JP2006117713A - 抗血栓性高分子組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 医療用素材として、コスト、成型性等の面で実用的であり、かつ良好な抗血栓性を有する高分子組成物、ならびに該高分子組成物用いた医療用材料を提供する。
【解決手段】 〔A〕次の一般式(1)で表される重合体ブロックと、一般式(2)で表される重合体ブロックを含む二元以上のブロック共重合体、及び〔B〕ポリスチレン系重合体により抗血栓性高分子組成物を構成する:
【化1】
Figure 2006117713

【選択図】 図1

Description

本発明は、抗血栓性を有し、医療材料として好適に使用される高分子組成物に関する。
近年、合成高分子材料は、人工臓器、カテーテルをはじめとする医療用材料に広く用いられている。その代表的なものは、医療用高分子材料としてはポリエステル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリメタクリル酸エステル及び含フッ素樹脂などの疎水性高分子や、ポリビニルアルコール、ポリエーテルウレタン(セグメント化ポリウレタン、SPU)、ポリ(メタクリル酸2ーヒドロキシエチル)およびポリアクリルアミドなどの親水性高分子である。
このうち疎水性高分子材料は生体親和性において、また親水性高分子は機械的強度において何れも満足できるものではない。これら従来の材料の大部分が、主にその物理的、機械的特性に着目して使用されてきた中において、SPUに関しては、比較的抗血栓性に優れることが知られている。中でもBiomerR(Ethicon社製、商品名)、CardiothaneR(Avco社製、商品名)などは人工心臓への応用が試みられたが、なお十分な効果を得るには至らなかった。(例えば、非特許文献1及び2参照)
E.Nylas,R.C.Reinbach, J.B.Caulfield,N.H.Buckley, W.G.Austen; J.Biomed.Mater.Res.Symp.,3,129(1972)、 L.P.Joyce,M.C.Devries,W.S.Hastings,D.B.Olsen,R.K.Jarvik,W.J.Kolff; Trans.ASAIO, 29,81(1983)
これらのセグメント化ポリウレタンは、剛直な芳香族ウレタン結合部位と柔軟なポリエーテル結合部位の間のミクロ相分離構造により血小板粘着が抑制されるが、その効果は十分ではない。特にウレタン結合やウレア結合のように水素結合性の部分構造は、分子鎖の剛直性向上に寄与するものの、主鎖の極性基間の相互作用が強いため、疎水性相互作用を軽減しうる水分子の水和が阻害される。従って血中タンパクが吸着した際にタンパクの変性を誘起、血小板粘着を促進することが報告されている。
そもそも一般に水酸基、アミノ基といった極性部位は、血液接触時に補体活性化(第二経路)を誘発し、フィブリン形成促進による血栓形成の要因ともなる。その他ポリエステル系ポリマーでは、PEO(ポリエチレンオキシド)/PBT(ポリブチレンテレフタレート)共重合体が、血液適合性に優れた生体適合ポリマーとして知られているが(特許文献1参照)、これも高い加水分解性、およびそれに伴う低分子溶出物及びオリゴマーの体内への漏洩など、化学的な安定性にかける欠点があり、実用上問題が大きい。
特開昭60−238315号公報
ポリマー表面を親水/疎水ミクロドメイン構造とすることで血小板粘着を抑制して抗血栓性を発現するという材料設計が、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート) − スチレン−HEMAブロック共重合体等で知られている(非特許文献3参照)が、これも高価格であり、また脆く、溶融成型、湿式成型も困難であるなど実用上の問題が大きい。
C. Nojiri, T. Okano, D. Grainger, K. D. Park, S. Nakahama, K. Suzuki, S. W. Kim, Trans. ASAIO, 33, 596 (1987)
最近では表面エネルギーの小さな(疎水性の大きい)フルオロアルキル基等をミクロドメイン構造の疎水性ドメインに適応することで、表面エネルギーの大きな親水性ドメインとの相分離状態を安定化し、より血液適合性を向上させる試みがなされているが、なお加工性の問題は解決されてない。また生体膜類似表面構造を有するMPC(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリル コリン)−BMA(ブチルメタクリレート)共重合体が抗血栓性に優れることも示されたが(非特許文献4)、これも成型加工性、価格等に問題がある。
