JP2006110590A - 継目無鋼管の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高Cr含有鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を用いて穿孔圧延を行っても、内面疵の発生の少ない継目無鋼管を製造できる継目無鋼管の製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で9%以上のCrを含有するCr鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を用い、穿孔圧延を行うことにより継目無鋼管を製造する方法であって、横断面が矩形の素材を分塊圧延して得られた製管用ビレットの横断面において、中心偏析帯が分断されることなく、かつ、前記ビレットの横断面における中心偏析帯のビレット半径方向端部とビレット中心との距離rと、ビレット直径Dとの比、(r/D)の値が0.12以上である製管用ビレットを用いて穿孔圧延を行う継目無鋼管の製造方法である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、Cr含有量が9%以上のCr含有鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を用いた継目無鋼管の製造方法に関し、さらに詳しくは、上記のCr含有鋼またはステンレス鋼を用いて穿孔圧延を行うことにより、内面疵の発生の少ない継目無鋼管を製造する方法に関する。
継目無鋼管の製造方法として、円形断面の鋳片をマンネスマン・マンドレルミル方式、マンネスマン・プラグミル方式、マンネスマン・アッセルミル方式などの穿孔機を使用して穿孔圧延する方法が広く用いられている。これらのマンネスマン方式による継目無管の製造方法は、加熱炉で所定の温度に加熱された製管用のビレットを傾斜圧延穿孔機により穿孔圧延した後、得られた中空素管をマンドレルミルやプラグミルなどの延伸圧延機を用いて拡管し、肉厚を減少させた後、ストレッチレデューサーやサイザーなどの絞り圧延機により外径を絞り、製品の鋼管に仕上げるものである。
マンネスマン方式による継目無鋼管の製造方法は、傾斜ロールを用いた穿孔圧延において、ビレットの中心部が脆化して孔が形成される「回転鍛造効果」を利用してビレットを
穿孔するものである。しかしながら、ビレットを構成する材料の種類やその品質次第では、このビレット中心部の脆化に起因して、疵が発生するという問題がある。
図1は、傾斜穿孔圧延における回転鍛造効果による脆化領域の発生を説明するためのビレットの軸方向断面模式図である。圧延材であるビレット1は、矢印で示す圧延方向に螺進運動をしながら前進し、互いに逆方向に傾斜した回転軸の回りに回転する圧延ロール2の間隙に送り込まれ、圧延ロール2により圧下された後、プラグ3および圧延ロール2により圧延される。このとき、円形横断面を有するビレット1は、圧延ロール2により回転圧縮を受けることから、ビレット中心部には引張応力および剪断応力が発生し、プラグ2の先端近傍Fにおいてビレットの材料は脆化する。
その際、凝固区間が長いため、断面中心近傍に中心偏析やポロシティなどが生成しやすい材料では、製管前の加熱時にビレットの中心偏析部にδ−フェライト相が生成し、このδ−フェライトとオーステナイトとの強度差の基く両者の結晶粒界での歪の差異により、傾斜穿孔圧延時に割れが発生し、傾斜穿孔圧延後の鋼管内面にかぶれ疵が生成する。したがって、回転鍛造効果の顕著な領域Fに溶質成分の濃化したCr偏析などが存在すると、鋼管の内面欠陥ないしは内質欠陥を発生させる原因となる。
継目無鋼管の製造に際して、内面欠陥あるいは内質欠陥の発生を防止する方法として、下記の方法が開示されている。
特許文献1には、連続鋳造によって得られた中実丸ビレットを穿孔圧延して継目無鋼管を製造する方法において、鋳造時に発生する内部空隙が横断面中心から直径の3%の範囲内には存在しないように作製した丸中実ビレットを使用する継目無鋼管の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、丸棒鋼からなる継目無鋼管圧延用素材を用いてマンネスマン法により継目無鋼管を製造する方法であって、継目無鋼管圧延用素材として、前記素材の中心から微小クラックまでの距離が、素材の半径、ならびに穿孔圧延後の継目無鋼管の外径および内径により算出される所定の値以下である素材を穿孔圧延する継目無鋼管の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1および2に開示された方法は、ビレットの内部空隙や微小クラックに起因する継目無鋼管の欠陥を防止するための穿孔方法であり、ビレット中の成分偏析の影響については考慮されていない。
