JP2006119385A - ストロボ発光装置のフロントカバー - Google Patents

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Abstract

【目的】 ストロボ発光管、反射鏡から、フロントカバーに入射する光束のロスを減少させ、ストロボ発光装置の光学性能を低下させず、被写体に十分な光量をムラなく導き、広い配光角で光束を被写体上に照射可能なストロボ発光装置のフロントカバーを提供する。
【構成】 両極に不図示のコンデンサーよりの電圧を印加し、発光管内部の気体を発光させるストロボ発光管2より照射した光の一部は直接フロントカバー4に到達し、フロントカバー4に入射、透過、射出、拡散して被写体に向かって投射され、また一部は反射鏡3方面に向かって投射され、反射鏡3で1回若しくは2回以上反射をした後、フロントカバー4に到達し、同じようにフロントカバー4に入射、透過、射出、拡散し、被写体に向かって投射される。
【選択図】図1

Description

本発明は、写真撮影用カメラと使用されるストロボ閃光装置の発光部に係り、ストロボ発光管から発光された光と、ストロボ発光管近傍に配設される反射鏡により反射され、前方に照射されたストロボ光を効率良く、被写体に照射するストロボ装置のフロントカバーに関する。
以前より、カメラ、特に一眼レフタイプのカメラと共に使用されるクリップオンタイプのストロボは種々考案製品化されている。クリップオンタイプのストロボ発光装置は、主としてストロボ発光管、反射鏡及びその前方に配設されている正のパワーを有するフレネルレンズから構成されている。例えば、特開平6−110110号公報、特開平5−66464号公報などでは、反射鏡形状や、フレネルレンズと反射鏡間隔を変化させることで、配光の照射範囲や、特開2002−90822号公報では、レンズ部材を挿入することにより、光到達距離を伸ばす方法が提案されている。
ストロボ発光管より射出した光束は、直接、若しくは1回以上反射鏡で反射された後、フレネルレンズに入射し、フレネルレンズ内を透過したのち、射出、フレネル面にて集光され、被写体に照射する。
しかし、上述のストロボ発光管のフレネルレンズは、平行平面板にフレネルを切ってあり、ストロボ発光管から、若しくは反射鏡で反射した光束のうちフレネルレンズに入射する光束のうち、特に平行平面板に対する入射角度が大きい場合、平行平面板と空気間、又は空気間と平行平面板間での反射が大きくなる。又、フレネルレンズは多くの場合フレネルレンズに対して垂直入射に対する光束でロスを少なく、最適な集光を得られるように設計されているため、入射光に角度が生じる際、設計想定外の屈折、反射を行い迷光となるいわゆるフレネルロスが生じる。
特開平6−110110号公報 特開平5−66464号公報 特開2002−90822号公報
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、ストロボ発光装置のストロボ発光管、反射鏡から、フロントカバーに入射する光束のロスを減少させ、ストロボ発光装置の光学性能を低下させることなく、被写体に十分な光量を導くと共に、ムラなく、広い配光角で光束を被写体上に照射することができるストロボ発光装置のフロントカバーを提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、特に近接撮影に用いられ、水平、鉛直共に80°以上の配光角を有するマクロストロボの発光部となり、ストロボ発光管から射出された光束を、被写体に照射するストロボ発光装置のフロントカバーであって、前記フロントカバーのストロボ発光管と対向する面又は拡散性シボ形状、また、少なくとも長手方向に集光力をもつフレネルレンズ形状、若しくは、長手方向にのみ集光力をもつ光学リニアプリズム形状からなるストロボ発光管と対向しない面の少なくとも1つの面は、前記発光管の長手方向に直交する方向に曲率を有するシリンドリカル面が形成されたストロボ発光装置のフロントカバーであって、前記フロントカバーの前記シリンドリカル面の曲率半径Rは0.6t<R<20.0tで表される範囲とした。但し、ここでのtはt:反射鏡最深部から、フロントカバーまでの発光管断面の長手方向に直交する軸上における間隔である。
