以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る印字装置の開閉カバーを閉じた状態の全体の斜視図であり、図2はその印字装置の開閉カバーを開いた状態の全体の斜視図である。また、図3は装置本体に設けられた収容部の平面図である。
この印字装置1は、印字用テープに印字することができるとともに、被印字物としてのCD−RやDVD−Rなどのディスク状の記録媒体(光ディスク)の表面(レーベル面)にも直に印字することができる。
図1に示すように、この印字装置1は、装置本体2を備え、この装置本体2の上面にキー入力部3及び表示部4が設けられている。キー入力部3は、印字する文字列のデータを入力する文字キー、印字開始を指示する印字キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、及び入力された文字列の編集処理、各種設定処理、印字処理等に必要な種々の制御キーを備えている。表示部4は液晶表示装置であり、入力されたデータや処理内容を表示する。
装置本体2は、カセット及び光ディスクを収容するための単一の収容部6を有し、この収容部6の上面のカセットを着脱するための開口が開閉カバー5により開閉される。
収容部6には、図4(A)、(B)に示すテープカセット70と、図5(A)、(B)に示すリボンカセット85とが選択的に収容される。テープカセット70は、カセットケース73内に印字用テープ71及びインクリボン72を保持し、リボンカセット85はカセットケース88内にインクリボン87を保持してなる。
印字用テープ71に印字を行なう場合には、図6に示すように収容部6にテープカセット70を収容し、被印字物であるディスク状の記録媒体としての光ディスクのレーベル面に印字を行なう場合には、図7に示すように収容部6にリボンカセット85と光ディスクDを収容する。テープカセット70とリボンカセット85はその外径形状がほぼ同一となっている。収容部6に光ディスクDを収容するときには、図8に示すように光ディスクDを起立させ、その起立状態で装置本体2内に挿入する。
前記収容部6には、プラテンローラ7、サーマルヘッド8及びリボン巻取軸9が設けられている。プラテンローラ7は、その回転軸7aを垂直に向けて取付フレーム7bに回転可能に取り付けられている。
このプラテンローラ7は、収容部6にテープカセット70が収容されたときに、そのテープカセット70の印字用テープ71及びインクリボン72をサーマルヘッド8との間に挟み重ねて搬送し、また収容部6にリボンカセット85及び光ディスクDが収容されたときに、インクリボン87及び光ディスクDをサーマルヘッド8との間に挟み重ねて搬送する搬送手段として機能する。
取付フレーム7bには、プラテンローラ7の両側の被印字物の搬送方向の上流側及び下流側の近傍に位置して、搬送する光ディスクDの傾きを防止するための補助ローラ7c、7dが回転自在に設けられている。
ここでは、プラテンローラ7に対向して設けるサーマルヘッド8は擬似端面ヘッドタイプのものを使用している。このサーマルヘッド8は所定の角度で被印字物に当接することが必要で、そうでないと印字品位が悪くなってしまう。前記補助ローラ7c、7dを設けることなく、プラテンローラ7の1箇所だけでサーマルヘッド8の圧力を受けるとすると、プラスチック材などの剛体により構成されている光ディスクに印字を行なう場合には、プラテンローラ7の回転駆動により光ディスクが傾いてしまい、好ましい印字に必要とするサーマルヘッド8の所定の当接角度が維持できなくなる。
そこで、補助ローラ7c、7dを設けて、サーマルヘッド8からの圧力をプラテンローラ7と補助ローラ7c、7dの3箇所で受けることにより、光ディスクがサーマルヘッド8に対して傾くことがなく、サーマルヘッド8の光ディスクに対する所定の当接角度が保持されるようにしている。なお、上流側の補助ローラ7cを省略して、下流側の補助ローラ7dだけとして、プラテンローラ7と下流側の補助ローラ7dで光ディスクを支持するようにしてもよい。
また、サーマルヘッド8は、ヘッドカバー8a内に回動可能に設けられ、プラテンローラ7に対向するように配置されている。このサーマルヘッド8は、収容部6にテープカセット70が収容されたときに、インクリボン72を介して印字用テープ71に印字を行ない、また収容部6にリボンカセット85が収容されたときに、インクリボン87を介して光ディスクに印字を行なう印字手段として機能する。
サーマルヘッド8には、印字用テープ71及びインクリボン72、87の幅方向に対応して並ぶ複数個の発熱素子が1列に設けられ、印字データに基づいてその複数個の発熱素子が選択的に発熱駆動される。リボン巻取軸9は、印字に使用されたテープカセット70のインクリボン72及びリボンカセット85のインクリボン87をそれぞれのカセットケース73、88内に巻き取って回収する。
収容部6には、テープカセット70及びリボンカセット85に係合してそれを所定位置に支持するための複数の支持台10a、10b、10cや係合部10eが設けられている。
テープカセット70としては、印字用テープ71の幅のサイズが異なる複数種のものがある。収容部6には、テープカセット70の収容の有無、及びその収容されたテープカセット70のテープサイズについての種別を判別するための複数のテープカセット検出スイッチ11a、11b、リボンカセット85の収容の有無を検出するためのリボンカセット検出スイッチ12、光ディスクDが所定位置に収容されたことを検出し、かつ光ディスクDへの印字開始位置を指示するためのディスク検出センサ13が設けられている。
収容部6は主としてテープカセット70及びリボンカセット85を収容するためのものであるが、この収容部6の奥側端部の内底部分には、この収容部6に起立状態で収容され、プラテンローラ7とサーマルヘッド8との間に挟まれて搬送される光ディスクDの下端部が当接して案内されるガイド部15が設けられている。この収容部6を構成している
