JP2006115548A - 弾性表面波装置 - Google Patents

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Takuo Haneda
拓生 羽田
Takeshi Nakao
武志 中尾
Michio Kadota
道雄 門田
Osamu Nakagawara
修 中川原
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Abstract

【課題】Cuを主成分とするインターデジタル電極を用いた弾性表面波装置であって、耐電力性が著しく改善された弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】圧電基板2と、圧電基板2上に形成されたインターデジタル電極3とを備え、インターデジタル電極3が、CuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層3aと、主電極層3aと圧電基板2との間に配置されており、Tiを主成分とし、膜厚が18〜60nmの範囲にある密着層3bとを備える、弾性表面波装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、共振子やフィルタなどに用いられる弾性表面波装置に関し、より詳細には、インターデジタル電極がCuを主たる材料として構成されている弾性表面波装置に関する。
弾性表面波装置は、機械的振動エネルギーが固体表面付近にのみ集中して伝搬する弾性表面波を利用した電子部品である。弾性表面波装置は、一般に、圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを有し、フィルタや共振器として用いられている。
弾性表面波装置における電極を構成する材料としては、電気抵抗率が低く、かつ比重が小さい、AlまたはAlを主成分とするAl系合金が一般的に用いられていた。しかしながら、AlまたはAl系合金からなる電極では、ストレスマイグレーションによる電極の短絡が生じたり、挿入損失が増大したりしやすかった。また、耐電力性も十分ではなかった。
そこで、下記の特許文献1、特許文献2及び特許文献3では、弾性表面波装置の電極材料としてCuを用いることが提案されている。すなわち、特許文献1に記載の弾性表面波装置では、くし歯状電極が銅または銅を主成分とする銅合金より構成されている。
また、特許文献2に記載の弾性表面波素子用電極は、Cuxyの組成を有する合金により構成されている。ここで、x,yは重量%で表される値であり、金属Mは、Zn、Ni、Sn、Al、Mgなどから選択された金属である。Zn、Ni、Sn、Al、Mgなどを含むCu合金を用いることにより、電極の耐酸化性の改善が図られるとされている。
また、特許文献2には、Cu合金からなる電極上に、SiON、SiO2、Al23などの無機保護層を形成することにより、電極の耐酸化性がさらに高められる旨が記載されている。
他方、特許文献3に記載の弾性表面波素子では、圧電基板上に、厚さ10nmのTiまたはTi合金からなる第1の電極層が形成されており、第1の電極層上に、CuまたはCu合金からなる第2の電極層が形成されており、第2の電極層を被覆するように、Alもしくはこれを主成分とする合金またはAuもしくはこれを主成分とする合金からなる第3の電極層が形成されている。特許文献3に記載の弾性表面波素子では、TiまたはTi合金からなる第1の電極層を設けることにより、圧電基板と電極との密着性が高められるとともに、第3の電極層の形成により耐酸化性が高められるとされている。
Cuからなる電極は圧電基板との密着性が十分でないという問題があった。また、Cuは酸化されやすいため、Cuからなる電極では、耐酸化性が十分でないという問題もあった。
そこで、上記特許文献2に記載の弾性表面波装置では、耐酸化性を高めるために、電極上にSiONやSiO2などの無機絶縁性材料からなる保護層が形成されており、かつ特許文献2に記載の方法では、Zn、Ni、Snなどの元素とCuとの合金が用いられていた。
他方、近年の通信機の高周波化に伴って、特に通信機の送信側に使用されるフィルタや分波器では、より一層大きな耐電力性が求められている。従って、電極と圧電基板との密着性がより一層高いことが強く求められている。