特許文献3には、連続鋳造した丸ビレットからの継目無鋼管の製造方法において、鋳片の最終凝固位置を鋳片中心より鋳片径の1〜3%ずらせた丸ビレットを用いて、丸ビレット中心をセンターとして穿孔圧延し、中空素管を製造する継目無鋼管の製造方法が開示されている。この方法は、ビレット中の最も成分偏析の著しい最終凝固部を穿孔時の中心からずらせることにより、鋼管の内面疵の発生を防止したものであるが、偏析の最も著しい部分が管肉の内部に位置するため、製管時に2枚割れや中かぶれ疵などの内部欠陥を発生するおそれがある。
また、特許文献4には、丸ビレット中の偏析を直径方向に分断し、その分断度が20%以上の丸ビレットを使用して穿孔圧延する継目無鋼管の製造方法が、さらに、特許文献5には、丸ビレットの中心からの偏析変位度が5〜40%である丸ビレットを使用して穿孔圧延する継目無鋼管の製造方法がそれぞれ開示されている。しかしながら、いずれの場合においても、成分偏析の最も著しい部分が管肉の内部に位置するため、やはり、製管工程で2枚割れや中かぶれ疵などの内部欠陥を発生するおそれがある。
上述のとおり、継目無鋼管の製造時における内面疵の発生を防止した傾斜穿孔圧延方法については、なお解決されねばならない幾多の問題がある。
特許第3129064号公報(特許請求の範囲および段落[0010]) 特許第3305604号公報(特許請求の範囲ならびに段落[0006]および[0007]) 特許第3033446号公報(特許請求の範囲ならびに段落[0014]および[0015]) 特開2002−361384号公報(特許請求の範囲ならびに段落[0009]および[0010]) 特開2002−224711号公報(特許請求の範囲および段落[0008])
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、内面疵の発生しやすいCr含有量が9%以上のCr含有鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を用いて傾斜穿孔圧延を行った場合でも、内面疵の発生の少ない継目無鋼管を製造することができる継目無鋼管の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、前記した従来の問題点を踏まえ、δ−フェライトが発生しやすく内面欠陥の発生しやすい高Cr含有鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼を対象として、内面疵の発生を防止した継目無鋼管の製造方法について検討を加え、下記の(a)および(b)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)質量%で9%以上のCrを含有するCr含有鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼からなる丸ビレットにおいて、その横断面における中心偏析帯の幅(r)と丸ビレットの直径(D)との比、(r/D)の値が0.12以上であるビレットを用いて穿孔圧延することにより、継目無鋼管の内面疵の発生を低減することができる。
(b)上記(a)の条件を満足するように中心偏析帯がビレット半径方向に伸びたビレットであっても、最終凝固位置または偏析帯が2以上に分断されたビレットの場合には、穿孔圧延により分断された偏析部から、二枚割れ状の内面疵や管肉内に二枚割れが発生する。
図2は、後述する丸ビレットの横断面における中心偏析帯の分布状況を模式的に示す図であり、同図(a)は中心偏析帯がビレット中心部に集中している場合を表し、同図(b)は中心偏析帯がビレット中央部に連続して分布している場合を表し、同図(c)は最終凝固位置および中心偏析帯が分断されている場合を表す。
前記(b)にて述べた最終凝固位置または偏析帯が2以上に分断されたビレットの場合には、同図(c)に示されるとおり、二枚割れ状の内面疵や管肉内に二枚割れが発生する。
本発明は、上記の知見に基いて完成されたものであり、その要旨は、下記に示す継目無管の製造方法にある。
すなわち、「質量%で9%以上のCrを含有するCr鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を用い、穿孔圧延を行うことにより継目無鋼管を製造する方法であって、横断面が矩形の素材を分塊圧延して得られた製管用ビレットの横断面において、中心偏析帯および最終凝固位置が分断されることなく、かつ、前記ビレットの横断面における中心偏析帯の幅rと、ビレットの直径Dとの比、(r/D)の値が0.12以上である製管用ビレットを用いることを特徴とする継目無鋼管の製造方法。」である。
