段
10 筐体
11 処理風路
12 再生風路
13 水滴
14 タンク
15 チャート
16 コージェライト表面
17 コバルトマンガン複合酸化物粒子
101 脱臭ロータ
102 処理空気
103 吸着剤
104 触媒
105 加熱装置
Claims (16)
- 少なくとも吸湿剤を含む通気構造体に少なくともマンガンイオンを含む溶液を浸し、前記通気構造体が保持しない溶液を前記通気構造体から除去し、前記溶液の浸透した前記通気構造体を乾燥し、マンガンが酸化物となる温度以上の温度で焼成して得られる酸化マンガンが前記通気構造体に添着していることを特徴とする除湿素子。
- 通気構造体の体積1Lあたりに0.97g以上2.96g以下の重量で酸化マンガンが添着されていることを特徴とする請求項1記載の除湿素子。
- 通気構造体に担持された吸湿剤の乾燥時重量100g当たりに0.51g以上2.18g以下の重量で酸化マンガンが添着されていることを特徴とした請求項1記載の除湿素子。
- マンガンイオン溶液のマンガンイオン濃度が0.03mol/L以上0.20mol/L以下の溶液であり、前記溶液を通気構造体に浸して製造することを特徴とする請求項1に記載の除湿素子。
- 少なくとも吸湿剤を含む通気構造体に少なくともマンガンイオンとマンガン以外の金属イオンを含む混合イオン溶液を浸し、前記通気構造体が保持しない溶液を前記通気構造体から除去し、この溶液の浸透した前記通気構造体を乾燥し、前記マンガンとマンガン以外の金属イオンがともに酸化物となる温度以上の温度で焼成して得られるマンガン系複合酸化物が前記通気構造体に添着していることを特徴とする除湿素子。
- マンガン以外の金属イオンがコバルトイオンであることを特徴とする請求項5記載の除湿素子。
- 通気構造体の体積1Lあたりに0.55g以上4.94g以下の重量でコバルトマンガン複合酸化物が添着されていることを特徴とする請求項6記載の除湿素子。
- 通気構造体に担持された吸湿剤の乾燥時重量100g当たりに0.29g以上3.65g以下の重量でコバルトマンガン複合酸化物が添着されていることを特徴とした請求項6記載の除湿素子。
- マンガンイオンとコバルトイオンが共存した溶液の各イオンの濃度の合計が0.015mol/L以上0.47mol/L以下の溶液であり、前記溶液を通気構造体に浸して製造することを特徴とする請求項6に記載の除湿素子。
- 焼成によって、酸化マンガン結晶のマンガン原子の位置にコバルト原子が一部入れ替わって入った複合酸化物もしくは酸化コバルト結晶のコバルト原子の位置にマンガン原子が一部入れ替わって入った複合酸化物となり、MnXCoYOZからなる化学式で表されるコバルトマンガン複合酸化物が前記通気構造体に添着していることを特徴とする請求項6記載の除湿素子。
- 吸湿剤を含んだ通気構造体の表面積が300m2/g以上であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の除湿素子。
- 吸湿剤がゼオライトであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の除湿素子。
- マンガンイオンの溶液がマンガンの硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、もしくは塩化物のいずれかを水に溶解したものであり、マンガンイオン以外の金属イオンの溶液がマンガンイオン以外の金属の硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、もしくは塩化物のいずれかを水に溶解したものであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の除湿素子。
- マンガンイオンの溶液、もしくはマンガンとマンガン以外の金属イオンの溶液の混合溶液を、通気構造体に浸す方法として溶液をスプレー噴霧によって前記通気構造体に一定量を吹き付けることで、酸化マンガンもしくはマンガンとマンガン以外の金属イオンの複合酸化物を通気構造体に添着し、マンガンが酸化物になるもしくはマンガンとマンガン以外の金属イオンが複合酸化物となる温度以上の温度で焼成することを特徴とした除湿素子の製造方法。
- マンガンイオンの溶液、もしくはマンガンとマンガン以外の金属イオンの溶液の混合溶液を、通気構造体に浸す方法として溶液をローラーによる塗布で前記通気構造体に一定量を塗りつけることで、酸化マンガンもしくはマンガンとマンガン以外の金属イオンの複合酸化物を通気構造体に添着し、マンガンが酸化物になるもしくはマンガンとマンガン以外の金属イオンが複合酸化物となる温度以上の温度で焼成することを特徴とした除湿素子の製造方法。
- 吸い込み口および吹き出し口をもつ筐体と、前記筐体内に請求項1乃至13のいずれかに記載の除湿素子と、輻射熱および温風の両方もしくはいずれかによって前記除湿素子に吸着した水分を脱着させて再生するための加熱手段と前記温風を送るための再生用ファンと、前記除湿素子に除湿するための処理空気を送るための処理用ファンと、前記除湿素子より放出された水分を冷却し結露させて回収するための結露用熱交換器を備えたことを特徴とする除湿機。
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JP2012254239A (ja) * | 2011-06-10 | 2012-12-27 | Mitsubishi Electric Corp | 空気清浄装置 |
JP2013192674A (ja) * | 2012-03-19 | 2013-09-30 | Mitsubishi Electric Corp | 脱臭装置 |
-
2007
- 2007-03-28 JP JP2007083745A patent/JP2008238077A/ja active Pending
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