特許文献1,特許文献2に記載の弾性表面波装置では、電極の圧電基板への密着性が十分でなく、耐電力性の向上を図ることが困難であった。
また、特許文献3に記載の弾性表面波素子では、厚さ10nmのTiまたはTi合金からなる第1の電極層の形成により、圧電基板と電極との密着性が高められているが、このような構造においても、なお十分な耐電力性を得ることはできなかった。
特開平9−98043号公報 特開平9−199976号公報 特開2002−26685号公報
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、Cuからなる電極層を主体とする電極を有し、かつ該電極の圧電基板との密着性がより一層高められており、大きな耐電力性を発揮し得る弾性表面波装置を提供することにある。
本願の第1の発明によれば、圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたTiを主成分とする密着層とを備え、上記密着層の膜厚が18〜60nmの範囲にある、弾性表面波装置が提供される。
本願の第2の発明によれば、圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたTiを主成分とする密着層とを備え、上記密着層の弾性表面波の波長で規格化された膜厚が0.009〜0.03の範囲にある、弾性表面波装置が提供される。
本願の第3の発明によれば、圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたCrを主成分とする密着層とを備えることを特徴とする、弾性表面波装置が提供される。
本願の第4の発明によれば、圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたNiを主成分とする密着層とを備えることを特徴とする、弾性表面波装置が提供される。
本願の第5の発明によれば、圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたAl−Cuを主成分とする密着層とを備えることを特徴とする、弾性表面波装置が提供される。
第1〜第5の発明のある特定の局面では、前記主電極層上に積層されており、Cuよりも酸化され難い金属を主成分とする保護層がさらに備えられる。
第1〜第5の発明のより限定的な局面では、上記保護層が、Al−Cu合金により構成される。そして、好ましくは、上記保護層と主電極層との間に、TiまたはNiCrからなる電極層が形成されている。
第1〜第5の発明のさらに別の特定の局面では、前記インターデジタル電極を被覆するように形成されたSiO2膜がさらに備えられる。
第1の発明に係る弾性表面波装置では、圧電基板上にインターデジタル電極が形成されており、該インターデジタル電極が、CuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、Tiを主成分とする密着層とを備えており、密着層の膜厚が18〜60nmであるため、周波数特性にさほど影響を与えることなく、耐電力性を効果的に高めることが可能となる。前述した特許文献3では、Tiからなる密着層が形成されていたが、その膜厚が10nmと小さく、従って十分な電力性が得られなかったのに対し、第2の発明によれば、Tiからなる密着層が上記のように18nm以上の厚みとされているため、耐電力性を効果的に高めることができる。
同様に、第2の発明においても、Tiを主成分とする密着層の規格化膜厚が0.009〜0.03とされているため、耐電力性を効果的に高めることが可能となる。
第3〜第5の発明では、Cr、NiまたはAl−Cuを主成分とする密着層が形成されているので、同様に、耐電力性を効果的に高め得る。
第1〜第5の発明において、主電極層上にCuよりも酸化され難い金属を主成分とする保護層が設けられている場合には、電極の耐酸化性を高め得るだけでなく、耐電力性をより一層効果的に高めることが可能となる。従って、耐酸化性に優れているだけでなく、耐電力性がより一層改善された弾性表面波装置を提供することが可能となる。
インターデジタル電極を被覆するようにSiO2膜が形成されている場合には、本発明に従って耐電力性が高められた弾性表面波装置の周波数温度特性を改善することができる。
