JP2006117601A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラーク形成抑制効果に優れ口腔疾患の予防に有用であり、且つ人体にやさしい口腔用組成物を提供する.
【解決手段】酪酸菌発酵液を含有することを特徴とする口腔用組成物;さらにグルコン酸塩、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種を含有する上記の口腔用組成物;酪酸菌及びグルコン酸塩を含有することを特徴とする口腔用組成物;乳酸菌をさらに含有する上記の口腔用組成物;非水系口腔用組成物である上記の口腔用組成物。

Description

本発明は、プラーク形成抑制効果に優れ、口腔疾患の予防に有効な口腔用組成物に関する。
う蝕および歯周炎の原因として歯垢(プラーク)の付着があり、従来から口腔衛生においてはその除去や付着予防、すなわち歯垢付着予防が重要であることが指摘されている。歯垢(プラーク)は、ミュータンスレンサ球菌が産生する酵素GTaseがスクロースを基質として、粘着性で且つ不溶性のグルカンを合成し、このグルカンを介してミュータンスレンサ球菌が歯面に強固に付着して形成されるものである。
歯垢付着予防の方法としては、歯ブラシ等による機械的な歯垢除去と、殺菌剤による口腔内細菌の殺菌が一般的である。しかしながら、歯ブラシ等による機械的な方法は、訓練を受けた上手な磨き方で長時間掛けて行わなければ充分に歯垢を除去することはできない。一方殺菌剤の殺菌効果にも限界があり、歯垢などの微生物の集合体に対しては殺菌剤が内部まで浸透しないため、その効果が充分に発揮されないという問題点がある。そのため、殺菌剤の濃度を上げたり、処理時間を長くする等の工夫が必要となる。また殺菌剤による歯垢除去については、口腔内の菌全てに対して作用するため、口腔内常在菌や人体に有用な菌も殺菌する事にもなり、安全性、経済性、有効性の面から、必ずしも満足できるものではなかった。
また乳酸菌や乳酸菌発酵液を配合した歯磨剤などが、人体にやさしい殺菌成分を含有した口腔用組成物として提案されている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照。)。これはう蝕原因菌や歯周病原因菌の存在する口腔内に、この歯磨剤等を作用させると、菌同士の生存競争により、う蝕原因菌や歯周病原因菌が静菌されることによるものである。しかしながら、乳酸菌や乳酸菌発酵液のみを配合した歯磨剤などの口腔用組成物では、充分な静菌作用を発揮するには至らない。その他、ビフィズス菌、乳酸菌又は酪酸菌に属する菌とこれらの菌が資化しうる糖類を含有する歯周病の予防又は治療剤が提案されている(特許文献3参照。)。
このような状況下、プラーク除去効果、殺菌活性に優れていながら、人体にやさしい口腔用組成物が望まれている。
特開2002−234825号公報 特開2002−193777号公報 特開2003−171292号公報
本発明の目的は、プラーク形成抑制効果に優れ口腔疾患の予防に有用であり、且つ人体にやさしい口腔用組成物を提供することである。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、酪酸菌発酵液を口腔用組成物に配合することによって、優れた殺菌効果を発揮してプラーク形成を抑制できる口腔用組成物が得られることを見出した。
従って本発明は、酪酸菌発酵液を含有することを特徴とする口腔用組成物である。本発明はさらに、グルコン酸塩、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種を含有する上記口腔用組成物に向けられている。本発明はまた、乳酸菌をさらに含有する上記口腔用組成物に向けられている。
本発明者らはまた、酪酸菌とグルコン酸塩とを配合することにより、優れた殺菌効果を発揮してプラーク形成を抑制できる口腔用組成物が得られることを見出した。
従って本発明は、酪酸菌及びグルコン酸塩を含有することを特徴とする口腔用組成物に向けられている。この口腔用組成物には、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種をさらに含有させることができる。
本発明はまた、更に乳酸菌を含有する上記の口腔用組成物に向けられている。本発明の口腔用組成物は、非水系口腔用組成物とすることができる。
本発明の口腔用組成物は、口腔内のう蝕病原菌に対して作用して優れたプラーク形成抑制効果を発揮し、及び殺菌効果を発揮するものである。従って、本発明の口腔用組成物は口腔疾患の予防に有用である。
本明細書中でいう口腔用組成物とは、練歯磨剤、粉歯磨剤、液状歯磨剤及び潤製歯磨剤などの歯磨剤類、トローチ剤、錠剤、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤、口中清涼剤、洗口剤、チューインガム又はうがい薬などを含む。
本発明で使用する酪酸菌とは、増殖の際に酪酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸を作る腐敗防止細菌を総称したものであり、長年医薬品又は飼料として使用されてきた微生物である。酪酸菌から産生される酪酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸は腸の粘膜を修復して健康な状態に戻す働きがあることが確認されており、主に整腸薬中に乳酸菌類とともに配合される。しかし、酪酸菌を口腔用組成物に応用した例はない。それは、酪酸菌は空気のあるところではほとんど生育できないグループ(偏性嫌気性菌)に属するため生菌として配合することが困難であったためである。
