JP2006111429A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 用紙に形成された画像によって示される情報の漏洩を防止する画像形成装置の提供する。
【解決手段】印刷部おいて、用紙受け、剥離ガイド、排紙搬送手段47、搬送手段を変位させる変位手段、および表面印刷済み用紙を反転・再給紙する再給紙手段49を用いて、用紙が途中でループを描くようにしてスイッチバックさせて、用紙の保護すべき画像形成を行った側の面199とは反対側の面を、上に向けて排紙することが可能な画像形成装置。
【選択図】図16

Description

本発明は、用紙に形成された画像によって示される情報の漏洩を防止する画像形成装置に関する。
従来より、種々の方式によって画像形成を行う画像形成装置、たとえば、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕に記載されているように版胴にマスタを巻き付けて印刷を行う孔版印刷装置等の印刷装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置が提案されている。従来の画像形成装置においては、用紙の、画像形成を行った側の面が上方に向けて排紙されるようになっている。
特開平9−193526号公報 特開2003−312914号公報
しかし、形成された画像によって示される情報が機密情報であるなど、用紙に記録された情報の漏洩を防止する必要がある場合には、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕に記載された画像形成装置を含め、従来の画像形成装置には問題がある。すなわち、従来の画像形成装置においては、用紙の、画像形成を行った側の面が上方に向けて排紙されるようになっているため、第三者が排紙された用紙に記録された情報を容易に見ることができ、したがって、かかる情報の漏洩が生じやすいという問題がある。
たとえば、〔特許文献1〕に記載されている画像形成装置は、対向して配設された2つの版胴の間に用紙を通すことで印刷を行う孔版印刷装置であって、用紙の各面の画像面積率を自動認識し、画像面積率に応じて用紙の何れの面を上方に向けて排出するかを決定するように構成されているが、用紙の何れの面を上方に向けて排出するかを選択するにあたり、形成された画像によって示される情報が機密情報であるか否かについては考慮されていない。
また、〔特許文献2〕に記載されている画像形成装置は、版胴とプレスローラとの間のニップに用紙を通すことで印刷を行う孔版印刷装置であって、ニップを一度通過した用紙をスイッチバックさせて再びニップに通過させるための再給紙経路を有し、用紙の両面に画像形成を行う場合に、用紙をニップに通して片面に印刷を行った後、用紙を再給紙経路に通し再びニップを通過させて他の面に印刷を行うように構成されているが、〔特許文献1〕記載の画像形成装置と異なり、用紙の何れの面を上方に向けて排出するかの選択が行われることはない。また、形成された画像によって示される情報が機密情報であるか否かについては考慮されていない点については、〔特許文献1〕記載の画像形成装置と同様である。
本発明は、用紙に形成された画像によって示される情報の漏洩を防止する画像形成装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、用紙の、保護すべき画像形成を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙することが可能な画像形成装置にある。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、画像形成を行った用紙を反転させて排出するための反転手段を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記反転手段を制御して、用紙の、画像形成を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙するか否かの制御を行う制御手段を有することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記制御手段が、テストプリントを実施するか否かを、前記制御を行う条件とすることが可能であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記テストプリントが、画像位置調整後の画像位置を確認するための画像形成を含むことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項3ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記制御手段に対して所定の情報を入力する入力手段を有しているか、接続可能であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置であって、請求項4記載の画像形成装置に従属する画像形成装置において、前記入力手段により、テストプリントを行うときに、前記制御を行うか否かを入力可能であることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項2ないし7の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記反転手段を用いて用紙を反転させることで、用紙の両面に画像形成を行うことが可能であることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載の画像形成装置において、孔版印刷装置であることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の画像形成装置であって、請求項4記載の画像形成装置に従属する画像形成装置において、前記テストプリントが、版付け印刷を含むことを特徴とする。
本発明は、用紙の、保護すべき画像形成を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙することが可能な画像形成装置にあるので、用紙に形成された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に形成された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性および利便性の高い画像形成装置を提供することができる。
画像形成を行った用紙を反転させて排出するための反転手段を有することとすれば、反転手段を用いて用紙を反転させて排出させることによって用紙に形成された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に形成された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性および利便性の高い画像形成装置を提供することができる。
前記反転手段を制御して、用紙の、画像形成を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙するか否かの制御を行う制御手段を有することとすれば、制御手段により必要に応じて反転手段を用いて用紙を反転させて排出させることによって用紙に形成された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に形成された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性が高く、また利便性のさらに良好な画像形成装置を提供することができる。
前記制御手段が、テストプリントを実施するか否かを、前記制御を行う条件とすることが可能であることとすれば、テストプリントを実施するか否かを条件として制御手段により反転手段を用いて用紙を反転させて排出させることによって用紙に形成された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に形成された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性および利便性が高く、またテストプリントを行うか否かをかかる制御の条件とするか否かを選択でき、かかる制御の条件の選択に関して柔軟性が高いとともに、テストプリント時に画像形成を行った面を上に向けて排紙するよう制御するときには、行われた画像形成が所望のものかどうか容易に確認できる、利便性のさらに良好な画像形成装置を提供することができる。
前記テストプリントが、画像位置調整後の画像位置を確認するための画像形成を含むこととすれば、画像位置を確認するための画像形成を含むテストプリントを実施するか否かを条件として制御手段により反転手段を用いて用紙を反転させて排出させることによって用紙に形成された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に形成された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性および利便性が高く、またテストプリントを行うか否かをかかる制御の条件とするか否かを選択でき、かかる制御の条件の選択に関して柔軟性が高いとともに、画像位置を確認するための画像形成であるテストプリント時に画像形成を行った面を上に向けて排紙するよう制御するときには、画像位置調整後等において行われた画像形成が所望のものかどうか容易に確認できる、利便性のさらに良好な画像形成装置を提供することができる。
前記制御手段に対して所定の情報を入力する入力手段を有しているか、接続可能であることとすれば、入力手段から所定の情報を入力される制御手段により必要に応じて反転手段を用いて用紙を反転させて排出させることによって用紙に形成された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に形成された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性が高く、また利便性のさらに良好な画像形成装置を提供することができる。
前記入力手段により、テストプリントを行うときに、前記制御を行うか否かを入力可能であることとすれば、テストプリントを実施するときに制御手段により反転手段を動作させるか否かを入力手段によって設定することにより、テストプリント実施時にユーザーの必要に応じて反転手段を用いて用紙を反転させて排出させるか否かを設定でき、ユーザーの必要に応じて用紙に形成された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に形成された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性および利便性が高いとともに、テストプリント時等において用紙の何れの面を上に向けて排出するかを選択できるから、入力手段によりテストプリント時に画像形成を行った面を上に向けて排紙するように設定することができ、用紙の何れの面を上に向けて排出するかの選択に関して柔軟性が高く、行われた画像形成が所望のものかどうか容易に確認できる、利便性のさらに良好な画像形成装置を提供することができる。
前記反転手段を用いて用紙を反転させることで、用紙の両面に画像形成を行うことが可能であることとすれば、反転手段を用いて用紙を反転させて排出させることによって用紙に形成された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に形成された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性および利便性の高いとともに、省資源化等の要請から頻度の増している両面画像形成をも、反転手段を利用して行うことができるから、装置の大型化を抑制しながら両面画像形成を行うことができ、ユーザーの利便性がさらに高い画像形成装置を提供することができる。
画像形成装置が孔版印刷装置であることとすれば、一般に印刷枚数が多くユーザーが装置を離れた状態で印刷を継続させることが多く、情報保護の要請の高い孔版印刷装置において、用紙に印刷された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、形成された印刷画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に印刷された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性および利便性がさらに高い孔版印刷装置としての画像形成装置を提供することができる。
前記テストプリントが、版付け印刷を含むこととすれば、一般に印刷枚数が多くユーザーが装置を離れた状態で印刷を継続させることが多く、情報保護の要請の高い孔版印刷装置において、版付け印刷を含むテストプリントを実施するか否かを条件として制御手段により反転手段を用いて用紙を反転させて排出させることによって用紙に印刷された画像を第三者から容易に視認されることを防止し、印刷された画像によって示される情報が機密情報やプライバシーに関する情報であるなど、用紙に印刷された画像によって示される情報を漏洩から保護する必要がある場合にこれを達成することができ、ユーザーの信頼性および利便性が高く、またテストプリントを行うか否かをかかる制御の条件とするか否かを選択でき、かかる制御の条件の選択に関して柔軟性が高いとともに、孔版印刷装置において必ず行われる版付け印刷時に印刷を行った面を上に向けて排紙するよう制御するときには、製版後等において行われた印刷が所望のものかどうか容易に確認できる、利便性のさらに良好な孔版印刷装置としての画像形成装置を提供することができる。
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。本実施形態において同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。
図1を参照して、本発明を適用した両面印刷装置の一例としての両面孔版印刷装置200の全体構成について説明する。両面孔版印刷装置200は、図1に示すように、図1の左側上方に配置されロール状に巻かれたマスタ8を製版する製版部15と、図1における略中央部に配置され製版されたマスタ8(以下、「製版済みマスタ8」という)を外周面に巻装する版胴1およびこの版胴1の外周面に対して接離自在であり該版胴1上の製版済みマスタ8に用紙36を押し付ける押圧手段としてのプレスローラ21等を有する印刷部16と、版胴1を挟んで製版部15に対向して配置され版胴1上の使用済みマスタ8を剥離・排版する排版部17と、この排版部17の下方に配置され給紙台としての給紙トレイ35上の用紙36を印刷部16に向けて給送する給紙部30と、この給紙部30に対向して製版部15の下方に配置され印刷された用紙36を版胴1から剥離して排紙台としての排紙トレイ172に排出する排紙部19とを具備している。
また、両面孔版印刷装置200は、印刷部16においてその表面に印刷画像を形成された表面印刷済み用紙を一時的に貯容する再給紙貯容手段としての用紙受け45および表面印刷済み用紙を該用紙受け45に案内する案内手段としての剥離ガイド46を備え、図3に示す表面印刷済み用紙36aを用紙受け45に案内・搬送すべく変位する図3に示す第1の位置P1と両面印刷済み用紙36bや片面印刷済み用紙36cを排紙部19に案内・搬送すべく変位する図4等に示す第2の位置P2との間で変位自在な排紙搬送手段47と、この排紙搬送手段47を第1の位置P1と第2の位置P2との間に変位させる図12に示す変位手段48と、用紙受け45に貯容された表面印刷済み用紙を反転させて印刷部16に向けて再給紙する再給紙手段49とを有している。
また、両面孔版印刷装置200は、図13に示すように、版胴1、製版部15および排版部17(図13では共に省略している)が配設された印刷装置本体としての本体フレーム130の上部に配置され原稿受け台134上から移送される原稿133の画像または読取部としてのコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿等の画像を読み取る画像読取部18と、両面孔版印刷装置200の動作全般を制御する図15に示す制御手段としての制御装置100と、制御装置100に対して所定の情報を入力するための、両面孔版印刷装置200の正面位置に配設された、図14に示す入力手段としての操作パネル173とを具備している。上述した製版部15、印刷部16、排版部17、給紙部30、排紙部19、排紙搬送手段47、変位手段48、再給紙手段49および画像読取部18は、それぞれ後述するように装置としての構成を具備している。
用紙受け45と、剥離ガイド46と、排紙搬送手段47と、変位手段48と、再給紙手段49とは、後述するこれらの動作によって明らかになるように、画像形成すなわち印刷を行った用紙36を反転させて排出するための反転手段201を構成している。反転手段201は、後述する(動作例1)において説明する通常の片面印刷を行うときには、図16(a)において実線の矢印で示す直線状に用紙36を搬送し、また、後述する(動作例2)において説明する両面印刷を行うとき、および後述する(動作例3)において説明する情報保護モード時における片面印刷を行うときには、図16(b)において実線の矢印で示すように途中でループを描くようにしてスイッチバックさせて用紙36を搬送する。なお、図16においては、剥離ガイド46、変位手段48の図示を省略している。
製版部15は、マスタ8に製版を行い、図8に示すように、版胴1の回転方向(用紙搬送方向X、マスタ搬送方向X1でもある)に沿って表面印刷用の第1の製版画像8A(以下、「表面製版画像8A」と言い替える)と裏面印刷用の第2の製版画像8B(以下、「裏面製版画像8B」と言い替える)とを有する分割製版済みマスタ8X、あるいは同図に示すように、版胴1の回転方向に沿って表面製版画像8Aと裏面製版画像8Bとの2面分の画像量域を有する第3の製版画像8YA(以下、「片面製版画像8YA」と言い替える)を有する製版済みマスタ8Yを作製する機能・構成を有する。表面製版画像8Aは、分割製版済みマスタ8Xが版胴1の外周面上に巻装されたときに図1に示す表面領域1Aと対応する位置に形成され、裏面製版画像8Bは同裏面領域1Bと対応する位置に形成される。
図1、図8等において、製版済みマスタ8Yには括弧を付して示すことにより、分割製版済みマスタ8Xと区別する。図8において、製版済みマスタ8Yに形成された片面製版画像8YAの領域範囲を二点鎖線で示し、マスタ搬送方向X1の同領域範囲の境界線が表面製版画像8Aおよび裏面製版画像8Bの実線と重なるため、その領域範囲を少し大きめに図示しているが、片面製版画像8YAの領域範囲は、表面製版画像8A、裏面製版画像8Bおよびこれらの中間に位置する未製版の空白領域である中間未製版領域8Cを合わせた全範囲である。なお、図8においては、表面製版画像8A、裏面製版画像8B、中間未製版領域8C、片面製版画像8YAは、スケールアウトして描かれており、特に中間未製版領域8Cは誇張拡大して描いてある。
製版部15は、マスタ8をマスタ搬送方向X1に繰り出し可能に支持するマスタ支持手段としてのマスタ支持部材8cと、繰り出されたマスタ8を画像情報に応じて加熱製版するサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11にマスタ8を押圧しながらマスタ搬送方向X1下流側にマスタ8を回転しながら搬送するマスタ搬送手段としてのプラテンローラ9と、プラテンローラ9により搬送されて来たマスタ8を適度の張力を付与しながらさらにマスタ搬送方向X1下流側に搬送するマスタ搬送手段としての搬送ローラ対13と、プラテンローラ9と搬送ローラ対13との間に配設され製版済みマスタ8または未製版のマスタ8を所定の長さに切断するカッタ12と、プラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されてきたマスタ8の先端を後述するように版胴1上の拡開したクランパ7に案内するマスタガイド板14等とを具備する。