K. Ishihara, R. Aragaki, T. Ueda, A. Watanabe, N. Nakabayashi, J. Biomed. Mater. Res., 24, 1069 (1990)
一方、医療技術の進歩に伴って、生体組織や血液と材料が接触する機会は増加しており、材料の生体親和性が大きな問題になってきた。中でも蛋白質や血球などの生体成分が材料表面に吸着し変性することは、血栓形成、炎症反応等の通常では認められない悪影響を生体側に引き起こすばかりでなく、材料の劣化にもつながり、医療用材料の根本的かつ緊急に解決せねばならない重要な課題である。
とりわけ、血液の体外循環に用いる血液回路や血管内に挿入するカテーテルなどの部材は、外科的医療に必要不可欠なものであり、これらの技術の進展に大きく貢献してきた。それらの素材の機械的物性が部材としての要求特性に大きく考慮されてきた一方で、血液適合性については全く改善されず、主にヘパリンなどの抗凝固剤の血中投与により、かろうじて血液凝固などの異物反応を抑制していた。
しかしながら、最近ヘパリンの長期継続投与による脂質代謝異常などの肝臓障害、出血時間の延長あるいはアレルギー反応等の副作用を併発することが認められている。このような観点から、これら血液接触型医療器材使用の際に抗凝固剤の使用量を低減させるか、あるいは全く使用しなくても血液凝固を引き起こさない、すなわち、抗血栓性を備えた素材の開発が強く望まれるようになってきた。
一般に、これらの部材には屈曲性、耐圧性等の機械的特性に優れた軟質ポリ塩化ビニルが多用されている。この軟質ポリ塩化ビニルも血液適合性に問題があり、その改善が検討されてきた。軟質ポリ塩化ビニルは、添加剤としてフタル酸ジオクチル等の可塑剤を含有し、このため溶媒を用いた抗血栓ポリマーの表面被覆では、用いる溶媒によっては可塑剤の溶媒への漏出が問題となり、また表面にうまく被覆できても、抗血栓ポリマーとの親和性が低く、使用時にポリマーの剥離などを起こしてしまう。
過去にこの問題を解決すべく、軟質ポリ塩化ビニルとポリエーテルエステルをブレンドすることで抗血栓性に優れたミクロンサイズのアロイが得られることが開示されているが(特許文献2)、このものはポリエーテルエステルの加水分解による溶出物の体内漏洩の問題が解決されていない。また血液適合性そのものも卓越して優れているとは言えない。
特公平2−35580号公報
抗血栓ポリマーとしてポリビニルアルコール系共重合体を用い、軟質ポリ塩化ビニルの表面にビニルアルコールと塩化ビニルの共重合体をグラフトすることで抗血栓性ポリマーの接着性を高めることも提案されているが(特許文献3)、現在ではポリビニルアルコールそのものが満足な血液適合性を有していないことが知られており、より優れた抗血栓ポリマーの表面固定化が望まれる。また抗血液凝固性に優れたヘパリン等の生理活性物質を表面へ化学的に固定する報告もなされているが、工程の煩雑さや、生理活性分子の化学的不安定性による効果の持続性の問題が解決されておらず、実用には至っていない。
特許第2568108号公報
したがって、本発明の目的は、医療用素材として、コスト、成型性等の面で実用的であり、かつ良好な抗血栓性を有する高分子組成物、ならびに該高分子組成物を用いた医療用材料を提供することにある。
本発明者らは、血液適合性(特に抗血栓性)に優れた高分子組成物の開発を行った。エチレングリコールユニットを有する高分子化合物は、大なり小なり抗血栓性が期待される。ポリエチレングリコールを他の高分子表面に、プラズマ処理等によりグラフトすることにより抗血栓性が向上することは良く知られている。この場合には、水溶性のブラシ構造が表面に形成され、エントロピー弾性による異物に対しての斥力的相互作用により、蛋白・血小板・細胞が表面から斥けられる。また、ブラシを構成しているポリエチレングリコールそのものは水溶性で、蛋白と疎水性相互作用は生じない。この理想的な方法には、表面の後処理が必要とされるため、生産性が著しく低く、工業的には望ましくない。