本発明で使用する酪酸菌は、何れの形態のものも使用でき、例えば粉末状の凍結乾燥品等がある。使用される酪酸菌としては、クロストリジウム・ブチリカムが挙げられるが、これに限定されるものではない。
酪酸菌発酵液は、乳糖、ブドウ糖などを主成分とする培地に対し、酪酸菌を用いて酪酸発酵を行った発酵液が好ましい。
また、本発明で使用される酪酸菌発酵液として、酪酸菌発酵液から酪酸菌の菌体を遠心分離器、分離膜などにより除去して得られた酪酸発酵分離液を使用してもよい。
これら酪酸菌発酵液あるいは酪酸発酵分離液の具体例としては、酸度が0.1〜5%程度、好ましくは1〜3%程度、pHが2.0〜5.0程度、及び蒸発残分が1.0〜10%程度を示す酪酸発酵分離液がある。
この酸度は、酪酸発酵分離液10mlを正確にとり、水10mlを加えた後、0.1N水酸化ナトリウム液で滴定して(指示薬:フェノールフタレイン試液3滴)求められる酪酸のW/V%である。滴定の終点は、0.1N水酸化ナトリウム液1滴を加えて、指示薬の色が30秒消えない点とする。尚、0.1N水酸化ナトリウム液1mlは、酪酸(C482)8.8106mgに相当する。
[酪酸菌発酵液を含有する口腔用組成物]
本発明の第一の観点は、酪酸菌発酵液を含有する口腔用組成物に向けられている。
本発明の酪酸菌発酵液を含有する口腔用組成物において、酪酸菌発酵液の含有量は、本発明の目的を達成する観点から、口腔用組成物の全質量に対して0.01〜20質量%が一般に適当であって、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の酪酸菌発酵液を含有する口腔用組成物には、殺菌力をより高める観点から、さらにグルコン酸塩、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種を含有させてもよい。
本発明で使用するグルコン酸塩としては、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸銅、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸マンガンなどが挙げられる。本発明では、これらのグルコン酸塩類から1種単独を又は2種以上を併用して使用することができる。これらのグルコン酸塩類は医療などに使用されるものであり、本発明では市販品を用いることができる。中でもグルコン酸カルシウムが好ましく用いられる。
本発明で用いられるグルコン酸カルシウムは、C1222CaO14・H2O(分子量:448.39)の化学式で表され、その基本的な製法としてはブドウ糖のアルデヒド基を酸化剤で酸化してグルコン酸とし、これに炭酸カルシウムを加えてカルシウム塩とするものである。グルコン酸カルシウムは味噌、豆腐、コンニャク、飲料、デザート、ガム、健康食品などのカルシウム強化剤として用いられている。また、酸化防止力もあるので油で揚げた菓子などの強化に用いれば油脂の酸化防止に役立つ。
このようなグルコン酸カルシウムは、食品を始めとして、医薬品、化粧品、健康食品、農芸化学品などに広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物におけるグルコン酸塩の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜30質量%が一般に適当であって、好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明で使用する糖アルコール類は、糖分子のカルボニル基を還元して得られる多価アルコール類から選ぶことができ、具体例としてキシリトール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、アラビトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール及びパラチニット等が挙げられる。
これらの糖アルコール類は、食品の分野では、消化管で吸収されにくいので低カロリー甘味料として使用されている。また、食品の日持ちを良くしたり、水分を保ち着色を抑えるための食品の品質改良に利用されている。その他の分野では、化粧品、医薬品、病人用食品など幅広く利用されており、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
糖アルコール類の中でも、キシリトールが好適に使用される。キシリトールは五炭糖の糖アルコールで、ベリー類、果物(バナナ、イチゴ等)、野菜類に含有している。甘味度が高く、抗う蝕性甘味料として歯磨剤等の口腔用組成物や食品の分野で広く用いられている。一般的な製法としては、樺の木由来のキシランの酸分解により得られるキシロースを高圧下で水素添加して得られる。
本発明の口腔用組成物には、糖アルコール類から1種単独を又は2種以上を併用して使用することができる。
