JP2006114932A - 磁気変換素子、薄膜磁気ヘッドおよびそれらの製造方法 - Google Patents

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Satoru Araki
悟 荒木
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Takumi Uesugi
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Abstract

【課題】熱安定性が良好で、かつ、大きな交換結合磁界が得られる磁気変換素子および薄膜磁気ヘッドおよびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 MR素子は、下地層21,結晶成長抑制層22,第1軟磁性層23、第2軟磁性層24,非磁性層25,強磁性層26,反強磁性層27および保護層28を順次積層してなる積層体20を有している。強磁性層26は、非磁性層25の側から、強磁性内側層26a,結合層26bおよび強磁性外側層26cを有している。結晶成長抑制層22は、その上に形成される層の結晶成長を抑制することにより、強磁性内側層26aの平均面内粒径を3nm〜8nmとし、これにより結合層26bの界面を平坦化するようになっている。
【選択図】図7

Description

本発明は、磁気変換素子およびそれを用いた薄膜磁気ヘッドに関するものであり、より詳細には、熱安定性を向上させ、かつ、大きな交換結合磁界を得ることができる磁気変換素子、それを用いた薄膜磁気ヘッドおよびそれらの製造方法に関する。
近年、ハードディスクなどの面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、磁気変換素子の一つである磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子と記す。)を有する再生ヘッドと、誘導型磁気変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。
MR素子としては、異方性磁気抵抗効果(AMR(Anisotropic Magnetoresistive)効果)を示す磁性膜(AMR膜)を用いたAMR素子と、巨大磁気抵抗効果(GMR(Giant Magnetoresistive)効果)を示す磁性膜(GMR膜)を用いたGMR素子などがある。
AMR素子を用いた再生ヘッドはAMRヘッドと呼ばれ、GMR素子を用いた再生ヘッドはGMRヘッドと呼ばれる。AMRヘッドは、面記録密度が1Gbit/inch2 (0.16Gbit/cm2 )を超える再生ヘッドとして利用され、GMRヘッドは、面記録密度が3Gbit/inch2 (0.47Gbit/cm2 )を超える再生ヘッドとして利用されている。
ところで、GMR膜としては、「多層型(アンチフェロ型)」、「誘導フェリ型」、「グラニュラ型」、「スピンバルブ型」等が提案されている。これらの中で、比較的構成が単純で、弱い磁場でも大きな抵抗変化を示し、量産に好ましいと考えられるGMR膜は、スピンバルブ型である。
図19は、一般のスピンバルブ型GMR膜(以下、スピンバルブ膜と記す)の構成を表すものである。図中符号Sで示した面は磁気記録媒体と対向する面に対応する。このスピンバルブ膜は、下地層501の上に、軟磁性層502、非磁性層503、強磁性層504、反強磁性層505および保護層506をこの順に積層して構成したものである。このスピンバルブ膜では、強磁性層504の磁化Mpの向きが反強磁性層505との交換結合により固定され、軟磁性層502の磁化Mfの向きが信号磁場によって自由に変化し、その相対角度に応じて抵抗が変化するようになっている。
ここで、現在では、ハードディスクなどの超高密度記録化に対応するためMR素子の小型化が進んでいるが、MR素子が小型化するほどスピンバルブ膜に流れる電流の電流密度が増すことから、スピンバルブ膜には高い熱安定性が要求されるようになってきている。
特許文献1には、強磁性層内にルテニウム(Ru)からなる結合層(AF coupling film)を設けた、いわゆるシンセティックピン構造のスピンバルブ膜が開示されている。この特許文献1では、シンセティックピン構造を採用することによって熱安定性が向上するという報告がなされている。
米国特許第5,828,529号公報
しかしながら、上記の特許文献1には、熱安定性の具体的な改善内容についての報告はなされていない。また、安定した抵抗特性を得るためには、強磁性層と反強磁性層との間に生じる交換結合磁界を大きくする必要があるが、上記の特許文献1では、交換結合磁界についての報告はなされていない。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、熱安定性を向上させ、かつ、大きな交換結合磁界を得ることができる磁気変換素子、それを用いた薄膜磁気ヘッドおよびそれらの製造方法を提供することにある。
本発明による磁気変換素子は、一対の対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを含む積層体を基体上に備え、強磁性層が、非磁性層に近い側から、強磁性内側層と結合層と強磁性外側層とを有している磁気変換素子であって、強磁性内側層および強磁性外側層のうち、基体に近い方の層における結合層側界面の平均結晶粒径が3nm以上8nm以下であることを特徴とするものである。
また、本発明による他の磁気変換素子は、一対の対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層と、を含む積層体を基体上に備え、強磁性層が、非磁性層に近い側から、強磁性内側層と結合層と強磁性外側層とを有している磁気変換素子であって、強磁性内側層および強磁性外側層のうち、基体に近い方の層において、積層体の積層方向と直交する面内での平均結晶粒径が3nm以上8nm以下であることを特徴とするものである。
本発明による磁気変換素子または他の磁気変換素子では、強磁性内側層および強磁性外側層のうち基体に近い方の層の結合層側界面またはその層の面内平均結晶粒径が3nm以上8nm以下となるため、結合層の界面が平坦になり、従って、熱安定性が向上し、かつ、交換結合磁界も大きくなる。
なお、積層体において、結合層よりも反強磁性層側および軟磁性層側の少なくとも一方に、O(酸素),N(窒素),H(水素),Cu(銅),Au(金),Ag(銀)およびRh(ロジウム)からなる群のうち少なくとも1種を含む材料よりなる結晶成長抑制層を備えていることが好ましい。この結晶成長抑制層は、積層体の積層方向と直交する面内において分散して形成されていることがより好ましい。さらに、強磁性内側層および強磁性外側層は、Co(コバルト)またはFe(鉄)からなる群のうちの少なくともCoを含む材料よりなることが好ましい。加えて、結合層は、Ru(ルテニウム),Rh,Re(レニウム)およびCr(クロム)からなる群のうちの少なくとも1種を含む材料よりなることが好ましい。
また、本発明による薄膜磁気ヘッドは、一対の対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを備えた積層体と、この積層体を支持する基体とを備えた薄膜磁気ヘッドであって、強磁性層が、非磁性層に近い側から、強磁性内側層と、結合層と、強磁性外側層とを有しており、強磁性内側層および強磁性外側層のうち、基体に近い方の層における結合層側界面の平均結晶粒径が3nm以上8nm以下であることを特徴とするものである。
また、本発明による他の薄膜磁気ヘッドは、一対の対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを備えた積層体と、この積層体を支持する基体とを備えた薄膜磁気ヘッドであって、強磁性層が、非磁性層に近い側から、強磁性内側層と結合層と強磁性外側層とを有しており、強磁性内側層および強磁性外側層のうち、基体に近い方の層において、積層体の積層方向と直交する面内での平均結晶粒径が3nm以上8nm以下であることを特徴とするものである。
本発明による薄膜磁気ヘッドまたは他の薄膜磁気ヘッドでは、強磁性内側層および強磁性外側層のうち基体に近い方の層の結合層側界面またはその層の面内平均結晶粒径が3nm以上8nm以下となるため、結合層の両界面の平坦性が向上する。すなわち、熱安定性がさらに向上し、かつ、交換結合磁界がさらに大きくなる。
