JP2005211973A - 内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続鋳造の引抜きにおける圧下時、分塊圧延のための加熱時、および、分塊圧延時などの諸因子でコントロールしなければならない丸鋼片のポロシティの分布形態や量と内面疵との関係を規定することで、得られた鋼管における内面疵を最小限にする方法を提供する。
【解決手段】マンネスマン法により直径Dの丸鋼片1から熱延継目無鋼管を製造する方法において、穿孔機3で使用するプラグ4の径をdとするとき、中心部のd1(ただし、d1≦0.4×dである。)の範囲内に超音波探傷による検出ポロシティが分布する丸鋼片1を素材として穿孔機3に供給して穿孔圧延により穿孔する超音波探傷を利用した内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法。
【選択図】図2

Description

この発明はマンネスマン法による熱延継目無鋼管の製造方法、特に内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法に関するものである。
継目無鋼管の製造は、例えば、図1に示すように、丸鋼片1を回転炉床式加熱炉2により熱延温度に加熱し、加熱した丸鋼片1をマンネスマン法により穿孔機3によりプラグ4を用いて熱間圧延して製品内径より大径の素管5に穿孔し、次いで製品内径に適合したマンドレル6を挿入してアッセルミル7で製管圧延を行い、その後さらに温度低下した管材8を再加熱炉9で再加熱してシンキングミル10で寸法を調整し、次いでロータリサイザー11で真円度を出して製品の熱延継目無鋼管12とし、冷却床13で冷却する。
ところで、熱延継目無鋼管の製管時に熱延継目無鋼管の内面に内面疵が発生する場合がある。このような熱延継目無鋼管の内面疵の改善に対するアプローチは、上記の製管工程の上工程である鋳造から分塊圧延工程に関するもの、あるいは、製管工程に関するものに大別される。ところで、前者に関するものは、主に丸鋼片素材の内質であるポロシティや中心偏析の制御に関する技術(例えば、特許文献1、特許文献2または特許文献3参照。)がある。これらの技術では、ポロシティは鋼管内面疵の原因となるものであり、従って、ポロシティの生成を抑制することで、内面疵の発生を完全に防止することを目指すべきとされている。
特開2002−129278号公報 特開平11−267805号公報 特開平10−34201号公報
本発明が解決しようとする課題は、そこで、連続鋳造の引抜きにおける圧下時、分塊圧延のための加熱時、および、分塊圧延時などの諸因子でコントロールしなければならない丸鋼片のポロシティの分布形態や量と内面疵との関係を規定することで、得られた鋼管における内面疵を最小限にする方法を提供することである。
丸鋼片の中心部に存在する中心部ポロシティは、製管における内面疵に対して悪影響を及ぼすというのが通説である。しかし、丸鋼片の中心部ポロシティの完全防止は、むしろよくないと推定される。出願人の経験でも、マンネスマン法による製管性は、圧下材より非圧下材の方が良好である。ところで、丸鋼片の中心部ポロシティの成因は、鋳造工程から製管工程にいたる種々の工程にわたり数多くある。そこで、本発明の手段は、これらの丸鋼片中の中心部ポロシティの分布範囲と内面疵との関係を規定し、内面疵を最小限にした鋼管を得ることである。
すなわち、この丸鋼片における中心部ポロシティを目視に代えて、高周波超音波探傷により検出すると、√AREAが数10μm以上の微小ポロシティを検出することが可能になる。この方法により、ポロシティ面積率が略0と思われる鋼材でも、微小ポロシティが多数残存しているケースを見出すことができる。この高周波超音波探傷により検出すると、特に高炭素鋼などでポロシティの完全防止が困難であることが分かる。しかしながら、適量の微小ポロシティの存在は、マンネスマン法により穿孔圧延するときの割れの発生および進展に有利と考えられることを見出した。
そこで、上記の課題を解決するための本発明の手段は、先ず、マンネスマン法により直径Dの丸鋼片から熱延継目無鋼管を製造する方法において、穿孔機で使用するプラグの径をdとするとき、中心部のd1(ただし、d1≦0.4×dである。)の範囲内に超音波探傷による検出ポロシティが分布する丸鋼片を素材として穿孔機に供給して穿孔圧延により穿孔することにより、超音波探傷を利用した内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法である。
上記の超音波探傷を利用した内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法において、さらに、穿孔圧延による穿孔は、丸鋼片の中心部のd1以内の範囲のうち、信号対ノイズの比が2以上である、すなわちS/N≧2である超音波探傷による映像が占める総面積の全面積に対する割合が15〜100%である丸鋼片を素材として穿孔機に供給して穿孔圧延により穿孔することである。
さらに上記の超音波探傷を利用した内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法において、その超音波探傷は、探傷領域において超音波ビーム径が0.5〜3.0mmである探触子を使用することである。