本発明において、「マルテンサイト系ステンレス鋼」とは、Cr含有量が13%のステンレス鋼に代表されるとおり、マルテンサイト組織を有するステンレス鋼をいい、オーステナイト温度領域からの焼入れによりマルテンサイト組織を形成し、硬化するステンレス鋼を意味する。
「穿孔圧延」とは、圧延材のパスラインに対して傾斜した軸の回りに回転するロールにより圧延材を圧下しながら穿孔し圧延することをいい、例えばマンネスマン・マンドレルミル方式、マンネスマン・プラグミル方式などの穿孔機を使用して圧延することを意味する。
また、「中心偏析帯」とは、中心偏析がビレットの横断面内において帯状または線状に分布した組織を意味する。
そして、「中心偏析帯および最終凝固位置が分断されることなく」とは、中心偏析帯がマクロ的に連続した形態で分布し、かつ、最終凝固位置が中心近傍に位置することを意味し、中心偏析帯および最終凝固位置がいずれも2以上に分断されないことをいう。すなわち、前記の図2(c)に示されるCパターンのようにならないことを意味する。
本発明の継目無鋼管の製造方法によれば、内面疵の発生しやすいCr含有量が9%以上のCr含有鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼であっても、製管用ビレットの横断面における中心偏析帯および最終凝固位置が分断されることなく、かつ中心偏析帯の幅がビレット直径の12%以上であるビレットを用いて穿孔傾斜圧延を行うことにより、内面疵の発生の少ない継目無鋼管を製造することができる。
本発明の継目無鋼管の製造方法は、前述のとおり、9%以上のCrを含有するCr鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を用い、横断面が矩形の素材を分塊圧延して得られた製管用ビレットの横断面において、中心偏析帯および最終凝固位置が分断されることなく、かつ、前記ビレットの横断面における中心偏析帯の幅rと、ビレットの直径Dとの比、(r/D)の値が0.12以上である製管用ビレットを用いて穿孔圧延を行う継目無鋼管の製造方法である。
以下に、本発明の方法をさらに詳しく説明するとともに、本発明の範囲を前記のとおり限定した理由および好ましい範囲などについて述べる。
連続鋳造などにより鋳造された鋳片は、分塊圧延機を用いて目的に応じて種々の孔型ロールにより分塊圧延され、断面が円形の丸ビレットに加工される。
図2は、前述のとおり、丸ビレットの横断面における中心偏析帯の分布状況を模式的に示す図である。
同図(a)は、ビレット1の横断面における中心偏析帯5がビレットの中心部に集中している場合である(以下、「偏析パターンA−1」と称する)。この場合には、中心部に集中した中心偏析帯からビレットの穿孔圧延中に中空素管内面にかぶれ疵などの内面疵が発生する。
同図(b)に示されるようにビレット1の横断面における中心偏析帯5がビレットの半径方向に連続的に分布している場合(以下、「偏析パターンA−2」と称する)には、偏析帯のビレット半径方向の端部51がビレット1の横断面の中心から一定距離以上に達するように偏析帯が分散されていれば、ビレットを穿孔圧延することにより中空素管の内面にかぶれ疵などの内面疵が発生することはない。なお、この点については、後述の図3および図4を用いてさらに詳しく説明する。
これに対して、同図(c)に示すように、ビレット1の横断面における最終凝固位置7が分断され、中心偏析帯5も分断されて、横断面の中心から大きく隔たった位置に分断された偏析帯6および6が存在する場合(以下、「偏析パターンB」と称する)には、ビレット1を穿孔圧延したときに、この偏析帯6および6に起因して、中空素管の内面に二枚割れ状の内面疵や二枚割れが発生しやすい。
本発明者らは、上述した内面疵の発生を防止できる条件についてさらに詳しく調査を行った。後述の実施例において説明するとおり、鋼種として9%Cr含有鋼および13%Cr含有鋼を用い、種々の矩形断面を有する鋳片を分塊圧延することにより外径が191mmφおよび225mmφのビレットを製造し、その横断面における偏析の分散状況を調査するとともに、それらのビレットを穿孔圧延して中空素管とし、次いで仕上げ製管を行って、得られた鋼管の内面疵の発生状況を調査した。
図3は、ビレット横断面における中心偏析帯の形状を定量化する方法を説明するための図である。同図に示すとおり、ビレット1の横断面において、中心偏析帯5の幅rとビレットの直径Dとの比、(r/D)により偏析の分散度を指標化した。すなわち、前記の(r/D)の値が大きいほど、Crなどの溶質成分の偏析がビレットの半径方向に分散しており、逆に、(r/D)の値が小さいほど、半径方向への偏析の分散度が低いことを表す。