以下、図面を参照しつつ、参考例及び本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、参考例に係る弾性表面波装置の電極構造を示す模式的正面断面図である。弾性表面波装置1は、圧電基板2を有する。圧電基板2は、本参考例では、36°回転Y板X伝搬LiTaO3基板で構成されている。もっとも、本発明において圧電基板を構成する圧電材料は、他の回転角のLiTaO3基板であってもよい。また、圧電基板2は、LiNbO3または水晶などの他の圧電単結晶により構成されていてもよい。
圧電基板2上に、インターデジタル電極3が形成されている。インターデジタル電極3は、複数本の電極指を有する。本参考例の弾性表面波装置1の特徴は、インターデジタル電極3が、主電極層3aと、主電極層3aと圧電基板2との間に配置された密着層3bと、主電極層3aの上面に積層された保護層3cとを有することにある。なお、本発明においては、保護層3cは必ずしも設けられずともよい。
主電極層3aは、CuまたはCuを主成分とする合金により構成され、本参考例では、Cuにより構成されている。前述したように、CuまたはCuを主成分とする合金からなる電極は圧電基板との密着性が十分でないという問題があった。弾性表面波装置1では、この密着性を改善するために、密着層3bが形成されている。
そして、本参考例では、密着層3bは、NiCr合金により構成されている。後述の実験例から明らかなように、NiCrからなる密着層3bは、インターデジタル電極3の圧電基板2への密着性を効果的に改善する。
なお、保護層3cは、Cuよりも酸化され難い金属を主成分とする材料で構成されており、このような保護層を構成する金属材料としては、Al、Ti、Cr、Ni、Pt、Pd、NiCr、AlCuなどの金属もしくは合金が挙げられる。
好ましくは、上記保護層は、AlCu合金により構成され、それによって弾性表面波装置1の周波数特性にさほど影響を与えることなく耐電力性を高めることができる。耐腐食性に優れたAlのみにより保護層を構成した場合には、耐電力試験においてAlと主電極層を構成しているCuとが相互拡散し、十分な耐電力性は得られ難い。これは、CuとAlとの相互拡散係数の活性化エネルギーが低いことによる。
これに対して、Al−Cu合金からなる保護層を形成した場合には、耐有機溶剤性と良好な耐電力性を両立することができる。すなわち、耐電力試験中の熱エネルギーや振動エネルギーがAl−Cu合金中の相互マイグレーションに費やされるため、主電極と保護層との間の層間拡散が抑制されるからである。従って、前述したように、Al−Cu合金からなる保護層の形成により、周波数特性にさほど影響を与えることなく耐電力性を効果的に高めることができる。
加えて、上記AlCu合金からなる保護層と、Cuからなる主電極層との間の相互拡散をより効果的に抑制するには、これらの間にTiまたはNiCrからなる電極層を形成することが望ましい。その場合には、より一層Al−CuとCuとの相互拡散をより一層効果的に抑制することができ、耐電力性をより一層高めることができる。
また、弾性表面波装置1では、上記インターデジタル電極3を被覆するように、SiO2層4が形成されている。SiO2層4は、弾性表面波装置1において周波数温度特性を改善するために設けられている。また、SiO2層4の表面は平坦化されていることが好ましい。もっとも、本発明に係る弾性表面波装置では、SiO2層4は必ずしも設けられずともよい。
次に、上記参考例及び本発明の実施例についての具体的な実験例に基づき、本発明の弾性表面波装置において、インターデジタル電極の圧電基板への密着性及び耐電力性が効果的に高められることを説明する。
(実験例1:参考例の実験例)
36°回転Y板X伝搬LiTaO3基板上に、NiCrからなる密着層3bを20nmの厚みに形成した。また、主電極層3aとして、Cuからなる規格化膜厚h/λW=0.030、つまり、60nmの厚みの電極膜を形成した。hは主電極層の厚み(nm)であり、λWはインターデジタル電極3のピッチにより定まる弾性表面波の波長(nm)である。また、保護層3cは種々の金属により構成し、その厚みは10nmとした。また、電極ピッチを1nm、電極指の幅を0.5nmとしている。
また、上記保護層3cが形成されていない弾性表面波装置と、種々の金属からなる保護層3cが設けられた弾性表面波装置を用意した。加えて、上記インターデジタル電極を覆うようにSiO2膜を規格化膜厚hs/λW=0.10の厚みに成膜した弾性表面波装置を用意した。なお、hsはSiO2膜の膜厚(nm)である。