上記の本発明の手段の適用にあっては、プラグ径dは穿孔圧延する丸鋼片の直径をDとするとき、d≒75%Dを満足するものであることが好ましく、さらに、本発明を適用する丸鋼片はポロシティ以外の割れ欠陥などがないものが好ましい。
上記の手段において、超音波ビーム径が探傷領域で0.5〜3.0mmとなる探触子を使用する理由は、ポロシティ面積率の推定精度が適度となることによる。すなわち、ビーム径が大きいと探傷領域でのポロシティ面積率の推定精度が悪くなりすぎ、逆にビーム径が小さいと介在物性欠陥を検出しやすくなることによる。
以上に説明したように、超音波探傷による検出ポロシティが丸鋼片の中心部の直径d1内に分布し、またさらに、丸鋼片の中心部の直径d1のうち、S/N≧2である超音波探傷による映像が占める総面積が全面積に対する割合の15〜100%である丸鋼片を素材とし、またその場合、探傷領域でビーム径が0.5〜3.0mmである探触子を使用して超音波探傷して、径dのプラグを使用して穿孔機でマンネスマン法により穿孔することとしたので、本願発明は内面疵の少ない熱延継目無鋼管が的確に製造することができる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の試験例および実施例を通じて説明する。先ず、図2に示すマンネスマン法における穿孔機3に使用するプラグ4の直径をd、丸鋼片1の直径をDとするとき、丸鋼片1の中心部の直径d1を表1に示すように種々に代え、d≒75%Dのプラグ4の使用を想定して鋼管内面疵を調査する。
この場合、鋼種をJIS規格のSUJ2鋼とし、図3の(a)に示すように、内質が比較的に均質と推定される直径Dが120mmで長さ1000mmの丸鋼片1の穿孔開始端から100mmの長さの小片14を採取する。残部丸鋼片15は圧延温度1200℃とし、マンネスマン法により実際に穿孔しアッセルミル7により製管し、最終圧延寸法は外径がφ95mm、内径がφ75mm、長さが4200mmの鋼管を得る。この場合、プラグ4の径dは75%Dから90mmとする。下記の表1に示すように、下記で作成した試験片16または小片14の水浸による超音波探傷試験の結果と対比して鋼管内面疵を評価するものとする。
そこで、上記で採取した小片14から図3の(b)に示す厚さTが40mmの中心軸17を有する試験片16を作製する。次いで、図3の(c)に示すように、この試験片16の中心軸17に向け超音波入射方向18から超音波探傷する。あるいは、図3の(d)に示すように、小片14に超音波入射方向18から超音波探傷する。これらの超音波探傷を行う場合、試験片外周部(80%Dより外側)や左右や上下のエッジ近傍の端部は網掛部で示す探傷範囲19に含めず、図3の(c)や(d)の網掛け部の部分を探傷範囲19とする。このため探傷範囲19外の部分はマスキングを行って超音波探傷する。
図3において、超音波入射方向18から焦点深度を20mm、ゲートを表面下10〜30mm、探傷ピッチを0.2mm×0.2mmとして15MHzの超音波探傷を行い、S/N≧2のエコーについて、超音波探傷による検出ポロシティの分布範囲および超音波入射方向から投影した時の探傷領域19の中心軸17からd1の範囲の投影面内における超音波探傷による映像面積の割合を表1に示す。
Figure 2005211973
これに対比して、上記の内質が比較的に均質と推定される直径Dが120mmで長さ1000mmの丸鋼片1から上記の小片14を採取した残部丸鋼片15をマンネスマン法による穿孔機3で穿孔しアッセルミル7により製管した熱延継目無鋼管12の内面疵の評点を表1に示す。この熱延継目無鋼管12の1本当たりの疵の個数は、鋼管内面の目視検査で、表1のNo.2の熱延継目無鋼管12における疵の個数を100とした時の疵の個数200以上のものを1で、疵の個数50以上200未満のものを2で、疵の個数50未満を3で評価して表1に示した。
上記の超音波探傷試験結果は、表1に示すように、No.1は、本発明例を示し、丸鋼片1の中心部の直径d1が7%Dすなわちd1=8.4mmまでに検出ポロシティの90%が分布して存在するものである。この時の超音波映像面積の割合は5%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は2で○であった。
No.2は、本発明例を示し、丸鋼片1の中心部の直径d1が8%Dすなわちd1=9.6mmまでに検出ポロシティの90%が存在するものである。この時の超音波映像面積の割合は80%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は3で◎であった。
No.3は、本発明例を示し、丸鋼片1の中心部の直径d1が25%Dすなわちd1=30.0mmまでに検出ポロシティの90%が存在するものである。この時の超音波映像面積の割合は3%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は2で○であった。
No.4は、本発明例を示し、丸鋼片1の中心部の直径d1が28%Dすなわちd1=33.6mmまでに検出ポロシティの90%が存在するものである。この時の超音波映像面積の割合は56%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は3で◎であった。