図4は、中心偏析帯の幅rとビレットの直径Dとの比、(r/D)の値と内面疵発生率との関係を示す図である。同図において、○印は、前記図2において説明した偏析パターンA(A−1およびA−2)の試験結果を示し、また、■印は、偏析パターンBの試験結果を示す。
同図の結果によれば、(r/D)の値が増加するにつれて内面疵発生率が低下することがわかる。また、内面疵発生率を、製管下工程の精整工程における負荷を軽減できる水準、すなわち5%以下とするためには、(r/D)の値を0.12以上とする必要のあることが判明した。しかしながら、(r/D)の値が0.64に達すると、偏析パターンがBパターンとなり、前記の図2(c)において説明した理由により、内面疵の発生率が高くなっている。
そこで、本発明においては、最終凝固位置および中心偏析帯がいずれも分断されることがなく、かつ、(r/D)の値が0.12以上である製管用ビレットを用いて穿孔圧延を行うことを、発明の必須構成要件とした。
なお、(r/D)の値は、内面疵発生率を4%以下とできる0.25以上であることが好ましく、また、偏析帯のパターンがパターンBとなりにくい範囲である0.64未満であることが好ましい。
さらに、中心偏析を軽減し、内面疵発生率を改善するために分塊均熱条件との関係を調査した。
図5は、均熱炉における加熱係数Kと、内面疵発生率との関係を示す図である。なお、同図は、後述する実施例における試験番号8〜36についての試験結果を整理したものである。また、同図における加熱係数Kは、下記式(1)により算出した値である。
K=A×√(2×60×T/B) ・・・(1)
ここで、Aは均熱温度(℃)、Tは均熱時間(h)、そして、Bは鋳片厚さ(mm)をそれぞれ表す。
同図の結果から、均熱温度が高く、かつ均熱時間が長い方が、偏析成分の拡散により、δ−フェライトの生成量が減少するため、製管時の内面疵の発生防止には有利であることがわかる。また、加熱係数Kの値を1580以上とすることにより、内面疵発生率をさらに低い3%以下にすることができることが判明した。
さらに、製管時におけるドラフト率との関係を調査した。図6は、製管時におけるドラフト率と、内面疵発生率との関係を示す図である。なお、同図は、後述する実施例において上記の加熱係数Kの値が1580を超える試験番号14〜17、21〜24および28〜31についての試験結果を整理したものである。また、同図におけるドラフト率は、下記式(2)により算出した値である。
ドラフト率={(ビレット直径(mm)−ゴージ間隔(mm))/ビレット直径(mm)}×100(%) ・・・(2)
同図の結果によれば、ドラフト率を7%以下とすることにより、さらに一層、製管時の内面疵発生率を低減させることができる。
本発明の継目無鋼管の製造方法の効果を確認するため、以下に示す本発明例および比較例についての試験を行い、その結果を評価した。
(試験方法)
9%Cr含有鋼および13%Cr含有鋼を用い、垂直型連続鋳造機または水平型連続鋳造機を使用して、鋳片幅:537〜780mm、鋳片厚さ:245〜600mmの種々の長方形断面を有する鋳片を鋳造した。なお、鋳造速度は0.38〜0.60m/min、比水量は0.4〜1.0L/kg−鋼、そして、溶鋼の平均過熱度は30〜60℃とした。
分塊圧延については、上記の鋳片を均熱炉にて加熱後、No.1−2重可逆式ブルーミングミル、No.2−2重可逆式ブルーミングミル、および6連続式ミルを用いて、外径が191mmφおよび225mmφの丸ビレットを製造した。表1および表2に代表的なパススケジュールの例を示した。
Figure 2006110590
Figure 2006110590
同表において、例えば、鋳片の断面が公称537mm×413mmの鋳片から、ビレットサイズ(直径)225mmφのビレットに圧延する場合には、No.1ミルにおいて、鋼片断面を公称325mm×245mmとし、No.2ミルにおいて、仕上げサイズを225mmφとした。
また、鋳片の断面が公称700mm×390mmの鋳片から、ビレットサイズ(直径)を191mmφのビレットに圧延する場合には、No.1ミルにおいて、鋼片断面を公称325mm×245mmとし、No.2ミルにおいて、鋼片断面を公称245mm×245mmとし、さらに、6連続ミルにより仕上げサイズが191mmφのビレットとした。
丸ビレットの横断面を切断して、横断面における偏析の分布状況を調査するとともに、それらのビレットを穿孔圧延して中空素管を製造し、さらに、ストレッチレデューサーおよびサイザーにより製管を行って、得られた鋼管の内面疵の発生状況を調査した。
試験条件および試験結果をまとめて表3に示した。
Figure 2006110590