本発明においては、特に近接撮影に用いられ、水平、鉛直共に80°以上の配光角を有するマクロストロボの発光部となり、ストロボ発光管から射出された光束を、被写体に照射するストロボ発光装置のフロントカバーであって、前記フロントカバーのストロボ発光管と対向する面又は拡散性シボ形状、また、少なくとも長手方向に集光力をもつフレネルレンズ形状、若しくは、長手方向にのみ集光力をもつ光学リニアプリズム形状からなるストロボ発光管と対向しない面の少なくとも1つの面は、前記発光管の長手方向に直交する方向に曲率を有するシリンドリカル面が形成されたストロボ発光装置のフロントカバーであって、前記フロントカバーの前記シリンドリカル面の曲率半径Rは0.6t<R<20.0tで表される範囲としたので、ストロボ発光管、反射鏡よりフロントカバーに入射する光束ロスを最小にし、被写体に照射するため、GN(ガイドナンバー)を大きくすること、若しくは同じGNであれば、ストロボコンデンサー容量を小さくすることが可能となり、ストロボ発光装置の小型化、高性能化が可能となり、特に近接撮影の際、ストロボ発光管の反射鏡による像が被写体に投影することがありムラのある照射になってしまうのを防ぐ効果がある。
また、ストロボ発光管の長手方向の光束の広がり、配光角を希望の値に制御でき、ストロボ発光管より射出された光束をロス無く、ムラ無く被写体に導くことが可能となる。
以下、図面等を参照して本発明の最も良好な実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態のストロボ発光装置の断面図である。2がストロボ発光管(キセノンランプ)、3はストロボ発光管より射出した光束を希望方向にある広がりを持って反射させるための反射鏡、4がフロントカバーである。ストロボ発光管2の両極に不図示のコンデンサーよりの電圧を印加することにより、発光管内部の気体が発光する。
図2は本発明の実施形態のストロボ発光装置のフロントカバーが適用されたマクロストロボの様子を示した外観図である。このマクロストロボは、2つのストロボ発光装置1a、bを持ち、ユーザーの選択により、ストロボ発光装置1aのみ、ストロボ発光装置1bのみ、両ストロボ発光装置1a、b照射を選択することが可能である。
図3は図1のストロボ発光装置の断面図における、ストロボ発光管からの照射光線の模式図である。ストロボ発光管2より照射した光の一部は図3のように直接フロントカバー4に到達し、フロントカバー4に入射、透過、射出、拡散して被写体に向かって投射される。また一部は反射鏡3方面に向かって投射され、反射鏡3で1回若しくは2回以上反射をした後、フロントカバー4に到達し、直接フロントカバー4に到達した光と同じようにフロントカバー4に入射、透過、射出、拡散し、被写体に向かって投射される。
ストロボ発光管2より投射される光束は、断面方向では、360°全方位にほぼ均質、等量に照射されるため、反射鏡3の反射を介さず、直接フロントカバー4に到達する光量に比べ、反射鏡3によって反射した後フロントカバー4に到達し、被写体方面に投射され、被写体に照射される光量が大きい。
そのため、ストロボ発光装置1a、bのGN,配光角を決める際は、反射鏡3の形状、反射鏡3とストロボ発光管2の位置関係が非常に重要になる。
図4は屈折率1.0から屈折率1.5の媒質に入射する光線の反射率グラフの様子を示した図である。ストロボ発光管2から射出した光束は、上述の通りフロントカバー4に到達し、フロントカバー4に入射、透過、射出、拡散して被写体に向かって投射するがこのフロントカバー4はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂のいわゆるプラスチック樹脂の射出成型にて成型されている。プラスチック樹脂は光学的にn=1.5程度の屈折率を持つ。屈折率が1.5のフロントカバー4に入射する光は、波動光学的に図4のような反射率を持つ。図4で縦軸が反射率、横軸は光線入射角度を表している。ここでRsはS偏向成分、RpはP偏向成分、RnはS偏向、P偏向成分の平均である。この図より分かるように入射角度が60°を上回ると反射が大きくなり、光量ロスもそれに応じて生じることが分かる。同じようにフロントカバー4から射出する光束について考察するとやはり同じく屈折率1.5のフロントカバー4から射出する光束は図5で表される。