なお、積層体において、結合層よりも反強磁性層側および軟磁性層側のうち少なくとも基体側の層に、O,N,H,Cu,Au,AgおよびRhからなる群のうち少なくとも1種を含む材料よりなる結晶成長抑制層を備えていることが好ましい。さらに、結晶成長抑制層は、積層体の積層方向と直交する面内において分散して形成されていることが好ましい。
さらに、本発明による磁気変換素子の製造方法は、一対の対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを含む積層体を備えると共に、強磁性層が、非磁性層に近い側から強磁性内側層と結合層と強磁性外側層とを有している磁気変換素子を製造する方法であって、積層体において結合層よりも反強磁性層側および軟磁性層側の少なくとも一方に、積層体の積層方向に直交する面内において分散した結晶成長抑制層を形成する工程を含むことを特徴とするものである。
また、本発明による薄膜磁気ヘッドの製造方法は、一対の対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを含む積層体を備えると共に、強磁性層が、非磁性層に近い側から強磁性内側層と結合層と強磁性外側層とを有している磁気変換素子と、積層体を支持する基体とを備えた薄膜磁気ヘッドを製造する方法であって、積層体において結合層よりも少なくとも基体側に、積層体の積層方向に直交する面内において分散した結晶成長抑制層を形成する工程を含むことを特徴とするものである。
本発明による磁気変換素子の製造方法または薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、結晶成長抑制層によって、強磁性内側層および強磁性外側層のうち少なくとも一方の結晶成長が抑制されることにより、結合層の界面の平坦性が向上する。これにより、良好な熱安定性および大きな交換結合磁界を有する磁気変換素子または薄膜磁気ヘッドが得られる。
なお、上記の結晶成長抑制層は、O,N,H,Cu,Au,AgおよびRhからなる群のうち少なくとも1種を含む材料により形成することが好ましい。さらに、結晶成長抑制層の形成工程は、積層体において結晶成長抑制層が形成される部分を、O,NおよびHからなる群のうち少なくとも1種を含む雰囲気にさらす工程を含むことが好ましい。また、結晶成長抑制層の形成工程は、真空成膜法を用いてCu,Au,AgおよびRhからなる群のうち少なくとも1種を含むように結晶成長抑制層を形成する工程を含むことが好ましい。
以上説明したように、本発明の磁気変換素子または薄膜磁気ヘッドによれば、強磁性内側層および強磁性外側層のうち、前記基体に近い方の層における結合層側界面の平均結晶粒径が3nm以上8nm以下となるようにしたので、少なくともその界面を平坦にすることができ、従って、熱安定性を向上し、かつ交換結合磁界および抵抗変化率を大きくすることができる。
また、本発明の他の磁気変換素子または薄膜磁気ヘッドによれば、強磁性内側層および強磁性外側層のうち、基体に近い方の層における面内の平均結晶粒径が3nm以上8nm以下となるようにしたので、結合層の一対の界面をともに平坦にすることができ、従って、熱安定性を向上し、かつ交換結合磁界および抵抗変化率を大きくすることができる。
特に、O,N,H,Cu,Au,AgおよびRhからなる群のうち少なくとも1種を含む材料よりなる結晶成長抑制層を設けるようにした場合には、結晶粒径の制御が容易になる。
また、本発明の磁気変換素子の製造方法によれば、積層体において結合層よりも反強磁性層側および軟磁性層側の少なくとも一方に結晶成長抑制層を設けるようにしたので、強磁性内側層および強磁性外側層のうちの少なくとも一方の平均面内結晶粒径を制御し、結合層の界面の平坦性を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、積層体において結合層よりも少なくとも基体側に結晶成長抑制層を設けるようにしたので、強磁性内側層,結合層および強磁性外側層の結晶成長を抑制し、結合層の界面の平坦性を向上させることができる。
特に、積層体において結晶成長抑制層が形成される部分をO,NおよびHからなる群のうち少なくとも1種を含む雰囲気にさらすようにした場合には、簡単な方法で、結晶成長抑制層を形成することができる。
特に、真空成膜法を用いて、Cu,Au,AgおよびRhからなる群のうち少なくとも1種を含むように結晶成長抑制層を形成するようにした場合には、簡単な方法で、結晶成長抑制層を形成することができる。
[第1の実施の形態]
<MR素子および薄膜磁気ヘッドの構成>
最初に、図1ないし図7を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気変換素子の一具体例であるMR素子およびそれを用いた薄膜磁気ヘッドの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド100を備えたアクチュエータアーム200の構成を表すものである。このアクチュエータアーム200は、例えば、図示しないハードディスク装置などで用いられるものであり、薄膜磁気ヘッド100が形成されたスライダ210を有している。このスライダ210は、例えば、支軸220により回転可能に支持された腕部230の先端に搭載されている。この腕部230は、例えば、図示しないボイスコイルモータの駆動力により回転するようになっており、これによりスライダ210がハードディスクなどの磁気記録媒体300の記録面(図1においては記録面の下面)に沿ってトラックラインを横切る方向xに移動するようになっている。なお、磁気記録媒体300は、例えば、スライダ210がトラックラインを横切る方向xに対してほぼ直交する方向zに回転するようになっており、このような磁気記録媒体300の回転およびスライダ210の移動により磁気記録媒体300に情報が記録され、または記録された情報が読み出されるようになっている。
図2は、図1に示したスライダ210の構成を表すものである。このスライダ210は、例えば、Al2 3 ・TiC(アルティック)よりなるブロック状の基体211を有している。この基体211は、例えば、ほぼ六面体状に形成されており、そのうちの一面が磁気記録媒体300(図1参照)の記録面に近接して対向するように配置されている。この磁気記録媒体300の記録面と対向する面はエアベアリング面(ABS)211aと呼ばれ、磁気記録媒体300が回転する際には、磁気記録媒体300の記録面とエアベアリング面211aとの間に生じる空気流により、スライダ210が記録面との対向方向yにおいて記録面から離れるように微少量移動し、エアベアリング面211aと磁気記録媒体300との間に一定の隙間ができるようになっている。基体211のエアベアリング面211aに対する一側面(図2においては左側の側面)には、薄膜磁気ヘッド100が設けられている。
図3は、薄膜磁気ヘッド100の構成を分解して表すものである。また、図4は、図3に示した矢印IV方向から見た平面構造を表し、図5は、図4に示したV−V線に沿った矢視方向の断面構造を表し、図6は、図4に示したVI−VI線に沿った矢視方向すなわち図5に示したVI−VI線に沿った矢視方向の断面構造を表し、図7は、図6に示した構造の一部を取り出して表すものである。この薄膜磁気ヘッド100は、磁気記録媒体300に記録された磁気情報を再生する再生ヘッド部101と、磁気記録媒体300のトラックラインに磁気情報を記録する記録ヘッド部102とが一体に構成されたものである。
図3および図5に示したように、再生ヘッド部101は、例えば、基体211の上に、絶縁層11,下部シールド層12,下部シールドギャップ層13,上部シールドギャップ層14および上部シールド層15がエアベアリング面211aの側においてこの順に積層された構造を有している。絶縁層11は、例えば、積層方向の厚さ(以下、単に厚さと記す)が2μm〜10μmであり、Al2 3 (酸化アルミニウム)により構成されている。下部シールド層12は、例えば、厚さが1μm〜3μmであり、NiFe(ニッケル鉄合金)などの磁性材料により構成されている。下部シールドギャップ層13および上部シールドギャップ層14は、例えば、厚さがそれぞれ10nm〜100nmであり、Al2 3 またはAlN(チッ化アルミニウム)によりそれぞれ構成されている。上部シールド層15は、例えば、厚さが1μm〜4μmであり、NiFeなどの磁性材料により構成されている。なお、この上部シールド層15は、記録ヘッド部102の下部磁極としての機能も兼ね備えている。