マスタ8は、連続シート状をなし、合成樹脂製のロール芯8bに巻き付けられてマスタロール8aが形成される。ロール芯8bは、マスタロール8aの両端面から突出していてマスタ8の幅よりも長く形成されている。マスタロール8aは、両端側のロール芯8bがマスタ支持部材8cにより反時計回りに回転自在に支持されていて、マスタ支持部材8cに対して着脱自在となっている。マスタ支持部材8cの両端側は、製版部15におけるマスタ搬送方向X1に沿ってその左右両側に配設されている図示しない製版側板対に取り付け固定されている。したがって、マスタ8は、マスタ支持部材8cによって、マスタロール8aからマスタ搬送方向X1に繰り出し可能に支持されている。
マスタ8は、例えば厚さが1〜5μmの熱可塑性樹脂フィルムと、合成繊維等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造をなす。なお、マスタは、これに限らず、例えば和紙繊維、あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体と熱可塑性樹脂フィルムとを貼り合わせたものや、いわゆる実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ等も用いられる。
サーマルヘッド11は、プラテンローラ9のプラテンローラ軸と図1の紙面の手前側および奥側に平行に延在して設けられていて、図示しないカムおよびバネ部材等を備えた接離機構により、マスタ8を介してプラテンローラ9に接離自在となっている。サーマルヘッド11は、上記バネ部材によりプラテンローラ9に接触する向きに付勢されている。サーマルヘッド11の主走査方向には、プラテンローラ9にマスタ8を介して当接する部位に多数の発熱素子(図示せず)が配設されている。サーマルヘッド11は、共に図示しないA/D変換部および画像信号処理部等を経て、製版制御装置およびサーマルヘッド駆動回路(共に図示せず)で処理されて送出されるデジタル画像信号に基づき上記発熱素子を選択的に加熱することにより、マスタ8を選択的に加熱溶融穿孔・製版する製版手段としての周知の機能を有する。
プラテンローラ9は、金属製の芯金を介してプラテンローラ軸と一体的に形成されている。プラテンローラ9は、プラテンローラ軸の両端部が上記製版側板対に回転可能に支持されていることにより、時計回りに回転自在となっている。プラテンローラ9は、タイミングベルトやギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介してマスタ搬送駆動手段としてのマスタ搬送モータ10に連結され、これにより時計回りに回転駆動される。マスタ搬送モータ10は、例えばステッピングモータからなる。上記構成のとおり、プラテンローラ9がマスタ搬送モータ10により時計回りに回転駆動されることにより、マスタ8はマスタロール8aから引き出されることとなる。
搬送ローラ対13は、バネ等の付勢手段により適度な押圧力を与えられて互いに圧接して設けられていて、各ローラ軸の両端部が上記製版側板対に回転自在に支持されていることにより互いに反対方向に回転自在となっている。搬送ローラ対13は、マスタ搬送モータ10を含む上記回転伝達部材によって、プラテンローラ9の周速度(搬送速度)よりもわずかに速い周速度(搬送速度)で回転するように設定されていて、マスタ8との間で滑りながら適度のフロントテンションをマスタ8に付与するようになっている。マスタ搬送モータ10を介してのプラテンローラ9および搬送ローラ対13周りの駆動系は、例えば本願出願人が提案した特開平11−77949号公報の図12に示されている回転伝達機構と略同様の機構を採用している。図15に示すように、製版部15において、サーマルヘッド駆動回路(図示せず)によって駆動されるサーマルヘッド11、マスタ搬送モータ10を含む製版部15の制御対象駆動手段を総括的に製版駆動手段124とする。
カッタ12は、固定刃12bおよび可動刃12aを備えたギロチンタイプの公知のものである。カッタ12は、上記ギロチンタイプに限らず、可動刃がマスタ搬送方向X1と直行するマスタ幅方向に回転しながら移動する回転刃移動タイプのものを用いてもよい。
版胴1は、多孔性で円筒状の支持円筒体と、その支持円筒体の外周を覆うように複数層巻き付けられた樹脂あるいは金属網体製のメッシュスクリーン(図示せず)との2層構造からなる。版胴1は、インキ通過性の多数の開孔が開けられた印刷可能な開口部1a(以下、「画像形成領域」というときがある)と、クランパ7等が設けられていて非印刷可能な非開口部(以下、「非画像形成領域」というときがある)とが、図1中矢印で示す版胴1の回転方向に沿って形成されている。上記画像形成領域は、図1中の版胴1における第1の画像領域1A(以下、「表面領域1A」という)と、中間領域1Cと、第2の画像領域1B(以下、「裏面領域1B」という)とを少なくとも含む領域である。
版胴1は、図示しない端板フランジの外周部に巻着・固設されていて、後述するインキパイプ5を兼ねる支軸5の周りに回転自在に支持されている。版胴1の大きさは、実施例的に言えば、例えば片面印刷時において最大でA3サイズの用紙36に印刷を行ってA3サイズの印刷物を得ることが可能な大きさ、すなわちA3サイズの1版のマスタ8を巻装可能な大きさを有しており、その外周直径が180mm(版胴1の外周長としては約565mm)に、その幅方向(回転中心軸線方向)の寸法が350mmに設定されている。
版胴1は、図示しないギヤやベルト等の駆動伝達手段を介して版胴駆動手段としてのメインモータ20に連結されていて、メインモータ20により図1中矢印方向(時計回り)に回転駆動される。メインモータ20としては、例えば制御用のDCモータが使用されている。メインモータ20の出力軸には、光学式のロータリエンコーダ(図示せず)とこれを挟み付けて該ロータリエンコーダとの協働作用によりパルスを発生する版胴センサ(図示せず)が設けられている。この版胴センサは、透過型の光学センサからなり、版胴1の回転速度(印刷速度)の制御や回転位置の割り出し等のために用いられる。
版胴1の内部には、図示しない側板に回転自在に支持されていて、図示しないギヤ等の駆動伝達手段によりメインモータ20の回転駆動力が伝達されて版胴1と同期して図中矢印方向(時計回り)に回転駆動され、版胴1の内周面に接触してインキを供給するインキローラ2と、インキローラ2とわずかな間隙を置いて平行に配置されインキローラ2との間に断面楔状のインキ溜まり4を形成するドクタローラ3と、インキ溜まり4へインキを供給するインキパイプ5とが配置されている。インキローラ2、ドクタローラ3およびインキパイプ5がインキ供給手段を構成しており、本形態では該インキ供給手段は単一のものとなっている。インキ溜まり4のインキは、版胴1の外部に設けられた図示しないインキパック等より図示しないインキポンプで吸引され、インキパイプ5の供給孔より供給されて混練される。インキ溜まり4のインキは、ドクタローラ3により計量されながらインキローラ2の外周面上に薄膜状に供給され、さらにインキローラ2の外周面が版胴1の上記支持円筒体内周面に接触することにより版胴1の開口部1a部分に供給される。
版胴1の上記非開口部外周面上の一部分には、版胴1の一つの母線に沿って設けられた強磁性体製のステージ6と、このステージ6の両側端に設けられたクランパ軸に回動自在に取り付けられ、ステージ6の平面部に対して開閉自在なゴム磁石を有するクランパ7とがそれぞれ設けられている。クランパ7は、本体フレーム側に設けられた開閉装置(図示せず)により所定位置において開閉される。版胴1は、クランパ7が図1に示す略真上に位置する状態、すなわち給版待機位置において停止されるようになっている。版胴1は、上記インキパックや上記インキポンプ等と一体的になされた版胴ユニットとして構成されており、両面孔版印刷装置200の本体フレームに対してインキパイプ5の軸線方向に挿脱自在になっている。
図1において紙面奥側の版胴1の端板フランジおよびこの端板フランジ近傍の本体フレーム側には、図9に示すように、版胴1の回転位置を検出することにより給紙部30の図1および図10に示す給紙モータ37およびレジストモータ41への起動(スタート)・トリガ情報を与える構成要素が配設されている。すなわち、図9に示すように、版胴1における奥側の上記端板フランジの外側壁には、給紙開始用遮光板121とレジスト開始用遮光板122とが版胴1の同円周上に所定の間隔をおいてそれぞれ所定の位置に取り付けられている。
一方、各遮光板121,122近傍の本体フレーム側には、給紙開始用遮光板121とレジスト開始用遮光板122とが取り付けられている版胴1の同円周上に対向してこれらを挟む態様で、給紙レジストセンサ120が取り付けられている。給紙レジストセンサ120は、発光部および受光部を具備する透過型の光学センサである。
本形態では、版胴1のホームポジション(初期位置)は、そのクランパ7が略真上に位置して製版部15から搬送されてくる分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yの先端部を受け取り保持する位置である給版待機位置と同様の位置に設定されている。版胴1における奥側の上記端板フランジ外側壁の所定位置には、版胴1のホームポジションを検出するための図示しないホームポジション用遮光板が取り付けられている。該ホームポジション用遮光板近傍の本体フレーム側には、版胴1の上記ホームポジション用遮光板に対向してこれを挟む態様で、ホームポジションセンサ(図示せず)が取り付けられている。該ホームポジションセンサは、透過型の光学センサである。図15において、上記版胴センサ、給紙レジストセンサ120および上記ホームポジションセンサを、版胴1の回転位置を検出する版胴位置検知手段としての版胴位置検知センサ29と総称する。
インキローラ2に対向する版胴1の外周面の下方近傍には、単一のプレスローラ21が配設されている。プレスローラ21は、金属製のプレスローラ軸21aに弾性体を一体的に固着して構成されており、版胴1の軸方向に延在して設けられている。プレスローラ21は、その横幅が版胴1の横幅と略同じ長さとなるように形成されている。プレスローラ21は、図2ないし図4に示すように、プレスローラ軸21aの両端部を介して、紙面の手前側および奥側に配設された押圧手段支持部材としての一対の印圧アーム22,22(紙面の手前側は省略されている)によって回転自在に支持されている。
各印圧アーム22は、概略倒立したL字形状をなし、紙面の手前側および奥側において略同様の形状および同一の位相をもって配設されている。各印圧アーム22は、その曲折部近傍の部位に取り付け固定されたアーム軸22aおよび図示しない連結補強部材によってそれぞれ一体化されている。図に表されている印圧アーム22の下端部には、後述する係止部材60の係止爪60aと選択的に係合する切欠22aが形成されている。アーム軸22aは、図12に示す本体フレーム130側に固設された一対の筐体側板130a,130bの間に図示しない軸受を介して所定角度回動自在に支持されている。
プレスローラ21は、耐油性を有する弾性体である例えばニトリルゴム(NBR)またはシリコーンゴム(Q)で形成されていて、少なくとも該ゴムの外周表面には、フッ素ゴム(FKM)やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜が平滑にコーティングされている。これにより、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yと接触したときや、図4を参照して後述するように表面印刷済み用紙36aの印刷画像面側のインキと接触することによる膨潤およびインキ汚れが最小となるようになされている。
プレスローラ21は、後で詳述する図2ないし図4に示す印圧範囲可変手段28および各印圧アーム22を介して、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yに未印刷の用紙36や表面印刷済み用紙36aを押し付ける図3および図4に示す印刷位置とこの印刷位置から離れた図1および図2に示す非印刷位置(初期位置でもある)との間で変位自在に構成されている。
上記のとおり、押圧手段支持部材としての一対の印圧アーム22は、押圧手段としてのプレスローラ21を回転自在に支持し、かつ、プレスローラ21を版胴1に対して接離自在とすべく変位可能に構成されている。印圧範囲可変手段28は、押圧手段接離手段としてのプレスローラ接離機構とも呼ばれることがある。
図2において、符号54は、プレスローラ21を回転駆動する押圧手段駆動手段としてのプレスローラ回転駆動手段を示す。プレスローラ回転駆動手段54は、プレスローラ21を、版胴1の周速度と略同じ周速度で版胴1の回転方向と反対方向に回転駆動する駆動手段としてのプレスローラ駆動モータ55と、プレスローラ駆動モータ55の回転駆動力をプレスローラ21に伝達する駆動力伝達手段とから主に構成される。プレスローラ駆動モータ55は、図2における紙面奥側の印圧アーム22の外側壁に取り付け固定されている。上記駆動力伝達手段は、図2に示すように、プレスローラ駆動モータ55の出力軸55aに固着された歯付きの駆動プーリ56と、印圧アーム22のさらに紙面の奥側に突き出たプレスローラ軸21aに固着された歯付きの従動プーリ57と、駆動プーリ56と従動プーリ57との間に掛け渡された歯付きの無端ベルト58とを具備している。
プレスローラ21は、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yに未印刷の用紙36や表面印刷済み用紙36aあるいは片面印刷済み用紙36cを圧接するタイミングに合わせて、プレスローラ駆動モータ55により回転駆動されるようになっている。プレスローラ駆動モータ55の作動は、図15に示す制御装置100によって制御される。上記駆動力伝達手段を介してのプレスローラ駆動モータ55の回転速度の制御は、上述したようにプレスローラ21の周速度が版胴1の周速度と略同じになるようになされる。本形態によれば、プレスローラ21がプレスローラ駆動モータ55によって版胴1の周速度と略同じ周速度で回転駆動されるので、印刷画像位置ずれのない良好な印刷物を得ることができる。
各印圧アーム22間には、上記プレスローラ21の他、再給紙レジスト部材としての再給紙レジストローラ51、給紙案内部材としてのローラガイド板50等が配設されている。再給紙レジストローラ51は、用紙受け45に貯容された表面印刷済み用紙36aの先端部をプレスローラ21との間に保持させ、プレスローラ21が版胴1に接触するときのプレスローラ21の回転により所定のタイミングを取って表面印刷済み用紙36aの先端を版胴1に搬送する機能を有する。再給紙レジストローラ51は、串刺し状に分割された複数のローラからなり、軸51aと一体的に形成されている。再給紙レジストローラ51は、プレスローラ21の下側においてその外周面がプレスローラ21の外周面に圧接した状態で配置されており、軸51aの両端部が各印圧アーム22間に回転自在に支持されていることにより、プレスローラ21の回転力を受けてプレスローラ21の回転方向と反対方向に従動回転する。
ローラガイド板50は、プレスローラ21の回転力によって搬送される表面印刷済み用紙36aをプレスローラ21の外周面に当接させて版胴1に向けて案内する機能を有する。ローラガイド板50は、表面印刷済み用紙36aをプレスローラ21の外周面に沿わせて案内するためにプレスローラ軸21aを中心とした湾曲した部分円筒形状をなし、プレスローラ21の外周面と所定の隙間を開けて各印圧アーム22間に固着されている。ローラガイド板50における表面印刷済み用紙36aの案内面側は、表面印刷済み用紙36aに対して摩擦係数が低く、かつ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜がコーティングされている。
上記のとおり、再給紙手段49は、表面印刷済み用紙36aをその外周表面に保持して版胴1に回転搬送する上記したプレスローラ21と、上記した再給紙レジスト部材としての再給紙レジストローラ51と、上記した再給紙案内部材としてのローラガイド板50とから主に構成されている。
次に、プレスローラ21の印圧範囲を決定している印圧範囲可変手段28周りの構成について詳述する。本形態では、図1および図8に示すように、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した表面領域1Aのみに印圧を付与する第1の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIと、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応した裏面領域1Bのみに印圧を付与する第2の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIと、版胴1上の製版済みマスタ8Yにおける片面製版画像8YAに対応して表面領域1Aから続けて裏面領域1Bに亘って印圧を付与する第3の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIIとの少なくとも3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換え可能になっている。これら3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換える印圧範囲可変手段28に係る機構が、図2ないし図7に示されている。印圧範囲可変手段28は、プレスローラ21を印刷位置と非印刷位置との間に変位させるための構成・機能を有する。
印圧範囲可変手段28は、上記したアーム軸22a、上記した印圧アーム対22,22、一対のカムフォロア24,24、一対の印圧バネ25,25、印圧カム軸26、一対の印圧カム27,27、一対の間欠カムギヤ65,65、一対の間欠カム駆動ギヤ66,66、一対の間欠カム67,67、間欠カム軸68、クラッチギヤ70、クラッチ胴71、スリーブ72、スプリングクラッチ73、カム駆動軸74、カム駆動ギヤ75、ストッパ76、第2ソレノイド77、スプリング78から主に構成される。
印圧範囲可変手段28を構成している上記構成要素は、図2ないし図4に示すように、プレスローラ21の均一な押圧力を版胴1の外周面に付与すべく、基本的にプレスローラ21における図1より見て紙面の手前側および奥側にそれぞれ配設されている(紙面の手前側は省略している)ので、紙面の奥側の構成要素を代表して説明することにより紙面の手前側の説明を省略する。なお、印圧範囲可変手段28は、上述したような利点をそれ程望まなくてもよいのであれば、印圧範囲可変手段28を構成する上記構成要素は、図1ないし図4の紙面の手前側および奥側に配設する例に限らず、例えば図1ないし図4の紙面の奥側のみに配設しても勿論構わない。
図2ないし図4に示すように、プレスローラ21が支持されている印圧アーム22の内側と対向する印圧アーム22の略中央の奥側外壁には、カムフォロア24が回転自在に軸を持って保持されている。カムフォロア24は、後述するように2枚の例えば板カムからなる印圧カム27および間欠カム67と当接することができるように紙面の奥側に長い転がり軸受で構成されている。印圧アーム22の他端部側には、プレスローラ21を常に版胴1の外周面に圧接する向きに付勢する印圧バネ25(引張バネ)の一端が係止され、印圧バネ25の他端は筐体側板130b側に係止されている。この印圧バネ25により、印圧アーム22の他端側は、アーム軸22aを中心として時計回りに揺動する向きに付勢されている。印圧アーム22の他端部には、後述する係止部材60の係止爪60aと係合可能な切欠22aが一体的に形成されていて、係止部材60と係脱可能となっている。
一方、図2ないし図5に示すように、各カムフォロア24近傍の筐体側板130a,130b側には、版胴1の回転と同期して回転する一対の印圧カム27,27(以下、紙面に表されている筐体側板130b奥側の印圧カム27を代表して説明する)を固着した印圧カム軸26が回転自在に支持されている。印圧カム27は、小径部(凹部部分)と大径部(凸部部分)とが形成された例えば板カムからなる。印圧カム軸26には、図示しないベルトプーリまたはギヤ等が固設されていて、図示しないベルトやギヤ等の駆動伝達手段を介してメインモータ20に連結されており、これにより印圧カム27が版胴1の回転と同期して回転するようになっている。上記した印圧バネ25により、カムフォロア24は印圧カム27に常に当接する向きに付勢されている。したがって、印圧カム27を回転駆動するカム駆動手段は、主としてメインモータ20で構成されている。