図5は屈折率1.5から屈折率1.0の媒質に射出する光線の反射率グラフの様子を示した図であり、図4と同じく縦軸が反射率、横軸が光線射出角度であり、RsはS偏向成分、RpはP偏向成分であり、40°を超えたところで全反射を起こし、フロントカバー4前方に射出されることは無くフロントカバー4内に戻るいわゆる迷光としての光量ロスが生じる。フロントカバー4に入射する光束以上にフロントカバー4より射出する光束はフロントカバー4からの入射角に大きく依存することが分かる。
また、プラスチック樹脂で出来ているフロントカバー4の透過率は可視領域で90%〜93%程度であり、いわゆる光学ガラスと比べて低く、光線の通る経路の長さ(光路長)がフロントカバー4内で長くなるとその分光量が吸収され、被写体に向かってフロントカバー4から射出される光量は小さくなってしまう。
しかし、ストロボ発光管2、反射鏡3には外部からのごみ等の異物進入によるこげの発生や、反射鏡3のごみ付着等によるくもり、反射率低下、また、ストロボ発光管2は大きな電圧が掛かるためユーザーが直接、配線やストロボ発光管2に触れると感電する危険があるため、ストロボ発光管2、反射鏡3を外部から触れることが出来ないようにフロントカバー4を被せる必要がある。ストロボ発光管2は発光時に大きな光量と共に大きな熱量を発生させる。このフロントカバー4を被せることにより、上記異物進入や感電、火傷等の危険を防ぐことが可能である。
プラスチック樹脂は熱変形温度が80℃〜100℃程度であり、ストロボ発光管2と極めて近い部位に配設されると、ストロボ発光管2からの発熱の影響で変形、変色が起こる恐れがある。そのため、ストロボ発光管2、反射鏡3とフロントカバー4をある程度離して配設する必要があるが、そのような配置にするとこのストロボ発光装置1自体が大型化してしまう。
本発明のように、フロントカバー4にストロボ発光管2の長手方向に直交する方向に曲率を有するシリンドリカル面を形成することにより、ストロボ発光管2から射出した光束をフロントカバー4入射時、射出時共に光量ロスの大きい入射角にすることなく、フロントカバー4内光路長を短くし、ストロボ発光管2から射出された光束をロスすることなく有効に使用することが出来る。
また、近接撮影を主とするマクロストロボにおいては、被写体中心の狭い領域に強い光を照射することよりも、より広い領域にムラのない均一な照射をすることが望まれる。近接撮影のため、大きなGNを照射するよりも、ストロボ発光管2の長手方向、直交方向共に80°以上の配光角を有することがより望まれる。そのために、フロントカバー4のストロボ発光管2と対向しない面の表面は、光を拡散させる作用のある拡散性シボ形状となっていることがより望ましい。
又、反射鏡3の形状で配光、照射領域を決定することが可能なのは、ストロボ発光管2の長手方向に対して直交する方向のみであり、ストロボ発光管2の長手方向の配光、照射領域を決定するために、図11のようなフロントカバー4のストロボ発光管2と対向しない面に集光力を持つフレネルレンズ形状や、図12に示される光学リニアプリズム形状とすることにより、ストロボ発光管2の長手方向、直交方向共に配光、照射領域を最適な形とすることが出来る。
フロントカバー4に光学的集光力を持つ凸のシリンドリカルレンズにすることも可能であるし、場合により、凹のシリンドリカルレンズにすることも考えられる。凸のシリンドリカルレンズを用いた場合、フロントカバー4にフレネル面を併用した際、フレネル角を小さくすることが可能になり、前述のフレネルロスを減少させることも可能になる。
フロントカバー4を本発明のように、シリンドリカル面にすることにより、ストロボ発光管2からフロントカバー4までの間隔を理想的に離すことが可能になり、フロントカバー溶け、焦げの心配がなくなるのみならず、装置自体の小型化も可能としている。
図6は本発明に係る実施例1の結果をグラフ化したものである。図6は曲率半径Rと光量変化のグラフの様子を示した図であり、縦軸に光量、横軸にフロントカバーの曲率半径Rの大きさである。光量はストロボ発光管2の長手方向、直交方向夫々80°の配光角領域の光量をグラフ化した。