ガイド部15は、図9及び図10に示すように、底面に平坦な案内面15aを有する溝状をなし、装置本体2の内部から外部に通じるように直線状に形成されている。プラテンローラ7とサーマルヘッド8とで挟まれて搬送される光ディスクDは、その下端部が前記案内面15aに当接する状態でガイド部15に沿って案内される。
ガイド部15は、光ディスクDの搬送経路であり、装置本体2の内部側がその搬送の上流側で、装置本体2の外部側が下流側である。そして、このガイド部15の長さ方向の所定の位置において、ガイド部15を間に挟んで対向するようにプラテンローラ7とサーマルヘッド8とが配置され、この位置が印字位置になっている。このガイド部15の一部、すなわち光ディスクDの搬送経路の前記印字位置の近傍より下流側の部分は印字用テープ71の搬送経路にもなっている。
ガイド部15の装置本体2の外部に臨む端部は、装置本体2の側部に開口する開口部16となっている。この開口部16は、装置本体2の内部で印字された印字用テープ71を装置本体2の外部に排出する排出口として機能し、また後に説明するように、光ディスクDを装置本体2の内部に挿入するための挿入口として機能する。
装置本体2には、図3に示すように、開口部16の近傍において、印字された印字用テープ71の先端側の印字済部分を切断するための切断機構17が設けられている。この切断機構17は、固定刃17aと可動刃17bを備え、これら固定刃17aと可動刃17bは印字用テープ71の搬送径路を隔てて互いに対向するように設けられている。固定刃17aは装置本体2に固定され、可動刃17bは固定刃17aに対して接離する方向に移動可能に設けられている。
そして、収容部6にテープカセット70が収容され、このテープカセット70から印字用テープ71が開口部16を通して外部に排出された際に、可動刃17bがカッタ用モータにより駆動されて固定刃17aに接近する方向に移動し、この移動で固定刃17aと可動刃17bとで印字用テープ71が挟まれて切断される。切断後には可動刃17bが固定刃17aから離れる方向に移動して待機位置で停止する。
装置本体2に設けられるガイド部15の上流側の端部には、図10に示すように、開口部16から挿入されて装置本体2の内部に収容される光ディスクDの挿入側の外周端部に当接して光ディスクDを初期位置に位置決めするための位置決め部18が設けられている。
光ディスクDが所定位置に収容されたことを検出し、光ディスクDへの印字開始位置を指示する前記ディスク検出センサ13は、前記ガイド部15に沿う所定の位置に設けられている。このディスク検出センサ13は、発光部と受光部とを有する透過型の光学センサであり、ガイド部15の長さ方向のほぼ中間部で、収容部6の内底部のガイド部15の溝内に溝を挟んで発光部と受光部とが対向して設けられている。
図10(A)に示すように、前記ディスク検出センサ13は、起立状態で光ディスクDが収容部6内の所定の初期位置に配置されたときのその光ディスクDのガイド部15の案内面15aに当接する最下端部の近傍の位置に対応する位置に配置されている。
なお、図10(A)に示すように、起立状態で光ディスクDが収容部6内の所定の初期位置に配置された状態において、光ディスクDの中心を通り光ディスクDの外周縁の垂直方向の真下位置をAとし、同じく垂直方向の真上位置をBとし、光ディスクDの中心を通り光ディスクDの外周縁の水平方向の下流側端部位置をCとしたとき、ディスク検出センサ13を配置する位置は、A位置(近傍を含む)からB位置(近傍を含む)までの光ディスクの下流側半分の外周縁(図10(A)の符号Xで示す範囲)に対応した装置内の位置にしてもよい。
もっとも、この印字装置1は起立状態にした光ディスクDの下半部を収容部6に収容して上半部を装置本体2の外部に露出するように構成されているため、ディスク検出センサ13を配置する位置は、実質的には、図10(A)に示すA位置からC位置までの間の光ディスクDの外周縁(図10(A)の符号Yで示す範囲)に対応した位置とすることが好ましい。
このように、初期収容位置の光ディスクDの中心直下を含むその搬送方向の下流側の光ディスクDの外周縁近傍にディスク検出センサ13を配置することにより、まず初期収容位置に配置された光ディスクDの存在を確実に検出することができ、またディスク検出センサ13の前記所定の配置位置は、印字時に下流側に光ディスクが搬送されるときに、光ディスクDが存在状態から不存在状態に変化することを感度のよく検出できる位置であるため、印字の開始とともに光ディスクDが搬送開始されると、その光ディスクDの移動を検出して、その情報に基づいてサーマルヘッド8による印字を開始することができる。
このように、単一のディスク検出センサ13によって光ディスクDの初期収容位置への収容の有無と、光ディスクDへの印字開始位置の位置決めのための情報を得ることができる。
収容部6の上に設けられた前記開閉カバー5は、ヒンジによって装置本体2の上面に対して回動自在に支持され、表示部4及び収容部6の位置に対応して透明な窓20、21が設けられている。
開閉カバー5の下面には、ばね部材を内装して収容部6に収容されたテープカセット70及びリボンカセット85、70の上面に弾性的に当接することにより、それらのカセットの収容部6内での垂直方向の位置を規制するためのカセット押え22a、22b、22cが設けられている。
また、この開閉カバー5には、そのほぼ中央部から装置本体2の一側部側(右方側)まで直線的に延びるスリット状の取出し口23が形成されている。この取出し口23は、開閉カバー5の閉蓋状態において、前記ガイド部15と垂直方向で互いに対向するように設けられ、その取出し口23の装置本体2の一側部側は前記開口部16に連なって前記開口部16とともに装置本体2の側部外方に開放している。
前記開口部16から光ディスクDを起立状態で挿入したときには、その光ディスクDは前記ガイド部15及び取出し口23に沿って移動して収容部6の初期位置に達する。この際、光ディスクDはそのほぼ上半部が取出し口23から装置の外部に突出する。