上記のようにして用意された各弾性表面波装置について、耐電力試験を行った。耐電力試験では、弾性表面波装置に電力を印加しつつ、減衰量周波数特性を測定した。具体的には、0.1Wの電力を開始電力として印加し、電力を段階的に上げていき、減衰量周波数特性の最小挿入損失点が0.5dB以上劣化したと確認された電力を破壊電力とした。各段階における電力印加時間は5分間とした。
図2は、弾性表面波装置の保護層の種類と上記のようにして求められた破壊電力との関係を示す図であり、図3は、保護層の種類と上記最小挿入損失点との関係を示す図である。
図2から明らかなように、Cuの酸化を抑制するように作用する保護層3cが設けられている場合、保護層が設けられていない場合に比べて、破壊電力が著しく大きくなることがわかる。従って、保護層3cの形成により、耐電力性が効果的に改善され得ることがわかる。なお、図2では、保護層が設けられていない場合と、保護層3cを構成する材料として、Al、Ti、NiCr及びAlCuを用いた場合を示したが、Cr、Ni、PtまたはPdなどの他のCuよりも酸化され難い他の金属を用いて保護層を構成した場合においても同様に破壊電力を高め得ることが確認されている。
すなわち、図2の結果から、耐酸化性を高めるためにCuに比べて耐酸化性に優れた金属からなる保護層3cを形成した場合、耐酸化性を高め得るだけでなく、耐電力性を効果的に高め得ることがわかる。
他方、図3から明らかなように、上記保護層3cを形成した場合、最小挿入損失点の大きさ自体は、保護層3cが設けられていない場合とさほど変化のないことがわかる。従って、保護層3cの形成により、弾性表面波装置1の周波数特性にさほど影響を与えることなく、耐電力性を効果的に改善し得ることがわかる。
また、図2から明らかなように、SiO2膜を形成した場合とSiO2膜が形成されていない場合とで、耐電力性がほとんど変化していないことがわかる。また、最小挿入損失点についても、図3から明らかなように、SiO2膜を形成した場合と形成していない場合とでさほど変わらないことがわかる。従って、好ましくは、SiO2膜4の形成により、耐電力性及び密着性だけでなく、周波数温度特性においても優れた弾性表面波装置を構成し得ることがわかる。
なお、SiO2膜を形成する場合にSiO2との密着性の良い材料(例えばTi)からなる保護層3cを形成することが好ましい。
(実験例2)
次に、密着層3bの膜厚を変化させて、実験例1と同様にして耐電力試験を行った。実験例1の場合と同様に弾性表面波装置を構成した。但し、密着層3bの材料として、NiCrまたはTiを用い、それぞれの膜厚を種々変化させた。また、主電極層3aは、規格化膜厚h/λW=0.030、つまり、60nmの厚みのCu膜により構成し、保護層3cについては、10nmの厚みのAl膜を形成した。
図4及び図5は、上記密着層3bの膜厚の変化させた場合の破壊電力の変化を示す図であり、図5は、密着層の膜厚を変化させた場合の上記最小挿入損失点の変化を示す図である。
図4から明らかなように、NiCrまたはTiからなる密着層3bを形成した場合、密着層3bを形成していない場合(密着層の膜厚=0nm)に比べて、耐電力性が高められることがわかる。また、図5から明らかなように、密着層の膜厚が増加するにつれて、最小挿入損失点が大きくなることがわかる。
最小挿入損失点は、2.0dB以下であることが望ましく、耐電力性は1.5W以上であることが通信機の送信段で使用する観点から求められている。従って、NiCrからなる密着層を形成し、良好な弾性表面波装置1を構成するには、図4及び図5の結果から明らかなように、NiCrからなる密着層の膜厚は5〜50nm、規格化膜厚h/λWでは、0.0025〜0.025の範囲とすることが望ましい。
他方、Tiからなる密着層3bを形成した場合には、図4から明らかなように、密着層3bの厚みが厚くなるにつれて耐電力性が高められる。また、最小挿入損失点については、Tiからなる密着層を形成した場合においても膜厚が増加するにつれて劣化する傾向がある。
従って、Tiからなる密着層を形成し、耐電力性を1.5W以上かつ最小挿入損失点を2.0dB以下とするには、図4より、密着層の膜厚は18〜60nm、規格化膜厚h/λWでは、0.009〜0.03とすることが望ましい。