図2ないし図7において、符号64は、通紙時以外はプレスローラ21を図1および図2に示す非印刷位置(厳密には非印刷位置よりもさらに僅かに離間した初期位置である)で保持するための係止手段を示す。係止手段64は、印圧解除手段とも呼ばれることがあり、係止部材60、支軸61、第1ソレノイド62および引張バネ63から主に構成される。係止手段64は、紙面奥側に配設されている。
係止部材60は、紙面奥側の筐体側板130bに植設された支軸61の周りに揺動自在に支持されていて、その一端部には上記した印圧アーム22の切欠22bと選択的に係合する係合爪60aが形成されている。係止部材60の他端部には、係合爪60aを印圧アーム22の切欠22aに常に係合する向きに付勢する引張バネ63の一端が係止されている。引張バネ63の他端は、筐体側板130b側に係止されている。また、係止部材60の他端部における引張バネ63の配置部と対向する側には、筐体側板130bに図示しないブラケットを介して固着された第1ソレノイド62のプランジャ62aがピンを介して連結されている。第1ソレノイド62は、プル型を用いている。
上述した構成のとおり、第1ソレノイド62に通電されて第1ソレノイド62がオンされることにより、印圧範囲可変手段28を作動させることとなり、後述する詳細動作を介してプレスローラ21が印刷位置を占める。これによって、プレスローラ21は用紙36を版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yに回転させながら連続的に押し付ける。第1ソレノイド62への通電が遮断され第1ソレノイド62がオフされることにより、印圧範囲可変手段28を非作動にさせることとなり、後述する詳細動作を介してプレスローラ21が印刷位置から離れた図1に示す非印刷位置(初期位置)を占める。第1ソレノイド62は、後述する制御装置100によりオン/オフ制御される。制御装置100による第1ソレノイド62のオン/オフの切り換え制御によって、印圧アーム22を保持する状態とこの保持を解除する状態とに選択的に切り換えられる。第1ソレノイド62は、後述するように、カムフォロア24が印圧カム27の大径部や間欠カム67の大径部と当接した状態でオン作動される(図2参照)。
図5に示すように、間欠カム67は、間欠カムギヤ65と一体的に固着されており、印圧カム軸26に回転自在に支持されている。間欠カム67は、印圧カム27と別体的に設けられていて、小径部(凹部部分)と大径部(凸部部分)とが形成された例えば板カムからなり、印圧カム27と同様の形状を有している。間欠カム軸68は、筐体側板130a,130bに回転自在に支持されている。間欠カムギヤ65は、間欠カム軸68の一端側に固設された間欠カム駆動ギヤ66と常時噛み合っている。印圧カム軸26と間欠カム軸68とは、互いに反対方向に回転駆動されるようになっている。本形態では図2ないし図4に示すように、印圧カム27および印圧カム軸26は時計回りに、間欠カム駆動ギヤ66は反時計回りに回転し、間欠カム駆動ギヤ66で駆動される間欠カム67は印圧カム27と同じ時計回りに回転される。
間欠カム軸68の他端側には、クラッチ胴71が固設されている。クラッチギヤ70は、間欠カム軸68に回転自在に支持されている。クラッチギヤ70とクラッチ胴71との間には、スプリング73aを巻き付けて構成されたスプリングクラッチ73が介装されている。後述するように、クラッチギヤ70からスプリングクラッチ73を介してクラッチ胴71に回転力が伝達されるようになっている。
スプリングクラッチ73には、その外周部に扇形の凸部72aを有するスリーブ72が設けられている。スプリングクラッチ73におけるスプリング73aの一端は、クラッチギヤ70の右側突出部外周に巻かれていると共にスリーブ72に固定され、スプリングクラッチ73におけるスプリング73aの他端は、クラッチ胴71に固定されている。それ故に、クラッチ胴71、スリーブ72およびスプリングクラッチ73は、一体的に回転するように構成されている。スプリングクラッチ73は、回転駆動の方向に合わせてスプリング73aの巻き方向が設定されており、回転力伝達時にスプリング73aが巻き込まれてスプリング内径が小さくなるように上記巻き方向が決められ、いわゆる一方向性クラッチ(ワンウェイクラッチ)として使用されるものである。
クラッチギヤ70の近傍には、上記筐体側板に回転自在に支持され、メインモータ20の回転力が伝達されて駆動されるカム駆動軸74が設けられている。カム駆動軸74の端部にはカム駆動ギヤ75が固設されていて、このカム駆動ギヤ75は、クラッチギヤ70と常時噛み合っていてクラッチギヤ70を反時計回りに回転駆動する。本形態ではカム駆動軸74を駆動する駆動手段は、メインモータ20の回転力が図示しない回転伝達手段を介して伝達される構成による駆動手段を採用しているが、これに限定されず、メインモータ20と別個に設けられ少なくとも印刷時に回転駆動される、あるいは常時回転駆動される電動モータ等であってもよい。
図6および図7に示すように、クラッチ胴71およびスリーブ72の近傍の上記筐体側板には、ストッパ支軸76Aに軸支された略U字形のストッパ76が配設されている。ストッパ76は、例えば板金等でできていて、ストッパ76の両端部には、スリーブ72の凸部72aと選択的に係合する第1係合部76aおよび第2係合部76bが形成されている。
第1係合部76a形成側のストッパ76の端部には、第2ソレノイド77のプランジャ77aがピンを介して連結されており、後述する制御装置100によりオン/オフ制御される。第2ソレノイド77は、プル型を用いており、上記筐体側板側に固定されている。ストッパ76と第2ソレノイド77本体との間には、圧縮バネからなるスプリング78がプランジャ77aに巻着される態様で介装されている。それ故に、スプリング78の付勢力によって、ストッパ76はストッパ支軸76Aを中心として常に図において時計回りに揺動する習性を与えられている。上記のとおり、第2ソレノイド77および上記駆動手段(主としてメインモータ20)は、間欠カム67を駆動する間欠カム駆動手段としての機能を有する。
図6および図7に示されている何れの状態においても、スリーブ72の凸部72aは、ストッパ76の第1係合部76a、第2係合部76bに突き当て・係合していて、その回転を阻止・停止させられており、カム駆動軸74の回転は間欠カム軸68に伝達されない。これらの状態では、ストッパ76によるスリーブ72の回転阻止力の方が、クラッチギヤ70の右側突出部外周面とこれに巻かれているスプリング73aとの間の摩擦力より大きいためクラッチギヤ70は空転しているだけである。したがって、カム駆動軸74の回転は間欠カム軸68に伝達されず、間欠カム67はその位置に停止したままである。図6に示すように、ストッパ76の第1係合部76aがスリーブ72の凸部72aと係合していてスリーブ72の回転が阻止されている状態では、クラッチギヤ70とクラッチ胴71との連結は断たれていて、図2に示すように間欠カム67の大径部はカムフォロア24の略反対側で保持されるようになっている。この時、印圧カム27の大径部は、同図2に示すようにカムフォロア24に乗り上げた状態で保持されるようになっている。
図6に示す状態から図7に示すように、第2ソレノイド77に通電されて第2ソレノイド77がオンされることにより、プランジャ77aがスプリング78の付勢力に抗して図7中矢印上向きに引き上げられることによって、ストッパ76の第1係合部76aとスリーブ72の凸部72aとの係合が解除されると、図5においてスプリングクラッチ73が接続された状態となる。これにより、カム駆動軸74の回転がスプリングクラッチ73を介してクラッチ胴71に伝達される。すなわち、クラッチ胴71、スリーブ72、スプリングクラッチ73およびクラッチギヤ70が一体で回転し、上記駆動手段の回転力が間欠カム軸68、間欠カム駆動ギヤ66、間欠カムギヤ65を介して間欠カム67に伝達されて、間欠カム67の大径部が図2において略右真横位置まで回転してカムフォロア24に押し付けられることとなる。
そして、クラッチ胴71が図6に矢印で示す反時計回り方向に所定角度回転して、図7に示すように、ストッパ76の第2係合部76bがスリーブ72の凸部72aに係合することによりスリーブ72の回転を阻止されると、スプリングクラッチ73の接続が再び断たれて、間欠カム67の大径部が図2において略反対位置まで回転した後にその位置で保持される。これにより、カムフォロア24が間欠カム67の大径部に乗り上げた状態で保持されて、プレスローラ21が版胴1との押圧状態から離間して非印刷位置を占めた状態で保持される。
次いで、所定時間後、第2ソレノイド77への通電が遮断されて第2ソレノイド77がオフされると、スプリング78の付勢力によってストッパ76が上記したとは反対の時計回りに回転することにより、ストッパ76の第2係合部76bとスリーブ72の凸部72aとの係合が解除されることで、スプリングクラッチ73が再度接続された状態となり、これにより上記したと同様にクラッチ胴71等とクラッチギヤ70が一体で回転し、上記駆動手段の回転力が間欠カム軸68、間欠カム駆動ギヤ66と噛合する間欠カムギヤ65を介して間欠カム67に伝達されて、間欠カム67の大径部が図2に示す位置近傍に回転され、次いでストッパ76が所定角度回転して図6に示すようにストッパ76の第1係合部76aがスリーブ72の凸部72aと係合することによって、スプリングクラッチ73の接続が再度断たれて、間欠カム67の大径部が図2に示す初期位置まで回転した後その位置で保持される。なお、間欠カム67が動作するときには、係止手段64の第1ソレノイド62がオフ制御されることにより、プレスローラ21が非印刷位置に保持されるようになっている。
プレスローラ21が版胴1の外周面から離間する点(押圧領域の後端)は、インキ付着によるプレスローラ21の汚れを防止するために、分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yの版胴1への巻装長さよりもやや短めになるように、印圧カム27の小径部の範囲が設定されている。通常の片面印刷動作に用いられる印圧カム27に加えて、図15に示す制御装置100による第2ソレノイド77のオン/オフの切り換え制御を利用することによって、図8に示すようなプレスローラ21による印圧範囲を変えることが上述したような簡易な構成で容易にできる。
本形態では、印圧カム27や間欠カム67の山の部分、すなわち各カム27,67の何れか一方の大径部が印圧バネ25の付勢力に抗してカムフォロア24と圧接することにより、プレスローラ21による印圧をオフ・解除するようになっていて、プレスローラ21は図2に示す非印刷位置を占める。各カム27,67の大径部がカムフォロア24との圧接を解除され、かつ、各印圧バネ25の付勢力によってプレスローラ21の外周面が版胴1の外周面に圧接すると、プレスローラ21は図3や図4に示す印刷位置を占める。
図2ないし図4および図8において、印圧カム27は、基準となる通常印刷時用(片面印刷時用でもある)として使用される。印圧カム27は、図2ないし図4に示すように、その大径部の部分が版胴1外周部のクランパ7突出部分を逃げるための印圧オフの部分であり、その小径部の部分が表面印刷時および裏面印刷時を含む印圧オンの部分である。間欠カム67は、印圧カム27との共通部品化図るために印圧カム27と同じ物を用いているが、機能から見ればその大径部や小径部の形成範囲は印圧カム27と同様でなくても勿論構わない。
図8は、プレスローラ21の印圧範囲を分かりやすくこれを展開して図示したものである。図8において、同図8に図示しない版胴1上の開口部1aに巻装された分割製版済みマスタ8Xには、表面製版画像8Aの領域部分と裏面製版画像8Bの領域部分とが形成されていて、それらの間には未製版空白の中間未製版領域8Cを設けてある。ここで、同図8に図示しない版胴1のクランパ7に挟持・固定される先端余白部とも呼ばれる分割製版済みマスタ8Xの先頭側は左端側である。
片面印刷を含む通常印刷時用の印圧範囲パターンは、IIIのようになっている。すなわち、印圧範囲パターンIIIは、表面製版画像8Aの領域部分から中間未製版領域8Cを経て続けて裏面製版画像8Bの領域部分に亘って印圧を付与することにより、製版済みマスタ8Yの片面製版画像8YAに用紙36を連続して押し付けて印刷されるように、印圧カム27の小径部がカムフォロア24に対向するように印圧カム27が回転駆動される。
表面印刷時には、印圧範囲パターンIのようになっていて、表面製版画像8Aの領域部分に対応して印刷されるように、印圧カム27の小径部がカムフォロア24に対向するように印圧カム27が回転駆動され、次いで、中間未製版領域8C部分では印圧が解除されるように、間欠カム67の大径部がカムフォロア24に当接するように第2ソレノイド77がオン/オフ駆動制御される。
裏面印刷時には、印圧範囲パターンI Iのようになっていて、始めの表面製版画像8Aの領域部分では印圧が解除されるように間欠カム67の大径部がカムフォロア24に当接するように第2ソレノイド77がオン/オフ駆動制御され、次いで、印圧カム27の小径部がカムフォロア24に対向するように印圧カム27が回転駆動される。
上述したことを図2ないし図4および図8を参照してまとめると、次のようになる。すなわち、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した表面領域1Aのみに印圧を付与する第1の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIと、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応した裏面領域1Bのみに印圧を付与する第2の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIと、表面領域1Aから続けて裏面領域1Bに亘って印圧を付与する第3の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIIとの少なくとも3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換え可能になっている。これら3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換える機構が、上述した印圧範囲可変手段28である。
本形態では、例えば外来ノイズなどが原因で第2ソレノイド77を介して間欠カム67の動作が不安定になっても、版胴1の回転と同期して回転する印圧カム27を有することにより、この印圧カム27によって、プレスローラ21が版胴1の後端側で確実に版胴1から離間させられるので、プレスローラ21が版胴1のクランパ7突出部に乗り上げてしまうことで、プレスローラ21やクランパ7がダメージ(損傷)を受けたりしてしまうことが防止される。上述したように、見方を変えて表現するならば、第2ソレノイド77のオン/オフ動作を適宜・制御調整することにより、間欠カム67の大径部を任意の回転位置でカムフォロア24に当接させたり、間欠カム67の小径部を非接触状態で対向させたりすることができるものであるから、上記利点をそれ程望まなくてもよいのであれば、印圧範囲可変手段28から印圧カム27および印圧カム軸26を駆動する回転伝達手段のみを除去して、間欠カム67を用いて、上述した第1の印圧範囲パターンI、第2の印圧範囲パターンII、第3の印圧範囲パターンIIIに適合するように第2ソレノイド77のオン/オフ動作を制御することも可能である。
本形態では印圧範囲可変手段28の構成部品としてスプリングクラッチ73を用いて間欠カム67を回転・保持させているが、これに代えて、電磁クラッチと電磁ブレーキ装置を用いて間欠カム67を後述する第1の印圧範囲パターンや第2の印圧範囲パターンに適合するように回転・断続保持するような方式でもよい。あるいは、スプリングクラッチ73および上記駆動手段(主としてメインモータ20)に代えて、電磁クラッチ、電磁ブレーキ装置およびステッピングモータを用いて間欠カム67を後述する第1の印圧範囲パターンや第2の印圧範囲パターンに適合するように回転・断続保持するような方式でもよい。
排紙搬送手段47は、図1ないし図7に示すように、剥離爪170の下方近傍であって版胴1の左側に配置されている。排紙搬送手段47は、図1ないし図7および図12に詳しく示すように、筐体側板対130a,130bの間に回動自在に支持された駆動軸85に一体的に設けられた駆動ローラとしての排紙ローラ後84と、駆動軸85よりも用紙搬送方向Xの上流側であって剥離ガイド46の近傍に配置された従動軸87に一体的に設けられた従動ローラとしての排紙ローラ前86と、排紙ローラ後84と排紙ローラ前86との間に巻き掛け・張設され表面印刷済み用紙36a、印刷ニップ部16aから排出・搬送された両面印刷済み用紙36bおよび片面印刷済み用紙36cの何れか一つを保持して搬送する無端ベルトとしての空気吸引用の複数の孔88aが形成された排紙ベルト88と、駆動軸85にギヤやベルト等の駆動力伝達手段を介して連結され排紙ローラ後84の回転駆動を介して排紙ベルト88を回転駆動するベルト駆動手段としてのベルト駆動モータ90と、印刷ニップ部16aから排紙ベルト88に向けて排出・搬送された表面印刷済み用紙36a、両面印刷済み用紙36bおよび片面印刷済み用紙36cの何れか一つを複数の孔88aから空気を吸引することにより排紙ベルト88の上面または下面に吸引・保持させるための単一の吸引ファン89とから主に構成されている。
排紙ローラ後84および排紙ローラ前86は、串刺し状に分割されていて歯付きのローラからなり、例えばニトリルゴム(NBR)等の耐油性(耐インキ腐食性)を有する高摩擦材料で形成されているが、このような性質を有する材料であれば樹脂等であっても構わない。排紙ベルト88は、歯付きベルトからなり、複数本のものが串刺し状に分割された排紙ローラ後84と排紙ローラ前86との間にそれぞれ巻き掛けられ張設されている。排紙ベルト88は、表面印刷済み用紙36aの印刷画像面側に接触して保持・搬送するため、耐油性を有する弾性体である例えばニトリルゴム(NBR)またはシリコーンゴム(Q)で形成されていて、少なくとも該ゴムの外周表面には、フッ素ゴム(FKM)やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜が平滑にコーティングされている。吸引ファン89には、該吸引ファン89を正逆転駆動するファン駆動手段としてのファン駆動モータが内蔵されている。以下、説明の簡単化のために、該「ファン駆動モータ」のことを単に「吸引ファン89」というときがある。
排紙ベルト88は、図15に示す制御装置100からの指令信号に基づくベルト駆動モータ90の作動によって、排紙搬送手段47が第1の位置P1を占めたときと第2の位置P2を占めたときとで反対方向に回転され、かつ、表面印刷済み用紙36aを用紙受け45に搬送するときと用紙受け45から印刷部16に向けて再給紙するときとで反対方向に回転されるようになっている。また、吸引ファン89は、図15に示す制御装置100からの指令信号に基づく上記ファン駆動モータの作動によって、排紙搬送手段47が第1の位置P1を占めたときと第2の位置P2を占めたときとで反対方向に回転されるようになっている。
上記したとおり、排紙搬送手段47の外枠周りは、複数本の排紙ベルト88と、これらの排紙ベルト88間に設けられた筐体上部部材82と、この筐体上部部材82の外周下部に密着して取り付けられた筐体サイド部材81と、これらの筐体サイド部材81の下部に密着して取り付けられた筐体下部部材80とで略筐体構造をなしている。これにより、略筐体構造内の空気の吸引が効率よく行われて適度の負圧状態を形成するようになっている。
剥離ガイド46は、正面視で三角形状をなし、隣る排紙ベルト88間における筐体上部部材82から用紙搬送方向Xの上流側に突出して、筐体上部部材82および筐体下部部材80に一体的に固着されている。剥離ガイド46、筐体上部部材82および筐体下部部材80は、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜が平滑にコーティングされた適宜の樹脂で形成されている。剥離ガイド46は、排紙搬送手段47が第1の位置P1を占めたとき、印刷部16で印刷された表面印刷済み用紙36aを版胴1から剥離する剥離手段を兼ねている。