そして、印字時には、光ディスクDがガイド部15及び取出し口23に沿って下流側に搬送され、その搬送中に光ディスクDに対して印字が行なわれる。印字後には、図10(B)に示すように、光ディスクDはガイド部15の装置本体2の外部側の端部の取出し部14に配置され、この取出し部14に配置された光ディスクDを取出し口23から上方に引き上げて装置本体2の外部に取り出すことができるようになっている。
図10(B)の符号Pで示す領域は、印字動作によって光ディスクDの下半部の一部に施される印字領域を示している。この印字領域Pは、幅(高さ)がWで長さがLの寸法を有し、幅Wはサーマルヘッド8の発熱素子列の寸法に対応し、長さLは印字時のサーマルヘッド8の光ディスクDに対する相対的な移動距離に対応する。
光ディスクDがガイド部15に沿ってその上流側から下流側に向けて搬送されて印字が行われ、印字終了時には光ディスクDは前記取出し部14の位置まで搬送されて、光ディスクDはその搬送方向の下流側の一部が装置本体2の外部に突き出た状態で停止する。光ディスクDは、その縦方向の中心線の左右で重量バランスが均一であるが、印字終了時に取出し部14まで搬送されて停止した光ディスクDは、その形状の搬送方向の上流側の1/2以上の領域部分が前記取出し部14の上に支持される。つまり、搬送方向の中央に位置しディスクの中心にある光ディスクDの重心が取出し部14の直上かそれより装置本体2の内部側に位置する状態で光ディスクDが取出し部14の上に支持される。
これにより、印字後の光ディスクDを装置外に取り出し易く、また光ディスクDが取出し部14にまで搬送されたときに、その光ディスクDが重量バランスが崩れて取出し部14から転がり落ちるようなことが防止される。
特に、光ディスクDは外形が円形であり、しかも起立状態で印字を行なうため、印字終了時の取り扱いに注意を払わないと、装置外に転がり落ちて起立状態のままでどこまでも転がって移動してしまう不都合があるが、上述のように印字終了時の光ディスクの搬送を行なうことで、そのような不都合が生じることを確実に装置本体2上に保持することができる。
また、被印字物が、光ディスクとは異なる、縦方向の中心線の左右で重量バランスが不均一なフロッピー(登録商標)ディスクを光ディスクと同様に起立状態で搬送してその表面に印字するような場合には、その被印字物がガイド部15に沿って上流側から下流側に向けて搬送されて印字が行われ、印字終了時にはフロッピーディスクは取出し部14の位置まで搬送されて、フロッピーディスクはその搬送方向の下流側の一部が装置本体2の外部に突き出た状態で停止する。
この場合には、その搬送方向の上流側の重量バランスの1/2以上の領域部分が前記取出し部14の上に配置するように支持する。すなわち、フロッピーディスクの搬送方向上流側の重量バランスの1/2以上の領域部分が装置本体2上に残り、それ以外の領域部分が装置本体2の外部に突出する位置でフロッピーディスクの搬送を停止するものである。これにより、印字後のフロッピーディスクを装置外に取り出し易く、また印字後のフロッピーディスクが装置外に転げ落ちる不都合を防止することができる。
開閉カバー5の上には、取出し口23からの埃の侵入を防止するために、その取出し口23の長さ方向に沿う細長板状の開閉蓋25が設けられている。この開閉蓋25は、図11及び図12に示すように、取出し口23の長さ方向に沿うキー入力部3側(装置本体2の正面手前側)の一側縁が軸24を介して開閉カバー5に上下方向に回動可能に取り付けられ、通常時には自重で倒伏して取出し口23を覆っている。
なお、図示しないが開閉蓋25の裏面側の自由端側の一部分にはマグネットが配設され、これに対応する開閉蓋5の取出し口の縁部の位置には金属片が配設されており、マグネットの吸着力により開閉蓋25がみだりに開かないようにしている。
この開閉蓋25における前記開口部16に臨む部分の端部は、図11に示すように、平面視で軸24と直交する方向に対して軸24から開閉蓋25の自由端側に向けて傾斜する傾斜部26となっている。
また、図12に示すように、光ディスクDを起立状態でガイド部15に沿うように挿入するときに、光ディスクDの下端部がガイド部15の底面の案内面15aに当接した状態で、光ディスクDの挿入端部側の上半部側の外縁が傾斜部26に突き当たるようになっている。
これにより、開口部16から光ディスクDを起立状態でガイド部15に沿うように挿入するときに、図12に示すように、その光ディスクDの上半部の挿入側端部が前記傾斜部26に突き当り、この突き当りに応じて開閉蓋25が光ディスクDに押されて軸24を中心に上方に回動し、キー入力部3側に向いて図8及び図9(B)に示すように起立する。この起立で光ディスクDのさらなる移動が可能となる。
この開閉蓋25は透明材によって構成されており、レーベル面(印字面)を装置の正面手前側に向けて起立状態にした光ディスクDが装置本体2内に収容されて開閉蓋25が光ディスクDのレーベル面の手前側に起立したときに、光ディスクDのレーベル面を透視することができるようになっている。この透明材からなる開閉蓋25には、図8に示すようにその長手方向に沿って所定の色で彩色された位置合せ指標27が設けられている。
そして、収容部6の初期位置に光ディスクDが収容されているときに、その光ディスクDを回動操作し、その光ディスクDのレーベル面に予め印刷されているメーカ名などのプレ印刷部分が前記位置合せ指標27と平行となるなどの調整を行なうことで、この印字装置1により印字しようとする文字列の方向をプレ印刷部分に平行に位置合せすることができるようになっている。
開閉蓋25の裏面側には、その長さ方向に沿って緩衝材28が設けられている。レーベル面を装置の正面手前側を向けて光ディスクDを開口部16から挿入すると、光ディスクDのレーベル面が開閉蓋25の裏面側に摺接することになるが、開閉蓋25の裏面側に緩衝材28を設けることで、光ディスクDのレーベル面を保護することができる。
また開閉カバー5には、前記取出し口23を通してその上方から収容部6に誤って光ディスクDが挿入されるのを防止する挿入阻止手段としての挿入阻止部材29が設けられている。この挿入阻止部材29は、前記軸24と平行に設けられた軸30により取出し口23の下方に位置して開閉カバー5に回動可能に設けられ、不図示のばね部材によって常に上方の取出し口23に向けて回動するように弾性的に付勢され、通常時にはこの挿入阻止部材29が取出し口23に対向するように保持されている。