また、下部シールドギャップ層13と上部シールドギャップ層14との間には、スピンバルブ膜である積層体20を含むMR素子110が埋設されている。この再生ヘッド部101は、磁気記録媒体300からの信号磁場に応じて積層体20における電気抵抗が変化することを利用して、磁気記録媒体300に記録された情報を読み出すようになっている。
この積層体20は、例えば、図6および図7に示したように、下部シールドギャップ層13の上に、下地層21,結晶成長抑制層22,第1軟磁性層23,第2軟磁性層24,非磁性層25,強磁性層26,反強磁性層27,および保護層28がこの順に積層された構造を有している。また、強磁性層26は、非磁性層25側から、強磁性内側層26a,結合層26bおよび強磁性外側層26cを有している。下地層21は、例えば、厚さが5nmであり、Taにより構成されている。
結晶成長抑制層22は、その上に形成される各層の結晶成長を抑制することにより、強磁性層26の結合層26bの界面における平坦性を向上させるものである。この結晶成長抑制層22は、ここでは下地層21と第1軟磁性層23との間に形成されているが、積層体20の結合層26bよりも基体211側、すなわち積層体20の積層過程において結合層26bよりも先に形成されるような位置に設けれていればよい。このようにすれば、結晶成長抑制層22よりも上に、強磁性内側層26a,結合層26bおよび強磁性外側層26cが形成されるため、これらの層の結晶成長を全て抑制することができ、結合層26bの界面をより平坦にできるからである。但し、結晶成長抑制層22を下地層21と第1軟磁性層23との間に設けるようにすれば、不純物の存在によるヘッド特性への悪影響を小さくすることができる。なお、本実施の形態では、「結合層26bよりも基体211に近い側」とは、積層体20における結合層26bよりも第1軟磁性層23側である。
結晶成長抑制層22は、例えば、O,N,H,Cu,Au,AgおよびRhからなる群のうち少なくとも1種を含む材料により構成されており、積層体20の積層方向に対して直交する面内で分散形成されていることが好ましい。このようにすれば、図6に符号Gで示したように、分散形成された結晶成長抑制層22の隙間から結晶が成長し、結晶成長が確実に抑制されるからである。結晶成長抑制層22は、このようにして、結晶成長抑制層22の上に形成される各層の結晶成長を抑制し、少なくとも強磁性内側層26aにおける平均面内結晶粒径を3nm〜8nmにするようになっている。ここで、「平均面内結晶粒径」とは、積層体20の積層方向に対して直交する面における結晶粒径の平均値いい、TEM(透過型電子顕微鏡)などを用いて観察することにより測定されるものである。なお、結晶成長抑制層22の厚さは、例えば約1nmとする。
第1軟磁性層23は、例えば、厚さが1nm〜3nmであり、Ni,Co,Fe,Ta(タンタル),Cr,Rh,Mo(モリブデン)およびNb(ニオブ)からなる群のうちの少なくともNiを含む磁性材料により構成されている。具体的には、[Nix Coy Fe100-(x+y) 100-z I z により構成されることが好ましい。式中、MI はTa,Cr,Rh,MoおよびNbのうちの少なくとも1種を表し、x,y,zはそれぞれ原子%で75≦x≦90、0≦y≦15、0≦z≦15の範囲内である。
第2軟磁性層24は、例えば、厚さが0.5nm〜3nmであり、Ni,CoおよびFeからなる群のうちの少なくともCoを含む磁性材料により構成されている。具体的には、(111)面が積層方向に配向しているCox Fey Ni100-(x+y) により構成されることが好ましい。式中、x,yはそれぞれ原子%で70≦x≦100、0≦y≦25の範囲内である。
なお、これら第1軟磁性層23および第2軟磁性層24は共にフリー層とも言われる軟磁性層を構成しており、磁気記録媒体300からの信号磁場に応じて磁界の向きが変化するようになっている。軟磁性層の厚さ、すなわち、第1軟磁性層23および第2軟磁性層24の厚さの合計は、例えば2nm〜10nmであることが好ましい。
非磁性層25は、例えば、厚さが1.8nm〜3nmであり、Au,Ag,Cu,Ru,Rh,Re,Pt(白金)およびW(タングステン)からなる群のうち少なくとも1種を80重量%以上含む非磁性材料により構成されている。この非磁性層25は、軟磁性層(すなわち、第1軟磁性層23および第2軟磁性層24)を、できるだけ、強磁性層26および反強磁性層27から磁気的に隔離するためのものである。
強磁性層26は、ピンド層とも言われ、反強磁性層27との界面における交換結合により、磁化の向きが固定されている。強磁性層26のうち、強磁性内側層26aおよび強磁性外側層26cは、いずれも、CoおよびFeからなる群のうちの少なくともCoを含む磁性材料により構成されており、その(111)面は積層方向に配向していることが望ましい。強磁性内側層26aの厚さは、例えば1〜4nmであり、強磁性外側層26cの厚さは、例えば1〜4nmである。
強磁性内側層26aと強磁性外側層26cとの間に介在する結合層26bは、例えば、厚さが0.2nm〜1.2nmであり、Ru、Rh、ReおよびCrからなる群のうちの少なくとも1種を含む非磁性材料により構成されている。この結合層26bは、強磁性内側層26aと強磁性外側層26cとの間に反強磁性交換結合を生じさせ、強磁性内側層26aの磁化Mpと強磁性外側層26cの磁化Mpcとを互いに反対向きにするためのものである。ちなみに、本明細書において「磁化が互いに反対向き」と言うのは、磁化の向きが180°異なる場合のみを言うのではなく、2つの磁化の向きの相対角度が90°より大きい場合を含めて言う。
ここでは、強磁性外側層26cの磁化Mpcの向きは、強磁性外側層26cと反強磁性層27との界面における交換結合により、例えばy方向に固定されている。強磁性内側層26aの磁化Mpの向きは、結合層26bを介した強磁性内側層26aと強磁性外側層26cの反強磁性交換結合により、強磁性外側層26cの磁化Mpcと反対方向に固定されている。これにより、この積層体20では、強磁性層26の作る磁界が第1軟磁性層23および第2軟磁性層24に与える影響を小さくできるようになっている。
強磁性内側層26aにおいて、平均面内結晶粒径は3nm〜8nmに抑制されている。強磁性内側層26aの結晶粒径を抑制することにより、強磁性内側層26aと結合層26bとの界面を平坦化し、熱安定性を向上させ、かつ、交換結合磁界を大きくするためである。特に、強磁性内側層26aの結合層26bとの界面(すなわち、結合層側界面)の平均面内結晶粒径が3nm〜8nmに抑制されていることが好ましい。なお、強磁性内側層26aの平均面内結晶粒径が8nmより大きいと、熱安定性や交換結合磁界などの改善効果があまり見られない。また、平均面内結晶粒径が3nmより小さいと、磁気抵抗効果(すなわち、信号磁場の変化に対して抵抗が変化する性質)が劣化するという問題がある。ちなみに、結合層26bおよび強磁性外側層26cの平均面内結晶粒径は3nm〜8nmに限定される必要はない。
なお、強磁性内側層26aの平均面内結晶粒径を3nm〜8nmにするためには、強磁性内側層26aよりも下側(基体211に近い側)のいずれかの層における平均面内結晶粒径を3nm〜8nmにすることが好ましい。ある層において平均面内結晶粒径が3nm〜8nmであれば、その上に形成される層の結晶成長も抑制されるからである。ここでは、前述したように下地層21の上に結晶成長抑制層22を設けることによって、第1軟磁性層23,第2軟磁性層24,非磁性層25および強磁性内側層26aの全てにおいて、平均面内結晶粒径が3nm〜8nmになるようにしている。
反強磁性層27は、例えば、厚さが5〜30nmであり、Pt,Ru,Rh,Pd(パラジウム),Ni,Au,Ag,Cu,Ir(イリジウム),CrおよびFeからなる群のうちの少なくとも1種MIIと、Mnとを含む反強磁性材料により構成されている。このうちMnの含有量は45原子%以上95原子%以下、その他の元素MIIの含有量は5原子%以上65原子%以下であることが好ましい。この反強磁性材料には、熱処理しなくても反強磁性を示し、強磁性材料との間に交換結合磁界を誘起する非熱処理系反強磁性材料と、熱処理により反強磁性を示すようになる熱処理系反強磁性材料とがある。この反強磁性層27は、そのどちらにより構成されていてもよい。
なお、非熱処理系反強磁性材料にはγ相を有するMn合金などがあり、具体的には、RuRhMn(ルテニウムロジウムマンガン合金),FeMn(鉄マンガン合金)あるいはIrMn(イリジウムマンガン合金)などがある。熱処理系反強磁性材料には規則結晶構造を有するMn合金などがあり、具体的には、PtMn(白金マンガン合金),NiMn(ニッケルマンガン合金)およびPtRhMn(白金ロジウムマンガン合金)などがある。