本発明の口腔用組成物における糖アルコール類の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜30質量%が一般に適当であって、好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明で使用するオリゴ糖類は、ブドウ糖や果糖などの単糖が数個結合したもので、代表的なものでは、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノースなどがある。虫歯にならない甘味料として開発されたフラクトオリゴ糖(原料:ショ糖)は、その後、ビフィズス菌の増殖活性に優れていることが確認され、腸内細菌叢の改善に役立つ機能性素材として注目を集めている。また、大豆オリゴ糖や乳果オリゴ糖など、その他のオリゴ糖についても、胃や小腸で消化されず大腸まで届き、ビフィズス菌の糧となって、腸内環境の整備に役立つことが確認されている。
このようなオリゴ糖類は、食品を始めとして、医薬品、化粧品、健康食品、農芸化学品などに広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物には、これらオリゴ糖類から1種単独を又は2種以上を併用して使用することができる。中でもラフィノースが好ましく使用される。
本発明の口腔用組成物におけるオリゴ糖類の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜30質量%が一般に適当であって、好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明で使用するイヌリンとは、果糖が30個ほど繋がった分子であり、主にキクイモから抽出されるものである。キクイモは北アメリカ北部を原産とするキク科の植物である。イヌリンを体内に摂取すると血液中の糖の濃度を減少させる働きがあるため、糖尿病の予防や改善効果があり、更にはイヌリンが腸内でフルクオリゴ糖に変化するため、乳酸菌やビフィズス菌の増殖及び活性化促進、腸内環境の改善等の生理活性作用が見込まれる。
イヌリンは、食品を始めとして、医薬品、化粧品、健康食品などに使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物におけるイヌリンの含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜10質量%が一般に適当であって、好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明の上記口腔用組成物には、上述したグルコン酸塩、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンの中から1種又は2種以上を含ませることができる。これらを組合せて使用するとき、好ましい組合せ例として、グルコン酸塩とキシリトール、キシリトールとイヌリン、及びキシリトールとオリゴ糖類の組合せがある。本発明の口腔用組成物における、グルコン酸塩、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンの中から選ばれる添加剤の合計含有量は、0.1〜30質量%が適当で、好ましくは0.5〜15質量%である。
上記口腔用組成物にはまた、さらに酪酸菌を含めてもよい。ここで酪酸菌の含有量は0.005〜5質量%程度までが適当であり、好ましくは0.01〜3質量%程度までである。
[酪酸菌とグルコン酸塩を含有する口腔用組成物]
本発明の第二の観点は、酪酸菌とグルコン酸塩を必須成分として含有する口腔用組成物に向けられている。グルコン酸塩は酪酸菌の作用を増強させる働きを発揮する。
本発明の酪酸菌とグルコン酸塩を含有する口腔用組成物において、酪酸菌の含有量は、本発明の目的を達成する観点から、口腔用組成物の全質量に対して0.005〜5質量%が一般に適当であって、好ましくは0.01〜3質量%である。
使用するグルコン酸は上記に説明したとおりである。すなわち、使用するグルコン酸塩としては、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸銅、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸マンガンなどが挙げられる。これらのグルコン酸塩類から1種単独を又は2種以上を併用して使用することができる。これらのグルコン酸塩類は医療などに使用されるものであり、本発明では市販品を用いることができる。中でもグルコン酸カルシウムが好ましく用いられる。グルコン酸カルシウムは、C1222CaO14・H2O(分子量:448.39)の化学式で表され、その基本的な製法としてはブドウ糖のアルデヒド基を酸化剤で酸化してグルコン酸とし、これに炭酸カルシウムを加えてカルシウム塩とするものである。グルコン酸カルシウムは味噌、豆腐、コンニャク、飲料、デザート、ガム、健康食品などのカルシウム強化剤として用いられている。また、酸化防止力もあるので油で揚げた菓子などの強化に用いれば油脂の酸化防止に役立つ。
このようなグルコン酸カルシウムは、食品を始めとして、医薬品、化粧品、健康食品、農芸化学品などに広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