用紙受け45は、下面側の排紙ベルト88との間に所定の隙間を保持した状態で筐体下部部材80と一体的に固定されている。用紙受け45は、剥離ガイド46により表面印刷済み用紙36aが版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから剥離され排紙ベルト88に向けて排出・案内搬送される用紙搬送方向Xの下流側が開放されていて、排紙搬送手段47の用紙搬送方向Xにおける排紙ベルト88よりも長い用紙にも対応できるように工夫されている。
用紙受け45における用紙搬送方向Xの上流端部には、図1ないし図7に示すように、排紙ベルト88によって表面印刷済み用紙36aが用紙受け45に搬送されるとき、表面印刷済み用紙36aの後端がプレスローラ21近傍の所定位置で一時保持されるように検知するための表面印刷済み用紙検知手段としての再給紙センサ52が配設されている。再給紙センサ52は、反射型の光学センサからなり、表面印刷済み用紙36aの後端(図4に示す表面印刷済み用紙36aの右端)および前端(図4に示す表面印刷済み用紙36aの左端)を検知する機能も有する。
変位手段48は、筐体側板対130a,130bに設けられたラック93a,93bと、これらの各ラック93a,93bに噛み合うピニオン92a,92bと、これらのピニオン92aとピニオン92bとを連結する軸91と、軸91に固着されたウォームホイール94と、このウォームホイール94に噛み合うウォーム95と、このウォーム95を回転駆動する変位駆動手段としての揺動モータ96とから主に構成されている。
ラック93a,93bは、駆動軸85を中心とした扇形状に形成されている。筐体下部部材80の下部にはブラケット83が固設されていて、ブラケット83の両側端部で軸91が回動可能に支持されている。上記のとおり、排紙搬送手段47は、変位手段48によって、駆動軸85を支点として第1の位置P1と第2の位置P2との間で所定角度揺動自在になされており、第1の位置P1と第2の位置P2とで停止・保持される。排紙搬送手段47の上記した揺動・変位駆動は、後述するように制御装置100から送信されてくる指令信号が揺動モータ96に係る図示しないモータ駆動回路に入力されることにより行われる。
図12において、排紙搬送手段47は、両面孔版印刷装置200の図示しない電源オン時や片面印刷モード設定状態においては、第2の位置P2に停止保持されるように予め設定されていて、この位置が排紙搬送手段47のホームポジションとなっている。筐体側板130bの所定位置には、排紙搬送手段47のホームポジションを検知する例えば透過型の光学センサからなる図示しないホームポジション検知センサが配置されている。一方、排紙搬送手段47における図12の紙面右側の筐体サイド部材81には、上記ホームポジション検知センサと選択的に係合して遮光動作を行う図示しない遮光板が突出して形成されている。これに加えて第2の位置P2を検知するための、上記ホームポジション検知センサと同様の構成の位置検知センサを付設してもよい。後述する動作説明においては、その簡明化を図るため上記ホームポジション検知センサや上記位置検知センサによる詳細説明を省略する。
ここで、変位手段48により排紙搬送手段47を第1の位置P1と第2の位置P2との間に揺動・変位させ切り換える詳細動作を前もって説明することにより、後述する動作のそれを簡略的に説明するに留める。変位手段48による排紙搬送手段47の第1の位置P1から第2の位置P2への切換変位動作の詳細は次のとおりである。すなわち、図15に示す制御装置100からの指令信号が上記モータ駆動回路(図示せず)に入力されることにより、この指令信号に基づき、揺動モータ96が例えば正転駆動されることによって、ウォーム95を回転させ、このウォーム95に噛み合っているウォームホイール94、さらに、軸91、ピニオン92a,92bがラック93a,93bに沿って順次回転し、これにより排紙搬送手段47が駆動軸85を支点として図1における時計回りに揺動変位(下降)されることで行われる。変位手段48による排紙搬送手段47の第2の位置P2から第1の位置P1への切換変位動作は上記したとは反対に行われる。すなわち、制御装置100からの指令信号に基づき、揺動モータ96が例えば上記したとは反対に逆転駆動されることによって、最終的にピニオン92a,92bがラック93a,93bに沿って上記したとは反対方向に回転することで、排紙搬送手段47が駆動軸85を支点として時計回りに揺動変位(上昇)されることで行われる。
図15において、排紙搬送手段47の制御対象駆動手段としては、吸引ファン89、ベルト駆動モータ90、揺動モータ96等が含まれる。排紙搬送手段47の諸検知手段としては、上記ホームポジション検知センサ等が含まれる。
排版部17は、上排版部材160、下排版部材161、排版ボックス162、圧縮板163等を具備している。上排版部材160は、駆動ローラ164、従動ローラ165、無端ベルト166等を有している。駆動ローラ164は、図示しない排版モータを含む排版駆動手段126(図15参照)によって図1の時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト166が図1中矢印方向に移動する。下排版部材161は、駆動ローラ167、従動ローラ168、無端ベルト169等を有している。駆動ローラ167は、駆動ローラ164を回転駆動する上記排版モータの駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることにより、図1の時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルト169が図1の矢印方向に移動する。また、下排版部材161は、排版駆動手段126に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169が版胴1の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
排版ボックス162は、その内部に使用済みマスタを貯容するものであり、本体フレーム130に対して着脱自在に設けられている。圧縮板163は、上排版部材160と下排版部材161とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス162の内部に押し込むように本体フレーム130に上下動自在に支持されており、排版駆動手段126に含まれる昇降モータを含む図示しない昇降手段によって上下動される。排版部17は、上排版部材160、下排版部材161、排版ボックス162、圧縮板163等を有している。上排版部材160は、駆動ローラ164、従動ローラ165、無端ベルト166等を有している。駆動ローラ164は、排版モータを含む排版駆動手段126(図10参照)によって図1の反時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト166が図1中矢印方向に移動する。下排版部材161は、駆動ローラ167、従動ローラ168、無端ベルト169等を有している。駆動ローラ167は、駆動ローラ164を回転駆動する上記した排版駆動手段126の駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることにより、図1の時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルト169が図1の矢印方向に移動する。また、下排版部材161は、排版駆動手段126に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169が版胴1の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
排版ボックス162は、その内部に使用済みマスタを貯容するものであり、図13に示す本体フレーム130に対して着脱自在に設けられている。圧縮板163は、上排版部材160と下排版部材161とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス162の内部に押し込むように本体フレーム130に上下動自在に支持されており、排版駆動手段126に含まれる昇降モータを含む図示しない昇降手段によって上下動される。図15において、排版部17の上記排版モータ、上記移動手段、上記昇降モータを含む排版部17の制御対象駆動手段を総括的に排版駆動手段126とする。
給紙部30は、図1、図10および図11に示すように、用紙36を繰り出し可能に積載して昇降自在な上記した給紙トレイ35と、給紙トレイ35上の用紙36に接触してレジストローラ対31a,32b(以下、「レジストローラ対31」と略称する)のニップ部に向けて用紙36を1枚ずつ分離して搬送する給紙手段としての給紙ローラ33および分離部材34と、用紙36の用紙サイズを検出する用紙サイズ検出手段109と、版胴1の外周面とプレスローラ21との間に後述するタイミングを取って用紙36を給送するレジスト手段としてのレジストローラ対31等とを具備している。
給紙トレイ35は、給紙トレイ35を上下動させる図示しない昇降手段としての給紙トレイ昇降モータおよびワイヤ式昇降機構等を備えた駆動装置(図示せず)により、積載された用紙36の最上位が常に給紙ローラ33に所定の押圧力(用紙36が搬送可能な押圧力)をもって接触するように、すなわち用紙36の増減に連動して用紙36が搬送可能な範囲の押圧力で接触する状態を保持しつつ昇降される。給紙トレイ35は、多くの用紙種類および用紙サイズを使用できる構造を有すると共に、その用紙積載容量を例えば用紙サイズA3(縦)やA4の用紙36で500枚以上を積載可能とする孔版印刷装置に適した構造を有する。
給紙トレイ35には、図11に示すように、用紙サイズに応じて用紙36の両側端を位置決め揃えるための一対のサイドフェンス110a,110bが用紙幅方向Yに移動自在に配設されている。図11に、用紙サイズ検出手段109を示す。この用紙サイズ検出手段109は、サイドフェンス対110a,110bの用紙幅方向Yの移動に連動して用紙36の用紙サイズを検出するものである。用紙サイズ検出手段109は、移動自在なサイドフェンス対110a,110bと、給紙トレイ35の下部に配設されている不動部材に回動自在に取り付け支持されたピニオン116と、サイドフェンス110aの下部端縁部に形成されピニオン116と噛み合うラック部115と、サイドフェンス110bの下部端縁部に形成されラック部115に対向してピニオン116と噛み合うラック部114と、サイドフェンス110bのラック部114に対向する下部端縁部において下方に突出して折り曲げられ適宜の間隔をもって切り欠かれた複数の切欠きを備えた遮閉部114aと、給紙トレイ35の上記不動部材に適宜の間隔をもって固設され遮閉部114aとそれぞれ選択的に係合する複数(ここでは2つ)の横サイズ検知センサ118a,118bと、給紙トレイ35の上記不動部材における給紙方向Xに適宜の間隔をあけて固設された複数(ここでは3つ)縦サイズ検知センサ119a,119b,119cとから主に構成されている。
各横サイズ検知センサ118a,118bは、発光部および受光部を具備した透過型の光学センサであり、遮閉部114aとそれぞれ選択的に係合することにより用紙36における用紙幅方向Yの長さ・サイズを検出する。縦サイズ検知センサ119a,119b,119cは、反射型の光学センサである。縦サイズ検知センサ119a,119b,119cは、用紙36における給紙方向Xの長さ・サイズを検知する。各横サイズ検知センサ118a,118bおよび各縦サイズ検知センサ119a,119b,119cを総称して、用紙サイズ検知センサ117という。用紙サイズ検知センサ117は後述する制御装置100に電気的に接続されており、これらの用紙サイズ検知センサ117で検出されたサイズ信号データを組み合わせて制御装置100のCPU101が判断することにより、用紙36の用紙サイズを決定するものである。用紙サイズ検知センサ117は、用紙36の用紙サイズを検知する用紙サイズ検知手段としての機能を有する他、縦サイズ検知センサ119aは用紙36の有無を検知する用紙有無検知手段としての機能も有する。
なお、用紙36における用紙幅方向Yの長さ・サイズを検出する横サイズ検知センサおよび用紙36における給紙方向Xのサイズを検知する縦サイズ検知センサとしては、説明の簡明化のためにそれぞれ2つおよび3つとしたが、これ以上配設してより多くのサイズを検知できるようにしてもよい。このような用紙サイズ検知方式の詳細としては、本出願人が以前に提案した、例えば特開平9−30714号公報等に開示されている技術を挙げることができる。用紙サイズ検知方式としては、上述したような方式に限定されず、他の方式、例えば給紙側板(サイドフェンス)に連動して摺動子がスライドして、用紙サイズに応じて配置されている紙サイズ検知板の各端子と接触・接続して検知するもの等であってもよい。
給紙ローラ33は、図10に示すように、金属製の給紙ローラ軸33aと一体的に形成されていて、給紙ローラ軸33aの一端部が上記筐体側板に回転自在に支持されている。給紙ローラ33の表面は、少なくともゴム等の高摩擦抵抗部材で形成されている。給紙ローラ軸33aの一端部には、歯付きの給紙ローラプーリ39が取り付けられている。給紙ローラ軸33aと給紙ローラプーリ39との間には、用紙搬送方向Xにのみ用紙36を搬送するように給紙ローラ33を回転させる、つまり時計回りにのみ回転させるためのワンウェイクラッチ(図示せず)が配設されている。分離部材34は、用紙36に対する摩擦係数の高いゴムや樹脂で形成され給紙ローラ33に当接可能となっている分離パッドと呼ばれる部材を有している。この分離パッドは、付勢手段としての図示しない圧縮バネにより給紙ローラ33に押し付けられる向きに付勢されている。
図10に示すように、給紙ローラプーリ39の下方には、給紙ローラ33を回転駆動する給紙駆動手段としての給紙モータ37が上記筐体側板に固定して設けられている。給紙モータ37は、パルス入力で駆動するモータとしての例えばステッピングモータからなり、その出力軸には歯付きの給紙モータプーリ38が固設されている。給紙ローラプーリ39と給紙モータプーリ38との間には、歯付きの給紙モータベルト40が掛け渡されている。これにより、給紙ローラ33と給紙モータ37とは給紙モータベルト40およびを上記ワンウェイクラッチを介して回転駆動力伝達関係にある。
図1および図10に示すように、レジストローラ上31aは金属製のレジストローラ軸と、レジストローラ下31bは金属製のレジストローラ軸31cとそれぞれ一体的に形成されていて、各レジストローラ軸31cの両端部が上記筐体側板に回転自在に支持されている。下側のレジストローラ軸31cの一端部には、歯付きのレジストローラプーリ43が取り付けられている。レジストローラ下31bは、レジストローラ軸31cを介して、上記筐体側板に移動不能にかつ回転自在に支持されている。レジストローラ上31aは、レジストローラ下31bに対して所定のタイミングで当接するように図示しないレジストローラ接離手段を介して接離自在に設けられている。
図1および図10に示すように、レジストローラ下31bの下方には、レジストローラ対31を回転駆動するレジスト駆動手段としてのレジストモータ41が上記筐体側板に固定して設けられている。レジストモータ41は、パルス入力で駆動するモータとしての例えばステッピングモータからなり、その出力軸には歯付きのレジストモータプーリ42が固設されている。レジストローラプーリ43とレジストモータプーリ42との間には、歯付きのレジストモータベルト44が掛け渡されている。これにより、レジストローラ下31bとレジストモータ41とはレジストモータベルト44を介して回転駆動力伝達関係にある。
図1において、版胴1とプレスローラ21との間からレジストローラ対31のニップ部までの用紙搬送経路XAには、レジストローラ対31から送り出された用紙36の先端および後端を検知する用紙検知手段としての用紙検知センサ32が配設されている。用紙検知センサ32は、該用紙検知センサ32の配置位置(用紙36の先端を検知できる位置)よりも上流側の用紙搬送経路XAに用紙36が留まっていること(ジャム等を生じていること)を検知する機能も有する。用紙検知センサ32は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサである。
図15において、給紙部30の上記給紙トレイ昇降モータ、給紙モータ37、レジストモータ41を含む給紙部30の制御対象駆動手段を総括的に給紙駆動手段125とする。なお、給紙ローラ33を回転駆動する給紙駆動手段は、給紙モータ37等に限らず、メインモータ20からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって給紙ローラ33に伝達されることで、版胴1と同期した所定のタイミングで回転駆動されるように構成してもよい。同様に、レジストローラ対31を回転駆動するレジスト駆動手段は、レジストモータ41等に限らず、メインモータ20からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで、駆動ローラとしてのレジストローラ下31bが版胴1と同期した所定のタイミングで回転し、レジストローラ下31bに圧接された従動ローラとしてのレジストローラ上31aとによって、印刷部16における版胴1の外周面とプレスローラ21の外周面とが圧接して形成される印刷ニップ部16aに向けて用紙36や表面印刷済み用紙36aを所定のタイミングで給送するように構成してもよい。
排紙部19は、図1に示すように、版胴1の外周面に近接自在に設けられ、片面印刷済み用紙36cを版胴1上の製版済みマスタ8Yから剥離する剥離爪170と、剥離爪170で剥離された片面印刷済み用紙36cの先端部と版胴1との間に送風して剥離爪170による剥離作用を助勢するための剥離ファン171と、剥離爪170および剥離ファン171で剥離された片面印刷済み用紙36cおよび両面印刷済み用紙36bの何れか一方を吸引しつつ搬送する上記した排紙搬送手段47と、上記した排紙トレイ172とから主に構成されている。
剥離爪170は、版胴1の外周面にプレスローラ21が圧接することにより形成される印刷ニップ部における下流近傍に設けられている。剥離爪170は、版胴1の回転と同期して回転駆動されるカムおよびバネ等を具備した剥離爪変位手段(図示せず)により、版胴1の外周面に近接して版胴1上の製版済みマスタ8Yから片面印刷済み用紙36cを強制的に剥離する剥離位置と、この剥離位置から離間して版胴1の外周面から突出したクランパ7配置部との接触を避ける非剥離位置との間で変位自在に構成されている。剥離ファン171は、該剥離ファンを回転駆動するファン駆動モータを内蔵している。
図15において、排紙部19の剥離ファン171の上記ファン駆動モータ、排紙搬送手段47の吸引ファン89(上記ファンモータ)、ベルト駆動モータ90、揺動モータ96を含む排紙部19の制御対象駆動手段を総括的に排紙駆動手段127とする。
画像読取部18は、図13に示すように、複数枚の原稿133を積載する上記した原稿受け台134と、原稿133を載置する読取部としてのコンタクトガラス135と、原稿133を搬送する原稿搬送ローラ対136および原稿搬送ローラ137と、搬送される原稿133をガイドするガイド板138,139と、原稿133をコンタクトガラス135に沿って搬送する複数の原稿搬送ベルト140と、読み取られた原稿133を積載する原稿トレイ141と、コンタクトガラス135を除く上記各部材を支持しコンタクトガラス135に対して接離・開閉自在に設けられた圧板142と、原稿133の画像を照明しつつ走査して読み取るための反射ミラー143,144および蛍光灯145と、走査して読み取られた画像の反射光を集束するレンズ146と、集束された画像の反射光を処理するCCD(電荷結合素子)等を備えた画像センサ147等とを具備している。