この挿入阻止部材29は取出し口23の長さ方向に沿うように設けられ、開口部16に向く側の端部は、図11に示すように平面視で軸30側からその反対側の自由端側に向けて傾斜する傾斜部32となっている。また、図12に示すように、光ディスクDを起立状態でガイド部15に沿うように挿入するときに、光ディスクDの下端部がガイド部15の底面の案内面15aに当接した状態で、光ディスクDの挿入端部側の下半部側の外縁が傾斜部32に突き当たるようになっている。
開口部16から光ディスクDが挿入されたときには、図12に示すように、その光ディスクDの下半部の挿入側端部が挿入阻止部材29の傾斜部32に突き当たり、この突き当りに応じて挿入阻止部材29が軸30を中心に下方に回動して取出し口23の下方を開放するように動作する。これにより光ディスクDの挿入が可能になる。
この挿入阻止部材29は、断面がほぼJの字状をなし、その上端部が軸30を介して開閉カバー5に回動可能に支持され、その上端から下方に延びる部分が円弧状に湾曲する受止め部33となっており、この受止め部33が通常時に取出し口23に対向する状態にある。
光ディスクDが取出し口23を通してその上方から誤って挿入されたときには、光ディスクDに押されて挿入阻止部材29がある程度回動するものの、前記受止め部33によって光ディスクDが受止められてそれ以上の挿入が阻止される。
この印字装置1では、プラテンローラ7及びサーマルヘッド8がガイド部15に臨むようにして収容部6内に立設されており、この収容部6にリボンカセット85を収容して光ディスクDへの印字を行なう場合には、リボンカセット85のインクリボン87は幅方向を垂直向きにしてガイド部15の上流側から下流側に向く水平方向に搬送される。
一方、装置本体2の側面部及び上面部には、開口部16及び取出し口23を介して外部に開放する開放部が設けられている。開口部16からガイド部15に沿って起立状態で光ディスクDを装置本体2内に向けて挿入する場合は、インクリボン87のインク面と光ディスクDのレーベル面とが対応し、かつインクリボン87の搬送方向と光ディスクDの挿入方向とが平行となる関係にあるため、光ディスクDの装置本体2内への挿入時に光ディスクDによってインクリボン87を引っ掛ける虞はない。
すなわち、光ディスクDはインクリボン72、87の送りの方向と平行な方向に向いて挿入され、したがってそのインクリボン72、87を捩ったり傷つけるようなことなく円滑に挿入される。
これに対し、取出し口23から起立状態で光ディスクDを装置本体2内に挿入するとなると、インクリボン87の搬送方向と光ディスクDの挿入方向とが直交する関係となる。このように、インクリボン87の搬送方向と光ディスクDの挿入方向とが直交関係になると、光ディスクDの挿入時にインクリボン87を引っ掛けて傷めてしまうことがある。
この印字装置1では、挿入阻止部材29を取出し口23に対応して設けることで、インクリボンの搬送方向と直交する方向から光ディスクDが挿入されることを防止している。
次に、収容部6に収容される前記テープカセット70及びリボンカセット85について図4及び図5を参照して更に説明する。
テープカセット70は、図4(A)、(B)に示すようにカセットケース73を備え、このカセットケース73の内部に、印字用テープ71を巻回したテープコア74、未使用のインクリボン72を巻回したリボン供給コア75、印字に使用された使用済部分のインクリボン72を巻き取るリボン巻取コア76がそれぞれ収納されている。
また、カセットケース73には、その外壁の一部を凹状に成形してなるサーマルヘッド8が挿入されるヘッド挿入部77が設けられ、このヘッド挿入部77内にカセットケース73の内部から印字用テープ71及びインクリボン72が繰出され、印字に使用されたインクリボン72が巻取コア76に巻き取られてカセットケース73内に還流するように構成されている。
カセットケース73のコーナー部分には、前記収容部6の支持台10a、10b、10cに対応する被支持部78、79、80が設けられている。被支持部78には、テープカセット検出スイッチ11a、11bに対応して、これらスイッチをオン・オフするべく、カセットの種別に応じて図4(A)に示す破線で示す切欠き81、82が設けられる。ここでは、切欠き81、82のいずれか一方が設けられるもの、全く設けられないものの3種類がある。また、被支持部80には、リボンカセット検出スイッチ12に対応して切欠き83が設けられている。
リボンカセット85は、図5(A)、(B)に示すようにカセットケース88を備え、このカセットケース88の内部に、未使用のインクリボン87を巻回したリボン供給コア90、印字に使用された使用済部分のインクリボン87を巻き取るリボン巻取コア91がそれぞれ収納されている。
また、カセットケース88には、その外壁の一部を凹状に成形してなるサーマルヘッド8が挿入されるヘッド挿入部92が設けられ、このヘッド挿入部92内にカセットケース88の内部からインクリボン87が繰出され、印字に使用されたインクリボン87が巻取コア91に巻き取られてカセットケース88内に還流するように構成されている。
カセットケース88には、前記支持台10a、10b、10cに対応する被支持部93、94、95が設けられている。被支持部93には、テープカセット検出スイッチ11a、11bに対応して、これらスイッチをオフするべく、切欠き96が設けられている。また、リボンカセット検出スイッチ12に対応する被支持部95には切欠きが設けられず、これによりスイッチオンする。
このような構成において、テープカセット70が印字装置1の収容部6内に装着されると、サーマルヘッド8がカセットケース73のヘッド挿入部77内に配置されるとともにリボン巻取軸9がリボン巻取コア76に嵌入する。また、リボンカセット85が印字装置1の収容部6内に装着されると、サーマルヘッド8がカセットケース88のヘッド挿入部92内に配置されるとともにリボン巻取軸9がリボン巻取コア91に嵌入する。