実験例2から明らかなように、Cuを主成分とする主電極層の下地層として、NiCrまたはTiからなる密着層を形成した場合、耐電力性を効果的に高めることができ、特に、密着層の膜厚を上記望ましい範囲とすることにより、耐電力性を1.5W以上とし得ることはわかる。
さらに、前述した実験例1から明らかなように、保護層3cを形成した場合には、最小挿入損失を劣化させることなく、耐酸化性を改善し得るだけでなく、上記耐電力性をより一層効果的に高め得ることがわかる。
なお、実験例2では、密着層3bは、NiCrまたはTiを用いて構成されたが、NiCrまたはTiを主成分とする金属材料を用いてもよく、さらにCr、Ni、Al−Cuなどにより密着層を形成してもよい。
(実験例3)
36°回転Y板X伝搬のLiTaO基板上に、20nmの厚みのTiからなる密着層を形成した。また、上記密着層上に、主電極層として、規格化膜厚H/λW=0.030、すなわち60nmの厚みのCuからなる電極膜を形成した。なお、Hは主電極層の厚み(nm)であり、λWはIDTにおける電極指ピッチにより定められる弾性表面波の波長(nm)である。次に、上記主電極層上に、保護層として、Al−1重量%Cu合金膜を10nmの厚みに形成した。図10に、このようにして構成された電極の断面構造を示す。図10において、LiTaO基板51上に、密着層52、主電極層53及び保護層54がこの順序で積層されている。なお、図10における各電極層の厚みは実際の厚み比率とは異なるように図示されていることを指摘しておく。IDTの電極指ピッチは1μm、電極指の幅は0.5μmとした。
上記のようにして構成された弾性表面波装置と、保護層が形成されていないことを除いては同様に構成された弾性表面波装置と、Al−1重量%Cu合金に代えて他の金属からなる保護層が形成されていることを除いては同様に構成された弾性表面波装置を種々用意し、実験例1の場合と同様にして耐電力試験を行った。結果を図11及び図12に示す。
図11の横軸は、保護層を構成している金属の種類を示す。なお、図11において、●は、実験例1の場合と同様にSiO層4が電極を覆うように形成されている場合の結果を、□はSiO層が形成されていない場合の結果を示す。
図11から明らかなように、SiO層の形成の有無にかかわらず、Li−Cu合金からなる保護層を形成した場合、耐電力性が効果的に高められることがかわる。特に、SiO層が形成されていない場合には、より一層耐電力性を高め得ることがわかる。
また、図12から明らかなように、最小挿入損失点については、保護層を形成しない場合や、Alなどの他の金属材料から保護層を形成した場合と変わらず、従ってAl−Cu合金からなる保護層の形成により、弾性表面波装置の周波数特性にさほど影響を与えることなく耐電力性を効果的に高め得ることがわかる。
なお、図13は、本発明の弾性表面波装置の電極構造のより好ましい例を示す模式的断面図であり、図10に相当する断面図である。図13に示す電極構造では、TiまたはNiCrからなる電極層55が、Cuからなる主電極層53と、Al−Cu合金からなる保護層54との間に形成されており、それによって前述したように耐電力性がより一層高められる。
本発明に係る弾性表面波装置における電極構造は、上記のような積層構造を有するものであるが、本発明が適用される弾性表面波装置については特に限定されない。従って、インターデジタル電極の平面形状については、目的とする弾性表面波装置の種類に応じて適宜変形され得る。図6〜図9は、本発明が適用される弾性表面波装置の電極構造の例を示す各模式的平面図である。
図6では、1ポート型弾性表面波共振子11の電極構造が示されている。ここでは、インターデジタル電極12の両側に反射器13,14が配置されている。
また、図7には、2ポート型弾性表面波共振子21の電極構造が示されている。ここでは、インターデジタル電極22,23が表面波伝搬方向に沿って並設されている。インターデジタル電極22,23の両側に反射器24,25が配置されている。
図8は、ラダー型弾性表面波フィルタ31の電極構造を示す模式的平面図である。ラダー型弾性表面波フィルタ31では、直列共振子S1,S2と並列共振子P1〜P3が接続電極により梯子型回路構成を有するように接続されている。直列共振子S1,S2及び並列共振子P1〜P3は、それぞれ、1ポート型弾性表面波共振子により構成されている。