上記口腔用組成物におけるグルコン酸塩の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜30質量%が一般に適当であって、好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明の酪酸菌とグルコン酸塩を含有する口腔用組成物にはさらに、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種を含有させもよい。使用する糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンは上記に説明したとおりである。
すなわち、使用する糖アルコール類は、糖分子のカルボニル基を還元して得られる多価アルコール類から選ぶことができ、具体例としてキシリトール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、アラビトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール及びパラチニット等が挙げられる。
これらの糖アルコール類は、食品の分野では、消化管で吸収されにくいので低カロリー甘味料として使用されている。また、食品の日持ちを良くしたり、水分を保ち着色を抑えるための食品の品質改良に利用されている。その他の分野では、化粧品、医薬品、病人用食品など幅広く利用されており、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
糖アルコール類の中でも、キシリトールが好適に使用される。キシリトールは五炭糖の糖アルコールで、ベリー類、果物(バナナ、イチゴ等)、野菜類に含有している。甘味度が高く、抗う蝕性甘味料として歯磨剤等の口腔用組成物や食品の分野で広く用いられている。一般的な製法としては、樺の木由来のキシランの酸分解により得られるキシロースを高圧下で水素添加して得られる。
本発明の口腔用組成物には、糖アルコール類から1種単独を又は2種以上を併用して使用することができる。
本発明の口腔用組成物における糖アルコール類の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜30質量%が一般に適当であって、好ましくは0.5〜10質量%である。
使用するオリゴ糖類は、ブドウ糖や果糖などの単糖が数個結合したもので、代表的なものでは、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノースなどがある。虫歯にならない甘味料として開発されたフラクトオリゴ糖(原料:ショ糖)は、その後、ビフィズス菌の増殖活性に優れていることが確認され、腸内細菌叢の改善に役立つ機能性素材として注目を集めている。また、大豆オリゴ糖や乳果オリゴ糖など、その他のオリゴ糖についても、胃や小腸で消化されず大腸まで届き、ビフィズス菌の糧となって、腸内環境の整備に役立つことが確認されている。
このようなオリゴ糖類は、食品を始めとして、医薬品、化粧品、健康食品、農芸化学品などに広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物には、これらオリゴ糖類から1種単独を又は2種以上を併用して使用することができる。中でもラフィノースが好ましく使用される。
本発明の口腔用組成物におけるオリゴ糖類の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜30質量%が一般に適当であって、好ましくは0.5〜10質量%である。
使用するイヌリンとは、果糖が30個ほど繋がった分子であり、主にキクイモから抽出されるものである。キクイモは北アメリカ北部を原産とするキク科の植物である。イヌリンを体内に摂取すると血液中の糖の濃度を減少させる働きがあるため、糖尿病の予防や改善効果があり、更にはイヌリンが腸内でフルクオリゴ糖に変化するため、乳酸菌やビフィズス菌の増殖及び活性化促進、腸内環境の改善等の生理活性作用が見込まれる。
イヌリンは、食品を始めとして、医薬品、化粧品、健康食品などに使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物におけるイヌリンの含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜10質量%が一般に適当であって、好ましくは0.5〜10質量%である。
上記口腔用組成物には、上述した糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンの中から1種又は2種以上を含ませることができる。これらを組合せて使用するとき、好ましい組合せ例として、キシリトールとイヌリン、及びキシリトールとオリゴ糖類の組合せがある。本発明の口腔用組成物における、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンの中から選ばれる添加剤の合計含有量は、0.1〜30質量%が適当で、好ましくは0.5〜15質量%である。
上記の酪酸菌発酵液を含有する口腔用組成物あるいは酪酸菌とグルコン酸塩を含有する口腔用組成物には、さらに、乳酸菌(乳糖やブドウ糖を分解して大量の乳酸をつくる細菌を総称していう)を含めることができる。