一方、エチレングリコールのような親水性ユニットを高分子鎖の主鎖内や側鎖として導入することにより抗血栓性に優れた高分子材料とする試みは数多く行われているが、現在の医療器具の要求に答えられるレベルにはなっていない。そこには、以下に述べる根本的な二律背反が存在するためである。水溶性ユニットをランダム共重合体として側鎖や主鎖内に導入すると、表面の親水性が向上し、たんぱく質などの疎水的な相互作用を阻害し、抗血栓性を向上させる。しかしながら一方では、その高分子の水(血液)中への溶解性も同時に高くなってしまい、特に低分子量成分の溶解が問題となるため、水溶性ユニットの導入には上限が存在する。
我々は、この問題を解決する手段としては、ブロック共重合体を利用することが有効であることに着目した。すなわち、水溶性のブロックと疎水性のブロックから構成されるブロック共重合体を利用することである。類似のブロック共重合体を利用した手法としてはPS(ポリスチレン)−HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)が知られているが、HEMAは親水性であるが水に可溶ではないため、十分な機能が期待できない。また、他の高分子との混合した組成物として利用することが、低価格化、他の機械的物性などを考えると必要になる。
材料の成形は空気中で行われることになるが、HEMAはその水酸基の存在により、表面エネルギーが高く、ブレンド比よりも低い表面組成しか与えることが出来ない。すなわち、これらの材料を利用して医療用器材を成形した場合、空気(真空)中で成形するためHEMAは内部に潜ってしまい、表面には析出することができず、結果として抗血栓性も期待できない。親水性と表面エネルギーとの二律背反を解くことが出来ない。
本発明者らは、側鎖に3ユニットのエチレンオキサイド鎖を持ち、その末端がメチル基となっているメタクリレートからなる高分子2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルメタクリレート(PME3MA)が、水に可溶であることに注目し、ポリスチレンとのブロック共重合体を合成した。その表面組成をX-ray Photoelectron Spectroscopy(XPS)、Dynamic Secondary Ion Mass Spectrometry (DSIMS)で解析したところ、PME3MAは水溶性であるにもかかわらず、PSよりも表面での組成が高いことがわかった。これは、驚くべき結果であるが、側鎖末端の表面への析出により、表面エネルギーが下がることによるものと考えられる。
水溶性のブロックが比較的低表面エネルギーを有することは、抗血栓性材料としての応用の可能性が高いことに本発明者らは着目した。このPS-PME3MAをPSにブレンドした場合には、表面に選択的にPME3MAブロックが析出してくることが期待できるからである。その表面が水(血液)に触れると、水溶性のPME3MAは水中に膨潤して突き出し、水溶性ポリマーブラシ構造をとる。グラフト重合などによるポリマーブラシと同様な効果により、抗血栓性が期待される。すなはち、水溶性のブロックの側鎖に両親媒性を持たせることで、二律背反が解けることがわかった。
本発明の優れていることは、単に本発明のブロック共重合体を混ぜるだけで、この表面構造が自発的に形成するという点である。すなはち、PSという汎用の材料に、わずかにPS-PME3MAというブロック共重合体を加えることで、極めて容易に、安価に、材料そのものの特性を大きく変えずに、その表面に抗血栓性を付与することが期待できるのである。ここでは、疎水性ブロックとしてPSを使用した例を示しているが、疎水性ブロックは単に基材への結合をする役割であるので、非水溶性であれば何でも良い。
疎水性ブロックの種類をブレンドするポリマー種により変える事で、PMMA(ポリメチルメタクリレート)をはじめとした医療用材料で使われるさまざまなポリマーの表面の生体適合性を変えることができることは、そのメカニズムから容易に考えられる。合成手法上、同種のポリマー種が疎水性ブロックとして導入できない場合でも、相互作用パラメーターが小さい(溶解度パラメーターの近い)疎水性ブロックで代用できることは、容易に考えられる。
本発明の抗血栓性高分子組成物は、〔A〕次の一般式(1)で表される重合体ブロックと、一般式(2)で表される重合体ブロックを含む二元以上のブロック共重合体、及び〔B〕ポリスチレン系重合体を含有することを特徴とする。
Figure 2006117713
上記の式(1)及び(2)において、mは10〜10000の整数;nは3〜10の整数;qは100〜10000の整数;R1はH又はCH;R2はC2p+1(pは、1≦p≦n/2の整数);R3はC1〜C10のアルキル基をそれぞれ表す。なおR3の置換位置は、オルト、メタ、パラのいずれでもよい。