次に、印字手段及び搬送手段を構成する印字・搬送機構について、図13〜図17を参照して説明する。この機構は装置本体2内に設けられ、サーマルヘッド8のアップ・ダウンによる印字位置と被印字位置への移動と、印字用テープ71、インクリボン72、87及び光ディスクDの搬送と、インクリボン72、87の巻取りと、インクリボン72、87の弛み取りの各動作を行なう。
35は駆動源となる単一の印字動作用モータである。36は印字動作用モータ35の出力ギア、37〜40は第1〜第4の減速ギア、41は第1の太陽ギア、42は第1の遊星ギア、43は第2の遊星ギア、45はカム溝46を有し、外周部の厚さ方向の異なる位置に歯が形成されていない第1及び第2の歯欠け部47、48を有するカムギアである。
また、49はラグギア機構で、このラグギア機構49は、図18に示すように、3枚のラグギア49a、49b、49cを備え、ギア49aとギア49bとの間、及びギア49aとギア49cとの間にそれぞれラグ機能を有する構造となっている。
50は一回転方向のみに駆動力を伝達するワンウエイギア、51、52はプラテンローラ7と同軸的に設けられたプラテンギア、53は第2の太陽ギア、54は第3の遊星ギア、55は中間ギア、56は第3の太陽ギア、57は第4の遊星ギア、58はリボン巻取軸9と同軸的に設けられたリボン巻取ギアである。
印字動作用モータ35の出力ギア36は第1〜第4の減速ギア37〜40を介して第1の太陽ギア41に噛合し、この太陽ギア41の外周に第1の遊星ギア42及び第2の遊星ギア43が配置され、これら遊星ギア42、43がそれぞれ太陽ギア41に噛合している。第1の遊星ギア42はカムギア45の第1の歯欠け部47と同じレベルの位置に配置され、第2の遊星ギア43は第2の歯欠け部48と同じレベルに配置されてそれぞれカムギア45に噛合可能に太陽ギア41に対して支持されている。
第1の太陽ギア41はラグギア機構49のラグギア49aに噛合し、このラグギア49aの回転に対して所定の遅れをもって回転するラグギア49b、49cの一方がワンウエイギア50に噛合し、他方が中間ギア55に噛合している。
プラテンローラ7と同軸の一方のプラテンギア51は前記ワンウエイギア50に噛合し、他方のプラテンギア52は第2の太陽ギア53に噛合し、また前記中間ギア55は第3の太陽ギア56に噛合している。
そして、第2の太陽ギア53の外周にこの太陽ギア53に噛合する第3の遊星ギア54が公転可能に配置され、第3の太陽ギア56の外周にこの太陽ギア56に噛合する第4の遊星ギア57が公転可能に配置され、前記第3の遊星ギア54及び第4の遊星ギア57がその公転に応じてリボン巻取ギア58に噛合するようになっている。
59はサーマルヘッド8を保持したヘッドアームであり、このヘッドアーム59はサーマルヘッド8の取付側とは反対側に前記カムギア45のカム溝46に係合するピン60を備え、引張りばね61により弾性的に付勢されて軸62を中心とする軸回り方向に回動可能となっている。そして、前記カムギア45の回転に応じて前記ピン60がカム溝46の縁部と摺動してヘッドアーム59が軸62を中心に回動するようになっている。
図13は印字開始前の初期状態を示している。この状態では図示のように、サーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離している。
図14は印字開始の指示により印字動作用モータ35が動作を開始した直後の状態を示している。印字動作用モータ35が図の矢印で示す正転方向に回転すると、その駆動力はギア36〜40、第1の太陽ギア41、第1の遊星ギア42を介してカムギア45に伝わり、このカムギア45が時計方向に回転し、ピン60がカム溝46の縁部に沿って移動し、ヘッドアーム59が引張りばね61の弾性力で軸62を中心に反時計方向に回動し、サーマルヘッド8がプラテンローラ7に向って移動する。
また、印字動作用モータ35の駆動力はギア36〜40、第1の太陽ギア41を介してラグギア機構49のラグギア49aに伝達されるが、このラグギア49aと他の一つのラグギア49bとの間ではラグ機能が働き、このため前記ラグギア49bは回転しない。前記ラグギア49bは、ワンウエイギア50を介してプラテンギア51に噛合しているが、このラグギア49bが回転しないため、プラテンローラ7には駆動力が伝達されない。
このとき、ラグギア49aとラグギア49cの間ではラグ機能は働かず、したがって第1の太陽ギア41の駆動力は中間ギア55を介して第3の太陽ギア56に伝達されるが、第4の遊星ギア57がリボン巻取ギア58から遊離しているため、リボン巻取軸9は駆動されない。このように、サーマルヘッド8がヘッドダウンする途中では、プラテンローラ7もリボン巻取軸9も駆動されない。
図15はサーマルヘッド8のプラテンローラ7への押圧が完了した状態を示している。この状態で印字が開始されることになる。このときには、図示のように、カムギア45の回転で第1の遊星ギア42がカムギア45の第1の歯欠け部47に落ち込む。このため、動作用モータ35の駆動力の伝達が断ち切られ、カムギア45の回転が停止、サーマルヘッド8はプラテンローラ7に圧接した状態に保持される。
一方、このときには、ラグギア49aとラグギア49b間のラグ期間が終了し、モータ35の駆動力がワンウエイギア50を介してプラテンギア51に伝達されてプラテンローラ7が駆動される。更に、プラテンギア52を介して第2の太陽ギア53及び第3の遊星ギア54が駆動され、第3の遊星ギア54がリボン巻取ギア58に噛合し、駆動力が伝達されてリボン巻取軸9が回転駆動される。