積層体20の両側、すなわち積層方向に対して垂直な方向の両側には、磁区制御膜30a,30bがそれぞれ設けられており、第1軟磁性層23および第2軟磁性層24の磁化の向きを揃え、単磁区化していわゆるバルクハウゼンノイズの発生を抑えるようになっている。この磁区制御膜30aは、磁区制御用強磁性膜31aと、磁区制御用反強磁性膜32aとを下部シールドギャップ層13の側から順に積層した構造とされている。磁区制御膜30bも磁区制御膜30aと同一の構成とされている。これら磁区制御用強磁性膜31a,31bの磁化の向きは、磁区制御用強磁性膜31a,31bと磁区制御用反強磁性膜32a,32bとのそれぞれの界面における交換結合によってそれぞれ固定されている。これにより、例えば図7に示したように、磁区制御用強磁性膜31a,31bの近傍では第1軟磁性層23および第2軟磁性層24に対するバイアス磁界Hbがx方向に発生している。
磁区制御用強磁性膜31a,31bは、例えば、それぞれ厚さが10nm〜50nmである。また、磁区制御用強磁性膜31a,31bは、例えば、NiFe、または、Ni,FeおよびCoからなる磁性材料などにより構成されている。また、NiFe膜とCo膜との積層膜であっても良い。磁区制御用反強磁性膜32a,32bは、例えば、それぞれ厚さが5nm〜30nmであり、反強磁性材料により構成されている。この反強磁性材料は、非熱処理系反強磁性材料でも熱処理系反強磁性材料でも良いが、非熱処理系反強磁性材料が好ましい。
これら磁区制御膜30a,30bの上には、TaとAuとの積層膜、TiWとTaとの積層膜、あるいはTiN(窒化チタン)とTaとの積層膜などよりなるリード層33a,33bがそれぞれ設けられており、磁区制御膜30a,30bを介して積層体20に電流を流すことができるようになっている。
記録ヘッド部102は、例えば、図3および図5に示したように、上部シールド層15の上に、Al2 3 などの絶縁膜よりなる厚さ0.1μm〜0.5μmの記録ギャップ層41を有している。この記録ギャップ層41は、後述する薄膜コイル43,45の中心部に対応する位置に開口部41aを有している。この記録ギャップ層41の上には、スロートハイトを決定する厚さ1.0μm〜5.0μmのフォトレジスト層42を介して、厚さ1μm〜3μmの薄膜コイル43およびこれを覆うフォトレジスト層44がそれぞれ形成されている。このフォトレジスト層44の上には、厚さ1μm〜3μmの薄膜コイル45およびこれを覆うフォトレジスト層46がそれぞれ形成されている。なお、本実施の形態では薄膜コイルが2層積層された例を示したが、薄膜コイルの積層数は1層または3層以上であってもよい。
記録ギャップ層41およびフォトレジスト層42,44,46の上には、例えば、NiFeまたはFeN(窒化鉄)などの高飽和磁束密度を有する磁性材料よりなる厚さ約3μmの上部磁極47が形成されている。この上部磁極47は、薄膜コイル43,45の中心部に対応して設けられた記録ギャップ層41の開口部41aを介して、上部シールド層15と接触しており、磁気的に連結している。この上部磁極47の上には、図3ないし図6では図示しないが、例えば、Al2 3 よりなる厚さ20μm〜30μmのオーバーコート層(図13(B)におけるオーバーコート層48)が全体を覆うように形成されている。これにより、この記録ヘッド部102は、薄膜コイル43,45に流れる電流によって下部磁極である上部シールド層15と上部磁極47との間に磁束を生じ、記録ギャップ層41の近傍に生ずる磁束によって磁気記録媒体300を磁化し、情報を記録するようになっている。
<MR素子および薄膜磁気ヘッドの動作>
次に、このように構成されたMR素子110および薄膜磁気ヘッド100による再生動作について、図6および図7を中心に参照して説明する。
この薄膜磁気ヘッド100では、再生ヘッド部101により磁気記録媒体300に記録された情報を読み出す。再生ヘッド部101では、強磁性層26の強磁性外側層26cと反強磁性層27との界面での交換結合により、例えば、強磁性外側層26cの磁化Mpcの向きがy方向に固定されている。また、強磁性内側層26aの磁化の向きMpは、結合層26bを介しての強磁性外側層26cとの反強磁性交換結合により、磁化Mpcと反対向きに固定されている。磁区制御膜30a,30bの発生するバイアス磁界Hbにより、第1軟磁性層23,第2軟磁性層24の磁化Mfはバイアス磁界Hbの方向(ここではx方向)に揃えられる。なお、バイアス磁界Hbは、強磁性層26の磁化Mp,Mpcの向きに対しほぼ直交している。
情報を読み出す際には、積層体20に、リード層33a,33bを通じて定常電流である検出電流(センス電流)が例えばバイアス磁界Hbの方向に流される。その際、反強磁性層27は積層体20の他の層よりも大きな電規抵抗を有しているため、電流は、主として強磁性層26,非磁性層25,第2軟磁性層24および第1軟磁性層23を流れる。
磁気記録媒体300からの信号磁場を受けると、第1軟磁性層23および第2軟磁性層24における磁化Mfの向きが変化する。強磁性層26の磁化Mp,Mpcの向きは、反強磁性層27により固定されているので、磁気記録媒体300からの信号磁場を受けても変化しない。第1軟磁性層23および第2軟磁性層24における磁化Mfの向きが変化すると、積層体20を流れる電流は、第1軟磁性層23および第2軟磁性層24の磁化Mfの向きと強磁性層26の磁化Mp,Mpcの向きとの相対角度に応じた抵抗を受ける。これは、非磁性層と磁性層との界面における電子の散乱の度合いが磁性層の磁化方向に依存するという「スピン依存散乱」と呼ばれる現象によるものである。この積層体20の抵抗の変化量は電圧の変化量として検出され、磁気記録媒体300に記録された情報が読み出される。
ここで、強磁性層26において、強磁性内側層26aと強磁性外側層26cとが結合層26bを介して磁気的に結合され、強磁性内側層26aにおける磁化Mpcの向きと強磁性外側層26cにおける磁化Mpの向きとが互いに平行でかつ反対向きになるようにしたので、熱安定性を向上することができる。
さらに、少なくとも強磁性内側層26aの平均面内結晶粒径が3nm〜8nmになるようにしたので、強磁性内側層26aと結合層26bとの界面、および、結合層26bと強磁性外側層26cとの界面が平坦になる。これにより、積層体20の熱安定性がさらに向上し、かつ、交換結合磁界も大きくなる。加えて、交換結合磁界が大きくなるため、抵抗変化率も大きくなる。
また、強磁性内側層26aにおける磁化Mpの向きと強磁性外側層26cにおける磁化Mpcの向きとが互いに平行でかつ反対向きになるようにしたので、軟磁性層(第1軟磁性層23および第2軟磁性層24)に対する強磁性層26の磁化の影響が小さくなり、従って、薄膜磁気ヘッド100の出力の対称性が向上する。
<MR素子および薄膜磁気ヘッドの製造方法>
続いて、図8ないし図13を参照して、MR素子110および薄膜磁気ヘッド100の製造方法について説明する。なお、図8,図12および図13は、図4におけるV−V線に沿った断面構造を表している。また、図9ないし図11は、図4におけるVI−VI線に沿った断面構造を表している。
本実施の形態に係る製造方法では、まず、図8に示したように、例えば、Al2 3 ・TiCよりなる基体211の一側面上に、スパッタリング法により、絶縁層11を構成の欄で述べた材料を用いて形成する。次に、この絶縁層11の上に、例えば、めっき法により、下部シールド層12を構成の欄で述べた材料を用いて形成する。続いて、この下部シールド層12の上に、例えば、スパッタリング法により、下部シールドギャップ層13を構成の欄で述べた材料を用いて形成する。そののち、この下部シールドギャップ層13の上に、積層体20を形成するための積層膜20aを形成する。
ここで、積層膜20aの形成工程および積層体20の形成工程について詳説する。ここでは、まず、図9(A)に示したように、下部シールドギャップ層13の上に、例えばスパッタリング法により、下地層21を構成の欄で説明した材料を用いて成膜する。この成膜作業は、図示しない真空チャンバを用い、高真空のもとで行う。続いて、下地層21の表面に、O,N,H,Cu,Au,AgおよびRhからなる群のうち少なくとも1種を含む材料よりなる結晶成長抑制層22をアイランド状に分散形成する。