本発明で用いられる乳酸菌は、形の上から分類される球状の球菌と棒状をした桿菌の何れをも用いることができる。また、乳酸菌はその性質から、空気、つまり酸素のある無しに関わらず増殖できるグループ(通性嫌気性菌)と、空気のあるところではほとんど生育できないグループ(偏性嫌気性菌)に大別されるが、本発明ではその何れも使用可能である。使用される乳酸菌としては何れの形態のものも使用でき、例えば粉末状の凍結乾燥品などがある。
具体的にはLactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus delbrueckii subsp bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp lactis、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus buchneri、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus breivs、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus sake、Lactobacillus cellobiosus、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus hilgardii、Lactobacillus bifidus、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium pseudolongum、Bifidobacterium thermophilum、Bifidobacterium boum、Bifidobacterium dentium、Streptococcus(Enterococcus) faecalis、Streptococcus(Enterococcus) faecium、Streptococcus(Enterococcus) hirae、Streptococcus thermophilus、Lactococcus lactis、Lactococcus plantarum、Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides、Leuconostoc mesenteroides subsp. dextranicum、Leuconostoc lactis、Bacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus toyoi、Pediococcus acidilactici、Pediococcus pentosaceus、Oenococcus oeni、Tetragenococcus halophilus などがある。
本発明の口腔用組成物に乳酸菌を含める場合、その含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.005〜5質量%が一般に適当であって、好ましくは0.01〜3質量%である。
本発明の口腔用組成物に酪酸菌及び/又は酪酸菌発酵液と乳酸菌の双方を用いるとき、本発明の口腔用組成物における酪酸菌及び/又は酪酸菌発酵液と乳酸菌とを合わせた含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.01〜10質量%が適当であり、好ましくは0.02〜6質量%である。口腔用組成物に好ましい使用性を発揮させる観点から、これらの含有量が上記範囲にあることが適当である。
本発明の口腔用組成物は、非水系口腔用組成物とすることができる。特に本発明の口腔用組成物に酪酸菌を含めた場合、あるいは乳酸菌を含めた場合、非水系口腔用組成物とすることが望ましい。
ここで非水系口腔用組成物とは、水を含まないか又は水をほとんど含まない口腔用組成物を意味する。非水系口腔用組成物は具体的には、口腔用組成物全量に対する水の含有量が0〜3質量%、好ましくは0〜1質量%、より好ましくは水を全く含有しない口腔用組成物である。
本発明の口腔用組成物にはその種類に応じて、上記成分に加えて、必要により以下の成分を通常の使用量の範囲内で配合することができる。
<研磨剤>
シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂系研磨剤などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。上記研磨剤の配合量は、組成物全体に対して3〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%である。
<湿潤剤>
グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール等の1種または2種以上を使用することができる。
<粘結剤>
カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
<発泡剤>
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、、N-アシルグルタメート等のN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
<甘味剤>
サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等。