図16は印字が終了してサーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離して押圧が解除されるときの状態を示している。印字が終了すると、動作用モータ35が逆転駆動される。これにより、第1の太陽ギア41が反時計方向に回転し、第1の遊星ギア42がカムギア45の第1の歯欠け部47から離脱するとともに、第2の遊星ギア43がカムギア45に噛合し、この噛合でモータ35の駆動力がカムギア45に伝達され、カムギア45が図15の状態から反時計方向に回転し、このカムギア45の回転でヘッドアーム59が時計方向に回動してサーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離する。
一方、ワンウエイギア50は、印字動作用モータ35の正転時には時計方向に回転してモータ35の駆動力をプラテンギア51に伝達するが、印字動作用モータ35の逆転時にはその駆動力の伝達を遮断し、したがってプラテンローラ7は回転しない。
また、このとき、第1の太陽ギア41の回転でラグギア機構49のラグギア49aは回転するが、このラグギア49aとラグギア49cの間ではラグ機能が働き、このため中間ギア55及び第3の太陽ギア56は回転せず、第4の遊星ギア57がリボン巻取ギア58から遊離する状態にあり、リボン巻取軸9への駆動力の伝達は行われない。
図17はサーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離するヘッドアップの完了後に行われるインクリボンの弛み取りの処理動作を示している。
サーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離した後には、カムギア45の反時計方向の回転が進んで第2の遊星ギア43がカムギア45の第2の歯欠け部48に落ち込み、カムギア45の回転が停止し、サーマルヘッド8のヘッドアップの状態が保持される。
一方、このときには、ラグギア49aとラグギア49cの間のラグ機能は解除され、ラグギア49aから中間ギア55、太陽ギア56に駆動力が伝達され、第4の遊星ギア57がリボン巻取ギア58に噛合し、リボン巻取軸9が巻取方向に回転駆動される。これにより、サーマルヘッド8のプラテンローラ7からの開離によって弛んだインクリボンが巻き取られることになり、その弛みが解消されることになる。このインクリボンの弛み取りは、印字の終了時のヘッドアップ動作に対応して設定された所定時間だけ印字動作用モータ35を逆転駆動することにより行われる。
このようにして、単一の印字動作用モータ35を駆動して図13〜図17の動作を繰り返すことで印字が行われる。
図19は本実施形態に係る印字装置1の電気回路のブロック図を示している。この印字装置1は装置全体の制御を行なう制御部(CPU)100を有し、この制御部100にROM101及びRAM102が備えられている。
ROM101には、印字装置1の各部の動作を制御するためのシステムプログラムなどのプログラムデータが記憶されている。またROM101には、テープに印字するテープ印字モード及び光ディスクDに印字するディスク印字モードに応じてサーマルヘッド8の発熱素子への通電時間を設定する通電時間テーブルのデータが記憶されている。
RAM102には、入力されたデータを記憶する入力データメモリや印字パターンデータを記憶するための印字データメモリなどが備えられ、また印字動作に必要なデータが一時的に記憶される。
また、制御部100には、キー入力部3、表示部4が接続され、サーマルヘッド8を駆動する駆動回路103、印字動作用モータ35を駆動する駆動回路104、カッタ用モータ105を駆動する駆動回路106が接続されている。また、テープカセット検出スイッチ11a、11b、リボンカセット検出スイッチ12及びディスク検出センサ13が接続されている。
次に、印字装置1による印字動作を説明する。図20及び図21は印字装置1の制御の流れを示すフローチャートである。
まず、印字対象物を印字用テープとするテープ印字モードか、それとも印字対象物を光ディスクとするディスク印字モードかを設定するためのメニュー画面を表示部4に表示させて、ユーザがこのメニュー画面を介して印字モードの設定を行なう(S1)。
次に、表示部4に入力編集画面及び書式設定画面を表示させ、ユーザによりキー入力部3を介して印字すべきデータの入力が行なわれ、また文字サイズや行数、文字体などの書式の入力設定が行なわれる(S2)。
次に、キー入力部3の印字キーの操作に基づく印字の実行が指示されたか否かを判断する(S3)。印字の実行が指示されていれば(S3のYES)、設定された印字モードが印字用テープ用か光ディスク用とのいずれであるかを判断する(S4)。印字の実行が指示されなければ処理を終了する(S3のNO)。
テープ印字モードが設定されている場合には、収容部6に設けられたテープカセット検出スイッチ11a、11b、リボンカセット検出スイッチ12及びディスク検出センサ13の情報を取り込み(S5)、テープカセット検出スイッチ11a、11bからの情報に基づいてテープカセット70が収容部6に収容されているか否かを判断する(S6)。
テープカセット70が収容部6に収容されていないと判断したときには(S6のNO)、次に収容部6にリボンカセット85が収容されているか否かを判断する(S7)。また、リボンカセット85が収容部6に収容されていないと判断したときには(S7のNO)、表示部4にテープカセット70が未収容であることのエラー表示をし(S8)、S3の印字実行の指示待ちに移行する。この間にユーザは収容部6にテープカセット70を収容して再度印字の実行を指示することができる。
収容部6にリボンカセット85が収容されていると判断したときには(S7のYES)、リボンカセット85に代えてテープカセット70を収容すべきとのエラー表示を行ない(S9)、S3の印字実行の指示待ちに移行する。これによりユーザは収容部6に収容されたリボンカセット85をテープカセット70に交換して再度印字の実行を指示することができる。
収容部6にテープカセット70が収容されていると判断したときには(S6のYES)、続いて収容部6に光ディスクDが収容されている否かを判断する(S10)。収容部6に光ディスクDが収容されていると判断したときには(S10のYES)、表示部4に光ディスクDが収容されており、それを取り除くべきとのエラー表示を行ない(S11)、S3の印字実行の指示待ちに移行する。これによりユーザは収容部6に収容された光ディスクDを取り除いて再度印字の実行を指示することができる。