ここで、結晶成長抑制層22をO,NおよびHからなる群のうち少なくとも1種を含む材料により構成する場合には、上記の図示しない真空チャンバ内にO2 ガス,N2 ガスおよびH2 Oガスの少なくとも1つを導入することにより、下地層21の表面をO,NおよびHからなる群のうち少なくとも1種を含む雰囲気にさらす。真空チャンバ内の最適な真空度は、例えばO2 ガスを導入する場合、1×10-3Pa〜1Paである。また、結晶成長抑制層22をCu,Au,AgおよびRhからなる群のうち少なくとも1種を含む材料により構成する場合には、真空成膜法を用いる。ここで、真空成膜法とは、大気圧(約1×105 Pa)より低い圧力のもとで成膜を行う方法をいい、例えばPVD(Physical Vapor Deposition )法やCVD(Chemical Vapor Deposition )法などがある。
続いて、図示しない真空チャンバを高真空にし、結晶成長抑制層22に覆われた下地層21の表面に、例えばスパッタリング法を用いて、第1軟磁性層23を構成の欄で説明した材料を用いて成膜する。このとき、図9(B)に符号Gで示したように、第1軟磁性層23は、下地層21上にアイランド状に分散された結晶成長抑制層22を介して成長するので、第1軟磁性層23の結晶成長は抑制される。ここでは、第1軟磁性層23の平均面内結晶粒径は3nm〜8nmになる。
次に、第1軟磁性層23の上に、第2軟磁性層24,非磁性層25,強磁性内側層26a,結合層26bおよび強磁性外側層26cを順次構成の欄で説明した材料を用いて成膜する。ここでは、第1軟磁性層23における平均面内結晶粒径が3nm〜8nmと小さく、第1軟磁性層23の表面が平坦化されるため、その上に成膜される第2軟磁性層24,非磁性層25,強磁性内側層26a,結合層26bおよび強磁性外側層26cにおいても結晶成長が抑制され、その結果、これらの層の平均面内結晶粒径も3nm〜8nmとなる。従って、強磁性層26における強磁性内側層26aと結合層26bとの界面、および、結合層26bと強磁性外側層26cとの界面は平坦になる。
このように強磁性層26の強磁性内側層26aと結合層26bとの界面、および結合層26bと強磁性外側層26cとの界面が平坦になるため、熱安定性が向上する上、交換結合磁界が大きくなる。
強磁性層26の上には、例えばスパッタリング法により、反強磁性層27および保護層28を順次構成の欄で説明した材料を用いて成膜する。その際、反強磁性層27を非熱処理系反強磁性材料により構成する場合には、例えば、y方向(図7)に磁場を印加した状態で反強磁性層27を成膜する。これにより、強磁性層26の磁化の方向は、反強磁性層27との交換結合によって印加磁場の方向yに固定される。
そののち、図10(A)に示したように、積層膜20aの上に、積層体20の形成予定領域に対応してフォトレジスト膜401を選択的に形成する。なお、このフォトレジスト膜401は、後述するリフトオフを容易に行うことができるように、例えば、保護膜28との界面に溝を形成し、断面形状をT型とすることが好ましい。フォトレジスト膜401を形成したのち、例えば、イオンミリング法により、フォトレジスト膜401をマスクとして、積層膜20aをエッチングする。これにより、図10(B)に示したような積層体20が形成される。
積層体20を形成したのち、図11(A)に示したように、例えば、スパッタリング法により、積層体20の両側に、磁区制御用強磁性膜31a,31bおよび磁区制御用反強磁性膜32a,32bをそれぞれ順次形成する。その際、磁区制御用反強磁性膜32a,32bを非熱処理系反強磁性材料により構成する場合には、例えば、x方向に磁場を印加した状態で磁区制御用反強磁性膜32a,32bをそれぞれ形成する。これにより、磁区制御用強磁性膜31a,31bの磁化の方向は、磁区制御用反強磁性膜32a,32bとの交換結合によって印加磁場の方向xに固定される。
磁区制御膜30a,30bをそれぞれ形成したのち、同じく図11(A)に示したように、例えば、スパッタリング法により、磁区制御用反強磁性膜32a,32bの上に、リード層33a,33bをそれぞれ形成する。そののち、例えば、リフトオフ処理によって、フォトレジスト膜401とその上に積層されている堆積物402(磁区制御用強磁性膜、磁区制御用反強磁性膜およびリード層の各材料)を除去する。
リフトオフ処理を行ったのち、図11(B)および図12(A)に示したように、例えば、スパッタリング法により、下部シールドギャップ層13および積層体20を覆うように、上部シールドギャップ層14を構成の欄で説明した材料を用いて形成する。これにより、積層体20は下部シールドギャップ層13と上部シールドギャップ層14との間に埋設される。そののち、上部シールドギャップ層14の上に、例えば、スパッタリング法により、上部シールド層15を構成の欄で説明した材料を用いて形成する。
上部シールド層15を形成したのち、図12(B)に示したように、例えば、スパッタリング法により、上部シールド層15の上に、記録ギャップ層41を構成の欄で説明した材料を用いて形成し、この記録ギャップ層41の上に、フォトレジスト層42を所定のパターンに形成する。フォトレジスト層42を形成したのち、このフォトレジスト層42の上に、薄膜コイル43を構成の欄で説明した材料を用いて形成し、この薄膜コイル43を覆うようにフォトレジスト層44を所定のパターンに形成する。フォトレジスト層44を形成したのち、このフォトレジスト層44の上に、薄膜コイル45を構成の欄で説明した材料を用いて形成し、この薄膜コイル45を覆うようにフォトレジスト層46を所定のパターンに形成する。
フォトレジスト層46を形成したのち、図13(A)に示したように、例えば、薄膜コイル43,45の中心部に対応する位置において、記録ギャップ層41を部分的にエッチングし、磁路形成のための開口部41aを形成する。そののち、例えば、記録ギャップ層41、開口部41a、フォトレジスト層42,44,46の上に上部磁極47を構成の欄で説明した材料を用いて形成する。上部磁極47を形成したのち、例えば、この上部磁極47をマスクとして、イオンミリングにより、記録ギャップ層41および上部シールド層15を選択的にエッチングする。そののち、図13(B)に示したように、上部磁極47の上に、オーバーコート層48を構成の欄で説明した材料を用いて形成する。
オーバーコート層48を形成したのち、例えば、積層体20の強磁性層26および磁区制御用強磁性膜31a,31bを熱処理系反強磁性材料によりそれぞれ構成する場合には、それらの磁界の方向を固定するための反強磁性化処理を行う。具体的には、反強磁性層27と強磁性層26とのブロッキング温度(界面で交換結合が生じうる温度)が磁区制御用反強磁性膜32a,32bと磁区制御用強磁性膜31a,31bとのブロッキング温度よりも高い場合には、磁界発生装置等を利用して例えばy方向に磁場を印加した状態で、薄膜磁気ヘッド100を反強磁性層27と強磁性層26とのブロッキング温度まで加熱する。これにより、強磁性層26の磁化の方向は、反強磁性層27との交換結合によって印加磁場の方向yに固定される。続いて、薄膜磁気ヘッド100を磁区制御用反強磁性膜32a,32bと磁区制御用強磁性膜31a,31bとのブロッキング温度まで冷却し、例えばx方向に磁場を印加する。これにより、磁区制御用強磁性膜31a,31bの磁化の方向は、磁区制御用反強磁性膜32a,32bとの交換結合によって印加磁場の方向xにそれぞれ固定される。
なお、反強磁性層27と強磁性層26とのブロッキング温度が磁区制御用反強磁性膜32a,32bと磁区制御用強磁性膜31a,31bとのブロッキング温度よりも低い場合には、上の作業順序は逆になる。また、反強磁性層27または磁区制御用反強磁性膜32a,32bを非熱処理系反強磁性材料により構成する場合には、この熱処理を行う必要がない。更に、ここではオーバーコート層48を形成したのちに反強磁性化のための熱処理を行うようにしたが、強磁性層26および反強磁性層27を成膜したのちオーバーコート層48を形成する前に行うようにしてもよく、また磁区制御膜30a,30bを成膜したのちオーバーコート層48を形成する前に行うようにしてもよい。
最後に、例えば、スライダの機械加工により、エアベアリング面を形成し、図3または図5に示した薄膜磁気ヘッド100が完成する。
<第1の実施の形態による効果>
このように本実施の形態によれば、強磁性内側層26aの平均面内結晶粒径を3nm〜8nmとするようにしたので、特に、強磁性内側層26aと結合層26bとの界面における平均面内結晶粒径を3nm〜8nmとするようにしたので、強磁性内側層26aと結合層26bとの界面、および結合層26bと強磁性外側層26cとの界面をいずれも平坦にすることができる。従って、熱安定性を向上させることができ、かつ、交換結合磁界を大きくすることができる。加えて、交換結合磁界を大きくすることで、抵抗変化率も大きくすることができる。