<防腐剤>
メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等。
<香料成分>
l-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナールなどの中から1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油等を配合してもよい。
また、上記香料成分に加え、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトン等の香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、組成物全体に対して0.02〜2質量%とすることが好ましい。
<有効成分>
塩化リゾチーム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール,ポリビニルピロリドン、ヒノキチオール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、酢酸トコフェロール、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシンなどを1種または2種以上を配合することができる。
<その他>
青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、チャ乾留液、グルタミン酸ナトリウム等の矯味剤など。
なお、上記成分を組み合わせた口腔用組成物は、常法に従って製造できるものであり、その製造方法は特に限定されるものではない。
また、得られた練歯磨剤等の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填されて使用することができる。
以下、本発明を実施例、比較例及び試験例によって詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜19及び比較例1〜7]
表1〜表4に示す組成(単位:質量%)にて常法により各種練歯磨剤を調製し、以下の試験に供した。
<プラーク形成抑制試験>
各種練歯磨剤についてプラーク形成抑制効果を検証するために、う蝕病原菌であるStreptococcus mutans ATCC25175 (S. mutans)を用い、下記の方法で評価した。
S. mutansを10mlのBrain Heart Infusion (BHI)液体培地に37℃、24時間、嫌気条件下で培養し、菌懸濁液を調製した。
表1〜3に示す実施例1〜19及び表4に示す比較例1〜7の各歯磨剤を、30%水懸濁液とし試料溶液とした。菌懸濁液100μlと試料溶液1mlを5%ショ糖加BHI液体培地が8.9ml入った試験管に投入しよく混合した後、嫌気条件下、水平方向に30°傾けながら、37℃、24時間培養した。培養後、試験管内の培地を捨て、試験管は5mlの蒸留水で静かに洗い、試験管壁に残ったものをプラークとした。また試料溶液の代わりに滅菌蒸留水を用いたものをコントロールとした。得られたプラークをきれいに掻き取り、蒸留水に懸濁した。懸濁したプラークの450nmにおける濁度を測定し、下記の式からプラーク形成抑制率を算出し、以下の基準に従ってプラーク形成抑制効果を評価した。結果を表1〜4に併せて示す。
プラーク形成抑制率(%)=[(コントロールのO.D.450nm−各試料のO.D.450nm)/コントロールのO.D.450nm]×100
[評価基準]
◎:プラーク形成抑制率 80%以上100%以下
○:プラーク形成抑制率 60%以上 80%未満
△:プラーク形成抑制率 40%以上 60%未満
×:プラーク形成抑制率 0%以上 40%未満
<殺菌力試験>
本発明の口腔組成物の殺菌力を検証するため、S. mutansを用いてin vitroによる評価を行った。
24穴のマイクロプレートに2ml人工唾液を加え、2時間室温で放置した。人工唾液を除去し、5%ショ糖含有BHI液体培地を加え、上記の<プラーク除去試験>で調製した菌懸濁液からS. mutans を植菌した。37℃で、24時間培養し、BHI液体培地を除去して、表1〜3に示す実施例1〜19及び表4に示す比較例1〜7の各歯磨剤30%水懸濁液2mlを加えて、37℃で5分間インキュベーションした。歯磨剤懸濁液を除去して、滅菌生理食塩水で十分に洗浄後、化学発光検出器を用いてATP(アデノシン三リン酸)を測定し、生菌数を求めた。その結果を表1〜4に合わせて示す。
なお、殺菌力試験の結果は、LogCFU/mlで表されるため、その数値が小さいほど高い殺菌力を示すことになる。
Figure 2006117601
1)クロストリジウム・ブチリカムの酪酸発酵分離液(酸度1.9%,pH3.4,蒸発残分5.0%)
2)酪酸菌(クロストリジウム・ブチリカム)の凍結乾燥物
3)ストレプトコッカス・フェカリスの凍結乾燥物
4)カルボキシメチルセルロースナトリウム
Figure 2006117601
1)クロストリジウム・ブチリカムの酪酸発酵分離液(酸度1.9%,pH3.4,蒸発残分5.0%)
2)酪酸菌(クロストリジウム・ブチリカム)の凍結乾燥物
3)ストレプトコッカス・フェカリスの凍結乾燥物
4)カルボキシメチルセルロースナトリウム