収容部6に光ディスクDが収容されていないと判断したときには(S10のNO)、設定された書式及び取り込んだテープ幅などのテープカセット情報に基づいて入力されたデータの印字データを作成する(S12)。そして、印字動作用モータ35を駆動して、図13〜図15で説明した、サーマルヘッド8のプラテンローラ7への押圧、プラテンローラ7及びリボン巻取軸9の回転駆動を行ない、印字データによりサーマルヘッド8の発熱体を発熱駆動することにより印字用テープ71にインクリボン72のインクを熱転写して印字する(S13)。
印字が終了した後には、サーマルヘッド8をプラテンローラ7に押圧したままの状態でカッタモータ105によって切断機構17を駆動して可動刃17bを動作させて印字用テープ71の切断を行ない(S14)、更に印字動作用モータ35を逆転駆動することにより、サーマルヘッド8のプラテンローラ7からの開離を行って処理を終了する(S15、エンド)。
また、S4において、設定された印字モードがディスク印字モードであると判断したときには、収容部6に設けられたテープカセット検出スイッチ11a、11b、リボンカセット検出スイッチ12及びディスク検出センサ13の情報を取り込み(S16)、次にリボンカセット検出スイッチ12の情報に基づいて収容部6にリボンカセット85が収容されているかどうかを判断する(S17)。
収容部6にリボンカセット85が収容されていないと判断したときには(S17のNO)、続いて収容部6にテープカセット70が収容されているか否かを判断する(S18)。収容部6にテープカセット70が収容されていないと判断すると(S18のNO)、収容部6にリボンカセット85が未収容であるとのエラー表示を表示部4に行ない(S19)、S3の印字実行の指示待ちに移行する。このエラー表示によってユーザは収容部6にリボンカセット85を収容して再度印字の実行を指示することができる。
収容部6にテープカセット70が収容されていると判断したときには(S18のYES)、収容部6に収容されたテープカセット70をリボンカセット85に交換すべきとのエラー表示を行ない(S20)、S3の印字実行の指示待ちに移行する。これによりユーザは収容部6に収容されたテープカセット70をリボンカセット85に交換して再度印字の実行を指示することができる。
一方、収容部6にリボンカセット85が収容されていると判断したときには(S17のYES)、続いて収容部6に光ディスクDが収容されているか否かを判断する(S21)。収容部6に光ディスクDが収容されていないと判断したときには(S21のNO)、収容部6に光ディスクDが未収容であるとのエラー表示を行ない(S22)、S3の印字実行の指示待ちに移行する。これによりユーザは収容部6に光ディスクDを収容して再度印字の実行を指示することができる。
光ディスクDが収容部6に収容されていると判断したときには(S21のYES)、設定された書式に基づいて入力されたデータの印字データを作成し(S23)、図13〜図15のように、印字動作用モータ35を正転駆動して、サーマルヘッド8のプラテンローラ7への押圧、プラテンローラ7及びリボン巻取軸9の回転駆動を行ない、印字データによりサーマルヘッド8の発熱体を発熱駆動することにより光ディスクDのレーベル面にインクリボン87のインクを熱転写して印字する(S24)。
この印字が終了したときには、光ディスクDは取出し部14の位置まで搬送されて、搬送方向の上流側の1/2以上の領域部分が取出し部14の上に支持された状態で停止する。続いて、図16及び図17で説明したように、印字動作用モータ35を逆転駆動することにより、サーマルヘッド8のプラテンローラ7からの開離を行ない、更に一定時間だけ印字動作用モータ35を逆転駆動することによりインクリボン87の弛み取りを行った上で処理を終了する(S25、エンド)。
なお、前記実施形態においては、選択的に用いられるテープカセット70とリボンカセット85とをその外形形状を同一とすることにより、その双方をそれぞれ収容部6内の所定の位置に位置決めして収容することができるようにしている。
しかし、リボンカセット85は、テープカセット70のように印字用テープを保持するものでないから、これを図22に示すように小型に構成することができる。ただこの場合、リボンカセット85aが小型となることから、これをそのまま収容部6内に収容しても所定の位置に位置決めすることができない。したがってこの場合には、テープカセット70と外形形状がほぼ同じアダプター98を用い、このアダプター98に小型のリボンカセット85aを装着して収容部6内に収容する。アダプター98には、図5に示すリボンカセット85と同様に、収容部6の支持台10a、10b、10cに対応する被支持部93a、94b、95cが設けられている。この被支持部93a、94a、95bはリボンカセット85の被支持部93、94a、95と同一形状であり同一の機能を有している。
また、前記実施形態においては、テープカセット70が収容部6に収容されたときにも、光ディスクDを収容部6に収容可能として、そのときにはディスク検出センサ13の情報に基づいてエラー報知を行なうようにしたが、テープカセット70が収容部6に収容されたときには、構造的に光ディスクDを収容部6に収容できないようにすることができる。
また、図23に示すように、テープカセット70の形状を図6に示すテープカセット70の形状よりもやや大きくし、その形状の大きいテープカセット70を収容部6の収容したときに、その一側縁がガイド部15に突出するように構成することも可能である。
この場合には、収容部6にテープカセット70を収容した状態のもとで、装置本体2内に誤って光ディスクDを挿入しようとしたときに、その光ディスクDの挿入側の周縁がテープカセット70に当ってテープカセット70と干渉し、この干渉で光ディスクDの挿入が阻止され、光ディスクDの誤った挿入が防止される。