特に、結晶成長抑制層22を、下地層21の表面に設けるようにすれば、不純物の存在による再生ヘッド特性への悪影響を最小限に抑えることができる。
更に、結晶成長抑制層22をO,NおよびHのうちの少なくとも1種を含む材料により形成する場合には、積層体20における結晶成長抑制層22を形成する部分をO,NおよびHのうちの少なくとも1種を含む雰囲気にさらすようにすれば、簡単な方法で結晶成長抑制層22を形成することができる。また、結晶成長抑制層22をCu,Au,AgおよびRhのうちの少なくとも1種を含む材料により形成する場合には、真空成膜法を用いれば、簡単な方法で結晶成長抑制層22を形成することができる。
加えて、結晶成長抑制層22を、積層体20の積層方向に直交する面内において分散形成するようにすれば、容易に、結晶成長抑制層22の上に形成される層の結晶成長を抑制することができる。
なお、上記の説明では、結晶成長抑制層22を下地層21と第1軟磁性層23との間に形成したが、第1軟磁性層23と第2軟磁性層24との間に形成してもよいし、第2軟磁性層24と非磁性層25との間に形成してもよい。また、結晶成長抑制層22を、下地層21,第1軟磁性層23,第2軟磁性層24あるいは非磁性層25の内部に形成してもよい。また、少なくとも強磁性内側層26aの平均面内結晶粒径が3nm〜8nmの範囲にあれば、下地層21,第1軟磁性層23,第2軟磁性層24,非磁性層25,結合層26bおよび強磁性外側層26cにおける平均面内結晶粒径は3nm〜8nmの範囲に入っていなくてもよい。
[第2の実施の形態]
次に、図14を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第1軟磁性層23から反強磁性層27までの各層の積層順番が第1の実施の形態と反対になっている。ここでは、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図14は、本実施の形態における積層体50の構成を表すものである。この積層体50は、下地層21の上に、反強磁性層27,強磁性外側層26c,結合層26b,強磁性内側層26a,非磁性層25,第2軟磁性層24,第1軟磁性層23および保護層28をこの順に積層することにより構成されている。
本実施の形態では、結晶成長抑制層51が、例えば反強磁性層27の内部に設けられており、これにより強磁性外側層26cの平均面内結晶粒径、特に強磁性外側層26cの結合層26bとの界面における平均面内結晶粒径が3nm〜8nmに抑制されるようになっている。結晶成長抑制層51は、第1の実施の形態の結晶成長抑制層22と同様に、結合層26bよりも基体211(図5)側に設けられていればよい。但し、結合層26bを反強磁性層27の内部に設けるようにすれば、不純物の存在による再生ヘッド特性への悪影響を最小限に抑えることができると共に、強磁性外側層26cの平均面内結晶粒径を容易に制御することができるので好ましい。なお、本実施の形態では、「結合層26bよりも基体211側」とは、積層体50の結合層26bよりも反強磁性層27側である。
ここで、反強磁性層27において、結晶成長抑制層51よりも下側(基体211側)の部分を反強磁性下層27aとし、結晶成長抑制層51よりも上側(強磁性層26側)の部分を反強磁性上層27bとする。
本実施の形態の積層体50は、以下のようにして製造される。すなわち、下地層21の上に、例えばスパッタリング法により、反強磁性下層27aを形成する。第1の実施の形態と同様、この成膜作業は、図示しない真空チャンバ内で行う。続いて、反強磁性下層27aの表面に、O,N,H,Cu,Au,AgおよびRhからなる群の少なくとも1種を含む結晶成長抑制層51をアイランド状に形成する。第1の実施の形態と同様、結晶成長抑制層51をO,NおよびHからなる群の少なくとも1種を含む材料により形成する場合には、真空チャンバ内にO2 ガス,N2 ガスおよびH2 Oガスを導入する。O2 ガスを導入した場合の真空チャンバ内の真空度は例えば1×10-3Pa〜1Paである。また、結晶成長抑制層51をCu,Au,AgおよびRhからなる群の少なくとも1種を含む材料により形成する場合には、真空成膜法を用いる。
続いて、図示しない真空チャンバ内を高真空にし、結晶成長抑制層51に覆われた反強磁性下層27aの表面に、例えばスパッタリング法を用いて、さらに反強磁性上層27bを成膜する。このとき、反強磁性上層27bの結晶は、分散された結晶成長抑制層51の隙間を介して成長するため、結晶成長が抑制され、平均面内結晶粒径は例えば3nm〜8nmとなる。この反強磁性上層27bの上に、例えばスパッタリング法を用いて、強磁性外側層26c,結合層26b,強磁性内側層26a,非磁性層25, 第2軟磁性層24,第1軟磁性層23,保護層28を順次成膜する。なお、下地層21,反強磁性層27,強磁性内側層26a,結合層26b,強磁性外側層26c,非磁性層25,第2軟磁性層24,第1軟磁性層23,保護層28の材質は、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、反強磁性層27の反強磁性上層27bの平均面内結晶粒径が3nm〜8nmに抑制されているため、その上に形成される反強磁性上層27b,強磁性内側層26a,結合層26bおよび強磁性外側層26cにおける結晶成長が抑制され、いずれも、例えば平均面内結晶粒径が3nm〜8nmとなる。従って、第1の実施の形態と同様に、強磁性内側層26aと結合層26bとの界面、および、結合層26bと強磁性外側層26cとの界面は平坦になる。従って、熱安定性を向上させることができ、かつ、交換結合磁界を大きくすることができる。加えて、交換結合磁界を大きくすることで、抵抗変化率も大きくすることができる。
なお、上記の説明では、結晶成長抑制層51を反強磁性層27の内部に設けるようにしたが、第1の実施の形態と同様に、結晶成長抑制層51を下地層21の表面に形成しても良く、全く同一の効果を得ることができる。また、結晶成長抑制層51を、下地層21の内部に形成するようにしても良い。
次に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
[実施例1〜5]
実施例1〜5として、図7に示した積層体20を作製した。まず、真空チャンバ内において、表面にAl2 3 膜が形成されたAl2 3 ・TiCよりなる絶縁性基板の上に、スパッタリング法により、Taを用いて厚さ3nmの下地層21を成膜した。次に、真空チャンバ内にO2 ガスを導入して真空度が5×10-3Paになるようにし、下地層21の表面にOを吸着させることにより、結晶成長抑制層22を形成した。続いて、結晶成長抑制層22の上に、NiFeを用いて厚さ2nmの第1の軟磁性層23を成膜し、その上に、CoFeを用いて厚さ2nmの第2軟磁性層24を成膜し、その上に、Cuを用いて厚さ2.1nmの非磁性層25を成膜した。非磁性層25の上に、CoFeを用いて厚さ3nmの強磁性内側層26aを成膜し、その上に、Ruを用いて結合層26bを成膜し、その上に、CoFeを用いて厚さ1nmの強磁性外側層26cを成膜した。その際、実施例1〜5で結合層26bの厚さを表1に示したように変化させた。強磁性外側層26cの上には、PtMnを用いて13nmの反強磁性層27を成膜し、その上に、Taを用いて厚さ3nmの保護層28を成膜した。熱処理系反強磁性材料(PtMn)を用いて反強磁性層27を形成するようにしたので、成膜ののち、250度で5時間の加熱による反強磁性処理を行った。
Figure 2006114932
ここで、実施例1〜5のうち、実施例4の積層体20の製造工程において、下地層21,結晶成長抑制層22,第1の軟磁性層23,第2軟磁性層24,非磁性層25および強磁性内側層26aを順次成膜したのち、その強磁性内側層26aの表面をTEMにより観察することにより、強磁性内側層26aにおける平均面内結晶粒径を求めた。その結果を表2に示す。また、本実施例に対する比較例1〜5として、結晶成長抑制層22を形成しないことを除き、実施例1〜5と同一の条件で積層体を作製した。また、比較例1〜5のうち、比較例4の積層体について、強磁性内側層の平均面内結晶粒径を求めた。その結果を表2に合わせて示す。
Figure 2006114932