上記構成中、原稿受け台134、原稿搬送ローラ対136、原稿搬送ローラ137、各ガイド板138,139、原稿搬送ベルト140および原稿トレイ141によって、コンタクトガラス135(読取部)上に原稿133を1枚ずつ給送する自動原稿給送手段としての自動原稿搬送装置(以下、「ADF」という)148が構成されている。また、コンタクトガラス135、各反射ミラー143,144、蛍光灯145、レンズ146および画像センサ147によって、原稿133の画像をコンタクトガラス135(読取部)上で読み取る原稿読取手段としてのスキャナ装置132が、各反射ミラー143,144、蛍光灯145およびレンズ146によって原稿走査光学系が、それぞれ構成されている。原稿搬送ローラ対136、原稿搬送ローラ137および原稿搬送ベルト140は、図示しない原稿搬送モータによって駆動される。スキャナ装置132には、スキャナ装置132を駆動するスキャナモータ(図示せず)が配設されている。
画像センサ147は受光した反射光に対応して光電変換をし、これにより得られた画像信号を上記A/D変換部に入力する。
コンタクトガラス135の下方近傍には、搬送される原稿133またはコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿の図において搬送方向(左右方向)の原稿の長さを検知する原稿縦サイズ検知センサ149a,149bおよび搬送される原稿133またはコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿の図において紙面の手前側および奥側の長さを検知する図示しない原稿横サイズ検知センサが配設されている。原稿縦サイズ検知センサ149a,149bおよび上記原稿横サイズ検知センサによって、搬送される原稿133またはコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿のサイズが検知され、以下、これらを原稿サイズ検知センサ149と総称する。原稿サイズ検知センサ149の原稿縦サイズ検知センサ149a,149bおよび上記原稿横サイズ検知センサは、共に反射型の光学センサであり、コンタクトガラス135上における反射量の違いにより原稿133の輪郭・サイズおよび原稿133の有無を検知する。原稿サイズ検知センサ149からの信号は、後述する制御装置100に入力される。原稿サイズ検知センサ149からの信号に基づいて、制御装置100は原稿サイズ(等倍のときには、マスタ8に製版・形成されるべき製版画像のサイズでもある)を判定し認識する。原稿受け台134の下方には、原稿受け台134上に残存している原稿133を検知する原稿検知センサ131が配設されている。原稿検知センサ131は、原稿受け台134上の原稿133が無くなったときに制御装置100に信号を出力する。図15において、画像読取部18の上記スキャナモータ、上記原稿搬送モータを含む排紙部19の制御対象駆動手段を総括的に読取駆動手段128とする。
次に、図14を参照して操作パネル173の細部構成を説明する。操作パネル173は、両面孔版印刷装置200に所定の動作等をさせるべく指示等をするためのものであり、図13に示した画像読取部18の近傍に配設されている。
操作パネル173は、その上面に製版スタートキー174、印刷スタートキー175、試し刷りキー176、連続キー177、クリア/ストップキー178、テンキー179、エンターキー180、プログラムキー181、モードクリアキー182、印刷速度設定キー183、4方向キー184、用紙サイズ設定キー185、情報保護キー186、両面印刷キー187、片面印刷キー188、7セグメントLED(発光ダイオード)からなる表示装置189、LCD(液晶表示装置)からなる表示装置190等を有している。
製版スタートキー174は、両面孔版印刷装置200に製版動作を行わせる際に押下され、製版スタートキー174が押下されると排版動作および原稿読取動作が行われた後に製版動作が行われ(図17(S2))、その後、図17において版付け工程と示す版付け動作が行われる。版付け動作の後、後述する連続モードが設定されていないとき、両面孔版印刷装置200は印刷待機状態となる(図17(S6))。印刷スタートキー175は、連続モードが設定されていないとき、両面孔版印刷装置200に印刷動作を行わせる際に押下され、両面孔版印刷装置200が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー175が押下されることにより、図17において印刷工程と示す印刷動作が行われる。試し刷りキー176は、両面孔版印刷装置200に試し刷り(図17(S7))を行わせる際に押下され、各種条件が設定し試し刷りキー176を押下して試し刷りすなわちテストプリントを設定すると、テストプリントとして1枚だけ印刷が行われるようになっている。連続キー177は、製版動作と印刷動作とを連続して行う際に製版スタートキー174の押下前に押下され、連続キー177の押下後、印刷条件が入力された後に製版スタートキー174が押下されると、排版動作、原稿読取動作、製版動作に引き続いて印刷動作が行われる。
クリア/ストップキー178は、両面孔版印刷装置200の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下される。テンキー179は、数値入力等に用いられる。エンターキー180は、各種設定時に数値等を設定する際に、プログラムキー181はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際にそれぞれ押下され、モードクリアキー182は、各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。印刷速度設定キー183は、印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下され、濃いめの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く、薄めの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を速く設定する。4方向キー184は、上キー184a、下キー184b、左キー184c、右キー184dを有しており、画像編集時に画像位置を調整するとき(図17(S11))あるいは各種設定時に数値や項目等を選択する場合等に押下される。用紙サイズ設定キー185は、用紙サイズを任意で入力する際に押下され、用紙サイズ設定キー185で入力された用紙サイズは用紙サイズ検知センサ73によって検知された用紙サイズに優先される。
両面印刷キー187は、両面孔版印刷装置200に両面印刷動作を行わせる際に製版スタートキー174の押下前に押下され、両面印刷キー187が押下されるとその近傍に配置されたLED187aが点灯して両面印刷モード設定状態であることが表示される。片面印刷キー188も、両面印刷キー187と同様に両面孔版印刷装置200に片面印刷動作を行わせる際に製版スタートキー184の押下前に押下され、片面印刷キー188が押下されるとその近傍に配置されたLED188aが点灯して片面印刷モード設定状態であることが表示される。両面孔版印刷装置200では、図示しない電源スイッチオン後の初期状態時においてLED188aが点灯しており、片面印刷モード設定状態となっている。
表示装置189は、主に印刷枚数等の数字を表示する。表示装置190は、階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キー190a,190b,190c,190dを選択して押下することにより、変倍や位置調整等の様々なモードへの変更および各モードでの設定が可能に構成されている。たとえば、連続モードを指定するか否かの設定を行うことができる。連続モードを設定すると、版付け動作の後、印刷待機状態となることなく、印刷動作が開始される。また、画像位置調整(図17(S11))を行うか否かの設定を行うことができる。画像位置調整を行うように設定すると、テストプリントを行うよう設定されているときにはテストプリントを行った後、テストプリントを行わないよう設定されているときには印刷動作開始後すぐに、4方向キー184を用いて印刷位置が調整できる状態となるようになっている。表示装置190には、図示したように「製版・プリントできます」のような両面孔版印刷装置200の状態が表示される他、製版あるいは排版ジャム、給紙あるいは排紙ジャム等の警告、用紙、マスタ、インキ等のサプライの供給指示等も表示される。
情報保護キー186は、押下する度に情報保護モードの設定と解除とを繰り返すよう構成されている。情報保護キー186を設定すると、後述する(動作例3)において説明するように、反転手段201が作動し、用紙36を、図16(b)において実線の矢印で示すように途中でループを描くようにしてスイッチバックさせて、用紙36の、画像形成すなわち印刷を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙する。ただし、情報保護モードにおいても、版付け動作時、テストプリント時、画像位置調整時には、反転手段201を動作しないように設定することができる。この設定は、表示装置190、選択設定キー190a,190b,190c,190dなど、操作パネル173を用いて行うことができるようになっており、版付け動作、テストプリント、画像位置調整のそれぞれが開始される直前に、反転手段201の非動作を設定するようにすることもできるし、版付け開始よりも前に一括してこれらそれぞれについて非動作とするか否かを設定するようにすることもできる。
反転手段201の非動作を設定した場合には、図16(a)において実線の矢印で示す直線状に用紙36を搬送し、印刷を行った側の面を上に向けて排紙するようになっている。
これら、各モード、各設定に応じた反転手段201の動作、非動作の制御は、後述する制御装置100によって行われるようになっている。
また、両面孔版印刷装置200には、制御装置100に対して所定の情報を入力する入力手段として、操作パネル173の他に、パーソナルコンピュータ等の、外部の入力手段を接続可能とすることができ、かかる入力手段を接続した場合には、これにより、上述した、操作パネル173によって入力される情報をすべて入力することが可能となるようになっている。また、かかる入力手段によって、形成すべき画像のデータすなわち印刷すべき画像のデータを入力することもできる。なお、かかる入力手段が両面孔版印刷装置200に接続可能である場合、操作パネル173は必ずしも必要ではない。
次に、図15を参照して、両面孔版印刷装置200の主たる制御構成を説明する。図15において、制御装置100は、両面孔版印刷装置200の主として原稿読取動作、製版動作、給紙動作および印刷動作を制御する制御手段としての機能・構成を有する。制御装置100は、CPU101(中央演算処理装置)、図示しないI/O(入出力)ポート、ROM102(読み出し専用記憶装置)、RAM103(読み書き可能な記憶装置)および図示しない電池付きのタイマ等を備え、それらが図示しない信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
制御装置100は、図1に示すように、本体フレーム130内の制御基板配置部に設けられている。制御装置100のCPU101(以下、説明の簡明化を図るため、単に「制御装置100」というときがある)は、操作パネル173からの各種信号および本体フレーム130に設けられた上記した各種センサからの検知信号およびROM102から呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部16の版胴駆動手段16、第1ソレノイド62、第2ソレノイド77、製版部15、給紙部30、排版部17、排紙部19、画像読取部18に設けられた各駆動手段、再給紙手段49に設けられたプレスローラ駆動モータ55、排紙搬送手段47に設けられた吸引ファン89、ベルト駆動モータ90、揺動モータ96の各作動等を制御し、両面孔版印刷装置200全体の動作を制御する。また制御装置100は、図15に総括的に示した版胴位置検知センサ29からの各種の版胴位置信号に基づいて、版胴1の回転位置の割り出し等の把握も行っている。
ROM102には、両面孔版印刷装置200全体の動作プログラムや必要なデータ等が記憶されており、この動作プログラムはCPU101によって適宜呼び出される。RAM103は、CPU101の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル173上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン/オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
上述の構成に基づき、本形態における両面孔版印刷装置200の操作手順を含む動作について、図1ないし図15を参照しながら詳細に説明する。この動作は、制御装置100による制御の下になされるため、各種モータや各種ソレノイド等のアクチュエータ(制御対象駆動手段)の起動、作動、停止等の詳細動作を説明する際において、制御装置100からの指令あるいは指令信号に基づきというような表現をできるだけ省略する。
(動作例1)まず、片面印刷モードを設定し、情報保護モードを設定せず、片面印刷を行う動作例1について説明する。動作例1は、従来の孔版印刷装置により片面印刷を行うる動作と略同様であり、印圧範囲パターンIIIが使用される。そのため、印圧範囲可変手段28の構成要素のうち通常印刷用の印圧カム軸26および印圧カム27が使用され、これらを除く図5ないし図7に示されている各構成要素は使用されない。よって、用紙36は、図16(a)において実線の矢印で示すように直線状に搬送され、用紙36の、画像形成を行った側の面である画像面199が上を向いた状態で排出される。動作例1では各動作を理解しやすくするために、マスタサイズとしてA3のものが、原稿サイズおよび用紙サイズとしてそれぞれA3サイズのものが用いられるものとする。なお、連続モードは設定せず、画像位置調整は行わないものとする。
ユーザは給紙トレイ35上に印刷に使用される用紙サイズとしてA3サイズの用紙36を積載し、圧板142を開放してコンタクトガラス135上に印刷すべきA3サイズの原稿を載置した後、再び圧板142を閉じる。その後、操作パネル173上の各種キーによって製版条件を設定した後、片面印刷キー188を押下して片面印刷モードを設定して製版スタートキー174を押下する。
ユーザは片面印刷モードであることをLED188aの点灯によって確認した後、製版スタートキー174を押下する。製版スタートキー174が押下されると、用紙サイズ検知センサ117から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ149から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御装置100に送られ、信号を受けた制御装置100は各信号を比較する。このとき、用紙サイズと原稿サイズとが同じ場合は直ちに画像読取動作が行われ、用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合には、制御装置100はその旨を表示装置190に表示してユーザに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御装置100からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行い、原稿サイズと画像サイズとを整合させるように構成してもよい。
上述したように、片面印刷モード設定状態においては、排紙搬送手段47はホームポジションである図1等に示す第2の位置P2に停止保持されている。この状態は、排紙搬送手段47に配設された図示しない上記遮光板と筐体側板130bに配設された図示しない上記ホームポジション検知センサとが係合していることにより、制御装置100によって認識されている。
製版スタートキー174が押下されてスタート信号が生成され、これが制御装置100に入力されると、排版から排紙に亘る一連の動作が自動的に行われる。これに先後して、上記給紙トレイ昇降モータがオンすることにより給紙トレイ35が上昇して、最上の用紙36が給紙ローラ33に当接することにより、図示しない給紙位置検知センサのオン検知によって最上の用紙36が給紙可能な状態になったことが制御装置100により判断されると、給紙装置30では給紙待機状態となる。
先ず、排版部17において、版胴1の外周面から使用済みマスタを剥離する排版動作が行われる。製版スタートキー174が押下されると版胴1が回転を開始し、版胴1はクランパ7が略真上となる上記ホームポジションに達すると、上記ホームポジションセンサから制御装置100にホームポジション信号が送られる。ホームポジション信号を受けた制御装置100は、このホームポジションを基点として図示しない上記エンコーダが発するパルス数を計測し、版胴1の外周面上に巻装された使用済みマスタの先端が従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169と対応する所定の排版位置に達したと判断すると、メインモータ20の作動を停止させる。
メインモータ20が停止されて版胴1が所定の排版位置で停止すると、メインモータ20および排版駆動手段126が作動して各駆動ローラ164,167が回転駆動されると共に、下排版部材161が版胴1側に移動し、従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169が使用済みマスタと当接する。すると、版胴1の回転および無端ベルト169の移動によって版胴1の外周面上よりすくい上げられた使用済みマスタは、下排版部材161と上排版部材160とで挟持搬送されて版胴1の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタは排版ボックス162内に廃棄された後、圧縮板163によって圧縮される。外周面上より使用済みマスタが全て剥離された後も版胴1は、回転を継続し、クランパ7が略真上に位置する所定の給版待機位置まで回転して停止する。版胴1が給版待機位置で停止すると、図示しない開閉装置が作動してクランパ7が開放され、両面孔版印刷装置200は給版待機状態となる。
上記排版動作と並行して、画像読取部18での原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、蛍光灯145によって照明された反射光を各反射ミラー143,144によって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像に係る反射光はレンズ146で集束された後に画像センサ147に入射されて光電変換される。光電変換された電気信号は本体フレーム130内の図示しない上記A/D変換部に入力された後、図示しない製版制御装置(制御装置100の中に配設されていてもよい)を経由して図示しないサーマルヘッド駆動回路に送信される。
排版動作および画像読取動作と一部並行して、製版部15では製版動作が行われる。すなわち、サーマルヘッド11の上記発熱素子を発熱駆動制御するためのデジタル画像信号が、図示しない製版制御装置およびサーマルヘッド駆動回路を介してサーマルヘッド11へ送信される。これにより、サーマルヘッド11の上記多数の発熱素子が主走査方向にパルス状に通電されて選択的に発熱されると共に、マスタ搬送モータ10が回転駆動されることにより、プラテンローラ9、搬送ローラ対13が回転を開始して、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔される。
そして、製版済みマスタ8Yの先端部がマスタガイド板14に案内されてステージ6に対して拡開しているクランパ7の間に挿入され、マスタ搬送モータ10のステップ数がある設定値に達し、製版済みマスタ8Yの先端部がステージ6とクランパ7との間に届いたと判断されると、上記開閉装置によりクランパ7が閉じられ、製版済みマスタ8Yの先端部がステージ6とクランパ7との間に吸着・挾持される。
製版済みマスタ8Yの先端部のクランプ後、メインモータ20の回転駆動により版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開して、製版済みマスタ8Yがプラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されて版胴1の外周面へ巻装されるべく給版される。マスタ搬送モータ10の所定ステップ数の回転駆動により、マスタ8への製版および設定量の製版済みマスタ8Yの搬送が終了したと判断されると、カッタ12が作動して製版済みマスタ8Yが切断されると共に、マスタ搬送モータ10の回転駆動が停止されることによりプラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止する。