図9は、本発明が適用される弾性表面波装置のさらに他の例としてのラチス型弾性表面波フィルタの電極構造を示す。ラチス型弾性表面波フィルタ41では、1ポート型弾性表面波共振子42〜45がラチス型接続となるように接続電極により電気的に接続されている。
図6〜図9に示した弾性表面波共振子11,21及び弾性表面波フィルタ31,41においても、本発明に従ってインターデジタル電極を本発明に従って構成することにより、周波数特性にさほど影響を与えることなく、耐電力性を大幅に高めることができる。また、必要に応じて保護層を形成することにより、耐酸化性を高め得るだけでなく、耐電力性をより一層効果的に高めることができる。
参考例の弾性表面波装置の電極構造を説明するための模式的正面断面図。 実験例1において用意された弾性表面波装置において、保護層を設けなかった場合と、保護層の材料を変更した場合の破壊電力の大きさを示す図。 実験例1において用意された各弾性表面波装置において、保護層を設けなかった場合と、保護層の材料を変更した場合の減衰量周波数特性上の最小挿入損失点の大きさを示す図。 実験例2において、密着層の膜厚を変化させた場合の破壊電力の変化を示す図。 実験例2において、密着層の膜厚を種々変化させた場合の減衰量周波数特性上の最小挿入損失点の変化を示す図。 本発明が適用される弾性表面波装置の一例としての1ポート型弾性表面波共振子の電極構造を示す平面図。 本発明が適用される弾性表面波装置の他の例としての2ポート型弾性表面波共振子の電極構造を示す平面図。 本発明が適用される弾性表面波装置のさらに他の例としてのラダー型弾性表面波フィルタの電極構造を示す模式的平面図。 本発明が適用される弾性表面波装置のさらに他の例としてのラチス型フィルタの電極構造を示す模式的平面図。 本発明に係る弾性表面波装置の電極構造の好ましい例を示す正面断面図。 図10に示した電極構造における保護層の材料を種々変更した場合の弾性表面波装置の破壊電力の変化を示す図。 図10に示した電極構造における保護層の種類を種々変更した場合の弾性表面波装置の最小挿入損失点の変化を示す図。 本発明に係る弾性表面波装置の電極構造のさらに他の好ましい例を説明するための正面断面図。

Claims (9)

  1. 圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたTiを主成分とする密着層とを備え、
    上記密着層の膜厚が18〜60nmの範囲にあることを特徴とする、弾性表面波装置。
  2. 圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたTiを主成分とする密着層とを備え、
    上記密着層の弾性表面波の波長で規格化された膜厚が0.009〜0.03の範囲にあることを特徴とする、弾性表面波装置。
  3. 圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたCrを主成分とする密着層とを備えることを特徴とする、弾性表面波装置。
  4. 圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたNiを主成分とする密着層とを備えることを特徴とする、弾性表面波装置。
  5. 圧電基板と、圧電基板上に形成されたインターデジタル電極とを備え、前記インターデジタル電極がCuまたはCuを主成分とする合金からなる主電極層と、前記主電極層と基板との間に配置されたAl−Cuを主成分とする密着層とを備えることを特徴とする、弾性表面波装置。
  6. 前記主電極層上に積層されており、Cuよりも酸化され難い金属を主成分とする保護層をさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載の弾性表面波装置。
  7. 前記保護層が、Al−Cu合金からなる、請求項6に記載の弾性表面波装置。
  8. 前記保護層と前記主電極層との間にTiまたはNiCrからなる電極層が形成されている、請求項6および7に記載の弾性表面波装置。
  9. 前記インターデジタル電極を被覆するように形成されたSiO2膜をさらに備える、請求項1〜8のいずれかに記載の弾性表面波装置。
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