表2から、実施例4では、強磁性内側層26aにおける平均面内結晶粒径は6.7nmとなっており、比較例4では、強磁性内側層における平均面内結晶粒径は12.1nmとなっていることが分かった。すなわち、結晶成長抑制層22を設けることにより、強磁性内側層26aの平均面内結晶粒径を抑制できることが分かった。
このようにして作製した実施例1〜5の積層体20および比較例1〜5の積層体について、交換結合磁界を測定した。その結果を図15に示す。
図15から、交換結合磁界は結合層の厚さによって大きく変化するが、どの結合層の厚さについて見ても、実施例の交換結合磁界が比較例を上回っていることが分かった。すなわち、結晶成長抑制層22を設け、強磁性内側層26aにおける結晶成長を抑制することによって、交換結合磁界を大きくできることが分かった。なお、実施例1〜5の中では、結合層の厚さが0.9nmの実施例4において、最大の交換結合磁界1.9×105 A/mが得られた。
次に、実施例4の積層体20に検出電流を流しつつを加え、信号磁場の変化に対する抵抗の変化を調べ、抵抗変化率を求めた。その結果を図16に示す。また、比較例4の積層体についても、同様にして抵抗変化率を求めた。その結果を図17に示す。
図16および図17から分かるように、実施例4における抵抗変化率は10.0%であり、比較例4における抵抗変化率9.2%より大きな値が得られた。すなわち、結晶成長抑制層22を設け、強磁性内側層26aにおける結晶成長を抑制することによって、交換結合磁界のみならず、抵抗変化率も大きくできることが分かった。
次に、実施例4の積層体20および比較例4の積層体について耐熱試験を行った。耐熱試験は真空中における250℃での熱処理とし、耐熱試験前の交換結合磁界に対する耐熱試験後の交換結合磁界の変化率を測定した。その結果を図18に示す。なお、図18において、交換結合磁界の測定値には、±3%程度の誤差があるものとする。
図18から、比較例4では、加熱時間が10時間を越えると、交換結合磁界が大きく減少するのに対し、実施例4では、90時間加熱後でも、初期値とほぼ変わらない交換結合磁界を得ることができた。すなわち、結晶成長抑制層22を設け、強磁性内側層26aにおける結晶成長を抑制することによって、熱安定性を向上させることができることが分かった。
以上、いくつかの実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、軟磁性層が第1軟磁性層と第2軟磁性層との2層構造を有する場合について説明したが、軟磁性層は単層構造とされていてもよく、また3層以上の積層構造であっても良い。
また、図6に示した磁区制御膜30a,30bとしては、磁区制御用強磁性膜31a,31bと磁区制御用反強磁性膜32a,32bに代えて、硬磁性材料(ハードマグネット)を用いてもよい。この場合には、TiW(チタンタングステン合金)層とCoPt(コバルト白金合金)層との積層膜、あるいはTiW層とCoCrPt(コバルトクロム白金合金)層との積層膜などを用いることができる。
また、上記の実施の形態では、反強磁性層27および磁区制御用反強磁性層32a,32bを、いずれも、熱処理系反強磁性材料により形成したが、反強磁性層27を熱処理系反強磁性材料により形成し、磁区制御用反強磁性層32a,32bを非熱処理系反強磁性材料により形成しても良い。また、反強磁性層27を非熱処理系反強磁性材料により形成し、磁区制御用反強磁性層32a,32bを熱処理系反強磁性材料により形成しても良い。あるいは、反強磁性層27および磁区制御用反強磁性層32a,32bを、いずれも、非熱処理系反強磁性材料により形成しても良い。
更に、上記実施の形態では、本発明の磁気変換素子を複合型薄膜磁気ヘッドに用いる場合について説明したが、再生専用の薄膜磁気ヘッドに用いることも可能である。また、記録ヘッド部と再生ヘッド部の積層順序を逆にしても良い。
加えて、本発明の磁気変換素子の構成は、トンネル接合型磁気抵抗効果膜(TMR膜)に適用しても良い。更にまた、本発明の磁気変換素子は、上記実施の形態で説明した薄膜磁気ヘッドのほかに、例えば、磁気信号を検知するセンサ(加速度センサなど)や、磁気信号を記憶するメモリ等に適用することも可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る磁気変換素子を含む薄膜磁気ヘッドを備えたアクチュエータアームの構成を表す斜視図である。 図1に示したアクチュエータアームにおけるスライダの構成を表す斜視図である。 第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を表す分解斜視図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドのIV矢視方向から見た構造を表す平面図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドの図4におけるV−V線に沿った矢視方向の構造を表す断面図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドの図4におけるVI−VI線に沿った矢視方向の構造、すなわち図5におけるVI−VI線に沿った矢視方向の構造を表す断面図である。 図6に示した磁気変換素子における積層体の構成を表す斜視図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。 図8に示した工程を詳細に説明するための断面図である。 図9に続く工程を説明するための断面図である。 図10に続く工程を説明するための断面図である。 図11に続く工程を説明するための断面図である。 図12に続く工程を説明するための断面図である。 第2の実施の形態に係る磁気変換素子における積層体の構成を表す斜視図である。 実施例および変形例に係る磁気変換素子における結合層の厚さと交換結合磁界との関係を表す特性図である。 実施例に係る磁気変換素子における信号磁場と抵抗変化率との関係を表す特性図である。 変形例に係る磁気変換素子における信号磁場と抵抗変化率との関係を表す特性図である。 実施例および変形例に係る交換結合磁界の時間変化を表す特性図である。 従来の磁気変換素子における積層体の構成を表す斜視図である。
符号の説明
11…絶縁層、12…下部シールド層、13…下部シールドギャップ層、14…上部シールドギャップ層、15…上部シールド層、20,50…積層体、21…下地層、22…結晶成長抑制層、23…第1軟磁性層、24…第2軟磁性層、25…非磁性層、26…強磁性層、26a…強磁性内側層、26b…結合層、26c…強磁性外側層、27…反強磁性層、28…保護層、30a,30b…磁区制御膜、31a,31b…磁区制御用強磁性膜、32a,32b…磁区制御用反強磁性膜、33a,33b…リード層、41…記録ギャップ層、42,44,46…フォトレジスト層、43,45…薄膜コイル、47…上部磁極、48…オーバーコート層、100…薄膜磁気ヘッド、101…再生ヘッド部、102…記録ヘッド部、110…MR素子(磁気変換素子)、200…アクチュエータアーム、210…スライダ、211…基体、211a…エアベアリング面、220…支軸、230…腕部、300…記録媒体、401…フォトレジスト膜、402…堆積物。

Claims (20)

  1. 一対の互いに対向する面を有する非磁性層と、
    この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、
    前記非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、
    この強磁性層の前記非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層と
    を含む積層体を基体上に備えると共に、
    前記強磁性層が、前記非磁性層に近い側から、強磁性内側層と、結合層と、強磁性外側層とを有している磁気変換素子であって、
    前記強磁性内側層および前記強磁性外側層のうち、前記基体に近い方の層における結合層側界面の平均結晶粒径が3nm以上8nm以下であることを特徴とする磁気変換素子。
  2. 一対の互いに対向する面を有する非磁性層と、
    この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、
    前記非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、
    この強磁性層の前記非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層と