そして、切断された製版済みマスタ8Yの後端が、版胴1の回転によって製版部15内から引き出され、版胴1の外周面に完全に巻き取られた段階で版胴1への製版済みマスタ8Yの巻装が終了することにより、給版動作が終了する。版胴1への製版済みマスタ8Yの巻装が完了すると、版胴1が所定の周速度で図1に示す矢印方向に回転し始めることにより、版付けのための給紙・印刷工程が開始される。なお、用紙36の先端が用紙検知センサ32を横切り・通過するまでは、換言すれば用紙検知センサ32により用紙36の先端がオン検知されるまでは、制御装置100によって係止手段64の第1ソレノイド62がオフされたままに制御されているため印圧範囲可変手段28は非作動状態にあり、これによりプレスローラ21は非印刷位置、すなわち版胴1の外周面から離間した初期位置で保持されている。
版胴1が矢印方向に低速で回転して、先ず、図9に示した給紙開始用遮光板121が給紙レジストセンサ120と係合することにより、給紙レジストセンサ120がオンして給紙スタート信号が生成され、この信号がトリガとなって給紙モータ37が起動(回転駆動開始)する。給紙モータ37が図10において時計回りに回転駆動されることにより、給紙モータプーリ38、給紙モータベルト40、給紙ローラプーリ39および上記ワンウェイクラッチを介して、給紙ローラ軸33aおよび給紙ローラ33が時計回りに回転することで、給紙ローラ33と接触している給紙トレイ35上の最上の用紙36が、搬送されながら分離部材34との協働作用によって1枚に分離されて用紙搬送方向Xの下流側であるレジストローラ対31のニップ部に向けて給送される。
次いで、版胴1が図1における矢印方向にさらに回転して、レジスト開始用遮光板122が給紙レジストセンサ120と係合することにより、給紙レジストセンサ120がオンしてレジストスタート信号が生成され、この信号がトリガとなってレジストモータ41が起動(回転駆動開始)する。このレジストモータ41が起動するタイミング、換言すればレジストローラ下31bが回転駆動されるタイミングは、版胴1上に巻装された製版済みマスタ8Yの版胴回転方向における片面製版画像8YAの画像領域先端部がプレスローラ21と対応する位置に到達する所定のタイミングになるように設定されている。レジストモータ41が図10において反時計回りに回転駆動され、レジストモータプーリ42、レジストモータベルト44およびレジストローラプーリ43を介して、レジスト下軸32aおよびレジストローラ下31bが反時計回りに回転することで、レジストローラ対31のニップ部で当接して待機している用紙36の先端が、レジストローラ上31aとで押圧されながら給送され、版胴1とプレスローラ21との間に向けて送り出される。
次いで、レジストローラ対31により給送された用紙36先端の進入が正常に行われ、すなわち用紙36の先端が、上記タイマで計時される所定の時間内(あるいはレジストモータ41に供給される所定のパルス数内)に用紙検知センサ32によってオン検知されることによって、この信号が制御装置100に入力される。この用紙検知センサ32からの用紙36先端の検知信号および版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、制御装置100は係止手段64の第1ソレノイド62に通電をさせる指令信号を第1ソレノイド62に係るソレノイド駆動回路(図示せず)に送信し、これにより第1ソレノイド62がオンすることで印圧範囲可変手段28を作動させる。
第1ソレノイド62がオンすることで、プランジャ62aが吸引され、これにより係止部材60が引張バネ63の付勢力に抗して支軸61を中心に反時計回りに揺動し、係止部材60の係止爪60aに切欠22を係止させている印圧アーム22の他端部側は、その係止を解除されて印圧バネ25の付勢力によってアーム軸22aを中心に時計回りに揺動する。印圧アーム22の他端部側の揺動により、カムフォロア24の外周面が版胴1と同期して回転している印圧カム27の大径部周面と当接し、カムフォロア24の外周面が印圧カム27の小径部周面と対向し非当接状態となる印圧カム27の回転位置(例えば図4を借りて示す回転位置)で、印圧アーム対22,22はアーム軸22aを中心に印圧バネ25の付勢力によって時計回りに揺動し上昇することとなる。
これにより、プレスローラ21は、図8に示すように、その外周面が図1に示す版胴1の表面領域1Aないしは裏面領域1B上に巻装されている製版済みマスタ8Yの片面製版画像8YAよりも少し左寄りの先端余白部分に用紙36を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位することとなって、印刷ニップ部16a(例えば図4参照)が形成される。これと同時に、プレスローラ駆動モータ55がプレスローラ21を版胴1の周速度と略同じ周速度で回転させることにより、プレスローラ21は版胴1の回転方向と反対方向に回転しながら版胴1上の製版済みマスタ8Yに用紙36を連続的に押し付けることで、製版済みマスタ8Yを版胴1の外周面に密着させそれにインキを充填させるためのいわゆる版付けが行われる。この版付けでは、版胴1の開口部1aの開孔部分から製版済みマスタ8Yの穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙36の表面に転移されることで孔版印刷が行われる。
この時、インキローラ2も版胴1の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜まり4のインキは、インキローラ2の回転によりインキローラ2の表面に付着され、インキローラ2とドクターローラ3との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
こうして版胴1上の製版済みマスタ8Yにおける片面製版画像8YAに対応した版付け印刷が行われ、版胴1がさらに回転して片面製版画像8YAの後端より少し右寄りの後端余白部分において、版胴1と同期して回転している印圧カム27の大径部周面がカムフォロア24の外周面と当接することとなる。これにより、印圧アーム対22,22はアーム軸22aを中心に印圧バネ25の付勢力に抗して反時計回りに揺動変位すると共に、プレスローラ21は非印刷位置を占めるべく下降変位することとなって、プレスローラ21による印圧付与状態が解除される。
なお、版胴1が図1中矢印方向に回転して、クランパ7が版胴1に圧接しているプレスローラ21の近傍に至ると、版胴1の回転と同期して回転駆動されていた印圧カム27が、その大径部周面をカムフォロア24の外周面に当接する位置に回転させているので、プレスローラ21は版胴1の外周面から外側へ突出しているクランパ7から離間することとなり、プレスローラ21とクランパ7部位との干渉が避けられる。少なくともこの時には、排紙搬送手段47のベルト駆動モータ90が既に作動開始していることにより、排紙ベルト88は図4を借りて示すように反時計回りに回転していると共に、吸引ファン89が上面の排紙ベルト88上に用紙36を吸引保持する方向に回転している。
こうして版付け印刷された片面印刷済み用紙36cはプレスローラ21で押圧された状態で版胴1の図1中矢印方向の回転によってさらに搬送され、片面印刷済み用紙36cの先端部は、版胴1の外周面に接近する剥離爪170および剥離ファン171からの送風により版胴1上の製版済みマスタ8Yから確実に剥離され、剥離された片面印刷済み用紙36cは下方へと落下して排紙搬送手段47へ送られ、図4を借りて示す第2の位置P2を占めている排紙搬送手段47における反時計回りに回転している排紙ベルト88の上面に吸引ファン89による吸引力によって引きつけられ保持されながら用紙搬送方向Xの下流側に搬送されて、排紙トレイ172に排出される。
一方、プレスローラ21が版胴1の外周面に当接した時点より版胴1が略4分の3周し、印圧カム27の大径部周面とカムフォロア24とが接する時点、つまり、係止部材60の係止爪60aと印圧アーム22の切欠22とが係止可能な時点において、制御装置100からの指令により第1ソレノイド62への通電が遮断(オフ)される。すると、係止部材60は、引張バネ63の付勢力により支軸61を中心として時計回りに揺動され、その係止爪60aに印圧アーム22の切欠22が係止される。これにより、プレスローラ21は、版胴1の外周面から離れた非印刷位置に復帰して保持されると共に、版胴1は再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面孔版印刷装置200は印刷待機状態(図17(S6))となる。
また、給紙ないしは版付け中において、プラテンローラ9および搬送ローラ対13が回転を再開して、切断されたマスタ8の先端が搬送ローラ対13のニップ部に向けて送り込まれる。マスタ搬送モータ10のパルス数から、切断されたマスタ8の先端が搬送ローラ対13のニップ部に届き挟持されたと判断されると、プラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。
両面孔版印刷装置200が印刷待機状態(図17(S6))となった後、印刷速度設定キー183および操作パネル173上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー176が押下されると試し刷り(図17(S7))が行われる。試し刷りキー176が押下されると、設定された印刷速度で版胴1が回転駆動されると共に、給紙部30から用紙36が1枚給送される。給送された用紙36はレジストローラ対31で一時停留された後に版付け時と同じタイミングで給送され、プレスローラ21によって版胴1外周面上の製版済みマスタ8Yに圧接される。印刷画像を形成された片面印刷済み用紙36cは剥離爪170および剥離ファン171により上記したと同様に版胴1上の製版済みマスタ8Yから確実に剥離され、剥離された片面印刷済み用紙36cは第2の位置P2を占めている排紙搬送手段47によって上述したと同様の動作で搬送されて排紙トレイ172上に排出される。なお、設定された印刷速度に伴い、印圧範囲可変手段28、給紙部30、排紙搬送手段47、変位手段48、再給紙手段49等の各種モータや各種ソレノイド等の制御対象駆動手段が印刷速度に適合した速度やタイミングでそれぞれ駆動制御される。
試し刷り(図17(S7))により画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー179によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー175が押下されると、給紙部30から用紙36が連続的に給送され、試し刷りと同条件で印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数(所定枚数)が消化されると版胴1がホームポジションで停止し、両面孔版印刷装置200は再び印刷待機状態となる。通常の印刷動作は、版付け時の印刷動作と比較して、上記したように版付け印刷に用いられた用紙36の枚数が正規の通常の印刷枚数としてカウントされないこと、およびユーザが所望する設定印刷速度に応じた速度での給紙、印刷および排紙の各動作が行われることが主に相違するだけである。
なお、用紙36の先端が用紙検知センサ32により、制御装置100の上記タイマで計時される所定の時間内に検知されないとき、制御装置100はレジストローラ対31またはこれよりも用紙搬送方向Xの上流側で用紙36がジャム等によって滞留状態にあると判断して、係止手段64の第1ソレノイド62をオフ状態として図2に示したようにプレスローラ21を非印刷位置で保持したままとする。これにより、用紙36がないのにも拘わらず、プレスローラ21が印刷位置を占めてしまうことにより、版胴1上の製版済みマスタ8Yにおける片面製版画像8YAに接触して、プレスローラ21の外周表面をインキで汚してしまうことが防止される。このような制御動作は、後述する両面印刷モード時の連続的な給紙動作等でも同様であり、以下一々の説明を省略する。なお、上記したような用紙検知センサ32に相当する用紙検知手段を、プレスローラ21の外周面に保持されて印刷ニップ部16aに搬送されていく表面印刷済み用紙36aの先端および後端を検知すべく搬送路上に配設してもよい。
なお、画像読取部18での読取り動作は、上述した以外に、ADF148を使用する場合もある。この場合の動作例1との相違点は、次のようである。すなわち、ユーザによってADF148の原稿受け台134にA3サイズの原稿133がセットされると、上記排版動作と並行して、画像読取部18のADF148が作動することにより1枚の原稿133が読取部であるコンタクトガラス135上に送出されることのみ相違するだけである。その後、上述したと同様に、スキャナ装置132の作動によってその原稿133の画像が光学情報として読み取られる。
(動作例2)次に、両面印刷モードを設定して両面印刷を行う動作例2について説明する。両面印刷モードでは、情報保護モードを選択できない。この動作例2は、印圧範囲パターンIおよび印圧範囲パターンIIが使用される。そのため、印圧範囲可変手段28の構成要素のうち図5ないし図7に示されている全構成要素が使用される。用紙36は、図16(b)において実線の矢印で示すように、反転手段201を用い、途中でループを描くようにしてスイッチバックさせて搬送され、これによって、用紙36の両面に印刷が行われる。なお、両面印刷モードにおいては、画像面199が実際には用紙36の両面となるが、図16(b)においては、はじめに印刷を行った側の面のみに画像面199を図示している。動作例2では、各動作を理解しやすくするために、マスタサイズとしてA3のものが、原稿サイズおよび用紙サイズとしてそれぞれA4サイズのものが用いられるものとする。以下、動作例1と相違する点を中心に説明する。
ユーザは給紙トレイ35上に印刷に使用される用紙サイズとしてA4サイズの用紙36を積載し、圧板142を開放してコンタクトガラス135上に表面印刷用の1枚目のA4サイズの原稿を載置した後、再び圧板142を閉じる。その後、操作パネル173上の各種キーによって製版条件を設定した後、両面印刷キー187を押下して両面印刷モードを設定し、その後、両面印刷モードであることをLED187aの点灯によって確認する。次いで、製版スタートキー174を押下すると、片面印刷モード時と同様にスタート信号が生成されて、これが制御装置100に入力される。
動作例1と同様に、用紙サイズ検知センサ117から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ149から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御装置100に送られ、これらの信号を受けた制御装置100は各信号を比較する。本形態では、片面印刷時において版胴1で印刷可能な最大用紙サイズがA3サイズであるため、両面印刷時において使用可能な用紙サイズはA4横置きまでである。
原稿サイズと用紙サイズとを比較した結果、両サイズが同じ場合には直ちに画像読取動作が行われ、両サイズが異なる場合には、制御装置100はその旨を表示装置190に警告として表示してユーザに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御装置100からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行って原稿サイズと画像サイズとを整合させる構成、表示装置190に縮小や画像データの回転等の手順を表示してユーザの操作の手助けを行う構成としてもよい。また、用紙サイズがA4横置きを超える大きさの場合には、制御装置100は両面印刷動作を禁止して片面印刷を促す旨の表示を表示装置190にさせる。
製版スタートキー174が押下されると、動作例1と同様に排版から排紙に亘る一連の動作が自動的に行われる。動作例1と同様にして、給紙トレイ35の最上の用紙36が給紙可能な状態になったことが制御装置100により判断されると、給紙部30では給紙待機状態となる。動作例1と同様の排版動作が行われた後、外周面上より使用済みマスタを全て剥離された版胴1は、動作例1のときと同様に給版待機位置で停止し、図示しない開閉装置によってクランパ7が開放される。この排版動作と一部並行して画像読取部18では表面印刷用の1枚目の原稿画像の読取動作が動作例1と同様に行われ、その画像データ信号が上記製版制御装置を経由して上記サーマルヘッド駆動回路に送信される。
排版動作および画像読取動作と一部並行して、製版部15では動作例1と同様にサーマルヘッド11による製版が行われ、プラテンローラ9、搬送ローラ対13の回転によって、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔されて、マスタ8の前半部分に表面印刷用の表面製版画像8Aが形成される(図8に示す分割製版済みマスタ8X参照)。
そして、分割製版済みマスタ8Xの先端部がマスタガイド板14に案内されてステージ6に対して拡開しているクランパ7の間に挿入され、マスタ搬送モータ10のステップ数がある設定値に達し、分割製版済みマスタ8Xの先端部がステージ6とクランパ7との間に届いたと判断されると、上記開閉装置によりクランパ7が閉じられ、分割製版済みマスタ8Xの先端部がステージ6とクランパ7との間に吸着・挾持される。
分割製版済みマスタ8Xの先端部のクランプ後、メインモータ20の回転駆動により版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開して、分割製版済みマスタ8Xがプラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されて版胴1の外周面へ巻装されるべく給版される。マスタ搬送モータ10のステップ数により、図8に示す分割製版済みマスタ8Xのうちの表面製版画像8Aの製版が完了したと制御装置100によって判断されると、プラテンローラ9および搬送ローラ対13ならびに版胴1の回転が停止し、次の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面印刷用の裏面製版画像8Bの製版のための製版待機状態となる。
次いで、ユーザは再び圧板142を開放してコンタクトガラス135上に裏面印刷用のA4サイズの2枚目の原稿を載置した後、再び圧板142を閉じる。その後、再度、製版スタートキー174を押下すると、スタート信号が生成されてこれが制御装置100に入力される。この時、1枚目の原稿の場合と同様に、制御装置100による原稿サイズと用紙サイズとの比較および上記したと同様の処理動作が行われる。画像読取部18では裏面印刷用の2枚目の原稿画像の読取動作が上記1枚目の原稿のときと同様に行われ、その画像データ信号が上記製版制御装置を経由して上記サーマルヘッド駆動回路に送信される。製版部15では1枚目の原稿のときと同様にサーマルヘッド11による製版が行われ、マスタ搬送モータ10が再び回転駆動されることにより、プラテンローラ9、搬送ローラ対13が回転されることで、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔されて、マスタ8の後半部分に裏面印刷用の裏面製版画像8Bが形成される(図8参照)。
この時、版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開することにより、分割製版済みマスタ8Xの後半部分が製版部15内から引き出されつつ版胴1の外周面へ巻装されていく。そして、マスタ搬送モータ10のステップ数により、分割製版済みマスタ8Xのうちの最後の裏面製版画像8Bの製版が完了したと制御装置100によって判断されると、カッタ12が作動して分割製版済みマスタ8Xの後端部分が切断されると共に、プラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止し、版胴1の回転によって切断された1版分の分割製版済みマスタ8Xの後端が製版部15内から完全に引き出され、版胴1への分割製版済みマスタ8Xの巻装・給版動作が完了する。