No.5は、比較例で、丸鋼片1の中心部の直径が52%Dすなわちd1=62.4mmまでに検出ポロシティの90%が存在しており、d1>0.4×dである。この時の超音波映像面積の割合は9%であった。実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は1で×であった。
No.6は、比較例で、丸鋼片1の中心部の直径d1が47%Dすなわちd1=56.4mmまでに検出ポロシティの90%が存在しており、d1>0.4×dである。この時の超音波映像面積の割合は61%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は1で×であった。
No.7は、本発明例を示し、丸鋼片1の中心部の直径d1が19%Dすなわちd1=22.8mmまでに検出ポロシティの90%が存在するものである。この時の超音波映像面積の割合は12%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は2で○であった。
No.8は、本発明例を示し、丸鋼片1の中心部の直径d1が24%Dすなわちd1=28.8mmまでに検出ポロシティの90%が存在するものである。この時の超音波映像面積の割合は20%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は3で◎であった。
No.9は、本発明例を示し、丸鋼片1の中心部の直径d1が17%Dすなわちd1=20.4mmまでに検出ポロシティの90%が存在するものである。この時の超音波映像面積の割合は39%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点3で◎あった。
No.10は、比較例で、丸鋼片1の中心部の直径が34%Dすなわちd1=40.8mmまでに検出ポロシティの90%が存在しており、d1>0.4×dである。この時の超音波映像面積の割合は25%であった。実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は1で×であった。
No.11は、比較例で、丸鋼片1の中心部の直径d1が39%Dすなわちd1=46.8mmまでに検出ポロシティの90%が存在しており、d1>0.4×dである。この時の超音波映像面積の割合は40%であった。これに対して実際のアッセルミルラインによる製管後の熱延継目無鋼管12の内面疵の評点は1で×であった。
以上の結果、No.1、No.2、No.3、No.4およびNo.7、No.8、No.9の本発明例の丸鋼片1は、優先して製管を行って熱延継目無鋼管12とすることが良いことがわかる。また、プラグ径dが丸鋼片1の直径Dの75%のとき、丸鋼片1中の略30%D以内であるd1内のポロシティは穿孔圧延終了時には圧着される。すなわち本発明では、d=75%Dならばd1≦30%Dである。ところで上記の本発明の方法においても、丸鋼片1の片端では製造条件によってはポロシティが圧着されていることがあるので穿孔開始側には使用しない方が良いと思われる。さらにマンネスマン法において、中心部偏析部の加工発熱に起因する内面疵を防止可能な穿孔圧延方法などと組み合わせると一層に良い結果が得られるものと考えられる。またさらに、超音波探傷方法は、ポロシティの3次元分布がとらえられるのであれば、供給素材をそのまま全長超音波探傷する方法のほうがよりよい結果をうることができると考えられる。
丸鋼片をマンネスマン法によりピアサー穿孔機で穿孔し製管する工程を示す本発明における工程の流れ図である。 本発明のピアサー穿孔機における丸鋼片径Dとプラグ径dと丸鋼片中心部d1の関係を示す図である。 本発明を評価するための試験片の作製を示す図である。
符号の説明
1 丸鋼片
2 回転炉床式加熱炉
3 穿孔機
4 プラグ
5 素管
6 マンドレル
7 アッセルミル
8 管材
9 再加熱炉
10 シンキングミル
11 ロータリサイザー
12 熱間継目無鋼管
13 冷却床
14 小片
15 残部丸鋼片
16 試験片
17 中心軸
18 超音波入射方向
19 探傷範囲

Claims (3)

  1. マンネスマン法により直径Dの丸鋼片から熱延継目無鋼管を製造する方法において、穿孔機で使用するプラグの径をdとするとき、中心部のd1(ただし、d1≦0.4×dである。)の範囲内に超音波探傷による検出ポロシティが分布する丸鋼片を素材として穿孔機に供給して穿孔圧延により穿孔することを特徴とする超音波探傷を利用した内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法。
  2. 穿孔圧延による穿孔は、丸鋼片の中心部のd1以内の範囲のうち、S/N≧2である超音波探傷による映像が占める総面積の全面積に対する割合が15〜100%である丸鋼片を素材として穿孔機に供給して穿孔圧延により穿孔することを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷を利用した内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法。
  3. 超音波探傷は、探傷領域において超音波ビーム径が0.5〜3.0mmである探触子を使用することを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探傷を利用した内面疵の少ない熱延継目無鋼管の製造方法。
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