同表において、Cr当量は、下記式(3)により算出される値を用いた。
Cr当量=Cr+4Si−(22C+0.5Mn+1.5Ni+30N)・・・(3)
ここで、上式中の各元素記号は、各元素の質量含有率(%)を表す。
また、製管試験は、上記の表1および表2に記載されたビレットを1230℃に加熱し、マンネスマン−マンドレル製管法により、傾斜角11〜12度、交叉角10〜11度にて製管することにより行った。
また、内面疵発生率は、主に、目視または超音波探傷法により疵の検出を行い、検査本数に対して疵発生本数の占める百分率(%)により表した。
(試験結果)
試験番号8〜36は、本発明で規定する条件を満足する本発明例についての試験であり、試験番号1〜7および試験番号37〜39は、本発明で規定する条件を満たさない比較例についての試験である。
ビレット横断面の偏析分布パターンが偏析パターンA(A−1またはA−2)であってて、中心偏析帯の幅rとビレットの直径Dとの比、(r/D)の値が0.12〜0.63の範囲にあるビレットを用いて穿孔圧延を行い、ストレッチレデューサーおよびサイザーにより製管を行って、外径73.0〜139.8mm、管肉厚5.5〜13.0mmの鋼管に仕上げた本発明例の試験番号8〜36は、いずれも内面疵発生率が4.8%以下の内面性状の良好な鋼管が得られた。
なかでも、前記(r/D)の値が0.25〜0.63の範囲にあるビレトを穿孔圧延した試験番号11〜36では、内面疵発生率が約4%以下に達し、内面性状の極めて良好な鋼管が得られた。
これらに対して、前記(r/D)の値が0.04〜0.09と低い試験番号1〜7は、ビレット横断面の偏析分布パターンが偏析パターンA−1またはそれに近い分布パターンであり、中心偏析がビレットの横断面において半径方向に充分に分散されていなかったために、内面疵発生率が高く、鋼管の内面疵発生率は8%以上となり、内面性状は不良であった。
また、ビレット横断面における偏析分布パターンが偏析パターンBであるビレットを用いて穿孔圧延した試験番号37〜39は、中心偏析がビレットの半径方向に分散されていたものの、中心偏析帯が2以上に分断される状態にまで至っていたことから、圧延後の中空素管の内面には偏析に起因する二枚割れ状の内面疵または二枚割れが発生し、内面性状は不良となった。
本発明の継目無鋼管の製造方法によれば、内面疵の発生しやすいCr含有量が9%以上のCr含有鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼であっても、製管用ビレットの横断面における中心偏析帯および最終凝固位置が分断されることなく、かつ中心偏析帯の幅とビレット直径との比が0.12以上であるビレットを用いて穿孔傾斜圧延を行うことにより、内面疵の発生の少ない継目無鋼管を製造することができる。よって、本発明の継目無鋼管の製造方法は、難加工性材料を用いた継目無鋼管の製造分野において広範に適用できる優れた鋼管製造方法である。
傾斜穿孔圧延における回転鍛造効果による脆化領域の発生を説明するためのビレットの軸方向断面模式図である。 丸ビレットの横断面における中心偏析帯の分布状況を模式的に示す図であり、同図(a)は中心偏析帯がビレット中心部に集中している場合を表し、同図(b)は中心偏析帯がビレット中央部に連続して分布している場合を表し、同図(c)は最終凝固位置および中心偏析帯が分断されている場合を表す。 ビレット横断面における中心偏析帯の形状を定量化する方法を説明するための図である。 中心偏析帯の幅rとビレット直径Dとの比と、内面疵発生率との関係を示す図である。 均熱炉における加熱係数Kと、内面疵発生率との関係を示す図である。 製管時におけるドラフト率と、内面疵発生率との関係を示す図である。
符号の説明
1:ビレット
2:圧延ロール
3:プラグ
4:中空素管
5:中心偏析帯
51:中心偏析帯のビレット半径方向端部
6:分断された中心偏析帯
7:最終凝固位置

Claims (1)

  1. 質量%で9%以上のCrを含有するCr鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を用い、穿孔圧延を行うことにより継目無鋼管を製造する方法であって、横断面が矩形の素材を分塊圧延して得られた製管用ビレットの横断面において、中心偏析帯および最終凝固位置が分断されることなく、かつ、前記ビレットの横断面における中心偏析帯の幅rと、ビレットの直径Dとの比、(r/D)の値が0.12以上である製管用ビレットを用いることを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
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