なお、原稿画像の読取動作および画像データの入力動作は、上述した例に限らず、例えばADF148を使用して原稿133をコンタクトガラス135上に自動的に搬送する構成、あるいは図示しない外部装置から画像データを取り込む構成としてもよい。また、両面印刷モード時において1枚の原稿を反転させて搬送し、その表面および裏面から2枚分の画像データを取得する構成としてもよい。また、両面印刷モード時において表裏面印刷用の1枚の原稿を反転させて搬送し、その表面および裏面から2枚分の画像データを取得する構成としてもよい。
ADF148による原稿133の自動搬送動作に加えて、または単独で、読み取られた原稿画像に係る画像データを記憶・格納する例えばビットマップメモリ等からなる図示しない画像メモリを設け、この画像メモリ内に1枚目や2枚目の画像データを格納・記憶して、その画像データを順次呼び出しながら製版を行うようにしてもよい。
上記した版胴1への分割製版済みマスタ8Xの巻装動作と並行して、または上記1回目または2枚目のスタート信号が制御装置100に入力された時に、変位手段48の揺動モータ96が例えば正転駆動されることによって、上記詳細動作を経て、排紙搬送手段47が駆動軸85を支点として反時計回りに揺動変位されることで図3に示す第1の位置P1を占めて停止保持される。
排紙搬送手段47が第1の位置P1を占めて停止保持されるのと同時的に、ベルト駆動モータ90が例えば逆転駆動されることにより、排紙ローラ後84の時計回りの回転駆動を介して、排紙ベルト88が版胴1の周速度と略同じ線速度で時計回りに回転される。これと同時的に、図3に示すように吸引ファン89が例えば逆転駆動されることにより、排紙ベルト88の下面側が用紙吸着面となる。
一方、上記した版胴1への分割製版済みマスタ8Xの巻装が完了すると、版胴1が所定の周速度(通常、版付け用の低速度)で図3に示す矢印方向に回転し始めることにより、版付けのための給紙・印刷工程が開始される。動作例1と同様に、用紙検知センサ32により用紙36の先端がオン検知されるまでは、係止手段64の第1ソレノイド62がオフされたままに制御されているため印圧範囲可変手段28は非作動状態にあり、これによりプレスローラ21は非印刷位置で保持されている。
版胴1が矢印方向に回転して、先ず、図9に示した給紙開始用遮光板121が給紙レジストセンサ120と係合することにより、動作例1と同様にして給紙モータ37が起動する。給紙モータ37が図10において時計回りに回転駆動されることにより、動作例1と同様の動作を介して、給紙ローラ33と接触している給紙トレイ35上の最上の1枚目の用紙36が、搬送されながら分離部材34との協働作用によって1枚に分離されてレジストローラ対31のニップ部に向けて送り出される。こうして送り出された用紙36の先端がレジストローラ対31のニップ部で当接した後、用紙36の先端部に所定の湾曲した撓みが形成された状態で保持される。次いで、版胴1が図1における矢印方向にさらに回転して、レジスト開始用遮光板122が給紙レジストセンサ120と係合することにより、動作例1と同様にしてレジストモータ41が起動する。レジストモータ41が図10において反時計回りに回転駆動され、動作例1と同様の動作を介して、レジストローラ対31のニップ部で当接して待機していた用紙36の先端が動作例1と同様の所定のタイミングを取られたレジストローラ対31の回転によって、版胴1とプレスローラ21との間に向けて送り出される。この時、動作例1と同様に、レジストローラ対31により給送された用紙36先端の進入が用紙検知センサ32によって正常に検知される。
次いで、用紙検知センサ32からの用紙36先端の検知信号および版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、制御装置100は動作例1と同様に第1ソレノイド62をオンさせることにより、印圧範囲可変手段28を作動させる。
第1ソレノイド62がオンすることで、動作例1と同様の詳細動作を介して、カムフォロア24の外周面が印圧カム27の輪郭周面と当接し、カムフォロア24の外周面が印圧カム27の小径部周面と対向し非当接状態となる印圧カム27の回転位置で、印圧アーム対22,22はアーム軸22aを中心に印圧バネ25の付勢力によって時計回りに揺動し上昇することとなる。これにより、プレスローラ21は、図8に示すように、その外周面が図1に示す版胴1の表面領域1A上に巻装されている分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aよりも少し左寄りの先端余白部分に用紙36を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位することとなって、印刷ニップ部16aが形成される(図8に示す印圧範囲パターンIにおけるプレスローラ21による印圧オンタイミング参照)。これと同時に、プレスローラ駆動モータ55がプレスローラ21を版胴1の周速度と略同じ周速度で回転させることにより、プレスローラ21は版胴1の回転方向と反対方向に回転しながら版胴1上の分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8A部分に用紙36を連続的に押し付けることで、分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aを版胴1の外周面に密着させそれにインキを充填させるためのいわゆる版付けが行われる。この版付けでは、版胴1の開口部1aの開孔部分から分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aの穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙36の表面に転移されることで孔版印刷が行われる。
この時、インキローラ2も版胴1の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜まり4のインキは、インキローラ2の回転によりインキローラ2の表面に付着され、インキローラ2とドクターローラ3との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
こうして版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した版付け印刷が行われ、版胴1がさらに回転してその表面製版画像8Aの後端近傍部分が印刷ニップ部16aに対応した回転位置に至ると、制御装置100は版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、第2ソレノイド77をオンさせることにより、プランジャ77aがスプリング78の付勢力に抗して図7中矢印上向きに引き上げられることで、ストッパ76の第1係合部76aとスリーブ72の凸部72aとの係合が解除されると、図5においてスプリングクラッチ73が接続された状態となる。これにより、クラッチ胴71、スリーブ72、スプリングクラッチ73およびクラッチギヤ70が一体で回転し、上記駆動手段(メインモータ20)の回転力が間欠カム軸68、間欠カム駆動ギヤ66と噛合する間欠カムギヤ65を介して間欠カム67に伝達されて、間欠カム67の大径部が印圧バネ25の付勢力に抗して図3において略右真横位置となるまで時計回りに回転してカムフォロア24に押し付けることとなり、印圧アーム22がアーム軸22aを中心として反時計回りに回転する。
ストッパ76の第2係合部76bとスリーブ72の凸部72aとが係合することにより、スプリングクラッチ73の接続が再び断たれて、間欠カム67の大径部がその位置で保持される。これにより、カムフォロア24が間欠カム67の大径部に乗り上げた状態で保持されて、プレスローラ21が印刷位置から離間して略非印刷位置を占めた状態で保持される。この時には既に、制御装置100からの指令により係止手段64の第1ソレノイド62がオフされていることにより、プレスローラ21が非印刷位置を占めた初期位置状態に復帰・保持される。
所定時間後、換言すれば版胴1と同期して回転している印圧カム27の大径部がカムフォロア24と当接するようになったとき、制御装置100からの指令により第2ソレノイド77がオフされることにより、スプリング78の付勢力によってストッパ76が図7に示したとは反対の時計回りに回転することによって、ストッパ76の第2係合部76bとスリーブ72の凸部72aとの係合が解除されることで、スプリングクラッチ73が再度接続された状態となる。これにより、上記したと同様にクラッチ胴71等とクラッチギヤ70が一体で回転し、上記駆動手段の回転力が間欠カム軸68、間欠カム駆動ギヤ66と噛合する間欠カムギヤ65を介して間欠カム67に伝達されて、間欠カム67の大径部が図3に示す位置近傍に回転され、次いでストッパ76が所定角度回転して図6に示すようにストッパ76の第1係合部76aがスリーブ72の凸部72aと係合することによって、スプリングクラッチ73の接続が再度断たれて、間欠カム67の大径部が図2に示す初期位置まで回転した後その位置で保持されることとなる。この時、第1ソレノイド62がオフ制御されていることにより、プレスローラ21が非印刷位置に保持されている。そして、次の給紙に備えた給紙待機状態となる。
上述したように、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した版付け印刷が行われた表面印刷済み用紙36aの先端部は、図3に示すように、第1の位置P1を占めている排紙搬送手段47の剥離ガイド46および剥離ファン171からの送風により版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから確実に剥離される。剥離された表面印刷済み用紙36aは、剥離ガイド46によって排紙ベルト88の下面と用紙受け45の上面との間に形成された空間部に案内されながら、同時に吸引ファン89の例えば逆転駆動による吸引作用および時計回りに回転している排紙ベルト88による搬送作用とによって、排紙ベルト88の下面に吸着されつつ用紙受け45における用紙搬送方向Xの下流側へと搬送されて貯容されていく。
そして、表面印刷済み用紙36aの後端(図3に示す表面印刷済み用紙36aの右端)が再給紙センサ52を通り過ぎた時点で、ベルト駆動モータ90の回転駆動が停止することにより、表面印刷済み用紙36aが排紙ベルト88の下面に吸着保持された貯容状態で待機状態となる。
表面印刷済み用紙36aの貯容が完了すると、変位手段48の揺動モータ96が例えば逆転駆動されることによって、図3に示す第1の位置P1を占めている排紙搬送手段47が上記詳細動作を経て、駆動軸85を支点として時計回りに揺動変位されることで、図4に示す第2の位置(ホームポジション)に復帰してこの位置に停止保持される。
排紙搬送手段47の第1の位置P1から第2の位置への変位動作中における版胴1の空回転で、版胴1が所定位置近傍に達したと判断されると、今度はベルト駆動モータ90が例えば所定時間だけ正転駆動される。これにより、排紙ローラ後84が反時計回りに回転を開始することで、排紙ベルト88の下面に吸着保持されて貯容状態となっていた図2を借りて同図2に二点鎖線で示す表面印刷済み用紙36aの先端が、排紙ベルト88の反時計回りの所定距離分の回転によってプレスローラ21と再給紙レジストローラ51との間に形成されているニップ部に当接して所定の湾曲した撓みが表面印刷済み用紙36aの先端部に形成されるまで搬送された後、排紙ベルト88の回転が一時停止される。
上記した版胴1の空回転は、以下のように行われる。すなわち、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aの先端余白近傍部分が印刷ニップ部16aに対応した回転位置に至ると、制御装置100は版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、第2ソレノイド77をオンさせる。これにより、上記したと同様の詳細動作を介して、カムフォロア24が間欠カム67の大径部に乗り上げた状態で保持されて、プレスローラ21が印刷位置から離間して非印刷位置を占めた状態で保持される。この時には既に、上記したと同様に係止手段64の第1ソレノイド62がオフされていることにより、プレスローラ21が非印刷位置を占めた初期位置状態に復帰・保持される。
次いで、版胴1が所定位置に達したと判断されると、ベルト駆動モータ90が再度例えば正転駆動されることにより、排紙ローラ後84が再び反時計回りに回転を開始することで、排紙ベルト88が版胴1の周速度と略同じ線速度で反時計回りに回転される。これと同時的に、図2に示すプレスローラ駆動モータ55が回転駆動されることにより、プレスローラ21が反時計回りに回転されることで、プレスローラ21と再給紙レジストローラ51との間のニップ部に当接して保持されていた表面印刷済み用紙36aの先端が、反時計回りに回転するプレスローラ21とこれに従動して時計回りに回転する再給紙レジストローラ51との間に挟持されながら、版胴1の周速度と略同じ周速度で、かつ、ローラガイド板50によりプレスローラ21の外周面に沿って搬送されるように案内されて、版胴1とプレスローラ21とが圧接されることにより形成される印刷ニップ部16aに向けて表裏反転されながら搬送される。この時、図4に示すように吸引ファン89が今度は例えば正転駆動されることにより、排紙ベルト88の上面側が用紙吸着面となり、その下面側が排気側となる。
この搬送と並行して版胴1の所定の回転位置、すなわち版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bの先端近傍部分が印刷ニップ部16aに対応した回転位置に至ると、版胴1と同期して回転している印圧カム27の小径部がカムフォロア24に対向した非接触状態になり、制御装置100は版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、第2ソレノイド77をオフさせる。これにより、上記したと同様の詳細動作を介して、間欠カム67の大径部が図4に実線で示す初期位置まで回転した後その位置で保持されることとなる。この時には、同図4に示すように印圧カム27の小径部も間欠カム67の小径部もカムフォロア24に対向した非接触状態になっているので、図8に示すように、プレスローラ21はその外周面が図4に示す版胴1の裏面領域1B上に巻装されている分割製版済みマスタ8Xの裏面製版画像8Bよりも少し左寄りの先端部分に表面印刷済み用紙36aの裏面(図4では上面となっている)を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位することとなって、印圧バネ25の付勢力によって印刷ニップ部16aが形成されて版付け用の両面印刷が行われる(図8に示す印圧範囲パターンI Iにおけるプレスローラ21による印圧オンタイミング参照)。
こうして、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応して両面印刷が行われた版付け用の両面印刷済み用紙36bは、片面印刷済み用紙36cの排紙動作と同様に、その先端部が版胴1の外周面に接近する剥離爪170および剥離ファン171からの送風により版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから確実に剥離され、剥離された両面印刷済み用紙36bは下方へと落下して排紙搬送手段47へ送られ、同図4に示すように第2の位置P2を占めている排紙搬送手段47における反時計回りに回転している排紙ベルト88の上面に吸引ファン89による吸引力によって引きつけられ保持されながら用紙搬送方向Xの下流側に搬送されて、排紙トレイ172に排出される。
一方、プレスローラ21が版胴1の外周面に当接した時点より版胴1が略4分の3周し、印圧カム27の大径部周面とカムフォロア24とが接する時点では、動作例1と同様の詳細動作を介して、プレスローラ21が版胴1の外周面から離れた非印刷位置に復帰して保持されると共に、版胴1は再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面孔版印刷装置200は次の正規の両面印刷のための印刷待機状態(図17(S6))となる。
両面孔版印刷装置200が印刷待機状態(図17(S6))となった後、印刷速度設定キー183および操作パネル173上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー176が押下されると試し刷り(図17(S7))が行われる。試し刷りキー176が押下されると、設定された印刷速度で版胴1が回転駆動されると共に、両面印刷時における版胴1の1回転目に、給紙部30より1枚の用紙36が印刷部16における印刷ニップ部16aに給送されてその表面に、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した印刷が行われ、かつ、排紙搬送手段47が第1の位置P1に変位することにより印刷ニップ部16aで印刷された表面印刷済み用紙36aが剥離ガイド46によって用紙受け45に案内・搬送されて保持された後、両面印刷時における版胴1の2回転目に、再給紙手段49により表面印刷済み用紙36aが反転された印刷部16における印刷ニップ部16aに再給紙されてその裏面に裏面製版画像8Bに対応した印刷が行われ、かつ、排紙搬送手段47が第2の位置P2に変位することにより印刷ニップ部16aで印刷された両面印刷済み用紙36bが排紙部19に案内・搬送される。なお、設定された印刷速度に伴い、印圧範囲可変手段28、給紙部30、排紙搬送手段47、変位手段48、再給紙手段49等の各種モータや各種ソレノイド等の制御対象駆動手段が印刷速度に適合した速度やタイミングでそれぞれ駆動制御される。
試し刷り(図17(S7))により画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー179によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー175が押下されると、給紙部30から用紙36が連続的に給送され、試し刷りと同条件で印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数(所定枚数)が消化されると版胴1がホームポジションで停止し、両面孔版印刷装置200は再び印刷待機状態となる。通常の正規の両面印刷動作は、版付け時の両面印刷動作と比較して、上記したように版付け印刷に用いられた用紙36の枚数が正規の通常の印刷枚数としてカウントされないこと、およびユーザが所望する設定印刷速度に応じた速度での給紙、再給紙、表面印刷、裏面印刷および排紙等の各動作が行われることが主に相違するだけである。このように、通常の正規の両面印刷動作では、設定された印刷枚数の両面印刷が版胴1の2回転ごとに行われ、版胴1の奇数回転では分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aに対応した表面印刷が、版胴1の偶数回転では分割製版済みマスタ8Xの裏面製版画像8Bに対応した裏面印刷がこの順に行われる。
(動作例3)次に、片面印刷モードに加えて情報保護モードを設定して印刷を行う動作例3について説明する。この動作例3は、動作例1と動作例2との組み合わせによって行われ、印圧範囲可変手段28の構成要素のうち図5ないし図7に示されている全構成要素が使用される。用紙36は、図16(b)において実線の矢印で示すように途中でループを描くようにしてスイッチバックさせて搬送されるが、印刷は、はじめに印刷を行った側の面のみに行われ、再給紙時には行われない。よって、図16(b)に示したように、保護すべき側の面である画像面199は下に向けた状態で排紙され、画像面199の反対側の面が上に向けて排紙されるため、画像面199によって示される情報が第三者の目に触れることが防止され、保護されるようになっている。印圧範囲パターンは何れでも良い。
ただし、上述したように、版付け動作時、テストプリント時、画像位置調整時に反転手段201を動作しないように設定した場合において、その設定した版付け動作時、テストプリント時、画像位置調整時には、図16(a)に示したように、用紙36は、直線状に搬送され、画像面199が上を向くように排紙されるため、両面孔版印刷装置200を用いて印刷を行っているユーザーが、良好な印刷が行われるかどうかを容易に確認することができるようになっている。情報保護モードにおいて反転手段201を動作しないように設定することを可能としたのは、主に、かかるユーザーが印刷状態の確認を容易に行うことを可能とするためである。