    を含む積層体を基体上に備えると共に、
    前記強磁性層が、前記非磁性層に近い側から、強磁性内側層と、結合層と、強磁性外側層とを有している磁気変換素子であって、
    前記強磁性内側層および前記強磁性外側層のうち、前記基体に近い方の層において、前記積層体の積層方向と直交する面内での平均結晶粒径が3nm以上8nm以下であることを特徴とする磁気変換素子。
  3. 前記積層体において、前記結合層よりも前記反強磁性層側および前記軟磁性層側の少なくとも一方に、酸素(O),窒素(N),水素(H),銅(Cu),金(Au),銀(Ag)およびロジウム(Rh)からなる群のうち少なくとも1種を含む材料よりなる結晶成長抑制層を備えていること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気変換素子。
  4. 前記結晶成長抑制層は、前記積層体の積層方向と直交する面内において分散して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の磁気変換素子。
  5. 前記強磁性内側層および前記強磁性外側層は、コバルト(Co)または鉄(Fe)からなる群のうちの少なくともコバルトを含む材料よりなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1に記載の磁気変換素子。
  6. 前記結合層は、ルテニウム(Ru),ロジウム,レニウム(Re)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含む材料よりなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1に記載の磁気変換素子。
  7. 一対の互いに対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、前記非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の前記非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを備えた積層体と、
    この積層体を支持する基体と
    を備えた薄膜磁気ヘッドであって、
    前記強磁性層が、前記非磁性層に近い側から、強磁性内側層と、結合層と、強磁性外側層とを有しており、
    前記強磁性内側層および前記強磁性外側層のうち、前記基体に近い方の層における結合層側界面の平均結晶粒径が3nm以上8nm以下であること
    を特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  8. 一対の互いに対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、前記非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の前記非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを備えた積層体と、
    この積層体を支持する基体と
    を備えた薄膜磁気ヘッドであって、
    前記強磁性層が、前記非磁性層に近い側から、強磁性内側層と、結合層と、強磁性外側層とを有しており、
    前記強磁性内側層および前記強磁性外側層のうち、前記基体に近い方の層において、前記積層体の積層方向と直交する面内での平均結晶粒径が3nm以上8nm以下であること
    を特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  9. 前記積層体において、前記結合層よりも前記基体側に、酸素,窒素,水素,銅,金,銀およびロジウムからなる群のうち少なくとも1種を含む材料よりなる結晶成長抑制層を備えていること
    を特徴とする請求項7または請求項8記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 前記結晶成長抑制層は、前記積層体の積層方向と直交する面内において分散して形成されていることを特徴とする請求項9に記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 前記強磁性内側層および前記強磁性外側層は、コバルトまたは鉄からなる群のうちの少なくともコバルトを含む材料よりなることを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  12. 前記結合層は、ルテニウム,ロジウム,レニウムおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含む材料よりなることを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  13. 一対の互いに対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、前記非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の前記非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを含む積層体を備えると共に、前記強磁性層が、前記非磁性層に近い側から強磁性強磁性内側層と結合層と強磁性外側層とを有している磁気変換素子を製造する方法であって、
    前記積層体において前記結合層よりも前記反強磁性層側および前記軟磁性層側の少なくとも一方に、前記積層体の積層方向に直交する面内において分散した結晶成長抑制層を形成する工程
    を含むことを特徴とする磁気変換素子の製造方法。
  14. 前記結晶成長抑制層を、酸素,窒素,水素,銅,金,銀およびロジウムからなる群のうち少なくとも1種を含む材料により形成するようにしたことを含むことを特徴とする請求項13記載の磁気変換素子の製造方法。
  15. 前記結晶成長抑制層の形成工程は、
    前記積層体において前記結晶成長抑制層が形成される部分を、酸素,窒素および水素からなる群のうち少なくとも1種を含む雰囲気にさらす工程
    を含むことを特徴とする請求項14記載の磁気変換素子の製造方法。
  16. 前記結晶成長抑制層の形成工程は、
    真空成膜法を用いて、銅,金,銀およびロジウムからなる群のうち少なくとも1種を含むように前記結晶成長抑制層を形成する工程
    を含むことを特徴とする請求項14記載の磁気変換素子の製造方法。
  17. 一対の互いに対向する面を有する非磁性層と、この非磁性層の一方の面側に形成された軟磁性層と、前記非磁性層の他方の面側に形成された強磁性層と、この強磁性層の前記非磁性層と反対の側に形成された反強磁性層とを含む積層体を備えると共に、前記強磁性層が、前記非磁性層に近い側から強磁性強磁性内側層と結合層と強磁性外側層とを有している磁気変換素子と、前記積層体を支持する基体とを備えた薄膜磁気ヘッドを製造する方法であって、
    前記積層体において前記結合層よりも少なくとも前記基体側に、前記積層体の積層方向に直交する面内において分散した結晶成長抑制層を形成する工程
    を含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  18. 前記結晶成長抑制層を、酸素,窒素,水素,銅,金,銀およびロジウムからなる群のうち少なくとも1種を含む材料により形成するようにしたことを特徴とする請求項17記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  19. 前記結晶成長抑制層の形成工程は、
    前記積層体において前記結晶成長抑制層が形成される部分を、酸素,窒素および水素からなる群のうち少なくとも1種を含む雰囲気にさらす工程
    を含むこと特徴とする請求項18記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  20. 前記結晶成長抑制層の形成工程は、
    真空成膜法を用いて、銅,金,銀およびロジウムからなる群のうち少なくとも1種を含むように前記結晶成長抑制層を形成する工程
    を含むこと特徴とする請求項18記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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