Figure 2006117601
1)クロストリジウム・ブチリカムの酪酸発酵分離液(酸度1.9%,pH3.4,蒸発残分5.0%)
2)酪酸菌(クロストリジウム・ブチリカム)の凍結乾燥物
3)ストレプトコッカス・フェカリスの凍結乾燥物
4)カルボキシメチルセルロースナトリウム



Figure 2006117601
1)クロストリジウム・ブチリカムの酪酸発酵分離液(酸度1.9%,pH3.4,蒸発残分5.0%)
2)酪酸菌(クロストリジウム・ブチリカム)の凍結乾燥物
3)ストレプトコッカス・フェカリスの凍結乾燥物
4)カルボキシメチルセルロースナトリウム
以上の実験結果から、本発明の口腔用組成物は、プラーク形成抑制効果及び殺菌力に優れていることが判った。また下記の実施例20〜24の歯磨剤についても上記の実験を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
[実施例20]
練歯磨剤の調製
酪酸菌発酵液 1.0 質量%
(クロストリジウム・ブチリカムの酪酸発酵分離液
(酸度1.9%,pH3.4,蒸発残分5.0%))
キシロオリゴ糖 10.0
リン酸水素カルシウム 20.0
無水ケイ酸 5.0
濃グリセリン 10.0
キサンタンガム 1.0
グリセリン脂肪酸エステル 2.0
ソルビット液 20.0
ステビアエキス 0.07
パラベン 0.1
香料 1.0
イソプロピルメチルフェノール 0.02
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.60
精製水 適量
計 100.0 質量%
[実施例21]
練歯磨剤の調製
酪酸菌
(クロストリジウム・ブチリカム、凍結乾燥品) 0.5 質量%
乳酸菌(ラクトバチルス・カゼイ、凍結乾燥品) 1.0
ラフィノース 10.0
グルコン酸銅 0.05
歯磨用リン酸水素カルシウム 20.0
無水ケイ酸 5.0
ソルビット液 25.0
カラギーナン 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
安息香酸ナトリウム 0.5
香料 1.0
β−グリチルレチン酸 0.05
イソプロピルメチルフェノール 0.05
精製水 適量
計 100.0 質量%
[実施例22]
練歯磨剤の調製
酪酸菌
(クロストリジウム・ブチリカム、凍結乾燥品) 0.5 質量%
酪酸菌発酵液 0.3
(クロストリジウム・ブチリカムの酪酸発酵分離液
(酸度1.9%,pH3.4,蒸発残分5.0%))
乳酸菌
(ビフィドバクテリウム・ロンガム、凍結乾燥品) 0.1
グルコン酸カルシウム 0.1
含水ケイ酸 20.0
無水ケイ酸 8.0
イヌリン 1.0
ソルビット液 35.0
カラギーナン 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
パラベン 0.1
香料 1.0
フッ化ナトリウム 0.22
トリクロサン 0.02
精製水 適量
計 100.0 質量%
[実施例23]
非水系練歯磨剤の調製
酪酸菌
(クロストリジウム・ブチリカム、凍結乾燥品) 0.1 質量%
グルコン酸カルシウム 1.0質量%
大豆オリゴ糖 9.0
無水ケイ酸 10.0
濃グリセリン 38.5
プロピレングリコール 35.0
寒天 1.0
イヌリン 1.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
サッカリンナトリウム 0.1
パラベン 0.1
香料 1.0
ε−アミノカプロン酸 0.1
フッ化ナトリウム 0.7
精製水 0.4
計 100.0 質量%
[実施例24]
非水系練歯磨剤の調製
酪酸菌
(クロストリジウム・ブチリカム、凍結乾燥品) 0.2 質量%
乳酸菌
(ラクトバチルス・サリバリウス、凍結乾燥品) 0.2
ラフィノース 15.0
グルコン酸カルシウム 15.0
無水ケイ酸 9.0
濃グリセリン 39.3
1,3−ブチレングリコール 10.0
ヒドロキシプロピルセルロース 1.2
ラウリル硫酸ナトリウム 1.8
キシリトール 5.0
パラベン 0.1
香料 1.0
ゼオライト 1.0
ε−アミノカプロン酸 0.1
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
精製水 0.4
計 100.0 質量%

Claims (7)

  1. 酪酸菌発酵液を含有することを特徴とする口腔用組成物。
  2. さらにグルコン酸塩、糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載の口腔用組成物。
  3. さらに乳酸菌を含有する請求項1又は2記載の口腔用組成物
  4. 酪酸菌及びグルコン酸塩を含有することを特徴とする口腔用組成物。
  5. さらに糖アルコール類、オリゴ糖類及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項4記載の口腔用組成物。
  6. さらに乳酸菌を含有する請求項4又は5記載の口腔用組成物。
  7. 非水系口腔用組成物である請求項1〜6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
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