上記式(1)において、nが2以下では、ブロックが体温付近で水への溶解性を持たず、抗血栓性が十分ではない。nが11以上では精製・重合が容易ではない。pが1≦p≦n/2の条件を外れた場合、水への溶解性が十分に得られない。重合度mは、十分な抗血栓性を有するためには10以上が望ましい。また、上限は、重合方法により制限され、10000以下が普通である。ブロックが9元以上であると重合のステップが増加するので望ましくない。
上記式(2)で表されるポリスチレンブロックの重合度は、100から10000が適当である。
好ましいブロック共重合体〔A〕としては、二元又は三元ブロック共重合体が挙げられ、中でも、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルメタクリレートの重合体ブロックと、ポリスチレンブロックを含むブロック共重合体が特に好ましい。
ブロック共重合体〔A〕と混合して、本発明の抗血栓性高分子組成物を構成するポリスチレン系重合体〔B〕としては特に制限はなく、ポリスチレン単独重合体、スチレンと他のビニルモノマーとのランダム、或いはブロック共重合体として公知のものは、いずれも使用することができる。
好ましい、スチレン系重合体〔B〕としては、例えば、ポリスチレン単独重合体、ポリアルファスチレン単独共重合体等が挙げられる。
本発明の抗血栓性高分子組成物において、ブロック共重合体〔A〕の配合割合は、組成物全体を基準として1〜50重量%、特に2〜20重量%程度とすることが好ましい。
本発明によれば、汎用のポリスチレン系重合体〔B〕に、少量のブロック共重合体〔A〕を配合することによって、抗血栓性に優れ、人工臓器、カテーテル等をはじめとする医療用材料としてきわめて有用な高分子組成物を得ることができる。
本発明の抗血栓性高分子組成物によってこれらの医療用材料を作製する際には、医療用材料を該高分子組成物自体によって構成する以外に、医療用材料を他の材料からなる基材表面に本発明の高分子組成物からなる被膜を設けた材料により構成することもできる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。以下の実施例において、%は重量%を意味する。
(実施例1)
定法により合成した、PSとPME3MA[上記一般式(1)において、n=3, p=1のメタクリレート誘導体]よりなるブロック共重合体(PS-PME3MA)、及びPSを種々のブレンド比率(PS-PME3MAの配合量=0、3、8、9、17、50、100%)でトルエンに溶解し、大きさ10×10 mm、厚さ1.0 mmのシリコン基板表面にスピンコーティングした。これを真空中、100℃で1時間加熱処理し、表面に高分子組成物によるコーティング層を有する基板を得た。
(タンパク質吸着実験)
得られた各基板を、4.6 × 10μg/mLのヒト由来アルブミン、または40 μg/mLのヒト由来フィブリノーゲンを含むリン酸緩衝液 5mLに37℃で2時間浸漬した後、リン酸緩衝液で二回洗浄、乾燥させた。基板表面の炭素に対する窒素の元素比(N/C)をX線光電子分光法で調べることにより、各基板表面に対するアルブミン、またはフィブリノーゲンの吸着量を相対的に評価した。なお、炭素はPS-PME3MA及びPSの主要構成元素であり、窒素はタンパク質の構成元素である。結果を図1に示す(N=6、エラーバーは標準偏差)。
いずれのタンパク質も、PS表面(PS-PME3MA 0%)に対する吸着量が最も多いことが分かる。タンパク吸着量は、コーティング層中のPS-PME3MA比率の増加(PS-PME3MA比率 8〜17 %)に伴い急激に減少し、50 %以上ではほぼ0になった。以上の結果から、PS-PME3MAを含む高分子表面は、タンパク質の吸着を抑制することが分かった。
(実施例2)
PS-PME3MA及びPSを、種々のブレンド比率(PS-PME3MAの配合量=0、4、17、24、100%)でトルエンに溶解し、直径18 mm、厚さ0.12〜0.17 mmのガラス円板表面にスピンコーティングした。これを真空中100℃で1時間加熱処理し、表面に高分子組成物によるコーティング層を有する円板を得た。
(細胞接着実験)