実施例1では、反射鏡3最深部から、フロントカバー4のストロボ発光管2に対向する面までの間隔は11mm、フロントカバー4の肉厚は2mmであり、フロントカバー4の曲率半径R形状を変えて取ったデータである。ストロボ発光管2に対向しない面の曲率半径Rは対向する面の曲率半径Rに肉厚分加えた曲率半径Rとしており、拡散シボ形状となっており、フロントカバー4自体は光学的にパワーを持たない形状となっている。
この結果より、フロントカバー4におけるシリンドリカル面の曲率半径Rの大きさにより、被写体に到達する光量が異なることが分かり、式(1)の領域が望ましいことが分かる。
図7、8、9、10は本発明に係る実施例2の結果をグラフ化したものである。図7、図8は、ストロボ発光管2の長手方向にパワーを持たないフロントカバー4を使用した時の配光グラフであり、図7はストロボ発光管の長手方向の配光の様子を示した図であり、図8はストロボ発光管の長手方向に直交する方向の配光の様子を示した図である。実施例1におけるフロントカバー4の曲率半径R11の配光の様子である。
図9、図10は、ストロボ発光管2の長手方向に集光力を持つフレネルレンズをフロントカバー4におけるストロボ発光管2と対向しない面に装着した配光グラフであり、このフレネルレンズのパワーはf=25である。図9は図7と対応するフレネル面がある場合のストロボ発光管の長手方向の配光の様子を示した図であり、図10は図8に対応するフレネル面がある場合のストロボ発光管2の長手方向に直交する方向の配光の様子を示した図である。
これにより、ストロボ発光管2の長手、直交方向の配光には殆ど影響がなく、ストロボ発光管2の長手方向の配光のみ変化させることが可能であり、ストロボ発光管2の長手方向、直交方向共に最適な配光を得ることが可能であることが分かる。
ストロボ発光装置の断面図である。 マクロストロボの様子を示した外観図である。 図1のストロボ発光装置の断面図における、ストロボ発光管からの照射光線の模式図である。 屈折率1.0から屈折率1.5の媒質に入射する光線の反射率グラフの様子を示した図である。 屈折率1.5から屈折率1.0の媒質に入射する光線の反射率グラフの様子を示した図である。 実施例1における曲率半径Rと光量の変化のグラフの様子を示した図である。 実施例2におけるストロボ発光管の長手方向の配光の様子を示した図である。 実施例2におけるストロボ発光管の長手方向に直交する方向の配光の様子を示した図である。 実施例2におけるフレネル面がある場合のストロボ発光管の長手方向の配光の様子を示した図である。 実施例2におけるフレネル面がある場合のストロボ発光管の長手方向に直交する方向の配光の様子を示した図である。 フレネルレンズの模式図である。 リニア光学プリズムの模式図である。
符号の説明
1 ストロボ発光装置
2 ストロボ発光管
3 反射鏡
4 フロントカバー

Claims (4)

  1. ストロボ発光管から射出された光束を、被写体に照射するストロボ発光装置のフロントカバーであって、前記フロントカバーのストロボ発光管と対向する面又はストロボ発光管と対向しない面の少なくとも1つの面は、前記ストロボ発光管の長手方向に直交する方向に曲率を有するシリンドリカル面が形成されたストロボ発光装置のフロントカバーであって、前記フロントカバーの前記シリンドリカル面の曲率半径Rは
    0.6t<R<20.0t ・・・(1)
    で表されることを特徴とするストロボ発光装置のフロントカバー。
    但し、
    t:反射鏡最深部から、フロントカバーまでの発光管断面の長手方向に直交する軸上における間隔
  2. 前記ストロボ発光管と対向しない面は、拡散性シボ形状となっていることを特徴とする請求項1記載のストロボ発光装置のフロントカバー。
  3. 前記ストロボ発光管と対向しない面は、少なくとも長手方向に集光力をもつフレネルレンズ形状、若しくは、長手方向にのみ集光力をもつ光学リニアプリズム形状となっていることを特徴とする請求項1に記載のストロボ発光装置のフロントカバー。
  4. 前記ストロボ発光装置は、特に近接撮影に用いられ、水平、鉛直共に80°以上の配光角を有するマクロストロボの発光部となることを特徴とする請求項1から3に記載のストロボ発光装置のフロントカバー。
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