なお、前記実施形態においては、ガイド部15の中央部に設ける単一のディスク検出センサ13からの情報によって、光ディスクDの所定の収容位置への収容の確認と、光ディスクDに対する印字開始の位置決めとを行なうようにしたが、これらの2つの機能を2個のセンサに分担するようにしてもよい。
図10(A)に示すように、プラテンローラ7及びサーマルヘッド8の下流側の近傍にセンサ13aを更に増設するものである。この場合、ディスク検出センサ13は光ディスクDの所定の収容位置への収容の確認を行なうための機能を有し、センサ13aは、光ディスクDに対する印字開始の位置決めを行なうための機能を有している。
センサ13aは、図10(A)に図示のように、光ディスクDが初期収容位置に収容された状態において、光ディスクDの外周縁より下流側の近傍に位置している。このセンサ13aは、例えば、反射型の光学センサによって構成する。しかして、図10(A)の状態においては、ディスク検出センサ13の出力はローレベルであり、センサ13aの出力もローレベルである。
この情報の組合せをもって初期収容位置への光ディスクDの収容が判断される。そして、印字が開始され光ディスクDが下流側に向けて搬送されると、ディスク検出センサ13の位置には光ディスクDがなくなるため、その出力はハイレベルとなり、一方センサ13aの位置には光ディスクDが移動して来るため、光ディスクDの端縁の到来とともに、その出力はハイレベルとなる。この両センサの情報に基づいて、光ディスクDへの印字開始のタイミングを制御することができる。
また、ディスク検出センサ13に加えてセンサ13aを設ける場合には、このセンサ13aからの情報をテープ印字にも利用することができる。すなわち、テープカセットには、周知のように、台紙テープ上にその長さ方向に沿って所定の間隔で所定の形状のラベルが剥離可能に貼着されて構成されたテープ部材を備えたものがある。このテープ部材では、そのラベル領域内に位置合せして印字を行なうために、台紙テープの裏面に各ラベルの位置に対応して位置合せマークが予め設けられている。そこで、前記センサ13aによってその位置合せマークを検出することで、ラベル領域内への印字を行なうことができる。このように、前記センサ13aは、ディスク印字モードでは光ディスクDの縁部を検出し、またテープ印字モードでは、位置合せマークが付された前記所定の印字用テープの位置合せマークを検出することで、光ディスクと印字用テープへのそれぞれの印字に機能することができる。
図24及び図25には、前記取出し口23を通してその上方から収容部6に誤って光ディスクDが挿入されるのを防止する挿入阻止手段の変形例を示してあり、この例においては、プラテンローラ7の上面を覆った取付フレーム7bの上に回動フレーム120が設けられている。この回動フレーム120は軸121を介して上下方向に回動自在に支持されているとともに、ばね122により上方に弾性的に付勢されている。
回動フレーム120には軸123を介して覆い片125が取り付けられている。この覆い片125は、軸123に回動自在に取り付けられているとともに、ばね126を介して図25における反時計方向に弾性的に付勢されている。なお、ばね122、126で弾性的に付勢されている回動フレーム120及び覆い片125はそれぞれその回動範囲が不図示のストッパにより所定の範囲に規制されている。
図24(A)に示すように、装置本体2の開閉カバー5が開放されているときには、回動フレーム120がばね122による付勢力で覆い片125と共に上方に回動して斜め上方に傾斜し、プラテンローラ7とサーマルヘッド8との間の隙間の上方の空間から退避し、その上方の空間が開放されている。
この状態で装置本体2の収容部6に図4に示すテープカセット70や図5に示すリボンカセット85を収容するわけであるが、この際、プラテンローラ7とサーマルヘッド8との間の隙間の上方の空間が開放されているから、そのテープカセット70の印字用テープ71及びインクリボン72、あるいはリボンカセット85のインクリボン87をそれぞれ前記隙間に挿入することができる。
また、収容部6からテープカセット70やリボンカセット85を取り出す際にも、テープカセット70の印字用テープ71及びインクリボン72、あるいはリボンカセット85のインクリボン87をそれぞれ前記隙間から引き出すことができる。
一方、図24(B)に示すように、開閉カバー5が閉じられたときには、その動作で回動フレーム120がその開閉カバー5により押され、回動フレーム120がばね122の弾性力に抗して覆い片125と共に下方に回動して水平の状態となり、覆い片125がプラテンローラ7とサーマルヘッド8との間の隙間の上方の空間部分に配置し、その隙間が覆われる。
したがって、この状態で装置本体2の上方から開閉カバー5の取出し口23を通して装置本体2内に光ディスクDを挿入しようとしてもその光ディスクDが前記覆い片125に当って挿入が阻止され、このため光ディスクDの誤った方向からの挿入を防止することができる。
光ディスクDを正規の方向、すなわち装置本体2の側部の開口部16(挿入口)から挿入したときには、その挿入に応じて光ディスクDの挿入側周縁が前記覆い片125の側縁に当接する。そしてこの当接に応じて覆い片125がばね123の付勢力に抗して図25における時計方向に回動し、この回動で覆い片125がプラテンローラ7とサーマルヘッド8との間の隙間の上方の空間部分から退避し、したがって光ディスクDを装置本体2内の所定の初期位置にまで挿入することができる。
この際、光ディスクDはインクリボン72、87の送りの方向と平行な方向に向いて挿入され、したがってそのインクリボン72、87を捩ったり傷つけるようなことなく円滑に挿入される。
なお、前記実施形態では、光ディスクDを検出する検出センサ13を、起立状態で光ディスクDが収容部6内の所定の初期位置に配置され、その起立状態で光ディスクDが搬送され印字される印字装置について説明したが、水平状態で光ディスクDが収容部6内の所定の初期位置に配置され、その水平状態で光ディスクDが搬送され印字される印字装置についても同様にして適用することができる。