5%ウマ血清を含むMEM細胞培養液に、マウス線維芽組織由来L929細胞を1.2 × 10 個/mLの濃度となるように懸濁させた。作製した試料を、12ウェルの細胞培養用マイクロプレートにセットし、各ウェルに前記細胞懸濁液 2 mLを注いだ。37℃、5 % CO雰囲気に保ったインキュベーター中で20時間培養を行った後、各ウェルより培養液を吸引し、試料をリン酸緩衝液で二回洗浄した。次いで、試料表面に接着した細胞を、0.25 %トリプシン、0.02 %EDTA混合溶液を用いて剥がし、これを0.3 %のトリパンブルーで染色した。染色された細胞の数をタタイ式細胞計数盤で計数した。結果を図2に示す(N=6、エラーバーは標準偏差)。
PS表面(PS-PME3MA 0%)に、最も多数のL929細胞が接着していることが分かる。接着細胞数は、コーティング層中のPS-PME3MA比率の増加(PS-PME3MA比率 0〜4 %)に伴い急激に減少し、4 %以上ではほぼ0になった。以上の結果から、PS-PME3MAを含む高分子表面は、タンパク質だけでなく細胞の吸着も抑制することが分かった。
(血小板接着実験)
作製した試料をコーン-プレート型のレオメーターにセットし、CFSE[5-又は6-(N-Succinimidyloxycarbonyl)-3',6'-0,0'-diacetylfluorescein;株式会社同仁化学研究所製]で蛍光染色されたヒト由来血小板を1.0 × 10 個/mLの濃度で含むヒト多血小板血漿を、コーンと試料の間に注入した。注入後直ちにコーンを50 s−1の剪断速度で回転させ、15分後の試料表面の接着血小板数を、レオメーター付属の光学顕微鏡により計数した。結果を図3に示す(N33、エラーバーは標準偏差)。PS表面(PS-PME3MA 0%)に、最も多数の血小板が接着していることが分かる。接着血小板数は、コーティング層中のPS-PME3MA比率の増加(PS-PME3MA比率 0〜4 %)に伴い急激に減少し、4 %以上ではほぼ0になった。
以上の結果から、PS-PME3MAを含む高分子表面は、タンパク質、細胞だけでなく、血小板の吸着も抑制することが分かった。
上記のとおり、本発明のブロック共重合体〔A〕及びポリスチレン系重合体〔B〕を含有する高分子組成物からなる材料は、抗血栓性等に優れ、血液保存容器、体内センサー、人工心臓、及び人工血管用基材等として、きわめて好適であると考えられる。
実施例1で得られた表面に高分子組成物によるコーティング層を有する基板について、たんぱく質(アルブミン・フィブリノーゲン)の吸着をXPSを用いて決定した窒素/炭素元素比により、PS-PME3MAブロックコポリマーのPS中の重量分率としてプロットした図である。 実施例2で得られた表面に高分子組成物によるコーティング層を有する円板について、L929細胞の吸着数を、PS-PME3MAブロックコポリマーのPS中の重量分率としてプロットした図である。 実施例2で得られた表面に高分子組成物によるコーティング層を有する円板について、血小板の流動場での吸着数を、PS-PME3MAブロックコポリマーのPS中の重量分率としてプロットした図である。

Claims (5)

  1. 〔A〕次の一般式(1)で表される重合体ブロックと、一般式(2)で表される重合体ブロックを含む二元以上のブロック共重合体、及び〔B〕ポリスチレン系重合体を含有することを特徴とする抗血栓性高分子組成物:
    Figure 2006117713
    (式中、mは10〜10000の整数;nは3〜10の整数;qは100〜10000の整数;R1はH又はCH;R2はC2p+1(pは、1≦p≦n/2の整数);R3はC1〜C10のアルキル基をそれぞれ表す)
  2. 前記ブロック共重合体〔A〕が二元又は三元ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の抗血栓性高分子組成物。
  3. 前記ブロック共重合体〔A〕が2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルメタクリレートの重合体ブロックと、ポリスチレンブロックを含むブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗血栓性高分子組成物。
  4. 前記ブロック共重合体〔A〕の含有量が1〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗血栓性高分子組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載された抗血栓性高分子組成物により構成された医療用材料。
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