動作例3は、すでに述べた動作例1と動作例2との組み合わせで動作を行うようになっており、具体的には、再給紙時に印刷を行わないこと以外は動作例2と略同じ動作を行うものであるため、情報保護モード時に特有の動作を中心に、図17を参照しつつ説明する。
上述と同様にして操作パネル173によって種々の条件を設定等するとともに、情報保護キー186によって情報保護モードに設定(S1)し、製版スタートキー174を押下して製版を開始させる(S2)。
版付け工程において、制御装置100は、操作パネル173により、版付け時に、反転手段201を動作させるか否かの選択がどのように設定されているか、すなわち版付け時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されているか否かを判断し(S3)、版付け時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されていないときには、反転手段201の作動をさせることなく、図16(a)に示すように、画像面199を上に向けて排紙し、版付け時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されているときには、反転手段201の作動を有効(S4)として、図16(b)に示すように、画像面199を下に向けて排紙する。
版付け工程が終了したとき、制御装置100は、連続モードが指定されているか否かを判断し(S5)、指定されていないときは、上述の動作例と同様に印刷待機状態に移行し(S6)、指定されているときには、そのまま印刷工程に移行する。なお、連続モードを指定したときには、製版を開始する前に、印刷速度設定キー183等の各種キーにより、印刷条件を入力した状態としておく。
印刷工程に移行したとき、制御装置100は、操作パネル173によりテストプリントを行うように設定されているか否かを判断し(S7)、テストプリントを行うように設定されているときには、操作パネル173により、テストプリント時に、反転手段201を動作させるか否かの選択がどのように設定されているか、すなわちテストプリント時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されているか否かを判断する(S8)。
テストプリント時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されていないときには、反転手段201の作動を解除して(S10)、図16(a)に示すように、画像面199を上に向けて排紙し、テストプリント時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されているときには、反転手段201の作動を有効として(S9)、図16(b)に示すように、画像面199を下に向けて排紙し、排紙後、制御装置100は、操作パネル173により画像位置調整を行うように設定されているか否かを判断する(S11)。テストプリントを行わないように設定されているときには、そのまますぐに、操作パネル173により画像位置調整を行うように設定されているか否かを判断する(S11)。なお、テストプリントについては、印刷枚数にカウントしない。
画像位置調整時には、画像位置調整後の画像位置を確認するための印刷を行うようになっている。画像位置調整を行うように設定されているときには、操作パネル173により、画像位置調整時に、反転手段201を動作させるか否かの選択がどのように設定されているか、すなわち画像位置調整時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されているか否かを判断(S12)する。
画像位置調整時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されていないときには、反転手段201の作動を解除して(S14)、画像位置調整後の画像を印刷し、図16(a)に示すように、画像面199を上に向けて排紙し、画像位置調整時に画像面199を下に向けて排紙するように指定されているときには、反転手段201の作動を有効として(S13)、画像位置調整後の画像を印刷し、図16(b)に示すように、画像面199を下に向けて排紙し、排紙後、制御装置100は、印刷枚数にカウントし、印刷が完了したか否か、すなわち操作パネル173により設定された印刷枚数に達したか否かを判断する(S15)。画像位置調整を行わないように設定されているときには、印刷を行い、印刷枚数にカウントして、印刷が完了したか否か、すなわち操作パネル173により設定された印刷枚数に達したか否かを判断する(S15)。
印刷が完了していない場合には、ステップS7に戻り、印刷が完了した場合には待機状態に移行する。一度ステップS5を経た後は、テストプリントは行わない。画像位置調整による印刷は印刷枚数にカウントしないようにしても良い。
このような印刷工程において、制御装置100は、再給紙手段49を、プレスローラ21が非印刷位置を占めた状態で保持されるように制御する。よって、排紙された用紙36の上に向いた面には情報を保護すべき画像が形成されていない状態となる。
このように、制御装置100は、操作パネル173によって入力された、テストプリントを実施するか否かを、反転手段201を用いて画像面199と反対側の面を上に向けて排紙するか否かの制御を行う条件として有しており、テストプリント実施時であるか否かを、反転手段201を用いて画像面199と反対側の面を上に向けて排紙するか否かの制御を行う条件として有している。
また、制御手段100は、操作パネル173によって入力された、テストプリント実施時にかかる制御を行うか否かの情報を、反転手段201を用いて画像面199と反対側の面を上に向けて排紙するか否かの制御を行う条件としている。ただし、テストプリント時には画像面199と反対側の面を必ず上に向けて排紙するようにしても良い。画像位置調整時や版付け時においても、画像面199と反対側の面を必ず上に向けて排紙するようにしても良い。
本形態において、版付け時の印刷および画像位置調整時の印刷は、テストプリント時の印刷と区別して説明したが、テストプリントには、版付け時の印刷や画像位置調整時の印刷を含めても良い。たとえば、画像位置調整を行った場合には製版からやり直す場合などである。また、テストプリントに含めて、またこれとは区別して、濃度調整を行い、このときにも画像位置調整時と同様の制御を行うなどするようにしても良い。
なお、以上の構成に関して、版付けの基本的な機能に着目したとき、すなわちインキの滲み出し性確保のために分割製版済みマスタ8Xにインキを充填して版胴1の外周面に密着させ印刷可能レベルにするという版付けの基本的な機能に着目したとき、両面印刷を行う場合にも、例えば通常の片面印刷動作時の版付けと同様に、図8に示した印圧範囲パターンIIIを選択設定して版付け印刷動作を行っても構わない。この場合、片面印刷モード時の最大通紙サイズがA3サイズであれば、A3サイズの用紙36を給紙して通常の片面印刷動作を行えるから、上述したように印刷ニップ部16aに2度通紙する必要がなくなり、その分時間を節約できる。この場合は、給紙トレイ35上にA3サイズの用紙36(両面印刷済みの損紙等のいわゆるヤレ紙でもよい)を載置した上で給紙して版付けを行ってもよい。この場合、複数の給紙部を有する両面印刷装置にあっては、その何れか一つに版付け専用のA3サイズの用紙36を積載して自動的に給紙・版付けすることが好ましい。また、両面印刷モード時の版付け印刷動作(工程)と上記通常の片面印刷動作時の版付け印刷動作(工程)とを、ユーザの所望するところにより適宜選択設定できるキー等を操作パネル173等に付加して、印圧範囲可変手段28を利用して適宜切り換えるようなことも勿論できる。
版胴1の回転方向に沿って第1の製版画像としての表面製版画像8Aと第2の製版画像としての裏面製版画像8Bとが2面並んで形成された分割製版済みマスタ8Xを版胴1に巻装した場合において、この順に両面印刷を行う動作について説明したが、これに限らず、以下のように反対に行ってもよい。すなわち、両面印刷時における版胴1の1回転目に、給紙部30より1枚の用紙36を印刷部16に給送してその表面に第2の製版画像としての裏面製版画像8Bに対応した印刷を行い、かつ、排紙搬送手段47が第1の位置P1に変位することにより印刷された表面印刷済み用紙36aを用紙受け45に案内・搬送して保持した後、両面印刷時における版胴1の2回転目に、再給紙手段49により表面印刷済み用紙36aを印刷部16に再給紙してその裏面に第1の製版画像としての表面製版画像8Aに対応した印刷を行い、かつ、排紙搬送手段47が第2の位置P2に変位することにより印刷された両面印刷済み用紙36bを排紙部19に案内・搬送するようにしてもよい。
版胴1の回転方向に沿って第2の製版画像としての裏面製版画像8Bと第1の製版画像としての表面製版画像8Aとがこの順に2面並んで形成された分割製版済みマスタを用いて上述したように両面印刷を行うようなことも勿論できる。
以上、本発明を実施するための形態として、画像形成装置たる孔版印刷装置200を説明したが、本発明を適用した画像形成装置は、孔版印刷装置のみならず、オフセット印刷装置などの他のタイプの印刷装置、また複写機、プリンタ、ファクシミリなど何れのタイプの画像形成装置であっても良い。
たとえば、版胴、感光体等の像担持体など、用紙に画像を形成するための部材を、用紙の搬送経路の下側に配設し、画像形成を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙するように構成してもよく、このような構成では反転手段を省略できる。版胴、感光体等の像担持体など、用紙に画像を形成するための部材を、用紙の搬送経路の上側に配設した構成であっても、用紙の片面にのみ画像を形成する構成にあっては、反転手段を設け、これを常に動作させれば、画像形成を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙する構成となり、この構成では反転手段を駆動するか否かを制御する制御手段を省略でき、また、反転手段を経た用紙経路を、版胴、感光体等の像担持体など、用紙に画像を形成するための部材に向けて取り回す必要がない。
このように、画像形成装置は、必ずしも、用紙の両面に画像形成を行うことが可能な構成である必要はない。テストプリントに版付け印刷を含む場合、画像形成装置は孔版印刷装置に限られるが、この場合も、かかる孔版印刷装置は、用紙の両面に印刷を行うことが可能な構成である必要はない。
しかし、たとえば、孔版印刷装置であって、両面に印刷が可能な次のような構成であっても、本発明を適用できる。
(1)2ドラム順次印刷式1パス両面印刷方式、すなわち、用紙のそれぞれ異なる面側に、用紙の搬送経路において順次第1、第2の版胴を備え、一方の版胴により用紙の表面側、他方の版胴により用紙の裏面側に印刷を行うことで、1回の通紙すなわち1パスで、両面印刷物を得る両面印刷方式である。
(2)2ドラム対向式1パス同時両面印刷方式、すなわち、第1の版胴と、用紙搬送路を介して第1の版胴と対向配置された第2の版胴と、第1の版胴の外周面と第2の版胴の外周面とを互いに接離させる接離手段とを具備し、接離手段を作動させて各版胴同士を互いに圧接させることにより、1パスで用紙の一方の面である用紙の表面に印刷を行う表面印刷およびその用紙の他方の面である用紙の裏面に印刷を行う裏面印刷を1工程で行って両面印刷物を得る両面印刷方式である(例えば、特開平6−71996号、特開平6−135111号および特開2000−198260号公報等参照)。
(3)2ドラム対向式転写胴介在型1パス同時両面印刷方式、すなわち、インキ供給手段を具備し外周面にマスタを巻装して回転自在な第1、第2の版胴と、これら第1、第2の版胴との間に位置する転写胴とを用い、第2の版胴から転写胴にインキ画像を転移させた後に、同じ用紙の裏面に転写胴上のインキ画像を再転移させることによって用紙の表裏面に同時に印刷を行うという両面印刷方式である(例えば、特開平8−118774号公報等参照)。
(4)上記形態と(3)との中間に位置するような「1ドラム分割印刷転写胴1パス両面印刷方式」とも呼ぶべき両面印刷方式である(例えば、特開平10−129100号公報等参照)。1ドラム分割転写胴1パス両面印刷方式を採用した孔版印刷機の基本的な構成は、1つの版胴外周面に表面用印刷領域と裏面用印刷領域とを有する版胴と、版胴の裏面用印刷領域を通過したインキによって転写された裏面用インキ画像がその表面に形成される転写胴と、版胴と裏面用インキ画像が形成された転写胴との間に用紙を搬送する搬送手段などを具備している。この両面印刷方式では、用紙が版胴と裏面用インキ画像が形成された転写胴との間を通過することによって、1パスで用紙の表裏面に同時に印刷をすることができる。
そして、上記形態の両面孔版印刷装置200や、上記(1)ないし(4)のような両面印刷が可能な孔版印刷装置、その他両面画像形成が可能な画像形成装置において、両面画像形成を行うときに、情報保護モードを設定できるように構成することが可能である。ただし、両面画像形成を行うときに、情報保護を行うためには、片面のみに保護したい情報を示す画像を形成ことが条件となる。
たとえば、両面孔版印刷装置200においては、はじめに印刷するときに情報を保護する必要がある画像を印刷するよう構成、制御することで、両面画像形成を行うときに、情報保護モードを設定し、情報を保護する必要のない画像が形成された面を上に向けて排紙し、情報を保護する必要のある画像が形成された面を下に向けて排紙するようにすれば、情報が保護される。また両面孔版印刷装置200において、はじめに印刷するときに情報を保護する必要のない画像を印刷し、次に印刷するときに情報を保護する必要のある画像を印刷する場合であっても、情報保護モードを設定し、2回目の印刷の後にも反転動作を行ってから排紙するように構成、制御することで、情報を保護する必要のない画像が形成された面を上に向けて排紙し、情報を保護する必要のある画像が形成された面を下に向けて排紙して、情報を保護するようにすることができる。
このことは、上述した(1)ないし(4)の孔版印刷装置にも適宜適用できるし、同様に、その他の両面画像形成が可能な画像形成装置にも適宜適用できる。
本発明の適用は、上述の説明において特に限定を行っていない限り、上述の形態に限られるものではない。
本発明を適用した両面孔版印刷装置の要部の一部断面正面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の印刷部、排紙搬送手段、印圧範囲可変手段周りの構成および動作を示す拡大一部断面正面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の印刷部および排紙搬送手段周りの構成および動作を示す拡大一部断面正面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の印刷部および排紙搬送手段周りの構成および動作を示す拡大一部断面正面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の印圧範囲可変手段周りの一部断面側面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の印圧範囲可変手段の要部の正面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の印圧範囲可変手段の要部の正面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置に用いられる版胴上の分割製版済みマスタに対応して適用される3つの印圧範囲パターンを展開して説明するための図である。 図1に示した両面孔版印刷装置に用いられる給紙開始用遮光板およびレジスト開始用遮光板の版胴の端板への配置例を示す斜視図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の給紙部の給紙ローラおよびレジストローラの駆動機構を示す要部の正面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の給紙部の給紙トレイに配設されている用紙サイズ検知手段の要部の斜視図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の排紙搬送手段および変位手段周りの斜視図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の画像読取部の要部の正面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の操作パネルの要部の平面図である。 図1に示した両面孔版印刷装置の要部の制御構成を示すブロック図である。 図1に示した両面孔版印刷装置に備えられた反転手段の動作時・非動作時おける用紙の経路およびこれらに対応した排紙態様を示す概略図である。 図1に示した両面孔版印刷装置に備えられた制御手段による制御であって特に反転手段の制御を行う場合の制御態様に関するフローチャートである。
符号の説明
36 用紙
100 制御手段
173 入力手段
199 用紙の、画像形成を行った側の面
200 画像形成装置、孔版印刷装置
201 反転手段

Claims (10)

  1. 用紙の、保護すべき画像形成を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙することが可能な画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、画像形成を行った用紙を反転させて排出するための反転手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2記載の画像形成装置において、前記反転手段を制御して、用紙の、画像形成を行った側の面とは反対側の面を、上に向けて排紙するか否かの制御を行う制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3記載の画像形成装置において、前記制御手段が、テストプリントを実施するか否かを、前記制御を行う条件とすることが可能であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4記載の画像形成装置において、前記テストプリントが、画像位置調整後の画像位置を確認するための画像形成を含むことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項3ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記制御手段に対して所定の情報を入力する入力手段を有しているか、接続可能であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6記載の画像形成装置であって、請求項4記載の画像形成装置に従属する画像形成装置において、前記入力手段により、テストプリントを行うときに、前記制御を行うか否かを入力可能であることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項2ないし7の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記反転手段を用いて用紙を反転させることで、用紙の両面に画像形成を行うことが可能であることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1ないし8の何れか1つに記載の画像形成装置において、孔版印刷装置であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項9記載の画像形成装置であって、請求項4記載の画像形成装置に従属する画像形成装置において、前記テストプリントが、版付け印刷を含むことを特徴とする画像形成装置。
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